JP4851032B2 - 住宅および住宅の改装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅および住宅の改装方法に係り、詳細には、将来的に居住空間を二つに分割する住宅、および、この住宅の改装方法に関する。
【0002】
【背景の技術】
従来より、居住者の入れ替えや、居住者の高齢化、介護が必要になる等の居住者の身体機能の変化などに対応できるよう、住宅内の居住空間を可変施工する方法が提案されている。
例えば、特開2000−54497号公報に記載の可変住空間ユニット集合住宅には、初期施工時に、予め可動式間仕切りや可動式収納が設けられている。入居者が入れ替わった場合や、居住者が高齢となった場合、介護が必要となった場合などに、居住者に合わせて可動式間仕切りや可動式収納を移動させることによって、追加施工を行うことなく、使用利便性を向上できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的な住宅においては、例えば、子供が独立して、家族の人数が減少すること等によって生活スタイルが変化した場合に、住宅内の居住空間が余ってしまい、居住者にとって広くなりすぎてしまうことがある。この場合に、居住空間の一部分を賃貸できれば、居住空間を有効利用できるだけでなく、収入源にもなり、居住者にとってより好ましい。
【0004】
住宅の一部分を賃貸するには、住宅内の居住空間を二分する必要があるが、上述の公報のように単に可動式間仕切りや可動式収納の配置を変化させただけでは、居住に必要な場所(例えば、玄関などの出入り口や、部屋など)をそれぞれの居住空間に分配するのは困難である。このため、新たな出入り口や部屋を追加施工する必要が生じ、改装に多くのコストがかかってしまう。
【0005】
本発明の課題は、将来的に居住空間を二つに分割する場合に、改装にかかるコストを低く抑えられる住宅、およびこの住宅の改装方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば、図1に示すように、二階建て以上の住宅Aにおいて、一階に住宅の前側から後側へ連通するカーポート1が設けられ、このカーポート1の端部の右側に面して住宅の出入口である玄関2が設けられ、前記カーポート1の中央部の左側に面して住宅の出入口である勝手口5が設けられ、前記勝手口5が設けられた一階に、この階において前記勝手口5に通じるとともに、この階において前記玄関2には通じない第1の部屋(例えば、食堂7)が設けられ、前記勝手口5が設けられた階以外の階に、前記玄関2に通じるとともに前記第1の部屋7に通じる第2の部屋(例えば、第1の居間13)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、勝手口5が設けられた階に、前記第1の部屋7が設けられ、勝手口5が設けられた階以外の階に、前記第2の部屋13が設けられているので、第1の部屋7と第2の部屋13とを連通させる箇所、すなわち、第1の部屋7、第1の部屋7と第2の部屋13との境界15、第2の部屋13などで居住空間を分断するだけで、住宅内の居住空間を、勝手口5と第1の部屋7の少なくとも一部(例えば、図2(a)に示す居間7A)とを含む居住空間Xと、玄関2と第2の部屋13の少なくとも一部(例えば、図2(b)に示す台所13B)とを含む居住空間Yとに分割できる。したがって、将来的に居住空間を二つに分割する場合に、分割後の居住空間に出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略でき、改装にかかるコストを低く抑えることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の住宅において、前記玄関2と第2の部屋13とは階段4で通じていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、第1の部屋7と第2の部屋13とを連通させる箇所で居住空間を分断して、住宅内の居住空間を二つに分割した場合に、分割後の二つの居住空間X・Yのうちの一方の居住空間Yにおいて、玄関2をそのまま流用することができる。また、玄関2と第2の部屋13とは階段4で通じているので、二つの居住空間に分割した場合に、玄関2を含む側の居住空間Yには、少なくとも二つの階(例えば、玄関2が設けられた階と、第2の部屋13が設けられた階)が含まれる。したがって、玄関2を含む側の居住空間Yにおいて、広い床面積を確保できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の住宅において、例えば、図1および図2に示すように、第1の部屋(台所6、食堂7、小部屋9など)が複数設けられ、少なくとも一つの第1の部屋(小部屋9)には、将来設置される水廻設備(バスユニット30、洗面台31、洗濯機32)に接続すべき水廻管が予め配設されていることを特徴とする。
【0012】
ここで、水廻設備としては、具体的には、例えば、バスユニット30、洗面台31、洗濯機32や、流し台、トイレなどが挙げられ、排水や給水が必要な設備全般が含まれる。
また、「水廻管」とは、水廻設備に接続すべく配管される管全般を意味し、具体的には、給水管、排水管等が含まれる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、少なくとも一つの第1の部屋9に前記水廻管が予め配設されているので、第1の部屋7と第2の部屋13とを連通させる箇所で居住空間を分断して、住宅内の居住空間を二つに分割した場合に、第1の部屋9の前記水廻管が配設されている箇所を含む側の居住空間Xにおいて、水廻管が予め配設された箇所に水廻設備30・31・32を設置して、前記水廻管に接続することができる。
すなわち、分割後の居住空間Xに水廻設備30・31・32を設置するものとしても、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストをより少なく抑えることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の住宅において、第2の部屋(第1の居間13、第2の居間14、便所19など)が複数設けられ、少なくとも一つの第2の部屋(第1の居間13)には、将来設置される水廻設備(流し台38a)に接続すべき水廻管が予め配設されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、少なくとも一つの第2の部屋13に前記水廻管が予め配設されているので、第1の部屋7と第2の部屋13とを連通させる箇所で居住空間を分断して、住宅内の居住空間を二つに分割した場合に、第2の部屋13の前記水廻管が配設されている箇所を含む側の居住空間Yにおいて、水廻管が予め配設された箇所に水廻設備38aを設置して、前記水廻管に接続することができる。
すなわち、分割後の居住空間Yに水廻設備38aを設置するものとしても、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストをより少なく抑えることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の住宅を改装して、この住宅を二つの居住空間に分割する住宅の改装方法であって、
前記カーポート1を改装して前記勝手口5と玄関2とに共通のポーチ1Aを施工し、
第1の部屋(食堂7)、第1の部屋7と第2の部屋(第1の居間13)との境界15、第2の部屋13、の少なくとも一つに間仕切り壁35・36を設けて、居住空間を二つに分断することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、第1の部屋7、第1の部屋7と第2の部屋13との境界15、第2の部屋13、の少なくとも一つに設けられた間仕切り壁35・36により、住宅内が二つの居住空間X・Yに分割される。これにより、分割後の居住空間X・Yに、勝手口5および玄関2と、少なくとも一つの部屋の一部(例えば、図2に示す居間7A、台所13B)とがそれぞれ分配される。したがって、間仕切り壁35・36を施工するだけで居住空間を二つに分割できるとともに、分割後の居住空間に出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略できるので、改装にかかるコストを低く抑えることができる。
また、住宅Aを二つの居住空間X・Yに分割して、居住空間Xを他の世帯に賃貸した場合に、居住空間Yの居住者が玄関2からポーチ1Aに出る際に、勝手口5からポーチ1Aに出た居住空間Xの居住者と正面からかち合うのを防止することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項3または4記載の住宅を改装して、この住宅を二つの居住空間に分割する住宅の改装方法であって、
前記カーポート1を改装して前記勝手口5と玄関2とに共通のポーチ1Aを施工し、
第1の部屋7、第1の部屋7と第2の部屋13との境界15、第2の部屋13、の少なくとも一つに間仕切り壁35・36を設けて、居住空間を二つに分断し、水廻管が予め配設された部屋9・13に、水廻設備30・31・32・38aを設置し、この水廻設備30・31・32・38aを前記水廻管に接続することを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明と同様に、間仕切り壁35・36を設けるだけで二つの居住空間に分割でき、また、分割後の居住空間に出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略できる。さらに、請求項6記載の発明によれば、水廻管が予め配設された部屋9・13に、水廻設備30・31・32・38aが設置され、これらが前記水廻管に接続される。すなわち、分割後の居住空間X・Yに水廻設備30・31・32・38aを設置する際に、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストをより少なく抑えることができる。
また、住宅Aを二つの居住空間X・Yに分割して、居住空間Xを他の世帯に賃貸した場合に、居住空間Yの居住者が玄関2からポーチ1Aに出る際に、勝手口5からポーチ1Aに出た居住空間Xの居住者と正面からかち合うのを防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態例の住宅Aは、三階建てであり、一世帯一家族用に構築されたものである。住宅Aは、将来的に改装して、居住空間を二つに分割することを前提に構築されている。以下、玄関2(図1(a)に図示)が設けられている側(図中の下側)を住宅Aの前側として、構成を説明する。
【0021】
図1(a)に示すように、住宅Aの一階部分には、住宅Aの前側から後側へ連通するカーポート1が設けられている。カーポート1の右側前方には、住宅Aの出入り口である玄関2が配置されている。玄関2には、住宅Aの前方の壁A1付近に設けられた玄関ドア2aを介して、カーポート1から出入りできるようになっている。
玄関2は玄関土間2bを備え、この玄関土間2bに隣接して、玄関ホール3が配置されている。また、玄関ホール3の後側には、一階と二階との間を行き来するための階段4が配置されている。
【0022】
また、カーポート1の左側には、一階の略中央部に、住宅Aの出入り口である勝手口5が配置されている。勝手口5には、勝手口ドア5aを介して、カーポート1から出入りできるようになっている。
勝手口5の左側前方には、勝手口5に隣接して、台所6が配置されている。また、台所6の左側には、カウンタ6aを介して、食堂7が配置されている。カウンタ6aは、壁A1から後側へ延在するように配置され、カウンタ6aの後側には、台所6と食堂7とを行き来するための通路8が設けられている。
【0023】
また、台所6の後側には、通路8および勝手口5に隣接して、小部屋9が配置されている。小部屋9には、通路8からドア9aを介して出入りできるようになっている。
小部屋9には、将来設置される水廻設備であるバスユニット30、洗面台31、洗濯機32(図2(a)に図示)に接続すべき図示しない給水管、排水管(水廻管)が、外部から見えないように予め配設されている。具体的には、給水管や排水管をバスユニット30、洗面台31、洗濯機32に接続するための接続部が、給水管や排水管とともに、小部屋9の床面や壁面に配設されている。なお、小部屋9には、バスユニット、洗面台、洗濯機は設置されていない。
【0024】
また、通路8の後側には、通路8、小部屋9および食堂7に隣接して、便所10が配置されている。便所10には、通路8からドア10aを介して出入りできるようになっている。また、食堂7は、二階部分に設けられた吹き抜け11(図1(b)に図示)に連通している。また、食堂7には、壁A1に隣接して、一階と二階との間を行き来するための階段12が配置されている。
【0025】
ここで、上述の台所6、小部屋9、便所10、および食堂7は、一階において勝手口(一つの出入り口)5に通じるとともに、一階において玄関(他の一つの出入り口)2には通じない部屋(第1の部屋)である。
【0026】
図1(b)に示すように、二階の略中央には、第1の居間13が配置されている。第1の居間13の右側には、第2の居間14が配置されている。第2の居間14は、住宅Aの後方の壁A2付近で、上述の階段4に連続している。また、第1の居間13は、住宅Aの前方の壁A1付近で、上述の階段12に連続している。
【0027】
第1の居間13には、将来設置される水廻設備である流し台38a(図2(b)に図示)に接続すべき図示しない給水管、排水管が、外部から見えないように予め配設されている。具体的には、給水管や排水管を流し台38aに接続するための接続部が、給水管や排水管とともに、第1の居間13後部の床面や壁面に配設されている。なお、第1の居間13には、流し台は設置されていない。
【0028】
また、第1の居間13の左側には、吹き抜け11が設けられている。吹き抜け11と第1の居間13との境界15の一部には、開口部が設けられており、窓11aから第1の居間13内へ光を採り入れることができるようになっている。また、第1の居間13の右側前方には、壁A1から二階の略中央まで延出する突出壁16が設けられている。
【0029】
また、第2の居間14の右側には、二階と三階とを行き来するための階段17が配置されている。この階段17の下り口には、第2の居間14に連続するように階段ホール18が配置されている。
【0030】
また、突出壁16の右側には、第1の居間13および第2の居間14に隣接して、便所19が配置されている。便所19には、ドア19aを介して第2の居間14から出入りできるようになっている。また、便所19の右側には、第2の居間14および便所19に隣接して、脱衣所兼洗面所20が配置されている。脱衣所兼洗面所20には、ドア20aを介して第2の居間14から出入りできるようになっている。
【0031】
また、脱衣所兼洗面所20の右側には、脱衣所兼洗面所20に隣接して浴室21が配置されている。浴室21には、ドア21aを介して、脱衣所兼洗面所20から出入りできるようになっている。
ここで、上述した第1の居間13、第2の居間14、便所19、脱衣所兼洗面所20、浴室21は、階段4を介して玄関2に通じるとともに、階段12を介して食堂7や台所6等に通じる部屋(第2の部屋)である。
【0032】
図1(c)に示すように、三階には、子供部屋22と夫婦の寝室23とが前後に隣接して配置されている。子供部屋22および寝室23の左側には、ベランダ24が配置されている。ベランダ24には、それぞれ窓22a・23aを介して、子供部屋22、寝室23から行き来できるようになっている。
また、階段17の下り口には、階段ホール25が設けられている。階段ホール25から、ドア22b・23bを介して、子供部屋22、寝室23にそれぞれ出入りできるようになっている。
また、子供部屋22の左側には、クローゼット26が配置されている。クローゼット26には、引き戸26aを介して、子供部屋22から出入りできるようになっている。
【0033】
次に、上述の住宅Aを改装して、居住空間を二つに分割する住宅の改装方法について、説明する。
【0034】
一階においては、小部屋9内において、図2(a)に示すように、右側にバスユニット30を、左側に洗面台31、洗濯機32をそれぞれ設置する。ここで、図2は、図1に示す住宅Aを改装した後の状態を示す図面であり、図1と同様の構成については、同じ符号を付している。
また、バスユニット30、洗面台31、洗濯機32のそれぞれを、予め小部屋9に配設しておいた給水管および排水管の接続部に接続する。これにより、バスユニット30、洗面台31、洗濯機32による給排水を行うことが可能になる。
また、小部屋9を左右に分割する間仕切り壁33を設けるとともに、分割された左右の空間を行き来するためのドア33aを設ける。以上のようにして、小部屋9を、浴室9Aと脱衣所兼洗面所9Bに改装する。
【0035】
また、食堂7に配置されていた家具や、その他の図示しない機器などを、例えば、ソファ34などの居間用の家具に入れ替えるなどして、食堂7を居間7Aに改装する。
また、カーポート1を改装して、勝手口5と玄関2とに共通のポーチ1Aを施工する。
【0036】
二階においては、第1の居間13と吹き抜け11との境界15、および、第1の居間13に、図2(b)に示す間仕切り壁35・36をそれぞれ設置する。
間仕切り壁35は、壁A2から前方へ向けて、境界15の略中央まで延出するように設置する。また、間仕切り壁36は、間仕切り壁35と、突出壁16との端部どうしを連結して、第1の居間13を前後に二分割するように設置する。これにより、第1の居間13の前部と後部との間で行き来できないようになるとともに、第1の居間13の後部側から、第1の居間13の前部や、吹き抜け11が見えないようになる。
【0037】
また、第1の居間13内の間仕切り壁36よりも前側の空間において、例えば、ベッド37などの家具等を配設して、寝室13Aに改装する。また、間仕切り壁36よりも後側の空間において、流し台38aを含むシステムキッチン38や、テーブル39などの家具を配設して、台所13Bに改装する。このとき、流し台38aを、予め第1の居間13に配設しておいた給水管および排水管の接続部に接続する。これにより、流し台38aによる給排水を行うことが可能になる。
上述のようにして、住宅Aを図2に示す住宅Bに改装する。なお、小部屋9や、食堂7、第1の居間13等の改装施工順は、上述の説明順序に限定されるものではなく、適宜に施工順を変更設定可能である。
【0038】
改装後の住宅Bは、改装前の住宅Aと異なり、二世帯二家族用の住宅となっている。すなわち、間仕切り壁35・36を介して、二つの居住空間X・Yに分割されており、片方の居住空間Xには、勝手口5と、台所6、浴室9A、脱衣所兼洗面所9B、便所10、居間7A、寝室13Aの各部屋が含まれている。また、他方の居住空間Yには、玄関2と、台所13B、第2の居間14、便所19、脱衣所兼洗面所20、浴室21、子供部屋22、寝室23、クローゼット26の各部屋が含まれている。
【0039】
以上のように、本実施の形態例の住宅Aおよび住宅の改装方法によれば、間仕切り壁35・36を設けるだけで、住宅内を二つの居住空間X・Yに分割でき、これらの居住空間X・Yに、出入り口である勝手口5と玄関2と、台所6や第2の居間14などの部屋とを、それぞれ分配できる。
したがって、分割後の居住空間X・Yに、出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略できるので、一世帯一家族用の住宅Aを容易に二世帯二家族用の住宅Bにすることができ、改装にかかるコストを低く抑えることができる。そして、分割後の居住空間X・Yの一方(例えば、居住空間X)を賃貸することができ、居住空間を有効利用できるとともに、居住者の収入源とすることができる。
【0040】
また、分割後の居住空間Yに玄関2が含まれるので、この玄関2を、居住空間Yにおいてそのまま流用することができる。また、玄関2と、第2の居間14および台所13Bは階段4で通じており、居住空間Yには一階部分と二階部分とが含まれるので、玄関2を含む居住空間Y側を、住宅Aの元からの居住者が用いる居住空間とし、この居住空間Yにおいて、広い床面積を確保することができる。
【0041】
また、小部屋9や、第1の居間13には、予め給水管や排水管が配設されているので、住宅Aを改装して、小部屋9や第1の居間13に、バスユニット30、洗面台31、洗濯機32、流し台38aなどの水廻設備を設置する際に、配管工事を行う必要がない。よって、改装時にかかる手間やコストを少なく抑えることができる。
【0042】
また、分割後の居住空間Xには、食堂7とその上方の吹き抜け11とが含まれているので、吹き抜け11部分をそのまま残した状態で、居住空間Xを賃貸することができる。
また、玄関ドア2aは、住宅Aの前方の壁A1付近に、勝手口ドア5aは、一階の略中央部付近にそれぞれ設けられているので、住宅Aを二つの居住空間X・Yに分割して、居住空間Xを他の世帯に賃貸した場合に、居住空間Yの居住者が玄関2からポーチ1Aに出る際に、勝手口5からポーチ1Aに出た居住空間Xの居住者と正面からかち合うのを防止することができる。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、間仕切り壁35・36を、第1の居間13と吹き抜け11との境界15と、第1の居間13とにそれぞれ設けるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、間仕切り壁を、例えば、第1の居間13と第2の居間14との境界に設けたり、第2の居間14を二分するように設けたり、第1の居間13と吹き抜け11との境界15に階段12と第1の居間13とが連続しないように設けたり、台所6と食堂7との境界に設けたりして、居住空間を二つに分断するようにしても良い。
この場合にも、出入り口(勝手口5、玄関2)と、少なくとも一つの部屋もしくはその一部を、分割後の居住空間にそれぞれ分配できるので、改装時に新たに出入り口や部屋を追加施工するのを省略でき、改装にかかるコストを低く抑えることができる。
【0044】
また、二階と三階とを行き来するための階段をさらに設け、改装時に二階と三階それぞれに間仕切り壁を設けるものとしても良い。例えば、第1の居間13と、寝室23とを行き来するための階段をさらに設け、改装時に、第1の居間13と第2の居間14との境界に間仕切り壁を設けるとともに、寝室23のドア23bに代えて間仕切り壁を設けることによって、居住空間を二つに分割することができる。
【0045】
また、住宅Aの改装の際に、予め給水管や排水管が配設された小部屋9、第1の居間13に、バスユニット30、洗面台31、洗濯機32、および流し台38aを含むシステムキッチン38を設置するものとしたが、例えば、トイレ等の他の水廻設備を設置するものとしても良い。
また、小部屋9と第1の居間13に予め給水管と排水管を配設しておくものとしたが、これに限らず、給水管や排水管を、食堂7や、第2の居間14、クローゼット26等の他の部屋に予め配設しておき、改装時に、これらの部屋に水廻設備を設置するものとしても良い。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、第1の部屋と第2の部屋とを連通させる箇所で居住空間を分割するだけで、住宅内の居住空間を、勝手口と第1の部屋の少なくとも一部とを含む居住空間と、玄関と第2の部屋の少なくとも一部とを含む居住空間と、に分割できる。したがって、将来的に居住空間を二つに分割する場合に、分割後の居住空間に出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略でき、改装にかかるコストを低く抑えられる。
【0047】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、第1の部屋と第2の部屋とを連通させる箇所で居住空間を分割した場合に、分割後の一方の居住空間側で、玄関をそのまま流用できる。また、玄関を含む分割後の居住空間において、広い床面積を確保できる。
【0048】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、居住空間を分割する場合に、水廻設備を第1の部屋に設置するものとしても、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストを少なく抑えられる。
【0049】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様の効果が得られるのは勿論のこと、居住空間を分割する場合に、水廻設備を第2の部屋に設置するものとしても、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストを少なく抑えられる。
【0050】
請求項5記載の発明によれば、間仕切り壁を設けるだけで、容易に二つの居住空間に分割できる。また、分割後の二つの居住空間それぞれに、勝手口および玄関と、少なくとも一つの部屋の一部とをそれぞれ分配できるので、分割後の居住空間に出入り口や部屋を新たに施工する手間を省略でき、改装にかかるコストを低く抑えることができる。請求項6記載の発明によれば、分割後の居住空間に水廻り設備を設置する際に、水廻管の配管工事を行う必要がないので、改装時にかかる手間やコストをより少なく抑えられる。
また、請求項5および6に記載の発明によれば、住宅を二つの居住空間に分割して、居住空間を他の世帯に賃貸した場合に、一方の居住空間の居住者が玄関からポーチに出る際に、勝手口からポーチに出た他方の居住空間の居住者と正面からかち合うのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の住宅を示す図面であり、(a)は一階を示す間取り図、(b)は二階を示す間取り図、(c)は三階を示す間取り図である。
【図2】図1中の住宅を改装した後の状態を示す図面であり、(a)は一階を示す間取り図、(b)は二階を示す間取り図、(c)は三階を示す間取り図である。
【符号の説明】
A 住宅
2 玄関(出入り口、他の一つの出入り口)
4 階段
5 勝手口(出入り口、一つの出入り口)
6 台所(第1の部屋)
7 食堂(第1の部屋)
9 小部屋(第1の部屋)
13 第1の居間(第2の部屋)
14 第2の居間(第2の部屋)
15 境界
19 便所(第2の部屋)
30 バスユニット(水廻設備)
31 洗面台(水廻設備)
32 洗濯機(水廻設備)
35 間仕切り壁
36 間仕切り壁
38a 流し台(水廻設備)
Claims (6)
- 二階建て以上の住宅において、
一階に住宅の前側から後側へ連通するカーポートが設けられ、
このカーポートの端部の右側に面して住宅の出入口である玄関が設けられ、前記カーポートの中央部の左側に面して住宅の出入口である勝手口が設けられ、
前記勝手口が設けられた一階に、この階において前記勝手口に通じるとともに、この階において前記玄関には通じない第1の部屋が設けられ、
前記勝手口が設けられた階以外の階に、前記玄関に通じるとともに前記第1の部屋に通じる第2の部屋が設けられていることを特徴とする住宅。 - 請求項1記載の住宅において、前記玄関と第2の部屋とは階段で通じていることを特徴とする住宅。
- 請求項1または2記載の住宅において、
第1の部屋が複数設けられ、少なくとも一つの第1の部屋には、将来設置される水廻設備に接続すべき水廻管が予め配設されていることを特徴とする住宅。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の住宅において、第2の部屋が複数設けられ、少なくとも一つの第2の部屋には、将来設置される水廻設備に接続すべき水廻管が予め配設されていることを特徴とする住宅。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の住宅を改装して、この住宅を二つの居住空間に分割する住宅の改装方法であって、
前記カーポートを改装して前記勝手口と玄関とに共通のポーチを施工し、
第1の部屋、第1の部屋と第2の部屋との境界、第2の部屋、の少なくとも一つに間仕切り壁を設けて、居住空間を二つに分断することを特徴とする住宅の改装方法。 - 請求項3または4記載の住宅を改装して、この住宅を二つの居住空間に分割する住宅の改装方法であって、
前記カーポートを改装して前記勝手口と玄関とに共通のポーチを施工し、
第1の部屋、第1の部屋と第2の部屋との境界、第2の部屋、の少なくとも一つに間仕切り壁を設けて、居住空間を二つに分断し、
水廻管が予め配設された部屋に、水廻設備を設置し、この水廻設備を前記水廻管に接続することを特徴とする住宅の改装方法。
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