JP7031350B2 - 製鋼プロセスにおける鋳造時間の推定方法 - Google Patents
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Description
このように、温度目標値算出に用いる予定と実績との間に誤差が生じると、溶鋼温度予測が不正確となり、RHでの温度調整が必要になる。そのため、溶鋼温度を適切に管理するためには、予定と実績との間の時間誤差を低減することが重要である。
また、製鋼工場における操業スケジュール作成に関する技術として、例えば特許文献2には、製鋼工場における溶鋼温度推移を目的関数とし、実績操業情報に基づいて最適な操業スケジュールを作成する、製鋼プロセスにおける操業スケジュール作成方法が開示されている。
鋳造時間の予定値および実績値の例を図4に、図4に示した結果を誤差分布で示した図を図5に、それぞれ示す。図4および図5に示したように、現状の鋳造時間の予定値と実績値との間には誤差が生じる。そのため、本発明者は、鋳造時間を正しく推定する手法について検討した。その結果、連続鋳造開始時刻を推定するチャージ(当該チャージ)の転炉処理を行う前に判明している、当該チャージよりも前のチャージの出鋼量については実測値を用いるとともに、当該チャージよりも前のチャージの鋳造速度や、鋳造時間の予測誤差については、統計モデルを用いて推定した推定値を用いて、鋳造時間を推定することにより、鋳造時間の推定精度を向上させることが可能になることを知見した。本発明は当該知見に基づいて完成させた。
本発明について、以下に説明する。
T=WCH×RD/(WdMD×ThMD×VC×ST×d) + Thosei
上記式において、Tは鋳造時間(min)、WCHは出鋼量(Ton)、RDは鋳込歩留、WdMDは鋳型幅(m)、ThMDは鋳型厚(m)、VCは鋳造速度(m/min)、STはストランド数、dは溶鋼の比重(Ton/m3)、Thoseiは誤差時間(min)である。
鋳造時間を推定する際に既に判明している出鋼量については実績値を用い、鋳造時間を推定する際に実績値が判明していないパラメータのうち、予定値と実績値とのばらつきが大きい鋳造速度VCおよび鋳造時間の推定誤差に相当するThoseiの何れか一方又は両方ついては統計モデルを用いて推定した値を使用して、鋳造時間を推定することにより、鋳造時間を高精度に推定することが可能になる。このようにして、現在時刻と当該チャージの連続鋳造開始時刻との間に連続鋳造が行われるすべてのチャージの鋳造時間を推定することにより、当該チャージの連続鋳造開始時刻を高精度に推定することが可能になる。
図7(A)に示した推定値と実績値とを比較すると、鋳造時間の推定誤差の標準偏差は3.4分であった。また、図7(B)に示した推定値と実績値とを比較すると、鋳造時間の推定誤差の標準偏差は、図7(A)よりも0.44分改善して2.96分となった。また、図7(C)に示した推定値と実績値とを比較すると、鋳造時間の推定誤差の標準偏差は、1.23分まで改善した。なお、図7(C)に示した結果においても、推定値と実績値との間には差が見られるが、これは実績データ自体に、測定誤差等が含まれていることが理由であると思われる。
また、図11に、材質ごとに分類した、鋳造時間の予定値と実績値との差のボックスプロットを示す。図11の左側の縦軸に示した記号は材質を表す記号(材質記号)であり、同右側の縦軸には各材質のデータ数を示した。図11に示したように、材質によって中央値(箱内太線)がばらついていることが分かる。
説明変数:最大鋳造速度、出鋼量(実績値)、鋳造時間(予定値)、RH時間(予定値)、連々総数、連々回数、取鍋回数、過熱度、鋳型幅、幅替回数
ここで、最大鋳造速度は、図10に例示した、鋳造速度の予定値であり、より具体的には、材質、鋳型幅、過熱度、および、転炉処理後の硫黄濃度に応じて定められる、実用上ほぼ理想的な操業が行われた場合に得られる鋳造速度である。
また、出鋼量は転炉から取り出される溶鋼の量であり、転炉から取鍋へと取り出された溶鋼を搬送する際に秤量することが可能である。図12~図14に示す3つの推定方法では、測定した実績値を用いた。なお、この出鋼量は、そのままの量が鋳造量ではない。転炉から出鋼された溶鋼は、その後、成分調整のための合金鉄等が添加されるため、鋳造量を特定する際には溶鋼へと添加される添加物についての補正をする必要がある。この補正量を、上記式では鋳込歩留RDとして出鋼量WCHに乗じている。鋳込歩留RDは操業状況等により設定される。
また、鋳造時間およびRH時間としては、予定値を用いた。
また、連々総数は、1回の連々鋳操業を構成するチャージの総数であり、例えば1回の連々鋳操業で7チャージ連続の操業を行う場合、連々総数は7である。
また、連々回数は、1回の連々鋳操業を構成する各チャージを意味し、例えば1回の連々鋳操業で7チャージ連続の操業を行う場合、連々回数は1から7までの値である。
また、取鍋回数は、転炉やRHで処理された溶鋼を受ける回数が何回目の取鍋であるかを表す数である。取鍋は、取鍋回数が数十回(例えば50回)になると、耐火物等が補修される。取鍋回数が異なると、取鍋の耐火物の厚さや取鍋内にこびりついた物の量が変わるため、溶鋼の温度が変わり、その温度に応じて鋳造速度が変更される。
また、過熱度は、溶鋼温度と溶鋼の凝固温度との差である。
また、鋳型幅は鋳型の幅であり、幅替回数は、1チャージの鋳込中に鋳型の幅を変更する回数である。
材質毎の推定誤差の標準偏差を、図8に結果を示した3つの手法による推定誤差の標準偏差とともに、表1に示す。
Thoseiには過去実績の平均値を用い、且つ、その他の変数にはすべて実績値を用いる図7(C)に結果を示した手法に相当する物理モデル(実績値)の標準偏差の平均値は、2.03分であり、物理モデル(予定値)からの改善代は1.71分である。また、Thoseiには過去実績の平均値を用い、且つ、出鋼量についてのみ実績値を用いる図7(B)に結果を示した手法に相当する物理モデル(実)出鋼量の標準誤差の平均値は3.49分であった。今回の結果から、パラレルグレイボックスモデルでは改善代の46.5%、ハイブリッドグレイボックスモデルでは改善代の49.8%の改善効果があった。したがって、本発明では、パラレルグレイボックスモデル、または、ハイブリッドグレイボックスモデルにより、鋳造時間を推定することが好ましい。
10…連続鋳造機
11…鋳型
12…タンディッシュ
13、15…管
14…取鍋
Claims (3)
- 少なくとも1基以上の転炉、および、少なくとも1基以上の連続鋳造機を用いる製鋼プロセスにおける、前記連続鋳造機における鋳造時間を推定する方法であって、
当該チャージの連続鋳造開始時刻を推定するために、現在時刻から前記当該チャージの連続鋳造開始時刻までの間に行われる、前記当該チャージよりも前のチャージの鋳造時間を、下記式を用いて推定するに際して、
出鋼量WCHとして、前記前のチャージの出鋼量の実績値を使用し、且つ、
鋳造速度VCおよび誤差時間Thoseiの何れか一方又は両方として、統計モデルに基づいて算出される推定値を使用することにより、前記前のチャージの鋳造時間Tを推定することを特徴とする、製鋼プロセスにおける鋳造時間の推定方法。
T=WCH×RD/(WdMD×ThMD×VC×ST×d) + Thosei
上記式において、Tは鋳造時間(min)、WCHは出鋼量(Ton)、RDは鋳込歩留、WdMDは鋳型幅(m)、ThMDは鋳型厚(m)、VCは鋳造速度(m/min)、STはストランド数、dは溶鋼の比重(Ton/m3)、Thoseiは統計モデルに基づいて算出される誤差時間の推定値又は0(min)である。 - 前記鋳造速度V C として、該鋳造速度V C の予定値、又は、前記統計モデルに基づいて算出される推定値を使用することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼プロセスにおける鋳造時間の推定方法。
- 前記鋳造速度VCおよび前記誤差時間Thoseiとして、前記統計モデルに基づいて算出される推定値を使用することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼プロセスにおける鋳造時間の推定方法。
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