JP2011105483A - 搬送制御方法、搬送制御装置およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての鋼材情報に基づいて、複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを決定し、その山仕分けとヤードの状態とに基づいて山立てするように搬送機器に搬送作業を指示するに際し、山高さを最大化する指標と搬送回数を最小化する指標とを持つ目的関数を設定し、山立て及び搬送に関する制約条件を満たす数理計画問題に帰着させ、山仕分けを最適化する技術を提供する。
【選択図】 図1
Description
(1)ヤード内での山積みの順番が上から順に次工程処理順番になるように鋼材を積む。
(2)ヤードのスペースを有効活用するために一ヶ所に積む鋼材の枚数を極力多くする(つまり山高さをできるだけ高くする)。
(3)クレーンの移動の制約にならない積み高さとする。
(4)積姿が不安定とならぬよう、下に積まれたサイズ(鋼材の幅、長さ)と上に積まれたサイズとの差が、ある基準値を超えて大きくならないようにする。
(5)鋼材を搬送するクレーンの作業負荷の軽減のため、鋼材を直接最終置場に搬送せずに一旦仮置きする回数を少なくし、目的とする山姿を構成する際の鋼材の搬送回数を出来るだけ少なくする。
また、(5)についてであるが、ヤードにおける山立ての場合には、鋼材が前工程から到着する時点で、次工程でのロットNo.、即ち次工程への払出順が決まっている場合と、鋼材が前工程から到着する時点では次工程への払出順が決まっておらず、ヤード内に滞留している内に次工程への払出順が決まる場合とがある。前者の場合には、到着順に従い山立てを行うため、そのための搬送順は必然的に到着順に依存する。従って、この場合には、鋼材の搬送回数は、ほぼ最終山姿のみに依存するため、搬送順を考慮する必要性は薄い。
本発明では、前者のケース即ち「鋼材が前工程から到着する時点では次工程への払出順が決まっている」場合についてのものである。
また、特許文献5では、山仕分け対象となる鋼材を集合とみなし、まず、その集合の部分集合である鋼材部分集合を生成し、続いて鋼材部分集合の内、山積み制約を満たす部分集合である実現可能山を抽出した後、置き場管理上最適な実現可能山の部分集合としての最適解を算出することにより山仕分けを実現する方法が開示されている。
まず、この山仕分け問題において要請される一般的な問題規模について説明する。山仕分けは、圧延単位(圧延のスケジュールに相当)毎に行われるので、山仕分けの対象となる鋼材数は120〜180枚程度ある。また、搬送機器(主にクレーン)により一度に搬送する単位である搬送ロットは通常2〜5枚程度だから、平均3枚/搬送ロットとすると、全搬送ロット数は40〜60程度となる。これが複数の棟に分離されるので、二棟に鋼材を分散する場合では1棟当り20〜30搬送ロット程度の問題規模となる。棟のバランスが悪い場合には、搬送ロット数が40程度ある場合もあり、最大でこの位の規模にも対応できる最適化方法が必要となる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ヤードにおける鋼材の山仕分け問題において、山立てに関する制約条件を満たしながら、山高さを最大化する指標と搬送回数を最小化する指標とのバランスを任意に調整できるよう定式化した最適化問題を厳密に解いて山仕分けを算出することにより、山仕分けを最適化するヤードの置場管理技術を提供するものである。即ち、本発明は、対象となる搬送ロット(=要素)の数が30程度を超える場合でも、ヒューリスティク解法に頼らず、かつ対象を分割することなく、本問題解法に要請される許容可能な時間内に厳密な最適解を導出する山仕分け計画を実現することを目的とする。なお、この問題における許容可能な計算時間は、時々刻々変化するヤード状況に対応し、適切に再スケジュールを行う必要があることを考慮すると、高々数分程度(10分以内)と考えられる。
本発明では、これを実現するため、本分野では唯一の厳密な最適解法として提案されている特許文献5とは、全く異なる定式化方法により大幅に決定変数の数を減らすことを試みた。
本発明では、この効率的な定式化により、従来では困難とされていたヤードにおける鋼材の山仕分け問題において、対象となる搬送ロット(=要素)の数が30程度ある場合にも、ヒューリスティク解法に頼らず、かつ対象を分割することなく、本問題解法に要請される許容可能な時間内に厳密な最適解を導出する山仕分け計画を実現することを可能とした。
また、本発明の搬送制御装置は、鉄鋼プロセスにおける工程間置場として鋼材を配置するヤードに搬入された鋼材を積み上げて、該ヤードの後工程に払い出すための払出山を、搬送機器を用いて作成するための搬送制御装置であって、前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての情報であり、少なくとも鋼材番号、前記ヤードへの鋼材の受入順あるいは受入時刻、前記後工程への鋼材の払出順あるいは払出時刻、及び鋼材寸法を含む鋼材情報と、前記ヤードの状態を示す情報とを取り込む入力情報取込手段と、前記入力情報取込手段により取り込んだ鋼材情報に基づいて、前記複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを、該鋼材を該払出山に割り当てるときの制約である割当制約式と、該払出山の積姿に関する制約である積姿制約式とを満足し、かつ、前記払出山の数を少なくすることを目的とする目的関数を最小にする様に決定する山仕分け決定手段と、前記山仕分け決定手段により決定された山仕分けと、前記ヤードの状態とに従い山立てするよう前記搬送機器に搬送作業を指示する搬送指示手段と、を有することを特徴とする。
更に、本発明では、コンピュータに、前記搬送制御方法の各ステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
本実施形態の鉄鋼プロセスなどにおける搬送制御装置の構成の一例を図1に示す。また、その搬送制御装置を用いて実行する搬送制御方法の各ステップの一例を図2及び図3に示す。搬送制御装置のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、通信インターフェース、及びユーザインタフェース等を備えたコンピュータシステム(例えばパーソナルコンピュータ)を用いることにより実現できる。
なお、本発明における搬送作業に資する搬送機器は、単数でも複数でも全く区別無く本発明に適用可能であるが、説明を容易にするために、搬送機器が1基である場合を例に以降の説明を行う。
まず、ビジネスコンピュータなどの鋼材全般に関するデータベースである鋼材管理系計算機1より、山仕分けの対象となる鋼材に関する以下の情報を、搬送制御装置2の入力情報取込手段3にて受け取る。即ち、入力情報取込手段3は、山仕分け対象の鋼材の鋼材番号、当該鋼材のヤードへの受入順あるいは受入時刻、当該鋼材の次工程への払出順あるいは払出時刻、当該鋼材の鋼材寸法、目的関数のバランスを取るための調整係数(後述の「目的関数設定手段8」にて説明)、およびヤードの各置場における山の状態を表すヤード状態(後述の「搬送作業指示生成手段11」にて説明)を受け取る。
一方、搬送機器が一度に一つの鋼材しか搬送できない場合、入力情報取込手段3は、以下に説明する決定変数設定手段5に対し、当該鋼材の鋼材番号、および当該鋼材のヤードへの受入順あるいは受入時刻を出力する。また、入力情報取込手段3は、同じく以下に説明する積姿制約式設定手段7に対し、当該鋼材の鋼材番号、当該鋼材のヤードへの受入順あるいは受入時刻、当該鋼材の次工程への払出順あるいは払出時刻、および当該鋼材の鋼材寸法を出力する。
入力情報取込手段3は、例えば、搬送制御装置2の通信インターフェースが鋼材管理系計算機1と通信すると共に、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
搬送ロット情報生成手段4(搬送ロット情報生成ステップS2)では、搬送機器が二つ以上の鋼材を一度に搬送可能である場合に、対象となる鋼材をヤードに受け入れる際の鋼材のまとまり、つまり一度にクレーンにより搬送できる単位(搬送ロット)を決定する。この搬送ロットを最小単位として以降の山仕分けを考える。前工程からヤードに搬入される際、複数の鋼材がまとまって山積みされヤードに到着する場合(例えば、前工程より貨車やトレーラーなどにより山積みされた状態で搬入される場合で、この際の山を以降、元山と称する)の搬送ロットの分割は、例えば以下の(i)、(ii)のルールに基づき行われる。
(i)元山の最上段の鋼材から下段に向かって順にチェックし、重量やサイズからクレーンが把握可能なところまでを一つの単位とし、当該単位の最終鋼材の次の鋼材より同様の操作を繰り返し、元山の鋼材を複数の搬送ロットに分割する。ここでの把握可能な範囲とは、クレーンが吊ることが可能な重量や厚みの制限範囲を意味する。
(ii)前記(i)の例外処理として、クレーンが把握可能な範囲にある鋼材でも、当該鋼材と当該鋼材の上の鋼材とで次工程での圧延単位が異なり、山を分ける必要がある場合、あるいは当該鋼材の上の鋼材と次工程での圧延単位が同一でも、当該鋼材と当該鋼材の上の鋼材とのロットNo.がそれらの鋼材を払い出す順と逆順の場合には、それらの鋼材間で搬送ロットを分ける。
(i)鋼材ロットリスト:当該搬送ロットに含まれる鋼材番号のリスト
(ii)最大長さ:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最大の鋼材長さ
(iii)最小長さ:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最小の鋼材長さ
(iv)最大幅:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最大の鋼材幅
(v)最小幅:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最小の鋼材幅
(vi)最遅払出順:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最も遅い払出順
(vii)最早払出順:当該搬送ロットに含まれる鋼材の内、最も早い払出順
(viii)圧延単位:1ロール分の圧延スケジュールを区別する単位
なお、搬送機器が一度に1つの鋼材しか搬送出来ない場合は、前記各搬送ロットは1つの鋼材から成るものとする。
搬送ロット情報生成手段4は、例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
次に、決定変数設定手段5は、搬送機器が一度に一つの鋼材しか搬送できない場合には、入力情報取込手段3より、当該鋼材の鋼材番号、および当該鋼材のヤードへの受入順あるいは受入時刻の情報を取得する。一方、搬送機器が二つ以上の鋼材を一度に搬送可能な場合には、決定変数設定手段5は、搬送ロット情報生成手段4より、搬送ロット情報を取得する。そして、決定変数設定手段5は、後述する最適化計算にて変数となる決定変数を以下の様に定める。
山仕分け変数x[i][m]は、搬送ロットiを払出山(最適山)mに割り当てる場合に「1」、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。決定変数設定手段5は、この山仕分け変数x[i][m]の最適解により、払出山(最適山)を構成する。これは、例えばm=1に関し、最適解xopt[i][m]=1となる変数がxopt[1][1]=1,xopt[3][1]=1,xopt[7][1]=1の3変数であったとすると、m=1に対応する最適山は、搬送ロット1、搬送ロット3、搬送ロット7により構成される。
積み位置関係変数y[i1][i2][m]は、搬送ロットi1が下、搬送ロットi2が上となるように搬送ロットi1および搬送ロットi2が山mに割り当てられる場合に「1」、そうでない場合に「0」となる0-1変数である。本実施形態では、この決定変数が最も本質的に重要な働きをなす。
最適山存在判定変数δ[m]は、払出山(最適山)mが存在する(存在するとは、搬送ロットの割り当てがあることを意味する)場合に「1」、存在しない場合に「0」となる0-1変数である。
決定変数設定手段5は、例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
続いて、割当制約式設定手段6は、決定変数設定手段5で定義された「搬送ロットiの払出山(最適山)mへの割り当て可否を定める決定変数(x[i][m]、y[i1][i2][m]))が満たすべき基本的な(変数の定義に付随する)以下の制約式を設定する。
(i)搬送ロットiの一意制約
この制約は、いずれの搬送ロットiに対しても、いずれかの払出山(最適山)mに必ず一つだけ割当てられねばならないという制約であり、一つの搬送ロットに複数の払出山(最適山)mを割り当てることはできないという基本的な制約である。本制約は(式1-1)のように設定される。
この制約は、積み位置関係変数y[i1][i2][m]を、山仕分け変数x[i][m]を使って定義するための制約式である。つまり、積み位置関係変数y[i1][i2][m]は、払出山(最適山)mに搬送ロットi1が下、搬送ロットi2が上となるような位置関係に搬送ロットi1および搬送ロットi2が割り当てられる場合に「1」、そうでない場合に「0」となる0-1変数だから、搬送ロットi1および搬送ロットi2が共に、同じ払出山(最適山)mに割り当てられているか否かを表す必要がある。このことは、山仕分け変数x[i][m]を利用して表現することができる。x[i][m]を用いると、x[i1][m]=1、かつ、x[i2][m]=1の時に限り、y[i1][i2][m]またはy[i2][i1][m]のいずれかが「1」となり、これ以外のときには、y[i1][i2][m]およびy[i2][i1][m]はいずれも「0」となる。即ち、「x[i1][m]=1、かつ、x[i2][m]=1」と「y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m]=1」とは同値であることを利用し、積み位置関係変数y[i1][i2][m]を山仕分け変数x[i][m]により表すことを試みる。
x[i1][m]+x[i2][m]−1≦y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m] ・・・(式2-1)
また、その逆命題である「y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m]=1 → x[i1][m]=1、かつ、x[i2][m]=1」は、そのままでは扱いづらいので、その対偶命題である「x[i1][m]=0、または、x[i2][m]=0 → y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m]=0」を(式2-2)の様に表すことができる。
x[i1][m]+x[i2][m]≧2×(y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m]) ・・・(式2-2)
割当制約式設定手段6は、例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
積姿制約式設定手段7は、決定変数設定手段5で定義された決定変数(x[i][m]、y[i1][i2][m]、δ[m])が満たすべき積姿に関する以下の制約式を、搬送機器が二つ以上の鋼材を一度に搬送可能である場合には、搬送ロット情報生成手段4からの"搬送ロット情報"を基に設定する。搬送機器が一度に一つの鋼材しか搬送できない場合は、入力情報取込手段3からの"前工程からの鋼材の受入順あるいは受入時刻"、"次工程への鋼材の払出順あるいは払出時刻"、および"鋼材寸法"を基に設定する。ここで積姿とは、山に積まれた鋼材の枚数と、各鋼材の積み段関係を指す。
積み位置関係変数 y[i1][i2][m]=1であれば、搬送ロットi1と搬送ロットi2とは、同じ払出山mに積まれ、搬送ロットi1が搬送ロットi2より下段に積まれることになる。前記の様にヤードにて鋼材を山積する場合、積み姿が不安定な逆ピラミッド状態とならないよう、以下のような積制約がある。
・長さ制約:下積鋼材長さ−上積鋼材長さ≦L(基準値:マイナスのケースもあり)
・幅制約:下積鋼材幅−上積鋼材幅≦W(基準値:マイナスのケースもあり)
・高さ制約:総積高さ≦H(基準値)、または、総積枚数≦P(基準値)
以上の制約の内、長さ制約と幅制約については、払出山(最適山)mにおいて上下関係となる二つの搬送ロットi1、i2の間で判定可能である。また、払出山(最適山)mでは、積姿とは別に、払出を円滑に行うため、払出順の若い搬送ロットほど上に積まれている必要がある。従って、この払出に関する制約も積姿に関する制約と同様に二つの搬送ロットi1、i2の間で判定可能である。つまり、任意の二つの搬送ロットi1、i2の積み位置関係は、以下の4通りのケースに分類できる。
・ケース1:搬送ロットi1が搬送ロットi2の下でなければならないケース
・ケース2:搬送ロットi1が搬送ロットi2の上でなければならないケース
・ケース3:搬送ロットi1と搬送ロットi2との上下関係に制約がないケース
・ケース4:搬送ロットi1と搬送ロットi2とを同一の山にできないケース
y[i2][i1][m]=0 ・・・(式3-1)
また、搬送ロットi1、i2の積み位置関係が、ケース2の場合には、搬送ロットi1が搬送ロットi2の上でなければならないので、搬送ロットi1が搬送ロットi2の下段となる積み位置配置を禁止するよう任意の払出山(最適山)m(m=1,・・・,N)に対し、(式3-2)の制約を課す。
y[i1][i2][m]=0 ・・・(式3-2)
また、搬送ロットi1、i2の積み位置関係が、ケース3の場合には、もちろん、制約は不要である。
また、搬送ロットi1、i2の積み位置関係が、ケース4の場合には、搬送ロットi1と搬送ロットi2とを同一の払出山(最適山)mに置けないので、任意の払出山(最適山)m(m=1,・・・,N)に対し、(式3-3)の制約を課す。
y[i1][i2][m]+y[i2][i1][m]=0 ・・・(式3-3)
或いは、(式3-3)の代わりに(式3-4)の制約を課してもよい。
y[i1][i2][m]=0,y[i2][i1][m]=0 ・・・(式3-4)
以上で、制約式の設定が完了したので、目的関数を目的関数設定手段8にて設定する。ここでの目的関数は、山高さを高くする目的の関数および搬送回数を少なくする目的の関数の二つである。それぞれの関数の設定方法を以下に示す。
(i)山高さを高くする目的関数
山高さを高くすることは、山数を少なくすることと同義だから、この目的を達するための目的関数は、(式5-1)の様に山数の総和を目的関数J1として設定すればよい。
払出山(最適山)mを作成するのに必要な搬送回数は、最低でも搬送ロット数分を要する。払出山(最適山)mを作成するのに必要な搬送回数が搬送ロットの数よりも大きくなるのは、ヤードの受入口(例えば受入テーブルX)から払出山(最適山)mへ鋼材を搬送する際、鋼材を直接搬送できず、一旦仮置きを行う必要がある場合である。従って、払出山(最適山)mを作る際、何回「仮置き」が必要となるかにより、搬送回数が決まることになる。このため搬送回数を評価するための目的関数は、「仮置き発生数」を計数してやれば良い。この「仮置き」は、受入順と払出山(最適山)mの積順とが食い違う際に発生する。つまり、払出山(最適山)mが受入順に積まれていない場合には、仮置きが発生することとなり、この回数は、任意のmに対し、搬送ロットi2、i1の順に到着する全ての積み位置関係変数y[i1][i2][m](払出山(最適山)mに搬送ロットi1、i2の順に積まれる場合を「1」とする変数)を積算することにより計数可能である。
従って、(式5-2)の様に、搬送ロットi2、i1の順に到着する任意の(i1,i2)組に対し、積み位置関係変数 y[i1][i2][m]の総和を目的関数J2として設定すればよい。
山高さの最大化と搬送回数の最小化とのバランスを調整するには、入力情報取込手段3より入手した"目的関数のバランスを取るための調整係数Weight(重み係数)"を用いて、(式5-3)のように目的関数Jを設定すればよい。
J=J1+Weight・J2 ・・・(式5-3)
なお、調整係数Weightは、その内容に応じて、目的変数J2ではなく、目的変数J1に掛け合わせてもよい。
目的関数設定手段8は、例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
ここまでの処理により、最適化計算を行う準備が整ったこととなるので、割当制約式設定手段6及び積姿制約式設定手段7にて設定された制約式の条件下において、目的関数設定手段8にて設定した目的関数を最小化する決定変数であるxopt[i][m]、yopt[i1][i2][m]、及びδopt[m]の最適値(これを以降最適解と称する)を最適解算出手段9にて算出する。ここで、最適解の算出にあたっては、例えば0-1整数計画問題解法solverを用いることができる。これにより、厳密解を計算することが出来る。
また、決定変数設定手段5(決定変数設定ステップS3−1)、割当制約式設定手段6(割当制約式設定ステップS3−2)、積姿制約式設定手段7(積姿制約式設定ステップS3−3)、目的関数設定手段8(目的関数設定ステップS3−4)、及び最適解算出手段9(最適解算出ステップS3−5)の5手段(ステップ)は、山仕分けを最適化する山仕分け決定手段10(山仕分け決定ステップS3)に対応している。つまり、山仕分け決定手段10(山仕分け決定ステップS3)は前記の5つの手段5〜9(ステップS3−1〜S3−5)から構成されている。
最適解算出手段9は、例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
搬送作業指示生成手段11は、最適解算出手段9(最適解算出ステップS3−5)により算出された最適解xopt[i][m]、yopt[i1][i2][m]、及びδopt[m]に基づき、山仕分けするための各搬送ロットの搬送順を定める。更に、搬送作業指示生成手段11は、鋼材のヤード受入口(例えば受入テーブルX)を搬送開始位置とし、"ヤード状態(情報)"より、空きのある所を移動先の位置(搬送終了位置)として定め、搬送作業指示を生成する。搬送ロットiの搬送作業順番は、搬送ロットiのヤードへの到着順に行われる。しかし、もし搬送ロットiに仮置きが必要な場合は、搬送ロットiを受入以降に、その仮置き場所から最終的な置場である払出山(最適山)mに搬送する必要がある。この際の仮置場から払出山(最適山)mへの搬送ロットiの搬送タイミングは、払出山(最適山)mにおいて、搬送ロットiの下に置くべき搬送ロットiunderが置かれた直後になるよう、搬送作業指示生成手段11は、計画する。
搬送作業指示生成手段11は例えば、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
搬送作業指示手段12は、搬送作業指示生成手段11にて算出された搬送量(各搬送ロットの搬送順、移動開始位置、及び移動先の位置を含む搬送作業指示)を適宜、搬送機器13へ出力しヤード内の物流を管理する。
搬送作業指示手段12は、例えば、搬送制御装置2の通信インターフェースがクレーン1A、1B、2A、2B等の搬送機器13と通信すると共に、搬送制御装置2のCPUがROM等に記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用して実行すること等により実現できる。
図5−1、図5−2は、本実施例での搬送対象となる鋼材情報を表したものである。「搬送ロット」、「積位置」は、それぞれ搬送ロットの識別番号とその搬送ロットでの積み位置を表す。なお、積み位置は最下段から数えた段数である。この例題では、搬送ロットは37ロットある。このようなサイズの問題については、前記のように、特許文献5による方法では全ての要素を一度に最適計算できない。
・長さ:上に積まれた鋼材の長さが、下に積まれた鋼材のそれより4000[mm]を超えないこと。
・幅:上に積まれた鋼材の幅が、下に積まれた鋼材の(1.5×下に積まれた鋼材の最小幅−290)[mm]を超えないこと。
・高さ:積み段数が12段を超えないこと。
図6及び図7に示す「直送フラグ」は、受入口(例えば受入テーブルX)から最適山(払出山)へ直接搬送できるか否かを示したフラグであり、この値が「1」の場合は直送可能、「0」の場合は、一旦仮置きが必要であることを表している。また、「仮置き」は仮置きが発生する搬送ロットに対し順に番号を振ったものであり、番号の振られた搬送ロット分だけ余分に搬送回数が増えることになる。
また、搬送回数については、「仮置き」数で比較すると、本実施例の方法では仮置き対象ロットが9ロットであるのに対し、特許文献5の方法では10ロットとなっており、本実施例の方法の方が山数も少なく、山を作成するための搬送回数も少なくて済むことが判る。
このように、搬送ロット数が30を越えるような山仕分けを行う場合においても、本実施形態(本実施例)の方法により、一度に最適計算を実施することにより、山数及び搬送回数を少なくする搬送計画を作成することができる。
また、本発明の搬送制御方法の各ステップは、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
更に、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
2 搬送制御装置
3 入力情報取込手段
4 搬送ロット情報生成手段
5 決定変数設定手段
6 割当制約式設定手段
7 積姿制約式設定手段
8 目的関数設定手段
9 最適解算出手段
10 山仕分け最適化手段
11 搬送作業指示生成手段
12 搬送作業指示手段
13 搬送機器
Claims (11)
- 鉄鋼プロセスにおける工程間置場として鋼材を配置するヤードに搬入された鋼材を積み上げて、該ヤードの後工程に払い出すための払出山を、搬送機器を用いて作成するための搬送制御方法であって、
前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての情報であり、少なくとも鋼材番号、前記ヤードへの鋼材の受入順あるいは受入時刻、前記後工程への鋼材の払出順あるいは払出時刻、及び鋼材寸法を含む鋼材情報と、前記ヤードの状態を示す情報とを取り込む入力情報取込ステップと、
前記入力情報取込ステップにより取り込んだ鋼材情報に基づいて、前記複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを、該鋼材を該払出山に割り当てるときの制約である割当制約式と、該払出山の積姿に関する制約である積姿制約式とを満足し、かつ、前記払出山の数を少なくすることを目的とする目的関数を最小にする様に決定する山仕分け決定ステップと、
前記山仕分け決定ステップにより決定された山仕分けと、前記ヤードの状態とに従い山立てするよう前記搬送機器に搬送作業を指示する搬送指示ステップと、
を有することを特徴とする搬送制御方法。 - 前記山仕分け決定ステップは、
前記山仕分けを決定する際に決定されるべき変数である決定変数を設定する決定変数設定ステップと、
前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材を前記払出山に割り当てる制約であり、前記決定変数についての関係として定式化される前記割当制約式を設定する割当制約式設定ステップと、
前記払出山の積姿に関する制約であり、前記決定変数についての関係として定義される前記積姿制約式を設定する積姿制約式設定ステップと、
前記山仕分けにより作成される前記払出山の数が少ないほど、かつ、該払出山の作成に要する前記搬送作業の回数が少ないほど小さな値を取る関数である前記目的関数を設定する目的関数設定ステップと、
前記割当制約式と前記積姿制約式とを満足し、かつ、前記目的関数を最小にする、前記決定変数の最適解を算出する最適解算出ステップと、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の搬送制御方法。 - 前記入力情報取込ステップにより取り込んだ、前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての鋼材情報から、該複数の鋼材を、前記搬送機器が一度に搬送可能な単位である搬送ロットに分割し、該搬送ロットについての情報を生成する搬送ロット情報生成ステップ
を更に有し、
前記山仕分け決定ステップは、前記搬送ロット情報生成ステップにより生成された搬送ロットについての情報に基づいて、前記複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送制御方法。 - 前記決定変数設定ステップで設定される決定変数には、任意の二つの前記搬送ロットを前記払出山へ割り当てる際の積み位置の上下関係を表す積み位置関係変数と、前記払出山の有無を表わす払出山存在判定変数と、前記搬送ロットを前記払出山へ割り当てるか否かを表す山仕分け変数とが含まれ、
前記目的関数は、任意の二つの前記搬送ロットのヤードへの到着順と前記払出山における積順とから計算される回数であって、前記払出山に搬送される際の途中での仮置きの回数が少ないほど前記搬送作業の回数が少ないと評価する関数である
ことを特徴とする請求項3に記載の搬送制御方法。 - 前記山仕分け決定ステップでは、0−1整数計画問題として前記最適解を計算し、山仕分けを最適化することを特徴とする
請求項2〜4のいずれか1項に記載の搬送制御方法。 - 鉄鋼プロセスにおける工程間置場として鋼材を配置するヤードに搬入された鋼材を積み上げて、該ヤードの後工程に払い出すための払出山を、搬送機器を用いて作成するための搬送制御装置であって、
前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての情報であり、少なくとも鋼材番号、前記ヤードへの鋼材の受入順あるいは受入時刻、前記後工程への鋼材の払出順あるいは払出時刻、及び鋼材寸法を含む鋼材情報と、前記ヤードの状態を示す情報とを取り込む入力情報取込手段と、
前記入力情報取込手段により取り込んだ鋼材情報に基づいて、前記複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを、該鋼材を該払出山に割り当てるときの制約である割当制約式と、該払出山の積姿に関する制約である積姿制約式とを満足し、かつ、前記払出山の数を少なくすることを目的とする目的関数を最小にする様に決定する山仕分け決定手段と、
前記山仕分け決定手段により決定された山仕分けと、前記ヤードの状態とに従い山立てするよう前記搬送機器に搬送作業を指示する搬送指示手段と、
を有することを特徴とする搬送制御装置。 - 前記山仕分け決定手段は、
前記山仕分けを決定する際に決定されるべき変数である決定変数を設定する決定変数設定手段と、
前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材を前記払出山に割り当てる制約であり、前記決定変数についての関係として定式化される前記割当制約式を設定する割当制約式設定手段と、
前記払出山の積姿に関する制約であり、前記決定変数についての関係として定義される前記積姿制約式を設定する積姿制約式設定手段と、
前記山仕分けにより作成される前記払出山の数が少ないほど、かつ、該払出山の作成に要する前記搬送作業の回数が少ないほど小さな値を取る関数である前記目的関数を設定する目的関数設定手段と、
前記割当制約式と前記積姿制約式とを満足し、かつ、前記目的関数を最小にする、前記決定変数の最適解を算出する最適解算出手段と、
を更に有することを特徴とする請求項6に記載の搬送制御装置。 - 前記入力情報取込手段により取り込んだ、前記払出山を作成する対象となる複数の鋼材についての鋼材情報から、該複数の鋼材を、前記搬送機器が一度に搬送可能な単位である搬送ロットに分割し、該搬送ロットについての情報を生成する搬送ロット情報生成手段
を更に有し、
前記山仕分け決定手段は、前記搬送ロット情報生成手段により生成された搬送ロットについての情報に基づいて、前記複数の鋼材を複数の払出山に分ける山仕分けを決定することを特徴とする請求項6または7に記載の搬送制御装置。 - 前記決定変数設定手段で設定される決定変数には、任意の二つの前記搬送ロットを前記払出山へ割り当てる際の積み位置の上下関係を表す積み位置関係変数と、前記払出山の有無を表わす払出山存在判定変数と、前記搬送ロットを前記払出山へ割り当てるか否かを表す山仕分け変数とが含まれ、
前記目的関数は、任意の二つの前記搬送ロットのヤードへの到着順と前記払出山における積順とから計算される回数であって、前記払出山に搬送される際の途中での仮置きの回数が少ないほど前記搬送作業の回数が少ないと評価する関数である
ことを特徴とする請求項8に記載の搬送制御装置。 - 前記山仕分け決定手段では、0−1整数計画問題として前記最適解を計算し、山仕分けを最適化することを特徴とする
請求項7〜9のいずれか1項に記載の搬送制御装置。 - コンピュータに、請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送制御方法の各ステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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