以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、子世帯と親世帯とが居住する二世帯住宅について具体化している。なお、図1は二世帯住宅を示す斜視図であり、図2は正面図であり、図3は背面図である。
図1〜図3に示すように、二世帯住宅10は、一階部分11と二階部分12と三階部分13とを有する三階建てとなっている。二世帯住宅10は、子世帯が居住する第1建物部15と、親世帯が居住する第2建物部16とを備える。第1建物部15は、一階部分11、二階部分12及び三階部分13を有する三階建てとなっている。それに対し、第2建物部16は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建てとなっている。なお、子世帯が第1世帯に相当し、親世帯が第2世帯に相当する。
第1建物部15の一階部分11には、子世帯用の玄関口21が形成されている。玄関口21の屋外側には玄関ポーチ56が設けられており、その玄関ポーチ56より玄関口21を通じて二世帯住宅10(第1建物部15)への出入りを行うことが可能となっている。また、玄関口21には、玄関ドア22が設けられている。一方、第2建物部16の一階部分11には、親世帯用の玄関口23が形成されている。玄関口23の屋外側には玄関ポーチ66が設けられており、その玄関ポーチ66より玄関口23を通じて二世帯住宅10(第2建物部16)への出入りを行うことが可能となっている。また、玄関口23には、玄関ドア24が設けられている。
このように、本二世帯住宅10では、子世帯及び親世帯にそれぞれ個別に玄関口21,23が設定され、それにより各世帯間のプライバシが確保されている。また、これらの玄関口21,23はいずれも二世帯住宅10の北面に設けられている。したがって、本二世帯住宅10では、住宅10の北面が住宅正面となっている。なお、図示は省略するが、住宅10の北面側(正面側)には、住宅10が建てられた敷地に隣接して道路が設けられている。
第1建物部15と第2建物部16とは互いに離間しかつ対向して配置されている。第1建物部15と第2建物部16との間には中間建物部17が設けられている。中間建物部17は、二階部分12及び三階部分13を有しており、第1建物部15と第2建物部16とを互いに連結した状態で設けられている。
第1建物部15と第2建物部16との間において中間建物部17の下方には、車両を駐車可能なインナガレージ26(カーポート)が設けられている。インナガレージ26は、2台分の車両を横並びで駐車可能な幅を有する駐車スペース27を備える。インナガレージ26には、第1建物部15と第2建物部16とが対向する対向方向(以下、この方向を第1方向Xという)の両側面部にそれぞれガレージ側壁28が設けられている。また、インナガレージ26には、その天井部にガレージ天井29が設けられている。この場合、これら各ガレージ側壁28及びガレージ天井29により囲まれた内側空間により駐車スペース27が形成されている。
インナガレージ26には、第1方向Xと直交する方向(以下、この方向を第2方向Yという)の両側面にそれぞれ開口部が形成されている。これらの開口部により駐車スペース27は第2方向Yの両側においてそれぞれ屋外に開放されている。それらの開口部のうち住宅正面側の開口部は車両出入口31となっている。この車両出入口31を通じてインナガレージ26(駐車スペース27)への車両や人の出入りが可能となっている。なお、この場合、インナガレージ26への車両の出入り方向は第2方向Yとなる。また、本実施形態では、第1方向Xが東西方向、第2方向Yが南北方向となっている。
続いて、二世帯住宅10の平面視形状について説明する。
図1に示すように、二世帯住宅10は、平面視において略H字状をなすように形成されている。二世帯住宅10において、第1建物部15と第2建物部16と中間建物部17とはいずれも平面視矩形形状をなしている。第1建物部15と第2建物部16とはいずれも第2方向Yに長い長方形状をなしており、その第2方向Yの長さが中間建物部17の第2方向Yの長さよりも長くなっている。また、第1建物部15と第2建物部16とは、その平面視の大きさ及び形状がいずれも同じとなっている。
中間建物部17は、第1建物部15と第2建物部16との間の中間領域Kにおいてその第2方向Yの中間部、より詳しくは中央部に配置されている。この場合、第1建物部15は、その一部が第2方向Yにおける住宅正面側(北側)に中間建物部17よりも張り出した張出部33aとなっており、またその一部が第2方向Yにおける住宅裏面側(南側)に中間建物部17よりも張り出した張出部33bとなっている。これと同様に、第2建物部16も、その一部が第2方向Yにおける住宅正面側(北側)に中間建物部17よりも張り出した張出部34aとなっており、またその一部が第2方向Yにおける住宅裏面側(南側)に中間建物部17よりも張り出した張出部34bとなっている。
なお、第1建物部15の張出部33aと第2建物部16の張出部34aとがそれぞれ第1張出部に相当し、第1建物部15の張出部33bと第2建物部16の張出部34bとがそれぞれ第2張出部に相当する。
このように、第1建物部15及び第2建物部16に張出部33a,33b,34a,34bが設けられていることで、第2方向Yにおける中間建物部17を挟んだ両側にはそれぞれ凹状空間36,37が形成されている(図8も参照)。凹状空間36は、互いに対向する第1建物部15及び第2建物部16の各張出部33a,34aと中間建物部17とにより囲まれた内側空間により形成されている。また、凹状空間37は、互いに対向する第1建物部15及び第2建物部16の各張出部33b,34bと中間建物部17とにより囲まれた内側空間により形成されている。
ここで、本実施形態では、二世帯住宅10が複数の建物ユニット40からなるユニット式建物により構築されている。ユニット式建物では、各建物ユニット40が予め製造工場において製造され、それら製造された各建物ユニットがトラック等を用いて施工現場へ搬送される。そして、施工現場において、それら各建物ユニット40が所定位置に設置されるとともに互いに連結されることにより構築されるものとなっている。そこで、以下では、ユニット式建物に関する構成について説明する。
まず、建物ユニット40の構成について図5を用いながら説明する。図5は、建物ユニット40の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、建物ユニット40は、その四隅に配設される4本の柱41と、各柱41の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁42及び床大梁43とを備えている。そして、それら柱41、天井大梁42及び床大梁43により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱41は四角筒状の角形鋼よりなり、天井大梁42及び床大梁43は断面コ字状の溝形鋼よりなる。
建物ユニット40の長辺部の相対する天井大梁42の間には、所定間隔で複数の天井小梁45が架け渡されている。同じく建物ユニット40の長辺部の相対する床大梁43の間には、所定間隔で複数の床小梁46が架け渡されている。天井小梁45と床小梁46とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁45はリップ溝形鋼よりなり、床小梁46は角形鋼よりなる。
続いて、二世帯住宅10を構成する各建物ユニット40の配置構成について図4を用いながら説明する。図4において(a)は建物ユニット40の配置構成を示す平面図であり、(b)が正面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、第1建物部15では、一階部分11、二階部分12及び三階部分13にそれぞれ複数(具体的には5つ)の建物ユニット40が第2方向Yに並べて配置されている。この場合、各階部分11〜13において、各建物ユニット40はその短手方向(詳しくは平面視短手方向)を第2方向Yに向けて並べられている。第2建物部16では、一階部分11及び二階部分12にそれぞれ複数(具体的には5つ)の建物ユニット40が第2方向Yに並べて配置されている。この場合、各階部分11,12において、各建物ユニット40はその短手方向(詳しくは平面視短手方向)を第2方向Yに向けて並べられている。
なお、第1建物部15の各階部分11〜13における建物ユニット40の配置態様(ユニット配置態様)と、第2建物部16の各階部分11,12におけるユニット配置態様とはいずれも同じとされている。
中間建物部17では、二階部分12及び三階部分13にそれぞれ複数(具体的には2つ)の建物ユニット40が第2方向Yに並べて配置されている。この場合、各階部分12,13では、それら各建物ユニット40がその短手方向(詳しくは平面視短手方向)を第2方向Yに向けて並べられている。これら中間建物部17の建物ユニット40は、第1建物部15の建物ユニット40と第2建物部16の建物ユニット40との間に架け渡されて、それら両建物部15,16の建物ユニット40同士を連結している。また、中間建物部17の各建物ユニット40はその平面視における長手方向の長さが第1建物部15及び第2建物部16の各建物ユニット40よりも長くなっている。
中間建物部17の下方には、インナガレージ26を構成する建物ユニット40(以下、ガレージユニット40aという)が設けられている。ガレージユニット40aは、中間建物部17を構成する(二階部分12の)各建物ユニット40の下方にそれぞれ配置されている。これらのガレージユニット40aはそれぞれその上方に隣接する中間建物部17の建物ユニット40と同じ大きさからなる。
ガレージユニット40aは、その構成が通常の建物ユニット40(図5参照)と一部相違しており、図6にはそのガレージユニット40aの構成が示されている。同図6に示すように、ガレージユニット40aは、通常の建物ユニット40と同様に、その四隅に4本の柱41を備え、天井側に天井大梁42及び天井小梁45を備える。その一方で、ガレージユニット40aは、床側の構成が通常の建物ユニット40と相違している。すなわち、建物ユニット40では床側に4本の床大梁43が設けられているのに対し、ガレージユニット40aでは、長辺側の床大梁43が設けられておらず、短辺側の床大梁43のみ設けられている。したがって、ガレージユニット40aでは、床小梁46も設けられていない。
図4に戻り、各ガレージユニット40aは、その短手方向を第2方向Yに向けて配置されている。この場合、これらのガレージユニット40aに長辺側の床大梁43及び床小梁46が設けられていないことで、それら各ガレージユニット40aにより第2方向Yの両側にて開口された上記インナガレージ26(駐車スペース27)が形成されている。また、各ガレージユニット40aは、第1建物部15の建物ユニット40と第2建物部16の建物ユニット40とを互いに連結しているとともに、上方に配置された中間建物部17を下方から支持している。これにより、インナガレージ26上方に中間建物部17が構築された上記の構成にあって、耐震性等に優れた安定した建物構造を実現できる。
なお、ガレージユニット40aには、その両側面部にそれぞれ壁面材が取り付ける等してガレージ側壁28が形成され、天井部に天井面材が取り付ける等してガレージ天井29が形成されている。
次に、二世帯住宅10の間取りについて説明する。まず、二世帯住宅10の一階部分11の間取りについて図7を用いながら説明する。図7は、一階部分11の間取りを示す平面図である。
図7に示すように、二世帯住宅10の一階部分11において、第1建物部15側には、子世帯の居住空間(第1居住空間に相当)として、玄関51と廊下52と寝室53とトイレ54とが設けられている。玄関51は、玄関口21を介して玄関ポーチ56に隣接している。玄関51には、玄関ポーチ56(ひいては屋外)より玄関口21を介して出入り可能となっている。
廊下52は、玄関51に隣接しているとともに、寝室53やトイレ54に通じている。また、廊下52は、二階部分12へ延びる階段57にも通じており、その階段57は廻り階段からなる。寝室53は、第1建物部15において住宅裏面側(南側)の張出部33bに形成されている。
一階部分11において、第2建物部16側の間取りは概ね第1建物部15側と同じとされている。すなわち、第2建物部16側には、親世帯の居住空間(第2居住空間に相当)として、玄関61と廊下62と寝室63とトイレ64とが設けられている。玄関61には、玄関口23を介して玄関ポーチ66(ひいては屋外)より出入りが可能となっており、その玄関61には寝室63、トイレ64及び階段67に通じる廊下62が隣接している。階段67は、二階部分12に通じる廻り階段からなる。階段67は、その傾斜(勾配)が第1建物部15(子世帯)の階段57よりも緩やかとなっている。そのため、高齢な親世帯にとって二階部分12への昇降がし易くなっている。また、寝室63は、第2建物部16において住宅裏面側(南側)の張出部34bに形成されている。
一階部分11において第1建物部15と第2建物部16との間の中間領域Kにはインナガレージ26が設けられている。中間領域Kにおいてインナガレージ26よりも住宅裏面側にはテラス69が設けられている。テラス69は、屋外にウッドデッキが敷設されることにより形成された床上空間となっており、第1建物部15の寝室53と第2建物部16の寝室63との間に配置されている。第1建物部15には、寝室53からテラス69に出入りするための出入口71が設けられ、その出入口71には開閉扉72が設けられている。また、第2建物部16には、寝室63からテラス69に出入りするための出入口73が設けられ、その出入口73には開閉扉74が設けられている。これにより、インナガレージ26からテラス69を経由して各寝室53,63へ出入りすることが可能となっている。
続いて、二世帯住宅10の二階部分12の間取りについて図8を用いながら説明する。図8は、二階部分12の間取りを示す平面図である。
図8に示すように、二階部分12において第1建物部15側には、子世帯の居住空間(第1居住空間に相当)として、居室76,77と廊下78とが設けられている。各居室76,77はいずれも子供部屋として利用されている。居室76は、第1建物部15において張出部33aに形成され、居室77は張出部33bに形成されている。廊下78は、各居室76,77の間に設けられ、それら各居室76,77にそれぞれ通じている。また、廊下78は、一階部分11へ延びる階段57に通じているとともに、三階部分13に延びる階段79にも通じている。これらの階段57,79はいずれも第2方向Yにおいて中間建物部17と同位置に配置されている。
二階部分12において第2建物部16側には、親世帯の居住空間(第2居住空間に相当)として、キッチン81とダイニング82とトイレ83と浴室84と洗面室85と廊下86とが設けられている。キッチン81及びダイニング82は、第2建物部16の張出部34bに形成されている。ダイニング82は、キッチン81に対して第2方向Yの中央寄りに配置され、その一部が中間建物部17と隣接している。
廊下86は、ダイニング82を挟んでキッチン81とは反対側に配置されている。廊下86は、トイレ83と浴室84と洗面室85とにそれぞれ通じており、また一階部分11へ延びる階段67にも通じている。階段67は、第2方向Yにおいて中間建物部17と同位置に配置されている。したがって、この階段67と、第1建物部15の各階段57,79とは平面視において中間建物部17と第1方向Xに並んで配置されている。
二階部分12において中間建物部17には、子世帯と親世帯とが共用する共用リビング90が設けられている。共用リビング90は、子世帯と親世帯との共用スペースとなっており、子世帯と親世帯とがコミュニケーション(交流)を図れる場となっている。共用リビング90には、ソファ91やテーブル92等が設けられている。また、共用リビング90は、中間建物部17の二階部分12全域に跨がって形成されている。
共用リビング90には、第1建物部15からも第2建物部16からも出入りが可能となっている。共用リビング90は、第1建物部15の廊下78と隣接している。共用リビング90と廊下78との間には出入口94が設けられ、その出入口94を通じて廊下78から共用リビング90への出入りが可能となっている。また、出入口94には、開き戸からなるドア95が設けられている。
共用リビング90は、第2建物部16のダイニング82と隣接している。共用リビング90とダイニング82との間には出入口96が設けられ、その出入口96を通じてダイニング82から共用リビング90への出入りが可能となっている。また、出入口96には、引き戸からなるドア97が設けられている。
共用リビング90は、第2建物部16の廊下86と隣接している。共用リビング90と廊下86との間には出入口98が設けられ、その出入口98を通じて廊下86から共用リビング90への出入りが可能となっている。また、出入口98には、開き戸からなるドア99が設けられている。
このように、第2建物部16から共用リビング90への出入口96,98は2つ設けられている。この場合、親世帯が一階部分11から階段67を昇って共用リビング90へ移動する場合には、廊下86側の出入口98より共用リビング90に入ることになる。また、親世帯がダイニング82へ移動する際には、共用リビング90を経由して出入口96よりダイニング82に入ることになる。また、親世帯がダイニング82に子世帯をよんで一緒に食事をする際には、子世帯は共用リビング90を経由して出入口96よりダイニング82に入ることができる。そのため、各世帯がダイニング82で食事をとりながら交流を図る上で好都合な間取りとなっている。
第2方向Yにおいて共用リビング90を挟んだ両側にはそれぞれ外壁部101,102が設けられている。外壁部101,102は、第1方向Xに延びるように形成され、第1建物部15と第2建物部16とに跨がって設けられている。これらの外壁部101,102はいずれも共用リビング90を屋外と仕切っており、以下においては、これら外壁部101,102に関する構成について説明する。なお、各外壁部101,102のうち、外壁部101が住宅正面側(北側)に配置され、外壁部102が住宅裏面側(南側)に配置されている。
住宅正面側の外壁部101には、図2に示すように、共用リビング90と屋外とを連通する開口部104が形成されている。開口部104は、矩形形状をなしており、その開口面積が外壁部101の壁面積(幅寸法×高さ寸法)の半分以上とされた大開口となっている。詳しくは、開口部104は、その高さ寸法が共用リビング90における床面から天井面までの高さ(天井高さ)と略同じとなっている。また、開口部104は、その幅寸法が外壁部101の幅寸法の3/4以上とされている。
なお、外壁部101に、上記のような大開口(開口部104)が形成されている壁構成にあっても、本二世帯住宅10は鉄骨ラーメン構造によるユニット式建物より構築されているため、耐震強度を確保しながら大開口を形成することが可能となっている。
開口部104にはサッシ枠106が配設されており、そのサッシ枠106の内側にはガラス窓107,108が取り付けられている。サッシ枠106は、開口部104において横並びで2つ配設されている。それら各サッシ枠106にはそれぞれその中間高さに横枠材106aが配設され、その横枠材106aによりサッシ枠106の内側領域が上下に二分されている。そして、それら二分された各領域のうち上側の領域に引き違い窓からなるガラス窓107が取り付けられ、下側の領域にはめ殺し窓からなるガラス窓108が取り付けられている。
また、図3に示すように、住宅裏面側の外壁部102にも、上記外壁部101と同様に、共用リビング90と屋外とを連通する開口部109が形成されている。開口部109は、その構成が外壁部101の開口部104と同じとなっており、その開口部109にはサッシ枠106とガラス窓107,108とが取り付けられている。これらの部材106〜108は、外壁部101の開口部104に取り付けられたものと同じ部材であるため、ここでは同一の符号を付して説明を省略する。要するに、本二世帯住宅10では、共用リビング90を挟んで対向する各外壁部101,102の構成がいずれも同じ構成となっている。
なお、外壁部101では、(4つの)各ガラス窓107,108により窓領域が構成されている。この場合、窓領域の面積(4つのガラス窓107,108の総面積)は外壁部101の面積の半分以上を占めている。また、外壁部102では、(4つの)各ガラス窓107,108により窓領域が構成されている。この場合、窓領域の面積(4つのガラス窓107,108の総面積)は外壁部102の面積の半分以上を占めている。
このように、各外壁部101,102においてそれぞれガラス窓107,108が広範囲に亘って配設されている(換言すると、窓領域が広範囲に亘って形成されている)ため、ガラス窓107,108を介して共用リビング90へ多くの外光を取り込むことが可能となっている。また、ガラス窓107については開け閉め可能な引き違い窓からなるため、ガラス窓107を開けることで共用リビング90に風を取り込むことが可能となっている。特に、両外壁部101,102のガラス窓107を開けば、共用リビング90において風を通過させることが可能となる。よって、この場合、共用リビング90を明るく風通しのよい快適な空間とすることができる。
続いて、二世帯住宅10の三階部分13の間取りについて図9を用いながら説明する。図9は、三階部分13の間取りを示す平面図である。
図9に示すように、三階部分13において第1建物部15側には、子世帯の居住空間として、ダイニングキッチン111とトイレ112と浴室113と洗面室114と廊下115とが設けられている。ダイニングキッチン111は、概ね張出部33bに形成されており、その一部が中間建物部17と隣接している。廊下115は、ダイニングキッチン111に通じているとともに、トイレ112、浴室113及び洗面室114にそれぞれ通じている。また、廊下115は、二階部分12へ延びる階段79にも通じている。
三階部分13において中間建物部17には、子世帯の居住空間(第1居住空間に相当)としてリビング117が設けられている。リビング117は、中間建物部17の三階部分13全域に跨がって形成されている。リビング117は、第1建物部15のダイニングキッチン111と隣接している。リビング117とダイニングキッチン111との間には出入口118が設けられ、その出入口118を通じてリビング117とダイニングキッチン111との間で出入りが可能となっている。なお、出入口118にはドアが設けられていない。
第2方向Yにおいてリビング117を挟んだ両側にはそれぞれ外壁部121,122が設けられている。外壁部121,122は、第1方向Xに延びるように形成され、第1建物部15と第2建物部16とに跨がって設けられている。これらの外壁部121,122はいずれもリビング117を屋外と仕切っており、以下においては、これら外壁部121,122に関する構成について説明する。なお、各外壁部121,122のうち、外壁部121が住宅正面側(北側)に配置され、外壁部122が住宅裏面側(南側)に配置されている。また、外壁部121は、二階部分12の外壁部101と上下に並んで配置され、互いの外壁面が面一とされている。また、外壁部122は、二階部分12の外壁部102と上下に並んで配置され、互いの外壁面が面一とされている。
住宅正面側の外壁部121には、図2に示すように、リビング117と屋外とを連通する開口部124が形成されている。開口部124は、矩形形状をなしており、その開口面積が外壁部121の壁面積(幅寸法×高さ寸法)の半分以上とされた大開口となっている。詳しくは、開口部124は、その高さ寸法が二階部分12の開口部104,109よりも若干小さくされ、かつ、その幅寸法が二階部分12の開口部104,109の幅寸法と同じとなっている。
開口部124にはサッシ枠126が配設されており、そのサッシ枠126の内側にはガラス窓127,128が取り付けられている。サッシ枠126及びガラス窓127,128の構成は、二階部分12におけるサッシ枠106及びガラス窓107,108の構成と基本的に同じである。詳しくは、開口部124の高さ寸法が二階部分12の開口部104,109よりも小さくされている関係で、ガラス窓128の高さ寸法が二階部分12のガラス窓108(はめ殺し窓)よりも小さくなっている点を除き同じとなっている。
また、図3に示すように、住宅裏面側の外壁部122にも、上記外壁部121と同様に、リビング117と屋外とを連通する開口部129が形成されている。開口部129は、その構成が外壁部121の開口部124と同じとなっており、その開口部129にはサッシ枠126とガラス窓127,128とが取り付けられている。これらの部材126〜128は、外壁部121の開口部124に取り付けられたものと同じであるため、ここでは同一の符号を付し説明を省略する。つまり、本二世帯住宅10では、リビング117を挟んで対向する各外壁部121,122の構成がいずれも同じ構成となっている。
なお、外壁部121では、(4つの)各ガラス窓127,128により三階窓領域が構成されている。この場合、三階窓領域の面積(4つのガラス窓127,128の総面積)は外壁部121の面積の半分以上を占めている。また、外壁部122では、(4つの)各ガラス窓127,128により三階窓領域が構成されている。この場合、三階窓領域の面積(4つのガラス窓127,128の総面積)は外壁部122の面積の半分以上を占めている。
このように、各外壁部121,122においてそれぞれガラス窓127,128が広範囲に亘って配設されている(換言すると、三階窓領域が広範囲に亘って形成されている)ため、ガラス窓127,128を介してリビング117へ多くの外光を取り込むことが可能となっている。また、ガラス窓127については開け閉め可能な引き違い窓からなるため、ガラス窓127を開けることでリビング117に風を取り込むことが可能となっている。特に、両外壁部121,122のガラス窓127を開けば、リビング117において風を通過させることが可能となる。よって、この場合、リビング117を明るく風通しのよい快適な空間とすることができる。
図9の説明に戻って、第2建物部16において二階部分12の上方にはルーフバルコニー131が形成されている。ルーフバルコニー131は、第2建物部16の屋上空間を利用して形成されたバルコニー空間となっている。ルーフバルコニー131にはその周縁部に沿って腰壁135が設けられている。
ルーフバルコニー131はリビング117と仕切壁132によって仕切られており、その仕切壁132にはリビング117からルーフバルコニー131へ出入りするための出入口133が形成されている。したがって、ルーフバルコニー131は第2建物部16(親世帯側の建物部)側に設けられているにもかかわらず、ルーフバルコニー131へは子世帯のリビング117からのみ出入りが可能となっている。
出入口133は、いわゆる掃き出し窓となっており、その出入口133には引き違い式のガラス戸134が設けられている。ガラス戸134は、サッシ枠の内側に窓ガラスが嵌め込まれて構成されている。このガラス戸134により出入口133が開閉されるようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
子世帯が居住する第1建物部15と親世帯が居住する第2建物部16とを駐車スペース27を隔てて配置したため、子世帯及び親世帯のプライバシを好適に確保することができる。また、駐車スペース27の上方に第1建物部15と第2建物部16とを連結する中間建物部17を設け、その中間建物部17に各建物部15,16からそれぞれ出入り可能な共用リビング90を設けた。これにより、各世帯のプライバシを好適に確保しながら、各世帯のコミュニケーションを図り易くすることができる。
共用リビング90を屋外と仕切る外壁部101,102にガラス窓107,108を複数設けることで窓領域を形成し、その窓領域の面積を外壁部101,102の面積の半分以上を占めるようにした。この場合、窓領域が外壁部101,102において広範囲に形成されるため、共用リビング90を開放感あふれる空間とすることができる。これにより、各世帯のコミュニケーションを快適に図ることが可能となる。
特に、共用リビング90を挟んで対向する各外壁部101,102においてそれぞれ窓領域の面積を外壁部101,102の面積の半分以上としたため、各外壁部101,102にそれぞれ窓領域が広範囲に形成されている。これにより、共用リビング90をより一層開放感あふれた空間とすることができる。
第1建物部15及び第2建物部16にそれぞれ中間建物部17よりも第2方向Yにおける住宅正面側に張り出した張出部33a,34aを設けた。この場合、これらの張出部33a,34により住宅外部(建物外部)から外壁部101の窓領域(ガラス窓107,108)を介して共用リビング90を見通す視線を遮ることができる。これにより、共用リビング90を開放感あふれる空間とした構成にあって、住宅外部に対するプライバシをある程度確保することができる。特に、住宅正面側は道路に隣接しているため住宅外部からの視線を受け易く、このため、その点を鑑みても、住宅正面側に張り出す張出部33a,34aを設けたことの意義は大きい。
また、第1建物部15及び第2建物部16にそれぞれ中間建物部17よりも第2方向Yにおける住宅裏面側に張り出した張出部33b,34bをさらに設けた。この場合、これらの張出部33b,34bにより、住宅外部(建物外部)から外壁部102の窓領域(ガラス窓107,108)を介して共用リビング90を見通す視線についても遮ることができる。これにより、各外壁部101,102にそれぞれ窓領域を広範囲に形成し共用リビング90の開放感を高めた構成にあって、住宅外部に対するプライバシを好適に確保することができる。
中間建物部17の三階部分13に子世帯のリビング117を設けたため、共用リビング90が形成された中間建物部17を子世帯の居住空間を形成(拡張)するために利用することができる。また、リビング117を挟んで対向する各外壁部121,122にそれぞれガラス窓127,128を複数設けることで三階窓領域を形成し、そして各外壁部121,122において三階窓領域の面積を外壁部121,122の面積の半分以上占めるようにした。この場合、各外壁部121,122に三階窓領域が広範囲に形成されるため、共用リビング90に加えて子世帯のリビング117についても開放感あふれる空間とすることができる。
第2建物部16の二階部分12上方にルーフバルコニー131を形成し、そのルーフバルコニー131へ中間建物部17のリビング117から出入口133を介して出入り可能とした。この場合、親世帯側の建物部(第2建物部16)を利用して子世帯側のバルコニー131を形成することができる。また、出入口133にはガラス戸134が設けられているため、そのガラス戸134を介してバルコニー131さらには屋外を見通すことが可能となっている。この場合、リビング117には、その2面に窓領域(ガラス窓127,128)が設けられ、さらにバルコニー131側にも窓領域(ガラス戸134)が設けられるため、リビング117をさらに開放感あふれる空間とすることができる。
中間建物部17を、第1建物部15と第2建物部16との間の中間領域Kにおいて第2方向Yの中間部(中央部)に配置したため、各建物部15,16の居住空間から共用リビング90への動線の短縮化を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、共用リビング90を挟んで対向する各外壁部101,102においてそれぞれ窓領域の面積(ガラス窓107,108の総面積)が外壁部101,102の面積の半分以上を占めるようにしたが、各外壁部101,102のうちいずれかの外壁部101(102)においてのみ窓領域の面積が外壁部101(102)の面積の半分以上占めるようにしてもよい。その場合でも、当該外壁部101(102)においてはガラス窓107,108が広範囲に亘って配設されるため、共用リビング90を開放感あふれる空間とすることができる。
なお、各外壁部101,102のそれぞれにおいて、ガラス窓107,108を広範囲に亘って配設しないようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、子世帯のリビング117を挟んで対向する各外壁部121,122においてそれぞれ三階窓領域の面積(ガラス窓127,128の総面積)が外壁部101,102の面積の半分以上を占めるようにしたが、各外壁部121,122のうちいずれかの外壁部121(122)においてのみ三階窓領域の面積が外壁部121(122)の面積の半分以上占めるようにしてもよい。その場合でも、当該外壁部121(122)においてはガラス窓127,128が広範囲に亘って配設されるため、リビング117を開放感あふれる空間とすることができる。
なお、各外壁部121,122のそれぞれにおいて、ガラス窓127,128を広範囲に亘って配設しないようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、第1建物部15及び第2建物部16にそれぞれ一対の張出部33a,33b(34a,34b)を設けたが、それら各張出部33a,33b(34a,34b)のうちいずれか一方の張出部のみ設けるようにしてもよい。例えば、住宅正面側は道路に面しているため住宅外部からの視線を受けやすいことを考慮すると、住宅正面側の張出部33a,34aのみ設けることが考えられる。
なお、第1建物部15及び第2建物部16のそれぞれにいずれの張出部33a,33b(34a,34b)をも設けないようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、中間建物部17に共用スペースとして共用リビング90を設けたが、共用スペースは必ずしもリビングとする必要はなく、ダイニング等その他の部屋としてもよい。また、上記実施形態では、中間建物部17に共用スペース(共用リビング90)を1つだけ設けたが、中間建物部17に複数の共用スペースを設けてもよい。例えば、共用スペースとして、リビングとダイニングとを設けることが考えられる。
(5)上記実施形態では、第1建物部15を三階建てとしたが、これに代えて二階建てにしてもよい。また、上記実施形態では、第2建物部16を二階建てとしたが、これに代えて三階建てにしてもよい。さらに、上記実施形態では、中間建物部17を二階部分12と三階部分13とを有する構成としたが、これに代えて二階部分12のみ有する構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、本発明の二世帯住宅をユニット式建物として構築したが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された建物としてもよい。