以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が二階建てのユニット式住宅として具体化されている。ユニット式住宅は、天井梁、床梁及び柱を有してなる直方体状の建物ユニットが複数組み合わされることにより構成されている。以下においてはまず、そのユニット式住宅の概要について図1乃至図3を用いながら説明する。図1は住宅の外観を示す外観図であり、図2は住宅の一階部分の間取りを示す平面図であり、図3は二階部分の間取りを示す平面図である。
図1乃至図3に示すように、敷地11内には住宅10が設けられている。住宅10は、基礎12上に設けられた建物本体13と、その建物本体13の上方に配設された屋根部14とを備える。建物本体13は、下階部としての一階部分16と、上階部としての二階部分17とを備える二階建てとなっている。一階部分16及び二階部分17はいずれも横並びに設けられた複数の建物ユニット20により構成されている。なお、図2及び図3では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置された柱21のみを図示している。また、屋根部14は寄せ棟式の屋根により構成され、図3ではその屋根部14の外縁を二点鎖線で示している。
続いて、建物ユニット20の構成について図6を用いながら簡単に説明する。図6は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。図6に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
次に、住宅10の一階部分16及び二階部分17の間取りについて説明する。まず一階部分16の間取りについて図2に基づいて説明する。
図2に示すように、住宅10の一階部分16には、その外周部に外壁18が設けられている。外壁18には、住宅10の北側に設けられた外壁18aと、西側に設けられた外壁18bと、南側に設けられた外壁18cと、東側に設けられた外壁18dとがある。一階部分16には、それら外壁18(18a〜18d)により囲まれた内側に、複数の屋内空間が設けられている。屋内空間としては、玄関31と、玄関ホール32と、ダイニングキッチン33と、リビング34と、洗面室35と、脱衣室36と、浴室37と、トイレ38と、パントリー39とが設けられている。
玄関31は、一階部分16において西側に設けられている。玄関31には玄関口41が設けられており、その玄関口41は住宅10の南面にて開口している。したがって、本住宅10では、住宅10の南面が住宅正面となっており、住宅10の奥行き方向が南北方向、住宅10の間口方向(幅方向)が東西方向となっている。玄関31は玄関口41を介してアルコーブ43(凹所)と隣接している。これにより、玄関31にはアルコーブ43より玄関口41を通じて出入りが可能とされている。また、敷地11には、アルコーブ43へ通じるアプローチ44(通路)が設けられ、そのアプローチ44が南北に延びている。
玄関31の東側には玄関ホール32が隣接しており、その玄関ホール32の東側にはダイニングキッチン33が隣接している。ダイニングキッチン33は、一階部分16において東西方向(住宅間口方向)の略中央部に設けられ、南北方向(住宅奥行き方向)に延びている。ダイニングキッチン33において、北側はキッチン空間33a、南側はダイニング空間33bとなっている。ダイニングキッチン33は、これら各空間33a,33bが連続する連続空間となっている。キッチン空間33aは北側の外壁18aに隣接しており、ダイニング空間33bは南側の外壁18cに隣接している。また、ダイニング空間33bの一部は、一階部分16と二階部分17とに跨がる吹き抜け空間となっている。
キッチン空間33aの西側には階段室42が隣接して設けられている。階段室42には二階部分17へ通じる階段45が設けられている。また、ダイニング空間33bの東側にはリビング34が隣接して設けられている。リビング34は、ダイニング空間33bひいてはダイニングキッチン33と連続する空間となっている。リビング34は、一階部分16において南東の角部に位置する角部屋となっており、東側及び南側の各外壁18c,18dにそれぞれ隣接している。なお、リビング34が居室空間に相当する。
リビング34の北側には、洗面室35と脱衣室36とが隣接して設けられている。洗面室35と脱衣室36とは東西方向に隣接しており、洗面室35が西側、脱衣室36が東側に位置している。洗面室35は、その西側に隣接するキッチン空間33aに出入口46を介して出入り可能とされ、また脱衣室36に出入口47を介して出入り可能とされている。また、脱衣室36は東側の外壁15dに隣接している。
洗面室35の北側にはトイレ38とパントリー39とが隣接して設けられている。トイレ38には洗面室35から出入り可能とされ、パントリー39へはキッチン空間33aから出入り可能とされている。また、脱衣室36の北側には浴室37が隣接して設けられている。浴室37は、一階部分16において北東の角部に位置し、脱衣室36から出入り可能となっている。
また、一階部分16には、上述した各屋内空間31〜39の他に、外壁18の屋外側に隣接してテラス空間49が設けられている。このテラス空間49の説明については後述することとする。
続いて、二階部分17の間取りについて図3に基づいて説明する。
図3に示すように、二階部分17には、その外周部に外壁19が設けられており、その外壁19により囲まれた内側には複数の屋内空間が設けられている。屋内空間としては、居室51と、客室52(ゲストルーム)と、書斎53と、トイレ54と、収納室55と、廊下56とが設けられている。
居室51は、二階部分17において東側に設けられ、南北に延びる空間となっている。居室51は、その北側がベッド等が置かれた寝室空間51a、その南側がソファ等が置かれたリビング空間51bとなっている。リビング空間51bは二階部分17において南東の角部に位置し、一階部分16のリビング34上方(真上)に位置している。
二階部分17には、各屋内空間51〜55の他に、外壁19の屋外側に隣接してバルコニー58,59が設けられている。これらバルコニー58,59のうち、バルコニー58は二階部分17の北側に設けられ、バルコニー59は二階部分17の東側と南側とに跨がって設けられている。具体的には、バルコニー59は、リビング空間51bの東側と南側とに跨がって平面視L字状に形成され、床面を形成するバルコニー床部61と、そのバルコニー床部61の周縁部に立設される手摺部62とを有している。
次に、一階部分16におけるテラス空間49及びその周辺の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、テラス空間49は、屋外にデッキ49a(床部)が敷設されることにより形成された床上空間となっている。テラス空間49では、その床面が一階部分16の各屋内空間31〜39の床面と略同じ高さ位置に設定されている。なお、テラス空間49を形成する床部としては、デッキ以外にタイルやコンクリート床等を用いてもよい。
テラス空間49は、一階部分16の東側と南側とに跨がって平面視L字状に形成されている。テラス空間49は、一階部分16の東側ではリビング34と脱衣室36とに跨がって南北方向に延びており、一階部分16の南側ではリビング34とダイニングキッチン33(詳しくはダイニング空間33b)とに跨がって東西方向に延びている。
テラス空間49は、外壁18dを隔ててリビング34及び脱衣室36と隣接している。外壁18dには、リビング34とテラス空間49とを連通する窓部65が設けられている。この窓部65によりリビング34の通風性や採光性が確保されている。また、窓部65は掃き出し窓からなり、この窓部65を通じてリビング34とテラス空間49との間の出入りが可能となっている。なお、窓部65が「出入口」に相当する。また、窓部65には、ガラス戸66(引き戸)が設けられている。
外壁18dには、脱衣室36とテラス空間49とを連通する出入口68が設けられている。この出入口68を通じて脱衣室36とテラス空間49との間の出入りが可能となっている。また、出入口68には、出入口扉69(引き戸)が設けられている。
テラス空間49は、外壁18cを隔ててリビング34及びダイニングキッチン33と隣接している。外壁18cには、リビング34とテラス空間49とを連通する窓部71が設けられている。この窓部71によりリビング34の通風性や採光性が確保されている。また、窓部71は掃き出し窓からなり、この窓部71を通じてリビング34とテラス空間49との間の出入りが可能となっている。なお、窓部71が「出入口」に相当する。また、窓部71にはガラス戸72が設けられている。
外壁18cには、ダイニングキッチン33(詳しくはダイニング空間33b)とテラス空間49とを連通する窓部73が設けられている。この窓部73によりダイニングキッチン33の通風性や採光性が確保されている。また、窓部73は掃き出し窓からなり、この窓部73を通じてダイニングキッチン33とテラス空間49との間の出入りが可能となっている。また、窓部73にはガラス戸74が設けられている。
ところで、テラス空間49は、その一部が二階部分17のバルコニー59により上方から覆われており、その覆われた空間がバルコニー下空間76となっている。以下においては、そのバルコニー下空間76周辺の構成について図1に加え図4を用いて説明する。図4は、バルコニー下空間76周辺の構成を拡大して示す平面図である。なお、図4では、バルコニー下空間76の外縁を点線で示している。また、図4では便宜上、バルコニー59(バルコニー床部61)の外縁を一点鎖線で示している。
図1及び図4に示すように、リビング34には、その2面に南側の外壁18cと東側の外壁18dとが設けられている。これら各外壁18c,18dは平面視にてL字状に配置され、それらの外壁18c,18dにより一階部分16の出隅85が形成されている。また、各外壁18c,18dのうち、外壁18cは、リビング34に面した外壁部分81と、ダイニングキッチン33に面した外壁部分82とを有し、それら各外壁部分81,82の位置が壁厚み方向(屋内外方向)において互いに相違している。詳しくは、外壁部分81が外壁部分82よりも壁厚み方向(屋内外方向)にて屋外側(南側)に位置している。なお、この場合、外壁18c(詳しくは外壁18cの外壁部分81)が第1外壁部に相当し、外壁18dが第2外壁部に相当する。
バルコニー59のバルコニー床部61は各外壁18c,18dから屋外側に張り出した張出部61aを有している。この張出部61aによりテラス空間49の一部は上方から覆われており、その張出部61aにより覆われた空間部が上記バルコニー下空間76となっている。なお、バルコニー下空間76が張出下空間に相当する。
バルコニー下空間76は、各外壁18c,18dに沿って平面視L字状に形成されている。バルコニー下空間76を挟んで外壁18dと対向する位置には壁体77が設けられている。この壁体77は、バルコニー下空間76と屋外とを仕切るように設けられ、バルコニー床部61(詳しくは張出部61a)を介して外壁18dと接続されている。この場合、バルコニー下空間76において外壁18dと壁体77との間の空間76aは外壁18dに沿って延びる第1空間部76aとなっている。この第1空間部76aは、各壁18d,77の壁幅方向における両側がそれぞれ開口しており、上記壁幅方向に通り抜け可能となっている。
壁体77には、その一部に開口部78が設けられている。開口部78は、バルコニー下空間76の床面から上方に延びる矩形の開口となっている。開口部78は、バルコニー下空間76(第1空間部76a)を挟んで窓部65と対向する位置に配置され、その横幅が窓部65と略同じとされている。開口部78の屋外側には樹木Sが植え込まれ、その樹木Sにより開口部78が屋外側から覆われている。この場合、樹木Sを介した木漏れ日が開口部78よりバルコニー下空間76に取り込まれるため、同空間76を癒やしのある空間として演出することができる。なお、壁体77には、必ずしも開口部78を設ける必要はなく、開口部78を設けないようにしてもよい。
一方、バルコニー下空間76を挟んで外壁18c(詳しくは外壁部分81)と対向する位置には壁体が設けられていない。このため、バルコニー下空間76において外壁18cと隣接した空間76b(以下、第2空間部76bともいう)は屋外に開放された開放空間となっている。第2空間部76bは、外壁18c(外壁部分81)に沿って延びており、その幅L2が第1空間部76aの幅L1よりも小さくされている(L1>L2)。
また、上記の壁体77は、外壁18c(外壁部分81)よりも屋外側(換言すると外壁18cの外面側)に延出した延出部77aを有しており、その延出部77aとバルコニー下空間76(第2空間部76b)を挟んで対向する位置には袖壁部79が設けられている。袖壁部79は、外壁18cから屋外側(南側)に向けて延びており、壁体77(延出部77a)とバルコニー床部61(詳しくは張出部61a)を介して接続されている。この場合、第2空間部76bは、袖壁部79と延出部77aとの間に形成されている。
テラス空間49は、ダイニングキッチン33(詳しくはダイニング空間33b)の南側に隣接するダイニング外空間83を有している(図2も参照)。ダイニング外空間83は、袖壁部79により第2空間部76b(ひいてはバルコニー下空間76)と仕切られている。ダイニング外空間83は、第2空間部76bよりも屋内側(北側)に凹んだ凹状部83aを有し、その凹状部83aは外壁部分82とその外壁部分82を挟んだ両側の壁部87,88とにより囲まれている。それら各壁部87,88のうち、一方が各外壁部分81,82を繋ぐ外壁部分87であり、他方が外壁部分82から屋外側に延びる袖壁部88となっている。この場合、袖壁部88により、凹状部83a(ひいてはダイニング外空間83)がアプローチ44と仕切られている。また、外壁部分87は袖壁部79と一直線に並んでいる。
なお、上述のように、テラス空間49において第2空間部76bとダイニング外空間83とは袖壁部79により互いに仕切られているが、テラス空間49は袖壁部79よりも屋外側に延出し、その延出部分において袖壁部79を回避して第2空間部76bとダイニング外空間83との間で行き来が可能となっている。
ここで、本ユニット式住宅10では、上記のバルコニー下空間76が建物ユニット20の内部空間を用いて形成されている。そこで以下では、その点に関する構成について図4に加え図5を用いながら説明する。図5において、(a)は一階部分16にてバルコニー下空間76を形成する各建物ユニット20を示す図であり、(b)は二階部分17にてそれら建物ユニット20上に設けられた建物ユニット20を示す図である。
図4及び図5(a)に示すように、バルコニー下空間76は、横並びに設けられた複数(具体的には2つ)の建物ユニット20の内部空間を用いて形成されている。これら各建物ユニット20はいずれも同じ大きさとされ、その(平面視)長手方向(ユニット長手方向)を同じ方向に向けた状態で、その短手方向(ユニット短手方向)に並べて配置されている。この場合、各建物ユニット20は、互いの桁面(長辺側の側面)同士を向き合わせた状態で配置されている。詳しくは、各建物ユニット20は、ユニット長手方向を東西方向に向けた状態で南北に並べて配置され、以下の説明では便宜上、それら南北に並ぶ各建物ユニット20のうち、北側の建物ユニット20の符号にaを付し、南側の建物ユニット20の符号にbを付す。なお、図4では、各建物ユニット20a,20bを他の建物ユニット20と区別するために、それら各建物ユニット20a,20bの柱21を黒塗りして示している。
バルコニー下空間76のうち第1空間部76aは、各建物ユニット20a,20bの内部に跨がってそれら両建物ユニット20a,20bの並ぶ方向(換言すると建物ユニット20a,20bの短手方向)に延びている。一方、第2空間部76bは、建物ユニット20bの内部において同ユニット20bの長手方向に延びている。この場合、建物ユニット20aの内部に第1空間部76aの一部が形成され、建物ユニット20bの内部に第1空間部76aの残りの一部と第2空間部76bの全部とが形成されている。なお、建物ユニット20bが「所定の建物ユニット」に相当する。
建物ユニット20aには、その短辺側の一側面部に壁体77(詳しくは壁体77の一部)が形成されている。壁体77は、その側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。また、建物ユニット20aには、その内部に外壁18dの一部が形成されている。
建物ユニット20bには、上記建物ユニット20aと同様、その短辺側の一側面部に壁体77の一部が形成されている。また、建物ユニット20bには、上記一側面部とは反対側の短辺側の側面部に袖壁部79と外壁部分87とが形成されている。これら袖壁部79と外壁部分87とはいずれも、当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。また、建物ユニット20bには、上記建物ユニット20aと同様、その内部に外壁18dの一部が形成され、さらには外壁18cの一部(詳しくは外壁部分81)が形成されている。
このように、各建物ユニット20a,20bには、バルコニー下空間76を区画形成する各種壁18c,18d,77が設けられている。これらの壁18c,18d,77は、ユニット製造工場にて予め建物ユニット20に組み付けられるようになっており、それにより、バルコニー下空間76を形成する上で現場での施工工数低減が図られている。但し、これら壁18c,18d,77のうち、いずれか一部の壁又は全部の壁を現場で建物ユニット20に組み付けるようにしてもよい。
図5(b)に示すように、二階部分17においては、各建物ユニット20a,20bのうち、建物ユニット20aの上方に建物ユニット20(以下、この符号にcを付す)が設けられている一方、建物ユニット20bの上方には建物ユニット20が設けられていない。二階部分17の建物ユニット20cは、その(平面視)短手方向の長さが一階部分16の建物ユニット20a,20bと同じであるのに対し、その(平面視)長手方向の長さが建物ユニット20a,20bよりも小さくなっている。
建物ユニット20cは、その長手方向を建物ユニット20aの長手方向と同じ方向に向けた状態で建物ユニット20aの上方に配置されている。この場合、建物ユニット20cは、その屋内側の短辺側の側面を建物ユニット20aの屋内側の短辺側の側面と揃えた状態で配置されている。したがって、建物ユニット20cは、その屋外側の短辺側の側面が建物ユニット20aの当該側面に対して屋内側に後退している(オフセットしている)。
建物ユニット20cにおいて上記オフセットされた側面を構成する各柱21はいずれも、建物ユニット20aの長辺側の天井大梁22上に配置されている。この場合、天井大梁22で柱21の荷重を受けることになる関係上、天井大梁22の下方への撓みが懸念される。このため、建物ユニット20aには、上記各柱21の下方に位置する天井大梁22の中間部にそれぞれ補助柱89が設けられ、それら補助柱89により天井大梁22の撓みが抑制されるようになっている。なお、図4及び図5(a)では便宜上、各補助柱89を黒塗りの丸印で示している。各補助柱89は柱21と同じく角形鋼よりなり、天井大梁22と床大梁23とを上下に繋いでいる。また、各補助柱89は、一階部分16の壁内に配設され、詳しくはリビング34の周囲に設けられた壁内に配設されている。この場合、各補助柱89のうち、一方の補助柱89は外壁18dの壁内に配設されている。より詳しくは、外壁18dは、その一部がリビング34側に張り出して張出部となっており、その張出部の内部に上記一方の補助柱89が配設されている。
二階部分17における各建物ユニット20a,20bの上方空間のうち、建物ユニット20cの内部には居室51(リビング空間51b)が形成され、それ以外の領域すなわち建物ユニット20cの外部にはバルコニー59が形成されている。つまり、バルコニー59は、一階部分16の建物ユニット20a,20bの天井部上に形成され、それら建物ユニット20a,20bの天井部を構成する天井大梁22及び天井小梁25を利用してバルコニー床部61が形成されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
L字状をなす2つの外壁18c,18dから屋外側に張り出す(バルコニー床部61の)張出部61aを設け、それら2つの外壁18c,18dの屋外側には張出部61aにより上方から覆われたバルコニー下空間76を設けた。また、外壁18dとバルコニー下空間76を挟んで対向する位置に壁体77を設け、その壁体77と外壁18dとを張出部61aを介して接続した。この場合、バルコニー下空間76において外壁18dと壁体77との間の空間76a(第1空間部76a)では風を伴う降雨時等にも雨が入り込むのを抑制することができ、その結果、当該空間76aを天候に大きく左右されることなく利用することが可能となる。
その一方で、外壁18cとバルコニー下空間76を挟んで対向する位置には壁体を設けず、それによってバルコニー下空間76において外壁18cに隣接した空間76b(第2空間部76b)については屋外に開放させた。この場合、当該空間76bひいてはバルコニー下空間76を開放感のある空間とすることができる。よって、以上より、バルコニー下空間76を開放感のある空間としながらも、天候に大きく左右されることなく利用することが可能となる。
バルコニー下空間76において外壁18dと壁体77との間の空間76a(第1空間部76a)を通り抜け可能とした。これにより、当該空間76aを居住者の動線として利用する等、バルコニー下空間76の有効利用を図ることができる。
バルコニー下空間76を、その床面がリビング34の床面と略同じ高さとされた床上空間としたため、リビング34において当該リビング34の床がバルコニー下空間76にまで連続して拡がっている感覚を抱かせることができる。これにより、リビング34を開放感のある空間として演出することができる。
リビング34からバルコニー下空間76へ窓部65,71を通じて出入り可能としたため、バルコニー下空間76を利用する上で好都合となる。例えば、リビング34でくつろいでいる際に、外気に触れたくなったら、バルコニー下空間76に出て気分転換するといったことが容易となる。
二階部分17の床部の一部、具体的にはバルコニー床部61の一部を各外壁18c,18dよりも屋外側に張り出させ張出部61aとした。この場合、バルコニー下空間76の上方をバルコニー59(バルコニー空間)として利用することが可能となる。
また、二階部分17の床部の一部を張出部61aとする上記の構成では、バルコニー下空間76の天井(換言すると張出部61aの下面)がリビング34の天井と略同じ高さに配置される。このため、リビング34においては、リビング34の床に加え、リビング34の天井についてもバルコニー下空間76にまで拡がっている感覚を抱かせることができる。これにより、リビング34をより一層開放感のある空間として演出することができる。
壁体77の一部を外壁18cよりも屋外側に延出させて延出部77aとし、バルコニー下空間76を挟んで延出部77aと対向する位置に外壁18cから屋外側に延びる袖壁部79を設けた。この場合、バルコニー下空間76において外壁18cに隣接した空間76b(第2空間部76b)が、壁体77の延出部77aと袖壁部79との間に挟まれた空間となる。そのため、バルコニー下空間76(第2空間部76b)を開放感のある空間としながらも、その利用に際し一定のプライバシ性を確保することができる。
また、テラス空間49に、袖壁部79により第2空間部76b(バルコニー下空間76)と仕切られたダイニング外空間83を設けたため、バルコニー下空間76とダイニング外空間83とをそれぞれ異なる目的で相互のプライバシを確保しながら利用することが可能となる。なお、テラス空間49が半屋外空間に相当し、ダイニング外空間83が張出下空間(バルコニー下空間76)に隣接する張出下隣接空間に相当する。
外壁18dと壁体77との間にある第1空間部76aを第2空間部76bよりも幅広に形成したため、第1空間部76aの開放感ひいてはバルコニー下空間76の開放感が低下するのを抑制することができる。また、第1空間部76a及び第2空間部76bをいずれも幅広に形成することも考えられるが、その場合、バルコニー下空間76全体が広くなるため、それに伴い住宅10内部の居住スペースの狭小化を招くおそれがある。その点、上記の構成によれば、居住スペースの狭小化を招くことなく、バルコニー下空間76の開放感が低下するのを抑制することができる。
バルコニー下空間76を建物ユニット20a,20bの内部空間を用いて形成し、そのうち建物ユニット20bの内部には第1空間部76aの一部と第2空間部76b(の全部)とを形成した。また、建物ユニット20b内にて、第1空間部76aの一部を同ユニット20bの短手方向に延びる向きで形成し、第2空間部76bを同ユニット20bの長手方向に延びる向きで形成した。この場合、第1空間部76aを幅広、第2空間部76bを幅狭とする上述の構成を建物ユニット20内で実現する上で好ましい構成といえる。
建物ユニット20a,20bの側面部(詳しくは短辺側の側面部)に壁体77を形成した。この場合、建物ユニット20a,20bの当該側面部を構成する柱21や大梁22,23を上手く利用しながら壁体77を形成することができる。
また、建物ユニット20bにおける上記側面部とは反対側の側面部(詳しくは短辺側の側面部)に袖壁部79を形成した。この場合、建物ユニット20bの当該側面部を構成する柱21や大梁22,23を上手く利用しながら袖壁部79を形成することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、第1空間部76aの幅L1を第2空間部76bの幅L2よりも大きくしたが、第1空間部76aの幅L1を第2空間部76bの幅L2と同じか又はそれより小さくしてもよい。ただ、そうすると、第1空間部76aの開放感が大きく低下するおそれがあるため、その点を鑑みると、第1空間部76aの幅L1は第2空間部76bの幅L2よりも大きくするのが望ましい。
(2)上記実施形態では、第2空間部76bを挟んだ両側に延出部77aと袖壁部79とを設けたが、これら延出部77a及び袖壁部79のうちいずれか一方又は両方を設けないようにしてもよい。その場合、第2空間部76bをより開放感のある空間とすることができる。
(3)上記実施形態では、第1空間部76aを建物ユニット20の短手方向に延びる向きで形成し、第2空間部76bを建物ユニット20の長手方向に延びる向きで形成したが、これを逆にして、第2空間部76bを建物ユニット20の短手方向に延びる向きで形成し、第1空間部76aを建物ユニット20の長手方向に延びる向きで形成してもよい。この場合、第2空間部76bが例えば2つの建物ユニット20に跨がって形成される。
(4)上記実施形態では、バルコニー下空間76(張出下空間)を形成する2つの建物ユニット20a,20bのうち、建物ユニット20aの上方にのみ建物ユニット20cを配置したが、各建物ユニット20a,20bの両方にそれぞれ建物ユニット20を配置してもよい。その場合の例を図7に示す。図7では(a)が一階部分16、(b)が二階部分17における建物ユニット20の配置を示している。
図7(a)に示すように、本例では、一階部分16において、隣接する2つの建物ユニット20a,20bの内部に居室91と張出下空間92とが形成されている。また、図7(b)に示すように、二階部分17において、これら各建物ユニット20a,20bの上方にはそれぞれ建物ユニット20c,20cが設けられている。これら各建物ユニット20c,20dはいずれも建物ユニット20a,20bと同じ大きさとされている。それら各建物ユニット20c,20dの内部には両建物ユニット20c,20dに跨がって居室93が形成されている。居室93ひいては居室93の床部95は、各外壁18c,18dから屋外側に張り出しており、その張り出した張出部95aにより張出下空間92が上方から覆われている。また、張出部95aにより、外壁18cと壁体77とが接続されている。かかる構成では、張出下空間92の上方を居室空間として利用することができる。
(5)上記実施形態では、バルコニー下空間76を2つの建物ユニット20a,20bを用いて形成したが、図8に示すように、バルコニー下空間を一の建物ユニットを用いて形成してもよい。図8の例では、バルコニー下空間97が、各建物ユニット20a,20bのうち、屋外側(南側)の建物ユニット20bのみを用いて形成されている。この場合、バルコニー下空間97のうち、第2空間部97bについては上記実施形態の第2空間部76bと同じ大きさで形成されている一方、第1空間部97aについては一の建物ユニット20bにより形成している関係上、上記実施形態の第1空間部76aよりも短く形成されている。かかる構成によれば、バルコニー下空間97を一の建物ユニット20により形成できるため、バルコニー下空間97を形成する上で施工面等において有利とすることができる。
また、図8の例では、各建物ユニット20a,20bの内部空間のうち、バルコニー下空間97を除く領域に居室98が形成されている。バルコニー下空間97において、第1空間部97aの先端部(反第2空間部97b側の先端部)には、居室98と第1空間部97aとを仕切る仕切壁99が設けられている。この場合、その仕切壁99により、第1空間部97aが通り抜け不能とされている。ただ、この場合でも、バルコニー下空間97に、第1空間部97aと第2空間部97bとが設けられていることで、上記実施形態と同様、バルコニー下空間97を開放感のある空間としながら、天候に大きく左右されることなく利用することが可能となる。
(6)上記実施形態では、バルコニー下空間76の全部を建物ユニット20の内部に形成したが、バルコニー下空間76の一部又は全部を建物ユニット20の外部に形成してもよい。
(7)上記実施形態では、各窓部65,71をいずれも出入り可能な出入口としたが、各窓部65,71のうちいずれか一方又は両方を出入口ではない(出入り不能な)窓部としてもよい。その場合でも、窓部65,71を通じてリビング34からバルコニー下空間76を見通せるため、リビング34において開放感のある空間を演出することができる。
(8)上記実施形態では、各外壁18c,18d(換言するとバルコニー下空間76)の内側に隣接する屋内空間をリビング34(居室空間)としたが、かかる屋内空間を浴室や収納室等、居室空間以外の空間としてもよい。
(9)住宅10におけるバルコニー下空間76周辺の間取りは必ずしも上記実施形態の間取りに限定されない。例えば、図9に示すような間取りとしてもよい。同図9に示す住宅100では、各外壁18c,18dの内側にリビングダイニング101が設けられ、そのリビングダイニング101の北側にキッチン102が連続して設けられている。キッチン102の東側にはパントリー103が設けられている。キッチン102からパントリー103へは出入口105を介して出入りが可能となっている。パントリー103には、食品や日用品等を収納可能な収納棚103aが設けられている。共働きの家庭等では、週末の買い溜めや、ネット注文が多くなると考えられるが、その場合、パントリー103にて食品や日用品をストックすることが可能となる。また、買い溜めやネット注文をすると、それを収容していた段ボールの置き場に困ると考えられるが、その場合、パントリー103を段ボールの仮置き場所として利用することが可能となる。
パントリー103は、バルコニー下空間76の第1空間部76aの北側に隣接した位置にあり、パントリー103から第1空間部76aへは出入口107を介して出入りが可能となっている。この場合、出入口107をいわゆる勝手口として利用することができ、例えば屋外にゴミ出しする際には、この出入口107を通じてパントリー103からバルコニー下空間76に出て、同空間76を通ってゴミ出しすることが可能となる。つまり、バルコニー下空間76をゴミ出し動線として利用することが可能となる。また、バルコニー下空間76をパントリー103と同様、食品や日用品をストックする場所として利用したり、段ボールの仮置き場所として利用したりすることも可能となる。
このように、上記の住宅100では、キッチン102が玄関31から遠い間取りであってもゴミ出し動線を確保しつつ、食品や日用品をストックするストック場所や、段ボール等の仮置き場所を屋内外に確保することが可能となる。
(10)例えば、図10に示す住宅に本発明を適用してもよい。図10に示す住宅110には、一階部分16に南向きの居室111が設けられている。この居室111は高齢者の滞在する部屋となっており、その居室111の二面には外壁114a,114bがL字状に設けられている。また、居室111の南側には縁側112が設けられ、その縁側112の上方が縁側空間113となっている。縁側空間113と居室111とは外壁114aにより仕切られている。また、外壁114aには、居室111から縁側112へ出入りするための出入口115が設けられている。なお、縁側空間113は、その南側が屋外に開放された開放空間となっており、縁側空間113を挟んで外壁114aと対向する位置には壁体が設けられていない。なお、外壁114aが第2外壁部に相当し、外壁114bが第1外壁部に相当する。また、居室111が居室空間に相当する。
居室111の西側には、玄関116に通じるアプローチ117が設けられている。アプローチ117は外壁114bにより居室111と仕切られている。アプローチ117は、外壁114bに沿って延びており、その端部側で縁側空間113と隣接している。また、アプローチ117を挟んで外壁114bと対向する位置には壁体118が設けられている。
アプローチ117と縁側空間113とは全体として平面視L字状をなしている。図示は省略するが、二階部分17の床部は、その一部が各外壁114a,114bよりも屋外側に張り出して張出部となっており、その張出部によりアプローチ117及び縁側空間113が上方から覆われている。したがって、この場合、これらアプローチ117及び縁側空間113により張出下空間119が形成されている。なお、縁側空間113は縁側112上の床上空間となっているが、アプローチ117は床上空間とはなっていない。
かかる構成においても、張出下空間119において、外壁114aと壁体118との間の空間(第1空間部に相当)では、風を伴う降雨時等にも雨が入り込むのを抑制することができるため、当該空間を天候に大きく左右されることなく利用することが可能となる。また、縁側空間113(第2空間部に相当)については開放感のある空間とすることができる。よって、この場合にも、張出下空間119を開放感のある空間としながら、天候に大きく左右されることなく利用することが可能となる。
(11)上記実施形態では、バルコニー下空間76(張出下空間)を上方から覆う張出部として、二階部分17の床部(具体的にはバルコニー床部61)の一部を用いたが、かかる張出部としては必ずしも床部を用いる必要はない。例えば、外壁18c,18dから屋外側に張り出すように庇部を設け、その庇部を張出部としてもよい。また、庇部を設ける場合、屋根部14の高さに設けてもよい。その場合、それに応じて、庇部と接続される壁体77の上下高さを高くする必要がある。
(12)上記実施形態では、本発明の住宅をユニット式住宅としたが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された住宅としてもよい。