JP5784415B2 - 二階建て集合住宅 - Google Patents
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Description
このような二階建て集合住宅には、二階の各住戸に出入りするために、各住戸の配置方向に沿って長尺な廊下を含む外部階段が設けられている。また、この外部階段とは反対側に、各住戸の配置方向に沿って長尺なバルコニーが設けられている。また、このバルコニーは、各住戸ごとに仕切り板で仕切られている。
さらに、単に仕切り板で仕切るだけのバルコニー構造の場合、隣接する住戸のバルコニー間で視線が届きやすいだけでなく、バルコニー間の移動も可能な場合があり、プライバシーの保護やセキュリティーの確保が望まれていた。
前記複数の住戸10,20,30(70,80)の短辺側の壁11,21,31(71,81)には開口部12,22,32(72,82)が形成されるとともに、この短辺側の壁11,21,31(71,81)から前方に突出するバルコニー13,23,33(73,83)が設けられており、
前記隣接する住戸10,20,30(70,80)によって共有される長辺は、これら隣接する住戸10,20,30(70,80)を仕切るとともに、前記バルコニー13,23,33(73,83)側に突出して、このバルコニー13,23,33(73,83)を仕切る界壁40,41(90)とされており、
前記バルコニー13,23,33(73,83)を仕切る界壁40,41(90)のうちの一つの界壁40(90)は、この界壁40(90)の突出方向先端に設けられるとともに、この界壁40(90)の厚みよりも幅広に形成された柱状部42(92)を備えている二階建て集合住宅であって、
前記柱状部42(92)を備えた界壁40(90)を挟んで両側に位置する双方のバルコニー13,23(73,83)のうち、一方のバルコニー13(73)の手摺壁14(74)の外側面14a(74a)と、前記柱状部42(92)の外側面42a(92a)とが面一となるように設定されており、他方のバルコニー23(83)の手摺壁24(84)の内側面24a(84a)と、前記柱状部42(92)の前記短辺側の壁21(81)に対向する側面42b(92b)とが面一となるように設定されており、
前記平面視略矩形状の住戸10,20,30は、平面視において3戸配置されており、 これら3つの住戸10,20,30を仕切るとともに前記バルコニー13,23,33を仕切る2つの界壁40,41は、その突出方向長さが略等しくなるように設定されてなり、
前記3つの住戸10,20,30のうち、前記柱状部42を備えた界壁40を挟んで両側に位置する2つの住戸10,20それぞれの前記短辺側の壁11,21の上方には、一直線に連続する屋根50の軒先部51が設けられており、
前記3つの住戸10,20,30のうち、前記柱状部42を備えた界壁40を挟んで両側に位置する2つの住戸10,20の一方に隣接する1つの住戸30の前記短辺側の壁31の上方には、前記一直線に連続する軒先部51よりも前記短辺側の壁31側に奥まって配置された屋根50の軒先部52が設けられていることを特徴とする。
また、前記隣接する住戸10,20,30(70,80)を仕切るとともにバルコニー13,23,33(73,83)を仕切る界壁40,41(90)のうちの一つは柱状部42(92)を備えているので、住宅を見る者の注意を、例えば従来のような外部階段や戸数分の玄関ドア、バルコニーの仕切り板等ではなく、この柱状部42(92)に引き付けることができる。そして、この柱状部42(92)は前記界壁40(90)の厚みよりも幅広に形成されているので、実際には界壁40(90)の厚み分しか離れていない隣接する住戸10,20,30(70,80)同士が、実際よりも広い間隔をあけて配置されているような印象を与えることができる。
したがって、実際には細長い複数の住戸10,20,30(70,80)が横に並んで設けられてはいるものの、外観では、特に前記柱状部42(92)を備えた界壁40(90)を挟んで両側に位置する住戸10,20(70,80)が、長辺同士を共有するほど間近で隣接しているとは感じさせないようにすることができる。また、隣接するバルコニー13,23(73,83)も、従来のように単に仕切り板で仕切らずに前記柱状部42(92)を備えた界壁40(90)で仕切るので、従来のような集合住宅とは異なり、複数の住戸10,20,30(70,80)が単に横に並んだだけの画一的な印象を与えることを抑制できる。これによって、前記バルコニー13,23,33(73,83)側から住宅を見る者に対して、集合住宅であることを極力感じさせないようにすることができるので、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、前記界壁40(90)の先端に幅広な柱状部42(92)が設けられる分、この柱状部42(92)を挟んで両側に位置するバルコニー13,23(73,83)間の距離を実際に遠くすることができるので、例えば一方のバルコニー13(73)側から他方のバルコニー23(83)を覗こうとしても視線が届きにくくなり、プライバシーの保護に貢献することができる。さらに、前記柱状部42(92)を挟んで両側に位置するバルコニー13,23(73,83)間の距離が実際に遠くなることで、これらバルコニー13,23(73,83)間の移動は極めて困難となるので、セキュリティーの確保も可能となる。
しかも、前記柱状部42(92)を挟んで両側に位置するバルコニー13,23(73,83)間の距離を、前記柱状部42(92)の外側面42a(92a)の幅と、この外側面42a(92a)と直交する他方のバルコニー23(83)側面(例えば外側面42a,92aと直交する側面42c,92c)の幅とを足した長さの分だけ遠くすることができる。これによって、前記一方のバルコニー13(73)から他方のバルコニー23(83)への視線がより届きにくくなるとともに、隣接するバルコニー13,23(73,83)間の移動はより困難となる。
したがって、実際には略同様の構成の細長い複数の住戸10,20,30が横に並んで設けられているものの、外観では、前記短辺側の壁11,21,31の前方に、この連続する壁面42a,41a,14aが配置される住戸10,20は前方に突出したように見せることができ、連続する壁面42a,41a,14aが配置されない住戸30は、前記住戸10,20に対して後退したように見せることができる。これによって、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
前記3つの住戸10,20,30のうち、前記柱状部42を備えた界壁40の両側に位置する2つの住戸10,20の一方に隣接する1つの住戸30の前記短辺側の壁31は、前記2つの住戸10,20の前記短辺側の壁11,21よりも住戸内側に後退するようにして配置されていることを特徴とする。
前記柱状部42(92)は、複数の構造用パネルを平断面視略ロ字型となるように組み立てることによって中空状に形成されており、
この中空状に形成された柱状部の内部は収納部43(93)とされていることを特徴とする。
前記柱状部42(92)の外側面42a(92a)の幅と、この外側面42a(92a)と直交する一方の側面42c(92c)の幅とを足した長さが、1200mm以上となるように設定されていることを特徴とする。
前記柱状部42の表面と、前記柱状部42を備えていない界壁41のバルコニー側突出部分の表面と、前記柱状部42を備えた界壁41を挟んだ一方側に位置する前記一方のバルコニー13の手摺壁14の外側面14aに同一種類の外壁仕上げ材60…が施されており、
前記同一種類の外壁仕上げ材60…が施され長辺方向において外側に面する各面よりも前記短辺側の壁11,21,31側に配置されるとともに外部に面する壁面(短辺側の壁11,21,31の外側面)には、前記外壁仕上げ材60…とは異なる種類の他の外壁仕上げ材61が施されていることを特徴とする。
また、隣接する住戸を仕切るとともにバルコニーを仕切る界壁のうちの一つは柱状部を備えているので、住宅を見る者の注意を、例えば従来のような外部階段や戸数分の玄関ドア、バルコニーの仕切り板等ではなく、この柱状部に引き付けることができる。そして、この柱状部は界壁の厚みよりも幅広に形成されているので、実際には界壁の厚み分しか離れていない隣接する住戸同士が、実際よりも広い間隔をあけて配置されているような印象を与えることができる。
したがって、実際には細長い複数の住戸が横に並んで設けられてはいるものの、外観では、特に柱状部を備えた界壁を挟んで両側に位置する住戸が、長辺同士を共有するほど間近で隣接しているとは感じさせないようにすることができる。また、隣接するバルコニーも、従来のように単に仕切り板で仕切らずに柱状部を備えた界壁で仕切るので、従来のような集合住宅とは異なり、複数の住戸が単に横に並んだだけの画一的な印象を与えることを抑制できる。これによって、バルコニー側から住宅を見る者に対して、集合住宅であることを極力感じさせないようにすることができるので、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、界壁の先端に幅広な柱状部が設けられる分、この柱状部を挟んで両側に位置するバルコニー間を移動しようとした場合の移動距離を実際に遠くすることができるので、例えば一方のバルコニー側から他方のバルコニーを覗こうとしても視線が届きにくくなり、プライバシーの保護に貢献することができる。さらに、柱状部を挟んで両側に位置するバルコニー間の距離が実際に遠くなることで、これらバルコニー間の移動は極めて困難となるので、セキュリティーの確保も可能となる。
なお、本実施の形態の二階建て集合住宅は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらの構造用パネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
また、この構造用パネルとは、図示はしないが、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
図1〜図8において符号10,20,30は住戸を示す。これら三つの住戸10,20,30は平面視略矩形状とされており、長辺の長さと短辺の長さとの比が2:1以上に設定されている。すなわち、間口に対して奥行きが深く設定されている。
また、各住戸10,20,30は、それぞれ階段17,27,37によって接続された一階10a,20a,30aと二階10b,20b,30bとからなる二階建ての住居として構成されている。
そして、これら各住戸10,20,30を、平面視において隣接する住戸10,20,30の長辺同士を共有するようにして、横に並べて配置することによって本実施の形態の二階建て集合住宅が構成されている。また、二階建て集合住宅は基礎上に建築される。
なお、図示はしないが各住戸10,20,30内には、例えばキッチンの流し台や洗面所の洗面台、浴槽、トイレの便器等の必要な設備が適宜設置される。
なお、これら短辺側の壁11,15,21,25,31,35は、一階10a,20a,30aの壁と二階10b,20b,30bの壁とを含んだ構成となっている。
また、前記開口部12,22,32は、前記短辺側の壁11,21,31のうち、二階10b,20b,30b側の壁に形成されたものを指しているが、前記短辺側の壁11,21,31のうち、一階10a,20a,30a側の壁にも、それぞれ開口部は形成されている(図2等参照)。
左側に位置する住戸10および右側に位置する住戸30の他の住戸とは共有されない長辺側には外壁44,45が設けられている。なお、これら外壁44,45は、平面視において前記界壁40,41と平行に配置されている。
界壁40の厚みとは、隣り合う住戸10,20同士を隔てている間隔の長さを指している。これに対し、柱状部42の幅とは、例えばこの柱状部42の外側面42aや、平面視において、この外側面42aと直交する側面42cの横方向の長さを指している。なお、本実施の形態の柱状部42は、平面視において外郭が四角形状となるように設定されている。
すなわち、図7および図8に示すように、各住戸10,20,30の短辺側の壁11,21,31のうち、二階10b,20b,30b側の壁は、一階10a,20a,30a側の壁よりも住戸内側に後退するようにして配置されている。つまり、各住戸10,20,30は、バルコニー13,23,33を除いた状態では、二階10b,20b,30bよりも一階10a,20a,30aの方が縦長に設定されている。
例えば図9に示すように、前記住戸30Aの前記短辺側の壁31Aを、前記2つの住戸10,20の前記短辺側の壁11,21よりも住戸内側に後退するようにして配置することによって、前記二つの住戸10,20を、実際に前記一つの住戸30Aよりも前方に突出させることができる。これによって、前記バルコニー13,23,33側から住宅を見た場合の、これら二つの住戸10,20と一つの住戸30Aとの遠近差を際立たせることができるので、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となっている。
すなわち、二階建て集合住宅を、より一戸建て住宅に近い印象の外観とするためには、一つの住戸30Aの床面積は小さくなってしまうが、前記短辺側の壁31Aを実際に後退させても良いものとする。
さらに、他方のバルコニー23の手摺壁24の内側面24aと、前記柱状部42の前記短辺側の壁21に対向する側面42bとが面一となるように設定されている。
すなわち、バルコニー13,23,33側から住宅を見た場合に、前記一方のバルコニー13の手摺壁14と、前記他方のバルコニー23の手摺壁24との間に遠近差が生じることになる。また、前記柱状部42の外側面42aと、前記他方のバルコニー23の手摺壁24との間にも遠近差が生じることになる。これによって、従来のような集合住宅とは異なり、立体感のある外観を確保できるので、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、前記柱状部42を挟んで両側に位置するバルコニー13,23間の距離を、前記柱状部42の外側面42aの幅と、この外側面42aと直交する側面42cの幅とを足した長さの分だけ遠くすることができる。これによって、前記一方のバルコニー13から他方のバルコニー23への視線が届きにくくなるとともに、隣接するバルコニー13,23間の移動は困難となる。
このように前記界壁40,41の突出方向長さが揃っていれば、前記柱状部42の外側面42aと、前記柱状部42を備えていない界壁41の突出方向の先端面41aと、前記一方のバルコニー13の手摺壁14の外側面14aとを、前記複数の住戸10,20,30の前記短辺側の壁11,21,31からの位置を揃えることができ、これら各面42a,41a,14aを連続する壁面として印象付けることができる。
したがって、実際には略同様の構成の細長い複数の住戸10,20,30が横に並んで設けられているものの、外観では、前記短辺側の壁11,21,31の前方に、この連続する壁面42a,41a,14aが配置される住戸10,20は前方に突出したように見せることができ、連続する壁面42a,41a,14aが配置されない住戸30は、前記住戸10,20に対して後退したように見せることができる。これによって、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
なお、前記外壁44も、図7および図8に示すように、前記短辺側の壁11から突出するようにして設けられている。ただし、この外壁44の突出長さは、前記界壁40,41の突出長さよりも短く設定されている。
また、この柱状部42を備えた界壁40と前記界壁41とは、一階10a,20a,30aから屋根50までの高さに相当する高さに設定されており、この屋根50を支持している。
例えば日本人の成人男性の平均身長は172cm程度とされている。また、身長と、両手を広げた長さ(リーチの長さ)とは近似した長さであることが知られている。したがって、両手を真横に広げた状態で、正中線から指先までの長さは、だいたい80〜90cm程度であることが窺い知ることができる。
したがって、例えば成人男性であっても、単に手を伸ばすだけでは隣接するバルコニー側に手が届かず、前記手摺壁14,24から大きく身を乗り出して手を伸ばさなければ、隣接するバルコニー側に手が届かないことになる。しかも、前記柱状部42の外側面42aと、この外側面42aと直交する一方の側面42cとは、L字状に屈曲した状態の面となるため、隣接するバルコニー側に、より手が届きにくくなる。そして、前記一方のバルコニー13から他方のバルコニー23への視線も届きにくくなる。
バルコニー床13aは、図8に示すように、前記柱状部42の形状に合わせて隅部が切り欠かれた状態となっている。また、上述のように前記住戸10は二階10bよりも一階10aの方が縦長に設定されているため、このバルコニー床13aは、一階の10aの短辺側の壁11の上部に載置された状態となっている。
また、前記手摺壁14は、平面視L字型に形成されるとともに、前記外壁44と柱状部42との間に設けられている。さらに、上述したように、前記手摺壁14の外側面14aと、前記柱状部42の外側面42aとは面一となるように設定されている。
バルコニー床23aは、図8に示すように、平面視矩形状に形成されている。また、上述のように前記住戸20は二階20bよりも一階20aの方が縦長に設定されているため、このバルコニー床23aは、一階の20aの短辺側の壁21の上部に載置された状態となっている。
また、前記手摺壁24は、平面視において直線状に形成されるとともに、前記柱状部42と界壁41との間に設けられている。さらに、上述したように、前記手摺壁24の内側面24aと、前記柱状部42の前記短辺側の壁21に対向する側面42bとが面一となるように設定されている。
バルコニー床33aは、図8に示すように、平面視矩形状に形成されている。また、上述のように前記住戸30は二階30bよりも一階30aの方が縦長に設定されているため、このバルコニー床33aは、一階の30aの短辺側の壁31の上部に載置された状態となっている。
また、前記手摺壁34は、平面視L字型に形成されるとともに、前記界壁41と外壁45との間に設けられている。さらに、このように平面視L字型に形成された手摺壁34のうち、前記短辺側の壁31と対向する平面視において長尺な部分の壁は、前記直線状に形成された手摺壁24と同一直線上に配置されている。
なお、前記手摺壁14,24,34の上端部には、それぞれ笠木が設けられているものとする。
なお、本実施の形態の外壁仕上げ材60…は多数のタイルであるが、これに限られるものではない。
一方、前記同一種類の外壁仕上げ材60…が施され長辺方向において外側に面する各面よりも前記短辺側の壁11,21,31側に配置されるとともに外部に面する壁面、すなわち、短辺側の壁11,21,31の外側面には、前記外壁仕上げ材60…とは異なる種類の他の外壁仕上げ材61が施されている。さらに、前記手摺壁24,34の外側面と、前記外壁45のうち前記外壁仕上げ材60が施されていない部分にも、異なる種類の他の外壁仕上げ材61が施されている。
なお、本実施の形態の他の外壁仕上げ材61はサイディング材であるが、これに限られるものではない。つまり、前記外壁仕上げ材60との間に差異が生じるようにすれば良く、例えばこの他の外壁仕上げ材61として多数のタイルを採用したとしても、前記外壁仕上げ材60のタイルとは異なる色であったり、異なる形状であったりすれば、これら外壁仕上げ材60,61の間に差異が生じることになる。
これによって、前記バルコニー13,23,33側から住宅を見た際の印象を、外壁仕上げ材60…が施された部分と、他の外壁仕上げ材61が施された部分とに分ける感じることができるので、従来のような集合住宅とは異なり、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
特に、前記柱状部42の外側面42aと、前記柱状部42を備えていない界壁41の突出方向の先端面41aと、前記柱状部42を備えた界壁40を挟んだ一方側に位置する前記一方のバルコニー13の手摺壁14の外側面14aは、前記短辺側の壁11,21,31よりも前方に配置された各面である。これら前方に配置された各面42a,41a,14aと、これら前方に配置された各面42a,41a,14aよりも前記短辺側の壁11,21,31側に配置された壁面とでは、異なる種類の外壁仕上げ材60…,61が施されているので、前記バルコニー13,23,33側から住宅を見た場合の遠近差を際立たせることができ、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
この屋根50は、軒先部51,52と、第一棟部53と、第二棟部54と、第一および第二棟部53,54から下方に向かって傾斜する複数の屋根面50a〜50eとを備えている。
第二棟部54は、前記第一棟部53よりも低い位置に、この第一棟部53と直交する方向に沿って配置されている。
屋根面50aは、前記第一棟部53から前記玄関16,26,36側の壁15,25,35に向かって下方に傾斜しており、天窓が形成されている。
屋根面50bは、前記第一棟部53および第二棟部54の双方から前記外壁44に向かって下方に傾斜している。
屋根面50cは、前記第一棟部53から前記外壁45に向かって下方に傾斜している。
屋根面50dは、前記第一棟部53から、この第一棟部53と第二棟部54との間に位置する谷部に沿って、かつ前記バルコニー13,23,33側の壁11,21,31に向かって下方に傾斜している。
屋根面50eは、前記第二棟部54から前記バルコニー13,23,33側の壁11,21,31に向かって下方に傾斜している。
屋根面50fは、前記第二棟部54から、前記谷部に沿って、かつ前記住戸30のバルコニー33側に向かって下方に傾斜している。
前記軒先部52は、前記住戸30の前記短辺側の壁31の上方に、前記軒先部51よりも前記短辺側の壁31側に奥まって配置された屋根50の軒先部52が設けられている。この軒先部52とは、前記屋根面50dの傾斜方向下端部を指している。
すなわち、前記屋根面50eは、前記屋根面50dよりもバルコニー13,23,33側に突出するようにして配置されることになる。これによって、前記二つの住戸10,20を前方に突出したように見せることができ、前記二つの住戸10,20の一方に隣接する一つの住戸30を、前記住戸10,20に対して後退したように見せることができるので、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる
また、前記隣接する住戸10,20,30を仕切るとともにバルコニー13,23,33を仕切る界壁40,41のうちの一つは柱状部42を備えているので、住宅を見る者の注意を、例えば従来のような外部階段や戸数分の玄関ドア、バルコニーの仕切り板等ではなく、この柱状部42に引き付けることができる。そして、この柱状部42は前記界壁40の厚みよりも幅広に形成されているので、実際には界壁40の厚み分しか離れていない隣接する住戸10,20,30同士が、実際よりも広い間隔をあけて配置されているような印象を与えることができる。
したがって、実際には細長い複数の住戸10,20,30が横に並んで設けられてはいるものの、外観では、特に前記柱状部42を備えた界壁40を挟んで両側に位置する住戸10,20が、長辺同士を共有するほど間近で隣接しているとは感じさせないようにすることができる。また、隣接するバルコニー13,23も、従来のように単に仕切り板で仕切らずに前記柱状部42を備えた界壁40で仕切るので、従来のような集合住宅とは異なり、複数の住戸10,20,30が単に横に並んだだけの画一的な印象を与えることを抑制できる。これによって、前記バルコニー13,23,33側から住宅を見る者に対して、集合住宅であることを極力感じさせないようにすることができるので、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、前記界壁40の先端に幅広な柱状部42が設けられる分、この柱状部42を挟んで両側に位置するバルコニー13,23間を移動しようとした場合の移動距離を実際に遠くすることができるので、例えば一方のバルコニー13側から他方のバルコニー23を覗こうとしても視線が届きにくくなり、プライバシーの保護に貢献することができる。さらに、前記柱状部42を挟んで両側に位置するバルコニー13,23間の距離が実際に遠くなることで、これらバルコニー13,23間の移動は極めて困難となるので、セキュリティーの確保も可能となる。
次に、図面を参照して二階建て集合住宅の参考例について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
そして、これら各住戸70,80を、平面視において隣接する住戸70,80の長辺同士を共有するようにして、横に並べて配置することによって参考例の二階建て集合住宅が構成されている。
なお、各住戸70,80内には、例えばキッチンの流し台や洗面所の洗面台、浴槽、トイレの便器等の必要な設備が適宜設置されている。
なお、これら短辺側の壁71,75,81,85は、一階70a,80aの壁と二階70b,80bの壁とを含んだ構成となっている。
また、図11に示すように、前記住戸70の短辺側の壁71と、前記住戸80の短辺側の壁81とは、同一直線上に配置されずに若干ずれた配置となっている。また、もう一方の短辺側の壁75と、短辺側の壁85も、同一直線上には配置されずに若干ずれた配置となっている。これによって、前記住戸70は、前記住戸80に対して、その長手方向に沿って若干ずれて配置されたような配置とすることができる。
また、前記開口部72,82は、前記短辺側の壁71,81のうち、二階70b,80b側の壁に形成されたものを指しているが、前記短辺側の壁71,81のうち、一階70a,80a側の壁にも、それぞれ開口部は形成されている(図10等参照)。
各住戸70,80には、前記界壁90と平行する外壁94,95がそれぞれ設けられている。
さらに、前記界壁90は、図11および図12に示すように、この界壁90の突出方向先端に設けられるとともに、この界壁90の厚みよりも幅広に形成された柱状部92を備えている。この柱状部92は、複数の構造用パネルを平断面視略ロ字型となるように組み立てることによって中空状に形成されている。なお、この中空状に形成された柱状部92の内部は収納部93とされている。
さらに、この柱状部92は、前記柱状部92の外側面92aの幅と、この外側面92aと直交する一方の側面92cの幅とを足した長さが、1200mm以上となるように設定されている。
さらに、他方のバルコニー83の手摺壁84の内側面84aと、前記柱状部92の前記短辺側の壁81に対向する側面92bとが面一となるように設定されている。
すなわち、バルコニー73,83側から住宅を見た場合に、前記一方のバルコニー73の手摺壁74と、前記他方のバルコニー83の手摺壁84との間に遠近差が生じることになる。また、前記柱状部92の外側面92aと、前記他方のバルコニー83の手摺壁84との間にも遠近差が生じることになる。これによって、従来のような集合住宅とは異なり、立体感のある外観を確保できるので、より一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、前記柱状部92を挟んで両側に位置するバルコニー73,83間の距離を、前記柱状部92の外側面92aの幅と、この外側面92aと直交する側面92cの幅とを足した長さの分だけ遠くすることができる。これによって、前記一方のバルコニー73から他方のバルコニー83への視線が届きにくくなるとともに、隣接するバルコニー73,83間の移動は困難となる。
なお、前記外壁94も、図11および図12に示すように、前記短辺側の壁71から突出するようにして設けられている。ただし、この外壁94の突出長さは、前記界壁90および外壁95の突出長さよりも短く設定されている。
また、前記柱状部92を備えた界壁90と前記外壁94,95とは、一階70a,80aから屋根100までの高さに相当する高さに設定されており、この屋根100を支持している。
バルコニー床73aは、図12に示すように、前記柱状部92の形状に合わせて隅部が切り欠かれた状態となっている。
また、前記手摺壁74は、平面視L字型に形成されるとともに、前記外壁94と柱状部92との間に設けられている。
また、前記住戸80は二階80bよりも一階80aの方が縦長に設定されている。このため、このバルコニー床83aは、一階の80aの短辺側の壁81の上部に載置された状態となっている。
また、前記手摺壁84は、平面視において直線状に形成されるとともに、前記柱状部92と外壁95との間に設けられている。
なお、前記手摺壁74,84の上端部には、それぞれ笠木が設けられているものとする。
なお、本参考例の外壁仕上げ材110…は多数のタイルであるが、これに限られるものではない。
一方、前記同一種類の外壁仕上げ材110…が施された各面よりも前記短辺側の壁71,81側に配置されるとともに外部に面する壁面、すなわち、短辺側の壁71,81の外側面には、前記外壁仕上げ材110…とは異なる種類の他の外壁仕上げ材111が施されている。さらに、前記手摺壁84の外側面にも、異なる種類の他の外壁仕上げ材111が施されている。
なお、本参考例の他の外壁仕上げ材111はサイディング材であるが、これに限られるものではない。
この屋根100は、軒先部101,102と、第一棟部103と、第二棟部104と、第一および第二棟部103,104から下方に向かって傾斜する複数の屋根面100a〜100eとを備えている。
第二棟部104は、前記第一棟部103よりも屋根流れ方向の下方の低い位置に、この第一棟部103と平行に配置されている。
屋根面100aは、前記第一棟部103から前記バルコニー73,83側の壁71,81に向かって下方に傾斜している。
屋根面100bは、前記第一棟部103および第二棟部104の双方から前記外壁94に向かって下方に傾斜している。
屋根面100cは、前記第一棟部103から前記外壁95に向かって下方に傾斜している。
屋根面100dは、前記第一棟部103から、この第一棟部103と第二棟部104との間に位置する谷部に沿って、かつ前記玄関76,86側の壁75,85に向かって下方に傾斜している。
屋根面100eは、前記第二棟部104から前記玄関76,86側の壁75,85に向かって下方に傾斜している。
屋根面100fは、前記第二棟部104から、前記谷部に沿って、かつ前記住戸80の玄関86側に向かって下方に傾斜している。
また、前記軒先部102は、前記二つの住戸70,80それぞれの前記短辺側の壁75,85の上方に設けられている。この軒先部102は、前記住戸70側に配置される第一軒先部102aと、前記住戸80側に配置される第二軒先部102bと、これら第一軒先部102aの住宅中央側端部と、第二軒先部102bの住宅中央側端部とを接続する第三軒先部102cとからなる。
また、住宅を見る者の注意を、例えば従来のような外部階段や戸数分の玄関ドア、バルコニーの仕切り板等ではなく、柱状部92に引き付けることができる。そして、この柱状部92は前記界壁90の厚みよりも幅広に形成されているので、実際には界壁90の厚み分しか離れていない隣接する住戸70,80同士が、実際よりも広い間隔をあけて配置されているような印象を与えることができる。
したがって、実際には細長い複数の住戸70,80が横に並んで設けられてはいるものの、外観では、特に前記柱状部92を備えた界壁90を挟んで両側に位置する住戸70,80が、長辺同士を共有するほど間近で隣接しているとは感じさせないようにすることができる。また、隣接するバルコニー73,83も、従来のように単に仕切り板で仕切らずに前記柱状部92を備えた界壁90で仕切るので、従来のような集合住宅とは異なり、複数の住戸70,80が単に横に並んだだけの画一的な印象を与えることを抑制できる。これによって、前記バルコニー73,83側から住宅を見る者に対して、集合住宅であることを極力感じさせないようにすることができるので、一戸建て住宅に近い印象の外観を得ることが可能となる。
しかも、前記界壁90の先端に幅広な柱状部92が設けられる分、この柱状部92を挟んで両側に位置するバルコニー73,83間を移動しようとした場合の移動距離を実際に遠くすることができるので、例えば一方のバルコニー73側から他方のバルコニー83を覗こうとしても視線が届きにくくなり、プライバシーの保護に貢献することができる。さらに、前記柱状部92を挟んで両側に位置するバルコニー73,83間の距離が実際に遠くなることで、これらバルコニー73,83間の移動は極めて困難となるので、セキュリティーの確保も可能となる。
11,21,31,71,81 壁
13,23,33,73,83 バルコニー
14,24,34,74,84 手摺壁
40,41,90 界壁
42,92 柱状部
50,100 屋根
60,110 外壁仕上げ材
Claims (5)
- 長辺の長さと短辺の長さとの比が2:1以上に設定された平面視略矩形状の複数の住戸を、平面視において隣接する住戸の長辺同士を共有するようにして、横に並べて配置してなる二階建て集合住宅において、
前記複数の住戸の短辺側の壁には開口部が形成されるとともに、この短辺側の壁から前方に突出するバルコニーが設けられており、
前記隣接する住戸によって共有される長辺は、これら隣接する住戸を仕切るとともに、前記バルコニー側に突出して、このバルコニーを仕切る界壁とされており、
前記バルコニーを仕切る界壁のうちの一つの界壁は、この界壁の突出方向先端に設けられるとともに、この界壁の厚みよりも幅広に形成された柱状部を備えている二階建て集合住宅であって、
前記柱状部を備えた界壁を挟んで両側に位置する双方のバルコニーのうち、一方のバルコニーの手摺壁の外側面と、前記柱状部の外側面とが面一となるように設定されており、他方のバルコニーの手摺壁の内側面と、前記柱状部の前記短辺側の壁に対向する側面とが面一となるように設定されており、
前記平面視略矩形状の住戸は、平面視において3戸配置されており、
これら3つの住戸を仕切るとともに前記バルコニーを仕切る2つの界壁は、その突出方向長さが略等しくなるように設定されてなり、
前記3つの住戸のうち、前記柱状部を備えた界壁を挟んで両側に位置する2つの住戸それぞれの前記短辺側の壁の上方には、一直線に連続する屋根の軒先部が設けられており、
前記3つの住戸のうち、前記柱状部を備えた界壁を挟んで両側に位置する2つの住戸の一方に隣接する1つの住戸の前記短辺側の壁の上方には、前記一直線に連続する軒先部よりも前記短辺側の壁側に奥まって配置された屋根の軒先部が設けられていることを特徴とする二階建て集合住宅。 - 請求項1に記載の二階建て集合住宅において、
前記3つの住戸のうち、前記柱状部を備えた界壁の両側に位置する2つの住戸の一方に隣接する1つの住戸の前記短辺側の壁は、前記2つの住戸の前記短辺側の壁よりも住戸内側に後退するようにして配置されていることを特徴とする二階建て集合住宅。 - 請求項1または2に記載の二階建て集合住宅において、
前記柱状部は、複数の構造用パネルを平断面視略ロ字型となるように組み立てることによって中空状に形成されており、
この中空状に形成された柱状部の内部は収納部とされていることを特徴とする二階建て集合住宅。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二階建て集合住宅において、
前記柱状部の外側面の幅と、この外側面と直交する一方の側面の幅とを足した長さが、1200mm以上となるように設定されていることを特徴とする二階建て集合住宅。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の二階建て集合住宅において、
前記柱状部の表面と、前記柱状部を備えていない界壁のバルコニー側突出部分の表面と、前記柱状部を備えた界壁を挟んだ一方側に位置する前記一方のバルコニーの手摺壁の外側面に同一種類の外壁仕上げ材が施されており、
前記同一種類の外壁仕上げ材が施され長辺方向において外側に面する各面よりも前記短辺側の壁側に配置されるとともに外部に面する壁面には、前記外壁仕上げ材とは異なる種類の他の外壁仕上げ材が施されていることを特徴とする二階建て集合住宅。
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