JPH09201608A - 冷延鋼板の製造設備 - Google Patents

冷延鋼板の製造設備

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JPH09201608A
JPH09201608A JP8028543A JP2854396A JPH09201608A JP H09201608 A JPH09201608 A JP H09201608A JP 8028543 A JP8028543 A JP 8028543A JP 2854396 A JP2854396 A JP 2854396A JP H09201608 A JPH09201608 A JP H09201608A
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JP
Japan
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annealing
cold
conditions
rolled steel
production
Prior art date
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Withdrawn
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JP8028543A
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Junji Nakamura
淳二 中村
Tamio Fujita
民雄 藤田
Mitsunobu Inaba
光延 稲葉
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前工程での品質変動や素材の振替、作業ロッ
ト集約からくる製造条件変動等を起因とした材質変動を
抑制して、一定の材質を確保すると共に余材発生による
コストアップを防止することのできる冷延鋼板の製造設
備を提供する。 【解決手段】 製品規格に適合する冷延鋼板の一貫製造
条件を記憶する生産指示記憶手段11と、製鋼分塊工程
17における中間製品の溶鋼の成分を測定して記憶する
溶鋼成分記憶手段12と、生産指示記憶手段11から出
力される製品規格に適合させるための冷延工程19にお
ける焼鈍条件を、溶鋼成分記憶手段12から出力される
製品規格に対応した中間製品の溶鋼成分の値に基づい
て、予め溶鋼成分毎に設定された焼鈍条件と比較するこ
とにより再設定を行う焼鈍条件設定手段13と、焼鈍条
件設定手段13により設定される焼鈍温度、保定時間、
及び装入量等の焼鈍条件に従って冷延鋼板の焼鈍を行う
焼鈍手段15とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製品規格に合致する
多品種の冷延鋼板を生産計画に従って、溶鋼の状態から
一貫して製造する際における冷延鋼板の製造設備に関す
る。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板の製品規格(JIS−G314
1)体系によれば、冷延鋼板はSPCC(一般加工
用)、SPCD(絞り加工用)、SPCE(深絞り加工
用)に区分され、上位となる規格材は、特殊な用途のも
のを除いて下位となる規格材の全ての機械的特性値を満
足するように構成されている。またパフォーマンスギャ
ランティ重視の観点から鋼自体の化学成分に対する規定
は削除されている。一般に鋼材を冷間圧延して最終製品
に仕上げる場合には、上工程から供給される冷延鋼板の
素材が多種多様な工程を経由して最終製品となる。
【0003】例えば図3に示すように、鋼材の製造工程
は、大きく製銑工程、製鋼分塊工程、熱延工程、及び冷
延工程に分類され、更に該冷延工程は、酸洗ライン、及
び冷間圧延機の工程を経て、箱型焼鈍又は連続焼鈍にお
ける焼鈍温度、保定時間、加熱速度、装入量等の焼鈍条
件によって最終製品となる冷延コイルの機械的特性等が
左右される。そして、前述のように複数の工程を経て多
品種の製品を一貫して製造する場合には、まず、予め製
品規格に合致した製造手順、製造条件に基づいて生産計
画を策定し、これに従って各工程での処理が行われる。
しかし、各工程の作業ロット編成の単位が異なるため
に、素材の積み合わせの問題や各工程品質の的中能力等
から品質のばらつきが発生し、工程間での作業タイミン
グの調整が必要となる。
【0004】そこで、コイル等の処理を行う箱型焼鈍炉
でのバッチ式焼鈍工程においては、材質を造り分けし、
品質の狙い値をコントロールするために、焼鈍の加熱速
度や焼鈍温度、保定時間をその製品規格や寸法毎に規定
している。この際に、複数積載されるコイルの最冷点の
温度を直接測定することが実際的に困難であるので、特
定位置のコイル端面の温度を測定して、その端面の温度
がある一定の温度に到達した後に一定の保定時間を取る
方法が従来から行われてきた。しかし、この方法による
とコイルの重量や板幅の大小、積み込み位置によって温
度の分布状態が変化し、同一の焼鈍温度や保定時間で焼
鈍しても焼鈍の効果が一定とならない。また、前工程に
おける工程品質の的中能力が充分でない場合は、これに
伴う製造条件の変動を想定して、品質特性を一定レベル
以上にすべく、焼鈍条件の設定で吸収させるため、焼鈍
温度の範囲と保定時間に余裕代を多く持たせた設定が必
要であり、焼鈍能率が低下し、前工程の品質的中の変動
の影響により材質変動が大きくなっていた。そして、こ
のような最冷点の測温精度の向上を狙って特開昭57−
48984号公報に示されるような最冷点予測方式が開
発され、例えば特開昭59−6328号公報では、この
最冷点予測方式を用いて冷延鋼板の製造条件の変動によ
る材質への影響度を統計処理により求め、焼鈍温度を決
定する方法が示されている。
【0005】さらに、工程間における素材の待ち時間を
調整して効率化を図る技術として、例えば特公平5−4
5324号公報「冷間圧延鋼帯製造工場の物流制御装
置」に記載の技術がある。ここでは冷延鋼板に係る酸
洗、冷間圧延、バッチ焼鈍、連続焼鈍、調質圧延、精
整、めっき等の一連の製造設備を有する冷間圧延鋼帯製
造工場において、全てのコイルの物流シミュレーション
を行いながら、コイルの組み合わせ状況、納期等の評価
項目を用いて、各コイルの全設備作業目標時刻を決定す
る。そして次に、各設備毎にその次工程の作業目標時刻
に遅れない範囲で、厚み、幅、温度推移等の詳細スケジ
ュール制約も考慮して作業順序を再決定し指示すること
により、当該工程への材料の未着状態(材欠)、過剰仕
掛かりを防止し、コイルの工場内滞留期間の短縮、納期
遅れの減少を図ることを目的とする技術が記載されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記冷
延鋼板の一貫生産においては、製品規格毎の製造仕様に
従って、各工程での製造条件が作業ロット単位で予め設
定されているので、処理すべきロットが各工程毎の作業
ロット単位に充たない場合には、当初において生産指示
される製品規格及び納期を満たすための余材の組込みが
必要となる。そして、この余材を他の製品規格へ振替る
か、あるいはスクラップとして屑処理へ回す等の生産計
画の変更を余儀なくされる。また、各工程の工程能力、
素材集約、振替等を起因とした製造条件の変動が生じる
と、一定の材質を確保するために、化学成分等の製造条
件や作業ロットの編成条件を狭い範囲で管理する必要か
ら、製造ロット縮小化に伴う余材発生及び歩留低下によ
りコストアップを引き起こす。
【0007】特開昭59−6328号公報に記載の最冷
点を予測し、この予測される最冷点の影響度を統計処理
して焼鈍温度を決定する方法においては、素材のばらつ
きや最冷点の予測精度が低いために、それぞれの製造条
件に安全率を低く見込む必要がある。そして、素材の条
件によっては、コストの低い製造条件の下で規格を満た
す特性値を確保できるにも拘わらず、必要以上に管理幅
の小さくなるような厳しい製造条件の設定を強いられて
生産を行う場合があり、原料及びエネルギーの無駄を生
じることがある。また、コイル等を箱型焼鈍炉を用いて
焼鈍する際には、焼き付きと言われる表面欠陥が製品で
あるコイルに発生する。このような表面欠陥は冷延鋼板
の表面粗度、クラウン(膨れ等による板厚寸法の偏
差)、ハイスポット(微小凸部)等のプロフィールある
いは焼鈍温度、保定時間等が影響すると考えられてい
る。しかし、それぞれの実績値、及び焼鈍温度と焼き付
きの発生率との関係が明確でなかったことから、焼き付
き防止のために、例えば必要以上に低い焼鈍温度で焼鈍
した場合には製品規格を満たす材質特性値が得られない
ことがある。さらに、アルミキルド鋼等からなる冷延鋼
板を箱型焼鈍炉で製造する場合には、材質特に深絞り性
の指標であるランクフォード値に及ぼす焼鈍時の加熱速
度の依存性が大きくなる。このため、溶鋼成分、焼鈍時
における最冷点の温度と材質の関係だけでは冷延鋼板の
一般加工用から深絞り加工用までの全ての材質体系にわ
たる品質を制御することは困難であるという問題があっ
た。なお、ランクフォード値(Lankford va
lue)とは板状引張試験片の幅方向と厚さ方向でのそ
れぞれの歪みまたは伸びの値から求められる薄鋼板のプ
レス成形性に関係した機械的特性値である。
【0008】特公平5−45324号公報に記載された
技術では、製品の機械的特性等の品質要因に関連した製
造条件が生産計画の作成時点で固定されているために、
このような外乱への対応には大きな制約を受ける。その
ため、コストミニマムで当初計画された枠内での生産が
不可能な場合が多く、生産効率の低下及び、生産コスト
の増加をもたらすような問題があった。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、前工程での品質変動や素材の振替、作業ロット
の集約からくる製造条件変動等を起因とした材質変動を
抑制して、一定の材質を確保すると共に、余材発生によ
るコストアップを防止することのできる冷延鋼板の製造
設備を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の冷延鋼板の製造設備は、少なくとも2種以上の機
械的特性の階層に仕訳された製品規格を有し、それぞれ
の該製品規格に適合する冷延鋼板を、該製品規格に対応
して設定される製造条件を用いて、製鋼分塊工程、熱延
工程及び冷延工程を経て製造する冷延鋼板の製造設備で
あって、前記製品規格に適合する冷延鋼板の一貫製造条
件を予め設定、記憶する生産指示記憶手段と、前記製鋼
分塊工程における中間製品の溶鋼の成分を測定して記憶
する溶鋼成分記憶手段と、熱延工程及び冷延工程での温
度、形状、表面粗度等の圧延実績をそれぞれ記憶する熱
延実績記憶手段及び冷延実績記憶手段と、前記中間製品
の溶鋼の成分値及び、前記圧延実績を用いて、前記生産
指示記憶手段から出力される前記製品規格に対応する冷
延工程の焼鈍条件を再設定する焼鈍条件設定手段と、該
焼鈍条件設定手段により再設定される焼鈍加熱速度、焼
鈍温度、保定時間、及び装入量等の焼鈍条件に従って冷
延鋼板の焼鈍を行う焼鈍手段とを有する。
【0011】請求項2記載の冷延鋼板の製造設備は、請
求項1記載の冷延鋼板の製造設備において、前記焼鈍条
件設定手段から出力される焼鈍ロット毎の製品規格、納
期等の条件及び再設定された焼鈍条件を用いて、該焼鈍
ロットの各組合わせ毎にコストを計算して、コストミニ
マムとなる焼鈍ロットの組合わせを決定する焼鈍ロット
編成手段を有する。請求項3記載の冷延鋼板の製造設備
は、請求項1又は2記載の冷延鋼板の製造設備におい
て、前記生産指示記憶手段から出力される製鋼ロット毎
の規格、納期等の条件を用いて、該製鋼ロットの各組合
わせ毎に一貫工程の生産コストを計算して、コストミニ
マムとなる製鋼ロットの組合わせを決定する製鋼ロット
編成手段を有する。なお、以上において冷延鋼板とはブ
リキ、亜鉛めっき鋼板等の表面処理用の原板を含むもの
である。
【0012】
【作用】請求項1〜3記載の冷延鋼板の製造設備におい
ては、前記製品規格に適合する冷延鋼板の一貫製造条件
を予め設定、記憶する生産指示記憶手段を有しており、
必要に応じて着目するロット毎の製造条件を参照して、
この製造条件により該当する工程の製造を行うことがで
きると共に、製鋼分塊工程における中間製品の溶鋼の成
分を測定して記憶する溶鋼成分記憶手段、及び熱延工程
及び冷延工程での温度、形状、表面粗度等の圧延実績を
それぞれ記憶する熱延実績記憶手段及び冷延実績記憶手
段とを備えているので、着目するロットの鋼中の各成
分、圧延履歴を必要に応じて参照することができる。ま
た、前記中間製品の溶鋼の成分値及び、前記圧延実績を
用いて、前記生産指示記憶手段から出力される前記製品
規格に対応する冷延工程の焼鈍条件を再設定する焼鈍条
件設定手段を備えているので、その時の状況に応じて最
適化された焼鈍条件の再設定が可能である。そして、前
記焼鈍条件設定手段により再設定される焼鈍加熱速度、
焼鈍温度、保定時間、及び装入量等の焼鈍条件に従って
冷延鋼板の焼鈍を行う焼鈍手段とを有するので、焼鈍手
段に遡る工程での品質変動や素材の振替、作業ロット集
約等からくる製造条件の変動を反映させた焼鈍条件の下
で冷延鋼板を製造することができる。さらに、冷延工程
における焼鈍条件を、溶鋼成分記憶手段から出力される
溶鋼成分の値を用いて、予め溶鋼成分毎に設定された焼
鈍条件と比較し、冷延実績による焼き付き防止温度補正
により再設定することができるので、当初に設定される
生産指示の仕様に拘束されることなく、ばらつきが少な
く、焼き付きの発生しにくい条件下で冷延鋼板の焼鈍を
行うことができる。
【0013】特に、請求項2記載の冷延鋼板の製造設備
においては、焼鈍条件設定手段から出力される焼鈍ロッ
ト毎の製品規格、納期等の条件及び再設定された焼鈍条
件を用いて、該焼鈍ロットの各組合わせ毎にコストを計
算して、コストミニマムとなる焼鈍ロットの組合わせを
決定するので、これを基にした余材組込みや上位集約等
の状況を判断することができ、効率的かつ経済的な冷延
鋼板の製造を可能とする。
【0014】また、請求項3記載の冷延鋼板の製造設備
においては、生産指示記憶手段から出力される製鋼ロッ
ト毎の規格、納期等の条件を用いて、該製鋼ロットの各
組合わせ毎に一貫工程の生産コストを計算して、コスト
ミニマムとなる製鋼ロットの組合わせを決定する製鋼ロ
ット編成手段を有するので、製鋼ロット編成手段によっ
て編成される溶鋼の品種構成を用いて、これを単位とす
る余材組込みや上位集約等の操作を行うことができ、さ
らに効率的かつ経済的な冷延鋼板の製造を可能とする。
【0015】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る冷延鋼板の製造設備の全体説明図、図2は同装
置を適用する冷延鋼板製造方法の概略を示すフロー図で
ある。
【0016】図1に示すように、本発明の一実施の形態
に係る冷延鋼板の製造設備10は、冷延鋼板の一貫製造
条件を記憶する生産指示記憶手段11、生産指示手段1
1からの指示に基づく注文明細毎に製鋼のロット編成を
行う製鋼ロット編成手段20、製鋼分塊工程における中
間製品の成分を測定する溶鋼成分記憶手段12、熱延温
度等の熱延実績記憶手段21、冷延形状、表面粗度、プ
ロフィール等の冷延実績記憶手段22、生産指示記憶手
段11から出力される製品規格に適合させて冷延工程に
おける焼鈍条件の再設定を行う焼鈍条件設定手段13、
焼鈍ロット編成手段14及び前記焼鈍条件に従って、冷
延鋼板の焼鈍を行う焼鈍手段15とにより構成されてい
る。そして、冷延鋼板の製造ラインを構成する各生産工
程は、図1に示すように製銑工程16、製鋼分塊工程1
7、熱延工程18及び冷延工程19とからなり、本発明
における焼鈍手段の一例である焼鈍炉15が冷延工程1
9に配置されている。なお、前述の図1においては、理
解を容易にするために冷延鋼板の特定の工程に各手段を
配置している場合を示し、その他の工程の一部を省略し
ている。
【0017】生産指示記憶手段11は、各種の製品規格
に適合する冷延鋼板を一貫して製造する場合に、その生
産計画に基づいて予め設定される製造仕様及び手順等を
記憶するコンピュータ等からなる装置である。そして各
工程においては、これらの情報を必要に応じて生産指示
記憶手段11から引き出して参照することができるよう
になっている。製鋼ロット編成手段20は、生産指示記
憶手段11から出力される製造仕様の異なる材料の各請
求明細等を1溶鋼処理単位にまとめて編成する機能を有
する。ここでは2つ以上の成分狙い値からなる素材例え
ばコイルを集約して、それぞれの編成の場合について一
貫工程の生産コストを算出し、その一貫工程の生産コス
トがミニマムとなるように製鋼ロットの編成を行う。そ
の編成の結果から鋼種成分の狙い値を決定することがで
きる。熱延実績記憶手段21は、熱間圧延時の鋳片の加
熱温度や仕上げ圧延や卷取時の温度あるいは、板幅方向
のクラウン等のプロフィール等を測定、記憶する装置で
あり、この測定値のデータが後述する焼鈍条件設定手段
13に入力されるようになっている。また、冷延実績記
憶手段22は、冷間圧延時の冷延圧下率や板の形状、表
面粗度、プロフィール等を測定して記憶する装置からな
り、この測定結果のデータも焼鈍条件設定手段13に送
られる。
【0018】溶鋼成分記憶手段12は、製鋼分塊工程1
7における、中間製品であるタンディッシュあるいは取
鍋中にある凝固間近の溶鋼を採取して、該溶鋼中のC、
P、Al、N等の化学成分を測定する装置であり、ここ
で測定された溶鋼成分の値のデータが後述する焼鈍条件
設定手段13に入力されるようになっている。
【0019】焼鈍条件設定手段13には、生産指示記憶
手段11、溶鋼成分記憶手段12、熱延実績記憶手段2
1、冷延実績記憶手段22、及び焼鈍手段15からのそ
れぞれのデータが入力される。そして、これらのデータ
を基にして各階層別の製品規格に対応する溶鋼成分毎に
予め分類されている焼鈍条件と対照して、例えば焼き付
き防止のための温度補正を行うことができ、このように
して製品規格に対応する生産指示記憶手段11の中の製
造仕様及び手順の再設定が行われる。なお、表1は冷延
実績記憶手段22より取得されるデータの一例である冷
延鋼板の粗度(表面粗度)、冷延鋼板クラウン、冷延形
状、急峻度のプロフィールデータを基にして、焼鈍条件
設定手段13を用いて焼鈍温度、保定時間のそれぞれの
補正量を求めた例を示すものである。また、熱延実績記
憶手段21より取得されるデータについても、表1と同
様な表を設定することができ、同じく焼鈍条件設定手段
13による処理が可能である。
【0020】
【表1】
【0021】ここで、各焼鈍条件の設定は、過去に集積
保管されている製品規格毎の実績データ表を参照して行
うことができる。焼鈍ロット編成手段14には、後述す
る焼鈍手段15に到着する素材ロットに関する製品規
格、重量、サイズ等のデータが焼鈍手段15から入力さ
れる。そして、該データ及び焼鈍条件設定手段13から
得られる再設定された焼鈍条件を用いて、その時点にお
けるコストミニマムとなる焼鈍ロットを選択するコンピ
ュータ等の演算装置により、焼鈍ロット編成手段14が
構成されている。
【0022】続いて、冷延鋼板の製造設備10により、
アルミキルド鋼を素材として冷延鋼板の一貫製造を行う
場合を図2のフロー図を用いて説明する。ここでは、J
IS−G3141に属するSPCC(一般加工用)、S
PCD(絞り加工用)、SPCE(自動車等の深絞り加
工用)の4種の製品規格に対応するメッキ原板等を含む
冷延鋼板を製造する。このような冷延鋼板の製造に際し
て、製造条件の範囲を狭くすることは材質変動を抑える
意味で有効な手段となるが、一方、コストアップが避け
られない問題となる。本発明においては、生産計画の時
点で設定されている成分の管理範囲を製品の加工性に大
きく影響する炭素(C)、燐(P)、アルミニウム(A
l)、窒素(N)のそれぞれの量の組合わせで細分化し
て、それぞれの組合わせ毎に焼鈍の加熱速度と焼鈍温
度、保定時間を設定する。次に、溶鋼成分記憶手段12
により取得される中間製品である溶鋼の成分値、及び生
産指示記憶手段11からのそれぞれの生産指示のデータ
に応じて、焼鈍条件設定手段13を用いて焼鈍条件をコ
ストミニマムとなるように選択して、その焼鈍条件に従
って、焼鈍ロット編成手段14により以降の焼鈍のロッ
ト編成を行うことで製造条件の管理範囲を狭くすること
なく材質の均一化と焼鈍の能率向上による製造コストダ
ウンを図ることができる。
【0023】本発明の一実施の形態に係る冷延鋼板の製
造設備10においては、製鋼工程で測定された溶鋼中の
各鋼種成分と焼鈍手段15における焼鈍条件との関係が
表2〜6に示すように、各製品規格毎に細分化されて設
定されている。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】そして、SPCD、SPCEに相当する規
格の材料は、焼鈍手段15の加熱速度を速くした場合に
は、鋼中のアルミニウム(Al)及び窒素(N)成分の
実績値が低いときにランクフォード値が低下して機械的
特性が劣化する。逆に、加熱速度を遅くするとランクフ
ォード値を高く維持できるものの焼鈍の能率が著しく低
下しコストアップの原因となる。従って、例えばAl、
Nを含む合金元素を充分に添加して、かつその管理範囲
を狭くしないと材質変動の縮小化と焼鈍の高能率生産の
両立は一般に困難であり、このような合金元素の添加に
伴うコストアップが避けられない問題となる。
【0030】本実施の形態においては上工程(例えば冷
延工程19に対する製鋼分塊工程17)での実績値に応
じて、下工程(製鋼分塊工程17に対する冷延工程1
9)での製造条件を柔軟に変動させることができ、前記
材質変動の縮小化と焼鈍の高能率生産を両立させること
ができる。ここで、SPCCの製品規格に相当する製品
として、注文寸法が厚み0.8mm×幅1219mmで
あるコイルを用いた。SPCCの製品規格では深絞り性
は要求されていないから、加熱速度のコントロールによ
る冷延鋼板の結晶方位の制御は不要となる。従って、加
熱速度を速めに設定して高能率な焼鈍を行い、焼鈍温度
とその保定時間のみにより冷延鋼板の焼鈍条件を設定す
ることができる。
【0031】表2に示すようにSPCCとなる製品規格
の鋼種においては、製鋼分塊工程19で取得した溶鋼中
の炭素(C)、燐(P)の実績値に応じて焼鈍温度及び
その保定時間等を再設定することで結晶粒度をコントロ
ールすることができる。ここで、焼鈍温度×保定時間
は、焼鈍手段内における最高温点と最冷点での温度を確
保し、焼鈍効果を確保するために必要な条件の組合わせ
を示している。注文寸法が厚み0.8mm、幅1219
mmであるSPCDとSPCEにおいては、表3〜4、
表5〜6に示すような焼鈍条件を適用することができ
る。即ち、実績成分中のC、Pの測定値の組合わせに対
応する焼鈍温度と保定時間で焼鈍処理して、結晶粒度を
制御すると共に、さらに実績成分中のAl及びN成分量
の測定値の組合わせに応じて加熱速度を変更して結晶方
位を制御するような焼鈍条件の設定が可能である。な
お、材質制御因子として、前記の実績成分以外にも熱延
工程18での温度や冷延工程19での冷延圧下率等を用
いることもできる。さらに、材質制御因子として調圧圧
下率を用いる場合には、調圧圧下率を単独で変更するか
又は焼鈍条件の影響を予め考慮に入れて変更するように
してもよい。なお、このような条件設定は予め作成され
た材質制御因子と製品品質との対照表を用いて行うが、
材質影響因子のデータを統計的に処理して得られる回帰
式をその都度用いても良い。
【0032】続いて、製造ロット集約、及び前述の表2
〜表6に基づく材質制御を用いて冷延鋼板を製造する場
合について、図2に示すフローチャートを用いて詳細に
説明する。なお、ここでは冷延鋼板のJIS−G314
1標準調質材を箱型焼鈍炉で製造する例について示して
いる。本発明の当初における品質設計の段階では、製造
ロット条件を特に考慮せず、最安価な素材を使用するこ
とにより、一貫工程の生産コストがミニマム(最小)と
なるような設計が行われる。そして、必要に応じて製鋼
ロット編成手段20を用いて、成分狙い値変更によるコ
スト増減と後工程の処理条件変更によるコスト増減ある
いは余材増減によるコストをそれぞれ算出、比較し、そ
の中でコストミニマムとなる一貫製造条件を選択するも
のである。ここで、製鋼ロット集約の可能範囲設定及び
集約時の処理条件は以下のようにして変更することがで
きる。即ち、特定の溶鋼成分の溶鋼を後工程の複数の処
理条件で実際に製造して、それぞれの材質特性値のデー
タを予め求めておき、この材質特性値が所定の範囲を満
たすように、溶鋼成分と後工程の処理条件との可能な組
合わせを設定することができる。また、集約処理条件は
中間製品である溶鋼成分の実績値の範囲に応じて、前記
集約可能範囲に所定の材質特性値を確保するようにして
変更する。
【0033】以降では、本発明の一実施の形態に係る冷
延鋼板の製造設備10を適用した方法を述べると共に、
薄板一貫製造を前提として実施される製鋼成分への集約
による出鋼ロットの編成方法を詳しく説明する。図2に
示すように、製鋼分塊工程17における溶鋼処理におい
ては、一貫した製造条件設定の下で生産がなされる際
に、例えばA、B、及びC成分にて材料請求が行われて
(S−30〜33)、それぞれのケースについてロット
集約の可否が判断される(S−34〜41)。S−34
では、その時点においてA、B、及びCのそれぞれの成
分のものだけで1チャージに必要な量が確保できるかど
うかを判断する。1チャージの必要量が確保できる場合
には、A、B、C成分で編成して製造が実施される(S
−42)。なお、前記S−34〜41において余材組込
みが行われた場合(S−43〜49)にはその余材が注
文明細に関連づけされた後にS−50のステップに移行
するものとする。そして、後続の焼鈍手段15において
は、溶鋼成分記憶手段12からの値に基づく実績値を収
集して(S−50)、素材製造実績に応じた製造条件の
設定替えが行われ(S−51)、同一条件となるように
ロット編成を行って(S−52)、再設定された条件で
製造する(S−53)。
【0034】例えば、箱型焼鈍炉の焼鈍条件を、製鋼分
塊工程17における中間製品である溶鋼の成分P、C、
Al、Nの実績値で変更する場合には、当初の設計成分
毎に定められた焼鈍条件が表2〜6に従って、再設定さ
れることになる。ここで、3〜4個のコイルを同一の箱
型焼鈍炉に入れて焼鈍するため、同一焼鈍条件で1チャ
ージを編成しないと表2〜6の基準を満たす作業ができ
ない。従って、当初の品質設計時の条件は使えないため
に、表2〜6で設定される結果を焼鈍チャージ編成時に
与えて、同一条件材で編成できるようにすることが必要
である。そして、この設定された条件で以降の焼鈍作業
が行われる。
【0035】なお、ここで製鋼のチャージ編成時にそれ
ぞれ異なるグレード材の量が設備仕様に満たない場合に
は、製鋼ロット編成手段20を用いて、以下のようにし
てロット集約を行うことができる。まず、以下(a)、
(b)のように定義される合計コストA、合計コストB
をそれぞれ求め、次に各合計コストのそれぞれの端数集
約量を考慮しつつ上記の合計コストが安くなる方に集約
する成分系を定め、上位又は下位となる成分系をその都
度このコスト効果により判定して成分系を集約する。な
お、この適用例では上工程としての製鋼分塊工程でのコ
スト効果と、下工程として焼鈍工程のコスト効果とを比
較して実施する例を示している。 (a)「製鋼分塊工程で上位の成分に鋼種を集約するこ
とによる製鋼分塊工程でのコスト増加」及び「下工程で
上位に集約された成分系の材料について標準成分材の製
造条件を変更して下位グレード相当の製造条件にして所
定のグレードを得ることによるコスト減少」のそれぞれ
の合計コストA (b)「製鋼分塊工程で下位の成分に集約することによ
る製鋼分塊工程のコスト減少」及び「下工程で下位成分
系材料を上位グレードにするように標準条件を変更して
上位グレード相当の製造条件にすることによる下工程の
コスト増加」のそれぞれの合計コストB
【0036】実際の冷延鋼板の製造に際しては、熱延工
程18での加熱条件の変更、熱延厚み(冷間圧下率変
化)変更、及び熱延厚みの変更に伴う酸洗いによるコス
ト効果、同じく冷延工程19での圧下率の変化に伴うコ
スト効果の要因をそれぞれ織り込んでより正確に判断で
きるようにする。なお、以上の説明ではバッチ焼鈍の例
を示したが、これを連続焼鈍炉に適用する場合には前記
バッチ焼鈍に係る諸元を連続焼鈍の諸元に読み変えて実
施することができる。さらに、素材の製造実績に応じた
製造条件の設定変更によりロットの集約を行うことも可
能である。例えば箱型焼鈍炉での焼鈍条件を成分C、P
の実績で変更する場合は、当初品質設計を実績成分値に
より変更する。そして、以上のようにして再設定された
条件の下で以降の処理を行う。
【0037】(バッチ焼鈍炉の積み込みロットの編成方
法)箱型焼鈍炉等のバッチ焼鈍炉において積み込みロッ
トを編成するに当たり、前工程の製造実績(鋼種成分、
熱延鋼板クラウン、冷延鋼板の表面粗度、冷延形状等)
とそれぞれの製品規格とを対照して焼鈍条件(加熱速度
条件、焼鈍温度(均熱温度)、保定時間(均熱時間))
を修正する。そして、必要な製品規格のグレードを確保
するための低グレード側の焼鈍条件と、高グレード側の
焼鈍条件とをそれぞれ設定しておく。そして、まず低グ
レード側の焼鈍条件を満たす範囲で積み込みロットを編
成する。編成に当たっては材料の積み高さ制約、積み位
置規制等は考慮した上で、焼鈍温度、保定時間の順にソ
ート(並び替える)する。次に、高グレード側及び低グ
レード側の焼鈍条件により規定されるを焼鈍温度、保定
時間のそれぞれの上下限値の範囲内でチャージ内の温度
差及び保定時間差あるいは焼鈍にかかるコスト等が最小
となるように積み込みロットを編成する。
【0038】ここで、一つの積み込み単位にまとめられ
ない場合、例えば複数のコイルからなる焼鈍材料が一つ
の積み込み単位にまとまらない場合には、以下のa〜d
の手順により設定する。 a.それぞれの「焼鈍温度」の低い順番に並び替えた
後、「焼鈍温度」の範囲が互いに重複するようなグルー
プを形成して、そのグループの中で「保定時間差」の小
さい順番に積み合わせる。 b.端数となるコイルが複数発生したときには、それぞ
れの許容焼鈍温度の範囲内でグループに分けると共に、
それぞれのグループにおける「保定温度時間差」の小さ
い順番に積み合わせる。 c.こうしてa〜bの手順により次々に編成を行ってい
く。 d.最終的に余剰となったコイルの処置はオペレータが
個別に判断する。(次ぎの編成ロットに統合させるか、
納期等でコスト的に不利な状態で焼鈍するかの判断をオ
ペレータが行う。) そして、全ての材料群について上記a〜dの操作を行っ
て、必要品質を確保しながら冷延工程の焼鈍におけるコ
ストミニマムを指向した操業が可能となる。表7はこの
ようにして決定した積み込みロットの編成結果(A〜
E)の例を示している。ここで、例えば製品規格がSP
CCであるコイル番号567〜569の材料が一つの積
み込みロットAにまとめられて編成され、焼鈍温度66
0℃、保定時間4hで焼鈍されることを示している。ま
た、製品規格がSPCEに属するコイル番号586〜5
88の材料が積み込みロットEにまとめられ、焼鈍温度
680℃、保定時間10hの焼鈍条件で焼鈍される。
【0039】
【表7】
【0040】(連続焼鈍でのサイズ移行条件の緩和方
策)バッチ焼鈍に較べて焼鈍の時間が短く鋼中成分の影
響を受け易い連続焼鈍においては、焼鈍温度変更、冷却
速度変更、サイズ変更等に伴う移行操作を行うときに
は、ヒートバックル、品質異常等の予測できないトラブ
ルが多く発生し、連続焼鈍における通板順位(薄板コイ
ル等の素材を当該工程に通過させる順)の設定に際し
て、これらの移行条件の範囲を状況に応じて柔軟に変更
する必要が生じる。このような移行条件の範囲を拡大す
る従来の緩和方策として、ロールカーブを可変として、
加熱又は冷却時の状況に即応させる方法等が適用される
が、この方法は過大な設備投資を必要とし、かつ移行条
件の範囲拡大には限界があった。また、サイズ変更に際
して移行条件を満たせないような場合には、サイズ調整
のためのダミー材を連続焼鈍炉へ装入(通板)すること
になり生産性を低下させていた。本方法においては通板
順位の決定に際して、材料の実績製造履歴に基づいて焼
鈍条件に範囲を設定し、この中で通板条件(移行条件)
を緩和して、ダミー材を削減することができるようにな
っている。 1)例えば中間製品である溶鋼中の成分値等を含む実績
製造履歴に基づいて、下限、標準、上限を含む各焼鈍条
件(サイズ移行条件)を設定する。 2)サイズ移行条件を緩和し通板順位を以下のa、bの
ように決定する。 a.絶対的制約条件に基づく通板順位(例えば同一の表
面性状のロールによる圧延材、幅広材→幅狭材等)によ
りそれぞれのロット群を編成する。ここで、ロット群は
同一のサイズ、同一の下限焼鈍温度となるもので形成す
る。 b.ロット間のダミー材が現行の移行条件の範囲にある
かどうかをチェックし、移行条件の範囲にあれば、そ
のままでロットを形成する。移行条件の範囲外であれ
ば、緩和された移行条件の下で再度、チェックを行って
それでも移行条件の範囲を満足しないときにダミー材の
装入を決定する。 上記の1)、2)の方法によりサイズ移行条件を緩和し
て、必要品質を確保しながらコストミニマムを指向した
操業が可能となる。
【0041】(連続焼鈍での温度移行条件の緩和方策)
焼鈍炉の温度を変更するに際して、この温度変更過程で
装入するダミー材の使用量をできるだけ削減するため
に、製品規格を満たす焼鈍条件の範囲内で材料の請求タ
イミングを調整する方法である。例えば、先行材群にお
ける製品規格、サイズ及び狙い温度がそれぞれSPC
C、0.8mm×1219mm、720℃±20℃であ
り、後行材群における製品規格、サイズ及び狙い温度が
それぞれSPCD、0.8mm×1219mm、770
℃±20℃であった場合には、先行材の狙い温度におけ
る最高温度(720℃+20℃=740℃)よりも、後
行材の最低温度(770℃−20℃=750℃)の方が
高くなる。このため、温度調整のためにつなぎのダミー
材を装入するか、適当なダミー材が当該工程に到着する
まで装入のチャンスを待つ必要が生じる。このような場
合に、前記SPCCからなる先行材群をSPCCより下
位の製品規格となるアルミキルド鋼A、Bの規格にに移
行させて、SPCDからなる後行材群を同じくIF鋼
X、Yの2種の下位規格に移行させることができる。そ
の結果、狙い温度の範囲はA、B、X、Yでそれぞれ7
20℃±20℃、720℃±20℃、770℃±20
℃、770℃±20℃となる。ここで、溶鋼成分の測定
値に基づいて焼鈍温度が修正され、例えばXの範囲のみ
が750℃±20℃に変化した場合には、材料をA、
B、X、Yの順に通板して、このときの修正後の狙い温
度をA(720℃±20℃)、B(720℃+10
℃)、X(750℃−20℃)→(750℃)、Y(7
70℃−20℃)のように設定して、各材料間における
温度格差を小さくすることができる。従って、温度格差
の大きい移行パターンが予測される場合に、低温側に温
度の修正が可能な材料を計画的に出鋼することでダミー
材の使用量を削減できる。表8はこのような実績成分の
C、Pの値に応じて狙い温度の範囲を修正する例を示し
たものであり、例えば溶鋼中の実績成分の測定値がP=
0.0012wt%、C=0.0015wt%となるよ
うな場合では、IF鋼の狙い温度を740℃±20℃の
範囲に設定できることを示している。
【0042】
【表8】
【0043】ここで、以上述べた本発明の理解を容易に
するために従来例における冷延鋼板の一貫生産について
詳述する。冷延鋼板の受注以降の生産計画の策定は以下
のように行われる。まず、顧客から注文を受けると、一
般的には本社部門にて受注規格に応じて製品の必要特性
値を付与された後に製鉄所に製造が指示される。次に、
製鉄所では製品の規格や必要特性値、注文寸法、必要
量、納期等に応じて化学成分値や製造工程毎の製造条件
設定、各工程の製造スケジュール(生産計画)を作成
し、この計画に沿って生産が実行される。この際に各工
程の製造条件の設定は、要求される機械的特性値や表面
及び内部品質を確保するための化学成分等の製造条件の
寄与度合いや冶金学的理論、各工程の製造条件的中能
力、製造コスト等の経験則を基に、品質の狙い値及び上
下限の管理範囲が注文明細単位毎に決められる。つま
り、最初に製造条件を決めておき、その条件が一貫して
変更されることなく、最初に設定された製造条件に従っ
て製造されるために、各工程において余材の必要性や歩
留の低下等が発生する。そして、上記で作成された製造
条件及び生産計画に従って、製鋼以降での作業ロットの
編成と製造指示及び製造が行われ、それぞれ定められた
管理項目の範囲に対して結果が判定され、合格した材料
が次ぎの工程に送られる。また、不合格となった材料は
手直しされて、元の注文に充当したり、他の注文に振
替、あるいはスクラップにされたりする。従って、材料
の過不足がある確率で必ず発生して、それに起因した材
料振替から製造条件のばらつきが生じ、また各工程品質
はその的中能力の範囲内で必ずばらつきを生じている。
【0044】また、このような作業ロットの編成に際し
ては、上記の生産計画作成時に付与した製造条件が同一
又は類似したものでまとめられるが、これらの集約によ
っても当然製造条件が変動することになる。
【0045】表9は従来の生産計画時におけるSPC
C、SPCD及びSPCE材の成分管理範囲と焼鈍条件
の一例との関係を示すものであり、また、図4、図5は
製品規格に応じて成分や圧延、熱処理条件を変えて造り
わける従来の製造方法の説明図である。以下の従来例に
おいて特徴的なことは、表9及び図4に示すように当初
各製品規格毎に設定された焼鈍条件が、途中工程での成
分のばらつきの如何に拘わらず固定されている点であ
る。
【0046】
【表9】
【0047】ここで図4、図5に示す従来の製造方法に
ついて以下に説明する。図4に示すように従来例1の場
合においては、SPCC規格となるA成分のもとで生産
指示がなされて、一貫した製造条件が設定されている
(S−1)。製鋼工程における転炉による溶鋼処理は例
えば約300t単位で行われるが、A成分にて焼鈍手段
への材料請求がなされるとき、その時点で処理すべき鋼
種の合計重量だけでこの300t分を確保できるかどう
かを判定し、1チャージ編成の可否を決める(S−
2)。A成分だけで1チャージの編成が可能な場合に
は、以降は予め定められたA成分の標準製造条件に従っ
て、溶鋼が処理される(S−3)。また、A成分のみで
1チャージの編成が不可能なときには、A成分の余材組
込みにより1チャージ編成する(S−4)。余材につい
ては次回以降の材料請求にて、A成分の請求があれば
(S−5、S−6)、前記A成分の標準条件で製造する
(S−3)。A成分の材料請求がないときには他材に振
替るか(S−7、S−8)、もしくはスクラップ屑とし
て処理されることになる(S−9)。そのために、各成
分毎に大量に生産する場合は余材の発生量が少なくなる
が、各成分の量がまとまらない場合は余材の発生量、他
材への振替量が多くなり、製造コストが増加する。
【0048】また、図5は、同じく多種の製品規格から
なる鋼種の集合をC成分に編成処理する場合を示した従
来例2のフロー図である。図5においては、SPCC等
の下位規格を含む鋼種が一括して上位規格であるC成分
のSPCEとして処理される例を示している。まず、C
成分のもとで材料請求がなされて、一貫した製造条件が
それぞれ設定される(S−10〜13)。例えば製鋼工
程における転炉による溶鋼処理は約300t単位で行わ
れるが、C成分の材料請求の時点で、一括して処理すべ
き鋼の量が確保できるかどうかの1チャージ編成の可否
を判定する(S−14)。C成分だけで1チャージの編
成が可能な場合には、以降は予め定められた各成分毎の
標準製造条件に従って処理される(S−15)。一方、
C成分だけの鋼種では一括して処理すべき量が不足して
1チャージ編成が不可能な場合には、C成分の余材を組
み込んで1チャージ編成する(S−16)。余材につい
てはC成分での材料請求があるまで待機して(S−1
7、S−18)、それでも材料請求がない場合には他材
への振替先を検討して(S−19)、他材へ振替ること
になるか(S−20)、もしくはスクラップ屑として処
理される(S−21)。従って、上記のような従来例2
においては、素材集約により余材の発生は少なくなるも
のの、SPCC等の低グレード材が多い時でも高い素材
を使うことになるので、従来例1に較べてトータルコス
トは下げられるが、低グレード材では通常の場合よりも
コストが割高となり、効率的な冷延鋼板の製造が行えな
い。
【0049】以上、本発明の一実施の形態を説明した
が、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものでは
なく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適
用範囲である。例えば、本実施の形態においては、実績
成分に応じて焼鈍条件だけを変更した例であるが、他の
材質影響因子(熱延温度、冷延圧下率)を変更しても差
し支えない。また、適用できる鋼種の範囲は、冷延鋼板
のみならず、鋼中成分と冷延圧延、熱処理条件のそれぞ
れの組合わせにより材質造り分けを行う全ての薄板製品
まで拡張することができる。更に、余材の組込みと集約
の判断を行うに際しては、工程の生産能力に幅を持たせ
て、この条件の下で製造コストがミニマムになるように
してもよい。
【0050】
【発明の効果】請求項1〜3記載の冷延鋼板の製造設備
においては、冷延工程における焼鈍条件を、溶鋼成分記
憶手段から出力される溶鋼の溶鋼成分の値及び圧延実績
に基づいて、予め溶鋼成分毎に設定された焼鈍条件と比
較して再設定できるので、当初に設定される生産指示の
仕様に拘束されることなく、常にばらつきの少ない最適
化された条件で冷延鋼板の焼鈍を行うことができる。そ
して、製造実績に応じて焼鈍温度、保定時間等の処理条
件を変更して材質制御を行うことで成分等の管理範囲を
大幅に狭めることなく材質変動を抑制して、焼鈍の能率
アップ及びコストの削減とが可能となる。
【0051】特に、請求項2記載の冷延鋼板の製造設備
においては、焼鈍ロットの可能な組合わせ毎にコストを
計算して、コストミニマムとなる焼鈍ロットの組合わせ
を決定することができる。従って、これを基にして余材
の組込みや上位集約等の状況を判断することができ、注
文量(製造ロット規模)と製造コストに応じて細分化さ
れる規格を基にして余材発生を必要最小限に抑制するこ
とができる。そして、これによりさらに効率的かつ経済
的な冷延鋼板の製造を可能とする。
【0052】さらに、請求項3記載の冷延鋼板の製造設
備においては、生産指示記憶手段から出力される製鋼分
塊工程の製造条件を用いて、ロットの規格、鋼種、サイ
ズ、重量、納期等の条件に応じて、一貫工程の生産コス
トがミニマムとなる製鋼ロットの組合わせを計算して製
鋼ロットの編成を行うので、このようにして集約される
製鋼ロットにより冷延鋼板を製造することができ、さら
にコストの低くなる製造条件を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る冷延鋼板の製造設
備の説明図である。
【図2】同装置を適用する冷延鋼板製造方法の概略を示
すフロー図である。
【図3】冷延鋼板の一貫製造工程を説明するフロー図で
ある。
【図4】冷延鋼板の従来例における製造方法を示すフロ
ー図である。
【図5】冷延鋼板の従来例における製造方法を示すフロ
ー図である。
【符号の説明】
10 冷延鋼板の製造設備 11 生産指示
記憶手段 12 溶鋼成分記憶手段 13 焼鈍条件
設定手段 14 焼鈍ロット編成手段 15 焼鈍炉 16 製銑工程 17 製鋼分塊
工程 18 熱延工程 19 冷延工程 20 製鋼ロット編成手段 21 熱延実績
記憶手段 22 冷延実績記憶手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種以上の機械的特性の階層
    に仕訳された製品規格を有し、それぞれの該製品規格に
    適合する冷延鋼板を、該製品規格に対応して設定される
    製造条件を用いて、製鋼分塊工程、熱延工程及び冷延工
    程を経て製造する冷延鋼板の製造設備であって、 前記製品規格に適合する冷延鋼板の一貫製造条件を予め
    設定、記憶する生産指示記憶手段と、 前記製鋼分塊工程における中間製品の溶鋼の成分を測定
    して記憶する溶鋼成分記憶手段と、 熱延工程及び冷延工程での温度、形状、表面粗度等の圧
    延実績をそれぞれ記憶する熱延実績記憶手段及び冷延実
    績記憶手段と、 前記中間製品の溶鋼の成分値及び、前記圧延実績を用い
    て、前記生産指示記憶手段から出力される前記製品規格
    に対応する冷延工程の焼鈍条件を再設定する焼鈍条件設
    定手段と、 該焼鈍条件設定手段により再設定される焼鈍加熱速度、
    焼鈍温度、保定時間、及び装入量等の焼鈍条件に従って
    冷延鋼板の焼鈍を行う焼鈍手段とを有することを特徴と
    する冷延鋼板の製造設備。
  2. 【請求項2】 前記焼鈍条件設定手段から出力される焼
    鈍ロット毎の製品規格、納期等の条件及び再設定された
    焼鈍条件を用いて、該焼鈍ロットの各組合わせ毎にコス
    トを計算して、コストミニマムとなる焼鈍ロットの組合
    わせを決定する焼鈍ロット編成手段を有することを特徴
    とする請求項1記載の冷延鋼板の製造設備。
  3. 【請求項3】 前記生産指示記憶手段から出力される製
    鋼ロット毎の規格、納期等の条件を用いて、該製鋼ロッ
    トの各組合わせ毎に一貫工程の生産コストを計算して、
    コストミニマムとなる製鋼ロットの組合わせを決定する
    製鋼ロット編成手段を有することを特徴とする請求項1
    又は2記載の冷延鋼板の製造設備。
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