JP5280075B2 - 製鋼プロセスの操業計画作成方法及び操業計画作成装置、並びに、鋼材の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の製鋼プロセスの操業計画作成方法(以下において「本発明の操業計画作成方法」ということがある。)に備えられる工程例を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明では、工程S1〜工程S15を経て、製鋼プロセスの操業計画が作成される。以下、各工程について説明する。
工程S1は、予め登録されている計画期間におけるチャージのチャージ番号や材質、連々回数、連々順位、処理工程コードなどの操業予定と、現在操業中の実績情報などを読み込む工程である。
工程S2は、各設備(転炉、二次精錬設備、連続鋳造機)における処理時間や、設備間の搬送時間等の操業計画に必要な操業パラメータを読み込む工程である。
工程S3は、工程S1で読み込まれた登録されているチャージの操業予定情報を基に、キャスト毎にキャスト番号を割り付けて、初期鋳込順序を作成する工程である。
工程S4は、上記工程S3で作成した初期鋳込順序を基に、操業計画を作成する工程である。バックワードシミュレーション及び線形計画法を用いて処理開始時刻を含む操業計画を決定する形態について、以下に説明する。ここで、バックワードシミュレーションとは、時間軸を未来から現在に向けて遡るように対象となるチャージを処理設備に割り付ける納期を重視したスケジューリングのシミュレーション技法である。特に製鋼工場では、最終工程である連続鋳造機への到着が遅れると連々切れが発生することから、連続鋳造機における処理開始時刻を遵守できるような転炉、二次精錬設備における処理開始時刻を決定する必要があるため、バックワードシミュレーションを採用した。バックワードシミュレーションによる操業計画の作成方法を図2に示す。
工程S5は、上記工程S4で作成された操業計画を基に、操業計画範囲内の各キャストについて、図3に示す、連続鋳造機の停止時間、及び、滞留時間を用いて、評価関数を計算する工程である。ここで、図3に示すように、停止時間は、連続鋳造機の処理開始時刻、及び、連続鋳造機の処理終了時刻から算出することができる。また、滞留時間は、操業計画範囲内の各チャージの各設備における処理開始時刻及び処理終了時刻から算出することができる。例えば、操業計画範囲内のキャスト数をNc、そのキャストを構成するチャージをNd.iとするとき、評価関数は下記式1により表される。
ここで、Xiはキャストiにおける連続鋳造機の停止時間、Yi,jはキャストiに含まれるチャージjにおける転炉から連続鋳造機までの滞留時間を表す。また、C1,iは連続鋳造機の停止時間に対する係数、C2,i,jはキャストiに含まれるチャージjの滞留時間に対する係数である。例えば、係数C1,i及び係数C2,i,jが表1に示す値であり、Xi及びYi,jが表2に示す値である場合、上記式1で表される評価関数Fは250となる。なお、上記式1では、評価関数が一次関数で表される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、評価関数を二次以上の関数で表すことも可能である。
工程S6は、上記工程S4で作成された操業計画を、最適な操業計画として仮決定し、登録する工程である。
図1に示す本発明の操業計画作成方法では、工程S7以降で、鋳込順序の変更を行いながら、操業計画の評価関数の改善を行う。以下に、シミュレーテッドアニーリング法を用いた操業計画の改善方法について説明する。なお、以下に示すシミュレーテッドアニーリング法では、暫定解からランダムに変化させた新たな解が改善解であれば暫定解を更新し、新たな解が改悪解であっても、評価関数値の大きさの差及び温度パラメータに応じて確率的に暫定解として採用する。
工程S8は、上記工程S7で変更された鋳込順序に対して、上記工程S4と同様の方法により、操業計画を作成する工程である。
工程S9は、上記工程S8で作成された操業計画を基に、上記工程S5と同様の方法により、評価関数を計算する工程である。
工程S10は、上記工程S9で計算された評価関数の値にしたがって、最適な操業計画を決定する工程である。ここで、決定された操業計画におけるチャージの滞留時間T2が、予め設定しておいた滞留時間の上限値T1を超過している場合には、超過量をペナルティとして、上記工程S9で計算された評価関数に加えることにより、より滞留時間の少ない操業計画を作成することができる。
工程S11は、シミュレーテッドアニーリング法の採用基準に基づいて、鋳込順序の変更(更新)を採用するか否かを判断する工程である。工程S11で肯定判断された場合には、後述する工程S12へと進む。これに対し、工程S11で否定判断された場合には、後述する工程S13へと進む。
工程S12は、鋳込順序の変更を暫定的に更新する工程である。
工程S13は、温度更新をするか否かを判断する工程である。工程S13で否定判断された場合には、シミュレーテッドアニーリング法の温度更新スケジュールに従った温度更新のタイミングではないことになる。それゆえ、温度が更新されないまま、処理が上記工程S7へと戻され、温度更新のタイミングになるまで、同一温度で一定回数の探索が繰り返される。これに対し、工程S13で肯定判断された場合には、シミュレーテッドアニーリング法の温度更新スケジュールに従った温度更新のタイミングであるため、後述する工程S14へと進む。
工程S14は、シミュレーテッドアニーリング法の温度を更新(変更)する工程である。
工程S15は、操業計画の作成プロセスを終了するか否かを判断する工程である。工程S15で否定判断された場合には、処理が上記工程S7へと戻される。これに対し、工程S15で肯定判断された場合には、操業計画の作成プロセスが終了する。
図5は、本発明の製鋼プロセスの操業計画作成装置(以下において「本発明の操業計画作成装置」ということがある。)の形態例を示す概念図である。図5に示すように、本発明の操業計画作成装置50は、操業予定情報部1と、操業実績情報部2と、鋳込順序情報作成部3と、鋳込順序制約点検部4と、鋳込順序記憶部5と、操業計画作成部6と、評価関数計算部7と、最適操業計画決定部8と、操業計画記憶部9と、鋳込順序作成部10と、を備えている。
・鋳片形状に関する制約条件
・連続鋳造機のタンディッシュに関する制約条件
・鋼種に関する制約条件
・鋳造日に関する制約条件
2…操業実績情報部
3…鋳込順序情報作成部
4…鋳込順序制約点検部
5…鋳込順序記憶部
6…操業計画作成部
7…評価関数計算部
8…最適操業計画決定部
9…操業計画記憶部
10…鋳込順序作成部
50…操業計画作成装置(製鋼プロセスの操業計画作成装置)
Claims (8)
- 転炉、二次精錬設備、及び、少なくとも一以上の連続鋳造機を有する製鋼プロセスにおける操業計画を作成する方法において、
前記連続鋳造機で処理される溶鋼のキャスト単位の鋳込順序を作成する、初期鋳込順序作成工程と、
前記初期鋳込順序作成工程で作成された前記鋳込順序を用いて、前記転炉、前記二次精錬設備、及び、前記連続鋳造機で設備干渉を生じさせない実行可能な操業計画を作成する、操業計画作成工程と、
前記操業計画作成工程で作成された前記操業計画に含まれる、前記連続鋳造機の停止時間、及び、前記転炉における処理が終了してから前記連続鋳造機で前記溶鋼の処理が開始されるまでに要する滞留時間、を用いて、評価関数を計算する、評価関数計算工程と、
前記初期鋳込順序作成工程で作成された前記鋳込順序から、同一の前記連続鋳造機における少なくとも二つの前記キャストの鋳込順序位置を変更することにより、新たな鋳込順序を作成する、鋳込順序変更工程と、
前記鋳込順序変更工程で作成された前記新たな鋳込順序を用いて、前記評価関数を改善する、評価関数改善工程と、
を有し、
前記鋳込順序変更工程で前記鋳込順序を変更する際に、前記鋳込順序位置を変更する前記キャストをランダムに選択し、ランダムに選択されたキャストをキャスト間に挿入することで前記新たな鋳込順序を得、前記新たな鋳込順序が前記連続鋳造機の操業に関する制約条件を満たすか否かを判断することにより、前記制約条件を満たさない処理順序に対して操業計画を作成することが回避され、且つ、鋳込順序の記憶メモリに同じ鋳込順序が登録されているか否かの点検を行うことにより、同じ鋳込順序に対して複数回に亘って操業計画を作成することが回避され、前記新たな鋳込順序が前記制約条件を満たすまで、前記鋳込順序の変更が繰り返されることを特徴とする、製鋼プロセスの操業計画作成方法。 - 前記制約条件に、前記連続鋳造機で処理される前記キャスト間の鋳片の形状及び溶鋼成分に関する制約条件、前記連続鋳造機のタンディッシュ使用回数の制約条件、及び、前記溶鋼の鋳造日に関する制約条件、からなる群より選択される少なくとも一以上が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法。
- 前記鋳込順序変更工程で、前記鋳込順序が変更される度に、変更された前記鋳込順序が登録され、新たに登録された前記鋳込順序が既に登録されているか否かの点検が行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法。
- 前記評価関数に、前記鋳込順序が変更されない前記連続鋳造機における、前記停止時間に関する項、及び、前記滞留時間に関する項が含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法。
- 前記鋳込順序変更工程で、シミュレーテッドアニーリング法を用いて前記鋳込順序が変更されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法。
- 予め定められた前記滞留時間の上限値をT1、前記評価関数改善工程で改善された後の前記評価関数と対応する操業計画に含まれる前記滞留時間をT2とするとき、T2>T1である場合には、前記評価関数改善工程で改善された後の前記評価関数に、所定値が加えられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法により操業計画を作成する手段、を備えることを特徴とする、製鋼プロセスの操業計画作成装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製鋼プロセスの操業計画作成方法によって作成された操業計画を用いて鋼材を製造することを特徴とする、鋼材の製造方法。
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