JP2007137612A - 鋼材の山分け計画方法、装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

鋼材の山分け計画方法、装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】次工程への鋼材供給のため鋼材を山積みし、鋼材の置き場管理を行う鋼材置き場における鋼材の山分け方法において、置き場としての生産性を高め生産コストを低減するための山分け計画を作成することを目的とする。
【解決手段】最適鋼材山分け計画装置2は、鋼材管理装置1より管理対象となる対象鋼材及び対象鋼材の属性11を受け、全部分集合生成部3により対象鋼材集合10の部分集合を順次生成し、山積み制約設定部17で予め設定した山積み制約を満たす部分集合を、山積み制約合否判定部4によって実現可能山集合12として全部分集合生成部3から抽出する。それより集合分割制約生成部5により集合分割制約式13、評価関数設定部6により評価関数14を生成し、両式より最適解算出部7より、最適山分け結果(山分け計画)15を算出して出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材置き場において複数の鋼材を複数の山に積み分ける鋼材の山分け計画作成に利用して好適な鋼材置き場における鋼材の山分け計画方法、装置、コンピュータプログラムに関する。
例えば鉄鋼プロセスにおいて一時的に、一つの工程から次工程へ鋼材供給を行うために、置き場でサイズや次工程での処理順が異なる複数枚の鋼材を複数の山に分けて、図2のように山積みして仮置きすることが多い。予め決められた次工程の処理順番に応じ迅速かつ安定に鋼材を供給し、且つ多くの場合限られた置き場スペースを有効に活用するために、置き場において鋼材をどのように複数の山に分けるかが重要な事案となる。
また、出荷待ちの複数種で多数の鋼材を仮置きする鋼材置場において、各鋼材の出荷の条件を考慮して、山分けすることも重要である。この鋼材の山分けにおいては、鋼材の山分け方法には多くの組合せが考えられるが、いくつかの制約条件を考慮する必要がある。
例えば製鉄プロセスにおいて製鋼工程から次工程の圧延工程へ搬送される際、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所に積み重ねられて置かれた後、次工程である圧延工程の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。このように、ヤードは両工程間のバッファーの役割をしており、このバッファー量は生産計画を作る際の大きなファクタ−となるものである。このヤード内での鋼板の山積み順番を決定するには、以下のような条件の山積み制約がある。
(1)ヤード内での山積み順番が次工程処理順番になるように積む。
(2)ヤードに置く枚数を多くするために一ヶ所に積む枚数を極力多くする。
(3)クレーンの移動の制約にならない積み高さとする。
(4)危険防止のため極端にサイズが違う鋼板は積み重ねない。
(5)鋼板を搬送するクレーンの作業負荷軽減のため、前工程からの製造順に対して鋼板の積む順番を変更する回数を少なくする。
上記の山積み制約について図2を用いて説明する。図2の第1山、第2山、第3山に積まれている鋼板の左側に付されている数値は、括弧付数値が前工程からの製造順(すなわちヤードの受入順番)を表し、括弧無し数字が次工程での処理順番(すなわち次工程へのヤードの払出順番)を表す。山を構成する際のクレーンの作業負荷を軽減するには、前工程からの受入順番に従って山を積み上げることが必要となる。この制約が(5)の制約であり、図2の第1山〜第3山の場合には、山の下からこの受入順番に積み上げられている。
また、次工程へ遅滞無く払出すには、次工程の処理順番に従い、山の上から順に並ぶように積まれている事が必要となる。この制約を表したのが(1)であり、図2では括弧無し数字で示すように第1山〜第3山とも払出順番に上から積まれている事がわかる。
特開平11−255336号公報
従来、鋼材の山分け計画は計画作成担当者が、ヤードに流入する鋼板の情報とヤードの空き状態の情報、ヤードから流出する鋼板の情報を基に上記(1)〜(5)の条件を加味して試行錯誤的に行っていた。しかし、このような人手による計画では、計画対象が長時間に及ぶ場合には情報量が膨大となり山積み順番の最適な計画が適切に作成できないことが多かった。また計画作成には熟練を要するため、作成された計画に個人差が発生してヤードの有効利用ができないという問題があった。さらに、熟練担当者の育成に長期間を要する点も問題であった。
また、鋼材置き場での温度低下を防止するため保温台車などにて鋼材を保管する場合には、高い山を構成する置き場スペースの有効活用により、温度降下量を低減することができる。次工程が加熱炉ならば燃料コストに直結するため、適切な山分けを行うことは生産性向上のみならず、コスト削減にも大きく寄与する。
このような大規模問題への対処方法として、特許文献1には、複数枚の鋼板をヤードに重ねて山積みする方法において、鋼板のサイズ、圧延順番等の条件に基づいて前記鋼板をグループ化し、その各グループの配列順番が各々異なる配列パターンを複数作成し、積山判定条件に基づいて山積みのシミュレーションを行う鋼板山積み計画方法、及びその配列パターンを遺伝的アルゴリズムにより作成する手法が開示されている。この方法は、以前の人が試行錯誤的に計画を作成する場合に比べれば改善が期待できる。しかし、解空間全体から見れば一部分を探索する方法であることから、鋼板数が大きいほど得られる解が、最適解である山分け方法との乖離が広がる懸念がある。
上記のような状況に鑑みて、鋼材置き場でサイズや次工程での処理順序が異なる複数枚の鋼材を複数の山に分けて山積みする山分け問題を解決するには、対象鋼材により生成可能な全ての山分け候補の中から、受入時の山分け負荷や払出時の作業負荷などの評価関数を最適化する山分けの組合せを求めることが不可欠である。
本発明は、鋼材を山積みし鋼材の置き場管理を行う鋼材置き場における鋼材の山分け計画の作成において、山積み制約を満たし、且つ鋼材を扱うのに使用される搬送・運搬機器などの作業効率を最適化するとともに、置き場としての生産性を高める山分け計画を立案する技術を提供することを目的とする。
本発明による鋼材の山分け計画方法は、鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画方法であって、前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成工程と、前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定工程と、前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定工程と、前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成工程と、前記集合分割制約に基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出工程とを有することを特徴とする。
また、本発明による鋼材の山分け計画装置は、鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画装置であって、前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成手段と、前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定手段と、前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定手段と、前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成手段と、前記集合分割制約に基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明による鋼材の山分け計画のコンピュータプログラムは、鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画のコンピュータプログラムであって、前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成処理と、前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定処理と、前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定処理と、前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成処理と、前記集合分割制約の基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出処理とを有する一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、次工程への鋼材供給のため鋼材を山積みし、鋼材の置き場管理を行う鋼材置き場における鋼材の山分け方法において、前工程からの鋼材受け入れ及び次工程への払出要求または情報に基づき、山積み制約を考慮しつつ当該置き場における最も効率の良い山分け方法を短時間に立案することができる。その結果、次工程での鋼材の加工が遅滞無く実行できる。
以下、図面を参照して、本発明の最適な実施形態について詳細に説明する。図1は、鋼材管理装置の下で鋼材置き場における鋼材の山分けを行う鋼材の山分け計画作成装置の実施の形態の一例のシステム構成を示す図である。
図1において、最適鋼材山分け計画装置2は、鋼材管理装置1より管理対象となる対象鋼材及び対象鋼材の属性11を受け、全部分集合生成部3により対象鋼材集合10の部分集合を順次生成し、山積み制約設定部17で予め設定した山積み制約を満たす部分集合を、山積み制約合否判定部4によって実現可能山集合12として全部分集合生成部3から抽出する。
それより集合分割制約生成部5により集合分割制約式13、評価関数設定部6により評価関数14を生成し、両式より最適解算出部7より、最適山分け結果(山分け計画)15を算出して出力する。そして、その山分けを実現するため、鋼材管理装置1よりクレーンなどの搬送機器8に対し、搬送指示16を出力する。
次に鋼材の山分け計画方法の詳細な手順の一例を図3のフローチャートを用いて図1と関連づけて説明する。まず、山分け対象鋼材集合をT={1、2、・・・、k、・・・、N}とする。つまり山分け対象となる鋼材又は鋼材グループ数をNとする。
(全部分集合生成工程及び山積み制約合否判定工程)
そして、集合Tの部分集合を以下のように前記全部分集合生成部3により生成する。Tの部分集合はTの各要素を含むか含まないかを全要素に対する組合せとして求めることができることから、2N個の部分集合を作成することができる。すなわち、任意の部分集合は1〜2Nのいずれかの数値jに1対1に対応付けることができる。また、この部分集合は対象鋼材から作成可能な山に対応している。
従って、j=1〜2Nの繰り返しループにより、それぞれの部分集合に対応する「山」が、山積み制約を満たした実現可能な山(以下、「実現可能山」と称する)であるか否かを前記山積み制約合否判定部4により判定し、実現可能山の集合F(これは部分集合の集合なので集合族)を抽出する。
続いて、実現可能山集合F抽出処理の詳細な手続きについて説明する。これは、S101の数値jより、それに対応する部分集合Pj を求める処理から始まる。この処理は、初めに10進数である数値jを2進数に変換する。例えば、j[10]=11の場合([10]は10進数であることを表す)、2進数に直すと、j[2]=1011([2]は2進数であることを表す)となる。ここで2進数の各桁が集合Tのそれぞれの要素を含む(1)か、含まない(0)かを表していると考え、数値j[10]=11は部分集合Pj=[1、3、4] に対応することとなる。
続いて部分集合Pjに対応する山が、山積み制約を満たすか否かの判定を行う「山積み制約判定処理(S103)」を行う。
「山積み制約判定処理(S103)」において、山積み制約を満たすか否かの判定条件は、置き場の管理方法などにより様々な条件が考えられるが、例えば以下のような条件を想定することができる。
(1)払出順条件:払出順番が早い鋼材の方が必ず山の上側に来なければならない。
(2)幅条件 :幅が狭いなら無条件で上に置ける。幅が広い鋼材をそれより狭いものの上に置く際には、両者の幅差がそれより下にある全鋼材の最小鋼材幅で決まる基準値以下なら置けるがそれを越えると置けない。
(3)長さ条件 :長さが短いなら無条件で上に置ける。長いスラブを短いものの上に置く際には、両者の長さ差が、基準値未満なら置けるが、それ以上では置けない。
上記の山積み制約の基で、部分集合Pjが実現可能山であるか否かを判定するための処理手順は以下の通りである。
(i)部分集合Pjを払出順に上から下へ山イメージ順に並べる。
(ii)上記によりつくられた山イメージを下から上へ順に隣あう2鋼材間で幅条件、長さ
条件を満たしているか否かをチェックする。
(iii)山の途中で幅条件又は長さ条件のいずれかを違反している2鋼材間があれば、そこで判定処理を停止し、当該部分集合Pjは実現可能山ではないと判定する。また、山の最上位まで判定を行い、どの2鋼材間でも幅条件及び長さ条件を満たしている場合には当該部分集合Pjは実現可能山であると判定する。
上記判定処理S103の結果、部分集合Pjが実現可能山の場合にはPjを、実現可能山集合(集合族)Fの要素として登録する(S104)。また、部分集合Pjが実現可能山でない場合にはPjを、非実現可能山集合(集合族)Uの要素として登録する(S105)。
ここで、「実現可能山判定処理(S103)」を高速に行うために、「実現可能山判定処理」を行う必要があるかどうかを判定する処理(S102)を設けることも対象鋼材が多い場合には有効となる。この処理(S102)は、「山積み制約違反山を包含する山は山積み制約違反である。」という事実を利用して、判定処理の手間を省こうとするものである。従って、判定対象となる部分集合Pjが前述の非実現可能山集合U(山積み制約違反山の集合)内のいずれかの要素を包含する場合には、部分集合Pjを山積み制約違反山と判定し、次ステップの「山積み制約判定処理(S103)」をスキップする。また、部分集合Pjが非実現可能山集合Uのいずれの要素をも包含しない場合には、次ステップの「山積み制約判定処理(S103)」に進む。
(評価関数設定工程)
上記の手続きがj=2Nまで完了したら、次ステップである評価関数生成処理ステップS106に移行する。評価関数生成処理ステップS106では、S104により生成された実現可能山集合(集合族)Fの各要素である実現可能山iに対して、それぞれの評価値ciを定める。この評価値ciの決定方法も置き場管理の考え方により様々な評価の仕方があり得るが、例えば以下の基準で、個々の実現可能山に評価を与えることができる。
(評価基準1)山作成負荷が少ないほど、評価を高くする。
(評価基準2)山高さが高いほど評価を高くする。
評価基準2に関しては、自明であるが、評価基準1に関しては、対象鋼材の受入順に基づき、当該実現可能山を生成する際における、クレーンなどの搬送機器の操作負荷を、当該山を生成するための鋼材入替え回数などにより定量的に評価するものとする。この際、後述する最適化問題を最小化問題とする場合には、評価が高い場合ほど評価値を小さくし、最大化問題とする場合には評価が高いほど評価値を大きくする。この処理は前記評価関数設定部6により行われる。
(最適解算出工程)
ここまでの準備が整ったら、最後のステップとして、前記最適解算出部7により最適計算処理S107を行って山分け計画を出力する。最適計算処理ステップS107では、実現可能山集合(集合族)Fより、最適実現可能山の組合せ(集合)を求め、最適山分けの答えとする。つまり、ここでの最適化問題は、実現可能山集合(Tの集合族)Fより、山分け対象鋼材集合Tを分割する最適な実現可能山の組合せ(Fの部分集合)を求める問題、つまり「集合分割問題」としての定式化が可能となる。
従って、ここでの最適化計算の決定変数は実現可能山集合Fの要素iを最適解として採用するか否かを表すxi(i=1・・・f:ただし、fはFの要素数。S104により抽出された実現可能山の数に相当する。)となり、当然xiは1または0のいずれかの値となる変数である。ここで1は、実現可能山iが最適解すなわち最適山の一つとして採用されることを表し、0の場合は採用されないことを表すものとする。
(集合分割制約生成工程)
また、この最適化計算での制約式は、この問題が上記のように「集合分割問題」であることから、「任意のスラブkも複数の山に重複使用されてはならず、また、いずれかの山iにて使用されねばならない。」ことが唯一の制約条件となり、(式1)で表すことができる。
Figure 2007137612
そして、本最適化計算での評価関数Jは先ほど準備した評価値ciを用いて(式2)となる。
Figure 2007137612
このように、本最適化計算は、0-1計画問題として定式化できることになる。0-1計画問題は通常分枝限定法などにより繰り返し線形計画問題を解く必要があるが、今回のケースでは1回、又は数回線形計画問題を解くだけで(1,0)の最適解を求めることができる(通常は2nOrderの繰り返しが必要)。
なぜならば、「集合分割問題」として定式化したことにより、制約式両辺の係数行列が1または0とできたため、解空間境界の端点が1-0格子点となることによる。つまり、一般の整数計画問題の最適解は実行可能領域「内部解」だが「集合分割問題」の最適解は線形計画問題同様「頂点解」となることを利用して高速解法が可能となる。
次に、実施例として簡単な例で、前記した定式化をいくつか組合せ、前記した解法により最適解を求め、それらが有効に機能することを示す。ここでの問題として表1に示す鋼材グループを、どのように山分けすべきかを考える。まず、表1の各項目について説明する。「グループ」は対象鋼材を識別するための番号で、このグループに属する鋼材数を「鋼材数」の項目で表しており、1グループあたり1枚〜3枚の鋼材が含まれることを示している。また、「圧延番号」は次工程である圧延工程において圧延される順番を表しており、同一順番が付与されているグループ間ではどちらを先に圧延しても良いことを意味するものとする。また、「最大幅、最小幅」は当該グループに属する鋼材の最大幅及び最小幅を表す。従って当該グループに含まれる鋼材数が1枚の場合は当然最大幅と最小幅が同じ値となる。「最大長,最小長」も同様に当該グループ鋼材の最大長さ、最小長さを表す。
Figure 2007137612
この例でも、山積み条件は、以下のとおりとする。
(ア)払出順条件:払出順番が早い鋼材の方が必ず山の上側に来なければならない。
(イ)幅条件 :幅が狭いなら無条件で上に置ける。幅が広い鋼材をそれより狭いものの上に置く際には、両者の幅差がそれより下にある全鋼材の最小鋼材幅で決まる基準値(最小幅/2−300)以下なら置けるがそれを越えると置けない。
(ウ)長さ条件 :長さが短いなら無条件で上に置ける。長いスラブを短いものの上に置く際には、両者の長さ差が、基準値(2000)未満なら置けるが、それ以上では置けない。
(エ)山高さ条件:最大高さを12枚とする。
また、山分けの評価は、簡単のためここでは山高さを高くすることのみとする。以上の条件のもと、本発明による最適化手法を適用すると、表2〜表4に示すように三つの山に分ける結果となる。これは簡単な例ではあるが、上記の山積み条件を遵守し、12段(表2)、7段(表3)という高い山分けを行っていることがわかる。
Figure 2007137612
Figure 2007137612
Figure 2007137612
最後に、表5は実際の熱間圧延工程へ鋼材を供給する鋼材置き場において、本発明により山分けを行った場合と人が考えて行った場合とでの山高さを比較した表である。この場合には、鋼材置き場にて鋼材温度が低下しないよう保温用ボックスにて保温するため、保温用ボックスを効率的に活用するため、できるだけ山高さを高くするよう山分けを行うような場合であり、人が作成した山分け方法よりも、本発明による山分けの方が、平均の山高さが高いことがわかる。これにより、保温用ボックスが有効に活用できるため、鋼材置き場での温度降下が低減でき、次工程である加熱炉の燃料コストを低減できる効果につながっている。
Figure 2007137612
前述した本発明の実施の形態における最適鋼材山分け装置、並びに最適鋼材山分け作成方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラムは本発明に含まれる。
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより前述した実施の形態における各機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して前述した実施の形態の各機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全て或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて前述した実施の形態における各機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
本発明に係る鋼材の山分け計画装置の実施の形態のシステム構成を示す図である。 ヤードに鋼材を山積みし保管している状況を示す図である。 本発明の実施の形態に係る鋼材の山分け計画方法を実施する手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 鋼材管理装置
2 最適鋼材山分け計画装置
3 全部分集合生成部
4 山積み制約合否判定部
5 集合分割制約生成部
6 評価関数設定部
7 最適解算出部
8 搬送機器
10 対象鋼材集合
11 対象鋼材の属性
12 実現可能山集合
13 集合分割制約式
14 評価関数
15 最適山分け結果(山分け計画)
16 搬送指示
17 山積み制約設定部

Claims (6)

  1. 鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画方法であって、
    前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成工程と、
    前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定工程と、
    前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定工程と、
    前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成工程と、
    前記集合分割制約に基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出工程とを有することを特徴とする鋼材の山分け計画方法。
  2. 前記全部分集合生成工程は、構成要素数が少ない部分集合から生成を行い、前記山積み制約を違反する部分集合を包含する部分集合は山積み制約違反とし、山積み制約違反の部分集合を包含する部分集合の生成数を省略して全体の処理時間を短くすることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の山分け計画方法。
  3. 前記評価関数は、前記実現可能山それぞれに、予め定める評価値と、前記実現可能山を選択するか否かを1または0に対応させる決定変数との積の線形和を評価関数とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼材の山分け計画方法。
  4. 前記最適解算出工程は、前記評価関数及び前記集合分割制約に基づき、集合分割問題として定式化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼材の山分け計画方法。
  5. 鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画装置であって、
    前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成手段と、
    前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定手段と、
    前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定手段と、
    前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成手段と、
    前記集合分割制約に基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出手段とを備えたことを特徴とする鋼材の山分け計画装置。
  6. 鉄鋼プロセスにおいて次工程供給待ち又は出荷待ちの複数の対象鋼材を、所定の山積み制約に基づいて複数の鋼材の山に分ける、鋼材置き場における鋼材の山分け計画のコンピュータプログラムであって、
    前記対象鋼材又は前記対象鋼材のグループを要素する全体集合について、その全体集合の部分集合である鋼材部分集合の全てを生成する全部分集合生成処理と、
    前記鋼材部分集合のそれぞれについて、山積み制約を満たす鋼材部分集合である実現可能山と満たさない鋼材部分集合を判定する山積み制約合否判定処理と、
    前記実現可能山の全てを要素とする実現可能山集合について、置き場管理上最適な山分けをするために、前記対象鋼材の属性情報に基づいて実現可能山の組合せを求める評価関数を設定する評価関数設定処理と、
    前記対象鋼材のそれぞれが漏れなく且つ重複することないように、前記実現可能山集合から前記実現可能山の組合せを求めるための制約(集合分割制約)を設定する集合分割制約生成処理と、
    前記集合分割制約の基づいて前記評価関数を最適にする、前記実現可能山それぞれの組合せである最適解を算出して、前記対象鋼材の山分けを決定して山分け計画を出力する最適解算出処理とを有する一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする鋼材の山分け計画のコンピュータプログラム。
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