JP6712871B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、建物に関する。
従来、階毎に世帯が分離された二世帯住宅において、中間階を設け世帯間の交流を図る方法が知られている。
例えば、下記特許文献1には、親世帯が居住する下階及び子世帯が居住する上階の間に中間階を設け、当該中間階に、上階の子供部屋(孫部屋)に通じる第1階段及び上階の居間に通じる第2階段が形成された二世帯住宅が開示されている。中間階に第1階段及び第2階段が形成されているため、親は子供に気兼ねなく孫部屋を行き来し、また、当該中間階を介し孫の様子や気配をうかがうことができる。
特開2015−83755号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の二世帯住宅では、上階の居室と下階の居室とが上下に連接しているため、上階の振動や騒音が下階に伝達し、プライバシーを確保できない。また、各世帯の生活動線と中間階、第1階段及び第2階段とが分断されており、中間階を利用する物理的、心理的抵抗が大きい。
本発明は上記事実を考慮し、世帯毎にプライバシーを確保しながら、家族全員が集まりやすい中間階を備えた建物を得ることが目的である。
上記目的を達成するため、第1の態様に係る建物は、下階及び上階に第1世帯が居住する居室が設けられた第1世帯居室部と、前記第1世帯居室部と水平方向に離間して設けられ、かつ、下階及び上階に第2世帯が居住する居室が設けられた第2世帯居室部と、前記第1世帯居室部及び前記第2世帯居室部の間に設けられ、かつ、前記下階の一部を構成する下階床より高く、前記上階の一部を構成する上階床より低い位置に配置された中間床を備えた中間階と、前記第1世帯居室部から前記中間階に通じる階段を備えた第1階段部と、前記第2世帯居室部から前記中間階に通じる階段を備えた第2階段部とを備えている。
第2の態様に係る建物は、第1の態様に係る建物において、前記第1階段部及び前記第2階段部は、前記下階から前記中間階に通じる下階段と、前記上階から前記中間階に通じる上階段とをそれぞれ備えている。
第3の態様に係る建物は、第の態様に係る建物において、前記第1世帯居室部の前記上階と前記第2世帯居室部の前記上階とは廊下によって接続されており、当該廊下と前記上階段の上端部とが接合されている。
第4の態様に係る建物は、第2又は第3の態様に係る建物において、前記上階段の勾配が、前記下階段より小さく設定されている。
第5の態様に係る建物は、第1〜第4の態様に係る建物において、前記第2階段部は、前記第1階段部と同一階に設けられ、かつ、前記第1階段部の前記階段より勾配が小さい階段を含んで構成されている。
第6の態様に係る建物は、第1〜第5の態様に係る建物において、前記第1階段部の前記上階及び前記第2階段部の前記上階と前記中間階とは、前記上階段によってそれぞれ直接通じるように構成されており、前記第1世帯居室部と前記第2世帯居室部とは、前記第1階段部及び前記第2階段部以外に当該第1世帯居室部及び当該第2世帯居室部間を行き来するための経路を備えていない。
第1の態様に係る建物によれば、第1世帯居室部及び第2世帯居室部は水平方向に離間して設けられ、世帯毎に、居室が上下に設けられている。このため、上階で生じた振動や騒音が他世帯に伝達することはない。また、第1世帯居室部及び第2世帯居室部の間には、下階床より高く上階床より低い位置に配置された中間床を備えた中間階が設けられ、第1世帯居室部及び第2世帯居室部の下階及び上階の少なくとも一方と、中間階とが階段によりそれぞれ通じている。
下階と上階のいずれか一方が中間階に通じている場合には、第1世帯居室部及び第2世帯居室部間の移動に際し、中間階を経由することとなる。下階と上階の双方が中間階に通じている場合には、上記居室部間の移動に加え、各居室部内の上下に設けられた居室間の移動に際し、中間階を経由することとなる。この結果、居室部間や居室間を行き来する際に中間階にアクセスする機会が増え、家族全員が中間階に集まりやすく、また居室で家事や団欒しながら中間階にいる家族の気配を感じることができる。
第2の態様に係る建物によれば、第1世帯居室部に通じる第1階段部と、第2世帯居室部に通じる第2階段部は、それぞれ下階から中間階に通じる下階段と、上階から中間階に通じる上階段とを備えている。両世帯において日常生活に必然的に生じる居室間の上下移動の経路上に中間階を設けることで、両世帯が世帯毎に、下階段及び上階段を利用して居室部内の居室間を行き来する機会が増え、中間階へのアクセスが生活の一部となる。
第3の態様に係る建物によれば、第1世帯居室部及び第2世帯居室部が、上階において廊下を介して接続されており、上階段の上端部が当該廊下に接合されている。このため、第1世帯居室部及び第2世帯居室部の上階段を共通化でき、第1世帯居室部及び第2世帯居室部の居室面積を狭めることなく、踏面の長い緩勾配の階段を形成することができる。
第4の態様に係る建物によれば、上階段の勾配が下階段より小さく設定されている。下階、中間階、上階へと移動するに従って、階段昇行時に生じる身体の負担が軽減され、中間階を経由した上階への移動に対する心理的、物理的抵抗が軽減される。
第5の態様に係る建物によれば、第2階段部は、同一階に形成された第1階段部の階段より勾配が小さく設定されている。このため、例えば、親世帯が居住する居室部には勾配の緩やかな階段を設置するなど、居室部に居住する家族の年齢等に応じて、世帯毎に階段の勾配を設定することができる。
第6の態様に係る建物によれば、第1世帯居室部と第2世帯居室部には、第1階段部及び第2階段部以外に、第1世帯居室部及び第2世帯居室部間を行き来するための経路が設置されていない。このため、一方の世帯が居住する居室から他方の世帯が居住する居室へ移動するには第1階段部及び第2階段部を利用せざるを得ず、中間階を経由することとなる。
以上説明したように、第1の態様に係る建物は、世帯毎にプライバシーを確保しながら、家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第2の態様に係る建物は、上下に設けられた居室を行き来する機会が増え、中間階へのアクセスが生活の一部となる結果、日々行われる上下階への移動を通じ、家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第3の態様に係る建物は、居室面積を狭めることなく、緩勾配の階段を設置できる結果、居室部の設計プランに影響されることなく、幼児を含めた家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第4の態様に係る建物は、下階、中間階、上階へと移動するに従って、階段昇行時に生じる身体の負担が軽減され、下階段及び上階段を利用し中間階を経由した上階への移動が増える。この結果、上階への移動を通じ、親世帯を含めた家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第5の態様に係る建物は、居室部に居住する家族の年齢等に応じて、世帯毎に階段の勾配を設定することができる結果、幼児を含めた家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第6の態様に係る建物は、第1世帯居室部及び第2世帯居室部間の移動経路と、中間階を経由した移動経路とが一致する結果、一方の世帯が居住する居室から他方の世帯が居住する居室へ移動する毎に、家族全員が集まりやすい中間階を得ることができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る建物の1階部分の平面図である。 図1に示される建物の2階部分の平面図である。 図1に示される建物の3階部分の平面図である。 図1に示される建物の居室部からの視界を模式的に表す縦断面図である。 第2実施形態に係る建物の上階段を表す要部拡大図である。 図5に示される建物の生活動線を模式的に表す縦断面図である。
<第1実施形態>
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る建物10の第1実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、図1〜図3の平面図には建物と方位の関係の一例を示す方位記号を付記している。適宜、方位を用いて説明し、一方の桁側を北側、他方の桁側を南側、一方の妻側を西側、他方の妻側を東側と称するものとする。
(建物10の全体構成)
まず、図1〜図4を用いて、建物10の全体構成について説明する。
図1〜図4に示されるように、建物10は、鉄骨軸組工法により構築された住宅とされており、略方形状の敷地12の上面に立設されている。建物10は、敷地12の西側に立設され、かつ、第1世帯が居住する居室14を備えた第1世帯居室部16、敷地12の東側に立設され、かつ、第2世帯が居住する居室18を備えた第2世帯居室部20、及び敷地12の略中央に配設され、かつ、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20を接続する中間階22を備えている。
建物10は、一本の梁(図示省略)の下面及び上面に、複数の1階柱(図示省略)の上面及び複数の2階柱(図示省略)の下面がそれぞれ接合された梁勝ちシステムが採用されている。建物10を構成する第1世帯居室部16、第2世帯居室部20、及び中間階22は、略直方体状に形成されており、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20の上階の一部は柱及び床のない空間(階段室上方を構成する空間)とされている。
(第1世帯居室部16の詳細構成)
次に、図1〜図4を用いて、第1世帯居室部16の詳細構成について説明する。
図1〜図4に示されるように、第1世帯居室部16は、1階に形成された居室14A、2階に形成された居室14B、及び3階に形成された居室14Cを含んで構成されている。居室14Aは、1階床(基礎床)24を含んで構成されており、1階床24は、複数の1階梁(図示省略)により形成された矩形領域の上面に、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを敷設することにより形成されている。
居室14B及び14Cも同様に、2階床26及び3階床28を含んで構成されており、2階床26及び3階床28は、複数の2階梁(図示省略)及び3階梁(図示省略)により形成された矩形領域の上面に、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを敷設することにより形成されている。
図1に示されるように、第1世帯居室部16の1階部分16Aは、建物10の北側端部に立設された内壁30に沿って、寝室32が形成され、寝室32の南西側には、ウォークインクローゼット型の収納部34が形成されている。収納部34の南側には、洗面室36、トイレ37、及び浴室38から構成される水廻り部40が配設されており、水廻り部40の東側には、玄関土間42、及び玄関扉48を含んで構成された玄関部50が配設されている。
玄関部50の北側には、玄関部50、水廻り部40、寝室32、及び下階段52Aの下端部に接続された廊下54が設けられており、下階段52Aを介して、1階及び中間階22が接続されている。
図2に示されるように、第1世帯居室部16の2階部分16Bは、内壁30の北側端部に、建物10の桁面全域に亘って、矩形状のベランダ56が形成されている。内壁30の南側には、食堂58が配設され、子世帯構成人数に応じたテーブルセット60が設置されている。
食堂58の西側端部には、2階及び3階を接続する階段62が設けられており、階段62は、直階段部64及び廻り階段部(踊り場)66から構成されている。直階段部64は、下端部が2階梁に接合され、かつ、上端部が踊り場66を支持する支持部(図示省略)に接合された桁部(図示省略)の上面に、矩形状の複数の踏板68を載置することにより形成されている。
踊り場66は、2階床26から所定の高さに固定された支持部に、内角が約30度となる多角形状の3枚の踏板70A、70B、及び70Cを載置することにより形成されている。踏板70の当該内角を構成する一端部を、隣接する踏板70の当該内角を構成する他端部に、蹴込板(図示省略)を介して並設させることにより、直階段部64の直進方向を略直角に方向転換させることが可能となる。
3枚の踏板70のうち、最下段に配設された踏板70Cの端部は、2階床26に連接されている。踊り場66の端部が2階床26と同一面状に設けられているため、階段昇降時に転倒が生じにくい構造となっている。
食堂58の南側にはキッチンセット74Aを備えた台所76Aが配設されている。キッチンセット74Aは、その前面が、下階段52Aを挟んで、中間階22と対向するように配置されており、台所76Aから家事をしながら、下階段52A上方に形成された空間を介して、中間階22を視認できるように構成されている。
台所76Aの南側には居間78が設けられており、居間78の東側には、第1世帯及び第2世帯の家族全員が利用できるテーブルセット80を備えた共用食堂82が設けられている。共用食堂82の南側側壁は、共用食堂82の桁面全域に亘って、ガラス窓84が配設されており、採光がしやすく、家族全員が過ごしやすい空間となっている。一方で、共有食堂82の東西両端部には、引き違い戸86、88が配設されているため、引き違い戸86、88を必要に応じて開閉することにより、両世帯のプライバシーを確保できるように構成されている。
共用食堂82の北側端部には、中間階22に面して引き違い窓90が配設されている。このため、引き違い窓90を開閉することにより、両世帯の家族が、共用食堂82で団欒をしながら、中間階22にいる子供等の家族の様子をうかがい、気配を感じることができる構成となっている。
2階部分16Bの北東側端部には、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20を接続する廊下92が設けられており、廊下92の南側端部が、中間階22及び2階を接続する上階段94の上端部に接合されている。また、廊下92と第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20との間には、引き違い戸96、98がそれぞれ配設されており、引き違い戸96、98を必要に応じて開閉することにより、両世帯のプライバシーを確保できるように構成されている。
図3に示されるように、第1世帯居室部16の3階部分16Cは、3階部分16Cの略中央に配設された廊下100及び収納部102を挟んで、北側に子供部屋104、南側に子供部屋106がそれぞれ設けられている。子供部屋104の西側には階段62が設けられ、階段62の南側には、廊下100が接続されている。廊下100の南側にはトイレ108が配設されており、階段62、トイレ108、収納部102、及び子供部屋104、106が、廊下100を介してそれぞれ接続されている。
3階部分16Cの南側端部には、第1居室部16の桁面の全幅に亘って、ベランダ110が設けられている。また、中間階22及び第2世帯居室部20の屋上にはルーフバルコニー(図示省略)が設けられ、子供部屋104、106の東側側壁に配設された引き違い戸112、114を介して、ルーフバルコニーを利用できるように構成されている。
(中間階22の詳細構成)
次に、図1、図2、及び図4を用いて、中間階22の詳細構成について説明する。
図2及び図4に示されるように、中間階22は、中間床116の上面に設けられた見守りスペース118を含んで構成されている。中間床116は、複数の中間梁(図示省略)により形成された矩形領域の上面に、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを敷設することにより形成されている。
見守りスペース118には、机120及び椅子122が配置されており、子供等の家族が学習できるように構成されている。見守りスペース118の東西両側には下階段52A、52Bが設けられ、下階段52A、52Bを挟んで、キッチンセット74A、74Bが対向するように配置されている。
見守りスペース118の北側には、上階段94が設けられ、上階段94を挟んで廊下92が対向するように配置され、見守りスペース118の南側には、引き違い窓90を挟んで、共用食堂82が配設されている。このため、台所76A、76Bで調理しながら、廊下92を移動しながら、また共用食堂82で団欒しながら、中間階22の家族の様子をうかがうことができ、気配を感じることができるように構成されている。
また、第1世帯居室部16は、第1階段部174により通じている1階(最下階)及び2階(最上階)間において、第1階段部174以外に1階及び2階を行き来する経路を備えていない。このため、第1世帯居室部16において、1階及び2階間を移動するには、下階段52A及び上階段94を利用せざるを得ず、中間階22を経由した上下階の移動経路と、両世帯の生活動線とが完全に一致する。この結果、日々行われる上下階への移動毎に、家族全員が集まりやすい中間階を得ることができる。
さらに、図1に示されるように、中間階22の下方にはインナガレージ124が設けられている。中間床116は、1階床24及び2階床26の略中間高さ(1階床24からおよそ1500mmの高さ)の位置に設置されているため、普通乗用車126が収容可能とされている。
(第2世帯居室部20の詳細構成)
次に、図1、図2、及び図4を用いて、第2世帯居室部20の詳細構成について説明する。
図1、図2、及び図4に示されるように、第2世帯居室部20は、1階に設けられた居室18A、及び2階に設けられた居室18Bを含んで構成されている。居室18Aは、1階床24を含んで構成されており、1階床24は、複数の1階梁により形成された矩形領域の上面に、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを敷設することにより形成されている。
居室18Bも同様に、2階床26を含んで構成されており、2階床26は、複数の2階梁(図示省略)により形成された矩形領域の上面に、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを敷設することにより形成されている。
図1に示されるように、第2世帯居室部20の1階部分20Aは、建物10の北側端部に立設された内壁30に沿って、寝室128、130が配置されている。寝室128、130の南西側には、1階及び2階を接続するエレベータ132を備えたエレベータ室134が配設されており、エレベータ132は、1階及び2階を接続している。
寝室128、130の南東側には、ウォークインクローゼット型の収納部136が設けられている。収納部136の南側には、洗濯機置場138及びトイレ140を備えた洗面室142が設けられている。洗面室142の南側には浴室144が設置され、洗面室142及び浴室144は水廻り部146を構成している。
水廻り部146の西側には、玄関土間148、及び玄関扉154を含んで構成された玄関部156が設けられている。
玄関部156の北側には、玄関部156、水廻り部146、寝室128、130、及び下階段52Bの下端部に接続された廊下158が設けられており、下階段50を介して、1階及び中間階22が接続されている。
図2に示されるように、第2世帯居室部20の2階部分20Bは、内壁30の北側に、建物10の桁面全域に亘って、矩形状のベランダ56が設けられている。内壁30の南側には食堂158が設けられ、1人用のテーブルセット160が設置されている。
食堂158の西側端部には、エレベータ室134が配設されており、食堂158の南側にはキッチンセット74Bを備えた台所76Bが配設されている。キッチンセット74Bは、その前面が、下階段52Bを挟んで、中間階22と対向するように配置されており、台所76Bから家事をしながら、下階段52B上方に形成された空間を介して、中間階22を視認できるように構成されている。また、台所76Bの南側には居間162が設けられており、居間162の西側には、共用食堂82が設けられている。
(下階段52及び上階段94の要部構成)
次に、図1及び図2を用いて、下階段52及び上階段94の要部構成について説明する。
[下階段52]
図1及び図2に示されるように、下階段52は、第1世帯居室部16に形成された下階段52A及び第2世帯居室部20に形成された下階段52Bを含み、下階段52は、直階段部164及び廻り階段部(踊り場)166から構成されている。直階段部164は、下端部が1階梁に接合され、かつ、上端部が踊り場166を支持する支持部(図示省略)に接合された桁部(図示省略)の上面に、矩形状の複数の踏板168を載置することにより形成されている。
踊り場166は、1階床24から所定の高さに固定された支持部の上面に、内角が約30度となる多角形状の3枚の踏板170A、170B、及び170Cを載置することにより形成されている。踏板170の当該内角を構成する一端部を、隣接する踏板170の当該内角を構成する他端部に接合することにより、直階段部164の直進方向を略直角に方向転換する踊り場166を形成することが可能となる。
3枚の踏板170のうち、最上段に配設された踏板170Cの端部は、中間床116に連接されている。踊り場166の端部が中間床116と同一面状に設けられているため、階段昇降時に転倒が生じにくい構造となっている。
第1世帯居室部16側に設けられた下階段52Aと、第2世帯居室部20側に設けられた下階段52Bとは、中間階22を挟んで左右対称の構造となっているが、下階段52Bの専有面積を広げ、下階段52Bの踏板168を下階段52Aの踏板168よりも踏面を長く形成したり、蹴上を短く設計することにより、下階段52Bの勾配を下階段52Aよりも小さくしても良い。
[上階段94]
図2に示されるように、上階段94は、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20で共通化されており、下階段52A及び上階段94は、第1階段部174を構成し、下階段52B及び上階段94は、第2階段部176を構成している。
このように、第1実施形態において、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路は、A〜Cの3経路とされている(以下、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路が3経路の場合を「3方向アプローチ」と称する)。
上階段94は、第1直階段部178、第2直階段部180、第1踊り場182、及び第2踊り場184から設けられている。第1直階段部178は、建物10の妻面(南北方向)に略平行して配設されており、第1直階段部178の上端部(北側端部)には、第1踊り場182が連接されている。第1踊り場182の西側端部には、第2直階段部180が連接されており、第2直階段部180の西側端部には、第2踊り場184が連接されている。
第1直階段部178は、下端部が中間梁に接合され、かつ、上端部が第1踊り場182を支持する支持部(図示省略)に接合された桁部(図示省略)の上面に、矩形状の複数の踏板186を載置することにより形成されている。
第2直階段部180は、下端部が第1踊り場182の支持部に接合され、上端部が第2踊り場184を支持する支持部に接合された桁部(図示省略)の上面に、矩形上の複数の踏板188を載置することにより形成されている。
踏板186及び踏板188は、下階段52の直階段部164を構成する踏板168、及び階段62の直階段部64を構成する踏板68より踏面が長く形成されており、また、蹴上も低く設定されている。
第1踊り場182は、中間床116から所定の高さに固定された支持部に、略二等辺三角形状の2枚の踏板190A、190Bを載置することにより形成されている。踏板190A、190Bの長辺を蹴込板(図示省略)を介して並設させることにより、第1直階段部178の直進方向を略直角に方向転換させることが可能となる。
第2踊り場182は、中間床24から所定の高さに固定された支持部に、矩形状の踏板192を載置することにより形成されており、踏板192の北側端部は、廊下92の南側端部に連接されている。
このように、上階段94は勾配が小さく設計されているため、階段昇降時に転倒が生じにくい構造となっている。
さらに、第1直階段部178の北側に第1踊り場182が形成され、第1踊り場182の西側方向に、第2直階段部180及び第2踊り場184が連設されている。第2直階段部180で転倒したとしても第1踊り場182にとどまり、第1直階段部178で転倒しても中間床24にとどまるため、転倒に生じる身体の負担を大きく軽減することができる。
(作用及び効果)
次に、図4を用いて、本実施形態の作用及び効果について説明する。
図4に示されるように、本実施形態に係る建物10は、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20が水平方向に離間して設けられ、世帯毎に、居室14、18が上下に設けられている。このため、2階で生じた振動や騒音が他世帯に伝達することはない。また、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20の間には、1階床24より高く2階床26より低い位置に配置された中間床116を備えた中間階22が設けられ、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20を構成する1階及び2階の少なくとも一方と、中間階22とが階段52、94により通じている。
第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20間の移動や、各居室部16、20内の居室14、18間の移動に際し、中間階22を経由することとなるため、第1世帯居室部16中間階22にアクセスする機会が増え、中間階22へのアクセスが生活の一部となる。この結果、家族全員が中間階に集まりやすく、また居室14、18で家事や団欒しながら中間階にいる家族の気配を感じることができる。
また、本実施形態では、第1世帯居室部16に通じる第1階段部176と、第2世帯居室部20に通じる第2階段部176は、それぞれ1階から中間階22に通じる下階段52と、2階から中間階22に通じる上階段94とを備えている。両世帯において日常生活に必然的に生じる居室14、18間の上下移動の経路上に中間階22を設けることで、両世帯が世帯毎に、下階段52及び上階段94を利用して居室部16、20内の居室14、18間を行き来する機会が増える。この結果、中間階22へのアクセスが生活の一部となり、日々行われる上下階への移動を通じ、家族全員が集まりやすい中間階22を得ることができる。
また、本実施形態では、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20が廊下92を介して接続されており、上階段94の上端部が廊下92に接合されている。このため、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20の上階段94を共通化でき、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20の居室面積を狭めることなく、踏面の長い緩勾配の階段を形成することができる。この結果、居室部の設計プランに影響されることなく、幼児も含めた家族全員が集まりやすい中間階22を得ることができる。
また、本実施形態では、上階段94の勾配が、下階段52の勾配より小さく設定されている。1階、中間階22、2階へと移動するに従って、階段昇行時に生じる身体の負担が軽減される。中間階22を経由した2階への移動に対する心理的、物理的抵抗が軽減され、下階段52及び上階段94を利用し中間階22を経由した2階への移動が増える。この結果、2階への移動を通じ、親世帯も含めた家族全員が集まりやすい中間階22を得ることができる。
また、本実施形態では、第2階段部176は、同一階に形成された第1階段部174の階段より勾配が小さく設定されている。このため、例えば、親世帯が居住する居室部には勾配が緩やかな階段を設置するなど、居室部に居住する家族の年齢等に応じて、世帯毎に階段の勾配を設定することができる。この結果、幼児も含めた家族全員が集まりやすい中間階22を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、図5及び図6を用いて、第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、図5の平面図には建物と方位の関係の一例を示す方位記号を付記している。適宜、方位を用いて説明し、一方の桁側を北側、他方の桁側を南側、一方の妻側を西側、他方の妻側を東側と称するものとする。また、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付しその説明を省略する。
(構成)
図5に示されるように、本実施形態では、上階段196は、中間階22及び第1世帯居室部16を接続する上階段196Aと、中間階22及び第2世帯居室部20を接続する上階段196Bとから構成されている。
すなわち、本実施形態では、3方向アプローチを採用した第1実施形態と異なり、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路が、A、B、D、及びEの4経路とされている(以下、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路が4経路の場合を「4方向アプローチ」と称する)。
上階段196Aは、直階段部198及び廻り階段部(踊り場)200から構成されている。直階段部198は、下端部が中間梁に接合され、かつ、上端部が踊り場200を支持する支持部(図示省略)に接合された桁部(図示省略)の上面に、矩形状の複数の踏板202を載置することにより形成されている。
踊り場200は、中間床116から所定の高さに固定された支持部に、内角が約30度となる多角形状の3枚の踏板204A、204B、及び204Cを載置することにより形成されている。踏板204の当該内角を構成する一端部を、隣接する踏板204の当該内角を構成する他端部に、蹴込板を介して並設させることにより、直階段部198の直進方向を略直角に方向転換させることが可能となる。
踏板204Cと第1世帯居室部16の間には、引き違い戸208が配設されており、必要に応じて引き違い戸208を開閉することにより、両世帯のプライバシーを確保できるように構成されている。
上階段196Aの東側には収納部210が配設されており、収納部210を挟んで、上階段196Bが左右対称に設けられている。また、踏板204Cと第2世帯居室部20の間には、引き違い戸212が配設されており、必要に応じて引き違い戸212を開閉することにより、両世帯のプライバシーを確保できるように構成されている。
なお、本実施形態では、子世帯居室部16を3階建てとしているが、孫の人数や年齢など当該世帯の状況に応じて階数を変えても良い。例えば、孫が幼児で独立した子供部屋(孫部屋)が不要な場合や、食堂58や共用食堂82の位置に子供部屋を配設する場合などは、2階建てとすることが考えられる。
この場合、親は、子世帯居室部の台所や居間を経由することなく、2階に形成された廊下を経由して子供部屋を行き来することができるので、親世帯は、子世帯のプライバシーを確保しながら孫と交流を図ることが可能となる。
(作用及び効果)
図6に示されるように、本実施形態に係る建物10は、第1階段部174及び第2階段部176の双方が、それぞれ1階から中間階22に通じる下階段52A、52Bと、2階から中間階22に通じる上階段196A、196Bとを備えている。
両世帯において日常生活に必然的に生じる居室14、18間の上下移動の経路上に中間階22が設けられているため、両世帯が世帯毎に、下階段52及び上階段196を利用して、上下に設けられた居室14、18を行き来する機会が増える。この結果、中間階22へのアクセスが生活の一部となり、日々行われる上下階への移動を通じ、家族全員が集まりやすい中間階22を得ることができる。
<本実施形態の補足説明>
なお、本実施形態では、建物10に対して、第1実施形態では3方向アプローチ、第2実施形態では4方向アプローチを適用しているが、これに限られない。第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路が、それぞれ1経路以上確保されていればよく、例えば、第1世帯居室部16及び第2世帯居室部20から中間階22に通じる経路が2経路とされている2方向アプローチを適用しても良い。
また、本実施形態では、本実施形態では、梁勝ち架構を有する鉄骨軸組工法により建築された建物10に対して本発明を適用しているが、これに限らず、ユニット工法により建築された建物に対して本発明を適用しても良い。
また、本実施形態では、第1階段部174及び第2階段部176を構成する階段として、直階段部及び廻り階段部を備えた階段を適用しているが、これに限らず、他の階段の種類、構造を採用してもよい。
また、本実施形態では、1階床24に対する2階床26の高さを略等分した位置に中間床116を配設しているが、これに限らず、さらに高い位置に配設しても良い。この結果、インナガレージ124の天井位置が高くなり、車高の高い自動車を収容することができる。
また、本実施形態では、エレベータ132を配設しているが、これを配設せず、第2世帯居室部20の1階及び2階間の経路を、第2階段部176を構成する下階段52B及び上階段196Bのみとしても良い。
この場合、第2世帯居室部20において、1階及び2階間を移動するには、下階段52B及び上階段196Bを利用せざるを得ず、中間階22を経由した上下階の移動経路と、両世帯の生活動線とが完全に一致する。この結果、日々行われる上下階への移動毎に、家族全員が集まりやすい中間階を得ることができる。
10 建物
14、18 居室
16 第1世帯居室部
20 第2世帯居室部
22 中間階
24 1階床(下階床)
26 2階床(上階床)
52 下階段(経路)
92 廊下
94、196 上階段(経路)
132 エレベータ(経路)
116 中間床
174 第1階段部
176 第2階段部

Claims (4)

  1. 下階及び上階に第1世帯が居住する居室が設けられた第1世帯居室部と、
    前記第1世帯居室部と水平方向に離間して設けられ、かつ、下階及び上階に第2世帯が居住する居室が設けられた第2世帯居室部と、
    前記第1世帯居室部及び前記第2世帯居室部の間に設けられ、かつ、前記下階の一部を構成する下階床より高く、前記上階の一部を構成する上階床より低い位置に配置された中間床を備えた中間階と、
    前記第1世帯居室部から前記中間階に通じる階段を備えた第1階段部と、
    前記第2世帯居室部から前記中間階に通じる階段を備えた第2階段部と、
    を備え
    前記第1階段部及び前記第2階段部は、前記下階から前記中間階に通じる下階段と、前記上階から前記中間階に直接通じ又は前記第1世帯居室部の前記上階と前記第2世帯居室部の前記上階とを接続する廊下を介して間接的に通じる上階段と、をそれぞれ有し、
    さらに、前記第1階段部及び前記第2階段部がそれぞれ備える前記下階段並びに前記上階段は、平面視で踊り場も含めて前記中間階と重ならないように構成されている建物。
  2. 前記上階段は、前記下階段より勾配が小さく設定されている請求項1に記載の建物。
  3. 前記第2階段部は、前記第1階段部と同一階に設けられ、かつ、前記第1階段部の前記階段より勾配が小さい階段を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の建物。
  4. 前記第1階段部の前記上階及び前記第2階段部の前記上階と前記中間階とは、前記上階段によってそれぞれ直接通じるように構成されており、
    前記第1世帯居室部と前記第2世帯居室部とは、前記第1階段部及び前記第2階段部以外に当該第1世帯居室部及び当該第2世帯居室部間を行き来するための経路を備えていない請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の建物。
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