以下、本発明に係る集合住宅の実施形態について図面を参照して説明する。各図において共通の部材・部位には同一の符号を付している。
図1及び図2は、本発明の一実施形態としての集合住宅1の平面図である。具体的に、図1は、集合住宅1の1階平面図である。図2は、集合住宅1の2階平面図である。まず、本実施形態の集合住宅1の概略について説明する。本実施形態の集合住宅1は、例えば鉄骨造の軸組みを有する2階建ての工業化建物であり、鉄筋コンクリート造の基礎と、柱や梁などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎に固定された上部構造体と、で構成される。なお、軸組架構を構成する軸組部材は、予め規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。集合住宅1の平面モジュールの寸法は305mmである。集合住宅1の各階の階高は2890mmであり、各階の天井高は2400mmである。
上部構造体の軸組架構は、複数の柱及び複数の梁などから構成されている。軸組架構の外周部には、外周壁を構成する外装材等が配置される。また、軸組架構の層間部には、床部を構成する床スラブ材等が配置される。更に、軸組架構の上部には、陸屋根を構成する屋根スラブ材等が配置される。なお、外周壁とは、室内と室外とを区画する外壁である。
集合住宅1の外周壁は、例えば、表面側に防水層としての塗膜が形成された軽量気泡コンクリート(ALC)からなる外装パネル材を連接されて構成された外部仕上げ層と、例えば、フェノールフォーム等の発泡樹脂系の断熱パネル材を外装仕上げ層の内面に沿って連接されて構成された断熱層と、石膏ボートと石膏ボード表面に貼設された壁クロス等の仕上げ材とで構成された内部仕上げ層と、を備えたものとすることができるが、特に限定されるものではない。外周壁は、少なくとも所定の防耐火性能及び防水性能を有するものであればよい。
集合住宅1の床部は、床スラブ材を含む。床スラブ材は、軸組架構の梁間に架設され、梁により直接的又は間接的に支持される。床スラブ材としては、例えば、ALCパネルを用いることできるが、折板、押出成形セメント板、木質パネル材などの別の部材を用いてもよい。床部は、床スラブ材に加えて、例えば、床スラブ材に対して直接的又は間接的に取り付けられる、下層としての1階の天井面を構成する天井内装材や、床スラブ材上に積層された、上層としての2階の床面を構成するフローリング等の床内装材などを含むものであってもよい。
なお、陸屋根を構成する屋根スラブ材についても、ALCパネルを用いることができるが、ALCパネルに限られるものではない。また、屋根スラブ材は、例えば塩化ビニル樹脂から形成されている防水シート等により覆われることにより、防水処理が施されている。また、集合住宅1の屋根は、陸屋根に限らず、スレート等の屋根外装材を用いた勾配屋根としてもよい。
以下、集合住宅1の更なる詳細について説明する。
図1に示すように、本実施形態の集合住宅1は、2つの住戸ブロックである第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bが通路100に沿って連接されて構成されている。換言すれば、通路100は、第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bに対して直交方向Bの一方側に位置すると共に、連接方向Aに沿って延在している。「連接方向A」とは、集合住宅1の平面視(図1参照)において、第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bが連接される方向を意味する。また、「直交方向B」とは、集合住宅1の平面視(図1参照)において、連接方向Aと直交する方向を意味する。
通路100は、集合住宅1の外部で人が通行可能な領域であり、例えば、集合住宅1を含む敷地内の通行路、又は敷地外の道路である。本実施形態の通路100は、敷地内の通行路により形成されている。通路100は、図1では直線状に延在しているが、直線状には限定されず、平面視(図1参照)で連接方向Aに沿うように延在していればよい。したがって、複数の住戸ブロックが平面視で弧状に連接されている場合には、弧状の連接方向Aに沿うように延在する通路100としてもよい。また、本実施形態の集合住宅1は、2つの住戸ブロックが連接されて構成されているが、複数の住戸ブロックが一列に連接される構成であればよく、3つ以上の住戸ブロックが一列に連接されて構成される集合住宅としてもよい。ここでは、説明の便宜上、2つの住戸ブロックが連接されて構成される集合住宅1を例示説明する。各図において、第2住戸ブロック10bの構成のうち第1住戸ブロック10aと共通する構成の符号は、図示を適宜省略する。
なお、本実施形態の集合住宅1が建設されている敷地の東側の境界線に沿って道路が南北方向に延在している。そして、敷地の北側、南側、及び西側は住宅等が建ち並ぶ隣地である。本実施形態の通路100は上述の道路に接続されている。本実施形態の通路100は複数の住戸の住人等が共用する空間である。
上述したように、本実施形態の集合住宅1は、2つの住戸ブロックである第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bが通路100に沿って連接されて構成されている。ここで、より具体的に、本実施形態の集合住宅1は、隣接する2つの住戸ブロックどうしの接合部に、夫々の外周壁にかえて、隣接する2つの住戸ブロックが共有する界壁が設けられている。界壁とは、建築基準法上、建物内部において防耐火上の区画をする壁を意味する。なお、集合住宅1における隣接する2つの住戸ブロックどうしの連接は、上述の界壁による連接に限らず、接合部において、夫々の住戸ブロックに外周壁が設けられ、外周壁どうしを接合する形態であってもよい。
図1及び図2に示すように、第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bそれぞれは、下層住戸20と、下層住戸20の上方に位置する上層住戸60と、を含む複数の住戸からなる複合住戸ブロックである。以下、第1住戸ブロック10a及び第2住戸ブロック10bを区別せずに呼ぶ場合は単に「各住戸ブロック10」と記載する。
各住戸ブロック10の下層住戸20は、専用空間の全てが下層としての1階に位置し、下層としての1階に設けられている第1玄関口2aを通じて外部との出入りが可能である。また、各住戸ブロック10の上層住戸60は、下層としての1階に設けられている、第2玄関口2b及び階段室72、を通じて外部との出入りが可能であり、LDK(居間・台所・食堂)、個室等の他の専用空間は、上層としての2階に設けられている。なお、上層住戸は、下層としての1階に少なくとも玄関口及び階段室が設けられ、かつ、その他の専用空間の少なくとも一部が上層としての2階に設けられている構成であればよく、本実施形態の上層住戸60の間取りに限られるものではない。
図1に示すように、各住戸ブロック10は、下層としての1階の平面視において、所定の間口寸法W0を有する主部21と、所定の間口寸法W0より狭い間口寸法W1を有し、連接方向Aの一方側に偏在し、直交方向Bの一方側に向かって主部21から突出する第1突部22と、所定の間口寸法W0より狭い間口寸法W2を有し、連接方向Aの一方側に偏在し、直交方向Bの他方側に向かって主部21から突出する第2突部23と、を備えている。なお、本実施形態の主部21の間口寸法W0とは、各住戸ブロック10の下層住戸20全体の間口寸法である。また、本実施形態の第1突部22は、1階の平面視(図1参照)において、直交方向Bの一方側である通路100側に向かって、主部21から突出している。そして、本実施形態の第2突部23は、1階の平面視(図1参照)において、直交方向Bの他方側である、通路100側とは反対側、に向かって主部21から突出している。なお、ここで言う「間口寸法」とは、集合住宅1の各部分の連接方向Aの寸法を意味しており、通路100側の正面から視認できる立面(間口)における幅寸法のみを意味するものではない。図1に示すように、本実施形態では、第1突部22の間口寸法W1が第2突部23の間口寸法W2よりも狭い(小さい)が、間口寸法W1と間口寸法W2との大小関係は特に限定されない。間口寸法W1が間口寸法W2よりも広い(大きい)構成でもよく、間口寸法W1と間口寸法W2とが等しい構成でもよい。
更に、図2に示すように、各住戸ブロック10は、上層としての2階の平面視において、所定の間口寸法W0を有する主部61と、所定の間口寸法W0より狭い間口寸法W3を有し、連接方向Aの一方側に偏在し、直交方向Bの一方側に向かって主部61から突出する第1突部62と、所定の間口寸法W0より狭い間口寸法W4を有し、連接方向Aの一方側に偏在し、直交方向Bの他方側に向かって主部61から突出する第2突部63と、を備えている。なお、本実施形態の主部61の間口寸法W0とは、各住戸ブロック10の上層住戸60全体の間口寸法である。本実施形態の主部61の間口寸法W0は、上述した下層住戸20の主部21の間口寸法W0と等しい。また、本実施形態の第1突部62は、2階の平面視(図2参照)において、直交方向Bの一方側である通路100側に向かって、主部61から突出している。そして、本実施形態の第2突部63は、2階の平面視(図2参照)において、直交方向Bの他方側である、通路100側とは反対側、に向かって主部61から突出している。図2に示すように、本実施形態では、第1突部62の間口寸法W3が第2突部63の間口寸法W4よりも狭い(小さい)が、間口寸法W3と間口寸法W4との大小関係は特に限定されない。間口寸法W3が間口寸法W4よりも広い(大きい)構成でもよく、間口寸法W3と間口寸法W4とが等しい構成でもよい。
更に、1階の第1突部22の間口寸法W1と、2階の第1突部62の間口寸法W3と、の大小関係は特に限定されるものではない。また、1階の第2突部23の間口寸法W2と、2階の第2突部63の間口寸法W4と、の大小関係についても、特に限定されるものではない。
以下、説明の便宜上、各住戸ブロック10の下層の主部21を「下層主部21」と記載し、各住戸ブロック10の下層の第1突部22を「下層第1突部22」と記載し、各住戸ブロック10の下層の第2突部23を「下層第2突部23」と記載する。また、各住戸ブロック10の上層の主部61を「上層主部61」と記載し、各住戸ブロック10の上層の第1突部62を「上層第1突部62」と記載し、各住戸ブロック10の上層の第2突部63を「上層第2突部63」と記載する。
各住戸ブロック10において、上層主部61は下層主部21の上方に位置し、上層第1突部62は下層第1突部22の上方に位置し、上層第2突部63は上層第2突部23の上方に位置する。
図1に示すように、各住戸ブロック10の下層主部21の通路100側の外周壁には、屋外と屋内とを連通する第1開口部26が設けられている。第1開口部26には、透光性を備えるとともに開閉が可能な建具30が設置されている。本実施形態の建具30は、例えば引き違い形式の掃き出し窓等であり、第1住戸ブロック10aの下層住戸20の屋内と、後述する第1外部空間24と、の間で人が出入り可能に構成されている。また、各住戸ブロック10の下層主部21の通路100側とは反対側の外周壁には、後述する第2外部空間25と屋内とを連通する第2開口部27が設けられている。第2開口部27には、透光性を備えるとともに開閉が可能な建具31が設置されている。本実施形態の建具31は、引き違い形式の腰高窓又は掃き出し窓である。更に、各住戸ブロック10の下層第2突部23の外周壁には、後述する第2外部空間25と屋内とを連通する第3開口部29が設けられている。第3開口部29には、開閉可能な建具32が設置されている。建具32としては、引き違い形式の腰高窓又は掃き出し窓等とすることができる。
図1に示すように、集合住宅1の1階には、第1住戸ブロック10aの下層主部21、第1住戸ブロック10aの下層第1突部22、及び、第2住戸ブロック10bの下層第1突部22、によって周囲を囲まれた第1外部空間24が形成されている。すなわち、第1外部空間24は、1階の平面視において、通路100側以外の方向が囲まれた閉鎖性の高い空間である。第1外部空間24は、第1住戸ブロック10aの下層主部21に設けられた第1開口部26を通じて、第1住戸ブロック10aの下層住戸20の屋内に連通可能である。したがって、第1外部空間24は、例えば、第1住戸ブロック10aの下層住戸20の専用庭として利用され得る。
図1に示すように、集合住宅1の1階には、第1住戸ブロック10aの下層主部21、第1住戸ブロック10aの下層第2突部23、及び第2住戸ブロック10bの下層第2突部23、によって周囲を囲まれた第2外部空間25が形成されている。すなわち、第2外部空間25は、1階の平面視において、通路100の反対側以外の方向が囲まれた閉鎖性の高い空間である。第2外部空間25は、第1住戸ブロック10aの下層主部21に設けられた第2開口部27を通じて、第1住戸ブロック10aの下層住戸20の屋内に連通可能である。また、第2外部空間25は、第1住戸ブロック10aの下層第2突部23に設けられた第3開口部29を通じて、第1住戸ブロック10aの下層住戸20の屋内に連通可能である。
上記したように、集合住宅1の1階は、通路100側に形成された閉鎖性の高い第1外部空間24に加えて、通路100側とは反対側に形成された閉鎖性の高い第2外部空間25を有する。また、集合住宅1は、第1外部空間24と屋内とを連通する第1開口部26と、第2外部空間25と屋内とを連通する第2開口部27及び第3開口部29とを備える。従って、第1開口部26、第2開口部27及び第3開口部29によって、屋内への採光及び屋外と屋内との間の通風を確保できると共に、閉鎖性の高い第1外部空間24に連通する第1開口部26、並びに、閉鎖性の高い第2外部空間25に連通する第2開口部27及び第3開口部29は、外部から視認されにくい。従って、集合住宅1は、プライバシーを保護しつつ、採光及び通風を確保することができる。
なお、集合住宅1の2階においても、第1住戸ブロック10aの上層主部61、第1住戸ブロック10aの上層第1突部62、及び、第2住戸ブロック10bの上層第1突部62、によって周囲を囲まれた第3外部空間80が形成されており、上述した1階の第1外部空間24と同様のプライバシー保護と、採光性及び通風性と、を確保することができる。また、集合住宅1の2階には、第1住戸ブロック10aの上層主部61、第1住戸ブロック10aの上層第2突部63、及び、第2住戸ブロック10bの上層第2突部63、によって周囲を囲まれた第4外部空間81が形成されており、上述した1階の第2外部空間25と同様のプライバシー保護と、採光性及び通風性と、を確保することができる。なお、第1外部空間24と第3外部空間80とは鉛直方向に連なる一体の空間であり、説明の便宜上、下層部分を第1外部空間24、上層部分を第3外部空間80と記載している。また、第2外部空間25と第4外部空間81についても、鉛直方向に連なる一体の空間であり、説明の便宜上、下層部分を第2外部空間25、上層部分を第4外部空間81と記載している。
ここで、第1外部空間24は、第2住戸ブロック10bの下層第1突部22及び上層第1突部62から視通できない位置に配置されている。すなわち、下層としての1階の平面視(図1参照)において、第1住戸ブロック10aの下層主部21及び下層第1突部22と、この第1住戸ブロック10aに隣接する第2住戸ブロック10bの下層第1突部22と、により囲まれる、第1住戸ブロック10aクの下層住戸20の専用となる下層住戸専用外部空間としての第1外部空間24が形成されており、第2住戸ブロック10bの下層第1突部22には、第1外部空間24を視通可能な開口が設けられていない。なお、第2住戸ブロック10bの上層第1突部62においても、第1外部空間24を視通可能な開口は設けられていない。
より具体的に、図1に示すように、第2住戸ブロック10bの下層第1突部22の第1外部空間24に面する外周壁33には、開口部が設けられていない。そのため、第2住戸ブロック10bの下層第1突部22の屋内から第1外部空間24への視線は、外周壁33によって遮られる。また、図2に示すように、第2住戸ブロック10bの上層第1突部62の、平面視で第1外部空間24が位置する側の延出壁64には、開口部が設けられていない。そのため、第2住戸ブロック10bの上層第1突部62の屋内から第3外部空間80及び第1外部空間24への視線は、延出壁64によって遮られる。このように、集合住宅1は、第2住戸ブロック10bから第1外部空間24を視通できないように構成されているので、第1外部空間24のプライバシー性を高めることができる。なお、延出壁64とは、両面が外装パネル材で仕上げられ、外周壁と連続し室外に延出するように設けられた外壁である。
ここで、上層第1突部62は、開口部67を除き周囲を外壁としての外周壁及び延出壁で囲まれた、上層住戸60専用の上層住戸専用外部空間としてのベランダ88である。開口部67の一部には転落防止の為の柵が設けられている。延出壁64のうち、第1外部空間24や第1開口部26が視通し難い位置であれば、開口部を設けてもよい。例えば、下端の高さが上層住戸60の床面から1.5m以上となるような位置であればよい。
なお、第2外部空間25についても、第2住戸ブロック10bの下層第2突部23及び上層第2突部63から視通できない位置に配置されている。視通できないようにする構成については、上述した第1外部空間24の場合と同様であり、開口部が設けられていない下層第2突部23の外周壁34と、開口部が設けられていない上層第2突部63の外周壁65と、により、第2住戸ブロック10bからの視線が遮られている。なお、延出壁64と同様に、外周壁65のうち、第2外部空間25や第2開口部27が視通し難い位置であれば、開口部を設けてもよい。また、第1住戸ブロック10aの上層住戸60の第4外部空間81に面する外周壁に設けられる開口部も、第2外部空間25、第2開口部27及び第3開口部29への視線が遮られる高さに設けられることが好ましい。
更に、集合住宅1は、第1住戸ブロック10aの上層住戸60から第1外部空間24への視線を遮る構成を有している。具体的には、集合住宅1は、第1住戸ブロック10aの上層住戸60のうち、下層主部21の上方に位置する上層主部61、及び、下層第1突部22の上方に位置する上層第1突部62、の少なくともいずれか一方、から第1外部空間24への視線を遮る構成を有している。
より具体的に、集合住宅1は、第1住戸ブロック10aの上層主部61及び上層第1突部62の少なくともいずれか一方から第1外部空間24の上方の一部を覆うように突出し、第1外部空間24への視線を遮る突出部を備える。図2に示すように、本実施形態の集合住宅1は、上層主部61から第1外部空間24の一部を覆うように突出した突出部としての庇68を備えている。また、本実施形態の集合住宅1は、上層第1突部62から第1外部空間24の一部を覆うように突出した突出部としての庇69を備えている。庇68及び庇69は、スラブ状であり、上層の床部と略同一の高さに形成されている。庇68及び庇69により、上層住戸60の屋内又はベランダ88から第1外部空間24や第1開口部26への視線を遮ることができる。
突出部を設けることにかえて、上層主部61及び上層第1突部62の少なくともいずれか一方の、平面視で第1外部空間24が位置する側の外周壁には、第1外部空間24への視線を遮ることができるように、所定高さ以下の位置に開口部が設けられていないようにしてもよい。すなわち、図2に示すように、上層主部61の、平面視で第1外部空間24が位置する側、すなわち通路100側の外周壁に設けられている開口部66の下端の位置を所定の高さ(例えば床面から1.5m)以上に設定し、開口部66の下方は外周壁の他の部位と同様の構成とする。或いは、上層第1突部62の、平面視で第1外部空間24が位置する側、すなわち連接方向Aの他方側に位置する延出壁に設けられた開口部67において、柵を透視性のないものとするとともにその上端の位置を所定の高さ(例えば床面から1.5m)以上とする。このような構成により、上層住戸60から第1外部空間24や第1開口部26への視線を遮ることができる。なお、本実施形態の開口部66には、建具82が設けられている。本実施形態では上述の庇68が設けられているため、建具82としては、引き違い形式の腰高窓でも掃き出し窓であってもよい。
上記のように、第1住戸ブロック10aの上層住戸60から第1外部空間24や第1開口部26への視線を遮る構成とすることで、第1外部空間24(下層住戸20の住人)のプライバシー性を、より一層高めることができる。
ところで、図1に示すように、第1住戸ブロック10aの下層主部21の直交方向Bの一方側に位置する第1開口部26と、直交方向Bの他方側に位置する第2開口部27とは、直交方向Bにおいて対向している。そして、第1開口部26及び第2開口部27を通過するように、下層住戸20の下層主部21を直交方向Bに直線状に延びる通風路が形成される。そのため、第1開口部26及び第2開口部27に挟まれた位置の通風性をより一層高めることができる。なお、図1に示す例では、第1開口部26と第2開口部27との間に居室としてのLDK41と、居室としての個室42と、が介在している。LDK41には、アイランド型の開放的なキッチンセット86が、その長手方向が直交方向Bに一致するように設けられている。LDK41と個室42との間の出入り口43には、開閉可能な建具44としての引き違い戸が設置されている。そのため、第1開口部26の建具30、第2開口部27の建具31、及び、出入り口43の建具44を全て開放した状態とすれば、LDK41と個室42を通過する直線状の通風路を形成することができる。このような通風性の高い直線状の通風路内には、本実施形態のように、下層住戸20で最大の床面積を有する居室としてのLDK41を含めることが好ましい。このようにすれば、下層住戸20の住人により最も利用され易い空間の快適性をより向上させることができる。また、第1開口部26と第2開口部27との間には、下層住戸20の他の空間と間仕切り壁で区画された個室状空間であるトイレ46、洗面所47、及び浴室48を含む水廻り部45を備えていない。図1に示すように、本実施形態では、第1住戸ブロック10aの下層主部21の水廻り部45は、下層主部21の屋内の連接方向Aの一方側に偏在している。なお、各住戸ブロック10の下層住戸20の間取りと上層住戸60の間取りとは略同一であり、上層住戸60においても、下層住戸20と同様の通風性等を確保することができる。
なお、図1に示すように、本実施形態の集合住宅1は、第1住戸ブロック10aの下層第2突部23の屋内に居室としての個室49を備える。個室49は、出入り口50を通じて廊下52と連通している。出入り口50には開閉可能な建具51として片開き戸が設置されている。廊下52はLDK41に連通している。上述した第3開口部29は、個室49を第2外部空間25から区画する外周壁に設けられている。したがって、集合住宅1は、第3開口部29からの採光が確保できると共に、第1開口部26及び第3開口部29を開放された状態とすれば、第1開口部26、LDK41、廊下52、出入り口50、個室49、及び第3開口部29を通じる通風路を形成することができる。また、第3開口部29は、第2外部空間25に面する外周壁に設けられているため、上述した第2開口部27と同じように、外部から視認されにくい。よって集合住宅1は、プライバシーを保護しつつ、採光性及び通風性を更に向上させることができる。
次に、集合住宅1の各住戸ブロック10の玄関周辺の構成について詳細に説明する。下層住戸20の第1玄関口2a、及び、上層住戸60の第2玄関口2b、は、下層第1突部22に設けられている。より具体的に、第1玄関口2a及び第2玄関口2bは、下層第1突部22の通路100側の外周壁に設けられている。
そして、第1玄関口2aに設けられている建具としての下層玄関ドア54a、及び、第2玄関口2bに設けられている建具としての上層玄関ドア54bは、下層としての1階の平面視(図1参照)において、通路100に対向するように設けられている。換言すれば、1階の平面視(図1参照)において、下層玄関ドア54a及び上層玄関ドア54bは、いずれも閉じられた状態において、連接方向Aに沿って延在している。
図3は、集合住宅1を通路100側から見た立面図である。下層としての1階の平面視(図1参照)において、下層玄関ドア54aと、通路100と、の間には壁55が設けられている。このようにすることで、図3に示すように、下層玄関ドア54aを、通路100側から視認できないようにすることができる。各住戸ブロック10に対して通路100側から視認できる玄関ドアを1つのみとすれば、重層長屋構造であるにもかかわらず、各住戸ブロック10が1つの戸建住宅であるかのような印象を与えることができる。更に、平面視(図1、図2参照)において、各住戸ブロック10を主部及び突部により構成し、集合住宅1の通路100側を凹凸のある面で形成している。このようにすることで、集合住宅1の高級感を高めることができる。なお、本実施形態の壁55は、延出壁により構成されている。
また、第2玄関口2b及び上層玄関ドア54bは、壁55よりも後退した位置にあるため、上層玄関ドア54bは、通路100の道路に通じる入口(東方向)から進入してきた際に視認され難い。更に、壁55の先端位置は、第1玄関口2a及び下層玄関ドア54aよりも、第2住戸ブロック10b方向に長く延伸している。換言すれば、壁55の先端位置は、下層第1突部22よりも連接方向Aの他方側に長く延伸している。そのため、壁55の延伸部分と第2住戸ブロック10bの下層第1突部22によって、下層玄関ドア54aも、通路100の道路に通じる入口(東方向)から進入してきた際に視認され難い。
なお、通路100との間に壁55が設けられる玄関ドアは、下層玄関ドア54aに限らず、上層玄関ドア54bであってもよいし、下層玄関ドア54aと上層玄関ドア54bとの両方であってもよい。すなわち、下層玄関ドア54a及び上層玄関ドア54bの少なくとも一方の玄関ドアと、通路100と、の間に壁が設けられていればよい。但し、通路100との間に壁55が設けられる玄関ドアには、下層玄関ドア54aが含まれていることが好ましい。下層玄関ドア54aは通路100側に対向しているため、壁55が存在しないと、下層住戸20の屋内は、下層玄関ドア54aが開放された状態で第1玄関口2aを通じて覗かれ易い。そのため、少なくとも下層玄関ドア54aと通路100との間に壁55を設けることにより、下層住戸20の住人のプライバシーを保護することができる。
また、壁55は、下層としての1階から上層としての2階まで延在している。そして、壁55は、2階の平面視(図2参照)において、上層第1突部62に設けられている上層住戸専用外部空間としてのベランダ88に対する通路100側からの視線を遮るように、かつ、ベランダ88よりも東方向(連接方向Aの他方側)に延伸するように、構成されている。また、開口部67は、この開口部67が形成されている延出壁において、壁55側に寄せて設けられている。このようにすることで、上層住戸60の通路100側に位置する上層住戸専用外部空間としてのベランダ88に、洗濯物等を干しても、通路100側から視認されず、上層住戸60の住人のプライバシーを保護することができる。また、晴天時に集合住宅1の通路100側に各住戸の洗濯物等が露出することを防ぐことができる。また、下層住戸20の住人が、上層住戸60の住人の視線を気にすることなく生活することができる。通路100側から向かって第2玄関口2b及び上層玄関ドア54bの左側には、延出壁87が、その先端位置が壁55の通路100側表面に一致するように設けられている。これにより、図4に示すように、通路100に面して2層に亘る長方形の大きな壁面が形成されており、当該壁面の一部分(第2玄関口2b部分)が彫り込まれた、シンプルで量塊感のある意匠が実現され、集合住宅1の高級感を更に高めることができる。
図1及び図2に示す、下層主部21及び上層主部61の間口寸法W0は、5490〜8345mmであることが好ましく、例えば6405mmである。間口寸法W0を上記範囲内とすることで、各住戸ブロックが戸建住宅であるかのような印象を与えることができる。
図1に示す下層第1突部22の間口寸法W1は、2440〜3050mmであることが好ましく、例えば2745mmである。間口寸法W1を上記範囲内とすることで、下層住戸20及び上層住戸60それぞれの玄関89、91やホール90、92の機能を損なうこと無く、下層住戸20の専用空間としての第1外部空間24の下層主部21に面する部分の間口寸法W5を確保することができる。下層主部21の第1外部空間24に面する部分の間口寸法W5は、間口寸法W0から間口寸法W1を減じた寸法であり、2745〜4880mmであることが好ましく、例えば3660mmである。
図1に示す下層第2突部23の間口寸法W2は、2745〜3660mmであることが好ましく、例えば3660mmである。同様に、図2に示す上層第2突部63の間口寸法W4は、2745〜3660mmであることが好ましく、例えば3660mmである。間口寸法W2及びW4を上記範囲内とすることで、個室49を居室、特に寝室として機能させやすくすることができる。
図2に示す上層第1突部62の間口寸法W3は、1830〜3660mmであることが好ましく、例えば2745mmである。間口寸法W3を上記範囲内とすることで、上層第1突部62を物干し場として機能させることができる。
図1に示すように、下層主部21の第2外部空間25に面する部分の間口寸法W6は、間口寸法W0から間口寸法W2を減じた寸法であり、2745〜4575mmであることが好ましく、例えば2745mmである。間口寸法W6を上記範囲内とすることで、第2外部空間25に面する個室42や個室49が、第2外部空間25から十分な採光や通風を得ることができる。
図1及び図2に示すように、壁55の幅寸法W7は、3660〜4575mmであることが好ましく、例えば3660mmである。壁55の幅寸法W7を上記範囲内とすることで、通路100側から視認可能な集合住宅1の壁面に対して量塊感を与えることができる。
図1に示すように、壁55が下層第1突部22に対して連接方向Aの他方側に延在した延伸寸法W8は、壁55の幅寸法W7から下層第1突部22の間口寸法W1を減じた寸法であり、下層住戸20の第1玄関口2a及び下層玄関ドア54aを通路100から視認されにくくする寸法であることが好ましく、例えば915mmである。
図2に示すように、壁55が上層第1突部62に対して連接方向Aの他方側に延在した延伸寸法W9は、壁55の幅寸法W7から上層第1突部62の間口寸法W3を減じた寸法であり、開口部67を通路100から視認されにくくする寸法であることが好ましく、例えば915mmである。
図1に示すように、下層第1突部22が下層主部21に対して直交方向Bに突出する突出寸法D1は、1830〜2745mmであることが好ましく、例えば1830mmである。突出寸法D1を上記範囲内とすることで、上層住戸60の玄関91及びホール92を直交方向Bに並べて配置するのに十分な寸法を確保することができる。
図1に示すように、下層第2突部23が下層主部21に対して直交方向Bに突出する突出寸法D2は、1830〜3660mmであることが好ましく、例えば2745mmである。突出寸法D2を上記範囲内とすることで、個室49を居室、特に寝室として機能させやすくすることができる。
図1に示すように、上層住戸60の第2玄関口2bが壁55に対して直交方向Bの通路100側とは反対側に後退する後退寸法D3は、915〜1830mmであることが好ましく、例えば915mmである。後退寸法D3を上記範囲内とすることで、集合住宅1の通路100側の外壁に凹凸による陰影を生じさせ、高級感を与えることができる。
図1に示すように、下層主部21の通路100側の外周壁から壁55までの寸法D4は、2745〜3660mmであることが好ましく、例えば2745mmである。突出寸法D4を上記範囲内とすることで、隣接する住戸ブロック同士の連接部を通路100側から視認されにくくすることができ、かつ、下層住戸20の専用空間としての第1外部空間24及び下層住戸20の第1玄関口2aへの専用通路が充分に確保できる。
図5は、図1〜図4に示す集合住宅1の変形例を示す図である。図5に示す集合住宅1´は、図1〜図4に示す集合住宅1と比較して、玄関ドアと通路100との間に介在する壁の構成が異なる。
図5に示す壁55´は、下層としての1階の平面視(図5参照)において、下層玄関ドア54aと通路100との間の位置から、上層玄関ドア54bと通路100との間の位置に亘って連続的に設けられている。換言すれば、壁55´は、下層玄関ドア54aと通路100との間、及び、上層玄関ドア54bと通路100との間、に介在している。また、図5に示す壁55´と、下層玄関ドア54a及び上層玄関ドア54bと、の間に共用空間83が形成されており、壁55´には、共用空間83に出入り可能な開口部84が設けられている。
また、開口部84は、下層としての1階の平面視(図5参照)における壁55´のうち、連接方向Aで下層玄関ドア54aと上層玄関ドア54bとの間の位置に設けられている。このような構成とすることで、より一層、下層玄関ドア54a及び上層玄関ドア54bの2つの玄関ドアが同時に視認され難くなる。また、共用空間83に出入り可能な1つの開口部84を設けることで、視覚的に、各住戸ブロック10に戸建住宅のような印象を与えることができる。更に、開口部84には建具としての共用玄関ドア85が設けられている。共用玄関ドア85を設ければ、下層玄関ドア54a及び上層玄関ドア54bの2つの玄関ドアが、より視認され難くなり、各住戸ブロック10の戸建住宅のような印象を、より一層高めることができる。
本発明に係る集合住宅は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述した集合住宅1は2階建てであるが、3階建て以上の集合住宅としてもよい。