JP2018073171A - 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム - Google Patents

鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2018073171A
JP2018073171A JP2016213101A JP2016213101A JP2018073171A JP 2018073171 A JP2018073171 A JP 2018073171A JP 2016213101 A JP2016213101 A JP 2016213101A JP 2016213101 A JP2016213101 A JP 2016213101A JP 2018073171 A JP2018073171 A JP 2018073171A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mountain
feasible
dual
column
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016213101A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6838353B2 (ja
Inventor
哲明 黒川
Tetsuaki Kurokawa
哲明 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2016213101A priority Critical patent/JP6838353B2/ja
Publication of JP2018073171A publication Critical patent/JP2018073171A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6838353B2 publication Critical patent/JP6838353B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/02Total factory control, e.g. smart factories, flexible manufacturing systems [FMS] or integrated manufacturing systems [IMS]

Landscapes

  • General Factory Administration (AREA)

Abstract

【課題】 山分け対象の鋼材が多い場合であっても、山分け計画を確実に作成することができるようにする。
【解決手段】 実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値が「0」以下である場合(S205でYesである場合)に、実現可能山mjの集合C(行列A)に実現可能山mjを追加する(S206)。かかる実現可能山mjの追加を、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値が「0」を上回るまで(S205でNoとなるまで)繰り返し行う。このようにして得られた実現可能山mjの集合Cを用いて原問題Pを解いて決定変数x[j]を導出し、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する(S207)。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラムに関し、特に、ヤードにおける鋼材の山分け計画を作成するために用いて好適なものである。
鉄鋼プロセスにおいて、例えば製鋼工程から次工程の圧延工程へスラブ等の鋼材を搬送する際、鋼材は、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所に搬入されて置かれた後、次工程である圧延工程(加熱炉)の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。そのヤードのレイアウトの一例を図5に示す。ヤードとは、図5に示すように、上流工程より払い出された鋼材などの鋼材を、下流工程に供給するためのバッファーエリアとして、縦横に区画された置場501〜504である。縦方向の分割区分を"棟"、横方向の分割区分を"列"と称することが多い。クレーン(1A、1B、2A、2B)は棟内を移動可能であり、同一棟内での異なる列の間で鋼材の移送を行う。また搬送テーブルにより棟間の鋼材の移送を行う。搬送指令を作成する際は"棟"及び"列"を指定することにより、どこへ鋼材を搬送するかを示す(図5の置場501〜504に括弧書きで付されている番号(11)、(12)、(21)、(22)を参照)。
図5を例にヤードでの基本的な作業の流れを示す。まず、前工程である製鋼工程の連鋳機510から搬出された鋼材は、パイラー511を経由して受入テーブルXでヤードまで搬入され、クレーン1A、1B、2A、2Bにより、区画された置場501〜504の何れかに搬送され、山積みして置かれる。そして、次工程である圧延工程の製造スケジュールに合わせ、再びクレーン1A、1B、2A、2Bにより払出テーブルZに載せられ、圧延工程へと搬送される。一般に、ヤードにおいて鋼材は、前記の様に山積みされた状態で置かれる。これは、限られたヤード面積を有効に活用するためである。一方、鋼材を積み上げる際、次工程へ供給し易いよう、次工程の処理順番に鋼材が上から積まれている必要がある。さらに、積み姿が不安定な逆ピラミッド状に鋼材を積まないようにする必要がある。このように、鋼材を複数の最適山(=払出山:次工程へ払い出す最終的な山姿となった山)に分けることを山分けと呼ぶ。
ここで、次工程である圧延工程の加熱炉の燃料原単位を削減するため、可及的に高い温度の鋼材を加熱炉に払い出す(装入する)ことが求められる。このため、昨今、ヤード内に保温設備を設置し、保温設備の中に前述したようにして鋼材を山積みした状態で保管することが行われている。このように保温設備を用いる場合でも、置場501〜504に直接鋼材を山積みする場合と同様に、保温設備を有効に活用するため、保温設備の中において、可及的に高さの高い払出山を作成することが必要である。
また、次工程の処理順番に鋼材が上から積まれていること、および積み形状が不安定な逆ピラミッド状に鋼材を積めないなどの制約(これを「積姿制約」と称する)がある。更に、山立てを行う際の作業負荷も見逃せない要素である。すなわち、山分けを行う上で、作業スペースの問題や作業を行うクレーン等の搬送機器の能力の兼ね合いから、山積みを行うための搬送作業数ができるだけ少ないことが求められる。山分けの場合には、ヤードに到着する順に鋼材を積んでいくことが出来れば理想的である。一方で、圧延工程への払出時の仮置き(山繰り)を無くし、払出作業を迅速に行うために、払出山においては、圧延工程の加熱炉への払出が早いものを上に積むのが基本である。従って、現実的には、ヤードへの到着順と払出山における積順とが食い違う場合がある。すなわち、ヤードへの到着順が早い方の鋼材を遅い方の鋼材よりも同一の払出山の上の段に積まなければならない場合がある。その場合には、相対的に下段に積まれる鋼材がヤードに到着するまで、先にヤードに到着した鋼材を一旦仮置き場に仮置きし、相対的に下段に積まれる鋼材がヤードに到着し山積みされてから、その鋼材の上に、仮置き場の鋼材を積む作業が必要となる。したがって、この様な作業ができるだけ少なくなるような山立てをすることが望まれる。
以上のように、ヤード管制では、前記制約の下で可及的に少ない作業負荷で、可及的に高い山立てを行う作業計画を策定することが望まれる。
鋼材置き場でサイズや次工程(圧延工程の加熱炉)での処理順序が異なる複数枚の鋼材を複数の山に分けて山積みする山分け問題を解決するには、対象鋼材により生成可能な全ての山分け候補の中から、ヤードへの受入時の山分け負荷や圧延工程の加熱炉への払出時の作業負荷などの評価関数を最適化する山分けの組み合わせを求めることが不可欠である。
このような大規模問題への対処方法として、特許文献1には、何れの対象鋼材も複数の山に重複使用されてはならず、且つ、何れかの山にて使用されねばならないという制約の下で、実現可能山の選択時の評価値の総和が最小になる実現可能山の組み合わせを、集合分割問題として求めることにより山分け計画を作成する手法が開示されている。ここで、実現可能山とは、対象鋼材を要素とする全体集合に対する部分集合であって、山積み制約を満たす部分集合である。山積み制約は、鋼材を山積みする際に課せられる制約である。払出順が早い鋼材の方が山の上側に配置されなければならないという制約等が山積み制約に含まれる。特許文献1では、全ての部分集合に対して山積み可否のチェックを行うのではなく、最下段から順次上段に向かって実現可能な鋼材のみを積み上げる(分岐する)方式により実現可能山のみを生成する。
しかしながら、特許文献1に記載の技術を、山分け計画の作成対象となる鋼材要素数が50〜100程度となる大規模問題に適用すると、実現可能山の数が1億個を超えることも頻繁に起こり、その場合には、計算機資源(主に主メモリ)の容量制限に掛かり、実現可能山を列挙できない事態が起こる。また、そこまでの規模にはならず、かろうじて実現可能山の列挙まではできた場合でも、その後の集合分割問題を最適計算する際、決定変数の数が実現可能山の数となるため、計算途中でメモリ容量を超えるか実用時間内では求解できない状況となる。
この様な実行可能解が列挙不能となるような大規模な問題に対し、集合分割問題を適用し最適解を得る方法として特許文献2には、自然言語処理におけるアライメント問題(二つの系列が与えられたときに片方の系列のどの要素がもう片方の系列のどの要素に対応するかを求める問題)に列生成法を用いる手法が開示されている。列生成法は大規模な線形計画問題を一括で解く代わりに、逐次的に変数を追加しながら元の問題の部分問題を解くことで元の問題の最適解を求める手法である。従って、ヤードにおける山分け問題に対してもこの手法を適用することが考えられる。
特開2016−81186号公報 特開2015−170131号公報 特開2011−105483号公報
久保幹雄、田村明久、松井知己編、「応用数理計画ハンドブック」、株式会社朝倉書店、2002年5月、p.133、337、621、634
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、あくまでも解法の枠組みを提供しているのみで解法そのものを提供していない。従って、適用対象に応じて、適用方法を考案する必要がある。また、特許文献2に記載の技術では、アライメント問題を前提としているため、特許文献2に記載の技術を山分け問題に適用することは容易ではない。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、山分け対象の鋼材が多い場合であっても、山分け計画を確実に作成することができるようにすることを目的とする。
本発明の鋼材の山分け計画作成装置は、鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入される複数の鋼材を、所定の山積み制約を満たすように山積みして、次工程に払い出す最終的な山姿となった複数の払出山に山分けするための山分け計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより山分け計画を作成する鋼材の山分け計画作成装置であって、前記鋼材を、前記山積み制約を満たす様に積んだ山である複数の実現可能山のそれぞれについて、該実現可能山を解として採用する場合に「1」となり、該実現可能山を解として採用しない場合に「0」となる0−1変数を決定変数として、該実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標と、初期解として与えられた実現可能山の集合とを用いて、前記複数の鋼材を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能山の最適な組み合わせを求める問題を原問題とし、前記原問題の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題の最適解である双対解を導出する双対解導出手段と、前記原問題の最適解を構成する実現可能山の候補である候補山を生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成手段と、前記列生成手段により導出された前記候補山が、収束要件を満足するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足しないと判定されると、前記列生成手段により生成された前記候補山を前記実現可能山の集合に追加する列追加手段と、前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足すると判定されると、その時点で得られている前記実現可能山の集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能山の組み合わせを導出する最適解導出手段と、を有し、前記判定手段は、前記双対解導出手段による前記双対解の導出と、前記列生成手段による前記列生成子問題の最適解の導出と、前記判定手段による前記判定とを繰り返す収束計算を、前記収束要件を満足すると判定するまで実行し、前記列生成子問題は、前記双対解と、前記山積み制約とを用いて、前記実現可能山の集合に追加する前記候補山を求める問題であることを特徴とする。
本発明の鋼材の山分け計画作成方法は、鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入される複数の鋼材を、所定の山積み制約を満たすように山積みして、次工程に払い出す最終的な山姿となった複数の払出山に山分けするための山分け計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより山分け計画を作成する鋼材の山分け計画作成方法であって、前記鋼材を、前記山積み制約を満たす様に積んだ山である複数の実現可能山のそれぞれについて、該実現可能山を解として採用する場合に「1」となり、該実現可能山を解として採用しない場合に「0」となる0−1変数を決定変数として、該実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標と、初期解として与えられた実現可能山の集合とを用いて、前記複数の鋼材を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能山の最適な組み合わせを求める問題を原問題とし、前記原問題の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題の最適解である双対解を導出する双対解導出工程と、前記原問題の最適解を構成する実現可能山の候補である候補山を生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成工程と、前記列生成工程により導出された前記候補山が、収束要件を満足するか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により、前記列生成工程により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足しないと判定されると、前記列生成工程により生成された前記候補山を前記実現可能山の集合に追加する列追加工程と、前記判定工程により、前記列生成工程により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足すると判定されると、その時点で得られている前記実現可能山の集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能山の組み合わせを導出する最適解導出工程と、を有し、前記判定工程は、前記双対解導出工程による前記双対解の導出と、前記列生成工程による前記列生成子問題の最適解の導出と、前記判定工程による前記判定とを繰り返す収束計算を、前記収束要件を満足すると判定するまで実行し、前記列生成子問題は、前記双対解と、前記山積み制約とを用いて、前記実現可能山の集合に追加する前記候補山を求める問題であることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記鋼材の山分け計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、山分け対象の鋼材が多い場合であっても、山分け計画を確実に作成することができる。
図1は、鋼材の山分け計画作成装置の機能的な構成の一例を示す図である。 図2は、鋼材の山分け計画作成方法の一例を説明するフローチャートである。 図3は、図2のステップS210の列生成後処理の詳細について説明するフローチャートである。 図4は、山分け計画の作成結果の一例を示す図である。 図5は、ヤードのレイアウトの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
(原問題P)
まず、本実施形態で解くべき問題である原問題Pについて説明する。本実施形態では、原問題Pを集合分割問題とする。集合分割問題は、全体集合Nの任意の部分集合Sjが、そのコストcjを持つという前提で、以下の(1)式に示すように、全体集合Nの要素iを、重複なく且つ漏れなく部分集合m1,m2,・・・,mkに分割する問題である。このとき、部分集合m1,m2,・・・,mkに対するコストc1,c2,・・・,ckの総和が最小となるようにする。以下の(1)式は、全体集合Nの要素iを重複なく且つ漏れなく部分集合m1,m2,・・・,mkに分割することを表す。
Figure 2018073171
要素の数がn個の全体集合N={1,2,・・・,n}の部分集合の集合(集合族)C={m1,・・・,mj,・・・,mk}(mj⊆N)の要素mjのコストをcjとする。i行j列の行列Aにおいて、行を要素i(∈N)に、列を部分集合mj(∈C)にそれぞれ対応させると共に、要素iを鋼材とし、部分集合mjを実現可能山とする。そうすると、以下のようにして山立て問題を0−1整数計画問題として定式化することができる。
<決定変数>
原問題Pの決定変数x[j]は、実現可能山mjを採用する場合に「1」、そうでない場合に「0(ゼロ)」となる0−1変数である。
<制約式>
原問題Pの制約式は、鋼材i∈Nのそれぞれについて、当該鋼材iを含む集合族(部分集合mjの集合)Mj(i)⊆Cの中から、一つの部分集合mjだけが選択されなければならないことを表す制約式であり、以下の(2)式で表される。
尚、鋼材iは、1つの鋼材であっても、1つの搬送機器(クレーン1A、1B、2A、2B)で搬送することができる鋼材の纏まり(搬送ロット)であってもよい。搬送ロットを決定する方法は、例えば、特許文献3に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
Figure 2018073171
ここで、行列Aの要素aij(i行j列の要素)を、実現可能山mjが鋼材iを含む場合にaij=1、含まない場合にaij=0と定義する。この場合、行列Aの或る列jにおいて、「1」の値を持つ行に対応する鋼材iが、当該列jに対応する実現可能山を構成する鋼材であり、当該列jにおいて、「0」の値を持つ行に対応する鋼材iは、当該列jに対応する実現可能山を構成しない。このようにして行列Aの要素aijを定義すると、(2)式は、行列Aにより、以下の(2−1)式のように表記できる。ここで、(2−1)式の右辺は、全ての要素が「1」となるベクトルである。尚、各数式において、太字で示すものはベクトルを表す。
Figure 2018073171
<目的関数>
原問題Pの目的関数は、コストcjの総和が最小になるように実現可能山mjを選択することを目的とする関数であり、以下の(3)式で表される。
Figure 2018073171
コストcjは、実現可能山mjを原問題Pの最適解として選択するか否かを判断するための評価値であり、実現可能山mjに対する鋼材iの山立てを評価する1つまたは複数の評価指標に基づいて定められる。(3)式をベクトル表記すると、以下の(3−1)式のようになる。
Figure 2018073171
本実施形態では、実現可能山(払出山)の総数c1j(以下、必要に応じて「総山数」と称する)と、逆転対数c2jをコストcjに含める(逆転対の詳細については後述する)。そうすると、原問題Pの目的関数は、以下の(4)式で表される。尚、実現可能山mj(mj∈C)のコストcjと、総山数c1jおよび逆転対数c2jとの関係は、以下の(4−1)式のようになる。
Figure 2018073171
ここで、「1」の値を有する決定変数x[j]の数が総山数になるので、何れの実現可能山mjにおいても総山数c1jの値は「1」になる。よって、(4)式では、総山数c1jを評価する項(右辺第1項)を、その他のコストである逆転対数c2jを評価する項(右辺第2項)と分離して表記している。k1、k2は、重み係数であり、各評価指標(総山数c1j、逆転対数c2j)のバランスをとるためのものである。重み係数k1、k2により、各評価指標(総山数c1j、逆転対数c2j)の相対的な重みを決定することができる。例えば、総山数c1jを逆転対数c2jよりも重要な評価指標(優先して評価する評価指標)とする場合には、総山数c1jに対する重み係数k1の値を大きくすることと、逆転対数c2jに対する重み係数k2の値を小さくすることとの少なくとも何れか一方を採用する。以上のように本実施形態では、総山数c1jを評価する項と、逆転対数c2jを評価する項との重み付き線形和で原問題Pの目的関数を表す場合を例に挙げる。
ここで、逆転対数について説明する。背景技術の欄で説明したように、払出山において相対的に下段に積まれる鋼材がヤードに到着するまで、先にヤードに到着した鋼材を一旦仮置き場に仮置きし、相対的に下段に積まれる鋼材がヤードに到着し山積みされてから、その鋼材の上に、仮置き場の鋼材を積む作業ができるだけ少なくなるように山立てをすることが望まれる。尚、この作業を山繰りと称する。このような仮置きの発生数は、数学的には「逆転数または転倒数(inversion number)」として表現することができる。この様に、任意の鋼材の対{i1,i2}⊆Nについて、同一の払出山に積むことは可能で、同一の払出山に積む際には、到着順と積み順とを入れ替える必要のある鋼材対を逆転対とし、この集合R(逆転対集合)を、以下の(4−2)式のように定義する。
Figure 2018073171
その際、実現可能山mjに含まれる逆転対の数がc2jに対応する。このように逆転対とは、同一の払出山においてヤードへの到着順が早い方の鋼材i1が遅い方の鋼材i2よりも上に積まれる逆転の関係にある鋼材対をいい、その数を逆転対数と定義する。逆転対が1つあると、この例では、到着順が早い方の鋼材i1が前述した仮置きが必要な鋼材となる。仮置きを行うために1回の山繰りが発生するので、逆転対数は、仮置きの数の目安となる。尚、逆転対集合Rを抽出するには、任意の鋼材iのヤードへの到着順と、払出山での積み順(即ち、払出順)とを判定するための情報が必要となる。仮置き数は実現可能山mjに含まれる逆転対集合={(i1, i2)|i1がi2より到着順が先}に対し、同じ鋼材を二重に計数しないよう考慮して鋼材i1を計数したものとなる。
以上のように本実施形態では、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を求める問題を原問題Pとする。特許文献1に記載の技術では、山分け計画の対象となる鋼材iの全体集合Nから、全ての実現可能山mjを生成したものを実現可能山mjの集合Cとして、原問題Pを解く。これに対し、本実施形態では、後述するように列生成法を用いて、山分け計画の対象となる鋼材iの全体集合Nから実現可能山mjを生成したものを実現可能山mjの集合Cとして、原問題Pを解く。従って、本実施形態では、(通常は)実現可能山mjの集合Cに全ての実現可能山mjは含まれず、最適な実現可能山mjを得るために必要な実現可能山mjの候補だけを列生成法により生成する。
尚、本実施形態では、コストcjが、総山数c1jと逆転対数c2jである場合を例に挙げて説明する。しかしながら、コストcjは、鋼材iの山立て(実現可能山mj)を評価する評価指標であれば、総山数や逆転対数あるいは仮置き数に限定されない。例えば、ヤード受入れ時・次工程への払出時の鋼材iの放熱量をコストcjに更に含めてもよい。
(鋼材の山分け計画作成装置100)
次に、鋼材の山分け計画作成装置の一例について説明する。図1は、鋼材の山分け計画作成装置100の機能的な構成の一例を示す図である。鋼材の山分け計画作成装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
本実施形態の鋼材の山分け計画作成装置100では、列生成法を用いて集合分割問題を解くことにより山分け計画を作成する。そこで、まず、列生成法の概要を説明する。
<<双対問題の最適解の導出>>
列生成法では、原問題P(集合分割問題)の最適解の候補となる実現可能山mjの集合Cの初期値に基づいて、当該原問題Pの線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題Dの最適解を導出する(以下の説明では、この双対問題Dの最適解を必要に応じて双対解と称する)。
<<列生成子問題の最適解の導出>>
そして、当該双対解を使って列生成子問題Sの最適解を導出して、原問題Pの最適解の候補となる実現可能山mjを生成する。
<<収束条件の判定>>
生成した実現可能山mjが収束条件を満足するか否かを判定する。ここでの収束条件とは、生成した実現可能山mjに対する前記コストcjと当該実現可能山mjに含まれる鋼材に対する前記双対解の総和(以下、必要に応じて双対コストと称する)とを比較し、双対コストがコストcjを超える、或いは生成した実現可能山mjが既に実現可能山mjの集合Cに含まれておれば収束と判定するものである。
<<列の追加>>
この判定の結果、実現可能山mjが収束条件を満足しない場合には、生成した実現可能山mjを実現可能山mjの集合Cに追加し、前記<<双対問題の最適解の導出>>に戻る。収束条件を満足する場合には、繰り返し処理を終了し、下記の<<原問題の最適解の導出>>に処理を移す。
<<原問題の最適解の導出>>
そして、収束要件を満足すると、収束条件を満足した時点で得られている実現可能山mjの集合の中から最適な実現可能山mjの組み合わせを、原問題Pを解くことにより導出する。
尚、列生成法と総称される技術には幾つかの異なる手法があり、以上の手法はその一つであるが、当該列生成法自体は、非特許文献2に記載されているように公知の技術である。
また、原問題Pの最適解と双対問題Dの最適解との差が大きい場合には、列生成後処理を行う。以上の列生成法は、線形計画問題に対する手法である。従って、列生成法を原問題Pである0−1整数計画問題に適用した場合には、原問題Pの最適解が、本来の最適解に達していないことが起こり得る。そこで、列生成後処理により、前述した最適な実現可能山mjの集合Cに対して追加する実現可能山mjを更に生成し、原問題Pの最適解を、可能な限り本来の最適解に近づける。
列生成後処理では、前述した列生成子問題Sの最適解を導出して、最適な実現可能山mjの組み合わせに対して追加する候補となる実現可能山mjを生成することと、前述した収束要件を緩和させた収束条件を当該実現可能山mjが満足するか否かを判定することと、当該緩和させた収束条件を満足していない場合に当該実現可能山mjを実現可能山mjの集合Cへ追加することとを、前述した収束条件を緩和させた収束条件を満足するまで繰り返し行う。このとき、生成した実現可能山mjが既に実現可能山mjの集合Cに存在する場合には、実現可能山mjの集合Cに存在していない実現可能山mjが生成されるように、前述した列生成子問題Sを変更した上で、前述した繰り返しの処理を行う。
次に、鋼材の山分け計画作成装置100の機能的な構成の一例を説明する。
<鋼材情報取得部101>
鋼材情報取得部101は、山分け計画の作成対象となる鋼材i∈Nのそれぞれの情報を取得する。以下の説明では、この情報を必要に応じて鋼材情報と称する。鋼材情報には、例えば、鋼材のID(識別情報)と、当該鋼材のサイズ(幅、長さ)と、当該鋼材のヤードへの到着順と、当該鋼材の次工程への払出順とが含まれる。尚、到着順および払出順は、鋼材情報に含まれる鋼材の中での相対的な順序である。
鋼材情報取得部101は、例えば、鋼材管理装置から鋼材情報を取得する。ただし、必ずしもこのようにする必要はなく、鋼材情報取得部101は、鋼材の山分け計画作成装置100のユーザインターフェースに対するユーザの操作により入力された鋼材情報を取得してもよい。鋼材情報取得部101は、例えば、CPU、ROM、RAM、および通信インターフェース(またはユーザインターフェース)を用いることにより実現される。
<初期列集合設定部102>
初期列集合設定部102は、山分け計画の作成対象となる鋼材iの全体集合N={1,2,・・・,i,・・・,n}、即ち、鋼材情報に含まれる鋼材iから、実現可能山mjの集合Cの初期値を設定する。このとき、初期列集合設定部102は、鋼材情報に含まれる鋼材iを重複なく且つ漏れなく含み、更に、後述する上載せ禁止制約((16)式を参照)および山高さ制約((17)式を参照)を満足するように、実現可能山mjの集合Cの初期値を設定する。その一例として、本実施形態では、初期列集合設定部102は、以下の(5)式のように、それぞれの実現可能山mjが、相互に異なる任意の1つの鋼材iのみを要素として持つように、実現可能山mjの集合Cの初期値を設定する。
Figure 2018073171
例えば、ユーザは、鋼材の山分け計画作成装置100のユーザインターフェースを操作することにより、実現可能山mjの集合Cの初期値の情報を入力し、初期列集合設定部102が、鋼材の山分け計画作成装置100内の記憶媒体に当該情報を記憶することにより、実現可能山mjの集合Cの初期値を設定することができる。ただし、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、初期列集合設定部102は、予め定められたロジックにより、実現可能山mjの集合Cの初期値を導出してもよい。初期列集合設定部102は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびユーザインターフェースを用いることにより実現される。
<双対解導出部103>
双対解導出部103は、前述した原問題P(集合分割問題)の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題Dの最適解である双対解を導出する。原問題P自体は0−1整数計画問題であるが、双対問題Dは線形緩和問題(線形計画問題)になる。0−1整数計画問題である原問題Pの線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題Dは、主問題と双対問題との関係から、以下のように定式化できる。
原問題Pは最小化問題なので、(3−1)式に示す目的関数Jの最適な下限値を求める問題を考察することにより双対問題Dが得られる。そこで、以下の(6)式を満足する変数pTを考える(pTはベクトルである)。
Figure 2018073171
(6)式の両辺にx(≧0)を右から掛けると、以下の(7)式が成り立つ((3−1)式に示したようにxはベクトルである)。
Figure 2018073171
つまり(7)式の左辺(=pTAx)が原問題Pの目的関数Jの下限となる。原問題Pの目的関数Jのより良い下限値を与えるには、(6)式(=pTA≦c)の条件下で、(7)式の左辺(=pTAx)を最大化する問題を考えればよい。ここで、原問題Pの制約式である(2−1)式より、以下の(8)式が成り立つ。
Figure 2018073171
従って、以下のようにして双対問題Dが定式化される。尚、集合分割問題の線形緩和問題を主問題とする双対問題自体は、非特許文献1に記載されているように公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
[決定変数]
本実施形態では、双対変数p[i]を双対問題Dの決定変数とする。
双対変数p[i]は、鋼材i毎に定められる連続変数(−∞<p[i]<∞)である。双対変数p[i]の数は、n個(鋼材情報に含まれる鋼材iの数)である。
[制約式]
双対問題Dの制約式は、前述した(6)式で表される。ここで、行列Aは、双対解導出部103の計算の際に生成されている実現可能山mjの集合Cに対応する。双対解導出部103の最初の計算においては、行列Aは、初期列集合設定部102により設定された実現可能山mjの集合Cの初期値に対応する。
(6)式を要素毎に表記すると、双対問題Dの制約式は、以下の(9)式で表される。尚、(9)式の左辺(Σp[i]・mj[i](=Pj))は前述の「双対コスト」と同じものである。(9)式に示すように、双対コストPjは、鋼材iに対する双対変数p[i]の値と、行列Aの列jの値であって、該鋼材iに対応する行iにおける値(「0」または「1」)との積の、鋼材情報に含まれる鋼材iについての総和で表される。
Figure 2018073171
(9)式において、mj[i]は、行列Aのj列そのものであり、j列に対応する実現可能山mjが鋼材iを含めば「1」、そうでなければ「0」となる0−1変数である。従って、(9)式の制約式の数は、双対解導出部103の計算の際に生成されている実現可能山mj(列)の数(即ち、集合Cの要素数)となる。
[目的関数]
(6)式の条件下では、(7)式および(8)式より以下の(10)式が成り立つので、(8)式のΣp[i]は、cxの下限値となる((3−1)式に示したようにc、xはベクトルである)。できるだけ大きいΣp[i]を求めれば、原問題Pの目的関数Jのより良い下限値が得られることになる。従って、双対問題Dの目的関数Jは最大化問題となり、以下の(11)式のようになる。
Figure 2018073171
以上のように本実施形態では、(9)式の制約式を満足する範囲で(11)式の目的関数Jの値を最大にする双対変数p[i]を求める問題を双対問題Dとする。従って、双対解導出部103は、例えば、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて線形計画法による最適化計算を行うことにより、(9)式の制約式を満足する範囲で(11)式の目的関数Jの値を最大にする双対変数p[i]を、双対問題Dの最適解(双対解psol[i])として導出する。
双対解導出部103は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<列生成部104>
列生成部104は、列生成子問題Sを解くことにより、原問題Pの最適解の候補、即ち、実現可能山mjの集合Cに追加される実現可能山mjの候補を導出する。前述したように行列Aの列jが実現可能山mjに対応するので、列生成部104は、行列Aに追加される列jの要素を導出することになる。
本実施形態において列生成子問題Sは、山積み制約を満たす範囲で、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPj(=Σp[i]・mj[i])を減算した値(以下の(12)式を参照)が最小となる実現可能山mjを求める問題である。
Figure 2018073171
[決定変数]
本実施形態では、山構成鋼材有無変数mj[i]と鋼材上下関係変数y[i1][i2]を列生成子問題Sの決定変数とする。
山構成鋼材有無変数mj[i]は、(9)式に示すmj[i]と同じ変数である。山構成鋼材有無変数mj[i]は、鋼材i毎に定められ、実現可能山mjに鋼材iが含まれる場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0−1変数である。
鋼材上下関係変数y[i1][i2]は、同一の実現可能山mj(払出山)において、鋼材i1を相対的に下に配置し、鋼材i2を相対的に上に配置する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0−1変数である。
[制約式]
本実施形態では、鋼材上下関係変数定義制約式、上載せ禁止制約式、および山高さ制約式を列生成子問題Sの制約式とする。
鋼材上下関係変数定義制約式は、鋼材上下関係変数y[i1][i2]を定義するための制約式であり、以下の(13)式〜(15)式で表される。
Figure 2018073171
上載せ禁止制約式は、山積み制約の一例であり、同一の実現可能山mj(払出山)において、鋼材iの上に配置することができない鋼材を規定する制約式である。同一の実現可能山mj(払出山)において鋼材iの上に配置することができない鋼材の集合をU(i)−とし、その要素をiUとすると、上載せ禁止制約式は、以下の(16)式で表される。尚、U(i)−は、(16)式において、U(i)の上に−を引いたもの(同一の実現可能山mj(払出山)において鋼材iの上に配置することができない鋼材の集合)である。以下の説明では、同一の実現可能山mj(払出山)において鋼材iの上に配置することができない鋼材の集合を必要に応じて上載せ禁止集合と称する。
Figure 2018073171
上載せ禁止集合U(i)−は、ヤード管理方法等に応じて定めることができるが、例えば、以下のようにして定めることができる。ヤードにおける山立てでは、鋼材iの次工程への払い出しをスムーズに行うために、同一の実現可能山mj(払出山)において払出順が早い鋼材iであるほど上に積まれる必要がある。また、実現可能山mj(払出山)の積姿を安定にするために、極端な逆ピラミッド形状になるように山積みすることを避ける必要がある。即ち、同一の実現可能山mj(払出山)において相対的に上に配置される鋼材iの幅・長さから、相対的に下に積まれる鋼材iの幅・長さを減算した値が、規定値よりも大きくならないようにする必要がある。これらの要件により、同一の実現可能山mj(払出山)において鋼材iの上に他の鋼材を配置することができるか否かが一意に定められる。列生成部104は、鋼材情報に含まれる鋼材のサイズおよび払出順に基づいて、鋼材情報に含まれるそれぞれの鋼材iについて、これらの要件を満たさない鋼材の集合を上載せ禁止集合U(i)−として導出する。
山高さ制約式は、山積み制約の一例であり、一つの実現可能山mj(払出山)の高さの最大値を規定する制約式であり、以下の(17)式で表される。
Figure 2018073171
(17)式において、nmb[i]は、鋼材iの数である。前述したように本実施形態では、鋼材iは、1つの鋼材であっても、1つの搬送機器(クレーン1A、1B、2A、2B)で搬送することができる鋼材の纏まり(複数の鋼材)であってもよい。1つの搬送機器(クレーン1A、1B、2A、2B)が2以上の鋼材を搬送することができず、鋼材iを1つ1つの鋼材に対応させる場合、(17)式においてnmb[i]は、「1」になる。また、山積上限数(一つの実現可能山mj(払出山)に積むことができる鋼材の上限数)をhmaxとする。ただし、山高さ制約式は、必ずしも(17)式のようにする必要はない。例えば、各鋼材iの厚みが異なる場合には、以下のようにすればよい。まず、鋼材情報に、鋼材iの厚みを含め、当該鋼材iに対する山構成鋼材有無変数mj[i]に、当該鋼材iの厚みを掛けたものの、鋼材情報に含まれる全ての鋼材iについての和が、一つの実現可能山mj(払出山)の高さの最大値以下であることを示す山高さ制約式を用いてもよい。
[目的関数]
主問題と双対問題の関係(弱双対定理)から、本来は、主問題の目的関数の値は、主問題が最小化問題の場合、双対問題の目的関数の値以上になる。本実施形態では、主問題の目的関数は(3)式であり、双対問題の目的関数は(11)式である。従って、本来は、実現可能山mjのコストcjは、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以上(cj≧Pj)になる。また、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとが等しい(cj=Pj)ときの主問題および双対問題の解はそれぞれ真の最適解となる。
よって、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを下回る(cj<Pj)場合には、双対問題Dの双対解は、双対問題Dの真の最適解となっていない。即ち、この場合には、実現可能山mjの集合C(行列A)に実現可能山mjが十分に追加されていないことになる。よって、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)になるときの実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])は、原問題Pの最適解の候補となり、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加される必要がある。
以上のことから本実施形態の列生成子問題Sでは、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)になる実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])を求めることを主目的とする。そこで、本実施形態では、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が最小となるときの実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])を、原問題Pの最適解の候補として求める問題を、列生成子問題Sとする。当該値(=cj−Pj)の最小値が「0」以下(即ち、cj≦Pj)であるか否かを判定することにより、当該実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])を、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加すべきか否かを判定することができるからである。
列生成子問題Sの決定変数である山構成鋼材有無変数mj[i]により定まる実現可能山mjのコストcjは、鋼材上下関係変数y[i1][i2]を用いると、(4−1)式より、以下の(18)式で表される。
Figure 2018073171
ここで、Rは、(4−2)式で定義した逆転対集合である。(18)式の右辺第2項は、実現可能山mjにおける逆転対数に対応する。
また、前述したように双対コストPjは、(9)式の左辺で表されるので、以下の(19)式のようになる。
Figure 2018073171
前述したように本実施形態では、列生成子問題Sは、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が最小となるときの実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])を求める問題である。従って、列生成子問題Sの目的関数JSは、(18)式から(19)式を減算することにより得られるが、(18)式の右辺第1項は定数であるので、これを除外して表記すると、以下の(20)式のようになる。
Figure 2018073171
以上のように、(13)式〜(17)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を、列生成子問題Sの最適解として導出すればよい。
ところで、列生成子問題Sは0−1整数計画問題であり、且つ、繰り返し解かれるものである。従って、列生成子問題Sの計算時間が全体の計算時間に大きく依存することになる。そこで、列生成子問題Sの高速化を行うために、本実施形態では、以下の手法を採用する。
前述したように列生成子問題Sは、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)になる実現可能山mj(山構成鋼材有無変数mj[i])を求めることを主目的とする。従って、この主目的を達成していれば、必ずしも、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)の最小値を求める必要はないと考えられる。
そこで、本実施形態では、(13)式〜(17)式の制約式に、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)であるという制約式を更に追加する。即ち、以下の(21)式の制約式を追加する。
Figure 2018073171
(21)式の制約式を追加する場合には、実行可能解が得られさえすればよいことにするので、実行可能解が求まり次第、計算を終了させる。
従って、本実施形態では、列生成部104は、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて0−1整数計画法による最適化計算を行うことにより、(13)式〜(17)式、(21)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出する。そして、列生成部104は、導出した決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])から、(18)式および(19)式により、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとを導出する。尚、実行可能解が求まり次第、計算を終了させることにより、実質的に(20)式の目的関数JSは考慮されることなく、実行可能解が導出されることになる。
列生成部104は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<判定部105>
前述したように、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)である場合には、実現可能山mjの集合C(行列A)に実現可能山mjが十分に追加されていない。そこで、判定部105は、列生成部104で導出された、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であるか否かを判定する。
この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下である場合には、列生成部104により導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjを、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加する必要がある。一方、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」を上回る場合には、実現可能山mjをこれ以上実現可能山mjの集合C(行列A)に追加しても、当該実現可能山mjが原問題Pの最適解の候補になることはないと見なせる。
判定部105は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<列追加部106>
列追加部106は、判定部105により、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であると判定されると、列生成部104により導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjを、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加する。例えば、列追加部106は、現在の行列Aの最後の列の次の列に、列生成部104により導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjの情報を追加する。
列追加部106は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<実現可能山mjを追加した後の繰り返し計算>
以上のようにして列追加部106により実現可能山mjが追加されると、山構成鋼材有無変数mj[i]が増える。そこで、双対解導出部103は、新たな山構成鋼材有無変数mj[i]を用いて、(9)式の制約式を満足する範囲で(11)式の目的関数Jの値を最大にする双対変数p[i]を導出する。
更に、列生成部104は、このようにして導出された双対変数p[i]を用いて、(13)式〜(17)式、(21)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出する。そして、列生成部104は、導出した決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])から、(18)式および(19)式により、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとを導出する。
そして、判定部105は、このようにして導出された、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であるか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下である場合には、列生成部104により導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合C(行列A)に含まれているか否かを判定し、含まれていない場合には列追加部106は、列生成部104により導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjを、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加する。
以上の処理を、判定部105により、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」を上回ると判定するまで、或いは実現可能山mjがその時点での集合C(行列A)に既に含まれていると判定するまで繰り返し行う。
<最適解導出部107>
最適解導出部107は、判定部105により、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」を上回る或いは実現可能山mjが既に実現可能山mjの集合C(行列A)に含まれていると判定されると起動する。
最適解導出部107は、前述した原問題Pの求解を行う。具体的に説明すると最適解導出部107は、判定部105により、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」を上回ると判定された時点で得られている(最新の)実現可能山mjの集合C(行列A)を用いて、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて0−1整数計画法による最適化計算を行うことにより、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を導出し、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する。前述したように従来は、山分け計画の対象となる鋼材iの全体集合Nから、全ての実現可能山mjを生成したものを実現可能山mjの集合Cとして、原問題Pを解く。これに対し、本実施形態では、実現可能山mjの集合Cの初期値と、列追加部106により追加された実現可能山mjとを実現可能山mjの集合Cとして、原問題Pを解く。前述したように、本実施形態では、実現可能山mjの集合C(行列A)が収束し、実現可能山mjが原問題Pの最適解の候補になることはないと見なせる場合には、列追加部106による実現可能山mjの追加は行われない。従って、計算精度を大きく落とすことなく、実現可能山mjの列挙数を少なくすることができる。その結果、主として計算機の主メモリが不足することにより、実現可能山mjの列挙ができないことや、列挙出来たとしてもその後の集合分割問題を解くことが出来ないこと等により、山立て計画を作成することができないという事態が生じることを抑制することができる。
最適解導出部107は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<後処理部108>
前述したように原問題Pは、0−1整数計画問題である。一方、本来、列生成法は、線形計画問題に対する手法である。従って、列生成法を0−1整数計画問題に対し適用した場合には、実現可能山mjの集合Cに対する原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})が、本来の最適解(即ち、全ての実現可能山mjを用いて原問題Pを解いた時の解)に達していないことが起こり得る。
そこで本実施形態では、最適解導出部107により導出された原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})が、本来の最適解に達しているか否かを判定する。この判定の結果、本来の最適解に達していない場合には、実現可能山mjを、実現可能山mjの集合C(行列A)に追加し、原問題Pの最適解を、可能な限り、本来の最適解に近づけるようにする。
そのために本実施形態では、後処理部108は、双対誤差が閾値TH未満であるか否かを判定する。双対誤差は、上界値JUから下界値JLを減算した値(=JU−JL)である。上界値JUは、原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})に対応する原問題Pの目的関数J((4)式)の値である。下界値JLは、判定部105により、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下ではない-と判定される直前に双対解導出部103により導出された(最新の)双対解psol[i]に対応する双対問題Dの目的関数J((11)式)の値である。閾値THは、原問題Pの目的関数J((4)式)の値の最小変動量になる。(4)式において、k1=5.0、k2=1.0とした場合、(決定変数x[j]は0−1変数であるので)原問題Pの目的関数Jの値の最小変動量は、k2(=1.0)になる。このようにして双対誤差(=JU−JL)および閾値THを定めることにより、双対誤差(=JU−JL)が閾値TH未満である場合には、最適解導出部107により導出された原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})が、本来の最適解に達していると見なすことができる。上界値JUと下界値JLとがこれ以上近づかないと見なせるからである。
一方、双対誤差(=JU−JL)が閾値TH以上の場合には、後処理部108は、列生成後処理を実行する。
列生成後処理では、まず、後処理部108は、前述した列生成部104と同じ処理を行う。即ち、後処理部108は、(13)式〜(17)式、(21)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])の導出と、実現可能山mjのコストcjおよび当該実現可能山mjに対する双対コストPjの導出とを行う。尚、このときに使用する双対解psol[i]は、原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})が導出された直前に双対解導出部103で導出された双対解psol[i](以下、必要に応じて双対最適解popt[i]と称する)である。
次に、後処理部108は、このようにして導出された、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かを判定する。前述したように、判定部105では、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であるか否かを判定する。これに対し、後処理部108では、当該値(=cj−Pj)が、双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かを判定する。このように列生成後処理では、判定部105による判定条件を緩和する(即ち、cj−Pjと比較する値を大きくする)。
この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下である場合、後処理部108は、当該判定の直前に導出した(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjを、実現可能山mjの集合Cに追加する。
そして、後処理部108は、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下でなくなるまで、前述した処理を繰り返し行う。即ち、後処理部108は、決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]、鋼材上下関係変数y[i1][i2])、実現可能山mjのコストcj、および当該実現可能山mjに対する双対コストPjの導出と、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かの判定と、実現可能山mjの追加とを繰り返し行う。
ところで、この手法では、実現可能山mjの集合Cに既に登録済みの実現可能山mjが再生成される可能性がある。そこで、本実施形態では、後処理部108は、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下である場合、当該実現可能山mjを、実現可能山mjの集合Cに追加する前に、当該実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されているか否かを判定する。
この判定の結果、新たに導出した実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに登録されていない場合、後処理部108は、当該実現可能山mjを、実現可能山mjの集合Cに追加する。
一方、新たに導出した実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されている場合、後処理部108は、実現可能山mjの導出に用いる列生成子問題Sを変更する。本実施形態では、列生成子問題Sに以下の(22)式の制約式を追加する。
Figure 2018073171
ここで、JSpは、実現可能山mjの集合C(行列A)に既に登録されている実現可能山mjを新たに導出したときの列生成子問題Sの目的関数JS((20)式)の値である。JSは、(再計算する際の)(20)式の目的関数JSの値である。αは、正の値(微小値)である。
このように新たに導出した実現可能山mjが、実現可能山mjの集合C(行列A)に既に登録されている場合、後処理部108は、(13)式〜(17)式、(21)式、(22)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出し、導出した決定変数から、(18)式および(19)式により、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとを導出する。
そして、前述したように、後処理部108は、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下である場合には、当該実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されているか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されている場合、後処理部108は、正の値を有する微小値を(22)式のαに加算して(即ち、(22)式の右辺の値を微増させて)列生成子問題Sを再変更する。
後処理部108は、実現可能山mjが、原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})に追加されるまで、以上の処理を繰り返し行う。即ち、後処理部108は、決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]、鋼材上下関係変数y[i1][i2])、実現可能山mjのコストcj、および当該実現可能山mjに対する双対コストPjの導出と、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かの判定と、当該実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されているか否かの判定と、列生成子問題Sの変更とを繰り返し行う。
そして、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)を超えると、後処理部108は、以上のようにして実現可能山mjが追加された実現可能山mjの集合C(列が追加された行列A)を用いて、前述した原問題Pの求解を行う。即ち、後処理部108は、以上のようにして実現可能山mjが追加された実現可能山mjの集合C(列が追加された行列A)を用いて、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を導出し、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する。そして、後処理部108は、当該導出した実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JU2が、前述したようにして最適解導出部107により導出された実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JUに対し改善(変更)されていれば、実現可能山群の最適解{mj_opt}を更新する。そして、列生成後処理を終了する(ここでは後処理を行う前の実現可能山群に対する最適値をJU、後処理にて追加された列を含む実現可能山群に対する最適値をJU2としている)。
尚、以上のようにして変更した列生成子問題Sが実行不可能となった場合、または、(22)式における列生成子問題Sの目的関数JSの下限値(=JSp+α)が双対誤差(=JU−JL)に到達した場合にも、後処理部108は、実現可能山mjが追加された実現可能山mjの集合C(列が追加された行列A)を用いて、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を導出して、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出し、当該実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JU2が、最適解導出部107により導出された実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JUに対し改善されていれば、実現可能山群の最適解{mj_opt}を更新し、列生成後処理を終了する。また、後処理部108も、双対解導出部103および列生成部104と同様に、CPLEX(登録商標)等の公知のソルバーを用いて0−1整数計画法および線形計画法による最適化計算を行うことにより、前述した処理を実行することができる。
後処理部108は、例えば、CPU、ROM、RAM、およびHDDを用いることにより実現される。
<出力部109>
出力部109は、実現可能山群の最適解{mj_opt}の情報を山分け計画の情報として出力する。後処理部108により実現可能山群の最適解{mj_opt}が更新されている場合には、更新された実現可能山群の最適解{mj_opt}の情報を山分け計画の情報として出力する。出力部109は、例えば、実現可能山のIDと、当該IDの実現可能山に属する鋼材のIDとを含む情報を山分け計画の情報とすることができる。また、鋼材のIDは、鋼材情報に含まれるIDである。
また、出力部109は、鋼材情報に含まれる鋼材のサイズと、上載せ禁止制約式とに基づいて、実現可能山に属する鋼材の当該実現可能山における積順を導出し、当該積順の情報を山分け計画の情報に含めて出力してもよい。
山分け計画の情報の出力の形態としては、例えば、外部装置への送信と、鋼材の山分け計画作成装置100の内部または外部の記憶媒体の記憶との少なくとも何れか1つを採用することができる。
また、出力部109は、山分け計画の情報と、鋼材情報に含まれる鋼材の到着順と、ヤードの置場501〜504および搬送機器(クレーン1A、1B、2A、2B)の情報に基づいて、どのタイミングでどの搬送機器によりどの鋼材をどの場所に搬送するのかを特定し、特定した内容に基づいて、搬送機器に対する動作指令を行うことができる。この場合には、山分け計画の情報を出力しなくてもよい。
(動作フローチャート)
次に、図2および図3のフローチャートを参照しながら、本実施形態の鋼材の山分け計画作成方法の一例を説明する。
まず、ステップS201において、鋼材情報取得部101は、鋼材情報を取得する。
次に、ステップS202において、初期列集合設定部102は、実現可能山mjの集合Cの初期値を設定する。
次に、ステップS203において、双対解導出部103は、実現可能山mjの集合Cの現在値に基づいて、(9)式の制約式を満足する範囲で(11)式の目的関数Jの値を最大にする双対変数p[i]を、双対問題Dの最適解(双対解psol[i])として導出する。最初にステップS203を行うときには、実現可能山mjの集合Cの現在値は、ステップS202で設定された実現可能山mjの集合Cの初期値である。
次に、ステップS204において、列生成部104は、ステップS203で導出された(最新の)双対解psol[i]を用いて、(13)式〜(17)式、(21)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出する。そして、列生成部104は、導出した決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])から、(18)式および(19)式により、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとを導出する。
次に、ステップS205において、判定部105は、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であるか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下である場合には、ステップS206に進む。
ステップS206に進むと、判定部105は、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに含まれているか否かを判定する。この判定の結果、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに含まれている場合には、後述するステップS208に進む。一方、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに含まれていない場合には、ステップS207に進む。
ステップS207に進むと、列追加部106は、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjを、実現可能山mjの集合Cに追加し、実現可能山mjの集合Cの現在値を更新する。そして、ステップS203に戻り、ステップS205において、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」を超えると判定されるか、または、ステップS206において、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに含まれていると判定されるまで、ステップS203〜S207の処理を繰り返し行う。
以上のようにしてステップS205において、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下でないと判定されるか、または、ステップS206において、ステップS204で導出された(最新の)山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに含まれていると判定されると、ステップS208に進む。ステップS208に進むと、最適解導出部107は、当該判定の時点で得られている(最新の)実現可能山mjの集合C(行列A)を用いて、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を導出し、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する。
次に、ステップS209において、後処理部108は、双対誤差(=JU−JL)が閾値TH未満であるか否かを判定する。この判定の結果、双対誤差(=JU−JL)が閾値TH未満である場合には、ステップS208で導出された実現可能山群の最適解{mj_opt}が、本来の最適解(全ての実現可能山mjを用いて原問題Pを解いた時の解)であると見なせるので、ステップS210の処理を省略して後述するステップS211に進む。
一方、双対誤差(=JU−JL)が閾値TH未満でない場合には、ステップS207で導出された実現可能山群の最適解{mj_opt}に実現可能山mjを追加して、原問題Pの最適解を、可能な限り、本来の最適解に近づけるようにするために、ステップS210に進み、後処理部108は、列生成後処理を実行する。そして、ステップS211に進む。列生成後処理の詳細については、図3を参照しながら後述する。
ステップS211に進むと、出力部109は、実現可能山群の最適解{mj_opt}の情報を山分け計画の情報として出力する。そして、図2のフローチャートによる処理を終了する。
次に、図3のフローチャートを参照しながら、図2のフローチャートのステップS210の列生成後処理の詳細について説明する。
まず、ステップS301において、後処理部108は、双対最適解popt[i](即ち、ステップS205でNoと判定される直前にステップS203で導出された双対解psol[i])を用いて、(13)式〜(17)式、(21)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出する。そして、後処理部108は、導出した決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])から、(18)式および(19)式により、実現可能山mjのコストcjと、当該実現可能山mjに対する双対コストPjとを導出する。
次に、ステップS302において、後処理部108は、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下である場合には、ステップS303に進む。
ステップS303に進むと、後処理部108は、ステップS301で導出された山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実行可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されているか否かを判定する。この判定の結果、実現可能山mjの集合Cに既に登録されている場合には、ステップS304に進む。
ステップS304に進むと、後処理部108は、列生成子問題Sを変更する。具体的に本実施形態では、列生成子問題Sに以下の(22)式の制約式を追加する。また、既に(22)式の制約式が追加されている場合には、ステップS304の処理が行われる度に、正の値を有する微小値を(22)式のαの値に加算し、αの値を更新する。そして、ステップS301に戻り、後処理部108は、双対最適解popt[i](即ち、ステップS205でNoと判定される直前にステップS203で導出された双対解psol[i])を用いて、(13)式〜(17)式、(21)式、(22)式の制約式を満足する範囲で(20)式の目的関数JSの値を最小にする決定変数(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を導出する。以上のステップS301〜S304の処理を、ステップS302において、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)以下でないと判定されるか、または、ステップS303において、実現可能山mjの集合Cに登録されていないと判定されるまで繰り返し行う。
ステップS303において、実現可能山mjの集合Cに登録されていないと判定されると、ステップS305に進む。ステップS305に進むと、後処理部108は、ステップS301で導出した(最新の)実現可能山mjを、実現可能山mjの集合Cに追加する。そして、前述したステップS301に戻り、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)を超えるまで、ステップS301〜S305の処理を繰り返し行う。そして、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が双対誤差(=JU−JL)を超えると、ステップS306に進む。ステップS306に進むと、後処理部108は、ステップS305で実現可能山mjが追加された実現可能山mjの集合Cを用いて、(2)式の制約式を満足する範囲で(4)式の目的関数Jの値を最小にする決定変数x[j]を導出して、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する。そして、後処理部108は、当該実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JU2が、ステップS208で実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出したときの目的関数Jの値である実現可能山群の最適値JUに対し改善されていれば、実現可能山群の最適解{mj_opt}を当該導出した実現可能山群の最適解{mj_opt}に更新する。そして、図3のフローチャートによる処理を終了する。
(実施例)
次に、実施例を説明する。本実施例では、特許文献1に記載の技術を用いた場合には、実現可能山を列挙できないような問題、および、実現可能山は列挙できるが、その後の集合分割問題が求解できないような問題について、本実施形態の手法を適用し、その効果を調べた。ここで、実現可能山を列挙できないとは、実現可能山を列挙する計算過程で主メモリの容量が上限に達し、計算続行が不可能になることを指す。また、集合分割問題が求解できないとは、数時間を要しても求解できない、または、最適解の計算過程で主メモリの容量が上限に達し、計算続行が不可能になることを指す。
本実施例では、以下の計算環境で計算を行った。
プロセッサ:Intel(登録商標)Xeon(登録商標)CPU E5-2687W@301GHz(2プロセッサ)
実装メモリ(RAM):128GB
OS:Windows7(登録商標) Professional 64ビットオペレーションシステム
最適計算ソフト:ILOG CPLEX(登録商標) Cplex11.0 Concert25
図4に、山分け計画の作成結果の一例を示す。図4において、比較例は、特許文献1の手法を指し、発明例は、本実施形態の手法を指す。「Gr数」は、鋼材iの数である。Gr数の隣にかっこ書きで示す「鋼材数」は、鋼材iを構成する(1つ1つの)鋼材の総数である。実現可能山の数は、実現可能山を全数列挙する特許文献1の手法(比較例)によって求めたものである。繰り返し数は、図2のステップS203〜S206の繰り返しの回数である。上界値/下界値は、双対誤差を求める際に使用した上界値JU、下界値JLである。双対Gapは、上界値JUから下界値JLを減算した値を上界値JUで割った値に100を掛けた値(={(上界値JU−下界値JL)÷上界値JU}×100)である。また、「>108」は、実現可能山を列挙できなかったことを示す。「不能」は、集合分割問題が求解できなかったことを示す。
図4において、Data ID 04,10,12,15,22は、特許文献1の手法(比較例)では、実現可能山を列挙する途中で主メモリがオーバーフローするケースである。Data ID 08,11は、実現可能山を列挙できるが、その後の集合分割問題が求解できなかったケースである。何れのケースにおいても、特許文献1の手法では、解すら得られない難問題であったが、本実施形態の手法(発明例)では、何れの問題も最適解あるいは最適解に近いと思われる実行可能解が得られている。また、Data ID 20のように、特許文献1の手法では、集合分割問題の最適解まで求解できても、計算時間が長くなるようなケースに対し、本実施形態の手法を適用すれば、特許文献1に記載の技術よりも計算時間を大幅に短縮することが分かる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値が「0」以下である場合に、実現可能山mjの集合C(行列A)に実現可能山mjを追加する。かかる実現可能山mjの追加を、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値が「0」を上回るまで繰り返し行う。このようにして得られた実現可能山mjの集合Cを用いて原問題Pを解いて決定変数x[j]を導出し、実現可能山群の最適解{mj_opt}を導出する。
従って、山分け問題に列生成法を適用することができるようになり、実現可能山の候補として可及的に過不足なく実現可能山の候補を列挙することができる(即ち、全ての実現可能山を列挙する必要がなくなる)。従って、特許文献1に記載の技術では、実現化の山を列挙すらできないような大規模な問題であっても、可及的に適切な山分け計画を確実に作成することができる。
また、列生成法は、これを用いることで線形計画問題の最適解を得られることは保証されているが、集合分割問題の様な0-1整数計画問題に対しては、解の下限は求まるものの、最適解を得られることは必ずしも保証されていない。特許文献2に記載の技術でもこの点は課題として残されたままである。これに対し本実施形態では、列生成後処理を行うので、可及的に最適な解を導出することができる。
また、列生成法は、繰り返し計算となることから計算時間を要する方法である。このため、山分け計画をリアルタイム制御に利用するには可及的に計算時間を短縮する方法が必要となる場合がある。しかし、特許文献2では、2つの異なる文書に含まれる文の対応関係を求めるようなオフラインで使用する用途を前提としているため、この課題については触れられていない。これに対し本実施形態では、列生成子問題Sを解く際に、(21)式のように、実現可能山mjのコストcjが、当該実現可能山mjに対する双対コストPj以下(cj≦Pj)であるという制約を追加する。従って、計算時間のかかる列生成子問題Sの計算時間を短縮することができる。
(変形例)
<変形例1>
本実施形態では、列生成子問題Sを解く際に、(21)式の制約式を追加することにより、列生成子問題Sの計算時間を短縮する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、列生成子問題Sの計算時間を短縮する手法は、このような手法に限定されない。例えば、列生成子問題Sの計算の打ち切りの条件となる双対ギャップを、列生成子問題S(ステップS204)を実行する度に調整してもよい。
即ち、列生成部104による列j(実現可能山mj)の繰り返し計算が進行すると、実現可能山mjの集合Cに追加される実現可能山mjが増えるので、双対解を計算する実現可能山mjも増える。従って、双対解が双対問題Dの真の最適解に近づき、それに伴い、列生成子問題Sの最適解(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])に基づいて得られる、実現可能山mjのコストcjおよび当該実現可能山mjに対する双対コストPjは、cj<Pjの状態で双対コストPjが実現可能山mjのコストcjに徐々に近づいてくる。
つまり、列生成部104による実現可能山mjの繰り返し計算が進行するほど、列生成部104で計算される最適解(山構成鋼材有無変数mj[i])から得られる実現可能山mjが、原問題Pの真の最適解である信憑性が高まるので、計算精度を高めることが求められる。従って、前回の計算において列生成部104で列生成子問題Sの最適解に基づいて得られる、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)に応じて、列生成子問題Sの計算の打ち切りの条件となる双対ギャップを設定すればよい。
この場合、例えば、列生成部104は、列生成子問題Sの計算の打ち切りの条件となる双対ギャップGap[%]を、以下の(23)式に従って設定する。
Figure 2018073171
ここで、βは、0を上回る係数であり、予め設定される。係数βの値が大きくなるほど計算時間は早くなるが計算精度が低下するので、計算時間と計算精度との兼ね合いから係数βの値を決めるのが好ましい。例えば、係数βを「1」にすることができる。Vopt_prvは、前回のステップS204の計算において導出される値であり、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値(=cj−Pj)である。尚、(23)式の右辺にマイナスがついているのは、列生成子問題Sの繰り返し計算が行われている間(図2のステップS205でYesとなる場合)には、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)はマイナスの値になるからである。このように、実現可能山mjのコストcjから当該実現可能山mjに対する双対コストPiを減算した値(=cj−Pj=Vopt_prv)の絶対値が小さいほど、列生成子問題Sの計算の打ち切りの条件となる双対ギャップGap[%]は小さくなる。
また、双対ギャップは、以下の(24)式で定義されるものである。
Figure 2018073171
ここで、双対ギャップを規定する上界値・下界値は、列生成部104(図2のステップS204)で列生成子問題Sを解く際に得られる上界値・下界値である。上界値は、列生成子問題Sの実行可能解のうちの最良の解(最適解)を目的関数JSに与えたときの目的関数JSの値である。下界値は、列生成子問題Sを分枝限定法等により解く際に使用する線形緩和問題の解のうち最も悪い解(最大値)を当該線形緩和問題の目的関数に与えたときの当該目的関数の値である。
列生成部104は、図2のステップS204で列生成子問題Sを解く際に、(24)式の計算を行うことにより、双対ギャップを導出する。また、列生成部104は、(23)式の計算を行うことにより、列生成子問題Sの計算の打ち切りの条件となる双対ギャップGapを導出して記憶する。列生成部104は、(24)式の計算を行うことにより導出した双対ギャップが、係数βを「1」にした場合には、前回の列生成子問題Sの計算時に導出した双対ギャップGap以下になった時点で、列生成子問題Sの計算を打ち切り、その時点で得られている解(山構成鋼材有無変数mj[i]および鋼材上下関係変数y[i1][i2])を最適解とする。
尚、(21)式の制約式を加えた上で、本変形例1で説明した処理を行ってもよい。
<変形例2>
本実施形態では、列生成後処理においてステップS301で導出された山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実行可能山mjが、実現可能山mjの集合Cに既に登録されている場合には、(22)式のようにして列生成子問題Sを変更する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、列生成子問題Sを変更する手法は、このような手法に限定されない。
その手法の第1の例として、後処理部108は、実現可能山mjの集合Cに既に登録されていると判定された実現可能山mjに含まれていない鋼材(山構成鋼材有無変数mj[i]の値が「0」である鋼材i)に対し、mj[i]=1とする制約式を(22)式に替えて用いることができる。また、これとは逆に、実現可能山mjの集合Cに既に登録されていると判定された実現可能山mjに含まれている鋼材(山構成鋼材有無変数mj[i]の値が「1」である鋼材i)に対し、mj[i]=0とする制約式を(22)式に替えて用いることができる。
また、第2の例として、後処理部108は、列生成子問題Sに使用する双対最適解popt[i]の各要素に対し、ランダムに微小な摂動を与える(ランダムに正または負の値を加算する)ことを、ステップS301で導出された山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjが実現可能山mjの集合C(行列A)に登録されるまで繰り返し行うことができる。前出の双対解psol[i]が、繰り返し処理のなかでステップS203に於いて毎回導出される、双対問題Dの最適解であるのに対して、前述したように双対最適解popt[i]は、当該繰り返し処理が完了した時点に於ける双対問題Dの最適解であることを示す。
<変形例3>
図2のステップS207において原問題Pの最適解(実現可能山群の最適解{mj_opt})が導出された場合には、その時点でステップS203において導出された(最新の)双対最適解popt[i]は高精度である。従って、本実施形態では、列生成後処理において、双対問題Dを解かずに列生成子問題Sを解く場合を例に挙げて説明した。しかしながら、列生成後処理においても、双対最適解popt[i]を導出してもよい。この場合、実現可能山mjの集合Cに追加された実現可能山mjに基づいて双対最適解popt[i]を導出し、導出した双対最適解popt[i]を用いて、列生成子問題Sを解くことになる。
<その他の変形例>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態との対応関係の一例について説明する。請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例等において説明した通りである。
<請求項1>
決定変数は、例えば、決定変数x[j]により実現される。
前記実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標は、例えば、コストcj(総総数c1j、逆転対数c2j)により実現される。
初期解として与えられた実現可能山の集合は、例えば、初期列集合設定部102により設定される実現可能山mjの集合Cの初期値により実現される。
双対解導出手段は、例えば、双対解導出部103により実現される。
列生成手段は、例えば、列生成部104により実現される。候補山は、例えば、列生成部104により導出される山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjにより実現される。
判定手段は、例えば、判定部105により実現される。
列追加手段は、例えば、列追加部106により実現される。
最適解導出手段は、例えば、最適解導出部107により実現される。
山積み制約は、例えば、(16)式、(17)式により実現される。
双対解は、双対解psol[i]により実現される。
<請求項2>
制約式は、例えば、(2)式の制約式により実現される。
目的関数は、例えば、(4)式により実現される。
実現可能山のコストは、例えば、コストcjにより実現され、実現可能山の総数は、例えば、総山数c1jにより実現され、逆転対の数は、例えば、逆転対数c2jにより実現される。
<請求項3>
制約式は、例えば、(9)式により実現される。
目的関数は、例えば、(11)式により実現される。
前記実現可能山に対する双対コストは、例えば、双対コストPjにより実現される((9)式の左辺も参照のこと)。
該鋼材と該実現可能山に対応する山構成鋼材有無変数は、例えば、山構成鋼材有無変数mj[i]により実現される。
双対変数は、例えば、p[i]により実現される。
<請求項4>
制約式は、例えば、(13)式〜(17)式により実現される。
目的関数は、例えば、(20)式により実現される。
鋼材上下関係変数は、例えば、y[i1][i2]により実現される。
<請求項5>
制約式は、例えば、(21)式により実現される。
<請求項6>
請求項6は、例えば、<変形例1>に対応する。
前記列生成子問題に対する計算を打ち切るか否かを判定する双対ギャップの閾値は、例えば、(23)式の双対ギャップGap[%]により実現される。
<請求項7>
請求項7は、例えば、判定部105が、図2のステップS205において、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値(=cj−Pj)が「0」以下であるか否かを判定することに対応する。
<請求項8>
後処理手段は、例えば、後処理部108により実現される。
後処理用列生成手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS301の処理を実行することにより実現される。追加候補山は、例えば、このステップS301の処理で後処理部108により導出される山構成鋼材有無変数mj[i]に基づく実現可能山mjにより実現される。
後処理用判定手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS302の処理を実行することにより実現される。収束条件が緩和されていることは、図2のステップS205において、実現可能山mjのコストcjから、当該実現可能山mjに対する双対コストPjを減算した値が「0」以下であるか否かを判定しているのに対し、図3のステップS302では、双対誤差(=JU−JL)以下であるか否かを判定していることに対応する。
後処理用登録有無判定手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS303の処理を実行することにより実現される。
後処理用問題変更手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS304の処理を実行することにより実現される。
後処理用列追加手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS305の処理を実行することにより実現される。
後処理用最適解導出手段は、例えば、後処理部108が、図3のステップS306の処理を実行することにより実現される。
双対誤差は、例えば、双対誤差(=JU−JL)により実現される。
変更された列生成子問題は、例えば、元の列生成子問題に対し、(22)式の制約式を追加したり、変形例2のようにしたりすることにより実現される。
<請求項9>
同一列選択抑制用制約式は、例えば、(22)式により実現される。
<請求項10>
同一列選択抑制用制約式は、例えば、変形例2の第1の例に示す制約式(山構成鋼材有無変数mj[i]の値が「0」である鋼材iに対し、mj[i]=1とする制約式、山構成鋼材有無変数mj[i]の値が「1」である鋼材iに対し、mj[i]=0とする制約式)により実現される。
<請求項11>
請求項11は、例えば、変形例2の第2の例に対応する。
100:鋼材の山分け計画作成装置、101:鋼材情報取得部、102:初期列集合設定部、103:双対解導出部、104:列生成部、105:判定部、106:列追加部、107:最適解導出部、108:後処理部、109:出力部

Claims (13)

  1. 鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入される複数の鋼材を、所定の山積み制約を満たすように山積みして、次工程に払い出す最終的な山姿となった複数の払出山に山分けするための山分け計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより山分け計画を作成する鋼材の山分け計画作成装置であって、
    前記鋼材を、前記山積み制約を満たす様に積んだ山である複数の実現可能山のそれぞれについて、該実現可能山を解として採用する場合に「1」となり、該実現可能山を解として採用しない場合に「0」となる0−1変数を決定変数として、該実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標と、初期解として与えられた実現可能山の集合とを用いて、前記複数の鋼材を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能山の最適な組み合わせを求める問題を原問題とし、
    前記原問題の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題の最適解である双対解を導出する双対解導出手段と、
    前記原問題の最適解を構成する実現可能山の候補である候補山を生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成手段と、
    前記列生成手段により導出された前記候補山が、収束要件を満足するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足しないと判定されると、前記列生成手段により生成された前記候補山を前記実現可能山の集合に追加する列追加手段と、
    前記判定手段により、前記列生成手段により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足すると判定されると、その時点で得られている前記実現可能山の集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能山の組み合わせを導出する最適解導出手段と、を有し、
    前記判定手段は、前記双対解導出手段による前記双対解の導出と、前記列生成手段による前記列生成子問題の最適解の導出と、前記判定手段による前記判定とを繰り返す収束計算を、前記収束要件を満足すると判定するまで実行し、
    前記列生成子問題は、前記双対解と、前記山積み制約とを用いて、前記実現可能山の集合に追加する前記候補山を求める問題であることを特徴とする鋼材の山分け計画作成装置。
  2. 前記原問題は、前記複数の鋼材のそれぞれについて、前記実現可能山の集合の中から、該鋼材を含む前記実現可能山が必ず1つ選択されるという制約を表す制約式であって、前記決定変数を用いて表される制約式と、前記実現可能山の集合に含まれる前記実現可能山のコストの総和を求める目的関数であって、前記決定変数および前記実現可能山のコストを用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最小になる前記決定変数を決定する0−1整数計画問題であり、
    前記実現可能山のコストは、前記実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標として、前記実現可能山の総数および逆転対の数を含み、
    前記逆転対は、同一の前記実現可能山において前記ヤードへの到着順が早い方の前記鋼材が遅い方の前記鋼材よりも上に積まれる逆転の関係にある前記鋼材の対であることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  3. 前記双対問題は、前記実現可能山の集合に含まれる前記実現可能山のそれぞれのコストが、該実現可能山に対する双対コスト以上であるという制約を表す制約式であって、該実現可能山のコスト、該実現可能山に対応する山構成鋼材有無変数、および双対変数を用いて表される制約式と、前記複数の鋼材についての該双対変数の総和を求める目的関数であって、該双対変数を用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最大になる該双対変数の値を前記双対解として決定する線形計画問題であり、
    前記双対変数は、前記鋼材毎に定められる変数であり、
    前記実現可能山に対する双対コストは、前記鋼材に対する前記双対変数の値と、該鋼材と該実現可能山に対応する山構成鋼材有無変数との積の、前記複数の鋼材についての総和で表され、
    前記山構成鋼材有無変数は、前記鋼材毎に定められる0−1変数であって、前記実現可能山に前記鋼材が含まれる場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる0−1変数であることを特徴とする請求項2に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  4. 前記列生成子問題は、前記山積み制約を表す制約式であって、前記山構成鋼材有無変数および鋼材上下関係変数を用いて表される制約式と、前記候補山となる前記実現可能山のコストから、該実現可能山に対する前記双対コストを減算した値を求める目的関数であって、前記双対変数、該山構成鋼材有無変数、および該鋼材上下関係変数を用いて表される目的関数と、を用いて、該制約式を満足する範囲で該目的関数の値が最小になる該山構成鋼材有無変数および該鋼材上下関係変数を決定する0−1整数計画問題であり、
    前記鋼材上下関係変数は、2つの前記鋼材の組み合わせにより定まる0−1変数であって、同一の前記払出山における2つの前記鋼材の上下関係を表す0−1変数であることを特徴とする請求項3に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  5. 前記列生成子問題は、前記候補山となる前記実現可能山のコストが、該実現可能山に対する前記双対コスト以下であることを表す制約式を更に有する問題であり、
    前記列生成手段は、前記列生成子問題の実行可能解が得られた時点で、該列生成子問題に対する計算を打ち切り、該実行可能解である前記山構成鋼材有無変数に基づいて、前記候補山を生成することを特徴とする請求項4に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  6. 前記列生成手段は、前記列生成子問題における上界値および下界値に基づいて双対ギャップを導出し、該双対ギャップが閾値以下であると判定すると、該列生成子問題に対する計算を打ち切り、その時点で得られている前記列生成子問題の解である前記山構成鋼材有無変数に基づいて、前記候補山を生成し、
    前記列生成子問題に対する計算を打ち切るか否かを判定する双対ギャップの閾値は、前記列生成子問題の前回の解である前記山構成鋼材有無変数に基づく前記候補山である前記実現可能山のコストから該実現可能山に対する前記双対コストを減算した値の絶対値が小さいほど、小さい値を有することを特徴とする請求項4に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  7. 前記判定手段は、前記列生成手段により導出された前記候補山である前記実現可能山のコストから該実現可能山に対する前記双対コストを減算した値が0(ゼロ)以下であるときに、前記収束要件を満足しないと判定することを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  8. 前記最適解導出手段により導出された前記実現可能山の組み合わせに対して更に追加する実現可能山を導出する後処理手段を更に有し、
    前記後処理手段は、前記列生成子問題の最適解である前記山構成鋼材有無変数に基づいて、前記更に追加する実現可能山の候補である追加候補山を導出する後処理用列生成手段と、
    前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記収束要件よりも緩和された収束要件を満足するか否かを判定する後処理用判定手段と、
    前記後処理用判定手段により、前記後処理用列生成手段により導出された前記候補山が、前記緩和された収束要件を満足しないと判定されると、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記実現可能山の集合に含まれているか否かを判定する後処理用登録有無判定手段と、
    前記後処理用登録有無判定手段により、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記実現可能山の集合に含まれていると判定されると、前記列生成子問題を変更する後処理用問題変更手段と、
    前記後処理用登録有無判定手段により、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記実現可能山の集合に含まれていないと判定されると、該追加候補山を、該実現可能山の集合に追加する後処理用列追加手段と、
    前記後処理用判定手段により、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記緩和された収束要件を満足すると判定されると、その時点で得られている前記実現可能山の集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能山の組み合わせを導出する後処理用最適解導出手段と、を更に有し、
    前記後処理用判定手段は、前記後処理用列生成手段による前記追加候補山の導出と、前記後処理用判定手段による前記判定と、前記後処理用登録有無判定手段による前記判定と、前記後処理用列追加手段による前記追加候補山の追加または前記後処理用問題変更手段による前記列生成子問題の変更とを繰り返す収束計算を、前記緩和された収束条件を満足すると判定するまで行い、
    前記後処理用判定手段は、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山としての前記実現可能山のコストから該実現可能山に対する双対コストを減算した値が、双対誤差以下である場合に、前記緩和された収束要件を満足しないと判定し、
    前記双対誤差は、前記原問題の目的関数の値であって、前記原問題の最適解に対応する目的関数の値から、前記双対問題の目的関数の値であって、前記双対問題の最適解に対応する目的関数の値を減算した値であり、
    前記後処理用列追加手段は、前記後処理用登録有無判定手段により、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記実現可能山の集合に含まれていると判定されると、該追加候補山を、該実現可能山の集合に追加せず、
    前記後処理用列生成手段は、前記後処理用列生成手段により導出された前記追加候補山が、前記実現可能山の集合に含まれていると判定されると、前記後処理用問題変更手段により変更された列生成子問題の最適解である前記山構成鋼材有無変数に基づいて、前記追加候補山を導出することを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  9. 前記後処理用問題変更手段は、前記列生成子問題に対し、同一列選択抑制用制約式を追加した問題に該列生成子問題を変更し、
    前記同一列選択抑制用制約式は、該変更された列生成子問題の目的関数の値であって、該変更された列生成子問題の最適解に対応する目的関数の値が、前回使用した前記列生成子問題の目的関数の値であって、前回使用した前記列生成子問題の最適解に対応する目的関数の値に正の値を加算した値以上であることを表す制約式であることを特徴とする請求項8に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  10. 前記後処理用問題変更手段は、前記列生成子問題に対し、同一列選択抑制用制約式を追加した問題に該列生成子問題を変更し、
    前記同一列選択抑制用制約式は、前記後処理用登録有無判定手段により前記実現可能山の集合に含まれていると判定された前記追加候補山を構成しない前記鋼材を前記追加候補山に含めることを表す制約式、または、前記後処理用登録有無判定手段により前記実現可能山の集合に含まれていると判定された前記追加候補山を構成する前記鋼材を前記追加候補山に含めないことを表す制約式であることを特徴とする請求項8に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  11. 前記後処理用問題変更手段は、前記列生成子問題に対し、前記判定手段により前記収束条件を満足すると判定される直前に前記双対解導出手段により導出された前記双対解である双対最適解の各要素に対してランダムに摂動を与えた問題に該列生成子問題を変更することを特徴とする請求項8に記載の鋼材の山分け計画作成装置。
  12. 鉄鋼プロセスにおける工程間の置場として鋼材を配置するヤードに搬入される複数の鋼材を、所定の山積み制約を満たすように山積みして、次工程に払い出す最終的な山姿となった複数の払出山に山分けするための山分け計画を作成する問題を集合分割問題とし、該集合分割問題を、列生成法を用いて解くことにより山分け計画を作成する鋼材の山分け計画作成方法であって、
    前記鋼材を、前記山積み制約を満たす様に積んだ山である複数の実現可能山のそれぞれについて、該実現可能山を解として採用する場合に「1」となり、該実現可能山を解として採用しない場合に「0」となる0−1変数を決定変数として、該実現可能山に対する前記鋼材の山立てについての評価指標と、初期解として与えられた実現可能山の集合とを用いて、前記複数の鋼材を重複することなく且つ漏れなく含む前記実現可能山の最適な組み合わせを求める問題を原問題とし、
    前記原問題の線形緩和問題を主問題とした場合の双対問題の最適解である双対解を導出する双対解導出工程と、
    前記原問題の最適解を構成する実現可能山の候補である候補山を生成する列生成子問題の最適解を導出する列生成工程と、
    前記列生成工程により導出された前記候補山が、収束要件を満足するか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程により、前記列生成工程により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足しないと判定されると、前記列生成工程により生成された前記候補山を前記実現可能山の集合に追加する列追加工程と、
    前記判定工程により、前記列生成工程により導出された前記候補山が、前記収束要件を満足すると判定されると、その時点で得られている前記実現可能山の集合に基づいて、前記原問題の最適解として、前記実現可能山の組み合わせを導出する最適解導出工程と、を有し、
    前記判定工程は、前記双対解導出工程による前記双対解の導出と、前記列生成工程による前記列生成子問題の最適解の導出と、前記判定工程による前記判定とを繰り返す収束計算を、前記収束要件を満足すると判定するまで実行し、
    前記列生成子問題は、前記双対解と、前記山積み制約とを用いて、前記実現可能山の集合に追加する前記候補山を求める問題であることを特徴とする鋼材の山分け計画作成方法。
  13. 請求項1〜11の何れか1項に記載の鋼材の山分け計画作成装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
JP2016213101A 2016-10-31 2016-10-31 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム Active JP6838353B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016213101A JP6838353B2 (ja) 2016-10-31 2016-10-31 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016213101A JP6838353B2 (ja) 2016-10-31 2016-10-31 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018073171A true JP2018073171A (ja) 2018-05-10
JP6838353B2 JP6838353B2 (ja) 2021-03-03

Family

ID=62114375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016213101A Active JP6838353B2 (ja) 2016-10-31 2016-10-31 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6838353B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019224954A1 (ja) * 2018-05-23 2019-11-28 三菱電機株式会社 線形計画問題求解システム、解候補算出装置、最適解算出装置、宇宙機のスラスタ制御装置および飛翔体制御装置並びに線形計画問題の求解方法
JP2020107277A (ja) * 2018-12-28 2020-07-09 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム
JP2020151734A (ja) * 2019-03-19 2020-09-24 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP2021043693A (ja) * 2019-09-11 2021-03-18 日本製鉄株式会社 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6954218B2 (ja) * 2018-04-06 2021-10-27 日本製鉄株式会社 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム
JP7099315B2 (ja) * 2018-12-28 2022-07-12 日本製鉄株式会社 山分け計画作成装置、山分け計画作成方法、およびプログラム
JP7099314B2 (ja) * 2018-12-28 2022-07-12 日本製鉄株式会社 山分け計画作成装置、山分け計画作成方法、およびプログラム

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010086235A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Univ Of Tokyo 情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
US20150242757A1 (en) * 2012-03-07 2015-08-27 International Business Machines Corporation Systems and methods for solving large scale stochastic unit commitment problems
JP2015170131A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 日本電信電話株式会社 文対応付け決定装置、方法、及びプログラム
JP2016081186A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 新日鐵住金株式会社 鋼材の山分け計画方法、装置及びプログラム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010086235A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Univ Of Tokyo 情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
US20150242757A1 (en) * 2012-03-07 2015-08-27 International Business Machines Corporation Systems and methods for solving large scale stochastic unit commitment problems
JP2015170131A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 日本電信電話株式会社 文対応付け決定装置、方法、及びプログラム
JP2016081186A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 新日鐵住金株式会社 鋼材の山分け計画方法、装置及びプログラム

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019224954A1 (ja) * 2018-05-23 2019-11-28 三菱電機株式会社 線形計画問題求解システム、解候補算出装置、最適解算出装置、宇宙機のスラスタ制御装置および飛翔体制御装置並びに線形計画問題の求解方法
JPWO2019224954A1 (ja) * 2018-05-23 2021-01-14 三菱電機株式会社 線形計画問題求解システム、解候補算出装置、最適解算出装置、宇宙機のスラスタ制御装置および飛翔体制御装置並びに線形計画問題の求解方法
JP2020107277A (ja) * 2018-12-28 2020-07-09 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム
JP7156024B2 (ja) 2018-12-28 2022-10-19 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、及びプログラム
JP2020151734A (ja) * 2019-03-19 2020-09-24 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP7234721B2 (ja) 2019-03-19 2023-03-08 日本製鉄株式会社 計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
JP2021043693A (ja) * 2019-09-11 2021-03-18 日本製鉄株式会社 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム
JP7332874B2 (ja) 2019-09-11 2023-08-24 日本製鉄株式会社 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6838353B2 (ja) 2021-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018073171A (ja) 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム
Robenek et al. A branch-and-price algorithm to solve the integrated berth allocation and yard assignment problem in bulk ports
Chen et al. Total tardiness minimization on unrelated parallel machine scheduling with auxiliary equipment constraints
Lu et al. The integrated optimization of container terminal scheduling with uncertain factors
Liu Iterative heuristic for simultaneous allocations of berths, quay cranes, and yards under practical situations
US9384053B2 (en) Task allocation optimization system, task allocation optimization method, and non-transitory computer readable medium storing task allocation optimization program
US8887165B2 (en) Real time system task configuration optimization system for multi-core processors, and method and program
JP6390331B2 (ja) 鋼材の山分け計画方法、装置及びプログラム
Jiang et al. Short-term space allocation for storage yard management in a transshipment hub port
CN113723867B (zh) 资源分配的方法、装置、设备、存储介质及程序产品
CN111598324A (zh) 配载车线优化方法、装置、设备及存储介质
JP2009082985A (ja) 加熱炉装入順・圧延順決定方法、その決定装置および鋼板製造方法、加熱炉装入順・圧延順決定プログラム
JP2014055037A (ja) 積載操作方法、システム及びコンピュータ・プログラム。
Kucharska et al. Extended learning method for designation of co-operation
JP6658372B2 (ja) ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム
Raggl et al. Solving a real world steel stacking problem
JP6540360B2 (ja) 鋼材の山分け計画立案装置、鋼材の山分け計画立案方法、およびプログラム
JP6954218B2 (ja) 鋼材の山分け計画作成装置、鋼材の山分け計画作成方法、およびプログラム
JPWO2015064683A1 (ja) 経路計算装置、経路計算方法およびプログラム
Tao et al. Dynamic scheduling of dual-resource constrained blocking job shop
JP7024580B2 (ja) 山分け計画作成装置、山分け計画作成方法、およびプログラム
JP2018100166A (ja) ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム
AU2020462915B2 (en) Information processing system for assisting in solving allocation problems, and method
Wang et al. Robust optimization for the integrated berth allocation and quay crane assignment problem
JP7099315B2 (ja) 山分け計画作成装置、山分け計画作成方法、およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190605

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210125

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6838353

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151