〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が平屋建てとされており、その住宅が複数の建物ユニットが組み合わされて構築されるユニット式住宅となっている。また、本実施形態では、この住宅に居住者として夫婦と子供とからなる4人家族が居住している場合を想定している。なお、図1は住宅の外観を示す外観図であり、図2は住宅の間取りを示す平面図である。
図1及び図2に示すように、敷地11内には住宅10が設けられている。住宅10は、基礎12上に設けられた建物本体13と、その建物本体13の上方に配設された屋根部14とを備える。建物本体13は、水平方向に並設された複数の建物ユニット20が互いに連結されることにより構成されている。なお、図2では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。
図4は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。同図4に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
図1及び図2の説明に戻り、建物本体13は、平面視において略矩形形状をなしており、その外周部には外壁15が設けられている。外壁15には、住宅10の北側に設けられた外壁15aと、西側に設けられた外壁15bと、南側に設けられた外壁15cと、東側に設けられた外壁15dとがある。なお、図1は、住宅10を西側から見た外観図となっている。
屋根部14は、切り妻式の屋根となっている。屋根部14において外壁15よりも屋外側に張り出した部分は軒部17となっている。軒部17は、外壁15周りの全域に亘って連続して形成されている。なお、図2では便宜上、屋根部14の外縁(換言すると軒部17の軒先)を二点鎖線(仮想線)で示している。
住宅10には、外壁15により囲まれた内側に複数の屋内空間が設けられている。屋内空間としては、玄関31と、廊下32と、リビングダイニング(LD)33と、キッチン34と、寝室35〜37と、トイレ38と、浴室39と、洗面室41とが設けられている。
玄関31は住宅10の南側に設けられ、廊下32と隣接している。玄関31には玄関口43が設けられ、その玄関口43は住宅10の南面にて開口している。したがって、本住宅10では、住宅10の南面が住宅正面となっている。また、玄関31は、玄関口43を介してアルコーブ46と隣接している。この場合、玄関31にはアルコーブ46(ひいては屋外)より玄関口43を通じて出入りできるようになっている。また、敷地11内には、敷地11へ出入りするための出入部48から玄関31へと通じるアプローチ49(通路)が設けられ、そのアプローチ49の端部がアルコーブ46となっている。
リビングダイニング33は、住宅10の間口方向(東西方向)における中央部に設けられている。リビングダイニング33は、南北に延びる空間となっており、その南側がリビング空間33a、その北側がダイニング空間33bとなっている。リビング空間33aは南側の外壁15cに隣接しており、ダイニング空間33bは北側の外壁15aに隣接している。また、リビング空間33aは屋根部14の高さまで延びる吹き抜け空間となっている。
リビングダイニング33は、居住者が滞在する場として利用される他に、友人や知人等の訪問者(非居住者)が住宅10を訪れた際にその訪問者を招き入れる接客の場としても利用される。したがって、リビングダイニング33は、居住者の滞在だけでなく非居住者の滞在(立ち入り)も許容されたパブリック空間となっている。
キッチン34は、ダイニング空間33bの西側に隣接しており、ダイニング空間33b(ひいてはリビングダイニング33)と連続する空間となっている。また、キッチン34の西側には、トイレ38、浴室39及び洗面室41といった水廻り空間が設けられている。
寝室35は、リビング空間33aの西側に隣接しており、仕切壁47によりリビング空間33aと仕切られている。寝室35は、住宅10において南西の角部に位置し、西側及び南側の各外壁15b,15cに隣接している。また、寝室35は、親用の主寝室となっている。このため、寝室35には、居住者の(詳しくは親のみ)滞在(立ち入り)が許容されている一方、非居住者の滞在(立ち入り)については許容されていない。したがって、寝室35は、居住者のみ滞在が許容されるプライベート空間となっている。
各寝室36,37は、住宅10の東側に設けられている。この場合、寝室36が北側、寝室37が南側に位置している。これらの寝室36,37は子供用の寝室となっている。
住宅10には、上述した各屋内空間の他に、外壁15の屋外側に隣接して複数のテラス空間51〜53が設けられている。これらのテラス空間51〜53はいずれも屋外にデッキ51a〜53aが敷設されることにより形成された床上空間となっている。このため、各テラス空間51〜53では、その床面が地上面よりも高い位置に設定されている。なお、屋外に敷設される床部としてはデッキ以外に、タイルやコンクリート床等を用いてもよい。
各テラス空間51〜53のうち、テラス空間51は住宅10の南側に設けられている。テラス空間51は、リビングダイニング33(詳しくはリビング空間33a)の南側と玄関31の南側と寝室37の南側とに跨がって形成されている。テラス空間51では、その床面を形成するデッキ51aがタイルデッキとされている。
テラス空間51はリビングダイニング33(リビング空間33a)と南側の外壁15cを隔てて隣接している。外壁15cには、リビングダイニング33とテラス空間51とを連通する開口部55(第2開口部に相当)が設けられている。この場合、この開口部55を通じてパブリック空間であるリビングダイニング33からテラス空間51への出入りが可能となっている。これにより、友人等の訪問者が訪れた際には、その訪問者をテラス空間51へ招いて食事をする等、同空間51をパブリックな目的で利用することが可能となっている。
開口部55は、掃き出し窓により構成され、その開口幅がリビングダイニング33の幅(東西方向の長さ)の半分以上(詳しくは2/3以上)とされた大開口となっている。これにより、リビングダイニング33の採光性や通風性が大いに高められている。また、開口部55には、当該開口部55を開閉するガラス戸56(折り戸)が設けられている。
テラス空間52は、住宅10の南側と西側とに跨がって設けられている。テラス空間52は、寝室35の南側及び西側と洗面室41の西側とに跨がって形成されている。テラス空間52では、その床面を形成するデッキ52aがウッドデッキとされている。
テラス空間52は、寝室35と南側の外壁15cを隔てて隣接している。外壁15cには、寝室35とテラス空間52とを連通する開口部58(第1開口部に相当)が設けられている。この場合、この開口部58を通じてプライベート空間である寝室35からテラス空間52への出入りが可能となっている。これにより、居住者はテラス空間52で読書をする等、同空間52をプライベートな目的で利用することが可能となっている。
開口部58は、掃き出し窓により構成され、その開口幅が寝室35の幅(東西方向の長さ)の半分以上(詳しくは2/3以上)とされた大開口となっている。これにより、寝室35の採光性や通風性が大いに高められている。また、開口部58には、当該開口部58を開閉するガラス戸59(引き戸)が設けられている。
テラス空間52は、住宅10の南側でテラス空間51と隣接している。それら各テラス空間51,52は東西方向(住宅10の間口方向)に隣接しており、換言すると、リビングダイニング33と寝室35とが隣接する隣接方向と同方向に隣接している。この場合、各テラス空間51,52の境界部は、上記隣接方向にてリビングダイニング33及び寝室35の境界部と同位置に設定されている。
テラス空間53は、住宅10の北側に設けられている。テラス空間53は、リビングダイニング33(詳しくはダイニング空間33b)の北側に設けられ、換言するとリビングダイニング33を挟んでテラス空間51とは反対側に設けられている。テラス空間53では、その床面を形成するデッキ53aがウッドデッキとなっている。
テラス空間53は、リビングダイニング33(ダイニング空間33b)と北側の外壁15aを隔てて隣接している。外壁15aには、リビングダイニング33とテラス空間53とを連通する開口部61(第3開口部に相当)が設けられている。この場合、この開口部61を通じてパブリック空間であるリビングダイニング33からテラス空間53への出入りが可能となっている。これにより、友人等の訪問者が訪れた際には、その訪問者をテラス空間53へ招いて同空間53をパブリックな目的で利用することが可能となっている。
開口部61は、掃き出し窓により構成され、その開口幅がリビングダイニング33の幅(東西方向の長さ)の半分以上(詳しくは2/3以上)とされた大開口となっている。これにより、リビングダイニング33の採光性や通風性が大いに高められている。また、開口部61には、当該開口部61を開閉するガラス戸62(引き戸)が設けられている。
テラス空間51は、その一部が屋根部14の軒部17の下方に形成された軒下空間65となっている。また、テラス空間52も、その一部が軒部17の下方に形成された軒下空間66となっている。各テラス空間51,52では、このような軒下空間65,66が設けられていることから、雨や日射等を遮りながら過ごすことが可能となっている。ここで、以下においては、これら各軒下空間65,66の周辺の構成について図3を用いながら説明する。図3は、軒下空間65,66の周辺を拡大して示す平面図である。なお、この場合、軒下空間65が第2軒下空間に相当し、軒下空間66が第1軒下空間に相当する。
図3に示すように、各軒下空間65,66はそれぞれ建物ユニット20の内部空間を用いて形成されている。各軒下空間65,66はそれぞれ別々の建物ユニット20の内部空間を用いて形成されており、以下においては軒下空間65を形成する建物ユニット20の符号にaを付し、軒下空間66を形成する建物ユニット20の符号にbを付す。なお、この場合、建物ユニット20aが第2ユニットに相当し、建物ユニット20bが第1ユニットに相当する。また、図3では、これら各建物ユニット20a,20bを他の建物ユニット20と区別するため、それら各建物ユニット20a,20bの柱21を黒塗りで示している。
各建物ユニット20a,20bは、住宅間口方向(東西方向)に並べて設けられており、互いの妻面(短辺側の側面)同士を向き合わせた状態で配置されている。また、各建物ユニット20a,20bは、互いの境界部が住宅間口方向において各テラス空間51,52(換言すると各軒下空間65,66)の境界部と同位置となるように配置されている。各建物ユニット20a,20bは、その短辺方向の一部が外壁15cよりも屋外側に張り出した状態で配置され、その張り出した部分がそれぞれユニット張出部28a,28bとなっている。ユニット張出部28a,28bは、建物ユニット20a,20bにおける短辺方向の略半分が屋外側に張り出すことで形成されている。この場合、各建物ユニット20a,20bの内部には、それら両ユニット20a,20bに跨がって外壁15cが延びており、その外壁15cが両建物ユニット20a,20bの短辺方向の中央部に位置している。
各建物ユニット20a,20bのユニット張出部28a,28b上には屋根部14の軒部17が配設されている(図1も参照)。図示は省略するが、軒部17は、各建物ユニット20a,20b(ユニット張出部28a,28b)の天井梁22,25により支持された状態で配設され、その配設状態で一部がユニット張出部28a,28bよりも屋外側に張り出している。
ユニット張出部28aの内部空間は軒部17の下方となる空間となっており、その空間を含んで上記軒下空間65が形成されている。また、これと同様に、ユニット張出部28bの内部空間も軒部17の下方となる空間となっており、その空間を含んで上記軒下空間66が形成されている。これら各軒下空間65,66は、各建物ユニット20a,20bの境界部にて互いに隣接している。
各軒下空間65,66の間には、それら両軒下空間65,66を仕切る仕切壁67が設けられている。仕切壁67は、外壁15cから屋外側に向けて延びており、各建物ユニット20a,20b(各ユニット張出部28a,28b)の境界部に沿って配設されている。仕切壁67は、各ユニット張出部28a,28bにおいて互いに対向する各側面部(詳しくは柱21,天井大梁22や床大梁23等)に壁面材が取り付けられる等して構成されている。なお、この場合、仕切壁67が仕切体に相当する。
上記のように、各軒下空間65,66が仕切壁67により仕切られていることから、各軒下空間65,66では、互いに隣接しているにも関わらず相互に視線や音等を遮ることが可能となっている。また、各軒下空間65,66の境界部であって仕切壁67よりも屋外側には植栽63(植物)が植え込まれており、その植栽63によっても両軒下空間65,66が互いに仕切られている。したがって、各軒下空間65,66は、仕切壁67と植栽63とによって、両空間65,66の境界部全域に亘って仕切られている。
ユニット張出部28aにおいて仕切壁67と対向する側の側面には壁体が設けられておらず、それによって当該側面にはユニット張出部28aの内外を連通する開口部68aが形成されている。この開口部68aは、ユニット張出部28a(建物ユニット20a)の当該側面に配設される柱21、天井大梁22及び床大梁23と、外壁15cとにより囲まれた内側領域により形成されている。また、ユニット張出部28aにおいて外壁15cと対向する側の側面にも、同様に壁体が設けられておらず、それによって当該側面にはユニット張出部28aの内外を連通する開口部68bが形成されている。したがって、ユニット張出部28aの内部空間は仕切壁67が設けられていない2つの側面においてそれぞれ開口部68a、68bを介して外部(屋外)に開放されている。なお、ユニット張出部28aの各開口部68a、68bの間に配設された柱21は、その周囲に化粧板が配設されて化粧柱84となっている。
一方、ユニット張出部28bにおいても、上記ユニット張出部28aと同様、仕切壁67と対向する側の側面に壁体が設けられておらず、それによって当該側面にはユニット張出部28bの内外を連通する開口部69aが形成されている。この開口部69aは、ユニット張出部28b(建物ユニット20b)の当該側面に配設される柱21、天井大梁22及び床大梁23と、外壁15cとにより囲まれた内側領域により形成されている。また、ユニット張出部28bにおいて外壁15cと対向する側の側面にも、壁体が設けられておらず、それによって当該側面にはユニット張出部28bの内外を連通する開口部69bが形成されている。したがって、ユニット張出部28bの内部空間も仕切壁67が設けられていない2つの側面にてそれぞれ開口部69a、69bを介して外部(屋外)に開放されている。なお、ユニット張出部28bの各開口部69a、69bの間に配設された柱21は、その周囲に化粧板が配設されて化粧柱92となっている。
ここで、上記各軒下空間65,66のうち、パブリック側の軒下空間65には、敷地11内のアプローチ49からも出入りができるようになっている(図2参照)。すなわち、アプローチ49と軒下空間65とは互いに隣接しており、それら隣接部分を介してアプローチ49から軒下空間65へ出入りができるようになっている。図2には、出入部48からアプローチ49を経由して軒下空間65へと至る移動経路R1が矢印線で示されている。この移動経路R1は、プライベート側の軒下空間66の屋外側を経由しない経路となっている。このため、この移動経路R1に沿って軒下空間65へ出入りする際にも、軒下空間66におけるプライバシを確保することが可能となっている。
図2に示すように、テラス空間53は、一部の建物ユニット20を建物内部側に後退させることにより形成された凹状空間を含んで形成されている。テラス空間53は、その一部が軒部17の下方に形成された軒下空間64となっている。軒部17は、上記凹状空間を挟んだ両側の建物ユニット20上に架け渡されるように配設されており、それにより上記凹状空間の全域が軒部17の下方となる空間となっている。そして、当該空間(要するに凹状空間)の全域を含んで軒下空間64が形成されている。これにより、軒下空間64は深みを有した空間として形成されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
住宅10に、軒下空間として、プライベート空間である寝室35から出入りが可能な軒下空間66と、パブリック空間であるリビングダイニング33から出入りが可能な軒下空間65とを設けた。そして、これら各軒下空間65,66の間に仕切体(仕切壁67)を設けて、その仕切体により各軒下空間65,66を互いに仕切るようにした。この場合、各軒下空間65,66を異なる目的(プライベートな目的及びパブリックな目的)で利用するにあたり、相互にプライバシの確保を図ることができる。
各軒下空間65,66を互いに隣接させることで、それら各軒下空間65,66を住宅10において同じ側に配置した。具体的には、各軒下空間65,66を日当たりのよい住宅南側に配置した。そして、各軒下空間65,66に面した外壁15cから屋外側に向けて延びるように仕切壁67を設け、その仕切壁67によって各軒下空間65,66を互いに仕切るようにした。この場合、各軒下空間65,66が隣接する構成にあっても、相互にプライバシの確保を図ることができる。
軒下空間65を、外壁15cを隔ててリビングダイニング33と隣接させ、軒下空間66を、外壁15cを隔てて寝室35と隣接させた。そして、外壁15cには、リビングダイニング33から軒下空間65への出入りが可能な開口部55と、寝室35から軒下空間66への出入りが可能な開口部58とを設けた。この場合、これらの開口部55,58のいずれをも南向きに開口させることができるため、リビングダイニング33及び寝室35(換言するとパブリック空間及びプライベート空間)のそれぞれにおいて採光性の向上を図ることができる。
各建物ユニット20a,20b上に軒部17を配設したため、これらの建物ユニット20a,20b上では深い軒部17を形成することができる。また、建物ユニット20aにおいて軒部17の下方となる空間(ユニット張出部28aの内部空間)を含んで軒下空間65を形成し、建物ユニット20bにおいて軒部17の下方となる空間(ユニット張出部28bの内部空間)を含んで軒下空間66を形成したため、この場合、各軒下空間65,66を雨に濡れにくい深みをもった空間とすることができる。
各建物ユニット20a,20bを隣接配置し、それら各建物ユニット20a,20bの境界部に沿って仕切壁67を配設した。この場合、各建物ユニット20a,20bの境界部に配置されている柱21や天井大梁22等を利用しながら比較的容易に仕切壁67を構築することができる。
各建物ユニット20a,20bにおいて仕切壁67と対向する側面に壁体を設けないことで、当該側面に開口部68a,69aを形成した。この場合、建物ユニット20a,20bを利用して軒下空間65,66を形成する構成にあって、軒下空間65,66の開放感を高めることができる。
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、住宅の間取りが上記第1の実施形態の住宅10と異なる。以下、本実施形態における住宅70の構成について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態における住宅70の間取りを示す平面図である。また、本実施形態では、住宅に居住者として高齢者の夫婦が居住している場合を想定している。
図5に示すように、敷地71内には住宅70が設けられている。住宅70は、上記第1の実施形態と同様、ユニット式の平屋建て住宅となっている。住宅70は、複数の建物ユニット20が互いに組み合わされて構築される建物本体72と、その建物本体72の上方に配設された屋根部73とを備える。建物本体72には、その外周部に外壁74が設けられている。屋根部73は、寄せ棟式の屋根となっており、外壁74よりも屋外側に張り出した部分が軒部75となっている。なお、図5では便宜上、屋根部73の外縁を二点鎖線(仮想線)で示している。
住宅10には、外壁74により囲まれた内側に複数の屋内空間が設けられている。屋内空間としては、玄関76と、LDK77と、寝室78,79と、トイレ81と、浴室82と、洗面室83とが設けられている。玄関76は、住宅70の北西の角部に設けられており、その玄関76には玄関口85が設けられている。敷地71内には、敷地71へ出入りするための出入部86(例えば門)から玄関76へ通じるアプローチ87(通路)が設けられ、そのアプローチ87から玄関76に玄関口85を通じて出入りすることが可能となっている。
LDK77は、リビングとダイニングとキッチンとが連続する連続空間であり、住宅10の東側に設けられている。LDK77は、南北に延びる空間となっており、北側の外壁74aから南側の外壁74cにかけて延びている。また、LDK77では、リビング、ダイニング、キッチンがこの順で南から北に向けて配置されている。LDK77は、居住者が滞在する場として利用されている一方、居住者以外の者の滞在(立ち入り)を想定しない空間となっている。すなわち、本実施形態では、LDK77が、居住者のみ滞在が許容されたプライベート空間となっている。
寝室78,79はLDK77の西側に隣接しており、南北に並んで配置されている。各寝室78,79は、互いに仕切壁91によって仕切られているとともに、LDK77と仕切壁88,89によって仕切られている。寝室78,79は、居住者の主寝室として利用される他、居住者を介護する際の介護寝室としても利用される。寝室78,79が介護寝室として利用される際には、介護者が寝室78,79に立ち入って居住者を介護することになる。このため、本実施形態では、寝室78,79が、居住者の滞在だけでなく非居住者の滞在(立ち入り)も許容されたパブリック空間となっている。
各寝室78,79の西側には廊下93(縁側)が設けられている。廊下93は、南北に延びており、西側の外壁74bに隣接している。各寝室78,79と廊下93との間にはそれぞれ開口部94,95が設けられている。この場合、廊下93から各寝室78,79へそれぞれ開口部94,95を介して出入りが可能となっている。また、介護者が居住者の介護のために寝室78,79へ出入りする際には廊下93を通って出入りすることになるため、この場合、廊下93も非居住者の滞在(立ち入り)が許容されたパブリック空間となっている。
住宅10において、パブリック空間(各寝室78,79及び廊下93)を構成する建物部分Xと、プライベート空間(LDK77)を構成する建物部分Yとは東西方向に互いに隣接している。この場合、それら各建物部分X,Yのうち、建物部分Xについてはその一部が建物部分Yよりも屋外側に張り出しており、その張り出した部分が張出部96となっている。
住宅70には、外壁74の屋外側に隣接してテラス空間97が設けられている。テラス空間97は、住宅70の南側と西側とに跨がって設けられている。テラス空間97は、屋外にデッキ97a(詳しくはウッドデッキ)が敷設されることにより形成された床上空間となっており、その床面が地上面よりも高い位置に設定されている。なお、屋外に敷設される床部としてはデッキ以外に、縁側やコンクリート床等を用いてもよい。
テラス空間97は、LDK77の南側から寝室78,79(廊下93)の西側にかけて平面視L字状をなすように拡がっている。この場合、テラス空間97は、張出部96の屋外側を経由して拡がっている。テラス空間97は、その張出部96を挟んだ両側にそれぞれ軒部75の下方に形成された軒下空間101,102を有している。各軒下空間101,102のうち、軒下空間101はLDK77の南側に設けられ、LDK77と外壁74cを隔てて隣接している。外壁74cには、LDK77と軒下空間101とを連通する開口部104が設けられている。この場合、この開口部104を通じてプライベート空間であるLDK77から軒下空間101への出入りが可能となっている。これにより、居住者は軒下空間101をプライベートな目的で利用することが可能となっている。なお、軒下空間101が第1軒下空間に相当する。
開口部104は、掃き出し窓により構成され、その開口幅がLDK77の幅の半分以上(詳しくは2/3以上)とされた大開口となっている。これにより、LDK77の採光性や通風性が大いに高められている。また、開口部104には、当該開口部104を開閉するガラス戸105(引き戸)が設けられている。
軒下空間102は、寝室78,79及び廊下93(パブリック空間)の西側に設けられ、廊下93と外壁74bを隔てて隣接している。外壁74bには、廊下93と軒下空間102とを連通する2つの開口部107a,107bが設けられている。これらの開口部107a,107bのうち、開口部107aが廊下93を挟んで開口部94と対向し、開口部107bが廊下93を挟んで開口部95と対向している。この場合、各開口部94,107aを通じて寝室78から軒下空間102への出入りが可能とされ、各開口部95,107bを通じて寝室79から軒下空間102への出入りが可能とされている。これにより、介護者等の訪問者が訪れた際には、居住者はその訪問者とともに軒下空間102へ出て日光浴等をすることが可能となっている。つまり、本実施形態では、軒下空間102がパブリックな目的で利用可能な空間となっている。なお、軒下空間102が第2軒下空間に相当する。
各開口部107a,107bは掃き出し窓により構成され、その開口幅が寝室78,79の幅の半分以上(詳しくは2/3以上)とされた大開口となっている。これにより、寝室78,79(及び廊下93)の採光性や通風性が大いに高められている。また、各開口部107a,107bにはそれぞれガラス戸108a,108b(折り戸)が設けられている。
また、敷地71内には、アプローチ87から軒下空間102へ通じるスロープ109が設けられている。この場合、居住者が外出する際には、例えば車椅子に載った状態で軒下空間102からスロープ109を経由して敷地71外へと移動できるようになっている。また、介護者が軒下空間102へ出入りする際には、アプローチ87とスロープ109とを経由して出入りができるようになっている。図5には、敷地71の出入部86からアプローチ87及びスロープ109を経由して軒下空間102へと至る移動経路R2が矢印線で示されている。この移動経路R2は、(プライベート側の)軒下空間101の屋外側を経由しない経路となっている。そのため、かかる移動経路R2を通じて軒下空間102へ出入りする際にも、軒下空間101におけるプライバシ性が確保されるようになっている。
上述したように、各軒下空間101,102は張出部96を挟んだ両側に配置されている。この場合、各軒下空間101,102は張出部96によって互いに仕切られた状態となっている。そのため、各軒下空間101,102では相互に視線や音(会話)等を遮ることが可能となっている。また、張出部96は、屋内空間(パブリック空間79,93)の一部を囲んで設けられる空間構成体を有しており、その空間構成体はパブリック空間79,93の周囲に配設された外壁74b,74cを含んで構成されている。なお、この場合、張出部96が仕切体に相当する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
住宅70に、軒下空間として、プライベート空間であるLDK77から出入りが可能な軒下空間101と、パブリック空間である寝室78,79(及び廊下93)から出入りが可能な軒下空間102とを設けた。また、これら各軒下空間101,102の間に張出部96を設け、その張出部96により各軒下空間101,102を互いに仕切るようにした。この場合、各軒下空間101,102を異なる目的(プライベートな目的及びパブリックな目的)で利用するにあたり、相互にプライバシの確保を図ることができる。
各軒下空間101,102を、屋内空間(詳しくはパブリック空間である寝室79及び廊下93)の一部を囲んで設けられる張出部96により仕切るようにした。この場合、各軒下空間101,102がパブリック空間79,93を挟んで隔てられることになるため、各軒下空間101,102においてプライバシの確保を大いに図ることができる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記第1の実施形態では、建物ユニット20a,20bの内部空間の一部(詳しくはユニット張出部28a,28bの内部空間)を利用して軒下空間65,66を形成したが、建物ユニット20a,20bの内部空間の全部を利用して軒下空間65,66を形成してもよい。この場合、建物ユニット20a,20bをその全体が外壁15cよりも屋外側に位置するように配置し、その建物ユニット20a,20b上に軒部17を配設すればよい。そうすれば、建物ユニット20a,20bの内部空間の全域が軒部17の下方空間となるため、ユニット内部空間の全域を含んで軒下空間65,66を形成することができる。したがって、この場合、より一層深みをもった軒下空間65,66を形成することはできる。
・上記第1の実施形態では、各軒下空間65,66を隣接させた状態で住宅10の南側に配置したが、これを変更して、各軒下空間65,66を隣接させた状態で住宅10の北側に配置してもよい。その場合、各軒下空間65,66を、日射の当たらない涼しげな空間とすることができる。また、このような構成にあっても、各軒下空間65,66を仕切壁67により仕切ることで、相互のプライバシを確保することができる。
・上記各実施形態では、本発明の住宅を平屋建て(一階建て)としたが、二階建て以上の住宅としてもよい。
・上記各実施形態では、本発明の住宅をユニット式住宅としたが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された住宅としてもよい。