JP6658372B2 - ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム - Google Patents

ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラムに関し、特に、金属製造プロセスにおいて、スラブやコイルなどの金属材を次工程へ円滑に供給するために設けられたヤードで金属材の山仕分けや物流分野等におけるコンテナの山仕分けを行うために用いて好適なものである。
金属製造プロセスの一例である製鉄プロセスにおいて、例えば製鋼工程から次工程の圧延工程へ、金属材の一例である鋼材を搬送する際、鋼材は、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所に置かれた後、次工程である圧延工程の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。そのヤードのレイアウトの一例を図6に示す。ヤードとは、図6に示すように、上流工程より払い出されたスラブなどの鋼材を、下流工程に供給するためのバッファーエリアとして、縦横に区画された置場601〜604である。縦方向の分割区分を"棟"、横方向の分割区分を"列"と称することが多い。つまり、クレーン(1A、1B、2A、2B)は棟内を移動可能であり、同一棟内での異なる列の間で鋼材の移送を行う。また搬送テーブルにより棟間の鋼材の移送を行う。搬送指令を作成する際は"棟"及び"列"を指定することにより、どこへ鋼材を搬送するかを示す(図6の置場601〜604に括弧書きで付されている番号(11)、(12)、(21)、(22)を参照)。
次に、図6を例にヤードでの基本的な作業の流れを示す。まず、前工程である製鋼工程の連鋳機610から搬出された鋼材は、パイラー611を経由して受入テーブルXでヤードまで運ばれ、クレーン1A、1B、2A、2Bにより、区画された置場601〜604の何れかに搬送され、山積みして置かれる。そして、後工程である圧延工程の製造スケジュールに合わせ、再びクレーン1A、1B、2A、2Bにより払出テーブルZに載せられ、圧延工程へと搬送される。一般に、ヤードにおいて鋼材は、前記の様に山積みされた状態で置かれる。これは、限られたヤード面積を有効に活用するためである。
本明細書、特許請求の範囲、および図面では、「初期山」、「最終山」、「仮山」を以下の意味で用いることとする。
初期山:現時点で、既にヤードにおいて形作られている山。
最終山:後工程に払出すために積み上げた最終的な山(払出山ともいう)。
仮山:現時点以降に、初期山から、最終山へ移送する際に、やむを得ず仮置きを行う山。
ヤードでは、次工程である熱間圧延工程における加熱炉の燃料原単位の削減のため、鋼材ができるだけ高い温度を保持した状態で加熱炉に装入されるようにすることが求められる。そのため、昨今ヤード内に保温設備を設置し、その中に鋼材を山積みされた状態で保管する場合がある。限られた保温設備を有効に活用するため、できるだけ設備限界まで高く鋼材を積み上げることが必要となる。一方、鋼材を積み上げる際には、次工程へ供給し易いよう、最終山において、次工程における処理順番に鋼材が上から積まれていること、最終山の積み形状が不安定な逆ピラミッド状でないことなどの制約(これを「積姿制約」と称する)がある。更に、山立て(最終山をつくること)を行う際の作業負荷も見逃せない要素である。従って、ヤード管制では、前述した積姿制約の下でできるだけ少ない作業負荷で、できるだけ高い最終山となるように山立てを行う作業計画を策定することが望まれる。
また、ヤードにおいて後工程にスムーズに要求された鋼材を払い出すべく行う山仕分け(鋼材を複数の山に分けること)を行う際には、到着予定の鋼材が降格となる(鋼材の造り込みの際に生ずる品質トラブルなどの理由により当初予定の用途からグレードを下げ別の用途に振り替える)こと、或いは到着予定の鋼材に対して予定されていない精整処理が必要となったり、サイズが変わったりすることにより、当初の予定通りの鋼材が到着しないことは頻繁に起こり得る。また、ヤードの置場の状態も当初の予定通りに淡々と遷移することは、ほとんど期待できず、予定していない鋼材を予定していない置場に置かざるを得ないことは日常茶飯事である。
更には、ヤードから後工程である熱間圧延工程への払出順に山に積まれていた鋼材の、後工程である熱間圧延工程における圧延順が、当該鋼材がヤードに到着した後に変更となることにより、当該山が払出順に積まれていなくなり、変更された圧延順に従い鋼材の積み替えを余儀なくされるケースも頻繁に起こり得る。ここで、鋼材が払出順に山に積まれるとは、当該山の何れの積位置においても、相対的に上にある1つまたは同時に搬送される複数の鋼材の方が、当該鋼材よりも下にある鋼材よりも早く後工程に払い出されることをいう。
しかしながら、ここで要求される積み替え作業は、ヤードへの鋼材の受入作業や、ヤードからの鋼材の払出作業と並行して行う必要があることから、鋼材の積み替えの対応が可能な時間帯も限られるため、効率的に鋼材の積み替えを実行することが求められる。
従って、ヤードへの到着前後の様々な事情により、ヤード到着時の積み姿が払出順でなくなった山を払出順に積み替える作業を効率的に(即ち、できるだけ少ない搬送数で)行うニーズは極めて高い。
これらのことが要求されるヤード管理方法に関し、特許文献1〜7に記載の発明がある。特許文献1〜5に記載の発明は、これからヤードに到着予定の鋼材(いわゆる未到着材)を対象に山仕分け計画を行うケースに対する発明であり、最終山の山姿、即ち、対象となる鋼材の山仕分けをいかに適切に行うかという点に対する検討はなされている。しかしながら、特許文献1〜5に記載の発明では、ヤードへの受入が完了あるいは受入途上にありながら受入れ済みの鋼材が払出順に山に積まれていない場合に、最終山において払出順に鋼材が積まれるように鋼材の積み替えを効率的に行う課題については検討がなされていない。
この問題に対応している発明は、特許文献6、7に記載の発明である。
まず特許文献6に記載の発明は、山立ておよび搬送に関する制約条件を満たす数理計画問題に帰着させ、山仕分けおよび搬送順を同時に最適化する技術である。しかしながら、特許文献6に記載の発明では、搬送順が増える要因となる仮置きの発生を、初期山が同じ鋼材ペアに対してしか考慮できていない。つまり、仮置きは、初期山が同じ鋼材ペアの間でのみ発生するのではなく、異なる初期山にある鋼材間でも、どの鋼材を先に搬送するかにより十分に起こり得る。従って、特許文献6に記載の発明では、鋼材のあらゆる搬送順を考慮出来ておらず、最終山を作る際の鋼材の最適な搬送順を得ることはできない。
次に、特許文献7には、ヤードに到着済みの鋼材と未到着材とが混在する状況下で、当該時点での初期山の状態と最終山の状態とが与えられた場合の、初期山の状態から最終山の状態への鋼材の積み替え搬送問題に対し、各鋼材の搬送は高々2回という前提で初期搬送時刻変数および最終搬送時刻変数を用いて混合整数計画問題として定式化する手法が開示されている。特許文献7に記載の発明は、特許文献6に記載の発明とは異なり、異なる初期山にある鋼材間で発生する仮置きも考慮されている。しかしながら、特許文献7に記載の発明では、初期搬送時刻変数および最終搬送時刻変数を用いているため、鋼材の数が実規模である50以上となると、ヤードにおける情報更新に伴う再計算時に要請される時間(30秒〜1分程度)内に計算が完了しない虞がある。
特開平6−179525号公報 特開2000−226123号公報 特開平11−255336号公報 特開2007−84201号公報 特開2008−260630号公報 特開2010−269929号公報 特許第5365759号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、初期山から最終山へ金属材を積み替える際の金属材の搬送順を高速に且つ適切に求めることを目的とする。
本発明のヤード管理装置は、工程間の置場として、半製品と最終製品とコンテナとの何れか1つを含む金属材を配置するヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払い出し順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理装置であって、任意の2つの前記金属材についての、前記初期山からの搬送である初期搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期搬送順変数と、前記金属材の前記初期山からの初期搬送が前記ヤードの仮置場への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数とを決定変数とし、前記初期山の識別情報および当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記最終山の識別情報および当該最終山の各積位置における前記金属材の識別情報とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得手段と、同一の前記最終山において、下にある金属材よりも上にある金属材を先に初期搬送する場合には、当該先に初期搬送する金属材は、前記最終山への搬送の前に前記仮置場に仮置きすることが必要になることを前記決定変数を用いて表す第1の制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定手段と、前記仮置きが発生する前記金属材の数が最小になることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定手段と、前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算手段とを有することを特徴とする。
本発明のヤード管理方法は、工程間の置場として、半製品と最終製品とコンテナとの何れか1つを含む金属材を配置するヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払い出し順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理方法であって、任意の2つの前記金属材についての、前記初期山からの搬送である初期搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期搬送順変数と、前記金属材の前記初期山からの初期搬送が前記ヤードの仮置場への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数とを決定変数とし、前記初期山の識別情報および当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記最終山の識別情報および当該最終山の各積位置における前記金属材の識別情報とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得工程と、同一の前記最終山において、下にある金属材よりも上にある金属材を先に初期搬送する場合には、当該先に初期搬送する金属材は、前記最終山への搬送の前に前記仮置場に仮置きすることが必要になることを前記決定変数を用いて表す第1の制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定工程と、前記仮置きが発生する前記金属材の数が最小になることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定工程と、前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算工程とを有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記ヤード管理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、初期山から最終山へ金属材を積み替える際の金属材の搬送順を高速に且つ適切に求めることができる。
ヤード管理装置の機能的な構成の一例を示す図である。 ヤード管理装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 初期山に固定部がある場合の鋼材の搬送の形態の一例を示す図である。 実施例1の結果を表形式で示す図である。 実施例2の結果を表形式で示す図である。 ヤードのレイアウトの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。以下の各実施形態では、鉄鋼製造プロセスにおいて、製鋼工程で製造された鋼材(スラブ)が圧延工程への搬送順に上から山積みされるように、各鋼材を初期山から最終山へ搬送する際の各鋼材の搬送順を決定する場合を例に挙げて説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
<前提と問題設定>
本実施形態では、以下の前提の下で、初期山から最終山への鋼材を積み替える際の鋼材の搬送順を求める場合を例に挙げて説明する。
(1) 各鋼材の初期山の山姿、最終山の山姿、および払出順(圧延順)は所与とする。最終山は、払出順に上から鋼材が積まれていることとする。尚、払出順(圧延順)は、最終山の山姿から特定されるので、必ずしも所与とする必要はない。ここで、鋼材の集合をN={1,2,・・・,n}と表記する。
(2) 新たな鋼材がヤードに到着すること(即ち、初期山に対し鋼材が追加されること)はないものとする。
(3) 初期山(初期置場)から最終山(最終置場)への搬送回数は、何れの鋼材についても最大2回とする。即ち、仮山(仮置場)に搬送された鋼材は、次の搬送時には必ず最終山(最終置場)に搬送されるものとし、異なる仮山(仮置場)間で搬送されることはないものとする。
(4) 初期山と最終山の置場は異なっており、必ず全ての鋼材を初期山(初期置場)から最終山(最終置場)へ搬送する必要があるものとする(即ち、全ての鋼材が搬送対象になる)。
また、本実施形態では、以下の制約の下で、鋼材の搬送回数を最小とすることを目的とする最適化問題を解く。
(i) 各初期山の鋼材は、当該初期山の上から順にしか搬送できない。
(ii) 最終山を作成する際には、最下段から順に上にしか積み上げることができない。
(iii) 同時に搬送できる鋼材の数は、使用可能なクレーンの数および能力に依存する。本実施形態では、説明を簡単にするため、使用可能なクレーンの数が「1」であり、且つ、当該クレーンが一度に搬送できる鋼材の数が「1」である場合を例に挙げて説明する。
前述したように、初期山(初期置場)から最終山(最終置場)への搬送回数は、何れの鋼材についても最大2回とするので(前記(3)の前提を参照)、鋼材の搬送回数を最小とすることは、仮置きの回数を最小にすることと等しい。
<決定変数>
本実施形態では、初期山から鋼材を取り除く順序のみを定める変数を独立変数とし、最終山の山姿に基づいて、各鋼材の仮置きの必要の有無を判定する。このように初期山から鋼材を取り除く順序のみを独立変数とするのは、所与である最終山の山姿が最終搬送順序の情報を持つことに着目し、変数を削減するためである。また、初期山から鋼材を取り除く順序を示す変数である初期搬送順序変数について、特許文献7とは異なり、絶対順序変数でなく相対順序変数とすることにより、2つの鋼材間の順序制約を簡潔に且つ明瞭に表現できるようにする。そして、このような初期搬送順序変数を用いることにより、特許文献7に対し、独立変数の規模をn2からn2に減らすことができる。
任意の鋼材ペア(2つの鋼材)に対し、初期山から鋼材を取り除く順序を定める初期搬送順序変数y(s,s')と、任意の鋼材に対し仮置きの発生の有無を表す仮置き発生有無変数x(s)を、それぞれ以下のように定義する。後者は前者の従属変数となり、独立変数は前者のみである。
(a)初期搬送順変数y(s,s'):変数の数=n2
鋼材集合Nの各要素が1つの頂点を持つ完全有向グラフをG=(N,E)とする。このとき、E={(s,s')∈N2|s≠s')である。有向枝集合E上に定義された0−1変数y(e)(∀e∈E)を導入し、以下の(1)式のように初期搬送順変数y(s,s')を定義する。
Figure 0006658372
ここで、初期搬送とは、初期山にある鋼材を最終山(最終置場)または仮山(仮置場)に搬送することをいう。これに対し、最終搬送とは、初期山または仮山(仮置場)にある鋼材を最終山(最終置場)に搬送することをいう。sは、各鋼材の初期搬送を特定する変数であり、鋼材ごとに異なる値が設定される(s'はsと区別できるように表記したものであり、s'や後述する(4)式のs''も各鋼材の初期搬送を特定する変数である)。
(b)仮置き発生有無変数x(s):変数の数=n
仮置き発生有無変数x(s)は、初期山から最終山へ鋼材を初期搬送する際に、当該初期搬送が、仮山(仮置場)への搬送であるか、最終山(最終置場)への搬送であるのかを表す0−1変数である。従って、以下の(2)式のように仮置き発生有無変数x(s)を定義する。
Figure 0006658372
本実施形態における決定変数の総数は(n2+n)になる。
<ヤード管理装置100の機能構成>
図1は、ヤード管理装置100の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。図2は、ヤード管理装置100の処理の一例を説明するフローチャートである。
[鋼材情報取得部101、ステップS201]
鋼材情報取得部101は、鋼材情報を取得する。鋼材情報は、鋼材を一意に識別する識別情報である鋼材IDと、初期山の山姿を特定する情報と、最終山の山姿を特定する情報と、を含む。
前述したように鋼材の数はnである。これらの鋼材のそれぞれに対し、初期搬送を特定する変数sが設定される。本実施形態では、変数sが鋼材IDである場合を例に挙げて説明する。
初期山の山姿を特定する情報は、初期山を一意に識別する識別情報である初期山IDと、当該初期山IDで識別される初期山の各積段における鋼材IDとを含む。以下の説明では、初期山の山姿を特定する情報を必要に応じて初期山姿特定情報と称する。
最終山の山姿を特定する情報は、最終山を一意に識別する識別情報である最終山IDと、当該最終山IDで識別される最終山の各積段における鋼材IDとを含む。以下の説明では、最終山の山姿を特定する情報を必要に応じて最終山姿特定情報と称する。
[制約式・目的関数設定部102、ステップS202、S203]
制約式・目的関数設定部102は、前述した制約を数式で表した制約式と、前述した目的を数式で表した目的関数とを設定する。
<<制約式>>
まず、制約式について説明する。
(a)初期搬送順変数y(s,s')の定義制約
任意の2つの鋼材を初期山から取り除く順序は、鋼材集合Nの全順序(推移的であり(以下の(4)式)、反対称且つ完全(以下の(3)式)な二項関係を言う)となることから、任意の2つの鋼材を初期山から取り除く相対的な順序を定める初期搬送順変数y(s,s')は、以下の(3)式で表される完全律(比較可能)および以下の(4)式で表される推移律を満たす。また、以下の(3)式および(4)式を満たす初期搬送順変数y(s,s')は、鋼材の全順序に対応する。
Figure 0006658372
(3)式は、変数sで特定される鋼材の初期搬送と、変数s' で特定される鋼材の初期搬送は、必ず一方が先で他方が後になることを示す。尚、これら2つの鋼材は、別の鋼材である。
(4)式は、変数sで特定される鋼材の初期搬送が、変数s'で特定される鋼材の初期搬送よりも先であり、変数s'で特定される鋼材の初期搬送が、変数s''で特定される鋼材の初期搬送よりも先であるなら、変数sで特定される鋼材の初期搬送は、変数s''で特定される鋼材の初期搬送よりも先であることを示す。尚、これら3つの鋼材は、別の鋼材である。
また、初期山から鋼材を取り除く作業は、各初期山の上から順に行う必要がある。従って、同一の初期山において、変数sで特定される初期搬送が行われる鋼材よりも、変数s'で特定される初期搬送が行われる鋼材の方が下である場合、当該鋼材に対し、以下の(5)式が成り立つ。尚、前述したように、鋼材のそれぞれに対し、初期搬送を特定する変数sが設定される。
Figure 0006658372
(5)式は、同一の初期山において、下にある鋼材よりも上にある鋼材を先に初期搬送しなければならないことを示す。
(b)最終山への搬送に伴って生じる仮置き制約
鋼材の最終搬送順は、所与の最終山の山姿において、山毎に当該山の最下段からその積順に従う。従って、この最終搬送順(最終山の積み順)と、初期搬送順とが異なる場合、先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要となる。即ち、同一の最終山において、上にある鋼材の初期搬送順が、下にある鋼材の初期搬送順よりも先である場合、先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要となる。従って、同一の最終山において、変数sで特定される初期搬送が行われる鋼材よりも、変数s'で特定される初期搬送が行われる鋼材の方が下である場合、当該鋼材に対し、以下の(6)式が成り立つ。
Figure 0006658372
(6)式は、同一の最終山において、下にある鋼材よりも上にある鋼材を先に初期搬送する場合には、先に初期搬送する鋼材は仮置きが必要になることを示す。
制約式・目的関数設定部102は、(3)式〜(6)式に対し変数s、s'、s''を設定することにより、(3)式〜(6)式の制約式を設定する。
(5)式を設定する際には、初期山姿特定情報から、同一の初期山において相対的に下にある鋼材と上にある鋼材とを特定し、それら2つの鋼材のうち上に対して設定されている変数をs、下に対して設定されている変数をs'とする。
(6)式を設定する際には、最終山姿特定情報から、同一の最終山において相対的に下にある鋼材と上にある鋼材とを特定し、それら2つの鋼材のうち上に対して設定されている変数をs、下に対して設定されている変数をs'とする。
(3)式については、鋼材集合Nの任意の2つの鋼材の組み合わせのそれぞれについて、s、s'を設定する。(4)式については、鋼材集合Nの任意の3つの鋼材の組み合わせのそれぞれについて、s、s'、s''を設定する。
<<目的関数>>
次に、目的関数について説明する。
前述したように本実施形態では、鋼材の搬送回数を最小とすること、即ち仮置きの回数を最小にすることを目的とするので、以下の(7)式に示す目的関数Jを用いる。
Figure 0006658372
制約式・目的関数設定部102は、(7)式に対し変数sを設定することにより、(7)の目的関数Jを設定する。
[最適化計算部103、ステップS204]
最適化計算部103は、(3)式〜(6)式の制約式を満足する範囲で、(7)式の目的関数Jの値が最小になるときの初期搬送順変数y(s,s')と仮置き発生有無変数x(s)を最適解として算出する。尚、前述したように、仮置き発生有無変数x(s)は、初期搬送順変数y(s,s')の従属変数である。また、最適解の算出は、最適化問題を混合整数計画法等の数理計画法により解くための公知のアルゴリズム(solver)を用いることにより実現できる。
[後処理部104、ステップS205]
以上のようにして初期搬送順変数y(s,s')が導出されると、鋼材集合Nに含まれるそれぞれの鋼材の初期搬送順(初期山から取り除く順序)を決定することができる。ただし、仮置きが発生すると判定された鋼材(仮置き発生有無変数x(s)が「1」となる変数sが設定された鋼材)の最終搬送順(仮山(仮置場)から最終山(最終置場)への搬送順)が定まらないので、これを決定する必要がある。即ち、前述したようにして決定した初期搬送順のどこに、仮置きが発生すると判定された鋼材の最終搬送順を割り込ませるのかを決定する必要がある。そこで、本実施形態では、後処理部104は、以下のようにして、各鋼材の最終的な搬送順を決定する。
仮置きが発生すると判定された鋼材については、初期搬送と最終搬送の2回の搬送が必要である。一方、仮置きが発生しないと判定された鋼材については、初期搬送と最終搬送は一致する。従って、仮置きが発生すると判定された鋼材については、これら2回の搬送分のIDを変数sとして設定する。つまり、当該鋼材については、仮想的に異なる二つの鋼材があるがごとく2つの変数sを設定する。従って、ここでの搬送対象となる鋼材の数は、実際の搬送対象の鋼材の数に、仮置きが発生すると判定された鋼材の数を加算した値になる。このようにして前述したアルゴリズムに与える情報を変更することにより、搬送対象となる鋼材を全て初期搬送により初期山から最終山へ積み替えることができ、各鋼材の最終的な搬送順を求めることができる。具体的には、前述したアルゴリズムに対し、以下の変形を行う。尚、以下の説明では、仮置きが発生すると判定された鋼材を必要に応じて仮置き対象鋼材と称する。
変数sは、初期搬送を特定する変数であり、鋼材集合Nに含まれる各鋼材に対して設定される。また、仮置き対象鋼材に対しては、2つの変数sが設定される。前述したように本実施形態では、各鋼材に対する変数sは、当該鋼材の鋼材IDである。従って、鋼材IDとは異なるIDを仮想鋼材IDとして、仮置き対象鋼材毎に設定する。そして、仮置き対象鋼材の鋼材IDと、当該仮置き対象鋼材に対して設定したその仮想鋼材IDとを当該仮置き対象鋼材に対する2つの変数sとして設定する。仮置き対象鋼材の数をtとすると、変数sの数は(n+t)になる。このように、仮置き対象鋼材については、初期搬送を特定する2つの変数sが設定される。これら2つの変数sのうちの一方は、初期山からの初期搬送を特定する変数であり、他方は、仮山からの初期搬送を特定する変数である。以上のように、仮置きが発生すると判定された鋼材を2つの鋼材と見なすことにより、当該鋼材の2回の搬送(初期山から仮山への初期搬送と、仮山から最終山への最終搬送)を、それぞれ初期搬送として扱うことができる。
次に、初期山からの初期搬送を特定する変数sで特定される仮置き対象鋼材についての初期山の山姿は、初期搬送順変数y(s,s')により定まる初期搬送順が早い鋼材から順に上から積まれた1つの仮想山とする。この初期山(仮想山)の積段数はnである。また、この初期山(仮想山)の各積段には、最適化計算部103により算出された初期搬送順に従い上から該当する鋼材の鋼材IDが割り当てられる。一方、最適化計算部103により仮置きと判定された鋼材についての初期山は、積段数2段の初期山とする。2段目は当該鋼材の鋼材IDであるsであり、1段目は、当該鋼材の最終搬送(仮山から最終山への搬送)に該当する鋼材IDであるn+sである。
ここで、初期山として、積段数nの仮想山を作るのは、最適化計算部103(ステップS204)で決定された、全ての鋼材の初期搬送順を、後処理部104(ステップS205)によって得られる搬送順に於いても維持する為である。また、仮置き対象鋼材に対応する積段数2の仮想山を作るのは、仮置き対象鋼材について、初期搬送と最終搬送の順序を規定する為である。仮置き対象鋼材の初期搬送に対応する鋼材IDが、積段数nの仮想山と積段数2の仮想山の両方に重複して割り当てられることにより、仮置き対象鋼材の初期搬送と最終山に直行する鋼材の初期搬送との順序関係と、仮置き対象鋼材の初期搬送と最終搬送との順序関係とが、後処理部104(ステップS205)によって同時に決定される。
次に、最終山の山姿は、鋼材情報に含まれる最終山姿特定情報に対し、仮置き対象鋼材となる鋼材の鋼材IDを、当該仮置き対象鋼材に与えられた仮想鋼材IDに置き換えたものとなる。
更に、各仮置き対象鋼材に対し、以下の(8)式の制約式を設定する。
Figure 0006658372
(8)式において、sは、仮置き対象鋼材の初期山からの初期搬送を特定する変数(仮置き対象鋼材の鋼材ID)であり、n+sは、当該仮置き対象鋼材の仮山からの初期搬送を特定する変数(仮置き対象鋼材の仮想鋼材ID)であるものとする。(8)式は、仮置き対象鋼材の初期搬送順(初期山からの初期搬送)が最終搬送順(仮山からの初期搬送)よりも先になることを示す。
後処理部104は、(3)式〜(6)式、(8)式に対し変数s、s'、s''、nを設定すると共に(7)式に対し、変数sを設定する。そして、後処理部104は、(3)式〜(6)式、(8)式の制約式を満足する範囲で、(7)式の目的関数Jの値が最小になるときの初期搬送順変数y(s,s')を最適解として算出する。後処理部104は、このようにして算出した初期搬送順変数y(s,s')の最適解に基づいて、鋼材集合Nに含まれる各鋼材が初期山から最終山に至るまでの全ての搬送の順序(搬送順)を導出する。
[出力部105、ステップS206]
出力部105は、後処理部104で導出された、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力の形態は、コンピュータディスプレイへの表示、ヤード管理装置100の内部または外部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを含む。外部装置としては、例えば、クレーン、またはクレーンの動作を制御する制御装置が挙げられる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、任意の2つの鋼材の初期搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期搬送順変数y(s,s')と、初期搬送が仮山への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数x(s)とを用いて、同一の最終山において、下にある鋼材よりも上にある鋼材を先に初期搬送する場合には、先に初期搬送する鋼材は仮置きが必要になることを表す線形不等式を含む制約式を設定する。そして、設定した制約式を満足するように、仮置きの発生が最小になることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの初期搬送順変数y(s,s')と仮置き発生有無変数x(s)を導出し、これらに基づいて、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を導出する。従って、初期山から最終山へ鋼材を積み替える際の鋼材の搬送順を高速に且つ適切に求めることができる。
<変形例>
本実施形態では、目的関数Jを最小化する問題を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、(7)式の右辺に(−1)を掛けたものを目的関数とし、当該目的関数を最大化する問題としてもよい。
また、工程間の置場として、2つの製造工程間の置場を対象とし、金属材として、半製品を対象としてもよいし、工程間の置場として、製造工程と出荷工程の間の置場を対象とし、金属材として、最終製品を対象としてもよい。この際に、複数の金属材をコンテナに収容して輸送、配置する場合には、金属材が収容されたコンテナを1つの金属材として取り扱ってもよい。さらに、工程間の置場としては、金属製造プロセスにおける置場に限定されるものでなく、一般的な工程間の物流、搬送を対象としてもよい。物流分野では内容物に限定されずコンテナの搬送、配置でも適用できる。従って、本発明では、金属材は、最終製品と、半製品と、コンテナとの何れか1つを含むものとする。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、初期山と最終山の置場は異なっており、必ず全ての鋼材を初期山(初期置場)から最終山(最終置場)へ搬送する必要があることを前提とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、初期山において既に、最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっている場合がある。このような場合には、初期山において最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっている部分は、積み替える必要がない。そこで、本実施形態では、このような部分については、初期山と最終山の置場が同一となることも許容する(即ち、初期山の状態から動かさない)場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、第1の実施形態で説明した(4)の前提が異なることによる処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図2に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明した(4)の前提に代えて、以下の(5)の前提を採用する。
(5) 初期山と最終山の置場が同一となることも許容し、初期山において最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっている部分は搬送しないこととする(即ち、初期山の一部の鋼材(最下段から連続する複数段の鋼材)が搬送対象とならない場合があるものとする)。従って、このように鋼材を搬送するかどうかは所与とし、それが鋼材情報に含まれるものとする。
第1の実施形態で説明した(4)の前提と前記(5)の前提との違いは、(5)の前提の下では、(4)の前提では起こり得ない、同一の置場(山)で上部の鋼材の入れ替えが許容されている点である。このような鋼材の入れ替えを行うには、初期山の上部に存在していた鋼材が、仮山または最終山に搬送され、初期山の残った部分(下部)の上に別の鋼材が搬送されることになる。初期山の残った下部の上に搬送される鋼材には、当該初期山とは別の初期山にある鋼材と、当該初期山の上部にあった鋼材のうち、仮山に仮置きされた鋼材とが含まれる。
従って、初期山に元々あった鋼材の"初期搬送順"が、初期山の残った部分の上に他の山から搬送される鋼材の"最終搬送順"よりも先でなければならない(以下の説明では、このことを必要に応じて入れ替えのための拘束条件と称する)。この入れ替えのための拘束条件を厳密に設定するには、任意の2つの鋼材間の初期搬送順と最終搬送順との順序関係を規定する必要があるが、本実施形態では、そこまでの大掛かりな問題設定とせず、第1の実施形態で説明したアルゴリズムの変数体系の中で十分条件として、入れ替えのための拘束条件を表現する。尚、以下の説明では、初期山において最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっており、積み替えの為の搬送を行わない部分を必要に応じて固定部と称し、当該初期山において固定部よりも上の、積み替えの為の搬送を行う部分を必要に応じて移動部と称する。
このアルゴリズムは、第1の実施形態の(3)式〜(6)式の制約式に対し、以下の変更を行うことで実現できる。
まず、第1の実施形態で説明した(3)式〜(6)式の制約式に対し追加する制約式について説明する。
全ての鋼材を搬送対象とせず、初期山の一部をそのまま最終山として流用する場合には、全ての鋼材を搬送対象とする場合にはない以下のケースが想定されるので、そのための新たな制約を追加する必要がある。
図3は、初期山に固定部がある場合の鋼材の搬送の形態の一例を示す図である。
図3に示す初期山において、最下段から2段の鋼材I、IIが固定部であり、その上の鋼材III、IV、Vが移動部であるとする。この場合、最終山では、固定部の鋼材I、IIがそのままである。また、初期山の移動部の鋼材III、IV、Vのうち、鋼材III、Vは別の最終山に搬送され、鋼材IVは仮山に搬送された後、再び当該初期山(即ち最終山)に搬送され、その鋼材IVの上に別の初期山から鋼材VI、VIIが搬送される。この様なケースに対しても適切に搬送順を計算するために、初期搬送順に制約を設ける必要がある。
他の初期山または仮山から、固定部を持つ初期山(即ち最終山)へ鋼材を搬送する場合には、固定部の上部にある移動部の鋼材III、IV、Vが初期搬送された後でないと、鋼材IV、VI、VIIの最終搬送はできない。従って、鋼材IV、VI、VIIの最終搬送はスラブIII、IV、Vの初期搬送の後でなくてはならないという制約を設ける必要がある。よって、鋼材III、IV、Vのような固定部の上部にある鋼材の初期搬送順は、鋼材IV、VI、VIIのような別の初期山または仮山から固定部の上部に搬送される鋼材の最終搬送順よりも先であることが必要十分条件である。ただし、第1の実施形態で説明したアルゴリズムでは、独立変数は、初期搬送順変数y(s,s')のみである(最終搬送順を定める変数がない)。よって、本実施形態では、以下のように十分条件を与える制約式を追加する。
即ち、初期山lの移動部の鋼材の初期搬送を特定する変数をiUとし、初期山lとは別の山(初期山または仮山)から初期山lに搬送される鋼材の初期搬送を特定する変数をiTとし、以下の(9)式の制約式を追加する。
Figure 0006658372
変数iTで特定される初期搬送が最終山への搬送である場合には、(9)式は前述した必要十分条件になるが、変数iTで特定される初期搬送が仮山への搬送である場合には、(9)式は十分条件になり、過剰な規制になる。
また、図3の例における鋼材IVの様な、初期山lから初期搬送されて再び当該初期山lに戻る鋼材(即ち、iUでありiTである)場合には(9)式は意味をなさなくなるが、この様な鋼材に対しては、以下の(10)式を設定する。
Figure 0006658372
次に、第1の実施形態で説明した(3)式〜(6)式の制約式に対し変更する部分について説明する。
前述したように初期山の固定部の鋼材は所与であるので、初期搬送が実施されない鋼材は既知である。従って、(5)式において、初期搬送を特定する変数s、s'のうち、少なくとも何れか一方が、初期山の固定部の鋼材に対して設定された変数である場合には、それらの変数s、s'による初期搬送順変数y(s,s')については(5)式の制約式を設定しないものとする。その他の初期搬送順変数y(s,s')については(5)式の制約式を設定する。
また、初期搬送が実施されなければ仮置きも発生しない。従って、(6)式において、初期搬送を特定する変数s、s'のうち、少なくとも何れか一方が、初期山の固定部の鋼材に対して設定された変数である場合には、それらの変数s、s'による初期搬送順変数y(s,s')についても(6)式の制約式を設定しないものとする。その他の初期搬送順変数y(s,s')については(6)式の制約式を設定する。
初期搬送を特定する変数s、s'、s''のうち、少なくとも何れか1つが、初期山の固定部の鋼材に対して設定された変数である場合には、それらの変数s、s'、s''による初期搬送順変数y(s,s')、y(s',s)、y(s',s'')、y(s,s'')については、(3)式および(4)式の制約式を設定しないものとする。あるいは(5)式を以下の様に拡張することにより、固定部の鋼材に対しても(5)式以外の制約式は全て移動部(非固定部)の鋼材と同様に設定すれば良い。
つまり、前記の(5)式は移動部(非固定部)の鋼材に対してのものであったが、一方の鋼材が固定部、もう一方の鋼材が非固定部の場合は、以下の(11)式の制約式を設定し、両方の鋼材が固定部の場合であって、それらが同一の初期山にある場合には、以下の(12)式の制約式を設定する。
Figure 0006658372
本実施形態では、制約式・目的関数設定部102は、以上のようにして(3)式〜(6)式、(9)式、および(10)式の制約式を設定する。尚、前述したように、(11)式および(12)式の制約式を設定してもよい。そして、最適化計算部103は、(3)式〜(6)式、(9)式および(10)式(または、(3)式〜(6)式および(9)式〜(12)式)を満足する範囲で、(7)式の目的関数Jの値が最小になるときの初期搬送順変数y(s,s')と仮置き発生有無変数x(s)を算出する。
以上のように本実施形態では、鋼材の少なくとも1つが初期山の固定部の鋼材である場合には、鋼材を搬送する際の制約を表す制約式である(5)式を設定しない、或いは、(11)式、(12)式の制約式を設定する。また、初期搬送順変数y(s,s')を用いて、初期山の移動部の鋼材の初期搬送が、当該移動部を有する初期山に搬送される鋼材の初期搬送よりも先になることを表す制約式((9)式)を加える。従って、第1の実施形態で説明した効果に加えて、搬送する必要がない初期山の固定部の鋼材を搬送しないように、初期山から最終山へ金属材を積み替える際の鋼材の搬送順を求めることができる。
<変形例>
前述したように(9)式は、入れ替えのための拘束条件を十分条件で表現するので、このようにして得られる解は、最適解である保証はなく、最適解があるのに、実現不能(解なし)として計算される可能性がある。そこで、(9)式に代えて、入れ替えのための拘束条件を必要条件で表現する以下の(13)式の制約式を用いてもよい。
Figure 0006658372
(13)式は、初期山の移動部を有する初期山に搬送される鋼材が仮置きされる場合には、その鋼材の初期搬送と当該移動部の鋼材の初期搬送との順序は問わず、そうでない場合には、(9)式と同様に、初期山の移動部の鋼材の初期搬送が、当該移動部を有する初期山に搬送される鋼材の初期搬送よりも先になることを示す。(13)式では、移動部を有する初期山に搬送される鋼材が仮置きされる場合には、制限がなくなるので必要条件にしかならず、得られた解が実現不能な解になる(即ち、得られた解では搬送ができない)可能性がある。
例えば、実現不能な解が求められることを確実に防止したい場合には(9)式を用い、移動部を有する初期山に搬送される鋼材が仮置きされることは稀である場合には(13)式を用いるというようにして、採用する制約式を選択すればよい。
また、本実施形態においても第1の実施形態で説明した変形例を採用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第2の実施形態では、独立変数が初期搬送順変数y(s,s')のみであることから、前述した入れ替えのための拘束条件を必要十分条件で表現できず、十分条件(または必要条件)で表現する制約式を用いる場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、鋼材集合Nに含まれる任意の鋼材の初期搬送及び最終搬送の2N個の搬送間の相対的な順序を定め、入れ替えのための拘束条件を必要十分条件として表現する場合について説明する。このように本実施形態と第2の実施形態は、入れ替えのための拘束条件を必要十分条件として表現することによる処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1および第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
本実施形態でも第2の実施形態と同様に、第1の実施形態で説明した(4)の前提に代えて、第2の実施形態で説明した(5)の前提(即ち、第1の実施形態で説明した(1)〜(3)と第2の実施形態で説明した(5)の前提)の下で、初期山から最終山への鋼材を積み替える際の鋼材の搬送順を求める。
<決定変数>
本実施形態では、初期山から鋼材を取り除く順序と最終山へ鋼材を搬送する順序との双方を定める変数を独立変数として用意する。鋼材集合Nの各要素が2つの頂点を持つ完全有効グラフをG2=(N+N2,E)とする。ここで、N2はNと同数の要素数を持ち、任意のs∈Nに対し、s+n∈N2を要素として持つ集合とする。従って、両集合N、N2は共通集合を持たない。このとき、E={(s,s')∈(N+N22|s≠s'}である。
ここで、s≦n(s∈N)となるsは、鋼材の初期搬送を特定する変数を表す。一方、s>n(s∈N2)となるsは、(s−n)で特定される初期搬送が実施される鋼材の最終搬送を特定する変数を表す。第1の実施形態では、完全有向グラフGの頂点は初期搬送に対応するが、本実施形態では、完全有効グラフG2の頂点は初期搬送または最終搬送に対応する。
任意の鋼材ペア(2つの鋼材)に対し、初期山から鋼材を取り除く順序及び最終山へ鋼材を搬送する順序の総合的な順序(初期山から最終山への初期搬送と、初期山から仮置場への初期搬送と、仮置場から最終山への最終搬送の相対的な順序)を定める初期・最終搬送順序変数z(s,s')と、任意の鋼材に対し仮置きの発生の有無を表す仮置き発生有無変数x(s)を、それぞれ以下のように定義する。後者は前者の従属変数となり、独立変数は前者のみである。
(a)初期・最終搬送順序変数z(s,s'):変数の数=2n2
前述したように定義した完全有効グラフG2の有効枝集合E上に定義された0‐1変数z(e)(∀e∈E:(s,s'))を導入し、以下の(14)式のように初期・最終搬送順序変数z(s,s')を定義する。
Figure 0006658372
ここで、搬送には、初期搬送および最終搬送が含まれる。
(b)仮置き発生有無変数x(s):変数の数=n
仮置き発生有無変数x(s)は、第1の実施形態で説明したように、初期山から最終山へ鋼材を初期搬送する際に、当該初期搬送が、仮山(仮置場)への搬送であるか、最終山(最終置場)への搬送であるのかを表す0−1変数である。従って、以下の(15)式のように仮置き発生有無変数x(s)を定義する。
Figure 0006658372
ここで、搬送には、初期搬送および最終搬送が含まれる。最終搬送については必ず最終山に搬送されるので、仮置き発生有無変数x(s)の値は「0(ゼロ)」になる。
本実施形態における決定変数の総数は(2n2+n)になる。
<ヤード管理装置100の機能構成>
本実施形態のヤード管理装置100の機能的な構成の一例は、図1に示した構成から後処理部104をなくした構成になる。即ち、最適化計算部103による計算の結果が、出力部105に与えられる。
[鋼材情報取得部101、ステップS201]
鋼材情報取得部101は、第1の実施形態と同じである。
[制約式・目的関数設定部102、ステップS202、S203]
制約式・目的関数設定部102は、第1の実施形態と同様に、制約式と目的関数とを設定する。ただし、本実施形態では、(3)式〜(6)式の制約式に代えて、以下の制約式を用いる。
<<制約式>>
(a)初期・最終搬送順変数z(s,s')の定義制約
初期・最終搬送順変数z(s,s')を全順序とするため、第1の実施形態で説明した(3)式および(4)式と同様に、初期・最終搬送順変数z(s,s')の定義制約を示す以下の(16)式および(17)式の制約式を用いる。
Figure 0006658372
また、一般には、初期搬送の後に最終搬送するので、集合N+N2の順序を全順序とする(完全性(比較可能)を満たすには、異なる要素間での相対的な順序を決定する必要がある)ため、以下の(18)式の制約式を用いる。
Figure 0006658372
更に、第1の実施形態で説明した(5)式と同様に、同一の初期山において、変数sで特定される初期搬送が行われる鋼材よりも、変数s'で特定される初期搬送が行われる鋼材の方が下である場合に、初期・最終搬送順変数z(s,s')は、以下の(19)式の拘束を受ける。
Figure 0006658372
本実施形態では、初期・最終搬送順変数z(s,s')は、任意の2つの鋼材の相対的な最終搬送順も表すので、初期・最終搬送順変数z(s,s')は、最終山の山姿の拘束を受ける。従って、同一の最終山において、変数n+sで特定される最終搬送が行われる鋼材が、変数n+s'で特定される最終搬送が行われる鋼材よりも下である場合に、当該鋼材に対し、以下の(20)式が成り立つ。
Figure 0006658372
(20)式は、同一の最終山において、上にある鋼材よりも下にある鋼材を先に最終搬送する必要があることを示す。
(b)最終山への搬送に伴って生じる仮置き制約
第1の実施形態で説明したように、同一の最終山において、上にある鋼材の初期搬送順が、下にある鋼材の初期搬送順よりも先である場合、先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要となる。従って、(6)式の初期搬送順変数y(s,s')を初期・最終搬送順変数z(s,s')に置き換えることにより、同一の最終山において、下にある鋼材よりも上にある鋼材を先に初期搬送する場合に、先に初期搬送する鋼材は仮置きが必要になることを表現することができる。即ち、同一の最終山において、変数sで特定される初期搬送が行われる鋼材よりも、変数s'で特定される初期搬送が行われる鋼材の方が下である場合に、当該鋼材に対し、以下の(21)式が成り立つ。
Figure 0006658372
また、2つの鋼材間で初期搬送順と最終搬送順とが異なる場合、当該2つの鋼材のうち先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要となる。つまり、変数sで特定される初期搬送の順序が、変数s'で特定される初期搬送の順序よりも先であり、変数n+s'で特定される最終搬送の順序が、変数n+sで特定される最終搬送の順序よりも先である場合には、変数sで特定される初期搬送が行われる鋼材は仮置きが必要となるので、(21)式に替えてまたは加えて以下の(22)式の制約式を用いることも可能である。
Figure 0006658372
(c)初期山の下段部を固定し上段部のみを入れ替える際の制約
第2の実施形態で説明した(5)の前提の下で、初期山の上段部(図3に示した移動部)の入れ替えを行うには、初期状態で初期山に存在していた鋼材が別の山(最終山または仮山)に搬送され、その段に他の山(初期山または仮山)から鋼材が搬送される必要がある。従って、初期山にあった移動部の鋼材の"初期搬送順"が、その鋼材がある場所へ他の山から搬送される鋼材の"最終搬送順"より先でなければならない。この制約は以下の様に表すことができる。
即ち、soを、初期山の搬送対象の鋼材(図3に示す例では鋼材III、IV、V)の初期搬送を特定する変数とし、siを、他の山から当該初期山へ搬送される鋼材または当該初期山から仮山を経由して当該初期山へ搬送される鋼材(図3に示す例では鋼材(IV、VI、VII)の初期搬送を特定する変数とすると、以下の(23)式が成り立つ。
Figure 0006658372
制約式・目的関数設定部102は、(16)式〜(23)式に対し変数s、s'、n、so、siを設定することにより、(16)式〜(23)式の制約式を設定する。
(19)式を設定する際には、初期山姿特定情報から、同一の初期山において相対的に下にある鋼材と上にある鋼材とを特定し、それら2つの鋼材のうち上に対して設定されている変数をs、下に対して設定されている変数をs'とする。
(20)式を設定する際には、最終山姿特定情報から、同一の最終山において相対的に下にある鋼材と上にある鋼材とを特定し、それら2つの鋼材のうち上に対して設定されている変数をs'、下に対して設定されている変数をsとする。
(21)式および(22)を設定する際には、最終山姿特定情報から、同一の最終山において相対的に下にある鋼材と上にある鋼材とを特定し、それら2つの鋼材のうち上に対して設定されている変数をs、下に対して設定されている変数をs'とする。
(23)式のso、siには、初期山姿特定情報から特定される、初期山の移動部の鋼材に対して設定されている変数が与えられる。
<<目的関数>>
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、鋼材の搬送回数を最小とすること、即ち仮置きの回数を最小にすることを目的とするので、(7)式に示す目的関数Jを用いる。
[最適化計算部103、ステップS204]
最適化計算部103は、(16)式〜(23)式の制約式を満足する範囲で、(7)式の目的関数Jの値が最小になるときの初期・最終搬送順変数z(s,s')と仮置き発生有無変数x(s)を最適解として算出する。尚、仮置き発生有無変数x(s)は、初期・最終搬送順変数z(s,s')の従属変数である。
そして、最適化計算部103は、算出した初期・最終搬送順変数z(s,s')に基づいて、鋼材集合Nに含まれる各鋼材が初期山から最終山に至るまでの全ての搬送の順序(搬送順)を導出する。本実施形態では、初期・最終搬送順変数z(s,s')により、任意の2つの鋼材の初期搬送順と最終搬送順の双方が特定されるので、第1の実施形態で説明した後処理部104における処理(ステップS205の処理)は不要である。
[出力部105、ステップS206]
出力部105は、最適化計算部103で導出された、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、任意の2つの鋼材の初期搬送と最終搬送の双方の相対的な順序を定める二項変数である初期・最終搬送順変数z(s,s')と、初期搬送が仮山への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数x(s)とを用いて、初期山にあった移動部の鋼材の"初期搬送順"が、その鋼材がある場所へ他の山から搬送される鋼材の"最終搬送順"より先でなければならないことを表す制約式と、同一の最終山において、下にある鋼材よりも上にある鋼材を先に初期搬送する場合には、先に初期搬送する鋼材は仮置きが必要になることを表す制約式とを含む制約式を設定する。そして、設定した制約式を満足するように、仮置きの発生が最小になることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの初期・最終搬送順変数z(s,s')と仮置き発生有無変数x(s)を導出し、これらに基づいて、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を導出する。従って、入れ替えのための拘束条件を必要十分条件として表現することができる。よって、搬送する必要がない初期山の固定部の鋼材を搬送しないように、初期山から最終山へ鋼材を積み替える際の鋼材の搬送順を適切に導出することができる。即ち、最適解があるのに実現不能(解なし)として計算されたり、得られた解が実現不能な解(搬送が実現できない解)になったりすることを防止することができる。
尚、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した変形例を採用することができる。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
以下の実施例では、以下の計算環境で計算を行った。
(i)プロセッサ:Intel(登録商標) Xeon(登録商標) CPU E5-2687W @ 3.1.GHz (2プロセッサ)
(ii)実装メモリ(RAM):128GB
(iii)OS: Windows(登録商標)7 Professional 64ビットオペレーティングシステム
(iv)最適計算ソフト:ILOG CPLEX Cplex11.0 Concert25(登録商標)
<実施例1>
本実施例では、図4に示す8つのケースの鋼材情報(入力データ)のそれぞれについて、第1の実施形態で説明した手法(発明例)と特許文献7に記載の手法(比較例)を用いて、各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を求めた。
図4に示すように、何れのケースにおいても、発明例および比較例で求められた鋼材の搬送数(仮置数、即ち最適解)は、同じになった。発明例および比較例の何れにおいても、初期山(初期置場)から最終山(最終置場)への鋼材の搬送回数は最大2回であるので。仮置きが発生する鋼材の搬送数は2回、仮置きが発生しない鋼材の搬送数は1回である。従って、図4において、総搬送数は、鋼材数と仮置数との和になる。そして、図4に示すように、何れのケースにおいても、発明例の方が比較例よりも求解時間が短くなり、高速に求解できることが分かる(図4に示す求解時間の欄を参照)。8つのケースにおける求解時間の平均時間で比較すると、比較例では99秒要したものが、発明例では1.5秒で求解できることが分かる。
<実施例2>
本実施例では、特許文献7に記載の発明では実現できなかった、初期山の下段部(固定部を移動しないで上段部(移動部)を入れ替えて鋼材の積み替えを行う場合の、各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を、第3の実施形態で説明した手法を用いて求めた。図5は、その結果を表形式で示す図である。尚、以下の図5の説明において、最終山IDが「n」(nは正の整数)の最終山を最終山nと称し、初期山IDが「n」の初期山を初期山nと称する。また、図5において、初期搬送順が「0」であることは、初期搬送が行われない(即ち固定部である)ことを示す。最終搬送順が「/」であることは、初期搬送が最終搬送になる(仮置きが発生しない)こと、または、初期搬送が行われないことを示す。仮山IDと、その積段が「/」であることは、仮置きが発生しないことを示す。
図5に示す例では、最終山1と最終山2が、それぞれ初期山1と初期山3の下段部を固定部として、その上段部を入れ替える形で作られている。
まず、最終山1については、下から1〜3段目までが初期山1のままで、4段目より上の段の鋼材が入れ替わっている。初期山1は8段から構成された山であり、初期山1の下から4〜8段目に存在していた鋼材が別の山に搬送され、新たに初期山1の下から4段目に鋼材IDが「83」の鋼材が、5段目に鋼材IDが「195」の鋼材が搬送されている。
この場合には、初期山1から最後に搬送される下から4段目に存在していた鋼材IDが「160」の鋼材の初期搬送の後に、そのことにより空いた初期山1の下から4段目に、鋼材IDが「83」の鋼材の最終搬送が行われなければならない。鋼材IDが「160」の鋼材の初期搬送順は14番目であり、鋼材IDが「83」の鋼材の最終搬送順は26番目なので、鋼材IDが「83」の鋼材の初期山1(即ち最終山1)への搬送が可能となる。尚、図5に示すように、初期山1において、下から8段目、7段目、6段目、5段目、4段目に存在していた鋼材がこの順で初期搬送されるようになっている(鋼材IDが「87」、「126」、「101」、「120」、「160」の鋼材の初期搬送順欄を参照)。
もう一つの最終山2についても、下から1〜3段目までが初期山3のままで、4段目より上の段の鋼材が入れ替わっている。初期山3も8段から構成された山であり、初期山3の下から4〜8段目に存在していた鋼材が別の山に搬送され、新たに初期山3の下から4段目に鋼材IDが「136」の鋼材が、5段目に鋼材IDが「126」の鋼材が搬送され、以降10段目まで鋼材が新たに積み替えられている。
この場合にも、初期山3から最後に搬送される下から4段目に存在していた鋼材IDが「189」の鋼材の初期搬送の後に、そのことにより空いた初期山3の下から4段目に、鋼材IDが「136」の鋼材の最終搬送が行われなければならない。鋼材IDが「189」の鋼材の初期搬送順は9番目であり、鋼材IDが「136」の鋼材の最終搬送順は11番目なので、鋼材IDが「136」の鋼材の初期山3(即ち最終山2)への搬送が可能となる。尚、図5に示すように、初期山3において、下から8段目、7段目、6段目、5段目、4段目に存在していた鋼材がこの順で初期搬送されるようになっている(鋼材IDが「156」、「142」、「99」、「192」、「189」の鋼材の初期搬送順欄を参照)。
また、このケースでは、鋼材IDが「189」の鋼材は、初期山と最終山とが同一の山で積段が、下から4段目から10段目に変わっている。この様な鋼材は、(21)式、(22)式に示したように仮置き対象鋼材になる。
(その他の変形例)
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態との関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに示した通りである。
<請求項1>
金属材情報取得手段は、例えば、鋼材情報取得部101を用いることにより実現される。金属材の識別情報は、例えば、鋼材IDを用いることにより実現され、金属材情報は、例えば、鋼材情報を用いることにより実現される。
制約式設定手段は、例えば、制約式・目的関数設定部102を用いることにより実現される。第1の制約式は、例えば、(6)式を用いることにより実現される。
目的関数設定手段は、例えば、制約式・目的関数設定部102を用いることにより実現される。目的関数は、例えば、(7)式を用いることにより実現される。
最適化計算手段は、例えば、最適化計算部103を用いることにより実現される。
<請求項2>
第2の制約式は、例えば、(3)式を用いることにより実現される。
第3の制約式は、例えば、(4)式を用いることにより実現される。
<請求項3>
第4の制約式は、例えば、(5)式を用いることにより実現される。
<請求項4>
導出手段は、例えば、後処理部104を用いることにより実現される。
第5の制約式は、例えば、(8)式を用いることにより実現される。
<請求項5>
第6の制約式は、例えば、(9)式を用いることにより実現される。
<請求項6>
第7の制約式は、例えば、(18)式を用いることにより実現される。初期搬送順変数に替えて初期・最終搬送順序変数を用いる場合、第1の制約式は、例えば、(21)式および(22)式との少なくとも何れか一方を用いることにより実現される。第2の制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。第3の制約式は、例えば、(17)式を用いることにより実現される。第4の制約式は、例えば、(19)式を用いることにより実現される。
<請求項7>
第8の制約式は、例えば、(23)式を用いることにより実現される。
<請求項8>
第9の制約式は、例えば、(20)式を用いることにより実現される。
100:ヤード管理装置、101:鋼材情報取得部、102:制約式・目的関数設定部、103:最適化計算部、104:後処理部、105:出力部

Claims (12)

  1. 工程間の置場として、半製品と最終製品とコンテナとの何れか1つを含む金属材を配置するヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払い出し順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理装置であって、
    任意の2つの前記金属材についての、前記初期山からの搬送である初期搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期搬送順変数と、前記金属材の前記初期山からの初期搬送が前記ヤードの仮置場への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数とを決定変数とし、
    前記初期山の識別情報および当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記最終山の識別情報および当該最終山の各積位置における前記金属材の識別情報とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得手段と、
    同一の前記最終山において、下にある金属材よりも上にある金属材を先に初期搬送する場合には、当該先に初期搬送する金属材は、前記最終山への搬送の前に前記仮置場に仮置きすることが必要になることを前記決定変数を用いて表す第1の制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定手段と、
    前記仮置きが発生する前記金属材の数が最小になることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定手段と、
    前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算手段とを有することを特徴とするヤード管理装置。
  2. 前記初期搬送順変数は、前記金属材の前記初期山からの初期搬送の順序を全順序とみなして任意の2つの前記金属材の前記初期山からの初期搬送の相対的な順序を定める二項変数であり、
    前記制約式は、前記初期搬送順変数が比較可能であることが、前記初期搬送順変数を用いて表された式である第2の制約式と、前記初期搬送順変数が推移的であることを、前記初期搬送順変数を用いて表した式である第3の制約式とを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のヤード管理装置。
  3. 前記制約式は、同一の前記初期山において、下にある前記金属材よりも上にある前記金属材を先に前記初期山から初期搬送しなければならないことを、前記初期搬送順変数を用いて表した式である第4の制約式を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載のヤード管理装置。
  4. 前記最適化計算手段により導出された前記仮置き発生有無変数に基づいて定められる、前記仮置きが発生する前記金属材に対し、当該金属材の識別情報に加えて、当該金属材の識別情報とは別の識別情報を与えて、当該金属材の前記仮置場から前記最終山への最終搬送を、当該別の識別情報を与えられた仮想的な金属材の初期搬送とみなすことと、
    前記最終山における前記仮置きが発生する前記金属材の積位置における当該金属材の識別情報を、当該金属材に対して与えた前記別の識別情報に変更することと、
    前記最適化計算手段により導出された前記初期搬送順変数に基づいて定められる、前記金属材の前記初期山からの初期搬送順に従って山積みされる1つの山と、前記仮置きが発生する金属材を上段に配置し、当該仮置きが発生する金属材の最終搬送に対応する仮想的な金属材を下段に配置したそれぞれ積み段数2段の仮想山と、を前記初期山と見なすことと、
    前記仮想的な金属材を含む任意の2つの前記金属材の前記初期山または前記仮置場からの初期搬送の相対的な順序を定める二項変数として前記初期搬送順変数を設定することと、
    前記仮置きが発生する前記金属材の前記初期山からの初期搬送の順序が、当該金属材の前記仮置場からの初期搬送の順序よりも先になることを、前記設定した初期搬送順変数を用いて表した式である第5の制約式を前記制約式として更に設定することと、
    前記目的関数を設定することを行ったうえで、
    前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記設定した初期搬送順変数を導出し、当該導出した初期搬送順変数に基づいて、前記金属材のそれぞれの、前記初期山から前記最終山に至るまでの搬送の順序を導出する導出手段を更に有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のヤード管理装置。
  5. 前記制約式は、前記初期山を構成する前記金属材のうち、当該初期山の最下段からの積順が前記最終山の何れかの最下段からの積順と一致する部分よりも上に存在する前記金属材の当該初期山からの初期搬送の順序が、当該初期山に、当該初期山とは別の前記初期山または前記仮置場から搬送される前記金属材の当該初期山への初期搬送の順序よりも先であることを、前記初期搬送順変数を用いて表した式である第6の制約式を更に有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のヤード管理装置。
  6. 前記初期搬送順変数に替えて、任意の2つの前記金属材の、前記初期山から前記最終山への初期搬送と、前記初期山から前記仮置場への初期搬送と、前記仮置場から前記最終山への最終搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期・最終搬送順序変数を用い、
    前記制約式は、前記金属材の前記初期山から前記仮置場への初期搬送は、当該金属材の前記仮置場から前記最終山への最終搬送よりも先であることを、前記初期・最終搬送順序変数を用いて表した式である第7の制約式を更に含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のヤード管理装置。
  7. 前記制約式は、前記初期山を構成する前記金属材のうち、当該初期山の最下段からの積順が前記最終山の何れかの最下段からの積順と一致する部分よりも上に存在する前記金属材の当該初期山からの初期搬送の順序が、当該初期山に、当該初期山とは別の前記初期山または前記仮置場から搬送される前記金属材の当該初期山への搬送の順序よりも先であることを、前記初期・最終搬送順序変数と仮置き発生有無変数とを用いて表した式である第8の制約式を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のヤード管理装置。
  8. 前記制約式は、同一の前記最終山において、上にある前記金属材よりも下にある前記金属材を先に当該最終山に最終搬送する必要があることを、前記初期・最終搬送順序変数を用いて表した式である第9の制約式を更に含むことを特徴とする請求項6または7に記載のヤード管理装置。
  9. 前記第1の制約式は、線形不等式および等式の少なくとも何れか一方により表されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のヤード管理装置。
  10. 前記ヤードは、鉄鋼製造プロセスにおける製鋼工程と圧延工程との間の置場であり、
    前記金属材は、鋼材であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のヤード管理装置。
  11. 工程間の置場として、半製品と最終製品とコンテナとの何れか1つを含む金属材を配置するヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払い出し順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理方法であって、
    任意の2つの前記金属材についての、前記初期山からの搬送である初期搬送の相対的な順序を定める二項変数である初期搬送順変数と、前記金属材の前記初期山からの初期搬送が前記ヤードの仮置場への搬送であるか否かを定める変数である仮置き発生有無変数とを決定変数とし、
    前記初期山の識別情報および当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記最終山の識別情報および当該最終山の各積位置における前記金属材の識別情報とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得工程と、
    同一の前記最終山において、下にある金属材よりも上にある金属材を先に初期搬送する場合には、当該先に初期搬送する金属材は、前記最終山への搬送の前に前記仮置場に仮置きすることが必要になることを前記決定変数を用いて表す第1の制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定工程と、
    前記仮置きが発生する前記金属材の数が最小になることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定工程と、
    前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算工程とを有することを特徴とするヤード管理方法。
  12. 請求項1〜10の何れか1項に記載のヤード管理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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