JP2019206414A - ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書、特許請求の範囲、および図面では、「既着山」、「仮想山」、「初期山」、「最終山」、「仮山」を以下の意味で用いることとする。
既着山:現時点で、既にヤードにおいて形作られている山。
仮想山:現時点で、ヤードに到着していない金属材を、ヤードへの到着順が早いものほど上に山積みすると仮定した場合の山(現実に存在する山ではない)。
初期山:既着山と仮想山の総称。
最終山:後工程に払出すために積み上げた最終的な山(払出山ともいう)。
仮山:現時点以降に、初期山から、最終山へ移送する際に、やむを得ず仮置きを行う山。
従って、ヤードへの到着前後の様々な事情により、ヤード到着時の積み姿が払出順でなくなった山を払出順に積み替える作業を、効率的に(即ち、できるだけ少ない搬送数で)且つできるだけ少ない最終山数となるようにすると共に、できるだけ少ない仮置き場に留めて行うニーズは極めて高い。
まず、特許文献1には、既にヤードにある既着山の鋼材を払出順に積み替える際、必要とされる配替負荷や積姿制約を考慮して最適な最終山の山姿を、組み合わせ最適化問題として定式化し、タブサーチ手法を用いて算出する手法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、最終山の山姿を求める手法は示されているが初期山から最終山へ至る搬送順を求める手法をどのようにするかという点は明確に示されていない。
最後に、特許文献3には、山立ておよび搬送に関する制約条件を満たす数理計画問題に帰着させ、山仕分けおよび搬送順を同時に最適化する手法が開示されている。
最終山の総数が最小になることを実現する前提で、非移動鋼材の総数を最大にする問題を考える。ここで、全ての鋼材は、移動鋼材および非移動鋼材の何れかに識別することができる。
また、非移動鋼材となり得る鋼材は、初期山の山姿より判定することが可能である。非移動鋼材となり得る鋼材は、初期山の最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっている部分である。また、各初期山において、ある鋼材が非移動鋼材ならば、その下にある鋼材群も非移動鋼材としなくてはならない。非移動鋼材よりも下にある鋼材群を移動させるためには、当該非移動鋼材を移動させなければならないからである。従って、各初期山における非移動鋼材のうち、最上段にある非移動鋼材より上の鋼材は全て移動鋼材となる。
本実施形態では、各鋼材の初期山の山姿および払出順(圧延順)は所与とする。
ここで、鋼材グループの集合をN={1,2,・・・,ng}と表記する。鋼材グループとは、搬送機器(主にクレーン)にて搬送する際に、分割されることのない(最小単位となる)一枚以上の鋼材の纏まりを指す。従って、本実施形態では、鋼材の移動(搬送)が、鋼材グループの単位で行われる場合を基本として説明する。従って、本発明によって移動すべきであると決定される鋼材グループを必要に応じて移動鋼材グループと称し、移動すべきではないと決定される鋼材グループを必要に応じて非移動鋼材グループと称する。但し、説明の簡潔化のために、「移動鋼材グループ」、「非移動鋼材グループ」をそれぞれ単に「移動鋼材」、「非移動鋼材」と呼ぶ場合がある。また、鋼材の移動(搬送)が、鋼材一枚単位で行われる場合には、以降の説明に於いて、「鋼材グループ」を「鋼材」と読み替えればよい。
非移動鋼材の総数を最大化する場合、(1)式の仮定がないと、非移動鋼材が自明となる場合があり得る。しかしながら、(1)式の仮定を設けることにより、初期山の最下段からの積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)となっている鋼材グループであっても、最終山の高さを高くするために移動鋼材となる場合が生じる。
また、非移動鋼材のある初期山の置場が、当該非移動鋼材を含む最終山の置場となる。移動鋼材のみで構成される最終山は、当該移動鋼材の全てが仮置きされなければ、当該移動鋼材を含む初期山の置場とは異なる置場に置かれることになる。一方、移動鋼材のみで構成される最終山であっても、当該移動鋼材の一部が仮置きされ、当該仮置きされた移動鋼材のあった初期山に再び搬送される場合、当該最終山は、当該移動鋼材の初期山の置場と同じ置場に置かれることになる。
・幅制約
或る鋼材グループの最大幅が、当該或る鋼材グループの下に位置する鋼材グループの最小幅よりも狭いならば、当該或る鋼材グループを、当該下に位置する鋼材グループの上に無条件で置ける。或る鋼材グループの最大幅が、当該或る鋼材グループの下に位置する鋼材グループの最小幅よりも広い場合には、両者の幅の差が、作業制約により定まる基準値(例えば200[mm])未満であれば、当該或る鋼材グループを、当該下に位置する鋼材グループの上に置けるが、それを越えると置けない。
或る鋼材グループの最大長が、当該或る鋼材グループの下に位置する鋼材グループの最小長よりも短いならば、当該或る鋼材グループを、当該下に位置する鋼材グループの上に無条件で置ける。或る鋼材グループの最大長が、当該或る鋼材グループの下に位置する鋼材グループの最小長よりも長い場合には、両者の長さの差が、作業制約により定まる基準値(例えば2000[mm])未満であれば、当該或る鋼材グループを、当該下に位置する鋼材グループの上に置けるが、それを越えると置けない。
1つの最終山として山積みできる鋼材の数は、最終山の高さの上限値h以下でなければならない。最終山の高さの上限値hは、例えば10である。
<非移動鋼材および移動鋼材を決定する際に用いる決定変数>
本実施形態では、任意の鋼材グループiに対し、非移動最上段鋼材判別変数xiと、移動有無判別変数yiとを決定変数とする。非移動最上段鋼材判別変数xiは、以下の(2)式のように定義され、移動有無判別変数yiは、以下の(3)式のように定義される。
移動有無判別変数yiは、鋼材グループiが移動鋼材グループである場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
本実施形態では、非移動鋼材グループおよび移動鋼材グループを決定した後、移動鋼材グループのみを移動(搬送)させるものとして、初期山から最終山に積み替える際の各鋼材グループiの搬送順と最終山の山姿とを決定する。初期山から最終山に積み替える際の各鋼材グループiの搬送順と最終山の山姿を決定する手法は、公知の技術で実現することができる。本実施形態では、特許文献3に記載の手法を用いる場合を例に挙げて説明する。特許文献3では、山仕分け・搬送順変数x[i][m][s]と、仮置き判定変数y[p][s1][s2]と、最適山存在判定変数δ[m]とを決定変数としている。これらの決定変数の詳細は特許文献3に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略し、概要のみを説明する。
図1は、ヤード管理装置100の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。図2は、ヤード管理装置100により実行されるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートである。
[鋼材情報取得部101、鋼材情報取得ステップS201]
鋼材情報取得部101は、山積みの対象となる鋼材についての鋼材情報を取得する。鋼材情報は、鋼材グループ情報と、各鋼材グループの初期山の山姿を特定する情報と、最終山の高さの上限値hを特定する情報とを含む。
識別情報は、各鋼材グループを一意に識別する識別情報(鋼材グループID)である。
払出順は、各鋼材グループの払出順(圧延工程への搬送順)である。尚、本実施形態では、識別情報を払出順としているので、払出順は、鋼材グループ情報に含まれていなくてもよい。
最大幅・最小幅は、それぞれ、各鋼材グループを構成する鋼材の最大幅・最小幅である。
最大長・最小長は、それぞれ、各鋼材グループを構成する鋼材の最大長・最小長である。また、全鋼材数nは以下の(4)式で表されるものとする。
最終山の高さの上限値hは、1つの最終山として山積みできる鋼材の数の上限値である。
鋼材情報の取得形態としては、例えば、ヤード管理装置100のユーザインターフェースの入力操作、外部装置からの送信、または可搬型の記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
制約式・目的関数設定部102は、前述した制約を数式で表した制約式と、前述した目的を数式で表した目的関数とを設定する。
<<制約式>>
まず、制約式について説明する。
(2)式および(3)式で定義した非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動可否有無変数yiを、所与の初期山の山姿により予め決定することができる鋼材グループiがある。また、非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動可否判別変数yiは、互いに従属関係にある。以上のことから、本実施形態では、非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動可否判別変数yiのそれぞれを定義する制約式((7)式〜(11)式)と、非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動可否判別変数yiの関係を定義する制約式((12)式〜(15)式)を用いる。
ここで、鋼材グループの集合Nを分割した鋼材グループの部分集合Sk(⊂N)の集合をS={S1,S2,・・・,Sr}と表記する。この鋼材グループの部分集合Skのそれぞれが初期山となる。また、鋼材グループを識別する変数iは、当該鋼材グループの払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。従って、以下の(5)式および(6)式が成立する。
各初期山Skにおいて、非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)となる鋼材グループiの数の最大値は1である。従って、以下の(9)式が成り立つ。
各初期山Skにおいて、移動鋼材グループiより上にある鋼材グループは全て移動する。従って、各初期山Skで最下段から上に向かって見た場合の払出順(=i(鋼材グループの識別番号))を、k1,k2,・・・とすると、以下の(11)式が成り立つ。
全ての鋼材グループiは、移動鋼材グループおよび非移動鋼材グループの何れかに一意に識別される。初期山Skにおいて、鋼材グループiの一番上にある鋼材の最下段から数えた場合の積段数(当該鋼材を含み、それより下にある鋼材の数)をbiとすると、非移動鋼材グループの総数は、非移動最上段鋼材判別変数xiを用いて、Σi∈Nbi・xiと表記できる。また、移動鋼材の総数は、移動有無判別変数yiを用いて、Σi∈Nyi・wiと表記できる。従って、非移動鋼材の総数と移動鋼材の総数との和が、初期山(既着山および仮想山)を構成する鋼材の総数であることを示す以下の(12)式が成り立つ。
任意の払出順(鋼材グループ)iに対し、i以前の払出順となる鋼材グループj(≦i)のうち、非移動最上段鋼材判別変数xjが1(xj=1)となる鋼材グループj(非移動鋼材グループ)があれば、最小となる最終山の総数zを達成するには、当該鋼材グループjの上に、(h−bj)・xj枚の鋼材を積む必要がある。つまり、初期山Skにおいて、非移動鋼材の中で最上段にある非移動鋼材iの上に移動鋼材により埋めるべき空きスペースに埋められる鋼材の総数が、Σj:i≧j(h−bj)・xjあることになる。この
空きスペースに積むことができる鋼材は、払出順がq(≦i)の移動鋼材でなければならない。その移動鋼材の総数は、Σq:i≧qyq・wqである。従って、この制約は以下の
(15)式のように記述できる。
本実施形態では、移動鋼材グループおよび非移動鋼材グループを決定する際に、最終山の山姿を規定しないので、積姿制約(幅制約および長さ制約)を完全に考慮することは難しい。しかしながら、非移動鋼材グループと移動鋼材グループとの間における積姿制約(幅制約および長さ制約)は扱うことができる。そこで、本実施形態では、非移動鋼材グループと移動鋼材グループとの間における積姿制約(幅制約および長さ制約)を課す。
次に、目的関数について説明する。
前述したように本実施形態では、移動鋼材グループの総数を最小、または非移動鋼材グループの総数を最大にすることを目的とするので、以下の(18)式または(19)式に示す目的関数Jを用いる。
最適化計算部103は、(9)式〜(13)式、(15')式、(16)式の制約式を満足する範囲で、(18)式または(19)式の目的関数Jの値が最小になるときの非移動最上段鋼材判別変数xjおよび移動有無判別変数yiを最適解として算出する。また、最適解の算出は、最適化問題を混合整数計画法などの数理計画法により解くための公知のアルゴリズム(solverなどの利用を含む)を用いることにより実現できる。
以上のようにして非移動最上段鋼材判別変数xjおよび移動有無判別変数yiの最適解が導出されると、鋼材グループの集合Nに含まれるそれぞれの鋼材グループを移動させるか否か(即ち、移動鋼材グループと非移動鋼材グループの何れとするか)を決定することができる。更に非移動鋼材グループについては移動(搬送)せずに移動鋼材グループについてのみ移動(搬送)するものとして、初期山から最終山に鋼材グループを積み替える際の各鋼材グループの搬送順と、最終山の山姿とを後処理として決定してもよい。以下、後処理部104によって、初期山から最終山に鋼材グループを積み替える際の各鋼材グループの搬送順と、最終山の山姿とを決定する場合の処理の詳細を説明する。前述したように本実施形態では、特許文献3に記載の手法を用いて、初期山から最終山に鋼材グループを積み替える際の鋼材グループの搬送順と、最終山の山姿とを決定する。また、本実施形態では、初期山から最終山に鋼材グループを積み替える際の鋼材グループの搬送順と、最終山の山姿とを決定する際に仮置きされると判定された鋼材グループをどのような仮山に積むのかも決定する。このような仮山の山姿の決定も、公知の技術で実現することができる。本実施形態では、特許文献4に記載の手法を用いる場合を例に挙げて説明する。
前述したように特許文献3では、山仕分け・搬送順変数x[i][m][s]と、仮置き判定変数y[p][s1][s2]と、最適山存在判定変数δ[m]とを決定変数とする。制約式としては、1つの鋼材グループiが、複数の搬送順、複数の最終山に割り当てられることはないとする制約(搬送ロットの一意制約)と、1つの搬送順sに複数の鋼材グループi或いは最終山mが割り当てられることはないとする制約(搬送順の一意制約)と、積姿制約(長さ制約、幅制約、高さ制約)とを用いる。目的関数J'としては、以下の(20)式に示すように、最終山の総山数を評価する目的関数J1と総搬送回数を評価する目的関数J2との重み付き線形和を用いる。
まず、非移動鋼材グループと同一の最終山とすることができない鋼材グループiの当該最終山mに対する山仕分け・搬送順変数x[i][m][s]を0(ゼロ)に固定する。前述したように山仕分け・搬送順変数x[i][m][s]は、鋼材グループiを最終山mに搬送順sで搬送する場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
ここで、特許文献4に記載の最適化計算の概要を説明する。尚、当該最適化計算の詳細については、特許文献4に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
出力部105は、後処理部104で導出された、鋼材集合Nに含まれる各鋼材グループの初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力の形態は、コンピュータディスプレイへの表示、ヤード管理装置100の内部または外部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを含む。外部装置としては、例えば、クレーン、またはクレーンの動作を制御する制御装置が挙げられる。
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置100は、最終山の高さ上限により定まる最小の数の最終山を構成するものとする場合に、最上段にある非移動鋼材の上に積むことができる移動鋼材の数と、当該非移動鋼材の上に積む必要がある移動鋼材の数とが一致することを決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動有無判別変数yi)を用いて表す制約式を設定する。そして、ヤード管理装置100は、設定した制約式を満足するように、非移動鋼材グループの総数を最大(または、移動鋼材グループの総数を最小)にすることを目的とする目的関数Jの値が最大(または最小)になるときの非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動有無判別変数yiを導出し、非移動鋼材グループおよび移動鋼材グループを決定する。従って、初期山から最終山に鋼材を積み替えるための鋼材の搬送計画を作成する際に、最終山の総数が最小となるように、移動が必要な鋼材と移動不要な鋼材とを決定することができる。
次に、計算例を説明する。本計算例では、非移動鋼材の総数を最大化(または移動鋼材の総数を最小化)するように本実施形態の手法で非移動鋼材と移動鋼材とを決定し、非移動鋼材を移動せずに移動鋼材を移動させることを前提として、本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理を実施して、各鋼材の搬送順と最終山の山姿とを決定する。尚、本計算例では、鋼材を鋼材グループに纏めずに、鋼材を1枚ずつ搬送するものとする。
本計算例では、本実施形態で説明した手法で決定した非移動鋼材が正しいものとして、本実施形態で説明した特許文献3に基づく後処理を実行して、最終山の数と鋼材の搬送順とを求める。特許文献3に記載のアルゴリズムでは本来、最終山の総山数・総搬送回数のそれぞれに適切な重み係数Weight1、Weight2を設定し、それを乗じた総和を最小化する。しかしながら、本実施形態で説明した移動鋼材の総数を最小化(非移動鋼材の総数を最大化)するアルゴリズム(以下の説明では、「本アルゴリズム」と称する)の検証のため、最終山の総数zは(1)式で定められる数以下とする。つまり、本アルゴリズムの前提によれば、本アルゴリズムにより定まった非移動鋼材を基に鋼材の積み替えを行えば、最終山の総数は、山高さ制限より定まる最小数(=z)となるはずである。従って、この点の検証のために、本実施形態で説明した特許文献3に基づく後処理に対し、この制約(最終山の総数をz以下とする制約)を課すこととする。そして、このような手法で仮置きと判定された鋼材に対し、本実施形態で説明した特許文献4に基づく処理を実行し、仮山の山姿を求める。
本アルゴリズムにより得られた非移動鋼材が、前記部分山max(Sk)と一致しておれば、それは最適解とみなすことができる。尚、当該部分山max(Sk)は、「(a)移動鋼材についての制約」の項で説明したものである(以下の説明では、この部分山max(Sk)を必要に応じて極大部分山max(Sk)と称する)。
操業データを基に初期山の山姿を与え、本アルゴリズムにより非移動鋼材と移動鋼材とを識別する。そして、それを前提に、本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理を実行して、最終山の総数などを求める。本アルゴリズムにより得られた非移動鋼材に対して、非移動鋼材の数を1つ増やして本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理を実行して、最終山の総数を求め、求めた最終山の総数から、本アルゴリズムにより得られた非移動鋼材が本当に最大数(最適値)となっているかどうかを調べる。
プロセッサ:Intel(登録商標) Xeon(登録商標) CPU E5-2687W @ 3.1GHz(2プロセッサ)
実装メモリ(RAM):128GB
OS:Windows(登録商標)7 Professional 64ビットオペレーティングシステム
最適計算ソフト: ILOG CPLEX(登録商標) Cplex11.0 Concert25
図3において、SL IDは、鋼材の識別番号である。払出順は、最終山から次工程への搬送順である。幅は、鋼材の幅であり、長さは、鋼材の長さである。置場は、初期山の置場の識別番号であり、積段は、初期山の最下段からの積段数である。例えば、SL IDが229の鋼材は、払出順が120、幅が1365[mm]、長さが9700[mm]であり、識別番号が1の置場の初期山の最下段にあることを示す。また、図3において、グレーで示している鋼材は、極大部分山max(Sk)に含まれる鋼材であることを示す。
図4において、最終山IDは、最終山の識別番号である、(最終山IDの隣の)積段は、最終山の最下段からの積段数である。SL IDは、鋼材の識別番号である。払出順は、最終山から次工程への搬送順である。幅は、鋼材の幅であり、長さは、鋼材の長さである。仮置は、仮置きの有無を表し、仮置が0(ゼロ)であることは、仮置きがないことを示す。初送順は、初期山からの搬送順である。終送順は、仮山からの搬送順である。仮山IDは、仮山の識別番号である。(仮山IDの隣の)積段は、仮山の最下段からの積段数である。初期山IDは、初期山の識別番号である。(初期山IDの隣の)積段は、初期山の最下段からの積段数である。
先程の例では、初期山IDが4の非移動鋼材を移動鋼材とし、初期山IDが3の移動鋼材を非移動鋼材としたが、この例では、初期山IDが5の非移動鋼材を移動鋼材とし、初期山IDが8の非移動鋼材を移動鋼材とする。
Dataは、入力データの識別番号である。SL数は、初期山を構成する鋼材(スラブ)の総数である。初期山数は、初期山の総数である。最終山数は、高さ制限から定まる最終山の総数の最小値z((1)式で定められる数)である。移動数は、本アルゴリズムで決定された移動鋼材の総数である。固定山数は、本アルゴリズムで非移動鋼材と決定された鋼材を含む初期山の総数である。時間は、本アルゴリズムの計算時間[s]である。最終山数は、本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理で決定された最終山の総数である。仮置数は、本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理で仮置きされると決定された鋼材の総数である。仮山数は、本実施形態で説明した特許文献3、4に基づく後処理で決定された仮山の総数である。
以上のように、初期山の山姿が所与で、当該初期山の鋼材を上から払出順に積まれた最終山へ積み替える際に、その最終山の総数を山高さの上界から定まる最小の数にするという前提の下で、移動しない鋼材の総数を最大化(移動する鋼材の総数を最小化)するための積み替え搬送計画を作成することができる。
本実施形態では、(18)式の目的関数Jを用いる場合には最小化問題とし、(19)式の目的関数Jを用いる場合には最大化問題とした。しかしながら、例えば、(18)式の右辺に(−1)を掛けることにより、最大化問題としてもよい。同様に、例えば、(19)式の右辺に(−1)を掛けることにより、最小化問題としてもよい。また、(20)式の右辺の各項に(−1)を掛けたものを目的関数とし、当該目的関数を最大化する問題としてもよい。
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および前記プログラムなどのコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以下に、請求項と実施形態との関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに示した通りである。
<請求項1、9>
非移動最上段金属材判別変数は、例えば、非移動最上段鋼材判別変数xiを用いることにより実現される。
移動有無判別変数は、例えば、移動有無判別変数yiを用いることにより実現される。
前記初期山を構成する前記金属材の総数を、前記最終山を構成する前記金属材の数の上限値で割った値は、例えば、(1)式の右辺の(n/h)に対応する。
前記最終山の総数は、例えば、最終山の総数zに対応する。
金属材情報取得手段(ステップ)は、例えば、鋼材情報取得部101(鋼材情報取得ステップS201)を用いることにより実現される。
金属材情報は、例えば、鋼材グループ情報を用いることにより実現される。初期山の識別情報および当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報は、例えば、各鋼材グループの初期山の山姿を特定する情報(初期山IDと、当該初期山IDで識別される初期山の各積段に位置する鋼材グループID)を用いることにより実現される。
制約式設定手段(ステップ)は、例えば、制約式・目的関数設定部102(制約式設定ステップS202)を用いることにより実現される。
積み替え制約式は、例えば、(15')式を用いることにより実現される。
前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に積むことが可能な金属材の数は、例えば、1つの最終山(1つのxj)における(h−bj)・xjの値に対応する。
前記初期山から移動する金属材である移動金属材であって、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に移動される移動金属材の数は、例えば、1つの最終山におけるyp+ndの値に対応する。
目的関数設定手段(ステップ)は、例えば、制約式・目的関数設定部102(制約式・目的関数設定ステップS203)を用いることにより実現される。
前記移動金属材の総数が最小となることを目的とする目的関数は、例えば、(18)式を用いることにより実現される。
前記非移動金属材の総数が最大となることを目的とする目的関数は、例えば、(19)式を用いることにより実現される。
最適化計算手段(ステップ)は、例えば、最適化計算部103(最適化計算ステップS204)を用いることにより実現される。
<請求項2>
後処理手段は、例えば、後処理部104を用いることにより実現される。
<請求項3>
前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の最下段から数えた場合の積段を前記高さ上限値から減算した値の総和から、余剰分を減算した値は、例えば、Σj:i≧j(h−bj)・xjからnd(=(z・h−n)(≧0))を減算した値に対応する。
<請求項4>
前記金属材の前記払出順は、例えば、各鋼材グループの払出順(圧延工程への搬送順)を用いることにより実現される。
前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材であって、任意の金属材よりも払出順が前になる前記非移動金属材の最下段から数えた場合の積段を前記高さ上限値から減算した値の総和は、例えば、(15')式の左辺に対応する。
当該任意の金属材よりも払出順が前になる前記移動金属材の総和と、前記余剰分との和は、例えば、(15')式の右辺に対応する。
任意の前記金属材のそれぞれについて、(15')式の左辺に対応する前者が(15')式の右辺に対応する後者以下であることが必要であることは、(15')式が全ての鋼材グループiについて満足する必要があること(∀i∈N)に対応する。
<請求項5>
第1の変数関係規定制約式は、例えば、(12)式を用いることにより実現される。前記移動金属材の総数と、前記非移動金属材の総数との和は、例えば、(12)式の左辺に対応する。前記初期山を構成する前記金属材の総数は、例えば、(12)式の右辺に対応する。
<請求項6>
第2の変数関係規定制約式は、例えば、(13)式を用いることにより実現される。
前記金属材が前記移動金属材である場合、前記初期山において当該金属材よりも上にある前記金属材は前記非移動金属材とはならないことは、例えば、(13)式において、移動有無判別変数yiの値が1である場合に対応する。
前記金属材が前記非移動金属材である場合、前記初期山において当該金属材または当該金属材よりも上にある前記金属材のうち1つのみが、前記非移動金属材の中で最上段にある金属材となることは、例えば、(13)式において、移動有無判別変数yiの値が0(ゼロ)である場合に対応する。
<請求項7>
積姿制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
Claims (11)
- 工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するときに、前記置場において前記初期山から前記最終山に搬送される金属材である移動金属材と、前記初期山そのままの場所に前記最終山を作成するために当該初期山の場所に固定される非移動金属材とを決定するためのヤード管理装置であって、
前記初期山を構成する前記金属材が、当該初期山において、前記非移動金属材の中で最上段にある金属材であるか否かを示す非移動最上段金属材判別変数と、前記金属材が移動金属材であるか否かを示す移動有無判別変数とを決定変数とし、
前記初期山を構成する前記金属材の総数を、それぞれの前記最終山を構成する前記金属材の数の上限値である高さ上限値で割った値以上の最小の整数値を前記最終山の総数とし、
前記初期山の識別情報と、当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記金属材の前記払出順とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得手段と、
前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に積むことが可能な移動金属材の数と、前記移動金属材であって、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に移動される必要がある移動金属材の数とが、前記非移動金属材のそれぞれにおいて一致することが必要であることを、前記決定変数を用いて表す制約式である積み替え制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定手段と、
前記移動金属材の総数が最小となることを目的とする目的関数、または、前記非移動金属材の総数が最大となることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定手段と、
前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算手段と、
を有することを特徴とするヤード管理装置。 - 前記非移動金属材は、前記初期山から移動せず、前記移動金属材を移動することによって、前記初期山から前記最終山への積み替えを行うときの、前記金属材のそれぞれの搬送順と、前記最終山の各段に配置される前記金属材とを決定する後処理手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のヤード管理装置。
- 前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に積む必要がある金属材の総数は、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の最下段から数えた場合の積段を前記高さ上限値から減算した値の総和から、余剰分を減算した値であり、
前記余剰分は、前記最終山の総数と前記高さ上限値とを掛けた値から前記初期山を構成する前記金属材の総数を減算した値であることを特徴とする請求項1または2に記載のヤード管理装置。 - 前記積み替え制約式は、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材であって、任意の金属材よりも払出順が前になる前記非移動金属材の最下段から数えた場合の積段を前記高さ上限値から減算した値の総和が、当該任意の金属材よりも払出順が前になる前記移動金属材の総和と、前記余剰分との和以下であることが、任意の前記金属材のそれぞれについて必要であることを示す制約式であることを特徴とする請求項3に記載のヤード管理装置。
- 前記制約式は、前記移動金属材の総数と、前記非移動金属材の総数との和が、前記初期山を構成する前記金属材の総数と等しいことを、前記決定変数を用いて表す制約式である第1の変数関係規定制約式を更に含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記制約式は、前記金属材が前記移動金属材である場合、前記初期山において当該金属材よりも上にある前記金属材は前記非移動金属材とはならず、前記金属材が前記非移動金属材である場合、前記初期山において当該金属材または当該金属材よりも上にある前記金属材のうち1つのみが、前記非移動金属材の中で最上段にある金属材となることを、前記決定変数を用いて表す第2の変数関係規定制約式を更に含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記制約式は、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材よりも上に移動される前記移動金属材は、その払出順が、当該非移動金属材の払出順よりも前であり、且つ、当該非移動金属材との間で、金属材の幅および長さにより定まる制約を満たさなければならないことを、前記決定変数を用いて表す積姿制約式を更に含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記移動は、金属材グループの単位で行われ、
前記金属材グループは、搬送機器にて前記金属材を搬送する際に分割されることのない複数の前記金属材からなることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 前記ヤードは、鉄鋼製造プロセスにおける製鋼工程と圧延工程との間の置場であり、
前記金属材は、鋼材であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するときに、前記置場において前記初期山から前記最終山に搬送される金属材である移動金属材と、前記初期山そのままの場所に前記最終山を作成するために当該初期山の場所に固定される非移動金属材とを決定するためのヤード管理方法であって、
前記初期山を構成する前記金属材が、当該初期山において、前記非移動金属材の中で最上段にある金属材であるか否かを示す非移動最上段金属材判別変数と、前記金属材が移動金属材であるか否かを示す移動有無判別変数とを決定変数とし、
前記初期山を構成する前記金属材の総数を、それぞれの前記最終山を構成する前記金属材の数の上限値である高さ上限値で割った値以上の最小の整数値を前記最終山の総数とし、
前記初期山の識別情報と、当該初期山の各積位置における前記金属材の識別情報と、前記金属材の前記払出順とを含む金属材情報を取得する金属材情報取得ステップと、
前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に積むことが可能な移動金属材の数と、前記移動金属材であって、前記非移動金属材の中で最上段にある前記非移動金属材の上に移動される必要がある移動金属材の数とが、前記非移動金属材のそれぞれにおいて一致することが必要であることを、前記決定変数を用いて表す制約式である積み替え制約式を含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定する制約式設定ステップと、
前記移動金属材の総数が最小となることを目的とする目的関数、または、前記非移動金属材の総数が最大となることを目的とする目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定する目的関数設定ステップと、
前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する最適化計算ステップと、
を有することを特徴とするヤード管理方法。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載のヤード管理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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