JP2016207157A - 作業計画作成装置、作業計画作成方法、およびプログラム - Google Patents
作業計画作成装置、作業計画作成方法、およびプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 前回の最適計算における最適解の要素x[jopt_pr]のうち、今回の最適計算において実現可能な要素が、今回の最適計算における最適解の要素x[jopt]として再現されない場合に、目的関数Jの値に対しペナルティを課すペナルティ項を目的関数Jに含める。
【選択図】 図2
Description
リアルタイムで行われる最適計算の結果に一貫性を持たせる方法として、現状の作業では、最適計算を行うシステムにおいても、作業開始前に最適計算を一度実施し、作業開始後には、作業予定の変更のあったところ(例えば、ヤードにおける鋼材の配置を決める場合にはヤードへの到着予定が変更となった鋼材のみ)を限定的(局所的)に変更するという方法を用いている。すなわち、リアルタイムに最適計算を行うのでなく、バッチ最適計算によりバッチ最適解を導出し、人またはスケジュール修正ルールによる部分介入、若しくはルールベースに基づいて、バッチ最適解を修正する方法がとられている。スケジュール修正ルール(断片知識の集合)による再スケジュール方法については、特許文献1に開示されている。また、ルールベースシステムによる再スケジューリングを行う技術が特許文献2、3に開示されている。
まず、鋼材置場の一例であるヤードにおける作業の一例を説明する。
製鉄プロセスにおいて、例えば製鋼工程から次工程の圧延工程へ鋼材を搬送する際、鋼材は、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所(鋼材置場)に置かれた後、次工程である圧延工程の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。そのヤードのレイアウトの一例を図1に示す。ヤードとは、図1に示すように、上流工程より払い出されたスラブなどの鋼材を、下流工程に供給するためのバッファーエリアとして、縦横に区画された置場101〜104である。縦方向(クレーン1A、1B、2A、2Bの移動可能方向)の分割区分を"棟"、横方向の分割区分を"列"と称することが多く、搬送指令を作成する際は"棟"及び"列"を指定することにより、どこへ鋼材を搬送するかを示す。
図2は、本実施形態の作業計画作成装置200の機能的な構成の一例を示す図である。作業計画作成装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、PLC(Programmable Logic Controller)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
計画対象物リスト取得部201は、山立て計画の対象物の一例であるスラブのリストである山立て対象スラブグループリスト(スラブの到着予定リスト)を取得する。尚、山立て対象スラブグループリストは、一定周期に取得されてもよいし、特定の事象の生起等をトリガーとして不定期に取得されてもよい。
計画対象物リスト取得部201は、例えば、CPUが、通信インターフェースで受信した山立て対象スラブグループリスト300、500のデータをHDDやRAMに記憶することにより実現される。
山立て対象スラブグループリスト300、500は、例えば、鋼材全般に関するデータベースを備える鋼材管理装置から作業計画作成装置200に送信される。
到着時刻は、各スラブグループのヤードへの到着時刻または到着予定時刻である。ここでは、山立て計画の作成の開始時刻を「0(ゼロ)」とする。SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループの到着時刻が「0(ゼロ)」である。したがって、山立て計画の作成の開始時に、SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループのスラブがヤードに到着したところとなる。よって、図3に示す山立て対象スラブグループリスト300における各スラブグループの到着時刻は全て到着予定時刻である。また、山立て計画の作成の開始時には、ヤードには何もないものとする。尚、以下の説明では、山立て計画の作成の開始時刻を必要に応じて「初期時刻」と称する。
鋼材数は、各スラブグループを構成するスラブ(鋼材)の数である。
最大幅・最小幅は、それぞれ、各スラブグループを構成するスラブの最大幅・最小幅である。
最大長・最小長は、それぞれ、各スラブグループを構成するスラブの最大長・最小長である。
尚、最適計算の手法の詳細については、目的関数設定部204、制約式設定部205、および最適解導出部206の欄において後述する。また、この例では各スラブは、最適計算の結果(最適山リスト400)の通りにヤードに置かれるものとする(各スラブは、最適計算の結果(最適山リスト400)と異なるようにスラブに置かれることはないものとする)。
積段は、各スラブグループが積まれている山における当該スラブグループの積段である。ここでは、最下段の積段の値を「1」とし、或る段の1つ上段の積段の値は、当該或る段の積段の値に「1」を加算した値になるものとする。尚、ヤードに置かれていないスラブグループについては、積段の値を「0(ゼロ)」とする。
最適段は、図4の最適計算結果に基づいた各スラブグループの最適山における積段である。ここでは、後述する図5の積段と同様にして最適段の値が決められるものとする。
また、図4において、SLGr.ID、払出順、および到着時刻は、それぞれ図3を参照しながら説明したものと同じ内容を意味する。
尚、最適計算において、初めて仮置きが発生したときにだけ、仮置有無の値として「1」が与えられる。すなわち、仮置有無の値として「1」が与えられたスラブグループについては、その後の最適計算における仮置有無の値としては(仮置きであったとしても)「0(ゼロ)」が与えられる。これは、ここでは仮置き発生の判定を、スラブがヤードに到着した時に行う方法を採っているからで、既に仮置きされたスラブがヤードにある状態を初期状態とするリスケジュール時の最適計算では、スラブのヤードへの到着が済んでいるので、当該スラブが仮置きと判定されることはないからである。
図5に示す山立て対象スラブグループリスト500は、各スラブグループの到着予定が、山立て対象スラブグループリスト300に示されるものから変更されておらず、また、到着予定時刻を経過したスラブグループは、到着予定時刻の通りに到着した場合の山立て対象スラブグループリストの一例を示す。
図5において、SLGr.ID、到着時刻、払出順、鋼材数、最大幅、最小幅、最大長、最小長、積段、最適山ID、最適段は、それぞれ図3および図4を参照しながら説明したものと同じ内容を意味する。
ここで、「置場」、「積段」とも、図3に示す初期時刻における山立て対象スラブグループリスト300(スラブグループの到着予定情報)に基づいて計算された図4に示す最適山リスト400(最適計算結果)に従ってヤードに置かれた結果となっている。
最適段も、図4に示す最適山リスト400(最適計算結果)に基づいた各スラブグループの最適山における積段である。ここでは、前述した積段と同様にして最適段の値が決められるものとする。
例えば、図4に示す最適山リスト400(初期時刻における最適計算の結果)によると、SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループのスラブは、最適山IDが「5」の山の6段目に置かれることになる。しかしながら、最適山ID「5」の山を構成するスラブグループのうち、5段目に置かれるSLGr.IDが「15」のスラブグループはヤードに到着していない。したがって、SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループを仮置きする必要がある。よって、図5の山立て対象スラブグループリスト500において、SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループの本/仮の値は「0」となる(すなわち仮置きとなる)。また、仮置きのスラブグループの置場として、10番以降の置場のうち、スラブが置かれていない任意の置場が選択されるものとする。したがって、図5に示す山立て対象スラブグループリスト500において、SLGr.IDが「0(ゼロ)」のスラブグループの置場は「15」となり、積段は「1」となり、最適山IDは「5」となり、最適段は「6」となる。
本実施形態では、ヤードに到着したスラブは、直前(前回)の最適計算の結果に基づいた山姿でヤードに置かれるものとする。つまり、前述したように、スラブには、直接最終置場に置かれるものと、一旦、仮置場に置かれ、将来到着予定の下積みスラブが到着した後に最終置場に搬送されるものとがある。そして、その判断は、直前(前回)の最適計算により計算された最適解(前回解)によるものとする。したがって、前回解で仮置きが不要として直接本置場に置かれたスラブは、その時点で、最終山姿に一致していると見なすことができる。よって、今回以降の最適計算(リスケジュール)では、後述する実現可能解抽出部203により確定対象物以外の選択肢を除外する或いは確定対象物が分離しない様な制約式を付与(後述する変形例2を参照)することで、確定対象物が最適計算結果に表れる様にする。それを行うためには、各最適計算(リスケジュール)を行う際に、最終山姿と一致しているスラブの範囲を明確にする必要がある。また、このように、最終山姿と一致しているスラブを最適計算の対象から徐々に除外していっても、前述した『最適性の原理』が成立することにより、何ら最適性が揺らぐことがない(最終山姿と一致しているスラブを除外せずに計算した結果と等価となる)ことが保証されている。
尚、計画対象物リスト取得部201が初期時刻における山立て対象スラブグループリスト300を取得した際には、ヤードに置かれているスラブはないので、確定対象物判定部202による処理は省略される。
尚、前回の最適計算に使用した山立て対象スラブグループリストが、図3に示した山立て対象スラブグループリスト300である場合、前回の最適計算の結果は、図4に示した最適山リスト400であり、今回の最適計算に使用する山立て対象スラブグループリストは、図5に示した山立て対象スラブグループリスト500である。
次に、確定対象物判定部202は、前記選択した最適山IDの積段が「1」(すなわち最下段)であるSLGr.IDを特定する。
そして、確定対象物判定部202は、今回の最適計算に使用する山立て対象スラブグループリスト500から特定したSLGr.IDと、前回の最適計算の結果(最適山リスト400)から特定したSLGr.IDとが一致する場合、当該SLGr.IDのスラブグループは、最終山姿と一致していると判定する。
一方、今回の最適計算に使用する山立て対象スラブグループリスト500から特定したSLGr.IDと、前回の最適計算の結果(最適山リスト400)から特定したSLGr.IDとが一致しない場合、確定対象物判定部202は、前記選択した最適山IDの前記選択した積段よりも上の積段のスラブグループは、最終山姿と一致していないスラブグループである(確定スラブグループではない)と判定する。
確定対象物判定部202は、以上の判定を、今回の最適計算に使用する山立て対象スラブグループリスト500のヤード既到着スラブのある全ての最適山IDの山について個別に行う。
確定対象物判定部202は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
[第1の例]
<<最適化対象最小単位の設定>>
実現可能解抽出部203は、今回の最適計算の最小単位とするスラブグループを設定する。
まず、確定対象物判定部202により確定スラブグループとして判定されなかったスラブグループについては、前回の最適計算で設定されたスラブグループを、今回の最適計算で最小単位とするスラブグループとする。
一方、確定対象物判定部202により確定スラブグループとして判定されたスラブグループのうち、最適山IDが同一であり、且つ、積段が連続する複数のスラブグループについては、当該複数のスラブグループを1つのスラブグループに纏め、今回の最適計算で最小単位とするスラブグループとする。
その他の確定スラブグループについては、個々の確定スラブグループを、今回の最適計算で最小単位とするスラブグループとする。
次に、実現可能解抽出部203は、確定スラブグループに対する最適山および積段が最適計算によって変わらないようにすると共に、前述したようにして1つのスラブグループに纏められたスラブグループが分離されないようにする。
本実施形態では、山分け計画に集合分割問題を適用する場合を例に挙げて説明する。すなわち、最適化問題を、実現可能山の集合Fから、山分けの対象となるスラブグループの全体集合Tを分割する最適な実現可能山の組み合わせ(実現可能山の集合Fの部分集合)を求める問題とする。尚、実現可能山は、最適計算で実現することが可能な解の要素である実現可能解と同じ意味を有するが、本実施形態では山分け計画を作業計画の例に挙げて説明する。そこで、本実施形態では、実現可能解を、必要に応じて、より直感的に理解し易い実現可能山と称する。
図6は、実現可能山を抽出する際の処理の第1の例を概念的に説明する図である。
尚、図6では、表記の都合上、実現可能解抽出部203で前述したように最小単位として設定された1つのスラブグループを鋼材と表記する。すなわち、1つのスラブグループとして纏められた複数の確定スラブグループについては、当該複数の確定スラブグループが、最小単位として設定されたスラブグループとなる。その他の確定スラブグループおよび確定スラブグループ以外のスラブグループについては、個々のスラブグループが、最小単位として設定されたスラブグループとなる。
このツリー構造の樹形図では、各ノードにスラブグループが属するようにすると共に、最下段のスラブグループが属するノードが根ノードに属するようにする。そして、下段に配置されるスラブグループが属するノードを、その1つ上段に配置されるスラブグループの親ノードとする。
確定スラブグループも対象スラブグループに含まれるが、複数の確定スラブグループが1つのスラブグループとして纏められている場合には、当該複数の確定スラブグループにより1つの対象スラブグループが構成されるものとする。
実現可能解抽出部203は、以上の判定を、全体集合Tの要素となる対象スラブグループとしてとり得る全ての対象スラブグループについて行う。
山積み制約は、ヤードの管理方法等により様々な条件が考えられるが、例えば以下のような条件を想定することができる。
(1)払出順条件:払出順が早いスラブグループの方が、払出順が遅いスラブグループよりも必ず山の上側に位置しなければならない。
(2)幅条件:或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも狭いならば無条件で、当該或るスラブグループを、当該直下に位置するスラブグループの上に置ける。或るスラブグループの最大幅が、当該或るスラブグループの下に位置するスラブグループの最小幅よりも広い場合には、両者の幅の差が、作業制約により定まる基準値以下であれば、当該或るスラブグループを、当該下に位置するスラブグループの上に置けるが、それを越えると置けない。
まず、最下段に設定した対象スラブグループa1(鋼材a1)に対しては、上載せ可能集合A1が分岐可能である(図6の分岐1を参照)。次に、二段目において着目スラブグループを対象スラブグループa2(鋼材a2)とすると、(1、2)枝に対しては、上載せ可能集合A1∩A2が分岐可能である(図6の分岐2を参照)。次に、三段目において着目スラブグループを対象スラブグループa3(鋼材a3)とすると、(1、2、3)枝に対しては、上載せ可能集合A1∩A2∩A3が分岐可能である(図6の分岐3を参照)、という具合である。
(4)確定スラブグループ積順条件:確定スラブグループは、最下段のスラブグループが属する根ノードにしか配置されず、且つ、当該根ノード以外には配置されない。
(4)確定スラブグループ積順条件について説明する。
ここでは、確定対象物判定部202により確定スラブグループであると判定されたスラブグループを根ノード(図6の最左ノード)に配置する。その際、実現可能解抽出部203は、1つのスラブグループとして纏めた複数の確定スラブグループについては、同一の根ノードに配置する。また、実現可能解抽出部203は、確定対象物判定部202により確定スラブグループであると判定されたスラブグループを、前記配置した根ノード以外のノードに配置しないようにする(すなわち、分岐対象から除外する)。以上のようにすることによって、確定スラブグループは、分岐対象から除外される。したがって、確定スラブグループに対する最適山および積段が最適計算によって変化することと、1つのスラブグループに纏められた複数のスラブグループが分離されることとを防止することができる。
続いて、その後の時刻t2において、スラブグループC、Dは、置場1において、スラブグループBの上に、スラブグループC、Dの順に積まれており、確定スラブグループであるとする。この場合、次の最適計算に際し、スラブグループA、B、C、Dを確定スラブグループとして固定して1つのスラブグループとして扱い、図6の根ノード(図6の最左ノード)の1要素とする(今度は、スラブグループA、B、C、Dが図6の例えば鋼材a1の中身となり、鋼材a1は分岐2以降の分岐対象に含まれない)と共に、分岐対象より除外する。具体的には、図6において、樹形図の根ノードであって、いずれのスラブグループも属していない根ノードに、確定スラブグループA、B、C、Dを配置すると共に、樹形図のその他のノードに確定スラブグループA、B、C、Dが配置されないようにする。
第1の例では、今回の最適計算で最小単位とするスラブグループを設定し、確定スラブグループを樹形図の根ノードに配置すると共に、当該確定スラブが当該根ノード以外のノードに配置されないようにした。ただし、必ずしもこのようにする必要はなく、確定スラブグループのうちの最下段に位置する確定スラブグループの位置を、樹形図(分岐木)において最下段で固定すると共に、ノードの下段(積み位置では上段)に確定スラブグループへの分岐が存在する場合には、確定スラブグループへの分岐のみを残し、確定スラブグループ以外のスラブグループへの分岐を削除するようにしていれば、第1の例のようにする必要はない。
第2の例では、実現可能解抽出部203は、今回の最適計算で最小単位とするスラブグループを設定せず、且つ、(4)確定スラブグループ積順条件を山積み制約に含めずに、例えば、(1)払出順条件、(2)幅条件、および(3)長さ条件を山積み制約として、前述したようにして樹形図を作成し、実現可能山の集合を作成する。
図7は、実現可能山を抽出する際の処理の第2の例を概念的に説明する図である。図7でも、図6と同様、表記の都合上、実現可能解抽出部203で前述したように最小単位として設定された1つのスラブグループを鋼材と表記する。ただし、図6では、最下段のノードについては、1つのスラブグループとして纏められた複数の確定スラブグループが配置されることがあるものとしたが、図7におけるノード(鋼材)には、1つのスラブグループのみが配置されるものとする。
この場合、実現可能解抽出部203は、最下段に設定した対象スラブグループa1(鋼材a1)に対する上載せ可能集合A1のうち、対象スラブグループa2以外への分岐(ノード)を削除する(図7では二重取り消し線により分岐(ノード)が削除されたことを示す)。また、実現可能解抽出部203は、二段目に設定した対象スラブグループa2(鋼材a2)に対する上載せ可能集合A2のうち、対象スラブグループa4以外への分岐(ノード)を削除する。尚、実現可能解抽出部203は、以上のようにして分岐(ノード)を削除した場合、当該削除した分岐(ノード)よりも枝の末端側の分岐(ノード)についても削除する。
そして、実現可能解抽出部203は、以上の第1の例または第2の例で説明したようにして得られた実現可能山の集合Fの中から、前回の最適計算による最適解{x[jopt_pr]}に示される実現可能山jopt_prと同じ実現可能山jを抽出する。実現可能解抽出部203は、実現可能山の集合Fの中に含まれる実現可能山と、前回の最適計算の結果(最適山リスト)とを比較し、実現山可能山の集合Fに含まれる実現可能山が、前回の最適計算の結果(最適山リスト)のいずれかと一致する場合には、その実現可能山のSLGr.IDを前回の最適計算による最適解の要素として{jopt_pr}に登録する。
また、実現可能解抽出部203は、以上の第1の例または第2の例で説明したようにして得られた実現可能山の集合Fに含まれる実現可能山作成時の仮置き数を、後述する(1)式の右辺第2項の評価値Cjとして求める。
実現可能解抽出部203は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態では、実現可能山の集合Fから、最適な実現可能山の組み合わせ(集合)を求め、当該組み合わせを最適な山分け(最適解)とする。ここでの最適化問題は、実現可能山の集合Fから、山分けの対象となるスラブグループの全体集合Tを分割する最適な実現可能山の組み合わせ(実現可能山の集合Fの部分集合)を求める問題、つまり「集合分割問題」として定式化される。
本実施形態では、以下の(1)式および(2)式に示す目的関数Jを用いる。
目的関数設定部204は、実現可能解抽出部203により導出された実現可能山の集合Fの要素である実現可能山jのそれぞれについて、仮置きの発生数を導出し、導出した仮置きの発生数に基づいて、前述した基準に従って、評価値Cjを導出する。
尚、以下の説明では、今回の最適計算による最適解の要素x[jopt]が、前回の最適計算による最適解の要素x[jopt_pr]と同じになることを必要に応じて「最適解の要素の承継」と称する。
目的関数設定部204は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態では、最適化問題を集合分割問題としている。したがって、最適化計算での制約式は、「いずれのスラブグループgも、複数の実現可能山jに重複して配置されてはならず、且つ、いずれかの1つの実現可能山jに配置されなければならない。」ことが唯一の制約条件となり、以下の(3)式で表すことができる。
制約式設定部205は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態では、最適化問題を最小化問題とする。したがって、最適解導出部206は、(3)式の制約式を満足する範囲で、(1)式の目的関数Jの値を最小にする変数x[jopt]の集合{x[jopt]}を最適解として導出して記憶する。最適解は、次回の最適解の導出が終了するまで記憶されていればよく、それ以降は削除されるようにしてもよい。尚、個々の変数x[jopt]が最適解{x[jopt]}の要素になる。
ここでは、重み係数k1を「10」とし、重み係数k2を「2」とした。また、重み係数k3は「0.14(=k2/7×0.5)」とした(α=0.5、nopt=7)。
また、この場合の目的関数Jの値は、総山数が「7」であり(図8の最適山IDの最大値「7」を参照)、仮置きの総発生数が「6」であり(図8の仮置有無が「1」の総数を参照)、全ての最適解の要素x[jopt]が一致していることから、「82(=10×7+2×6)」となる。
また、図示を省略するが、初期時刻から20時刻が経過した以降の時刻(初期時刻から70時刻、110時刻、150時刻、170時刻、180時刻)が経過したタイミングにおいても、初期時刻から20時刻が経過したタイミングと同様に最適計算を行った。すなわち、1つ前のタイミングにおける最適山リストの通りに、ヤードに到着したスラブグループをヤードに配置する。そして、初期時刻から前記の時刻が経過したタイミングにおける山立て対象スラブグループリストを取得する。そして、取得した山立て対象スラブグループリストに従って、前述した本実施形態の手法で最適計算を行うことにより、最適山リストを導出する。その結果、全ての時刻において、全ての最適解の要素x[jopt]が図4に示した初期時刻における最適山リスト400と一致したことを確認した。
集合分割問題とする場合の分岐限定法における最適計算の変数としては、前回の最適計算で抽出された実行可能山jを最適山として採用する場合に「1」、採用しない場合に「0(ゼロ)」とする0-1変数x´[j]が使われる。
今回の最適計算の際に抽出した実行可能山j´の中に、前回の最適計算によりx´[jopt_pr]=1となった実行可能山jopt_prと同じ山があれば、当該実行可能山j´の0-1変数x´[j]の初期解として「1」を設定する。
一方、今回の最適計算の際に抽出した実行可能山j´の中に、前回の最適計算によりx´[jopt_pr]=1となった実行可能山joptと同じ山がなければ、当該実行可能山j´の0-1変数x´[j]の初期解として「0(ゼロ)」を設定する。
尚、分岐限定法は、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
図9では、図4に示した最適山リスト400を、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける初期解として分岐限定法により最適計算を行った結果を示す。
まず、ヤードに到着済みで確定しているスラブグループ(SLGr.ID「1」、「5」と、SLGr.ID「3」、「4」)は、最適山IDは異なるものの、図4に示した最適山リスト400と一致する。
次に、図9において、最適山IDが「1」の最適山と、最適山IDが「2」の最適山は、図4に示した最適山リスト400と一致する。一方、図4における最適山IDが「3」、「5」、「6」、「7」の最適山に相当する最適山は、図9に示す最適山リスト900にはない。また、図5における最適山IDが「4」の最適山は、図9における最適山IDが「6」の最適山に相当する。
尚、この場合の目的関数Jの値は、総山数が「7」であり(図9の最適山IDの最大値「7」を参照)、仮置きの総発生数が「6」であるから(図9の仮置有無が「1」の総数を参照)、「82(=10×7+2×6)」となり、段落[0112]で求めた値と一致しておりいずれも最適値であることが判る。
最適解導出部206は、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
最適解出力部207は、最適解導出部206により最適解{x[jopt]}が導出されると、当該最適解{x[jopt]}を示す情報を出力する。例えば、最適解出力部207は、初期時刻における最適解{x[jopt]}が導出されると、図4に示した最適山リスト400の情報を出力し、その後、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解{x[jopt]}が導出されると、図8に示した最適山リスト800の情報を出力する。
また、最適解出力部207は、最適解導出部206により導出された最適解{x[jopt]}に基づいて、どの位置のスラブグループを、どの位置に搬送するのかを示す搬送指示信号を生成し、当該搬送指示信号を、搬送装置に送信してもよい。
図5に示した山立て対象スラブグループリスト500では、山立て対象スラブグループリスト300に示される各スラブグループの到着予定に対し、各スラブグループの到着予定に変更がない理想的な条件である場合を例に挙げて説明した。
そこで、本実施形態の手法のより高い有用性を示すために、ここでは、到着予定に変更(到着順の変更、到着予定のスラブの属性の変更等)があっても、本実施形態の手法が、理想的な条件下と同様に、前述した効果を発揮できるか否かを、前述した比較例の手法と比較する。
そして、本実施形態の手法であるリアルタイム最適化機能が、以上の変更を適切に判断し、必要な解の修正を行えるかということや、必要以上の解の変更を行っていないかということ等について検証を行った。
ここでは、前述したのと同様に、重み係数k1、k2をそれぞれ「10」、「2」とした(k1=10、k2=2)。初期時刻における最適山の総数は「7」であるから、前述したのと同様に、重み係数k3を「0.14(=k2/7×0.5)」とした(α=0.5、nopt=7)。
まず、初期時刻から20時刻が経過した時点で、ヤードに到着する予定のスラブグループの到着順に変更があった場合について示す。
図10は、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける山立て対象スラブグループリストであって、ヤードに到着する予定のスラブグループの到着順に変更があった場合の山立て対象スラブグループリスト1000の一例を示す図である。図10でも、図5と同様に、ヤードに実際に置かれているスラブグループをグレーで示す。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、2つの最適山が一致し、5つの最適山が変更された。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,28),(11,2,25,17,7),(1,5,20,16,15),(3,4,13,14,18,19),(7,8,10,6,24,29,0)」
目的関数の値(最適値)は「82(=10×7+2×6)」になった(k1=10、k2=2)。
初期解「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」の20時刻経過時に
おける目的関数の値(最適値)は、到着順予定変更のあったSLGr.ID「18」の仮置きが増え「84(=10×7+2×7)」であるので(段落[0112]を参照)、目的関数の値(最適値)は、それよりも良い値になり、スラブグループの到着順の変更による目的関数の値(最適値)の悪化は回避された。しかしながら、前述したように、最適解の一貫性はない。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、5つの最適山が一致し、2つの最適山が変更された。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,17),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,14,18,19),(7,8,10,24,28)」
目的関数の値(最適値)は「82.2857(=10×7+2×6+0.143×2)」であった(k1=10、k2=2、nopt=7、α=5)。
したがって、(1)式の右辺第3項の寄与分は「0.2857」である。これを除いた目的関数の値(最適値)は「82」になり、(1)式の右辺第3項のない目的関数の値(前記<<比較例における検証結果>>における目的関数の値)と一致するので、これも最適解である。したがって、比較例のように最適解を変更させる必要がないことが分かる。このように、本実施形態の手法では、スラブグループの到着順の変更による目的関数の値(最適値)の悪化を回避し、最適性を確保しながらも前回解を出来るだけ継承した解を導出している。
次に、初期時刻から20時刻が経過した時点で、ヤードに到着する予定のスラブグループの属性に変更があった場合について示す。
図11は、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける山立て対象スラブグループリストであって、ヤードに到着する予定のスラブグループの属性に変更があった場合の山立て対象スラブグループリスト1100の一例を示す図である。図11でも、図5と同様に、ヤードに実際に置かれているスラブグループをグレーで示す。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、初期時刻では最適山の数が7つであったのが、5つになり、初期時刻における最適山と一致する最適山はなかった。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(23,22,21,12,9,27,26,28),(11,2,16,17,14,18,19),(1,5,20,15,0),(3,4,25,13),(7,8,10,6,24,29)」
目的関数の値(最適値)は「66(=10×5+2×8)」であった(k1=10、k2=2)。
初期解の20時刻経過時における目的関数の値(最適値)は、前述したように「82(=10×7+2×6)」である(段落[0112]を参照)。したがって、目的関数の値は、それよりも大幅に良い値になり、到着予定のスラブグループの寸法の変更による総山数の減少により、目的関数の値(最適値)は改善された。しかしながら、前述したように、最適解の一貫性はない。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、3つの最適山が1つの最適山にまとまり、残りの4つの最適山は全て一致した。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(11,2,25,14),(12,9,27,26,6,29),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(23,22,21,11,2,25,14),(12,9,27,26,6,29),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
このように、到着予定のスラブグループの寸法の変更により、複数の山を纏めることができるようになり、当該変更により山数を少なくできるという利益をきちんと享受しつつも、それ以外の山は完全に変更なく継承されることが分かる。
目的関数の値(最適値)は、「66.429(=10×5+2×8+0.143×3)」であった(k1=10、k2=2、nopt=7、α=5)。
したがって、(1)式の右辺第3項の寄与分は「0.429」である。これを除いた目的関数の値(最適値)は「66」になり、(1)式の右辺第3項のない目的関数の値(前記<<比較例における検証結果>>における目的関数の値)と一致するので、これも最適解である。したがって、本実施形態の手法では、スラブグループの属性の変更による目的関数の値(最適値)の悪化を回避し、最適性を確保している。
次に、ヤードに到着したスラブグループの一部が、オペレータの介入により、初期時刻における最適山リストとは異なる置き方で置かれた場合について示す。
図12は、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける山立て対象スラブグループリストであって、ヤードに到着したスラブグループの位置に変更があった場合の山立て対象スラブグループリスト1200の一例を示す図である。図12でも、図5と同様に、ヤードに実際に置かれているスラブグループをグレーで示す。
すなわち、SLGr.IDが「5」のスラブグループの位置は、初期時刻では、図4に示したように、最適山IDが「5」の最適山の2段目であるとされていたが、初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおいて実際に置かれている位置は、図12に示すように、最適山IDが「5」の最適山の3段目である(図12の下線の部分を参照)。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、オペレータの介入の影響を受ける2つの最適山と、オペレータの介入する1つの最適山が変更された。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,28),(11,2,25,14),(1,6,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,29)」
目的関数の値(最適値)は「82(=10×7+2×6)」であった(k1=10、k2=2)。
・最適解
最適解については、初期時刻における最適解(図4)と比較すると、オペレータの介入の影響を受ける2つの最適山のみが変更された。
初期時刻における最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,6,29),(11,2,25,14),(1,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
初期時刻から20時刻が経過したタイミングにおける最適解は、以下の通りである。
「(22),(23,21),(12,9,27,26,29),(11,2,25,14),(1,6,5,20,16,15,0),(3,4,13,17,18,19),(7,8,10,24,28)」
目的関数の値(最適値)は「82(=10×7+2×6+0.143×0)」であった(k1=10、k2=2、nopt=6、α=5)。
尚、オペレータによる介入が行われた最適山IDが「5」のスラブグループでは、下層部のSLGr.IDが「1」、「6」、「5」が確定スラブグループとして固定される。したがって、これに対応する初期時刻における最適解の要素(図4の最適山IDが「5」の最適山(1,5,20,16,15,0))と、最適山IDが「5」の最適山に強制的に固定されたSLGr.IDが「6」のスラブグループを構成要素としていた初期時刻における最適解の要素(図4の最適山IDが「7」の最適山(12,9,27,26,6,29))は、今回の最適計算において再現することは不可能であるため、前回の最適計算における最適解の要素{jopt}には含まれない。したがって、(1)式の右辺第3項の値は「0(ゼロ)」になる。
このように、本実施形態の手法では、オペレータの介入によってヤードに到着済みのスラブの位置が前回の最適計算による最適解と異なる位置になっても、到着予定のスラブグループの属性の変更や、ヤード到着予定のスラブグループの到着順の変更があった場合と同様に、前回の最適計算による最適解の要素を可及的に多く承継することが分かる。
次に、図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態の作業計画作成装置200の処理の一例を説明する。
まず、ステップS1301において、計画対象物リスト取得部201は、山立て対象スラブグループリストを取得するまで待機する。前述した例では、計画対象物リスト取得部201は、初期時刻における山立て対象スラブグループリスト300を取得した後、20時刻が経過すると山立て対象スラブグループリスト500を取得する。尚、ステップS1302以降の処理は、1つの山立て対象スラブグループリストが取得される度に繰り返し実行される。
そして、実現可能解抽出部203は、作成した樹形図の要素を実現可能山の集合Fとして抽出する。また、実現可能解抽出部203は、後述する目的関数設定部204にて目的関数Jを設定するため以下の第1の処理および第2の処理も行う。前記第1の処理として実現可能解抽出部203は、抽出された実現可能山と、前回の最適計算の結果(最適山リスト)とを比較し、抽出された実現可能山が、前回の最適計算の結果(最適山リスト)のいずれかと一致する場合は、その実現可能山のSLGr.IDを前回の最適計算による最適解の要素として{jopt_pr}に登録する。前記第2の処理として実現可能解抽出部203は、抽出された実現可能山作成時の仮置き数を評価値Cjとして求める。
次に、ステップS1305において、制約式設定部205は、制約式を設定する((3)式を参照)。
次に、ステップS1306において、最適解導出部206は、ステップS1305で設定された制約式を満足する範囲で、ステップS1304で設定された目的関数Jの値を最小にする変数x[jopt]の集合{x[jopt]}を最適解として導出する。
次に、ステップS1308において、作業計画作成装置200は、山立て計画の作成を終了するか否かを判定する。この判定の方法は、特に限定されないが、例えば、作業計画作成装置200に対するオペレータの操作による指示があったか否か、上位のコンピュータからの指示があったか否か、または予め設定されたタイミングが経過したか否かにより行うことができる。
そして、山立て計画の作成を終了すると判定されると、図13のフローチャートによる処理を終了する。
以上のように本実施形態では、前回の最適計算における最適解の要素x[jopt_pr]のうち、実現可能山jについての要素が、今回の最適計算における最適解の要素x[jopt]として再現されない場合に、目的関数Jの値に対しペナルティを課すペナルティ項を目的関数Jに含める((1)式の右辺第3項)。
したがって、作業予定の変更だけでなく、作業予定の変更に依らない時間経過により作業が進行することによる対象プロセスの状態の推移に対しても最適解の変動を必要最低限に留めた一貫性のある最適解を得ることができる。
したがって、計算条件の変化により、前回の最適計算における最適解{x[jopt]}を更新した方が、目的関数の値(最適値)Jが僅かでも改善される場合には、前回の最適計算における最適解の要素x[jopt_pr]の選択がどのようになされているかに関わらず、今回の最適計算において最適解{x[jopt]}が更新(変更)され、そうでない場合には、前回の最適計算における最適解{x[jopt_pr]}からの変更分に対しペナルティを課すことができる。
具体的には、山立て問題を集合分割問題として解く場合に、樹形図において、確定スラブグループについては、ヤードに置かれている配置と異なる配置にすることを許容しないようにする。
したがって、時間の経過に伴い、作業が進行するにつれて、確定スラブグループが増えることにより、対象となる問題(確定スラブグループが無い場合の元々の問題の部分問題)を徐々に小さくすることができる。
<変形例1>
(1)式の右辺第3項では、今回の最適計算による最適解の要素x[jopt]のうち、前回の最適計算による最適解の要素x[jopt_pr]と同じものが選択されない数が多いほど、低い評価を示す値になるようにする場合を例に挙げて説明した。
しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、(1)式の右辺第3項を、前回の最適計算による最適解の要素x[jopt_pr]と異なる要素x[jopt]のうち、今回の最適計算による最適解の要素x[jopt]として選択された要素の数が多いほど、低い評価を示すようにすることができる。具体的には、(1)式を以下の(4)式にすることができる。
また、(5)式を採用する場合には、例えば、以下の(6)式のようにして重み係数k3を定めることにより、(5)式の値を、他の評価項目((1)式の右辺第1項および第2項)の最小感度よりも小さくすることができる。
本実施形態では、最適化問題を集合分割問題とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、特許文献5に記載のように、2つのスラブグループの関係に基づいて最適化問題を定式化してもよい。
このようにする場合には、まず、確定スラブグループの制約は確定スラブグループに含まれる任意の2つのスラブグループの関係を確定制約とする。例えば、2つのスラブグループ(i1,i2)が最適山ID(=m1)に上下に連続して置かれている場合に、山仕分け変数x[i1][m1]=1、x[i2][m1]=1、積位置関係変数y[i1][i2][m1]=1とする制約を設定する。山仕分け変数x[i1][m1]は、スラブグループ(=i1)が最適山ID(=m1)に置かれる場合に「1」、そうでない場合に「0(ゼロ)」が与えられる0-1変数である。積位置関係変数y[i1][i2][m1]は、最適山ID(=m1)において、2つのスラブグループ(=i1、i2)が、スラブグループi1が下、スラブグループi2が上となるように上下に連続して置かれる場合に「1」、そうでない場合に「0(ゼロ)」が与えられる0-1変数である。
さらに、集合分割問題以外の解法は、特許文献5に開示された解法に限定されるものではない。前述したように、確定スラブグループの位置を固定条件(確定スラブグループの位置を変えない条件)として制約条件に反映し、前回の最適計算による最適解の要素と異なる要素が今回の最適計算で得られた場合のペナルティを目的関数に反映させることにより制約条件と目的関数とを設定して最適解を導出する方法に広く一般に適用可能である。
本実施形態では、(1)式の右辺第1項・第2項において、総山数と、山作成時の搬送機器の操作負荷とを評価する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、評価指標は、これらに限定されない。例えば、これらの評価に加えてまたは代えて、ヤードに到着した際のスラブの放熱に関する評価と、ヤードから圧延工程に搬送される際のスラブの放熱に関する評価との少なくとも何れか一方を採用してもよい。ヤードに到着した際のスラブの放熱に関する評価とは、例えば山積みされたスラブは空気に直接触れる表面積の大きい最上段ほど放熱が激しいことから、出来るだけその様な時間が短くなるよう、山の作成開始から完了(完了後は保温設備を閉める)までの時間を少なくすることが要請される。ヤードから圧延工程に搬送される際のスラブの放熱に関する評価も同様に山の分解(払出)開始から完了までの時間が短いことが要請される。その様な山の作成時間、分解時間を評価指標とすることもできる。また、例えば、山作成時の搬送機器の操作負荷を評価指標として採用せず、総山数のみを評価指標としてもよい。
本実施形態では、仮置きの総発生数で、山作成時の搬送機器の操作負荷を評価する場合を例に挙げて説明した((1)式の右辺第2項)。しかしながら、必ずしもこのようにして山作成時の搬送機器の操作負荷を評価しなくてもよい。例えば、ヤードへの到着順と圧延工程への搬送順(払出順)とが逆順になるスラブグループの総数で、山作成時の搬送機器の操作負荷を評価してもよい。
本実施形態では、最適化問題を最小化問題とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、最適化問題を最大化問題としてもよい。このようにした場合、例えば、(1)式の右辺第1項および第3項にそれぞれ(−1)を乗算すると共に、評価が高いほど評価値Cjが大きくなるように評価値Cjを導出すればよい。
本実施形態では、山立て計画を作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、複数の対象物に対する作業を行うための作業計画を作成するものであれば、どのようなものであっても本実施形態の手法を適用することができる。例えば、複数の対象物の処理順を定める作業計画や、複数の対象物の分類先を定める作業計画等に、本実施形態の手法を適用することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以下に、以上の説明と請求項との関係の一例を示す。ただし、請求項の記載は、以下の内容に限定されるものではない(前述した変形例の記載等を参照)。
<請求項1>
目的関数は、例えば、(1)式、(4)式、または(5)式を用いることにより実現される。
評価指標項は、例えば、(1)式、(4)式、または(5)式の右辺第1項・第2項により実現される。
ペナルティ項は、例えば、(1)式の右辺第3項、(4)式の右辺第3項、または(5)式の右辺第3項により実現される。
前回最適解は、例えば、前回の最適計算による最適解{x[jopt_pr]}により実現され、今回最適解は、例えば、今回の最適計算による最適解{x[jopt]}により実現される。
<請求項2>
ペナルティ項は、例えば、(1)式の右辺第3項により実現される。
<請求項3>
ペナルティ項は、例えば、(4)式の右辺第3項または(5)式の右辺第3項により実現される。
<請求項4、5>
請求項4、5は、例えば、(1)式および(2)式、または、(5)式および(6)式により実現される。
<請求項7、12>
樹形図は、例えば、図6または図7に示す樹形図により実現される。
決定変数は、例えば、(1)式、(4)式、または(5)式のx[j]により実現される。
<請求項8>
請求項8における樹形図は、例えば、図6に示す樹形図により実現される。
<請求項9>
制約式は、例えば、(3)式により実現される。
Claims (14)
- 複数の対象物に対する作業を行うための作業計画を、最適化問題を解くことにより作成する作業計画作成装置であって、
前記作業の良否を評価するための評価指標が関数で表現された項である評価指標項を少なくとも1つ含む目的関数であって、前記対象物に対する作業の指示に反映される情報を決定変数として含む目的関数を設定する目的関数設定手段と、
前記作業における制約が関数で表現された制約式を設定する制約式設定手段と、
前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値を最大または最小にする前記決定変数を要素とする最適解を、最適計算を行うことにより導出する最適解導出手段と、を有し、
前記最適解導出手段は、前記作業計画の前提条件が変化した場合に、当該前提条件の変化前の最適解を更新して新たな最適解を導出し、
前記目的関数は、前記最適解導出手段により導出された前記前提条件が変化する前の最適解である前回最適解と、前記新たな最適解である今回最適解とが異なる場合に、前記目的関数の値に対しペナルティを課すことが関数で表現された項であるペナルティ項をさらに含むことを特徴とする作業計画作成装置。 - 前記ペナルティ項は、前記前回最適解の要素のうち、前記今回最適解の最適計算のタイミングにおいて実現することが可能な要素が、前記今回最適解の要素として選択されない場合に、前記目的関数の値に対しペナルティを課すことが関数で表現された項であることを特徴とする請求項1に記載の作業計画作成装置。
- 前記ペナルティ項は、前記前回最適解の要素のうち、前記今回最適解の最適計算のタイミングにおいて実現することが可能な要素と異なる要素が、前記今回最適解の要素として選択された場合に、前記目的関数の値に対しペナルティを課すことが関数で表現された項であることを特徴とする請求項1に記載の作業計画作成装置。
- 前記目的関数から前記ペナルティ項を除いた場合の目的関数の値の、最適解の変更に伴う最小感度は、前記ペナルティ項としてとり得る最大の値よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の作業計画作成装置。
- 前記目的関数は、前記評価指標項および当該評価指標項に対する重み係数の乗算値と、前記ペナルティ項および当該ペナルティ項に対する重み係数の乗算値との和で表現され、
前記目的関数から前記ペナルティ項を除いた場合の目的関数の値の、最適解の変更に伴う最小感度が、前記ペナルティ項としてとり得る最大の値よりも大きくなるように、前記ペナルティ項に対する重み係数と、前記評価指標項に対する重み係数との関係が定められていることを特徴とする請求項4に記載の作業計画作成装置。 - 前記複数の対象物から、実作業において作業の結果が確定している対象物である確定対象物を判定する確定対象物判定手段をさらに有し、
前記決定変数の、前記確定対象物に係る部分については、前記実作業における作業の結果に対応する値に固定し、前記最適化問題を解く対象から外すことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の作業計画作成装置。 - 前記複数の対象物のそれぞれについての、前記作業の予定および属性を含む計画対象物リストを取得する計画対象物リスト取得手段と、
前記計画対象物リスト取得手段により取得された前記計画対象物リストと、前記作業における制約を示す所定の条件とに基づいて、各ノードに前記対象物が属する樹形図を作成し、当該作成した樹形図に基づいて、実現することが可能な複数の前記対象物の組み合わせを、前記今回最適解の最適計算のタイミングにおいて実現することが可能な要素である実現可能解として抽出する実現可能解抽出手段と、をさらに有し、
前記最適化問題は、集合分割問題であり、
前記決定変数は、前記実現可能解を前記最適解の要素として採用するか否かを表す0-1変数であり、
前記実現可能解抽出手段は、前記確定対象物が属するノードを、前記実作業の結果に対応するノードに固定すると共に、当該ノードと異なるノードに、当該確定対象物が属さないようにすることを特徴とする請求項6に記載の作業計画作成装置。 - 前記実現可能解抽出手段は、前記確定対象物が根ノードに属するようにすることを特徴とする請求項7に記載の作業計画作成装置。
- 前記制約式は、いずれの前記対象物も、複数の位置に配置されてはならず、且つ、いずれかの1つの位置に配置されなければならないことを数式で表現したものであることを特徴とする請求項7または8に記載の作業計画作成装置。
- 前記実現可能解抽出手段は、前記抽出した実現可能解のうち、前記最適解導出手段により導出された前記前回最適解の要素と同じ要素をさらに抽出することを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の作業計画作成装置。
- 前記作業計画は、鋼材置場において搬送機器を用いて複数の鋼材を複数の山に分けて山積みする際の各鋼材が属する山と各山における各鋼材の位置とを含む山立て計画であることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の作業計画作成装置。
- 前記対象物は、前記所定の機器を用いて、複数の山の何れかの山に山積みされるものであり、
前記樹形図は、前記山の最下段に配置される対象物が根ノードに属する樹形図であって、下段に配置される対象物が属するノードを、その1つ上段に配置される対象物の親ノードとする樹形図であり、
前記実現可能解抽出手段は、前記計画対象物リストに基づいて、前記根ノードから順に、前記所定の条件を満たす前記対象物を前記ノードに配置することにより前記樹形図を作成することを特徴とする請求項11に記載の作業計画作成装置。 - 複数の対象物に対する作業を行うための作業計画を、最適化問題を解くことにより作成する作業計画作成方法であって、
前記作業の良否を評価するための評価指標が関数で表現された項である評価指標項を少なくとも1つ含む目的関数であって、前記対象物に対する作業の指示に反映される情報を決定変数として含む目的関数を設定する目的関数設定工程と、
前記作業における制約が関数で表現された制約式を設定する制約式設定工程と、
前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値を最大または最小にする前記決定変数を要素とする最適解を、最適計算を行うことにより導出する最適解導出工程と、を有し、
前記最適解導出工程は、前記作業計画の前提条件が変化した場合に、当該前提条件の変化前の最適解を更新して新たな最適解を導出し、
前記目的関数は、前記最適解導出工程により導出された前記前提条件が変化する前の最適解である前回最適解と、前記新たな最適解である今回最適解とが異なる場合に、前記目的関数の値に対しペナルティを課すことが関数で表現された項であるペナルティ項をさらに含むことを特徴とする作業計画作成方法。 - 請求項1〜12の何れか1項に記載の作業計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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