JP5704048B2 - 処理順序スケジュール作成方法、処理順序スケジュール作成装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
例えば、鉄鋼業における熱間圧延工場では、複数の加熱炉で加熱された複数のスラブをヤードに仮置きし、ヤードに仮置きされた複数のスラブを熱間圧延機で圧延してコイルを製造することが一般的に行われている。熱間圧延機で複数のスラブを圧延する際には、圧延順に関しスラブの寸法及び品質の制約が生じる。
しかしながら、熱延スケジュールを作成する場合には、品質に関する制約にしても、寸法に関する制約にしても、複数のスラブの関係で規定される。さらに、これらの制約の具体的内容は、様々である。よって、スラブの並び順により、制約違反の現れ方が異なる(例えば、ある並べ方をする場合には幅移行制約の違反となるが、それを回避しようとして並べ替えると今度は、温度移行制約の違反となってしまう)。このように、熱延スケジュールを作成する場合には、どの制約が違反となるかは一意に決まらない場合が多く、影響し合う制約のパターン(先の例では幅移行制約と温度移行制約とが影響し合う)も多岐に渡る。よって、事前に不適切なスラブを抽出し、除外することは一般に容易ではなく、どの様なケースにも適用し得るこの種のフィルタリングアルゴリズム(前処理)を構築することは不可能に近い。制約や目的関数の具体的な内容は製品等に応じて異なるものの、厚板の圧延スケジュールや、連続鋳造のキャスト編成や、冷延の連続焼鈍(CAPL)通板スケジュール等、処理順序に関し寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を決定する(処理順序スケジュールを作成する)場合にも、熱延スケジュールを作成する場合と同様に、このような課題が生じる。
しかしながら、よく利用される前述したフィルタリングアルゴリズム(前処理)では、このような仕組みを作ることが容易ではない。
以上により、処理順序スケジュールを作成するに際し、制約を満たすように全ての製品の処理順を決定することができない場合には、処理順序スケジュールに取り込むことが相対的に不適切となる製品を、製品を除外することにより生じる被害が可及的に小さくなるように除去して、複数の製品の処理順序を決定することができる。
図1は、熱間圧延工場における処理の流れの一例を概念的に示す図である。
図1において、連続鋳造機で得られたスラブ(鋼片)は、ヤード10に山積みされる。ヤード10には、スラブが山積みされることにより複数の山11a〜11dが形成される。これら複数の山11a〜11dの何れかから所望のスラブを取り出し、当該スラブを複数の加熱炉12a〜12dの何れかに装入する。本実施形態では、加熱炉12の数が「4」である場合を例に挙げて説明するが、加熱炉12の数は複数であれば「4」に限定されるものではない。
圧延ライン13は、加熱炉12で得られたスラブを所望の厚みに圧延してコイルを形成するものであり、例えば、粗圧延機及び仕上圧延機等を備えている。圧延ライン13も、公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
情報取得部110は、熱延スケジュール作成装置100と通信回線(例えばLAN)を介して相互に接続されたスケジュール管理系計算機200から送信される各種情報を受信して記憶する。尚、情報取得部110は、必ずしもこのようにして情報を取得する必要はない。例えば、情報取得部110は、リムーバル記憶メディアに記憶された情報を読み出すことにより、情報を取得してもよい。以下に、情報取得部110が取得する情報の一例を説明する。
ここで、抽出温度上限とは、加熱炉12からの抽出時のスラブの温度の上限値であり、抽出温度下限とは、加熱炉12からの抽出時のスラブの温度の下限値である。以下の説明では、抽出温度上限から抽出温度下限に至る温度範囲を、必要に応じて「抽出温度許容範囲」と称する。
また、得点とは、熱延スケジュールに組み込む際のスラブの優先順位を示す情報である。本実施形態では、得点の値は0又は正の整数であり、この得点の値が大きいスラブである程、熱延スケジュールに組み込む優先順位が高いスラブとなる。
以上のように、本実施形態では、例えば、鋼材情報が鋼材の属性情報の一例であるが、鋼材情報に含まれる各情報は、例えば、1つのテーブルとして一括して管理された情報であっても、1つ又は複数の単位で個別に管理された情報であってもよい。
コイル幅移行規制情報は、圧延順(すなわち抽出順)で隣接する2つのスラブから形成されたコイルのコイル幅の差を示す情報である。例えば、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]を超えて大きくならないことを示す情報がコイル幅移行規制情報として設定される。
以上のコイル幅移行規制情報とコイル厚移行規制情報は、圧延ライン13で圧延を安定して行い高品質のコイルを得るための規制を示す情報である。
以上の抽出温度移行規制情報は、加熱炉12における燃焼制御の空間的分解能及び応答性から要求される規制を示す情報である。
情報取得部110は、例えば、通信インターフェースが前述した情報を受信し、CPUが受信した情報をHDDやRAM等の記憶媒体に記憶することにより実現することができる。
抽出順組設定部120は、情報取得部110により取得された抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。
抽出順組pe(e1,e2)について説明する。前述したように、本実施形態では、抽出炉順が予め定められている。例えば、抽出順「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17・・・」に対する抽出炉号(抽出される加熱炉の炉番号)が「1,4,3,4,1,3,4,1,4,3,4,1,3,4,・・・」であるとすると、1号炉の加熱炉12aの抽出順が「1,5,8,12,15・・・」、3号炉の加熱炉12cの抽出順が「3,6,10,13,17・・・」、4号炉の加熱炉12dの抽出順が「2,4,7,9,11,14,16,・・・」のように定まる。
抽出順組設定部120は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶されている抽出炉順情報を読み出すと共に、予め記憶媒体(HDD等)に記憶されている「近隣する範囲を示す情報」を読み出して、抽出順組pe(e1,e2)を求め、それらに1から順に識別情報を付す処理を実行することにより実現できる。
本実施形態では、スラブの抽出順を決定する問題を、抽出順割当問題(各スラブに重複なく抽出順を割り当てる問題)として解くものである。制約式設定部130は、この抽出順割当問題に対する制約式を、以下の変数を用いて定式化する。
鋼材抽出順割当変数xe[i][e]は、鋼材(スラブ)iを抽出順eに抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
・隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]
隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]は、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe番目に抽出し、且つ、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、鋼材番号i1、i2の鋼材(スラブ)を、同一の加熱炉12内で近隣する鋼材(スラブ)の抽出順組pe(e1,e2)に圧延する場合に「1」となり、そうでない場合に「0」となる1-0変数である。
本来であれば、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]は、yf[i1][i2][e1][e2]という4個の識別パラメータによって表現される。しかし、同一の加熱炉12内で近隣する抽出順組は特定の組み合わせに限定される。そこで、本実施形態では、識別パラメータの数(変数の次元)を減らして計算負荷を軽減するため、抽出順組識別パラメータpeを用いるようにしている。
抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、以下の(1)式で表される抽出順割当制約式に設定する。
次に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、以下の(2)式で表される鋼材割当制約式に設定する。
これら(1)式と(2)式は、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]を定義する鋼材抽出順割当変数制約式である。これら(1)式と(2)式により、鋼材(スラブ)iに割り当てられる抽出順eがなくてもよいことと、抽出順eに割り当てられる鋼材(スラブ)iがなくてもよいこととが許容される。
(4)式、(5)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の上限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]、xe[i][e+1]の少なくとも何れかの値が「0」であるときに、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「0」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe番目に抽出しない場合と、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe+1番目に抽出しない場合との少なくとも何れか一方が成り立つ場合に、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]の値が「0」になるという制約を表す。
これら(3)式〜(5)式は、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]を定義する制約式である。
(7)式、(8)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の上限を規定するものであり、鋼材抽出順割当変数xe[i1][e1]、xe[i2][e2]の少なくとも何れかの値が「0」であるときに、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「0」になるという制約を表す。すなわち、鋼材番号i1の鋼材(スラブ)をe1番目に抽出しない場合と、鋼材番号i2の鋼材(スラブ)をe2番目に抽出しない場合との少なくとも何れか一方が成り立つ場合に炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]の値が「0」になるという制約を表す。
これら(6)式〜(8)式は、炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]を定義する制約式である。
抽出順割当変数定義制約式設定部131は、例えば、CPUが、前述した(1)式〜(8)式の既知の変数を(1)〜(8)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
抽出順連続選択制約式設定部132は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順ex[−](ex=1,・・・,N−1)とを、以下の(9)式で表される抽出順連続選択制約式に設定する。
(9)式は、以下のようにして導かれるものである。
まず、鋼材が割り当てられる抽出順が飛び飛びとなると、熱延スケジュールにおいて最も重要な移行関係(隣り合う抽出順の鋼材(スラブ)の関係)における制約及び評価を判定する際に齟齬が生じる可能性がある。このような齟齬を生じさせないためには、鋼材(スラブ)iが割り当てられていない抽出順e((2)式の左辺の値が「0」となる抽出順e)は、鋼材(スラブ)iが割り当てられている抽出順eの次の抽出順以降でなければならないようにする必要がある。すなわち、最終的に熱延スケジュールに採用された鋼材(スラブ)の数をNe(≦N)とすると、(2)式の左辺の値が「0」となる抽出順eは、Ne+1以降でなければならないようにする必要がある。
この条件を命題形式で記述すると、『「抽出順ex+1以降に鋼材(スラブ)が割り当てられている」ならば、「抽出順exにも鋼材(スラブ)が割り当てられていなければならない」』となる。このことを数式で表すと、以下の(10)式のように表される。
(9)式の左辺は、抽出順ex+1以降に割り当てられている鋼材(スラブ)の総数である。(9)式の右辺のΣxe[i][ex]は、鋼材抽出順割当変数(1-0変数)である。したがって、(9)式の右辺の値は、「N−ex」又は「0」となる。
また、(9)式の右辺のΣxe[i][e]の値が「1」であるならば、(9)式の右辺の値が「N−ex」となるので、抽出順ex+1以降に割り当てられている鋼材(スラブ)の総数は「N−ex」以下になることを示す。
抽出順連続選択制約式設定部132は、例えば、CPUが、前述した(1)式〜(9)式の既知の変数を(1)〜(9)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
寸法・品質規制制約式設定部133は、情報取得部110により取得された「鋼材情報と、コイル幅移行規制情報と、コイル厚移行規制情報と、抽出温度移行規制情報」を読み出す。
寸法・品質規制制約式設定部133は、2つの鋼材(コイル)のコイル幅の情報から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(コイル)の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(コイル)の総数Nを、以下の(12)式で表される幅移行規制制約式に設定する。
(12)式は、コイル幅の差が規制値を超える2つのスラブを、抽出順で隣接させることを禁止する制約式である。(13)式は、コイル厚の差が規制値を超える2つのスラブを、抽出順で隣接させることを禁止する制約式である。
前述したように、本実施形態では、スラブの抽出順を決定する問題を、抽出順割当問題(各スラブに重複なく抽出順を割り当てる問題)として解くものである。目的関数設定部140は、この抽出順割当問題に対する目的関数(評価関数)を、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]、隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]、及び炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]を用いて定式化する。
幅移行目的関数設定部141は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出す。
幅移行目的関数設定部141は、圧延機の圧延動作と圧延材の品質とに従って予め決められた条件に従って鋼材(鋼材番号i)を並び替え、並び替えた鋼材番号iの並び順sort(i)を求める。
本実施形態では、コフィンスケジュールのウォームアップ部分(幅狭材から徐々に幅広材に圧延材を移行させる部分)の抽出順は既に定まっており、コフィンスケジュールのウォームアップ部分以降の抽出順を導出するものとする。
そこで、幅移行目的関数設定部141は、鋼材情報に含まれる全ての鋼材(鋼材番号i)を、コイル幅が大きなものから降順に並び替え、並び替えた鋼材(鋼材番号i)の並び順sort(i)を導出する。そして、幅移行目的関数設定部141は、導出した並び順sort(i)を、以下の(15)式で表される幅移行目的関数に設定する。さらに、幅移行目的関数設定部141は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(15)で示される幅移行目的関数に設定する。
幅移行目的関数設定部141は、例えば、CPUが、(15)式の既知の変数を(15)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
厚み移行目的関数設定部142は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(コイル)のコイル厚の情報を抽出する。そして、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材番号i1、i2の2つの鋼材(コイル)の、相対的に薄い方のコイル厚thick(is)と、厚い方のコイル厚thick(ib)を、以下の(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。さらに、厚み移行目的関数設定部142は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(16)で示される厚み移行目的関数に設定する。
厚み移行目的関数設定部142は、例えば、CPUが、(16)式の既知の変数を(16)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
次に、炉内温度移行目的関数設定部143は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出目標温度の情報を抽出する。そして、炉内温度移行目的関数設定部143は、鋼材番号i1、i2の2つの鋼材(スラブ)の抽出目標温度temp(i1)、temp(i2)を、以下の(17)式で示される炉内温度移行目的関数に設定する。さらに、炉内温度移行目的関数設定部143は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(17)で示される炉内温度移行目的関数に設定する。
炉内温度移行目的関数設定部143は、例えば、CPUが、(17)式の既知の変数を(17)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
取込鋼材目的関数設定部144は、情報取得部110により取得された鋼材情報を読み出し、各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点の情報を抽出する。そして、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点point(i)を、以下の(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。さらに、取込鋼材目的関数設定部144は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]を、以下の(18)で示される取込鋼材目的関数に設定する。
取込鋼材目的関数設定部144は、例えば、CPUが、(18)式の既知の変数を(18)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、情報取得部110により取得された鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、以下の(19)で示される取込漏れ鋼材目的関数に設定する。
取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、例えば、CPUが、(19)式の既知の変数を(19)式に代入する処理を行い、その結果として得られる式を記憶媒体(RAM等)に記憶することにより実現することができる。
目的関数結合部146は、以上のようにして設定された「(15)式の幅移行目的関数Je_widthと、(16)式の厚み移行目的関数Je_thickと、(17)式の炉内温度移行目的関数Jf_tempと、(18)式の取込鋼材目的関数Je_pointと、(19)式の取込漏れ鋼材目的関数Je_loss」の重み付き平均和を、抽出順を決定する問題の目的関数Jとして設定する。すなわち、目的関数結合部146は、(15)式〜(19)式、及び情報取得部110で取得された重み係数k1、k2、k3、k4、k5を用いて、以下の(20)式で表される目的関数Jを総和目的関数として設定する。
最適解計算部150は、抽出順割当変数定義制約式設定部131で設定された「鋼材抽出順割当変数((1)式)、(2)式)、隣接抽出順割当変数定義制約式((3)式〜(5)式)、及び炉内近隣抽出順割当変数定義制約式((6)式〜(8)式)」と、抽出順連続選択制約式設定部132で設定された「抽出順連続選択制約式((9)式)」と、寸法・品質規制制約式設定部133で設定された「幅移行規制制約式((12)式)、厚み移行規制制約式((13)式)、及び炉内温度移行規制制約式((14)式)」と、を制約条件とし、目的関数結合部146で設定された(20)式の目的関数Jを最小化する決定変数(「鋼材抽出順割当変数xe[i][e]」、「隣接抽出順割当変数ye[i1][i2][e]」、「炉内近隣抽出順割当変数yf[i1][i2][pe]」)を決定する問題を解く。
本問題は、数理計画法の分野での代表的な問題である「1-0計画問題」として定式化されており、例えば、市販のsolver(例えばcplex)を用いて、鋼材抽出順割当変数xe[i][e]の最適解xe_opt[i][e]を算出することができる。よって、ここでは、その詳細な説明を省略する。尚、前述したように、本実施形態では、全ての鋼材に圧延順が割り当てられないこともある。
熱延スケジュール表示部160は、最適解計算部150により得られた「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出順eの最適解の情報」を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。
熱延スケジュール表示部160は、例えば、CPUが、記憶媒体に記憶された抽出順eの最適解の情報を読み出し、画像処理プロセッサが、熱延スケジュールの情報を表示するための画像データを生成し、当該画像データに基づく画像をディスプレイに表示させることにより実現できる。
次に、図3−1〜図3−2のフローチャートを参照しながら、熱延スケジュール作成装置100の処理動作の一例を説明する。尚、ここでは、情報取得部110が、鋼材情報と、寸法移行規制情報(コイル幅移行規制情報、コイル厚移行規制情報)と、品質移行規制情報(抽出温度移行規制情報)と、抽出炉順情報と、重み係数情報とを既に取得しているものとする。
まず、図3−1のステップS1において、抽出順組設定部120は、抽出炉順情報から、抽出順組識別パラメータpeを作成して記憶媒体に記憶する。抽出順組識別パラメータpeは、各加熱炉12内で近隣する2つの鋼材(スラブ)の抽出順の組を表す抽出順組pe(e1,e2)の全てを識別する識別情報(1,2,3,・・・)である。
具体的に、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i[−](i=1,・・・,N)」を、(1)式で表される抽出順割当制約式に設定する。また、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e[−](e=1,・・・,N)を、(2)式で表される鋼材割当制約式に設定する。
次に、ステップS4において、抽出順割当変数定義制約式設定部131は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]と、各鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2[−](i1=1,・・・,N、i2=1,・・・,N)」と、各鋼材(スラブ)の抽出順e1、e2[−]と、抽出順割当変数設定部121により導出された抽出順組識別パラメータpe(pe=1,・・・,PN)とを、(6)式〜(8)で表される炉内近隣抽出順割当変数定義制約式に設定する。
次に、ステップS6において、寸法・品質規制制約式設定部133は、鋼材情報から得られる「2つの鋼材(コイル)のコイル幅」から、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定する。この判定の結果、当該2つの鋼材(コイル)が、コイル幅移行規制情報で示される規制に違反する場合、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材の鋼材番号i1、i2と、作成対象の熱延スケジュールにおける鋼材の総数Nを、(12)式で表される幅移行規制制約式に設定する。寸法・品質規制制約式設定部133は、このような処理を鋼材情報に含まれる全ての鋼材について行う。
次に、ステップS8において、寸法・品質規制制約式設定部133は、鋼材情報から得られる「2つの鋼材(スラブ)の「抽出温度上限、抽出温度下限」」から、それら2つの鋼材(スラブ)の抽出温度許容範囲を導出する。そして、寸法・品質規制制約式設定部133は、当該2つの鋼材(スラブ)が、抽出温度移行規制情報で示される規制に違反するか否かを判定し、違反する場合には、当該2つの鋼材(スラブ)の鋼材番号i1、i2を、(14)式で表される炉内温度移行規制制約式に設定する。寸法・品質規制制約式設定部133は、このような処理を鋼材情報に含まれる全ての鋼材について行う。
次に、ステップS10において、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材情報から得られる「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)のコイル厚」に基づいて、2つの鋼材(コイル)の、相対的に薄い方のコイル厚thick(is)と、厚い方のコイル厚thick(ib)を、(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。さらに、厚み移行目的関数設定部142は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(16)式で示される厚み移行目的関数に設定する。
次に、ステップS12において、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材情報から得られる「得点」に基づいて、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の得点point(i)を、(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。さらに、取込鋼材目的関数設定部144は、鋼材情報から得られる「作成対象の熱延スケジュールに組み込むべき鋼材(スラブ)の総数N[個]」を、(18)式で示される取込鋼材目的関数に設定する。
次に、ステップS14において、目的関数結合部146は、ステップS10〜S14で設定された目的関数と、鋼材情報から得られる重み係数情報とを、(20)式で表される目的関数Jに設定する。
次に、ステップS16において、熱延スケジュール表示部160は、ステップS15の計算により得られた「各鋼材番号iの鋼材(スラブ)の抽出順eの最適解の情報」を熱延スケジュールの情報としてディスプレイに表示する。そして、図3のフローチャートによる処理を終了する。
次に、本実施形態の実施例について説明する。
図4は、本実施例における鋼材情報を示す図である。
図4に示すように、本実施例では、作成対象の熱延スケジュールの鋼材(スラブ)の総数N[個]は61個である。
また、本実施例では、寸法規制情報を以下の情報とした。
まず、コイル幅移行規制情報を、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が100[mm]を超えて大きくならないことを示す情報とした。
また、コイル厚移行規制情報を、抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的にコイル厚が厚い方のコイルのコイル厚が、相対的にコイル厚が薄い方のコイルのコイル厚の2倍を超えないことを示す情報とした。
また、本実施例では、サーマルクラウンを安定させるためのウォームアップ部分として、1番目〜32番目の抽出順が定められており、33番目以降の抽出順を作成するものとした。
1号炉の抽出順=(33 36 40 43 47 50・・・)
3号炉の抽出順=(34 38 41 45 48 52・・・)
4号炉の抽出順=(41 43 45 48 50 52 55 57・・・)
よって、33番目の抽出順を1番目の抽出順とすると、加熱炉12毎に抽出順は、以下のようになる。
1号炉の抽出順=(1 4 8 11 15 18 ・・・)
3号炉の抽出順=(2 6 9 13 16 20 ・・・)
4号炉の抽出順=(3 5 7 10 12 14 17 19 ・・・)
Pe={pe(e1,e2)}={1:(1 4),2:(1 8),3:(1 11),4:(4 8),5:(4 11),6:(4 15),7:(8 11),8:(8 15),9:(8 18),10:(11 15),11:(11 18),12:(15 18),13:(2 6),14:(2 9),15:(2 13),16:(6 9),17:(6 13) ,18:(6 16),19:(9 13),20:(9 16),21:(9 20),22:(13 16),23:(13 20),24:(16 20),25:(3 5 ),26:(3 7),27:(3 10),28: (5 7),29:(5 10),30:(5 12),31:(7 10),32:(7 12),33:(7 14),34:(10 12),35:(10 14),36:(10 17),37:(12 14),38:(12 17),39:(12 19),40:(14 17),41:(14 19),42:(17 19)・・・}
前記において、「:」の前に示されている数字が、抽出順組識別パラメータpeの値である。例えば、抽出順組pe(1,4)の抽出順組識別パラメータpeの値は「1」であり、抽出順組pe(4,8)の抽出順組識別パラメータpeの値は「4」である。
一方、図6、図7より、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)の加熱炉12a(1号炉)、12c(3号炉)における抽出温度上限は1240[℃]であり、抽出温度下限は1220[℃]である。よって、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)は、高温抽出材となる(図6、図7のグレーで示している箇所を参照)。
また、図8より、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)の加熱炉12d(4号炉)における抽出温度上限は1210[℃]〜1230[℃]であり、抽出温度下限は1180[℃]以下である。よって、このコイル幅帯域の鋼材(スラブ)は、どちらかといえば低温抽出材となる(図8のグレーで示している箇所を参照)。
以上のように本実施形態では、1つの鋼材(スラブ)に割り当てられる抽出順の数を1又は0にするという制約条件を設定する。これより、鋼材(スラブ)に抽出順が割り当てられないことを許容する。また、或る抽出順に鋼材(スラブ)が割り当てられていない場合には、その抽出順の次の抽出順以降の抽出順には、鋼材(スラブ)は割り当てられないとする制約条件を設定する。これにより、鋼材に割り当てられていない抽出順が、鋼材に割り当てられた抽出順の後ろに配置されることを保証する。また、熱延スケジュールに組み込まれた鋼材(スラブ)についての、熱延スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す目的関数を設定する。これにより、熱延スケジュールに組み込む際の優先順位の低い鋼材(スラブ)を選択的に熱延スケジュールから除外する。また、熱延スケジュールに組み込まれていない鋼材(スラブ)の数を表す目的関数(評価関数)を設定する。これにより、熱延スケジュールに組み込まれない鋼材(スラブ)を可及的に少なくする。
<変形例1>
本実施形態では、前述したように、熱延スケジュールを作成する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、処理順序に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順序を表す処理順序スケジュールを作成するのであれば、目的関数や制約式の具体的な内容を製品に応じて変更することにより、どのようなスケジュールを作成する際にも、前述した手法を適用することができる。
厚板の圧延に際して使用する加熱炉の数は「1」である。よって、抽出順は、この加熱炉からの抽出順と同じになる。また、3つ隣りまでを近隣する範囲とすると、抽出順組pe(e1,e2)は、この加熱炉における抽出順で3つ隣りまでの抽出順のペアを表すものとなる。また、コイル幅移行規制情報、コイル厚移行規制情報に対応する鋼板幅移行規制情報及び鋼板厚移行規制情報や、抽出温度移行規制情報等の具体的な内容が熱延スケジュールを作成する場合と異なるが、その他については、熱延スケジュールを作成する場合と同様になる。
また、「厚み移行目的関数((15)式)、厚み移行目的関数((16)式)」と、「炉内温度移行目的関数((17)式)」とについては、少なくとも何れか一方があればよい。ただし、計算負荷を考慮しなければ、これらの全ての制約式があるのが最も好ましいということは勿論である。
また、本実施形態では、(18)式の取込鋼材目的関数と、(19)式の取込漏れ鋼材目的関数との双方を設定した。しかしながら、これらのうち少なくとも何れか一方を設定していればよい。
取込鋼材目的関数設定部144及び取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、一方の取込鋼材目的関数設定部144がスラブ(スラブ)の取り込みに対し、報酬を与えるもので、他方の取込漏れ鋼材目的関数設定部145は、取り込み漏れに対しペナルティを課すものである。従って、これらの目的関数は同様の役割を果たすことが可能であることから、例えば、鋼材番号iの鋼材(スラブ)の前記得点point(i)に該当するものがなく、とにかく出来るだけ多くの鋼材を取り込みたいという場合には、取込鋼材目的関数設定部144により設定される(18)式の取込鋼材目的関数がなくても、取込漏れ鋼材目的関数設定部145により設定される(19)式の取込漏れ鋼材目的関数により目的を達することができる。また、前記得点得点point(i)がある場合には、(18)式の取込鋼材目的関数の値を他の目的関数の値に対し、十分大きくとることにより、取込漏れ鋼材目的関数設定部145により設定される(19)式の取込漏れ鋼材目的関数がなくても、取込鋼材目的関数設定部144により設定される(18)式の取込鋼材目的関数により目的を達することができる。
請求項と本実施形態との関係は、例えば、以下の通りである。
(属性情報取得工程、属性情報取得手段)
属性情報取得工程、属性情報取得手段は、例えば、情報取得部110が、図4に示すような鋼材の属性情報を取得する処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば、鋼材番号が製品の識別情報に対応し、コイル幅及びコイル厚が寸法情報に対応し、抽出温度(抽出温度上限、抽出温度下限、抽出目標温度)が品質情報、管理温度に対応し、得点が優先度情報に対応する。
製品・処理順割当制約式設定工程、製品・処理順割当制約式設定手段は、例えば、抽出順割当変数定義制約式設定部131が、ステップS2の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(1)式の抽出順割当制約式と(2)式の鋼材割当制約式が、製品・処理順割当制約式に対応する。
(寸法移行規制制約式設定工程、寸法移行規制制約式設定手段)
寸法移行規制制約式設定工程、寸法移行規制制約式設定手段は、例えば、寸法・品質規制制約式設定部133が、ステップS6、S7の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(12)式の幅移行規制制約式と、(13)式の厚み移行規制制約式が、寸法移行規制制約式に対応する。
品質移行規制制約式設定工程、品質移行規制制約式設定手段は、例えば、寸法・品質規制制約式設定部133が、ステップS8の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(14)式の炉内温度移行規制制約式が、品質移行規制制約式に対応する。
(処理順連続選択制約式設定工程、処理順連続選択制約式設定手段)
処理順連続選択制約式設定工程、処理順連続選択制約式設定手段は、例えば、抽出順連続選択制約式設定部132が、ステップS5の処理を行うことにより実現される。
ここで、例えば(9)式の抽出順連続選択制約式が、処理順連続選択制約式に対応する。
寸法・品質移行目的関数設定工程、寸法・品質移行目的関数設定手段は、例えば、幅移行目的関数設定部141がステップS9の処理を、厚み移行目的関数設定部142がステップS10の処理を、炉内温度移行目的関数設定部143がステップS11の処理をそれぞれ行うことにより実現される。
ここで、例えば(15)式の幅移行目的関数、(16)式の厚み移行目的関数、及び(17)式の炉内温度移行目的関数が、寸法・品質移行目的関数に対応する。また、例えば(15)式の幅移行目的関数及び(16)式の厚み移行目的関数が寸法移行目的関数に対応する。
(製品目的関数設定工程、製品目的関数設定手段)
製品目的関数設定工程、製品目的関数設定手段は、例えば、取込鋼材目的関数設定部144が、ステップS12の処理を、取込漏れ鋼材目的関数設定部145が、ステップS13の処理をそれぞれ行うことにより実現される。うことにより実現される。
ここで、例えば(18)式の取込鋼材目的関数が、取込製品目的関数に対応する。また、例えば(19)式の取込漏れ鋼材目的関数が、取込漏れ製品目的関数に対応する。
(製品処理順導出工程、製品処理順導出手段)
製品処理順導出工程、製品処理順導出手段は、例えば、目的関数結合部146がステップS14の処理を、最適解計算部150がステップS15の処理をそれぞれ行うことにより実現される。
(処理順序スケジュール表示工程、処理順序スケジュール表示手段)
処理順序スケジュール表示工程、処理順序スケジュール表示手段は、例えば、熱延スケジュール表示部がステップS16の処理を行うことにより実現される。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (9)
- 処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成方法であって、
前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を管理するのに必要な情報である品質情報と、前記処理順序スケジュールに取り込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定工程と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定工程と、
前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出工程と、
前記製品処理順導出工程により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示工程と、を有することを特徴とする処理順序スケジュール作成方法。 - 前記処理順序スケジュールは、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールであり、
前記製品は、鋼材であり、
前記処理順は、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの抽出順であり、
前記属性情報は、前記熱延スケジュールに含まれる鋼材であるスラブ及びコイルの属性として、鋼材の識別情報と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度であり、前記加熱炉におけるスラブの抽出目標温度と、前記加熱炉におけるスラブの抽出温度の上限及び下限と、を含む管理温度と、前記熱延スケジュールに取り込む際の鋼材の優先度を示す優先度情報と、を含む情報であり、
前記寸法移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記コイル幅及び前記コイル厚の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記品質移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記管理温度の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれるコイル幅に基づくスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記属性情報に含まれる2つの鋼材のコイル厚の差の絶対値を小さくすることを目的する厚み移行目的関数と、を含み、
前記品質移行目的関数は、前記属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項1に記載の処理順序スケジュール作成方法。 - 前記品質移行規制制約式は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲と、同一の加熱炉内において当該スラブに対し抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲との重複範囲が規制値を下回る場合に、当該スラブへの抽出順の割り当てを禁止する制約式を含み、
前記温度移行目的関数は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出目標温度と、同一の加熱炉内において当該スラブと抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出目標温度との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項2に記載の処理順序スケジュール作成方法。 - 前記寸法移行規制制約式は、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が規制値を超えて大きくなる場合に、それら2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル幅移行規制制約式と、
抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚と、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚との比率が規制範囲外となる場合に、それら2つのスラブを前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル厚移行規制制約式と、を含み、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれる、前記抽出順で隣接する2つのコイルのコイル厚のうち、相対的に厚い方のコイル厚を、相対的に薄いコイル厚で除した値の総和を小さくすることを目的とする厚み移行目的関数と、
前記属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする幅移行目的関数と、を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の処理順序スケジュール作成方法。 - 処理順に関して寸法及び品質の制約がある複数の製品の処理順を示す処理順序スケジュールを作成する処理順序スケジュール作成装置であって、
前記製品の属性情報として、当該製品の識別情報と、当該製品の寸法を示す寸法情報と、当該製品の品質を管理するのに必要な情報である品質情報と、前記処理順序スケジュールに取り込む際の当該製品の優先度を示す優先度情報とを含む情報を取得する属性情報取得手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、1つの前記製品に割り当てられる処理順の数、及び、1つの処理順に割り当てられる前記製品の数を、それぞれ1又は0に規制する製品・処理順割当制約式を設定する製品・処理順割当制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の寸法によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す寸法移行規制制約式を設定する寸法移行規制制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品の品質に関する規制によって生じる前記製品の処理順に対する制約を示す品質移行規制制約式を設定する品質移行規制制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記製品が或る処理順に割り当てられていない場合には、その処理順の次の処理順以降の処理順には、前記製品を割り当てられないという制約を示す処理順連続選択制約式を設定する処理順連続選択制約式設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、処理順で連続する複数の製品の寸法の関係の望ましさの程度を表す寸法移行目的関数と、処理順で連続する複数の製品の品質の関係の望ましさの程度を表す品質移行目的関数との少なくとも何れか一方を設定する寸法・品質移行目的関数設定手段と、
前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれた製品についての、前記処理順序スケジュールに組み込むべき優先度の加算値を表す取込製品目的関数と、前記製品の属性情報に基づいて、前記処理順序スケジュールに組み込まれていない製品の数を表す取込漏れ製品目的関数との少なくとも何れか一方を設定する製品目的関数設定手段と、
前記寸法移行目的関数及び前記品質移行目的関数の少なくとも何れか一方と、前記取込製品目的関数及び前記取込漏れ製品目的関数の少なくとも何れか一方と、の重み付き和である総和目的関数の値を、前記製品・処理順割当制約式、前記寸法移行規制制約式、前記品質移行規制制約式、及び前記処理順連続選択制約式を満たす範囲で最小化する計算を行い、前記製品の属性情報に含まれる製品の少なくとも一部の処理順を導出する製品処理順導出手段と、
前記製品処理順導出手段により導出された処理順を含む情報を、前記処理順序スケジュールとして表示装置に表示する処理順序スケジュール表示手段と、を有することを特徴とする処理順序スケジュール作成装置。 - 前記処理順序スケジュールは、ヤードに積まれたスラブを、複数の加熱炉の何れかに装入し、前記加熱炉から抽出されたスラブを1つの圧延ラインで圧延してコイルを製造するための熱延スケジュールであり、
前記製品は、鋼材であり、
前記処理順は、前記複数の加熱炉全体で見た場合の前記スラブの抽出順であり、
前記属性情報は、前記熱延スケジュールに含まれる鋼材であるスラブ及びコイルの属性として、鋼材の識別情報と、コイルの寸法であるコイル幅及びコイル厚と、スラブの品質を管理するのに必要な温度であり、前記加熱炉におけるスラブの抽出目標温度と、前記加熱炉におけるスラブの抽出温度の上限及び下限と、を含む管理温度と、前記熱延スケジュールに取り込む際の鋼材の優先度を示す優先度情報と、を含む情報であり、
前記寸法移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記コイル幅及び前記コイル厚の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記品質移行規制制約式は、前記鋼材の抽出順に関する前記管理温度の規制を遵守するための鋼材の処理順を示す制約式であり、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれるコイル幅に基づくスラブの並び順と抽出順との差の絶対値を小さくすることを目的する幅移行目的関数と、前記属性情報に含まれる2つの鋼材のコイル厚の差の絶対値を小さくすることを目的する厚み移行目的関数と、を含み、
前記品質移行目的関数は、前記属性情報に含まれる2つのスラブの前記管理温度の差の絶対値を小さくすることを目的とする温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項5に記載の処理順序スケジュール作成装置。 - 前記品質移行規制制約式は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲と、同一の加熱炉内において当該スラブに対し抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出温度の上限及び下限から定まる抽出温度許容範囲との重複範囲が規制値を下回る場合に、当該スラブへの抽出順の割り当てを禁止する制約式を含み、
前記温度移行目的関数は、前記属性情報に含まれる或るスラブの抽出目標温度と、同一の加熱炉内において当該スラブと抽出順で近接する所定の範囲のスラブの抽出目標温度との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする炉内温度移行目的関数を含むことを特徴とする請求項6に記載の処理順序スケジュール作成装置。 - 前記寸法移行規制制約式は、抽出順で隣り合う2つのスラブのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅よりも、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル幅が規制値を超えて大きくなる場合に、それら2つのスラブを、前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル幅移行規制制約式と、
抽出順で隣り合う2つのスラブから形成されるコイルのうち、相対的に先に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚と、相対的に後に抽出されるスラブから形成されるコイルのコイル厚との比率が規制範囲外となる場合に、それら2つのスラブを前記抽出順で隣接させることを禁止するコイル厚移行規制制約式と、を含み、
前記寸法移行目的関数は、前記属性情報に含まれる、前記抽出順で隣接する2つのコイルのコイル厚のうち、相対的に厚い方のコイル厚を、相対的に薄いコイル厚で除した値の総和を小さくすることを目的とする厚み移行目的関数と、
前記属性情報に含まれるコイル幅が降順になるように並び替えられたスラブの並び順と、抽出順との差の絶対値の総和を小さくすることを目的とする幅移行目的関数と、を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の処理順序スケジュール作成装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載の処理順序スケジュール作成方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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