JP6515339B2 - 鋼材の山分け計画立案装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材の山分け計画立案装置およびプログラムに関し、特に、ヤードにおける鋼材の山分け計画を立案するために用いて好適なものである。
金属製造プロセスの一例である鉄鋼プロセスにおいて、例えば製鋼工程から次工程の圧延工程へ鋼材を搬送する際、鋼材は、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所に置かれた後、次工程である圧延工程の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。そのヤードのレイアウトの一例を図8に示す。ヤードとは、図8に示すように、上流工程より払い出されたスラブなどの鋼材を、下流工程に供給するためのバッファーエリアとして、縦横に区画された置場801〜804である。縦方向の分割区分を"棟"、横方向の分割区分を"列"と称することが多い。クレーン(1A、1B、2A、2B)は棟内を移動可能であり、同一棟内での異なる列の間で鋼材の移送を行う。また搬送テーブルにより棟間の鋼材の移送を行う。搬送指令を作成する際は"棟"及び"列"を指定することにより、どこへ鋼材を搬送するかを示す(図8の置場801〜804に括弧書きで付されている番号(11)、(12)、(21)、(22)を参照)。
図8を例にヤードでの基本的な作業の流れを示す。まず、前工程である製鋼工程の連鋳機810から搬出された鋼材は、パイラー811を経由して受入テーブルXでヤードまで搬入され、クレーン1A、1B、2A、2Bにより、区画された置場801〜804の何れかに搬送され、山積みして置かれる。そして、次工程である圧延工程の製造スケジュールに合わせ、再びクレーン1A、1B、2A、2Bにより払出テーブルZに載せられ、圧延工程へと搬送される。一般に、ヤードにおいて鋼材は、前記の様に山積みされた状態で置かれる。これは、限られたヤード面積を有効に活用するためである。一方、鋼材を積み上げる際、次工程へ供給し易いよう、次工程の処理順番に鋼材が上から積まれている必要がある。さらに、積み姿が不安定な逆ピラミッド状に鋼材を積まないようにする必要がある。このように、鋼材を複数の最適山(=払出山:次工程へ払い出す最終的な山姿となった山)に分けることを山分けと呼ぶ。
ここで、次工程である圧延工程の加熱炉の燃料原単位を削減するため、可及的に高い温度の鋼材を加熱炉に払い出す(装入する)ことが求められる。このため、昨今、ヤード内に保温設備を設置し、保温設備の中に前述したようにして鋼材を山積みした状態で保管することが行われている。このように保温設備を用いる場合でも、置場801〜804に直接鋼材を山積みする場合と同様に、保温設備を有効に活用するため、保温設備の中において、可及的に高さの高い払出山を作成することが必要である。また、次工程の処理順番に鋼材が上から積まれるようにすると共に逆ピラミッド状に鋼材を積まないようにする必要がある。
以上のように、サイズや次工程での処理順序が異なる複数の鋼材を複数の山に分けて山積みする山分け計画を立案する際には、計画の立案対象となる鋼材により生成可能な全ての山分け候補の中から、山数と山繰り負荷(クレーン等の搬送設備による鋼材のハンドリング負荷)を最小化する最適化問題を解くことになるが、計画の立案対象となる鋼材の数が多いと、かかる問題は大規模問題となる。
そこで、特許文献1には、計画の立案対象となる鋼材を要素とする全体集合に対し、山積み制約を満たす部分集合である実現可能山を全て列挙し、山数および山繰り負荷を最小化する目的関数の下、集合分割問題として最適な実現可能山の組み合わせを求めることにより最適な山分け計画を行う手法が開示されている。
また、特許文献2には、複数の搬送ロット(一度に搬送機器により搬送できる鋼材のまとまり)をしかるべき山(最適山=払出山)に割り当てる、多対1の割当問題として定式化する手法が開示されている。
特開2007−137612号公報 特開2011−105483号公報
M. Campleo, R. Correa, and Y. Frota, "Cliques, holes and the vertex coloring polytope," Information Processing Letters, 89 (2004), pp. 159-164 M. Campelo, V. A. Campos, and R. C. Correa, "On the asymmetric representatives formulation for the vertex coloring problem," Discrete Applied Mathematics, 156 (2008), pp. 1097-1111
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法には、以下の課題がある。
まず、特許文献1に示す集合分割問題を応用した解法では、任意の鋼材ペアのサイズ(幅・長さ)の条件と払出順の条件とから要請される積み順が食い違うことにより、同一の山にできない鋼材ペアが比較的少ない場合には、実現可能山の数が多くなる。この数が数百万を超えると、実現可能山の列挙および最適山の算出計算のいずれにも時間を要し、要請される時間内(例えば3〜5分程度)には計算が完了せず計画が作成できないこととなる。山分け問題の場合、実現可能山の数が数千万を超えると実用的な時間(例えば10分程度)内では実現可能解を得ることが難しくなる。このような場合には、特許文献2に示す多対1の割当問題として定式化する方法により、許容可能な時間内に求解出来るケースもあり得る。しかしながら、特許文献2に示す方法にも、以下の課題がある。
すなわち、特許文献2に示す方法では、ヤードへの到着順とヤードにおける積み順とが逆になるような鋼材ペア(逆転対)が多い場合に計算時間を要し、実用的な時間内に計算を完了できない虞がある。
この様に、従来の方法では、問題の性格に応じ、実用的な時間内に求解が可能な場合と不可能な場合とがある。したがって、どの様な問題に対しても安定的に求解できる手法が求められている。また、実現可能山の数が数千万を超え、逆転対の比率が高い鋼材群の山分け計画を作成する場合には、実用的な時間内に求解することはできない。よって、実現可能山の数が一千万を超える様な大規模な問題の場合や、逆転対が多い場合にも、実用的な時間内に求解する方法が必要である。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、解くべき問題の性格に関わらず、実用的な時間内で山分け計画を立案できるようにすることを目的とする。
本発明の鋼材の山分け計画立案装置は、鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入された複数の鋼材を、次工程への払出順が早い鋼材が上になる様な順に積み上げて、該ヤードの後工程に払い出すための複数の払出山を作成するための山分け計画を立案する鋼材の山分け計画装置であって、前記山分け計画を決定する際に決定されるべき変数である決定変数を設定する決定変数設定手段と、前記複数の鋼材それぞれを前記複数の払出山のうちの1つに割り当てるときの制約である山仕分け制約式を設定する山仕分け制約式設定手段と、該払出山の積姿に関する制約である積姿制約式を設定する積姿制約式設定手段と、前記払出山の総数を少なくすることと、同一の前記払出山に積まれる任意の二つの前記鋼材について、ヤードへの到着順が早い方の前記鋼材が遅い方の前記鋼材よりも上に積まれる逆転の関係にある逆転対の数を少なくすることと、を目的とする目的関数を設定する目的関数設定手段と、前記山仕分け制約式と、前記積姿制約式とを満足し、前記目的関数を最小にする様に山分けを決定する山仕分け決定手段とを有し、前記決定変数には、前記鋼材のうちの一の鋼材が、前記払出山のそれぞれについて選択される、当該払出山を代表する1つの前記鋼材である代表鋼材が代表する払出山に積まれる場合には、当該代表鋼材が前記一の鋼材を代表するものとし、前記一の鋼材が前記代表鋼材が代表する払出山に積まれない場合は当該代表鋼材が前記一の鋼材を代表しないものとする代表関係変数を含み、前記山仕分け制約式は、前記代表鋼材が、当該代表鋼材自身と、当該代表鋼材が代表する払出山に積まれる鋼材を代表することを規定する第1の制約式と、前記積姿制約式に違反する為に同一の払出山に積むことが出来ない任意の2つの前記鋼材は、一方の前記鋼材が他方の前記鋼材を代表しないことを規定する第2の制約式と、前記積姿制約式に違反する為に同一の払出山に積むことが出来ない任意の2つの鋼材は、当該2つの鋼材と異なる前記鋼材には代表されないことを規定する第3の制約式と、全ての前記鋼材が、何れかの代表鋼材によって代表されることを規定する第4の制約式と、それぞれの前記払出山に積まれる前記鋼材の総数を示す値である、前記それぞれの代表鋼材が代表する鋼材の総数が、上限値以下であることを規定する第5の制約式と、一方がもう一方を代表する任意の二つの前記鋼材について、ヤードへの到着順が早い鋼材を上に積む場合に前記逆転の関係が生じることを規定する第6の制約式と、を含み、前記目的関数において、前記代表鋼材の総数を前記払出山の総数とし、前記第6の制約式で規定される前記逆転の関係にある鋼材の対の数を前記逆転対の数とすることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記鋼材の山分け計画立案装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、解くべき問題の性格に関わらず、実用的な時間内で山分け計画を立案することができる。
単純無向グラフの一例を示す図である。 鋼材の山分け計画立案装置の機能的な構成の一例を示す図である。 鋼材の山分け計画立案装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 スラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う方法の一例を概念的に説明する図である。 スラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う方法の一例を説明するフローチャートである。 山分け計画の作成結果の第1の例を表形式に示す図である。 山分け計画の作成結果の第2の例を表形式に示す図である。 ヤードのレイアウトの一例を示す図である。
<頂点彩色問題の概要>
後述するように本実施形態では、頂点彩色問題を山分け問題に適用する。頂点彩色問題自体は公知の技術であるが、頂点彩色問題を山分け問題に適用する際の本実施形態との差異を明確にするため、本発明の実施形態を説明する前に、一般的な頂点彩色問題について説明する。
図1は、単純無向グラフの一例を示す図である。
頂点彩色問題は、グラフ理論における著名な問題の一つであり、単純無効グラフG=(V,E)上で定義される(V:グラフの頂点集合、E:グラフの辺(枝)集合)。図1に示すように、単純無向グラフGの各頂点をある色で塗り、しかも隣接する(辺で結ばれた)どの2つの頂点も異なる色で塗り分けられるとき、この着色を単純無向グラフGの彩色と呼ぶ。彩色に用いた色がc色(cは2以上の整数)のとき、単純無向グラフGはc−彩色可能であるという。単純無向グラフGがc−彩色可能となるcの最小値を、単純無向グラフGの彩色数といい、χ(G)で表す。頂点彩色問題は、単純無向グラフGにおける彩色数χ(G)を求める問題である。
頂点彩色問題の解法として、非特許文献1、2に記載されている対称代表点法および非対称代表点法がある。対称代表点法および非対称代表点法を用いることにより、頂点彩色問題の一般的な解法に比べ、問題を高速に解くことができることが期待できる。
[対称代表点法]
対称代表点法では、単純無向グラフGの彩色に関して、各色から一つずつその色の代表点となる頂点を選ぶ。代表点となった頂点は、その頂点自身と同色の他の頂点を代表する。代表点は、異なる色の頂点を代表しないものとする。任意の順序付頂点対(u,v)∈V2について、0‐1変数xuvを導入する。この変数xuvは、頂点uが頂点vを代表している場合に「1」となり、そうでない場合に「0(ゼロ)」となる0−1変数として定義される。
uv=1の場合、順序付頂点対[u,v]は、一方が他方を代表する関係にあるものとする。仮に、頂点vが代表点であれば、xvv=1となる。このとき、単純無向グラフGの各頂点に対して彩色された色数は、代表点の数に等しく、Σv∈Vvvで表される。単純無向グラフGにおいて隣接する(すなわち辺(枝)で相互に結ばれた)順序付頂点対{u,v}∈Eは同じ色に彩色することができないため、これら2つの頂点u,vは、一方が他方を代表する関係にない。よって、xuv=xvu=0となる。また、単純無向グラフGにおいて隣接する順序付頂点対{u,v}∈Eは、同じ頂点tを代表点として持つことができない。よって、xtu+xtv≦xtt (∀t∈V,∀{u,v}∈E)を満たさなければならない。また、全ての頂点は、それ自身または他の頂点の内の一つに必ず代表されなければならない。よって、全ての頂点v∈Vについて、Σu∈Vuv=1が成り立つ。また、頂点uが他の頂点を代表するとき、頂点u自身は代表点でなくてはならない。すなわち、全ての頂点u、vについてxuv≦xuuが満たされなければならない。したがって、対称代表点法においては、以下の(b)式〜(f)式の制約式を満足する範囲で(a)式の目的関数を最小化する変数xvvを導出することになる。
Figure 0006515339
[非対称代表点法]
単純無向グラフGの頂点集合VをV={1,2,・・・,n}とし、これらの頂点に対し、正の整数の大小関係で頂点の全ての順序が与えられているとする。対称代表点法では全ての頂点が代表点になることが可能である。これに対し、非対称代表点法では、u<vで順序付けられた順序付頂点対{u,v}について、頂点vは頂点uを代表することができない。よって、全てのu<vとなる順序付頂点対{u,v}に対し、xvu=0が満たされなければならない。したがって、非対称代表点法においては、以下の(b)式〜(f)式の制約式を満足する範囲で(a)式の目的関数を最小化する変数xvvを導出することになる。
Figure 0006515339
このように、非対称代表点法では、対称代表点法における制約式に(g)式が追加されたものになる(その他は、非対称代表点法と対称代表点法とで異なるところはない)。
また、(g)式によりu<vにおけるxvuの値が規定されているので、(b)式、(c)式、および(e)式は、以下の(b´)式、(c´)式、および(e´)式を非対称点法における制約式としてもよい。
Figure 0006515339
(c)´式において、min{u,v}は、u、vのうち小さい方の値であることを示す。
以上のようにオリジナルの頂点彩色問題は、単純無向グラフGの各頂点を或る色で彩色し、且つ、相互に隣接する(辺(枝)で結ばれた)どの2つの頂点も異なる色で彩色される彩色数が最小となるように全ての頂点をグルーピングする問題である。一方、山分け問題では、総山数を最小にすることと、山繰り数を最小にすることとのトレードオフが取られた解を求める必要がある。総山数については、後に説明するように、彩色数により自然な形で定式化することができる。一方、山繰り数については、オリジナルな頂点彩色問題はもとよりそれを変形した様々な問題に対しても、山繰り数を評価するような定式化はなされていない。このような課題に対し、本発明者らは、以下に示す本発明の実施形態のようにして、頂点彩色問題を山分け問題に適用できることを見出した。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
<鋼材の山分け計画立案装置200の構成および処理>
図2は、鋼材の山分け計画立案装置200の機能的な構成の一例を示す図である。図3は、鋼材の山分け計画立案装置200の動作の一例を説明するフローチャートである。鋼材の山分け計画立案装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、PLC(Programmable Logic Controller)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。尚、以下の説明では、鋼材の山分け計画立案装置200を必要に応じて山分け計画立案装置200と略称する。
[入力部201:対象スラブグループリスト入力工程S301]
入力部201は、山分け計画の立案対象であるスラブ(鋼材)のリストである山分け対象スラブグループリストを取得する。尚、山分け対象スラブグループリストは、一定周期に取得されてもよいし、特定の事象の生起等をトリガーとして不定期に取得されてもよい。
入力部201は、例えば、CPUが、不図示の鋼材管理系計算機から通信インターフェースを介して受信した山分け対象スラブグループリストのデータをHDDやRAMに記憶することにより実現される。鋼材管理系計算機は、スラブに到着する鋼材全般に関するデータベースを有する上位のコンピュータである。
本実施形態では、クレーン等の搬送機器にて搬送される際に分割されることのない最小の単位となる複数のスラブの単位で、当該複数のスラブがヤードに同時刻に到着する場合を例に挙げて説明する。ただし、このように複数のスラブがヤードに同時刻に到着しないものとしてもよい。その場合、かかる複数のスラブのうち最後にヤードに到着するスラブがヤードに到着した後に、当該複数のスラブの山積みが開始される。以下の説明では、かかる複数のスラブを必要に応じて「スラブグループ」と称する。
本実施形態では、山分け対象スラブグループリストには、それぞれのスラブグループについて、識別番号と、到着予定時刻と、払出順と、鋼材数と、最大幅と、最小幅と、最大長と、最小長の情報が含まれる。
識別番号は、各スラブグループを一意に識別する番号である。
到着予定時刻は、各スラブグループのヤードへの到着予定時刻である。本実施形態では、ヤードに未だ1つもスラブが置かれていない場合の山分け計画を作成する。したがって、山分け計画の立案対象の全てのスラブグループについて到着予定時刻が与えられる。
払出順は、各スラブグループの圧延工程への搬送順である。
鋼材数は、各スラブグループを構成するスラブの数である。
最大幅・最小幅は、それぞれ、各スラブグループを構成するスラブの最大幅・最小幅である。
最大長・最小長は、それぞれ、各スラブグループを構成するスラブの最大長・最小長である。
尚、ここでは、スラブグループ毎のリストを取得する場合を例に挙げて説明したが、スラブ毎のリストを取得してもよい。このようにする場合、各スラブについて、当該スラブが属するスラブグループの識別番号がリストに含まれるようにする。また、最大幅、最小幅、最大幅、最小幅の代わりに、各スラブについて、当該スラブの幅および長さがリストに含まれるようにする。
[変数設定部202:変数設定工程S302、目的関数設定部203:目的関数設定工程S303、制約式設定部204:制約式設定工程S304]
変数設定部202は、後述する目的関数および制約式に含まれる変数のうち、固定値ではない変数を設定する。目的関数設定部203は、変数設定部202により設定された変数に基づいて、目的変数を設定する。また、制約式設定部204は、変数設定部202により設定された変数に基づいて、制約式を設定する。以下に、本実施形態で定式化される目的関数と制約式について説明する。
[[決定変数(代表関係変数)xij]]
それぞれの払出山に属する複数のスラブグループから、1つの代表スラブグループを選択し、代表スラブグループは、当該代表スラブグループが属する払出山に含まれる全てのスラブグループを(代表スラブグループ自身も含み)代表するものとする。
本実施形態では、任意の2つのスラブグループの組{i,j}∈N2に対する0−1変数であって、以下の(1)式で表される0−1変数xijを決定変数とする。ここで、Nは、スラブグループの集合(N={1,2,・・・,n})である。(1)式に示すように、決定変数xijは、スラブグループiがスラブグループjを代表する場合に「1」を示し、そうでない場合に「0(ゼロ)」を示す変数である。尚、決定変数xij以外の変数は、決定変数xijが決まると定まる従属変数である。また、前述したように、代表スラブグループは、自身も代表する。したがって、決定変数xijのi,jは、同じ値をとり得る。
Figure 0006515339
[[積姿制約]]
積姿制約は、払出山の積姿に関する制約である。本実施形態では、積姿制約には、同一山禁止制約が含まれる。
<同一山禁止制約>
同一山禁止制約は、同一の払出山に山積みしていけないスラブグループを規定するものである。本実施形態では、以下の幅条件および長さ条件を満たさないスラブグループは同一の払出山に山積みしてはいけないものとする。
・幅条件
或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも狭いならば無条件で、当該或るスラブグループを、当該下に位置するスラブグループの上に置ける。或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも広い場合には、両者の幅の差が、作業制約により定まる基準値(例えば300[mm])未満であれば、当該或るスラブグループを、当該下に位置するスラブグループの上に置けるが、それを越えると置けない。
すなわち、幅条件を満たす場合は、或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも狭い場合と、或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも広く、且つ、両者の幅の差が基準値(例えば300[mm])未満である場合である。
・長さ条件
或るスラブグループの最大長が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小長よりも短いならば無条件で、当該或るスラブグループを、当該下に位置するスラブグループの上に置ける。或るスラブグループの最大長が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小長よりも長い場合には、両者の長さの差が、作業制約により定まる基準値(例えば3000[mm])未満であれば、当該或るスラブグループを、当該直下に位置するスラブグループの上に置けるが、それを越えると置けない。
すなわち、長さ条件を満たす場合は、或るスラブグループの最大長が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小長よりも短い場合と、或るスラブグループの最大長が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小長よりも長く、且つ、両者の長さの差が基準値(例えば3000[mm])未満である場合である。
ここで、同一の払出山に山積みすることができない2つのスラブグループの組を禁止対と称し、この禁止対の集合を必要に応じて禁止対集合Fと称する。また、以下の説明では、2つのスラブグループの組を必要に応じてスラブグループ対と称する。禁止対集合Fは、以下の(3)式で表される。
Figure 0006515339
(3)式において、i.jは幅条件および長さ条件の少なくとも何れか一方を満たさないスラブグループである。本実施形態では、(3)式に示すように、幅条件と長さ条件の少なくとも何れか一方の条件を満たさない(すなわち、同一の払出山に山積みしてはいけない)スラブグループ対(枝)の集合を禁止対集合Fとして導入する。
[[逆転対同一山積変数rij]]
任意の2つのスラブグループ{i,j}⊆Nついて、同一の払出山に山積みすることはできるが、同一の払出山に山積みする際には、ヤードへの到着順と同一の払出山における積順とを入れ替える必要があるスラブグループ対を逆転対と定義する。以下の説明では、この逆転対の集合を必要に応じて、逆転対集合Rと称する。ヤードへの到着順と同一の払出山における積順とが逆転しているとは、同一の払出山において積順が上になるスラブグループの方が、積順が下になるスラブグループよりも、ヤードへの到着順が早いことをいう。逆転対集合Rは、以下の(4)式で表される。
Figure 0006515339
(4)式は、スラブグループi、jを同じ払出山に山積みする際に当該スラブグループi、jを入れ替える必要があることを示す。本実施形態では、この逆転対集合Rに属する全てのスラブグループ対{i,j}∈Rに対し、以下の(5)式に示す0−1変数を逆転対同一山積変数rijとして導入する。本実施形態では、(4)式に示すように、逆転対同一山積変数rijは、逆転対であるスラブグループi、jを同じ払出山に山積みする場合に「1」を示し、そうでない場合に「0(ゼロ)」を示す0−1変数である。
Figure 0006515339
[[山仕分け制約]]
山仕分け制約式は、複数のスラブグループそれぞれをいずれかの払出山に仕分る際に生じる制約式である。山仕分け制約は、他のスラブグループを代表するスラブグループは、1つの払出山に1つのみ存在し、且つ、他のスラブグループを代表するスラブグループはそれが仕分けられた払出山以外の払出山に仕分けられた他のスラブグループを代表することはできないことを示すものである。本実施形態では、山仕分け制約式には、第1〜第6の制約式が含まれる。以下の説明では、他のスラブグループを代表するスラブグループを必要に応じて代表スラブグループと称する。
<第1の制約式>
スラブグループiがその他のスラブグループjを代表するとき、スラブグループi自身は代表スラブグループでなければならない。このことから、以下の(7)式に示す第1の制約式が与えられる。第1の制約式は、代表スラブグループが、当該代表スラブグループ自身と、当該代表スラブグループと同一の払出山に積まれるその他のスラブグループを代表することを規定する制約式である。
ij≦xii (∀i,j∈N,i≠j)・・・(7)
<第2の制約式>
禁止対集合Fに含まれるスラブグループ対{i,j}∈Fは、同一の払出山に積めないため、一方が他方を代表する関係にない。このことから、以下の(8)式に示す第2の制約式が与えられる。第2の制約式は、前記積姿制約に違反するために同一の払出山に積むことができない任意の2つのスラブグループは、一方が他方を代表しないことを規定する制約式である。
ij=xji=0 (∀{i,j}∈F)・・・(8)
<第3の制約式>
禁止対集合Fに含まれるスラブグループ対{j,k}∈Fは、同一の払出山に積めないため、当該スラブグループ対を構成するスラブグループj,kをそれとは異なる同一のスラブグループiが代表することはない。このことから、以下の(9)式に示す第3の制約式が与えられる。第3の制約式は、前記積姿制約に違反するために同一の払出山に積むことができない任意の2つのスラブグループをそれとは異なる同一のスラブグループが代表することはないことを規定する制約式である。
ij+xik≦xii (∀i∈N,∀{j,k}∈F)・・・(9)
<第4の制約式>
全てのスラブグループは、自身またはその他のスラブグループのうちの1つに必ず代表されなければならない。このことから、以下の(10)式に示す第4の制約式が与えられる。第4の制約式は、全てのスラブグループが、何れか1つのスラブグループによって代表されることを規定する制約式である。
Σi∈Nij=1 (∀j∈N)・・・(10)
<第5の制約式>
1つの払出山の高さが基準値以下でなければならない。
本実施形態では、全てのスラブの厚みが同じであるものとする。したがって、1つの払出山に積めるスラブの枚数が基準枚数(例えば12[枚])以下であるという条件を山高さ制約とする。ここで、1つの払出山に積めるスラブの数の上界をh(h∈Z+(自然数))と表記する。
そうすると、全てのスラブグループi∈Nに対し、以下の(6)式の山高さ制約式(第5の制約式)を満足しなければならない。
Figure 0006515339
(6)式の左辺は、スラブグループiを含む払出山のスラブグループの総数である。より具体的に説明すると、(6)式の左辺の第1項(w(i))は、スラブグループi(∀i∈N)のスラブ数(w(i):N→Z+(自然数))である。w(i)は、例えば、1以上6以下の自然数である(1≦w(i)≦6)。
また、(6)式の左辺の第2項(Σの項)は、スラブグループi(∈N)によって代表されるその他のスラブグループjの総数を表す。
尚、(6)式において、(6)式の左辺の第2項のΣは、スラブグループ集合Nの中のスラブグループi以外のスラブグループjに対する総和を表す(このことは以降の式においても同じである)。
<第6の制約式>
逆転対集合Rに属するスラブグループ対であって、一方が他方を代表する関係にあるスラブグループ対{i,j}∈Rについては同一の払出山に積まれなければならず、この場合、スラブグループ対i,jについて山繰りが生じる。また、逆転対集合Rに属するスラブグループ対であって、一方が他方を代表する関係にない(いずれもそれ以外の同一のスラブグループiに代表される)スラブグループ対{j,k}∈Rについては同一の払出山に積まれた場合、スラブグループ対j、kについては山繰りが生ずる。このことから、以下の(11)式、(12)式に示す第6の制約式が与えられる。第6の制約式は、一方がもう一方を代表する関係にある任意のスラブグループ対について、ヤードへの到着順が早いスラブグループを上に積む場合に逆転の関係(=山繰り)が生じることを規定する制約式である。
ij≧xij,rji≧xji(∀{i,j}∈R)・・・(11)
jk≧xij+xik−1 (∀i∈N,∀{j,k}∈R)・・・(12)
[[評価指標]]
次に、目的関数における評価指標を説明する。
本実施形態では、総山数(山高さ)と山繰り数、すなわち同一の払出山に積まれた逆転対集合Rに属するスラブグループ対の総数との重み付き線形和を目的関数とする。尚、重み付き線形和とは、総山数(山高さ)に対する重み係数、山繰り数に対する重み係数を、総山数(山高さ)、山繰り数にそれぞれ乗算した値を加算したものをいう。総山数(山高さ)に対する重み係数とは、総山数(山高さ)に対する評価の、山繰り数に対する評価とのバランスを表す係数である。山繰り数に対する重み係数とは、山繰り数に対する評価の、総山数(山高さ)に対する評価とのバランスを表す係数である。
総山数(山高さ)を評価指標とするのは、ヤードにおける山分けでは、保温設備の収容能力が限定されていることや、スラブの置場が限られていることや、置場にスラブを直接置く場合には最上段および最下段のスラブの放冷が他のスラブに比べて大きくなること等の理由で、山高さを出来るだけ高くして総山数を出来るだけ少なくすることが要請されるからである。
山繰り数を評価指標とするのは、以下の理由による。まず、山分けを行う上で、作業スペースの問題や作業を行うクレーン等の搬送機器の能力の兼ね合いから、山積みを行うための搬送作業数ができるだけ少ないことが求められる。山分けの場合には、ヤードに到着する順にスラブを積んでいくことが出来れば理想的である。一方で、払出時の山繰りを無くし、払出作業を迅速に行う為に、払出山に於いては、下工程への払出が早いものを上に積むのが基本である。従って、現実的には、ヤードへの到着順と払出山における積順とが食い違う場合がある。すなわち、ヤードへの到着順が早い方のスラブを遅い方のスラブよりも同一の払出山の上の段に積まなければならない場合がある。その場合には、相対的に下段に積まれるスラブがヤードに到着するまで、先にヤードに到着したスラブを一旦仮置き場に仮置きし、相対的に下段に積まれるスラブがヤードに到着し山積みされてから、そのスラブの上に、仮置き場のスラブを積む作業が必要となる。したがって、この様な作業ができるだけ少なくなるような山分けをすることが望まれる。このような仮置きの発生数は、数学的には逆転数または転倒数として表現される。逆転数(転倒数)とは、ヤードへの到着順と同一の払出山における積順とが逆転する関係が成立するスラブグループ対の総数である。このように山繰り数は、逆転数で表される。
[[目的関数]]
1つの払出山において代表スラブグループは1つであるから、代表グループの総数(=ΣiNii)が総山数になる。
また、逆転数(=山繰り数)は、同一の払出山に積まれる逆転対の総数であるから、同一の払出山に積まれる逆転対の総数(=Σ[i,j]Rij)で表される。
総山数(山高さ)に対する重み係数をk1とし、逆転数に対する重み係数をk2とすると、目的関数は「k1×総山数+k2×逆転数」となる。
したがって、目的関数は、以下の(13)式で表される。
1×Σi∈Nii+k2×Σ[i,j]∈Rij ・・・(13)
[[目的関数と制約式]]
以上より、本実施形態では、以下のように、(6)式〜(12)式、(14)式、(15)式の制約式による制約を満足する範囲で、(13)式の目的関数の値を最小化する決定変数xijを導出することになる。
Figure 0006515339
変数設定部202は、例えば、山分け対象スラブグループリストと、幅条件および長さ条件における基準値とに基づいて、同一の山に山積みしてはいけないスラブグループ対(枝)の集合F(禁止対集合F)を導出する。幅条件および長さ条件における基準値は、例えば、入力部201が鋼材管理系計算機から取得してもよいし、山分け計画立案装置200のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作により取得してもよい。また、変数設定部202は、入力部201により入力された対象スラブグループリストに基づいて、決定変数xij、逆転対同一山積変数rijのi、jとしてとり得る値を設定すると共に、同一山スラブ枚数w(i)の値を設定する。尚、決定変数xijについては、iとjが同じ値のものと異なる値のものとを設定する。
目的関数設定部203は、変数設定部202で設定された決定変数xijおよび逆転対同一山積変数rijを(13)式に設定する。また、目的関数設定部203は、総山数(山高さ)に対する重み係数k1と、逆転数に対する重み係数k2を設定する。これらの重み係数k1、k2は、例えば、入力部201が鋼材管理系計算機から取得してもよいし、山分け計画立案装置200のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作により取得してもよい。
制約式設定部204は、変数設定部202で設定された決定変数xijおよび逆転対同一山積変数rijを(6)式〜(12)式、(14)式、(15)式に設定する。また、制約式設定部204は、1つの払出山に積めるスラブの枚数の上界hを(6)式に設定する。1つの払出山に積めるスラブの枚数の上界hは、例えば、入力部201が鋼材管理系計算機から取得してもよいし、山分け計画立案装置200のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作により取得してもよい。
[山分け問題と頂点彩色問題との関係]
ここで、山分け問題と頂点彩色問題との関係について説明する。
スラブグループの集合Nを頂点の集合とし、禁止対集合F(同一の払出山に山積みしてはいけないスラブグループ対の集合)を辺(枝)とする単純無向グラフGとする。山分け問題において、同一の払出山に積むことができないスラブグループ対は、単純無向グラフGにおいて隣接する(辺(枝)で結ばれた)頂点対と見なすことができる。また、ヤードにおいてスラブを複数の払出山に積み分けることは、単純無向グラフGの頂点をいくつかの色に塗り分けることに対応する。すなわち、同一の色の頂点に対応するスラブグループが同一の払出山に山積みされることになり、異なる色の頂点に対応するスラブグループは異なる払出山に山積みされることになる。このようにすることにより、山高さ制約を除外し、目的関数として総山数のみを考慮した場合、山分け問題は、頂点彩色問題と等価な問題となる。この様に、山分け問題は、頂点彩色問題と似た性質を持つため、頂点彩色問題の定式化を応用することが可能である。
一方、一般的な頂点彩色問題では山繰り数を評価するような定式化はなされていない。そこで、本実施形態では、積順が上になるスラブグループの方が、積順が下になるスラブグループよりも、ヤードへの到着順が先になる逆転の関係が生じるスラブグループ対(逆転対)の集合を逆転対集合Rとして定義する。そして、逆転対集合Rの要素であるスラブグループ対が代表関係にあるかあるいは同一の代表スラブグループによって当該スラブグループ対が代表されるか否かを判定する制約式を設けると共に、逆転対集合Rの要素であるスラブグループ対が代表関係にあるかあるいは同一の代表スラブグループによって当該スラブグループ対が代表される場合には、そのスラブグループ対の数を計数する項を目的関数に含める。このようにすることによって、頂点彩色問題を山分け問題に適用することができる。
[最適解導出部205:最適解導出工程S305]
最適解導出部205は、(6)式〜(12)式、(14)式、(15)式の制約式による制約を満足する範囲で、(13)式の目的関数の値を最小化する決定変数xij(すなわち、決定変数xijの最適解)を導出する。
本実施形態では、以下の仮定の下で、最適化計算を行う。
(a)払出山のスラブを次工程に払い出す際に、払出山の上にあるスラブグループから順に払い出せるように、積順が相対的に上であるスラブグループの次工程への払出順が、積順が相対的に下であるスラブグループの次工程への払出順よりも早くなるように各スラブを山積みする。
(b)次工程へのスラブグループの払出順に自由度がある場合には、ヤードへの到着順が早いスラブグループである程、払出山の下に積む。例えば、同じロット番号のスラブグループについては、次工程へのスラブグループの払出順に制限はない。ロットとは、次工程(例えば、熱延工程)での処理の纏まりを表すもので、ロット番号は、その纏まりの次工程での処理の順番を表す、
(c)ヤードへの到着順は一意に定まり、異なるスラブグループ間での重複はないものとする。
このような仮定により、スラブグループの任意の部分集合N´⊆Nに対し、積み上げる順序が唯一つに定まる。
尚、0-1整数計画法による最適化計算は、公知の技術を用いることにより実現されるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
[出力部206:出力工程S306]
出力部206は、最適解導出部205で導出された決定変数xijの最適解に基づく情報を出力する。例えば、出力部206は、最適解導出部205で導出された決定変数xijの最適解を出力することができる。この場合、オペレータは、決定変数xijの最適解から、山分け対象スラブグループリストに含まれるスラブグループのそれぞれについての、当該スラブグループが属する払出山と当該払出山における積順とを含む情報を作成することができる。また、出力部206は、最適解導出部205で導出された決定変数xijの最適解から、このような情報を導出して出力することができる。その他、出力部206は、山分け対象スラブグループリストと決定変数xijの最適解とに基づいて、どのタイミングでどの搬送機器によりどのスラブグループをどの場所に搬送するのかを特定し、特定した内容に基づいて、搬送機器に対する動作指令を行うことができる。このようにする場合には、決定変数xijの最適解を出力してもしなくてもよい。
[まとめ]
以上のように本実施形態では、総山数を少なくすることと、山繰り数(同一の払出山においてヤードへの到着順が早い方のスラブグループを遅い方のスラブグループよりも上に積むために必要になる仮置きの数)を少なくすることとを目的とする目的関数の値を最小化する最適化問題を数理計画法による最適化計算を行うことにより解く。その際に、頂点をスラブグループに対応させ、辺(枝)により相互に連結される2つの頂点に対応する2つのスラブグループを、同一の払出山に積んではいけない関係(禁止対の関係)になる2つのスラブグループとして表す。また、他のスラブグループを代表するスラブグループであって、1つの払出山に1つのみ存在し、且つ、それ以外の払出山において他のスラブグループを代表することはできないスラブグループである代表スラブグループの数を総山数として表現する。また、同一の払出山に山積みすることはできるが、同一の払出山に山積みする際には、ヤードへの到着順と同一の払出山における積順とを入れ替える必要があるスラブグループ対である逆転対の内、同一の払出山に積まれた逆転対の総数を逆転数とし、これを山繰り数として表現する。
具体的に本実施形態では、逆転対の集合を逆転対集合Rとして定義する。そして、一方が他方を代表する関係にある任意のスラブグループ対が、逆転対となる場合及び同一の代表スラブグループによって当該スラブグループ対が代表される場合に山繰りが生じることを規定する制約式を制約式に含める。
したがって、山分け問題を頂点彩色問題に適用することができる。このようにすることによって、山分け計画の立案対象のスラブグループの中に、同一の払出山に積むと山繰り負荷が大きくなるようなスラブグループが多い場合や、山分け計画の立案対象のスラブグループの数が多い場合でも、実用的な時間内でヤードにおける山分け計画を作成することが可能になる。すなわち、解くべき問題の性格に関わらず、実用的な時間内でヤードにおける山分け計画を作成することができる。
例えば、本実施形態では、集合分割問題の様に実行可能山を列挙し、その数だけ変数を用意する必要はなくなる。特許文献1に示す集合分割問題における部分集合の数は、集合の要素数をnとすると2nとなるので指数時間アルゴリズムになる。これに対し、本実施形態ではn2の多項式のオーダの変数により問題を定式化することができる。よって、実行可能山(部分集合)の数に左右されないアルゴリズム構築が可能である。また、本実施形態の手法では、頂点が代表頂点(スラブグループiが代表スラブグループ)である場合に変数xii=1と約束することにより、彩色数χ(G)をχ(G)=ΣiViiと簡潔に表すことができる。したがって、特許文献2の手法と比較しても、特許文献2で必要となった、山が存在するか否かを示す変数(頂点彩色問題においては色の存在を表す変数)が不要となること等、変数の数や探索範囲を大幅に削減できることから、逆転対が多い場合にも高速に求解可能となる。
<変形例>
[変形例1]
本実施形態では、総山数(山高さ)と山繰り数(逆転数)との重み付き線形和を最小化することを目的とする目的関数を例に挙げて説明した。しかしながら、目的関数は、総山数(山高さ)と山繰り数(逆転数)との重み付き線形和に限定されない。例えば、1つの払出山が出来上がるまでの時間(1つの山を作るための搬送機器の作業時間)の、全ての払出山についての総和と、総山数(山高さ)と、山繰り数(逆転数)との重み付き線形和を目的関数としてもよい。また、1つの払出山において、最初に次工程に払い出すスラブから最後に払い出すスラブを払い出すまでに要する時間(1つの払出山における最初のスラブの払い出し時刻から最後のスラブの払い出し時刻までの時間)の、全ての払出山についての総和と、総山数(山高さ)と、山繰り数(逆転数)との重み付き線形和を目的関数としてもよい。前者について、1つの払出山が出来上がるまでの時間が短ければ、例えば、保温設備をスラブの受け入れのために開けておく時間を短くすることができ、スラブの温度の低下を抑制することができる。後者について、1つの払出山において、最初に次工程に払い出すスラブから最後に払い出すスラブを払い出すまでに要する時間が短ければ、保温設備からの払い出しのために保温設備が開いている時間を短くすることができ、スラブの温度の低下を抑制することができる。
[変形例2]
本実施形態では、目的関数の値を最小化する最適化問題を数理計画法により解く場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば(23)式の各項に(−1)を掛けることにより、目的関数の値を最大化する最適化問題としてもよい。
[変形例3]
本実施形態では、全てのスラブの厚みが同じである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、スラブの厚みは同じでなくてもよい。この場合、w(i)を、スラブグループiに含まれるスラブの厚みの総和とすればよい。
[変形例4]
本実施形態では、スラブグループ単位で山分け計画を作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、1つのスラブ単位で山分け計画を作成してもよい。その場合には、これまでの説明の「スラブグループ」を「スラブ」と読み替え、その鋼材数は1枚となり(したがって、例えば、スラブグループiのスラブ数w(i)は「1」になる)、最大幅と最小幅が当該スラブの幅で同じ値となる。最大長、最小長も同様に当該スラブの長さで同じ値となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、対称代表点法を解法として用いる頂点彩色問題に山分け計画を適用する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、非対称代表点法を解法として用いる頂点彩色問題に山分け計画を適用する場合を例に挙げて説明する。したがって、本実施形態と第1の実施形態は、制約式の一部が主として異なる。よって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
スラブグループの集合N(N={1,2,・・・,n})のそれぞれに正の整数の大小関係で順序をつける。前述したように、非対称代表点法では、2つのスラブグループi,jについて、i<jであれば、スラブグループjはスラブグループiを代表することはできない。すなわち、全てのi<jとなるスラブグループi、jについて決定変数xjiは0(xji=0)になる。したがって、非対称代表点法を解法として用いる場合の目的関数と制約式は、以下のようになる。
Figure 0006515339
(9´)式および(12´)式において、min{j,k}は、j、kのうち小さい方の値であることを示す。また、(16)式は、前述した(g)式に対応し、第1の実施形態で説明した山仕分け制約式に含まれる第7の制約式である。(8´)式、(9´)式、(7´)式は、それぞれ前述した(b´)式、(c´)式、(e´)式に対応する制約式であり、第1の実施形態で説明した(8)式、(9)式、(7)式で設定した制約式のパラメータiの範囲を(16)式の規定を利用して減らした制約式である。また、(6´)式は、第1の実施形態で説明した(6)式に対応するものであり、山高さ制約式(第5の制約式)である。
以上のように本実施形態では、それぞれのスラブグループ(頂点)に対し一意の序列を付与し、序列が相対的に低いスラブグループは、序列が相対的に高いスラブグループを代表することができないようにする。対称代表点法だけでなく、非対称代表点法を解法として用いた場合でも、頂点彩色問題に山分け計画を適用することができる。そして、全てのi<jとなるスラブグループi、jについて決定変数xjiは0(xji=0)となるので、計算時間をより短くすることができる。
尚、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第2の実施形態では、スラブグループの集合N(N={1,2,・・・,n})に対する順序のつけ方が任意である場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、スラブグループの集合Nに対する順序のつけ方に制限をつける。このように本実施形態と第2の実施形態は、スラブグループの集合Nに対する順序のつけ方が異なることによる処理が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1、第2の実施形態と異なる部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
第2の実施形態で説明した制約式のうち(12´)式に注目すると、各逆転対{j,k}∈Rに対し(min{j,k}−1)個の制約式を必要とする。これは、逆転対{j,k}に対応するスラブグループj,kに付与された番号が小さければ、(12´)式の制約式の数を少なくできることを意味する。つまり、非対称代表点法では、スラブグループへの順序(番号)の付け方によって、逆転対に関する制約式を減らすことができる。
そこで、本実施形態では、変数設定部202は、以下のようにしてスラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う。
図4は、スラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う方法の一例を概念的に説明する図である。また、図5は、スラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う方法の一例を説明するフローチャートである。図4および図5を参照しながら、スラブグループに対して順序付け(番号付け)を行う方法の一例を説明する。
まず、ステップS501において、変数設定部202は、スラブグループの集合Nを頂点の集合Vとし、逆転対集合R(積順が上になるスラブグループの方が、積順が下になるスラブグループよりも、ヤードへの到着順が先になる逆転の関係が生じるスラブグループ対(逆転対)の集合)を辺(枝)とする単純無向グラフΓ(V,R)を作成する。尚、他の何れのスラブグループとも逆転対とはならないスラブグループについては、当該スラブグループに対応する頂点が孤立して存在することになる(すなわち、当該頂点は、他の何れの頂点とも辺(枝)で接続されないことになる)。
図4の上から1番目の図が、この単純無向グラフΓの一例である。このとき、変数設定部202は、各スラブグループの集合Nに対応する頂点に、相互に重複しないように、1〜Nまでの番号を仮に付す。図4の上から1番目の図には、この番号を各頂点の傍らに示す。また、変数設定部202は、列Qを空列とする。列Qの各列には、スラブグループの識別番号が与えられ、j列目のスラブグループに番号jが付与されるものとする(jは正の整数である)。
次に、ステップS502において、変数設定部202は、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点があるか否かを判定する。この判定の結果、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点がない場合には、各スラブグループに対して順序付け(番号付け)が終了することになるので、図5のフローチャートによる処理を終了する。
一方、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点が(1つでも)ある場合には、ステップS503に進む。図4の上から1番目の図の例では、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点があるので、ステップS503に進むことになる。
ステップS503に進むと、変数設定部202は、単純無向グラフΓ(V,R)の頂点のうち、最も次数が高い頂点(すなわち、頂点に接続されている辺(枝)の数が最大の頂点)を選択する。尚、最も次数が高い頂点が複数ある場合、変数設定部202は、当該複数の頂点のうち、ステップS501で仮につけた番号が最も小さい頂点を選択する。図4の上から1番目の図の例では、仮の番号「5」が付された頂点に接続されている辺(枝)の数は「4」であり、当該頂点の次数が最も高い。したがって、変数設定部202は、番仮の号「5」が付された頂点を選択する。
次に、ステップS504において、変数設定部202は、ステップS503で選択した頂点と、当該頂点に接続されている辺(枝)を削除する。図4の上から1番目の図の例では、図4の上から2番目の図に示すように、仮の番号「5」が付された頂点と、当該頂点に接続されている辺(枝)を削除する。尚、図5では、削除されたものを破線で示す。
次に、ステップS505において、変数設定部202は、ステップS503で選択した頂点に対応するスラブグループに対する番号を変更する。列Qの最後尾に、ステップS503で選択した頂点に対応するスラブグループの識別番号を挿入することにより、ステップS503で選択した頂点に対応するスラブグループに対する番号を変更する。図4の上から2番目の図に示す例では、まだ列Qに、スラブグループの識別番号が挿入されていない。したがって、列Qの先頭に、仮の番号「5」が付された頂点に対応するスラブグループの識別番号が挿入される。このようにして、仮の番号「5」が付された頂点に対応するスラブグループの番号が「5」から「1」に変更される。
そして、前述したステップS502に戻る。そして、ステップS502において、変数設定部202は、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点があるか否かを判定する。図4の上から2番目の図に示す例では、まだ、ステップS501で付けられた仮の番号が「1」、「2」、「3」、「4」の4つの頂点がある。したがって、ステップS503において、変数設定部202は、当該頂点のうち、次数が最も高い頂点である、仮の番号「2」が付された頂点を選択する。
そして、変数設定部202は、ステップS504において、図4の上から3番目の図に示すように、仮の番号「2」が付された頂点と、当該頂点に接続されている辺(枝)を削除し、ステップS505において、列Qの最後尾(2列目)に、仮の番号「2」が付された頂点に対応するスラブグループの識別番号を挿入する。これにより、図4の上から3番目の図に示すように、仮の番号「2」が付された頂点に対応するスラブグループの番号は「2」になる。
図4の上から3番目の図に示す例では、まだ、ステップS501で付けられた仮の番号が「1」、「3」、「4」の3つの頂点がある。したがって、変数設定部202は、ステップS502において、単純無向グラフΓ(V,R)に頂点があると判定する。図4の上から3番目の図に示す例では、現在残っている頂点の中に、辺(枝)で接続されている頂点がない(全ての頂点の次数は同じである)。したがって、ステップS503において、変数設定部202は、仮の番号が「1」、「3」、「4」の3つの頂点のうち、最も小さい仮の番号「1」の頂点を選択する。
そして、変数設定部202は、ステップS504において、図4の上から4番目の図に示すように、仮の番号「1」が付された頂点を削除し、ステップS505において、列Qの最後尾(3列目)に、仮の番号「1」が付された頂点に対応するスラブグループの識別番号を挿入する。これにより、図4の上から4番目の図に示すように、仮の番号「1」が付された頂点に対応するスラブグループの番号は「3」になる。
以降、仮の番号「1」が付与された頂点に対する処理と同様にして、図4の上から4番目の図に示すように、仮の番号「3」、「4」が付された頂点に対応するスラブグループの番号として、それぞれ「4」、「5」が設定される。以上のようにして全ての頂点がなくなると、前述したように図5のフローチャートによる処理を終了する。
以上のように本実施形態では、スラブグループの集合Nを頂点の集合Vとし、逆転対集合Rを辺(枝)とする単純無向グラフΓ(V,R)において、他の頂点と接続される辺(枝)の数が多い頂点から順に、当該頂点と当該頂点に接続される辺(枝)を削除すると共に当該頂点に対応するスラブグループの番号に対し1から昇順に1ずつ増加する番号を付す。したがって、より多くの他のスラブグループと逆転対の関係になるスラブグループであるほど、相対的に小さな番号が付与されることになる。したがって、逆転対に関する制約式である(12´)式として列挙する式の数を少なくすることができる。よって、計算時間をより一層短くすることができる。
尚、本実施形態においても、第1、第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
<実施例1>
本実施例では、第3の実施形態による解法(発明例)と、特許文献1による解法(比較例1)と、特許文献2による解法(比較例2)とのそれぞれにより、山分け計画を作成し、求解に要する時間の比較を行った。ただし、計算時間が3分(180秒)以上となる場合には、その時点で得られた解の精度を表す双対ギャップにより評価した。
双対ギャップは、以下の(17)式で表される。
双対ギャップ={(上界値−下界値)/上界値}×100 ・・・(17)
(17)式において、上界値は、計算を開始してから3分が経過した時点で得られた、山分け計画を実現可能な解の中で最も良い解の目的関数の値である。下界値は、計算を開始してから3分が経過した時点で得られた、緩和問題を解いた場合の最適解の中で、最も大きな(最も悪い)目的関数の値である。尚、上界値と下界値とが一致した場合、そのときの解は最適解である。また、緩和問題とは、最適化問題の0−1変数の条件を緩和した(0−1変数が0、1以外の0〜1の間の値をとることを許容した)問題をいう。
また、何れの解法でも、スラブグループの総数を50とし、同一のスラブグループについて、山分け計画を作成した(すなわち、同一の山分け対象スラブグループリストを用いた)。
また、何れの解法でも、k1×総山数+k2×逆転数を目的関数とした。ここで、総山数(山高さ)に対する重み係数k1を5.0(k1=5.0)とし、逆転数に対する重み係数k2を1.0(k2=1.0)とした。
図6は、これらの解法による山分け計画の作成結果を表形式に示す図である。
図6において、「禁止%」とは、スラブグループ対の総数に対する、同一の払出山に山積みしてはいけないスラブグループ対(枝)の数の割合を、百分率で表記したものである。「逆転%」とは、スラブグループ対の総数から同一の払出山に山積みしてはいけないスラブグループ対の数を差し引いた値に対する、ヤードへの到着順と払出山における積順とが逆転するスラブグループ対の数の割合を、百分率で表記したものである。「F.Mt」は、実現可能山の数(単位は百万個)である。「Opt.V」は、最適解が得られたときの目的関数の値、または、上界値である。「山数」は、最適化計算の結果として得られた払出山の数である。「逆転」は、最適化計算の結果として得られた、ヤードへの到着順と払出山における積順とが逆転するスラブグループ対の数である。
図6において色塗りをいているのは、3つの解法のうちで最良の解が得られたものである。図6に示すように、使用した19個のデータのうち、14個のデータにおいて、発明例による解法(非対称代表点法)の方が、比較例1による解法(集合分割)および比較例2による解法(多対1割当)よりも早く良い解に達する。比較例1による解法(集合分割)による解が最も良かったのは3個のデータ(データID03、05、15)のみである。そのうち、2個のデータ(データID03、05)において、発明例による解法(非対称代表点法)と比較例1による解法(集合分割)とで同レベルの解が得られており、のこる1個のデータ(データID15)に於いても、ほぼ同レベルの解が得られている。また、比較例2による解法(多対1割当)では、最も良い解が得られたケースはない。
比較例1による解法(集合分割)による解の方が、発明例による解法(非対称代表点法)よりも良い場合は、実現可能山の数が高々3百万程度までであり、実現可能山の数が1千万個に近づくと、比較例1による解法(集合分割)では3分以内に実現可能解が得られない。これに対し、発明例による解法(非対称代表点法)では、実現可能山の数が数千万から1億個となっても3分以内で最適値あるいはそれに近い値を求解できる。このように、発明例による解法(非対称代表点法)では、実現可能山の数が多くなっても3分以内にほぼ最適解を求めることができる。
<実施例2>
本実施例では、第3の実施形態による解法(非対称代表点法(発明例)と記載)と、第1の実施形態による解法(対称代表点法(発明例)と記載)とのそれぞれにより、山分け計画を作成し、求解に要する時間の比較を行った。山分け計画に用いたデータ、山分け計画の作成条件、および山分け計画の評価方法は、実施例1と同じである。
図7は、これらの解法による山分け計画の作成結果を表形式に示す図である。図7において、「(12´)式」、「(12)式」は、それぞれ、(12´)式、(12)式として列挙される式の数である。また、「%」は、(12´)式として列挙される式の数を(12)式として列挙される式の数で割った値を百分率で表わしたものである。
図7に示すように、使用した19個のデータのうち、14個のデータの全てにおいて、
第3の実施形態による解法(非対称代表点法)の方が、第1の実施形態による解法(対称代表点法)よりも、早く良解に達する。ただし、第1の実施形態による解法(対称代表点法)でも、実現可能解が得られなかったケースはなく、図6に示した比較例1による解法(集合分割)および比較例2による解法(多対1割当)に比べ、実現可能山の数が多くなっても早く良い解を得ることができる。
(その他の変形例)
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に請求項と実施形態との関係の一例を示す。尚、請求項と実施形態との関係が以下の関係に限定されないのは、変形例等で説明した通りである。
<請求項1>
決定変数設定手段は、例えば、変数設定部202を用いることにより実現される。
山分け制約式設定手段および積姿制約式設定手段は、例えば、制約式設定部204を用いることにより実現される。
目的関数設定手段は、例えば、目的関数設定部203を用いることにより実現される。
払出山の総数は、例えば、ΣiNiiを用いることにより実現される。
逆転数は、例えば、Σ[i,j]Rijを用いることにより実現される。
山分け決定手段は、例えば、最適解導出部205を用いることにより実現される。
代表関係変数(決定変数)は、例えば、xijにより実現される(尚、iとjは同じものと異なるものとを含む)。
積姿制約式は、例えば、(3)式を用いることにより実現される。
第1の制約式は、例えば、(7)式を用いることにより実現される。
第2の制約式は、例えば、(8)式を用いることにより実現される。
第3の制約式は、例えば、(9)式を用いることにより実現される。
第4の制約式は、例えば、(10)式を用いることにより実現される。
第5の制約式は、例えば、(6)式を用いることにより実現される。
第6の制約式は、例えば、(11)式および(12)式(または(11)´式および(12)´式)を用いることにより実現される。
<請求項2>
第7の制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
<請求項3>
請求項3は、例えば、変数設定部202(による図5のフローチャートによる処理)を用いることにより実現される。
<請求項4>
鋼材グループは、例えば、スラブグループに対応する。
200:鋼材の山分け計画立案装置、201:入力部、202:変数設定部、203:目的関数設定部、204:制約式設定部、205:最適解導出部、206:出力部

Claims (5)

  1. 鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入された複数の鋼材を、次工程への払出順が早い鋼材が上になる様な順に積み上げて、該ヤードの後工程に払い出すための複数の払出山を作成するための山分け計画を立案する鋼材の山分け計画装置であって、
    前記山分け計画を決定する際に決定されるべき変数である決定変数を設定する決定変数設定手段と、
    前記複数の鋼材それぞれを前記複数の払出山のうちの1つに割り当てるときの制約である山仕分け制約式を設定する山仕分け制約式設定手段と、
    該払出山の積姿に関する制約である積姿制約式を設定する積姿制約式設定手段と、
    前記払出山の総数を少なくすることと、同一の前記払出山に積まれる任意の二つの前記鋼材について、ヤードへの到着順が早い方の前記鋼材が遅い方の前記鋼材よりも上に積まれる逆転の関係にある逆転対の数を少なくすることと、を目的とする目的関数を設定する目的関数設定手段と、
    前記山仕分け制約式と、前記積姿制約式とを満足し、前記目的関数を最小にする様に山分けを決定する山仕分け決定手段とを有し、
    前記決定変数には、
    前記鋼材のうちの一の鋼材が、前記払出山のそれぞれについて選択される、当該払出山を代表する1つの前記鋼材である代表鋼材が代表する払出山に積まれる場合には、当該代表鋼材が前記一の鋼材を代表するものとし、前記一の鋼材が前記代表鋼材が代表する払出山に積まれない場合は当該代表鋼材が前記一の鋼材を代表しないものとする代表関係変数を含み、
    前記山仕分け制約式は、
    前記代表鋼材が、当該代表鋼材自身と、当該代表鋼材が代表する払出山に積まれる鋼材を代表することを規定する第1の制約式と、
    前記積姿制約式に違反する為に同一の払出山に積むことが出来ない任意の2つの前記鋼材は、一方の前記鋼材が他方の前記鋼材を代表しないことを規定する第2の制約式と、
    前記積姿制約式に違反する為に同一の払出山に積むことが出来ない任意の2つの鋼材は、当該2つの鋼材と異なる前記鋼材には代表されないことを規定する第3の制約式と、
    全ての前記鋼材が、何れかの代表鋼材によって代表されることを規定する第4の制約式と、
    それぞれの前記払出山に積まれる前記鋼材の総数を示す値である、前記それぞれの代表鋼材が代表する鋼材の総数が、上限値以下であることを規定する第5の制約式と、
    一方がもう一方を代表する任意の二つの前記鋼材について、ヤードへの到着順が早い鋼材を上に積む場合に前記逆転の関係が生じることを規定する第6の制約式と、
    を含み、
    前記目的関数において、
    前記代表鋼材の総数を前記払出山の総数とし、前記第6の制約式で規定される前記逆転の関係にある鋼材の対の数を前記逆転対の数とすることを特徴とする鋼材の山分け計画立案装置。
  2. 前記鋼材には、一意の序列が付与され、
    前記山仕分け制約式は、前記序列が相対的に低い前記鋼材は、前記序列が相対的に高い鋼材を代表することができないことを規定する第7の制約式を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼材の山分け計画立案装置。
  3. 前記逆転の関係が成立する数が相対的に多い前記鋼材に付与される前記序列を、前記逆転の関係が成立する数が相対的に少ない前記鋼材に付与される前記序列よりも高くすることを特徴とする請求項2に記載の鋼材の山分け計画立案装置。
  4. 前記山分け計画を、複数の鋼材からなる鋼材グループの単位で立案することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼材の山分け計画立案装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の鋼材の山分け計画立案装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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