以下、本発明に係る、階段室型の集合住宅の実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、各図において共通の構成には、同一の符号を付している。なお、ここでいう階段室型の集合住宅とは、少なくとも1つの階において階段室から出入り可能な2つ以上の住戸を持つ集合住宅を意味する。
ここで説明する本発明の実施形態としての階段室型の集合住宅は、地上階にて外方から第1扉部を介して出入り可能な屋内共用部と、地上階にて屋内共用部から第2扉部を介して出入り可能な少なくとも上方が開放された屋外共用部に対して居室が面する複数の住戸と、を備えるものである。なお、ここで言う「扉部」とは、開閉可能な扉を備える出入り口を意味している。以下、各実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態としての階段室型の集合住宅1の1階平面図である。図2(a)は集合住宅1の2階平面図である。また、図2(b)は集合住宅1の3階平面図である。この階段室型の集合住宅1は、鉄骨造の3階建てであり、図1に示す1階50aが地上階であり、図2(a)及び図2(b)に示す2階50b及び3階50cが基準階である。なお、図1及び図2において上方が北側であり、集合住宅1は、北側の道路100に面して立設されている。また、図1に示すように、集合住宅1の南側には、屋外共用部としての中庭300が設けられている。図1において集合住宅1の周囲を囲む一点鎖線は、敷地200の境界を示している。この敷地200に対して南側、東側及び西側は、不図示の建物が隣接している。
図1及び図2に示すように、階段室型の集合住宅1は、屋内共用部としての階段室2と、少なくとも鉛直方向上方が開放された屋外共用部としての中庭300に居室が面する複数の住戸9a〜9c及び10a〜10cと、を備えている。なお、本実施形態において中庭300に居室が面している住戸9a〜9c及び10a〜10cは、階段室2から出入り可能である。更に言えば、本実施形態では、全ての住戸9a〜9c及び10a〜10cが中庭300に面する居室を有しており、全ての住戸9a〜9c及び10a〜10cが階段室2から出入り可能である。
図1に示すように、階段室2は、地上階としての1階50aにて外方である道路100から第1扉部33を介して出入り可能である。また、中庭300は、1階50aにて階段室2から第2扉部34を介して出入り可能である。
以下、階段室型の集合住宅1の詳細について説明する。
図1、図2に示すように、階段室2には、1階50aのフロア3aから2階50bのフロア3bを介して3階50cのフロア3cまで繋ぐ階段が形成されている。
具体的に、階段室2の1階50aには直階段4が配置され、1階50aの直上階以上の階としての2階50bには折り返し階段5が配置されている。つまり、階段室2に形成されている階段は、1階50aのフロア3aと2階50bのフロア3bとを繋ぐ直階段4と、2階50bのフロア3bと3階50cのフロア3cとを踊り場6を介して繋ぐ折り返し階段5と、で構成されている。なお、折り返し階段5は、踊り場6と、2階50bのフロア3bと踊り場6とを繋ぐ直線状の下側階段部7と、踊り場6と3階50cのフロア3cとを繋ぐ直線状の上側階段部8と、で構成されている。
本実施形態の集合住宅1の各階には、階段室2の各階フロアから出入り可能な2つの住戸が、階段室2を挟んで東西に対向して配置されている。具体的に、集合住宅1の1階50aには、階段室2の1階フロア3aから、階段室2を区画する東西壁面に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な西側住戸9a及び東側住戸10aが配置されている。同様に、集合住宅1の2階50bには、階段室2の2階フロア3bから、階段室2を区画する東西壁面に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸9b及び東側住戸10bが配置されている。更に、集合住宅1の3階50cには、階段室2の3階フロア3cから、階段室2を区画する東西壁面に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸9c及び東側住戸10cが配置されている。西側住戸9a〜9cはいずれも同じ間取りである。また、東側住戸10a〜10cも互いに同じ間取りである。
西側住戸9a〜9c及び東側住戸10a〜10cのそれぞれを区画する外壁面には、外方と通ずる少なくとも2つの開口部が設けられている。具体的に、西側住戸9a〜9cのそれぞれを区画する外壁面には、南側開口部11a〜11cと、北側開口部12a〜12cと、が設けられている。また、東側住戸10a〜10cのそれぞれを区画する外壁面には、南側開口部13a〜13cと、北側開口部14a〜14cと、が設けられている。これら開口部には、ヒンジ式の窓やスライド式の掃き出し窓が設けられている。そして、各住戸の南側開口部11a〜11c及び13a〜13cの外部にはベランダが設けられている。なお、南側開口部11a〜11c及び13a〜13c並びに北側開口部12a〜12c及び14a〜14cが形成された部分の外壁は、各住戸の居室を区画している。
図3は、図1及び図2のI−I断面図である。以下、図1〜図3を参照して、階段室2の詳細について説明する。
図1〜図3に示すように、階段室2は、西側住戸9a〜9cの東側の壁15(以下、「東側壁15」と記載する。)、東側住戸10a〜10cの西側の壁16(以下、「西側壁16」と記載する。)、1階50a部分に集合住宅1の玄関口17が設けられた北側の壁18(以下、「北側壁18」と記載する。)、玄関口17と階段を挟んで対向し、1階50a部分に中庭300へと通じる出入り口19が設けられた南側の壁20(以下、「南側壁20」と記載する。)、南北方向において北側壁18と踊り場6との間に形成された北側の吹き抜け空間25の上部を覆うエントランス屋根部21、南北方向において踊り場6から南側壁20に亘って階段室2の上部を覆う階段室屋根部22、並びに鉛直方向においてエントランス屋根部21と階段室屋根部22との間に位置する連結壁23、により区画されている。なお、鉛直方向においてエントランス屋根部21と踊り場6との間には踊り場壁24が設けられている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の西側住戸9a〜9cの東側壁15、及び東側住戸10a〜10cの西側壁16は、階段室2を挟んで東西方向に対向すると共に、南北方向に平行するように立設されている。そして、東側壁15及び西側壁16の各階部分には、住戸に出入りするための玄関扉が設けられている。
北側壁18の1階50a部分には、第1扉部33としての、扉17aが設けられた玄関口(出入り口)17が形成されており、集合住宅1の住人や来訪者は、この玄関口17を通じて階段室2内に入ることができる。また、北側壁18は、西側住戸9a〜9cの東側壁15、及び東側住戸10a〜10cの西側壁16に挟まれて位置しており、図1及び図2(a)の平面視において、東側壁15及び西側壁16と直交するように立設されている。更に、図3に示すように、北側壁18は、1階50a及び2階50bに亘って設けられており、吹き抜け空間25に面している。
南側壁20は、北側壁18と階段室2を挟んで対向して配置されている。南側壁20の1階50a部分には、第2扉部34としての、扉19aが設けられた出入り口19が形成されており、集合住宅1の住人等は、この出入り口19を通じて中庭300と階段室2との間を出入り可能である。また、南側壁20もまた、西側住戸9a〜9cの東側壁15、及び東側住戸10a〜10cの西側壁16に挟まれて位置しており、図1及び図2(a)の平面視において、東側壁15及び西側壁16と直交するように立設されている。更に、南側壁20は、1階50a、2階50b及び3階50cに亘って設けられている。
エントランス屋根部21は、階段室2の北側の吹き抜け空間25の上部を覆っている。図3に示すように、エントランス屋根部21は、北側壁18の上端部が連結される梁36及び踊り場壁24の上端部が連結される梁27との間に架け渡されており、北側壁18よりも外方(図3では左方向)まで突設されている。より具体的に、本実施形態のエントランス屋根部21は、集合住宅1の3階50cにおける西側住戸9cの下梁(床梁)、東側住戸10cの下梁、これら下梁間に横架された複数の梁(本実施形態では北側壁18の上端部が連結される梁36や踊り場壁24の上端部が連結される梁27)に対して連結されて固定されている。
階段室屋根部22は、折り返し階段5の上部を覆っている。図3に示すように、階段室屋根部22は、南側壁20の上端部が連結される梁37及び連結壁23の上端部が連結される梁28との間に架け渡されている。より具体的に、本実施形態の階段室屋根部22は、集合住宅1の3階50cにおける西側住戸9cの上梁、東側住戸10cの上梁、これら上梁間に横架された複数の梁(本実施形態では南側壁20の上端部が連結される梁37や連結壁23の上端部が連結される梁28)に対して連結されて固定されている。
連結壁23は、鉛直方向においてエントランス屋根部21と階段室屋根部22との間の3階50c部分であって、水平方向において西側住戸9a〜9cの東側壁15と東側住戸10a〜10cの西側壁16との間に位置している。具体的に、連結壁23の下端部は、集合住宅1の3階50cにおいて、西側住戸9cの下梁と東側住戸10cの下梁との間に横架された梁27に連結されている。また、連結壁23の上端部は、集合住宅1の3階50cにおいて、西側住戸9cの上梁と東側住戸10cの上梁との間に横架された梁28に連結されている。
次に、階段室2に形成された階段について、図1〜図3を参照して説明する。
図1及び図2(a)に示すように、1階の直階段4は、平面視において、1階50aのフロア3aから2階50bのフロア3bまで南北方向に直線状に延在している。また、図4(a)に示すように、直階段4は、その延在方向(本実施形態では南北方向)と直交する方向(本実施形態では東西方向)に通路29と隣接している。そのため、階段室の1階部分に踊り場を介した折り返し階段を配置し、その踊り場の下に通路を設ける構成と比較して、1階50aの通路29の高さをより高くすることができるため、圧迫感が少ない通路29を実現することができる。
その一方で、2階50bに折り返し階段5を配置することにより、階段室型の集合住宅特有の共用部のコンパクト化及び通行の効率化が実現されている。なお、本実施形態では3階建ての階段室型の集合住宅1であるが、4階以上とすることも可能であり、かかる場合には、3階以上の各階(基準階)も2階50bと同様の構成、すなわち、2階と同様の折り返し階段5を配置することにより、階段室型の集合住宅に特有の共用部のコンパクト化及び通行の効率化を実現することができる。
このように、本実施形態の階段室型の集合住宅1によれば、階段室2の地上階としての1階50aに直階段4、1階の直上階以上の階としての2階50bに折り返し階段5を配置したことにより、階段室型の集合住宅による共用部のコンパクト化及び通行の効率化を実現しつつ、圧迫感の少ない地上階の共用部を実現することができる。
更に、本実施形態の直階段4は、その延在方向と直交する方向において、階段室2の一方(本実施形態では西方向)に寄せて配置されている。具体的に、本実施形態の直階段4は、西側住戸9a〜9cの東側壁15に隣接して配置されており、通路29は、直階段4と東側住戸10a〜10cの西側壁16との間に設けられている。このように、直階段4を延在方向と直交する方向の一方に寄せて配置することにより、通路29の幅についても広く確保することができるため、より圧迫感の少ない通路を実現することができる。
また、直階段4の上部に吹き抜け空間25を設けているため、階段室2の1階50a部分に、より開放感を持たせることができ、共用部としての階段室2に付加価値を与えることができる。更に、直階段4の蹴込部分に開口を設ける構成とすれば、直階段4の延在方向における視通性をも確保することができるため、階段室2の1階50aにおけるエントランス部分をより開放的な空間に感じさせることが可能となる。
更に、本実施形態の階段室2は、1階50aにて、北側壁18の第1扉部33としての玄関口17を介して外方から出入り可能であると共に、南側壁20の第2扉部34としての出入り口19を介して上述の中庭300から出入り可能である。換言すれば、階段室2は、第1扉部33及び第2扉部34の扉17a及び扉19aを介して外部と隔てられているため、集合住宅1の防犯性を確保することができる。
ここで、図1、図2に示すように、本実施形態の集合住宅1の全ての住戸9a〜9c及び10a〜10cは、少なくとも上方が開放された屋外共用部としての中庭300に面する居室を有している。換言すれば、これら居室は、集合住宅1の別の共用空間を介することなく、中庭300に面している。このような構成とすることにより、各住戸の居室に設けられた開口部(本実施形態では南側開口部11a〜11c及び13a〜13c)を通じて中庭300を視認することができ、各住戸の住人の中庭300への関心を高めることができるため、住人による中庭300の利用が促進され易い。更に、階段室2の1階50a部分が、各住戸から中庭300までの動線上に位置するため、玄関口17と各住戸との間の通行手段としての階段室に、共用部としての新たな付加価値を与えることができる。
また、本実施形態において、第1扉部33と第2扉部34とは、平面視(図1参照)における直階段4の延在方向において、階段室2を挟んで対向して配置されている。これにより、第1扉部33としての玄関口17から階段室2内に入る際に、第2扉部34としての出入り口19の存在及び中庭300の存在を認識し易い。また、本実施形態の階段室2は、平面視(図1参照)における直階段4の延在方向(本実施形態では南北方向)の両側が、第1扉部33が設けられ、階段室2から外方を視通可能な北側壁18(第1視通壁部)と、第2扉部34が設けられ、階段室2から中庭300を視通可能な南側壁20(第2視通壁部)と、により区画されている。つまり、本実施形態では、第1扉部33が設けられた北側壁18及び第2扉部34が設けられた南側壁20が、ガラス等の透明部材を用いて構成されている。そのため、直階段4の延在方向において、玄関口17側から明るい中庭300への視通性及び出入り口19側から玄関口17側の外方への視通性を確保することができ、階段室2の開放感及び階段室2の付加価値をより高めることができる。なお、第2視通壁部としての南側壁20のみを視通可能な構成としてもよい。
本実施形態では、北側壁18の1階50a部分及び2階50b部分を透明部材で構成し、南側壁20の1階50a部分、2階50b部分及び3階50c部分を透明部材で構成している。また、本実施形態では、連結壁23についても透明部材で構成している。このような構成とすれば、階段室2の1階50aのフロア3aのみならず、階段室2の2階50b及び3階50cのフロア3b及び3cについても、少なくとも2方向(本実施形態では南北方向の両方向)からの採光が可能であり、明るい階段室とすることができる。
以上のように、本実施形態の階段室型の集合住宅1は、地上階にて外方から第1扉部33を介して出入り可能な屋内共用部としての階段室2と、地上階にて階段室2から第2扉部34を介して出入り可能な少なくとも上方が開放された屋外共用部としての中庭300に対して居室が面する複数の住戸9a〜9c及び10a〜10cと、を備えている。また、居室が中庭300に面する住戸9a〜9c及び10a〜10cは、階段室2の各階フロア3a〜3cから玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能である。
このように、外方から中庭300へは、第1扉部33及び第2扉部34が設けられた階段室2を通じてアクセス可能であるため、中庭300のプライバシー性や防犯性を高めることができる。また、住戸9a〜9c及び10a〜10cの居室から中庭300を視認することができるため、住人同士のコミュニティ形成の場として中庭300の利用が促進され得る。
次に、本実施形態の変形例としての階段室型の集合住宅51について説明する。図4は、集合住宅51の1階平面図である。この集合住宅51は、上述した集合住宅1と比較して、地上階において、階段室2と屋外共用部としての中庭300との間に、階段室2及び中庭300から視認可能な、少なくとも上部が覆われた接続空間部52を備える点で相違している。ここでは、主に相違点について説明し、上述した集合住宅1と共通する部分については説明を省略する。
接続空間部52は、少なくとも上部が覆われた共用部である。本実施形態の接続空間部52は、地上階において、階段室2と連続して配置されている。具体的に、接続空間部52は、階段室2と中庭300との間に、階段室2と連続して配置されている。
また、本実施形態の接続空間部52と中庭300とは、第2扉部34が設けられた南側壁20と、この南側壁20と直交して立設された東側壁53とにより仕切られている。この南側壁20及び東側壁53はいずれも透明部材により構成されているため、接続空間部52と中庭300との視覚的な一体性が確保されている。更に、図4に示す接続空間部52は、階段室2と連続した屋内共用部であり、階段室2、接続空間部52及び中庭300の連続性を確保することができる。このような接続空間部52は、図4に示すようなラウンジとして使用することができる。
なお、図4に示す接続空間部52は、南側壁20及び東側壁53に囲まれている構成であるが、この構成に限られるものではなく、例えば、第2扉部から中庭に向かって庇状部を設け、この庇状部により上部を覆われた半野外的な空間を接続空間部としてもよい。
更に、本発明の別の変形例としての階段室型の集合住宅61について説明する。図5は、集合住宅61の1階平面図である。この集合住宅61は、上述した集合住宅1、51と比較して、階段室と複数の住戸とを備える住棟が、住戸同士を連接させることにより複数連棟されている点等で主に相違している。以下、集合住宅61のうち、集合住宅1、51と相違する点について主に説明し、集合住宅1、51と共通する部分については説明を省略する。
階段室型の集合住宅61は、鉄骨造の3階建てであり、図5に示す1階の上部には基準階としての2階及び3階が位置している(不図示)。なお、図5において上方が北側であり、集合住宅61は、西側の道路100に面して立設されている。また、図5に示すように、集合住宅61の南東側には、屋外共用部としての中庭300が設けられている。図5において集合住宅61の周囲を囲む一点鎖線は、敷地200の境界を示している。なお、敷地200の東側、南側及び北側には不図示の建物が隣接している。
図5に示すように、集合住宅61は、2つの住棟600及び700を連棟することにより構成されている。具体的に、集合住宅61は、第1階段室2a及びこの第1階段室2aから出入り可能な複数の住戸を備える第1住棟600と、第2階段室2b及びこの第2階段室2bから出入り可能な複数の住戸を備える第2住棟700と、を備えている。
また、第1階段室2aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室2aの北側に位置する3つの北側住戸601(1階、2階及び3階の北側に1つずつ位置する住戸)は、同じ間取りで形成されている。更に、第1階段室2aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室2aの南側に位置する3つの南側住戸602(1階、2階及び3階の南側に1つずつ位置する住戸)についても、同じ間取りで形成されている。
同様に、第2階段室2bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室2bの西側に位置する3つの西側住戸701(1階、2階及び3階の西側に1つずつ位置する住戸)は、同じ間取りで形成されている。更に、第2階段室2bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室2bの東側に位置する3つの東側住戸702(1階、2階及び3階の東側に1つずつ位置する住戸)についても、同じ間取りで形成されている。
ここで、階段室型の集合住宅61は、第1住棟600と第2住棟700とが、境界となる一部の住戸の壁を共有又は連結することにより連棟されている。具体的には、第1住棟600の北側住戸601を区画する東側壁と、第2住棟700の西側住戸701を区画する西側壁とが共有の壁となっている。更に図5では、北側住戸601と西側住戸701とが、北側住戸601を区画する北側壁の外面と西側住戸701を区画する北側壁の外面とが略面一となるように連棟されている。例えば規格化されたユニットとしての住棟を本実施形態のように複数連棟させる構成とすれば、設計の容易化や部品のモジュール化などを通じて、階段室型の集合住宅の設計効率及び生産効率を高めることができる。なお、ここでは、住戸の壁を共有又は連結することを含む表現として「連接する」という表現を使用する。
図5に示す集合住宅61は、上述した第1住棟600及び第2住棟700を連棟することにより、敷地200内の南東側部分に中庭300を区画している。
そして、図5に示す集合住宅61は、上述した集合住宅1、51と同様、屋内共用部としての第1階段室2aと、少なくとも鉛直方向上方が開放された屋外共用部としての中庭300に居室が面する複数の住戸602、701及び702と、を備えている。より具体的には、南側住戸602の居室を区画する東側壁、西側住戸701の居室を区画する南側壁、及び東側住戸702の居室を区画する南側壁が、他の共用空間を介することなく中庭300に面している。更に、居室が中庭300に面する住戸のうち、3つの住戸から構成される南側住戸602それぞれは、第1階段室2aの対応する階から出入り可能であり、居室が中庭300に面する住戸のうち、3つの住戸から構成される西側住戸701及び3つの住戸から構成される東側住戸702それぞれは、第2階段室2bの対応する階から出入り可能である。
また、図5に示す第1階段室2aは、地上階としての1階にて外方である道路100から第1扉部33を介して出入り可能である。また、第1階段室2aは、1階にて中庭300から第2扉部34を介して出入り可能である。
一方で、第2階段室2bは、出入り口が設けられていない北側壁62により北側を区画され、出入り口63が設けられた南側壁64により南側が区画されている。したがって、第2階段室2bは、中庭300から出入り口63を介して出入り可能であるが、北側外方から出入りすることはできない。
なお、各階段室2a及び2bにおいて配置される階段の構成は、上述した集合住宅1における階段と同様であり、1階に直階段4a及び4bが配置され、2階に折り返し階段(不図示)が配置されている。
また、図5に示す集合住宅61は、西側の道路100に面して立設されており、南側、北側及び東側は道路に面しておらず、不図示の建物等と隣接した構成であるが、例えば、図6のように、2方向(図6では西側と北側)において道路100a及び100bと面して立設されていてもよい。かかる場合には、図6に示すように、第1階段室2a及び第2階段室2bの両方を、1階にて外方である道路100a及び100bから第1扉部33a及び33bを介して出入り可能とすることができる。また、第1階段室2a及び第2階段室2bの両方を、1階にて中庭300から第2扉部34a及び34bを介して出入り可能とすることができる。なお、図6におけるその他の構成は、図5に示す構成と同様である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態としての階段室型の集合住宅71について説明する。図7は、階段室型の集合住宅71の1階平面図である。図8(a)は集合住宅71の2階平面図である。また、図8(b)は集合住宅71の3階平面図である。この階段室型の集合住宅71は、鉄骨造の3階建てであり、図7に示す1階80aが地上階であり、図8(a)及び図8(b)に示す2階80b及び3階80cが基準階である。なお、図7及び図8において上方が北側であり、集合住宅71は、南側の道路100に面して立設されている。また、図7に示すように、道路100と集合住宅71との間には、屋外共用部としての中庭301が設けられている。図7において集合住宅71の周囲を囲む一点鎖線は、敷地200の境界を示している。この敷地200の北側、西側及び東側には、不図示の建物が隣接している。
図7及び図8に示すように、階段室型の集合住宅71は、屋内共用部としての共有玄関部72と、少なくとも鉛直方向上方が開放された屋外共用部としての中庭301に居室が面する複数の住戸73a〜73c、74a〜74c、75a〜75c及び76a〜76cと、を備えている。また、階段室型の集合住宅71は、共有玄関部72から中庭301を介して出入り可能な第1階段室77a及び第2階段室77bを更に備えている。
なお、上述した複数の住戸73a〜73c、74a〜74c、75a〜75c及び76a〜76cは、第1階段室77a又は第2階段室77bから出入り可能である。更に言えば、本実施形態では、全ての住戸73a〜73c、74a〜74c、75a〜75c及び76a〜76cが中庭301に面する居室を有しており、全ての住戸73a〜73c、74a〜74c、75a〜75c及び76a〜76cが第1階段室77a又は第2階段室77bから出入り可能である。
また、図7に示すように、本実施形態の第1階段室77a及び第2階段室77bは、扉を備える出入り口86及び91を介して中庭301に出入り可能であるが、道路100等の外方からは直接出入りすることができないようになっている。
更に、図7及び図8に示すように、集合住宅71は、2つの住棟603及び703を連棟することにより構成されている。具体的に、集合住宅71は、第1階段室77a及びこの第1階段室77aから出入り可能な複数の住戸を備える第1住棟603と、第2階段室77b及びこの第2階段室77bから出入り可能な複数の住戸を備える第2住棟703と、を備えている。
また、第1階段室77aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室77aの北側に位置する3つの北側住戸73a〜73c(1階、2階及び3階の北側に1つずつ位置する住戸)は、互いに同じ間取りで形成されている。更に、第1階段室77aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室77aの南側に位置する3つの南側住戸74a〜74c(1階、2階及び3階の南側に1つずつ位置する住戸)についても、互いに同じ間取りで形成されている。
同様に、第2階段室77bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室77bの北側に位置する3つの北側住戸75a〜75c(1階、2階及び3階の北側に1つずつ位置する住戸)は、互いに同じ間取りで形成されている。更に、第2階段室77bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室77bの南側に位置する3つの南側住戸76a〜76c(1階、2階及び3階の南側に1つずつ位置する住戸)についても、互いに同じ間取りで形成されている。
ここで、階段室型の集合住宅71は、第1住棟603と第2住棟703とが、境界となる一部の住戸の壁を共有又は連結することにより連棟されている。具体的には、第1住棟603の北側住戸73a〜73cを区画する東側壁と、第2住棟703の北側住戸75a〜75cを区画する西側壁とが共有の壁となっている。なお、第1住棟603の南側住戸74a〜74cと、第2住棟703の南側住戸76a〜76cとは、中庭301を挟んで東西に対向して配置されている。また、第1住棟603と第2住棟703とは、この共有の壁を挟んで東西に対称となるように設計されている。更に図7及び図8に示す集合住宅71は、第1住棟603の北側住戸73a〜73cと第2住棟703の北側住戸75a〜75cとが、それぞれの北側壁の外面が略面一となるように、連棟されている。
第1住棟603の第1階段室77aには、踊り場78を介して1階80aのフロアと2階80bのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、踊り場79を介して2階80bのフロアと3階80cのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、が設けられている。同様に、第2住棟703の第2階段室77bには、踊り場81を介して1階80aのフロアと2階80bのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、踊り場82を介して2階80bのフロアと3階80cのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、が設けられている。なお、上述した第1実施形態のように、第1階段室及び第2階段室それぞれの1階に直階段を配置し、2階に折り返し階段を配置するようにしてもよい。
また、第1階段室77aは、北側住戸73a〜73cの南側壁83、南側住戸74a〜74cの北側壁84、外方と通じる出入り口が設けられてない西側壁85、中庭301と通じる出入り口86が設けられている東側壁87、及び階段室屋根部により区画された屋内共用部である。同様に、第2階段室77bは、北側住戸75a〜75cの南側壁88、南側住戸76a〜76cの北側壁89、外方と通じる出入り口が設けられてない東側壁90、中庭301と通じる出入り口91が設けられている西側壁92、及び階段室屋根部により区画された屋内共用部である。
第1住棟603の各階には、第1階段室77aの各階フロアから出入り可能な2つの住戸が、第1階段室77aを挟んで南北に対向して配置されている。具体的に、第1住棟603の1階80aには、第1階段室77aの1階フロアから、第1階段室77aを区画する南側壁83及び北側壁84に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な北側住戸73a及び南側住戸74aが配置されている。同様に、第1住棟603の2階80bには、第1階段室77aの2階フロアから南側壁83及び北側壁84に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの北側住戸73b及び南側住戸74bが配置されている。更に、第1住棟603の3階80cには、第1階段室77aの3階フロアから、南側壁83及び北側壁84に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの北側住戸73c及び南側住戸74cが配置されている。
第2住棟703の各階には、第2階段室77bの各階フロアから出入り可能な2つの住戸が、第2階段室77bを挟んで南北に対向して配置されている。具体的に、第2住棟703の1階80aには、第2階段室77bの1階フロアから、第2階段室77bを区画する南側壁88及び北側壁89に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な北側住戸75a及び南側住戸76aが配置されている。同様に、第2住棟703の2階80bには、第2階段室77bの2階フロアから南側壁88及び北側壁89に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの北側住戸75b及び南側住戸76bが配置されている。更に、第2住棟703の3階80cには、第2階段室77bの3階フロアから、南側壁88及び北側壁89に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの北側住戸75c及び南側住戸76cが配置されている。
各住戸を区画する外壁の外面には、外方と通ずる少なくとも2つの開口部が設けられている。特に、各住戸の外壁面には、中庭301を視認可能な開口部が形成されている。具体的に、第1住棟603の北側住戸73a〜73cには、中庭301と面する居室に中庭301を視認可能な南側開口部93が設けられている。第1住棟603の南側住戸74a〜74cには、中庭301と面する居室に中庭301を視認可能な東側開口部94が設けられている。第2住棟703の北側住戸75a〜75cには、中庭301と面する居室に中庭301を視認可能な南側開口部95が設けられている。第2住棟703の南側住戸76a〜76cには、中庭301と面する居室に中庭301を視認可能な西側開口部96が設けられている。なお、開口部93〜96には、例えばヒンジ式の窓や掃き出し窓等のスライド式の窓を設けることができる。
ここで、本実施形態の階段室型の集合住宅71では、連棟された第1住棟603及び第2住棟703により、屋外共用部としての中庭301が区画されている。具体的に、中庭301は、第1住棟603の南側住戸74a〜74cの東側壁97、第1階段室77aの東側壁87、第1住棟603の北側住戸73a〜73cの南側壁83のうち第1階段室77aよりも東側に突出している部分、第2住棟703の北側住戸75a〜75cの南側壁88のうち第2階段室77bよりも西側に突出している部分、第2階段室77bの西側壁92、及び第2住棟703の南側住戸76a〜76cの西側壁98により囲まれた部分に形成されている。
更に、図7及び図8(a)に示すように、本実施形態の集合住宅71は、道路100と中庭301との間に位置する屋内共用部としての共有玄関部72を備えている。共有玄関部72は、中庭301の道路100側(本実施形態では南側)に設けられており、道路100と面して立設されている。また、この共有玄関部72は、周囲が壁面に囲まれており、この周囲の壁面には、道路100から出入り可能な第1扉部110と、中庭301から出入り可能な第2扉部111と、が設けられている。
より具体的に、本実施形態の共有玄関部72は、第1扉部110が設けられ、道路100と面して立設されている南側壁112と、第2扉部111が設けられ、南側壁112と対向した位置に平行して立設された北側壁113と、平面視(図7参照)において南側壁112及び北側壁113と直交するように立設された西側壁114と、第2住棟703の南側住戸76a〜76cの西側壁98と、屋根部115(図8(b)参照)と、により区画されている。
住人や来訪者は、第1扉部110を通じて道路100から共有玄関部72内に入ると共に、第2扉部111を通じて中庭301に出ることができる。そして、中庭301に出た住人等は、中庭301を通って第1階段室77aや第2階段室77bにアクセスし、そこから各住戸へと行くことができる。換言すれば、本実施形態の第1階段室77a及び第2階段室77bは、共有玄関部72から中庭301を介して出入り可能であると共に、中庭301に面した居室を有する住戸73a〜73c、74a〜74c、75a〜75c及び76a〜76cに対して出入り可能となっている。
このように、共有玄関部72を中庭301に対して道路100側に配置し、中庭301の少なくとも一部と道路100との間を共有玄関部72により仕切ることで、道路100側から中庭301への視線を制御でき、中庭301のプライバシー性や防犯性を向上させることができる。また、中庭301から各住戸へのアクセスは、第1階段室77a又は第2階段室77bを介して行われるため、各住戸の住人間でのプライバシー性についても確保することができる。
更に、道路100から各住戸へは、共有玄関部72から中庭301を通過し、第1階段室77a又は第2階段室77bを介してアクセスするため、中庭301が住人同士のコミュニティ形成の場として機能し易い。また、各住戸の居室から中庭301を視認することができるため、住人による中庭301の利用が促進され易い。
また、共有玄関部72自体を住人同士がコミュニケーションをとり易いラウンジ等にすれば、共有玄関部72を中庭301と同様、コミュニティ形成の場として活用することできる。更に、共有玄関部72には、地上階の高さ(本実施形態では1階80aの高さ)以上の吹き抜け空間116が形成されている(図8(a)参照)。これにより、共有玄関部72内での開放感を向上させることができる。また更に、本実施形態の共有玄関部72は道路100に面して配置されていると共に、共有玄関部72を区画する南側壁112及び北側壁113が、ガラス等の透明部材を用いて構成されている。そのため、道路100から共有玄関部72内、更には共有玄関部72を通じて中庭301までを視通することができる。このような構成とすれば、共有玄関部72自体の意匠性向上のみならず、道路100側から共有玄関部72の奥にある中庭301の存在をも強調することができるため、道路100から何も介さずに中庭301が視認できる構成と比較して、道路100側から見た集合住宅71全体の意匠性をも向上させることができる。
なお、本実施形態の共有玄関部72は、道路100と中庭301との間を完全には分離しておらず、道路100と中庭301との間に共有玄関部72が介在しない部分も存在している(図7の中庭301の南西部分)。本実施形態では、当該部分に関してもスライド式の防犯扉180が設けられているため、中庭301のプライバシー性及び防犯性がより高められている。
また、共有玄関部72と防犯扉180とにより道路100と中庭301とを仕切る構成に限られるものではなく、例えば、防犯扉180を用いずに、共有玄関部72によって道路100と中庭301との間を完全に仕切るようにしてもよい。かかる場合には、例えば、共有玄関部72を区画の西側壁114を、第1住棟603の南側住戸74aの東側壁97と共有とする構成とすればよい。
なお、本実施形態の共有玄関部72は、地上階において、中庭301に面する居室を有する住戸のうち、第2住棟703の南側住戸76aと連接されている。このように、共有玄関部72が、地上階において、中庭301に面する居室を有する住戸のうち少なくとも1つと連接された構成とすれば、共有玄関部72と、連棟された第1住棟603及び第2住棟703と、の一体性を高めることができ、階段室型の集合住宅71全体の意匠性を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態としての階段室型の集合住宅121について説明する。図9は、階段室型の集合住宅121の1階平面図である。図10(a)は集合住宅121の2階平面図である。また、図10(b)は集合住宅121の3階平面図である。この階段室型の集合住宅121は、鉄骨造の3階建てであり、図9に示す1階150aが地上階であり、図10(a)及び図10(b)に示す2階150b及び3階150cが基準階である。なお、図9及び図10において上方が北側であり、集合住宅121は、西側の道路100に面して立設されている。また、図9に示すように、集合住宅121の南側には、屋外共用部としての中庭302が設けられている。図9において集合住宅121の周囲を囲む一点鎖線は、敷地200の境界を示している。敷地200の東側、南側及び北側には、不図示の建物が隣接している。
本実施形態としての集合住宅121は、上述した第2実施形態としての集合住宅71と比較して、屋内共用部としての共有玄関部が、1つの住棟の地上階の一部として形成されている点が主に相違している。以下、本実施形態の集合住宅121について詳細に説明する。
図9及び図10に示すように、階段室型の集合住宅121は、屋内共用部としての共有玄関部122と、少なくとも鉛直方向上方が開放された屋外共用部としての中庭302に居室が面する複数の住戸123b及び123c、124a〜124c、125a〜125c並びに126a〜126cと、を備えている。つまり、本実施形態では、図9に示す住戸123aのみが、中庭302に面する居室を有していない。
また、階段室型の集合住宅121は、共有玄関部122から中庭302を介して出入り可能な第1階段室127a及び第2階段室127bを更に備えている。
なお、上述した中庭302に面する居室を有する住戸123b及び123c、124a〜124c、125a〜125c並びに126a〜126cは、第1階段室127a又は第2階段室127bから出入り可能である。更に言えば、本実施形態では、全ての住戸123a〜123c、124a〜124c、125a〜125c及び126a〜126cが第1階段室127a又は第2階段室127bから出入り可能である。
また、図9に示すように、本実施形態の第1階段室127a及び第2階段室127bは、扉を備える出入り口136及び141を介して中庭302に出入り可能であるが、道路100等の外方からは直接出入りすることができないようになっている。
更に、図9及び図10に示すように、集合住宅121は、2つの住棟604及び704を連棟することにより構成されている。具体的に、集合住宅121は、第1階段室127a及びこの第1階段室127aから出入り可能な複数の住戸を備える第1住棟604と、第2階段室127b及びこの第2階段室127bから出入り可能な複数の住戸を備える第2住棟704と、を備えている。
また、第1階段室127aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室127aの西側に位置する3つの西側住戸123a〜123c(1階、2階及び3階の西側に1つずつ位置する住戸)は、2階150bの西側住戸123bと3階150cの西側住戸123cとが同じ間取りであるが、1階150aの一部に共有玄関部122が形成されているため、1階150aの西側住戸123aのみが異なる間取りとなっている。第1階段室127aから出入り可能な複数の住戸のうち、第1階段室127aの東側に位置する3つの東側住戸124a〜124c(1階、2階及び3階の東側に1つずつ位置する住戸)については、互いに同じ間取りで形成されている。
第2階段室127bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室127bの西側に位置する3つの西側住戸125a〜125c(1階、2階及び3階の西側に1つずつ位置する住戸)は、互いに同じ間取りで形成されている。また、第2階段室127bから出入り可能な複数の住戸のうち、第2階段室127bの東側に位置する3つの東側住戸126a〜126c(1階、2階及び3階の東側に1つずつ位置する住戸)についても、互いに同じ間取りで形成されている。
ここで、階段室型の集合住宅121は、第1住棟604と第2住棟704とが、境界となる一部の住戸の壁を共有又は連結することにより連棟されている。具体的には、第1住棟604の東側住戸124a〜124cを区画する東側壁と、第2住棟704の西側住戸125a〜125cを区画する西側壁とが共有の壁となっている。なお、図9及び図10では、全住戸123a〜123c、124a〜124c、125a〜125c及び126a〜126cの北側壁の外面が略面一となるように、第1住棟604及び第2住棟704とが連棟されている。
第1住棟604の第1階段室127aには、踊り場128を介して1階150aのフロアと2階150bのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、踊り場129を介して2階150bのフロアと3階150cのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、が設けられている。同様に、第2住棟704の第2階段室127bには、踊り場131を介して1階150aのフロアと2階150bのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、踊り場132を介して2階150bのフロアと3階150cのフロアとを繋ぐ折り返し階段と、が設けられている。なお、上述した第1実施形態のように、第1階段室及び第2階段室それぞれの1階に直階段を配置し、2階に折り返し階段を配置するようにしてもよい。
また、第1階段室127aは、西側住戸123a〜123cの東側壁133、東側住戸124a〜124cの西側入り隅壁(第1階段室127aから見た場合が入り隅)134、中庭302と通じる出入り口136が設けられている南側壁137、及び階段室屋根部により区画された屋内共用部である。同様に、第2階段室127bは、西側住戸125a〜125cの東側入り隅壁(第2階段室127bから見た場合が入り隅)138、東側住戸126a〜126cの西側壁139、中庭302と通じる出入り口141が設けられている南側壁142、及び階段室屋根部により区画された屋内共用部である。
第1住棟604の各階には、第1階段室127aの各階フロアから出入り可能な2つの住戸が、第1階段室127aを挟んで東西に対向して配置されている。具体的に、第1住棟604の1階150aには、第1階段室127aの1階フロアから、第1階段室127aを区画する東側壁133及び西側入り隅壁134に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な西側住戸123a及び東側住戸124aが配置されている。同様に、第1住棟604の2階150bには、第1階段室127aの2階フロアから東側壁133及び西側入り隅壁134に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸123b及び東側住戸124bが配置されている。更に、第1住棟604の3階150cには、第1階段室127aの3階フロアから、東側壁133及び西側入り隅壁134に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸123c及び東側住戸124cが配置されている。
第2住棟704の各階には、第2階段室127bの各階フロアから出入り可能な2つの住戸が、第2階段室127bを挟んで東西に対向して配置されている。具体的に、第2住棟704の1階150aには、第2階段室127bの1階フロアから、第2階段室127bを区画する東側入り隅壁138及び西側壁139に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な西側住戸125a及び東側住戸126aが配置されている。同様に、第2住棟704の2階150bには、第2階段室127bの2階フロアから東側入り隅壁138及び西側壁139に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸125b及び東側住戸126bが配置されている。更に、第2住棟704の3階150cには、第2階段室127bの3階フロアから、東側入り隅壁138及び西側壁139に設けられた玄関扉を備える出入り口を介して出入り可能な2つの西側住戸125c及び東側住戸126cが配置されている。
第1住棟604の1階150aにおける西側住戸123aを除く各住戸の外壁面には、中庭302を視認可能な開口部が形成されている。具体的に、第1住棟604の西側住戸123b及び123cには、中庭302と面する居室に中庭302を視認可能な東側開口部143が設けられている。第1住棟604の東側住戸124a〜124cには、中庭302と面する居室に中庭302を視認可能な南側開口部144が設けられている。第2住棟704の西側住戸125a〜125cには、中庭302と面する居室に中庭302を視認可能な南側開口部145が設けられている。第2住棟704の東側住戸126a〜126cには、中庭302と面する居室に中庭302を視認可能な西側開口部146が設けられている。なお、開口部143〜146には、例えばヒンジ式の窓やスライド式の掃き出し窓などを設けることができる。また、開口部の外にロッジア等のベランダを設けてもよい。
ここで、本実施形態の階段室型の集合住宅121では、連棟された第1住棟604及び第2住棟704により、屋外共用部としての中庭302が区画されている。具体的に、中庭302は、第1住棟604の共有玄関部122、第1住棟604の西側住戸123b〜123c、第1階段室127a、第1住棟604の東側住戸124a〜124c、第2住棟704の西側住戸125a〜125c、第2階段室127b、及び第2住棟704の東側住戸126a〜126cに面して形成されている。
本実施形態では、第1住棟604の1階150aに、西側住戸123aの南側に連接された屋内共用部としての共有玄関部122が設けられている。換言すれば、共有玄関部122の上部には、中庭302に面する居室を有する住戸である西側住戸123b及び123cが位置しており、この共有玄関部122は、第1住棟604の一部として形成されている。
共有玄関部122は、図9に示すように、道路100と中庭302との間で道路100に面して位置している。また、この共有玄関部122は、周囲が壁面に囲まれており、この周囲の壁面には、道路100から出入り可能な第1扉部147と、中庭302から出入り可能な第2扉部148と、が設けられている。
より具体的に、本実施形態の共有玄関部122は、第1扉部147が設けられ、道路100と面して立設されている西側壁149と、第2扉部148が設けられ、西側壁149と対向した位置に平行して立設された東側壁151と、平面視(図9参照)において西側壁149及び東側壁151と直交するように立設された南側壁152と、第1住棟604の西側住戸123aの南側壁153と、第1住棟604の2階150bにおける西側住戸123bの床部154(図10(b)参照)と、により区画されている。
住人や来訪者は、第1扉部147を通じて道路100から共有玄関部122内に入ると共に、第2扉部148を通じて中庭302に出ることができる。そして、中庭302に出た住人等は、中庭302を通って第1階段室127aや第2階段室127bにアクセスし、そこから各住戸へと行くことができる。換言すれば、本実施形態の第1階段室127a及び第2階段室127bは、共有玄関部122から中庭302を介して出入り可能であると共に、中庭302に面した居室を有する住戸123b及び123c、124a〜124c、125a〜125c並びに126a〜126cに対しても出入り可能となっている。
なお、本実施形態の共有玄関部122は、道路100と中庭302との間を完全には分離しておらず、道路100と中庭302との間に共有玄関部122が介在しない部分も存在している(図9の共有玄関部122よりも南側部分)。本実施形態では、当該部分に関しても、ヒンジ式の防犯扉155が設けられた仕切壁156が配置されているため、中庭302のプライバシー性及び防犯性がより高められている。
また、共有玄関部122と仕切壁156とにより道路100と中庭302とを仕切る構成に限られるものではなく、例えば、仕切壁を用いずに、共有玄関部122によって道路100と中庭302との間を完全に仕切るようにしてもよい。
本実施形態のように、屋内共用部としての共有玄関部122を、屋外共用部としての中庭302に面する居室を有する住戸の下部に設ける配置とすれば、上述した第2実施形態としての集合住宅71と同様、住人同士のコミュニティ形成の促進効果や防犯性が期待できると共に、第2実施形態としての集合住宅71よりも、より一体的で統一感を有する集合住宅121とすることができる。なお、本実施形態においても、共有玄関部122を区画する西側壁149及び東側壁151は、ガラス等の透明部材を用いて構成されており、道路100から共有玄関部122を通じて中庭302まで視通することが可能となっている。
本発明に係る階段室型の集合住宅は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲で記載された内容を逸脱しない範囲で、様々な構成により実現することが可能である。例えば、階段室、階段室から出入り可能な住戸及び屋外共用部の位置関係についても、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更可能である。また、各住戸の間取りや共用部の間取りや集合住宅の外壁形状についても、適宜設計可能である。更に、上述した実施形態では、1つ又は2つの階段室を備える階段室型の集合住宅を示したが、3つ以上の住棟を連接させる等して、3つ以上の階段室を備える階段室型の集合住宅とすることもできる。また更に、4階以上の階段室型の集合住宅とすることもできる。