JP6375741B2 - 製鋼工場における溶鋼温度の制御方法 - Google Patents
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Description
操業スケジュールで特定された二次精錬開始予定時刻の過去の操業データや、操業スケジュールで特定された連続鋳造開始予定時刻の過去の操業データが判明している場合には、例えば、判明しているこれらのデータを用いて特定したΔTU2およびΔTU3を使用することにより、本発明を実施することができる。
ここで、標準値zm2は、過去の操業実績データにおいて、二次精錬装置における処理準備にかかる時間の下限値よりも過剰に消費される時間の平均値により求めることができる。操業スケジュールで特定された二次精錬開始予定時刻の過去の操業データが不明な場合には、例えば二次精錬最小待機時刻を用いてΔTU2を算出することにより、本発明を実施することが可能になる。
ここで、標準値zm3は、過去の操業実績データにおいて、連続鋳造機における処理準備にかかる時間の下限値よりも過剰に消費される時間の平均値により求めることができる。操業スケジュールで特定された連続鋳造開始予定時刻の過去の操業データが不明な場合には、例えば連続鋳造最小待機時刻を用いてΔTU3を算出することにより、本発明を実施することが可能になる。
T2=T1−DT2
DT2=a2×z2+Σi ci×xi …式(1)
ここで、T1は転炉出鋼完了時の溶鋼温度、T2は二次精錬開始時の溶鋼温度、xiは取鍋搬送時間以外の説明変数、ciはxiに対する係数である。
ΔT2=a2×Δz2 …式(2)
である。Δz2のばらつきの上限値をΔzU2で表すと、搬送時間中の溶鋼温度降下量変動幅の上限値ΔTU2は、
ΔTU2=a2×ΔzU2 …式(3)
である。温度降下量モデル式(1)における搬送時間以外の温度変化要因の変動範囲をデータからあらかじめ求めておき、さらに、上記式(1)の係数ciの符号に応じて変動範囲の上限および下限をあらわすΔx* iを、ciの符号が正ならばxiの変動幅の上限値、反対にciの符号が負ならばxiの変動幅の下限値として選択するとき、上記式(1)における搬送時間以外の温度変化要因による温度低下リスク上限w2は、
w2=Σi ci×Δx* i …式(4)
となる。
DT3=a3×z3+Σi ci×xi …式(5)
式(5)において、xiは取鍋搬送時間以外の説明変数である。
ΔT3=a3×Δz3 …式(6)
である。したがって、Δz3のばらつきの上限値をΔzU3で表すと、搬送時間中の溶鋼温度降下量変動幅の上限値ΔTU3は、
ΔTU3=a3×ΔzU3 …式(7)
である。
TL3≦Tt1−ΔT2−ΔT3−w …式(8)
を満たすこと、すなわち
ΔT2+ΔT3≦Tt1−TL3−w …式(9)
を満たすことが必要である。したがって、あらかじめ定めた操業スケジュール通りに操業した場合における転炉出鋼完了時から二次精錬装置到着までの溶鋼温度降下量DT2と、二次精錬装置処理終了から連続鋳造開始時までの溶鋼の温度降下量の推定値DT3と、二次精錬装置処理開始から二次精錬装置処理終了までの溶鋼温度降下量DT4とを、連続鋳造開始時における溶鋼温度の管理下限値TL3に加えた温度を転炉出鋼後溶鋼温度の暫定目標値T’t1とする。T’t1は次のように表される。
T’t1=TL3+DT2+DT3+DT4
さらに、転炉から2次精錬装置まで、および、2次精錬装置から連続鋳造機までの各々の溶鋼搬送時間の最大延長時間をそれぞれΔTU2、ΔTU3とする場合、鋼種や鋳造時間に基づきあらかじめ定めたTL3に対して、転炉出鋼完了時の溶鋼温度の目標値Tt1は、
T’t1+ΔTU2+ΔTU3+w≦Tt1
を満たす最小値
Tt1=T’t1+w+ΔTU2+ΔTU3 …式(10)
と設定する。
溶鋼搬送時間の遅延幅の最大値を過小に見積もり、転炉出鋼温度を低下させると、連続鋳造開始時に溶鋼温度低温による鋳込み不能となる可能性が高まり、反対に溶鋼搬送時間の遅延幅の最大値を過大に見積もり、転炉出鋼温度目標値を上昇させると、取鍋耐火物の損耗が激しくなる。そこで本発明では、これらの溶鋼温度上限値ΔTU2およびΔTU3を適切に設定するために、取鍋搬送時間の遅延幅Δz2およびΔz3の、各々の管理上限値ΔzU2およびΔzU3を操業の実態に基づき見積もることにより、転炉出鋼後の溶鋼温度の目標値を適切に制御する。
図1は、転炉と二次精錬の処理時間の関係のガントチャートである。図中では、当該チャージをn回目とし、二次精錬の1回過去のn−1回目の処理チャージの完了時刻をE2、n−1、当該チャージの転炉出鋼完了時刻をE1、n、当該チャージの二次精錬開始時刻をS2、nで表す。また、クレーンまたは台車等の取鍋搬送手段の最大速度等から定まる転炉から二次精錬装置への取鍋搬送時間の下限値をt2とし、二次精錬の処理準備時間下限値をq2とする。このとき、二次精錬におけるn−1回目のチャージの処理が完了し、さらに当該チャージの処理を準備しなければ、n回目のチャージの溶鋼取鍋が二次精錬装置に到着しても処理を開始できないため、最も早く二次精錬を開始できる時刻は、最大値を選択する関数maxを使ってmax(E1、n+t2、E2、n−1+q2)で表され、二次精錬開始時刻との関係として
S2、n≧max(E1、n+t2、E2、n−1+q2) …式(11)
が成り立つ。なお、本発明の説明では、最も早く二次精錬を開始できる時刻を「最小待機二次精錬開始時刻」と称する。
S2、n−E1、n≧max(t2、E2、n−1−E1、n+q2) …式(12)
を満たす。
二次精錬と連続鋳造の処理時間の関係についても、図2と同様の関係が成り立つ。すなわち、連続鋳造の1回過去のn−1回目の処理チャージの完了時刻をE3、n−1、当該チャージの二次精錬完了時刻をE2、n、当該チャージの連続鋳造開始時刻をS3、nで表す。また、クレーンまたは台車等の取鍋搬送手段の最大速度等から定まる二次精錬装置から連続鋳造機への取鍋搬送時間の下限値をt3とし、連続鋳造機の処理準備時間下限値をq3とする。このとき、連像鋳造機におけるn−1回目のチャージの処理が完了し、さらに当該チャージの処理を準備しなければ、n回目のチャージの溶鋼取鍋が連続鋳造機に到着しても鋳造を開始できない。最も早く連続鋳造を開始できる時刻は、max(E2、n+t3、E3、n−1+q3)で表される。したがって、
S3、n≧max(E2、n+t3、E3、n−1+q3) …式(13)
が成り立つ。なお、本発明の説明では、最も早く連続鋳造を開始できる時刻を「最小待機連続鋳造開始時刻」と称する。
S3、n−E2、n≧max(t3、E3、n−1−E2、n+q3) …式(14)
を満たす。図2と同様に、本発明を実施可能な製鋼工場における連続鋳造の1チャージ目の実績データについて、横軸にx=E3、n−1−E2、nを、縦軸にy=S3、n−E2、nをとりプロットした、二次精錬装置−連続鋳造機間の溶鋼搬送時間の分布図を図3に示す。図3に示したように、プロットが存在する範囲は、x軸に平行な直線L3:y=t3、および、傾き1の直線L4:y=x+q3で囲まれる、y≧t3かつy≧x+q3なる領域である。上記のプロットの領域と直線L3との隙間を最小にするt3を二次精錬装置から連続鋳造機への取鍋搬送時間の下限値とし、上記のプロットの領域と直線L4との隙間を最小にするq3を連続鋳造機の処理準備時間下限値として決定する。
このように、二次精錬および連続鋳造の開始予定時刻データが記録されてない場合であっても、各々の操業時の開始予定時刻を推定できる。
溶鋼搬送の予定からの遅延は、処理装置における該当チャージの1つ前のチャージの処理時間の延長および取鍋搬送装置の使用取り合いなどにより発生するため、遅延時間幅Δz2、nおよびΔz3、nを転炉出鋼以前に事前予測することは困難である。そこで、上記の二次精錬開始時刻および最小待機二次精錬開始時刻を用いて、操業スケジュールに対する転炉−二次精錬装置間の溶鋼搬送遅延時間の変動幅が上回る確率があらかじめ定めた危険率以下になる管理上限値ΔzU2を決定し、上記の連続鋳造開始時刻および最小待機連続鋳造開始時刻を用いて、操業スケジュールに対する二次精錬装置−連続鋳造機間の溶鋼搬送遅延時間の変動幅が上回る確率があらかじめ定めた危険率以下になる管理上限値ΔzU3を決定する。
ΔzU2およびΔzU3は、各々Δz2およびΔz3の分布を以下のように補間することにより算出する。過去の操業実績のデータサンプル数がN個の場合に、実績データにおけるΔz2の値を小さい値から順に、同値の場合は順番を増やしながら並べ、j番目の値をΔz2[j]とし、対応する相対順位をp[j]=j/Nとする。点(p[j]、Δz2[j])間(1≦j≦N)を線形補間することにより、p=αに対応する値を、p[j]≦p<p[j+1]を満たすjについて
ΔzU2=(1−g)×Δz2[j]+g×Δz2[j+1]
g=(p−p[j])/(p[j+1]−p[j])
として求める。ΔzU3についてもΔz3[j]に関して同様の手続きにより算出する。
n番目のチャージの実績データについて、転炉出鋼−前回チャージ二次精錬終了時間差x2を、x2=E2、n−1−E1、nと定義するとともに、転炉−二次精錬装置間の取鍋搬送時間y2を、y2=S2、n−E1、nと定義し、二次精錬開始の最小待機二次精錬開始時刻に対する遅れ
z2=y2−max(t2、x2+q2) …式(15)
の分布表を作成する。そして、上記y2の分布の上位100×α%にあたる値z2をzU2とする(ただし、0≦α≦1)。zU2−zm2は、操業スケジュールに対する搬送時間の遅延時間が上限値を上回る危険率が100×α%となる値なので、溶鋼搬送遅延時間幅の管理上限値ΔzU2を
ΔzU2=zU2−zm2 …式(16)
と定義する。
二次精錬装置−連続鋳造機間の搬送時間についても同様に、二次精錬終了−前回チャージ連続鋳造終了時間差x3と、二次精錬装置−連続鋳造機間の取鍋搬送時間y3と、最小待機連続鋳造開始時刻に対する連続鋳造開始時刻の遅れz3と、z3の管理上限値zU3とを定義し、溶鋼搬送遅延時間幅の管理上限値ΔzU3を
ΔzU3=zU3−zm3 …式(17)
と定義する。
zU2=(1−g)×z2[j]+g×z2[j+1]
g=(p−p[j])/(p[j+1]−p[j])
として求める。zU3についてもz3[j]に関して同様の手続きにより算出する。
上述の方法で求めた上限管理値ΔzU2およびΔzU3を、それぞれ式(3)および(7)へ代入することにより、ΔTU2およびΔTU3を算出し、これらを式(10)へと代入することにより、転炉出鋼完了時の溶鋼温度の目標値Tt1を決定することができる(図4)。このほか、過去の操業の実績データを用いて、転炉と二次精錬装置との間の搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度V1、および、二次精錬装置と連続鋳造機との間の搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度V2を推定することができる場合、ΔTU2はΔTU2=ΔzU2×V1により算出することができ、ΔTU3はΔTU3=ΔzU3×V2により算出することができる。このようにしてΔTU2およびΔTU3を算出したら、これらを式(10)へと代入することにより、転炉出鋼完了時の溶鋼温度の目標値Tt1を決定することができる。
二次精錬開始時の溶鋼温度が管理下限値を下回る確率を2.5%として、上記式(10)にしたがって二次精錬開始時の溶鋼温度の目標値、および、転炉出鋼完了時における溶鋼温度の目標値を設定すると、従来の方法では、ΔTU2’=a2×ΔzU2’=0.65×29.1=18.9℃、および、ΔTU3’=a3×ΔzU3’=0.3×24.6=7.4℃より、ΔTU2’+ΔTU3’=26.3℃であった。
これに対し、本発明では、ΔTU2=a2×ΔzU2=0.65×17.1=11.1℃、および、ΔTU3=a3×ΔzU3=0.3×24.6=5.6℃より、ΔTU2’+ΔTU3’=16.7℃であった。したがって、本発明によれば、転炉出鋼完了時における溶鋼の目標温度に加える遅延補償量を、従来の方法と比較して、26.3−16.7=9.6℃低減することが可能であった。この結果を表2に示す。
Claims (2)
- 溶鋼精錬および鋳造処理の装置として、転炉と二次精錬装置と連続鋳造機とを備え、取鍋により溶鋼が前記装置間を運搬され、連続鋳造の開始時点における溶鋼温度の目標値および管理下限値を設定し、転炉吹錬および二次精錬により溶鋼の成分制御が実施される製鋼工場における溶鋼温度を制御する方法であって、
(a)立案された操業スケジュールにおける二次精錬の開始時刻から当該チャージの二次精錬の開始時刻が遅延する時間の管理上限値ΔzU2、を用いて、前記転炉から前記二次精錬装置への取鍋搬送中における遅延による前記溶鋼の温度降下量の管理上限値ΔTU2を算出するステップと、
(b)前記操業スケジュールにおける連続鋳造の開始時刻から当該チャージの連続鋳造の開始時刻が遅延する時間の管理上限値ΔzU3、を用いて、前記二次精錬装置から前記連続鋳造機への取鍋搬送中における遅延による前記溶鋼の温度降下量の管理上限値ΔTU3を算出するステップと、
前記操業スケジュール通りに操業した場合における転炉出鋼完了時から二次精錬装置到着までの溶鋼温度降下量DT2と、二次精錬装置処理終了から連続鋳造開始時までの溶鋼の温度降下量の推定値DT3と、二次精錬装置処理開始から二次精錬装置処理終了までの溶鋼温度降下量DT4とを連続鋳造開始時における溶鋼温度の管理下限値TL3に加えて転炉出鋼後溶鋼温度の暫定目標値T’t1とし、搬送時間以外の温度変化要因による温度低下リスク上限値wと,前記ΔTU2と、前記ΔTU3とを、前記転炉出鋼後溶鋼温度の暫定目標値T’t1に加えたT’t1+w+ΔTU2+ΔTU3を、転炉出鋼完了時における溶鋼温度の目標値とするステップとを含み、
前記ステップ(a)は、
(a1)前記転炉から前記二次精錬装置までの搬送時間の遅延による搬送中の前記溶鋼の温度低下量をΔT2とするとき、ΔT2>ΔTU2となる確率が予め定めた危険率α(0≦α≦1)以下となるように特定される前記管理上限値ΔzU2を、前記操業スケジュールで特定された二次精錬開始予定時刻のデータと過去の操業の二次精錬開始時刻の実績データとを用いて特定するステップと、
(a2)過去の操業の実績データを用いて、前記転炉と前記二次精錬装置との間の搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度V1を推定するステップと、
(a3)前記ΔTU2をΔTU2=ΔzU2×V1として算出するステップと
を含み、
前記ステップ(a1)は、
(a1−1)前記操業スケジュールで特定された二次精錬予定時刻のデータと過去の操業の二次精錬開始時刻の実績データとの偏差Δz2の分布の上位100×α%にあたる値を前記管理上限値ΔzU2として特定するステップを含み、
前記ステップ(b)は、
(b1)前記二次精錬装置から前記連続鋳造機までの搬送時間の遅延による搬送中の前記溶鋼の温度低下量をΔT3とするとき、ΔT3>ΔTU3となる確率が予め定めた前記危険率α以下となるように特定される前記管理上限値ΔzU3を、前記操業スケジュールで特定された連続鋳造開始予定時刻のデータと過去の操業の連続鋳造開始時刻の実績データとを用いて特定するステップと、
(b2)過去の操業の実績データを用いて、前記二次精錬装置と前記連続鋳造機との間の搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度V2を推定するステップと、
(b3)前記ΔTU3をΔTU3=ΔzU3×V2として算出するステップと
を含み、
前記ステップ(b1)は、
(b1−1)前記操業スケジュールで特定された連続鋳造開始予定時刻のデータと過去の操業の連続鋳造開始時刻の実績データとの偏差Δz3の分布の上位100×α%にあたる値を前記管理上限値ΔzU3として特定するステップを含む
ことを特徴とする、製鋼工場における溶鋼温度の制御方法。 - 溶鋼精錬および鋳造処理の装置として、転炉と二次精錬装置と連続鋳造機とを備え、取鍋により溶鋼が前記装置間を運搬され、連続鋳造の開始時点における溶鋼温度の目標値および管理下限値を設定し、転炉吹錬および二次精錬により溶鋼の成分制御が実施される製鋼工場における溶鋼温度を制御する方法であって、
(a)立案された操業スケジュールにおける二次精錬の開始時刻から当該チャージの二次精錬の開始時刻が遅延する時間の管理上限値Δz U2 、を用いて、前記転炉から前記二次精錬装置への取鍋搬送中における遅延による前記溶鋼の温度降下量の管理上限値ΔT U2 を算出するステップと、
(b)前記操業スケジュールにおける連続鋳造の開始時刻から当該チャージの連続鋳造の開始時刻が遅延する時間の管理上限値Δz U3 、を用いて、前記二次精錬装置から前記連続鋳造機への取鍋搬送中における遅延による前記溶鋼の温度降下量の管理上限値ΔT U3 を算出するステップと、
前記操業スケジュール通りに操業した場合における転炉出鋼完了時から二次精錬装置到着までの溶鋼温度降下量DT 2 と、二次精錬装置処理終了から連続鋳造開始時までの溶鋼の温度降下量の推定値DT 3 と、二次精錬装置処理開始から二次精錬装置処理終了までの溶鋼温度降下量DT 4 とを連続鋳造開始時における溶鋼温度の管理下限値T L3 に加えて転炉出鋼後溶鋼温度の暫定目標値T’ t1 とし、搬送時間以外の温度変化要因による温度低下リスク上限値wと,前記ΔT U2 と、前記ΔT U3 とを、前記転炉出鋼後溶鋼温度の暫定目標値T’ t1 に加えたT’ t1 +w+ΔT U2 +ΔT U3 を、転炉出鋼完了時における溶鋼温度の目標値とするステップとを含み、
前記ステップ(a)は、
(a1)前記当該チャージの二次精錬の開始時刻が遅延する時間の上限値を算出する際に、当該チャージの転炉出鋼完了時刻E 1,n と、前記当該チャージに対する二次精錬装置の前回処理チャージの終了時刻E 2,n−1 と、取鍋の最大移動速度を用いて特定される前記転炉から前記二次精錬装置への取鍋搬送時間の下限値t 2 と、前記二次精錬装置における処理準備にかかる時間の下限値q 2 と、を用いて算出される、該当チャージの二次精錬処理を最も早く開始できる時刻max(E 1,n +t 2 ,E 2,n−1 +q 2 )を、二次精錬最小待機時刻とし、
前記操業スケジュールで特定される前記二次精錬装置の位置に前記取鍋が到着する時刻に、二次精錬装置における処理準備にかかる時間の下限値に加えて実際の処理準備で該下限値より過剰に消費される時間の標準値z m2 を加えた時刻として推定される二次精錬開始予定時刻max(E 1,n +t 2 ,E 2,n−1 +q 2 )+z m2 と、転炉出鋼完了時刻E 1,n の実績データとの差max(t 2 ,E 2,n−1 −E 1,n +q 2 )+z m2 を、前記転炉と前記二次精錬装置との間の搬送時間y 2 の予定値とし、
前記転炉と前記二次精錬装置との間の搬送時間y 2 の実績データと、前記搬送時間の予定値max(t 2 ,E 2,n−1 −E 1,n +q 2 )+z m2 との差y 2 −max(t 2 ,E 2,n−1 −E 1,n +q 2 )−z m2 を、立案された操業スケジュールにおける二次精錬の開始時刻から当該チャージの二次精錬の開始時刻が遅延する前記時間z 2 −z m2 とし、
前記転炉から前記二次精錬装置までの搬送時間の遅延による搬送中の前記溶鋼の温度低下量をΔT 2 とするとき、ΔT 2 >ΔT U2 となる確率が予め定めた危険率α(0≦α≦1)以下となるように特定される前記管理上限値Δz U2 を、前記二次精錬最小待機時刻を用いて特定するステップと、
(a2)特定された前記Δz U2 を用いて、前記ΔT U2 を算出するステップと
を含み、
前記ステップ(a1)は、
(a1−1)過去の操業の実績データにおける前記y 2 の分布の上位100×α%にあたる前記z 2 −z m2 の値を、前記管理上限値Δz U2 として特定するステップ
を含み、
前記ステップ(a2)は、
(a2−a)転炉出鋼完了から二次精錬開始までの溶鋼温度降下量を目的変数とし、転炉と二次精錬装置との間の取鍋搬送時間を含む説明変数を用いて、過去の操業の実績データを回帰分析することにより算出された、転炉と二次精錬装置との間の取鍋搬送時間に対する回帰係数a 2 に基づいて、前記ΔT U2 をΔT U2 =a 2 ×Δz U2 として算出するステップ、又は、
(a2−b)過去の操業の実績データを用いて推定された、前記転炉と前記二次精錬装置との間の取鍋搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度の推定値V1を用いて、前記ΔT U2 をΔT U2 =Δz U2 ×V1として算出するステップ
を含み、
前記ステップ(b)は、
(b1)前記当該チャージの連続鋳造の開始時刻が遅延する時間の上限値を算出する際に、当該チャージの二次精錬完了時刻E2,nと、前記当該チャージに対する連続鋳造装置の前回処理チャージの終了時刻E3,n−1と、取鍋の最大移動速度を用いて特定される前記二次精錬装置から前記連続鋳造機への取鍋搬送時間の下限値t3と、前記連続鋳造機における処理準備にかかる時間の下限値q3と、を用いて算出される、該当チャージの連続鋳造処理を最も早く開始できる時刻max(E2,n+t3,E3,n−1+q3)を、連続鋳造最小待機時刻とし、
前記操業スケジュールで特定される前記連続鋳造機の位置に前記取鍋が到着する時刻に、連続鋳造機における処理準備にかかる時間の下限値に加えて実際の処理準備で該下限値より過剰に消費される時間の標準値zm3を加えた時刻として推定される連続鋳造開始予定時刻max(E2,n+t3,E3,n−1+q3)+zm3と、二次精錬完了時刻E2,nの実績データとの差max(t3,E3,n−1−E2,n+q3)+zm3を、前記二次精錬装置と前記連続鋳造機との間の搬送時間y3の予定値とし、
前記二次精錬装置と前記連続鋳造機との間の搬送時間y3の実績データと、前記搬送時間の予定値max(t3,E3,n−1−E2,n+q3)+zm3との差y3−max(t3,E3,n−1−E2,n+q3)−zm3を、立案された操業スケジュールにおける連続鋳造の開始時刻から当該チャージの連続鋳造の開始時刻が遅延する前記時間z3−zm3とし、
前記二次精錬装置から前記連続鋳造機までの搬送時間の遅延による搬送中の前記溶鋼の温度低下量をΔT3とするとき、ΔT3>ΔTU3となる確率が予め定めた危険率α(0≦α≦1)以下となるように特定される前記管理上限値ΔzU3を、前記連続鋳造最小待機時刻を用いて特定するステップと、
(b2)特定された前記ΔzU3を用いて、前記ΔTU3を算出するステップと
を含み、
前記ステップ(b1)は、
(b1−1)前記y3の分布の上位100×α%にあたる前記z3−zm3の値を、前記管理上限値ΔzU3として特定するステップ
を含み、
前記ステップ(b2)は、
(b2−a)二次精錬処理終了後から連続鋳造開始までの溶鋼温度降下量を目的変数とし、二次精錬装置と連続鋳造装置との間の取鍋搬送時間を含む説明変数を用いて、過去の操業の実績データを回帰分析することにより算出された、二次精錬装置と連続鋳造装置との間の取鍋搬送時間に対する回帰係数a3に基づいて、前記ΔTU3をΔTU3=a3×ΔzU3として算出するステップ、又は、
(b2−b)過去の操業の実績データを用いて推定された、二次精錬装置と連続鋳造装置との間の搬送時間に対する取鍋内溶鋼温度の降下速度の推定値V2を用いて、前記ΔTU3をΔTU3=ΔzU3×V2として算出するステップ
を含むことを特徴とする、製鋼工場における溶鋼温度の制御方法。
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