以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅が二階建てのユニット式住宅とされている。図1は、その住宅の外観を示す外観図である。図2は、住宅の一階部分の間取りを示す平面図であり、図3は二階部分の間取りを示す平面図である。
図1に示すように、住宅10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その建物本体12の上方に配設された屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てとされている。一階部分14及び二階部分15はいずれも横並びに設けられた複数の建物ユニット20により構成されている。なお、図2及び図3では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。また、屋根部13は、寄せ棟式の屋根により構成されている。図3ではその屋根部13の外縁を二点鎖線で示している。
続いて、建物ユニット20の構成について図6を用いながら簡単に説明する。図6は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。図6に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
図1乃至図3の説明に戻り、建物本体12は、大きく分けて、居住空間を構成する居住部31と、車両の駐車スペース34を形成するガレージ形成部32とを備える。居住部31とガレージ形成部32とは互いに隣接して設けられ、一体化されている。以下では、これら居住部31及びガレージ形成部32のうち、まず居住部31の構成について説明する。
居住部31は、一階部分14と二階部分15とを有しており、その外周部に外壁部36を有している。居住部31において外壁部36により囲まれた内側には複数の屋内空間(居住空間)が設けられている。居住部31の一階部分14には、図2に示すように、屋内空間として、玄関41、リビング42、ダイニングキッチン43、和室44、洗面室45、浴室46等が設けられている。二階部分15には、図3に示すように、屋内空間として、主寝室51,52、洋室53、趣味室54、書斎55等が設けられている。また、居住部31には、これら屋内空間の他に、一階部分14と二階部分15とを連絡する階段部59が設けられている。
一階部分14において玄関41は北西の角部に位置している。玄関41の北側には外壁部36(以下、この外壁部36を外壁部36aという)が設けられている。この外壁部36aは東西方向に延びており、その外壁部36aにより玄関41と屋外(詳しくは後述する玄関前空間39)とが仕切られている。この外壁部36aには、玄関41と屋外(玄関前空間39)とを連通する玄関口56が設けられている。玄関口56は北向きに開口しており、この玄関口56を通じて屋外から玄関41への出入りが可能となっている。また、玄関口56には、開き戸からなる玄関ドア57が設けられている。なお、外壁部36aが特許請求の範囲に記載された「外壁部」に相当する。
また、以下の説明では、玄関口56の開口幅方向を第1方向Xともいい、玄関口56の開口する開口方向を第2方向Yともいう。第1方向Xと第2方向Yとは、平面視にて互いに直交する方向となっている。ちなみに、本実施形態では、第1方向Xが東西方向、第2方向Yが南北方向となっている。
次に、ガレージ形成部32の構成について図4及び図5に基づいて説明する。図4はガレージ形成部32周辺を拡大して示す平面図であり、図5は図1のA−A線断面図である。
図4及び図5に示すように、ガレージ形成部32は、居住部31の西側に隣接して設けられている。ガレージ形成部32は、玄関41の西側(第1方向X)に隣接して設けられた玄関隣接部37と、玄関口56に離間対向して設けられた玄関対向部38とを備える。玄関隣接部37は、南北方向に延びており、その一部が玄関口56(外壁部36a)よりも北側(第2方向Y)に延出して延出部37aとなっている。玄関対向部38は、この延出部37aから東側(第1方向X)に延びており、玄関口56に対して北側に離間して配置されている。これにより、ガレージ形成部32は、玄関隣接部37と玄関対向部38とにより平面視L字状をなしている。また、玄関対向部38と玄関口56との間には玄関前空間39が形成されている。
玄関隣接部37と玄関対向部38との大きさに関して詳しくは、玄関対向部38は、その東西方向(第1方向X)の長さ及び南北方向(第2方向Y)の長さがいずれも、玄関隣接部37の幅(第1方向Xの長さ)よりも小さくされている。また、本実施形態では、玄関対向部38における東西方向の長さと南北方向の長さとがいずれも同じ長さとされている。
ガレージ形成部32では、玄関隣接部37の内部に駐車スペース34が形成され、玄関対向部38の内部に玄関ポーチ35が形成されている。これら駐車スペース34及び玄関ポーチ35は互いに連続する連続空間となっており、全体として平面視L字状をなしている。駐車スペース34及び玄関ポーチ35は、ガレージ形成部32の屋根部61により上方から覆われている。詳しくは、駐車スペース34及び玄関ポーチ35は、その全域が屋根部61により覆われている。これにより、駐車スペース34及び玄関ポーチ35では、雨天時において雨がかかることが抑制されている。
なお、屋根部61は、居住部31の一階部分14及び二階部分15の間の境界部と略同じ高さ位置に配置されている。また、屋根部61が覆い部に相当し、その屋根部61により覆われた駐車スペース34及び玄関ポーチ35により覆い空間が構成されている。また、玄関ポーチ35が通路スペースに相当する。
本実施形態では、屋根部61の一部が陸屋根63(フラットルーフ)となっており、その陸屋根63の周縁部にはパラペット63aが設けられている(図3等参照)。陸屋根63は、玄関対向部38と玄関隣接部37とに跨がって設けられており、詳しくは玄関対向部38においてはその屋根部61全域が陸屋根63となっている。また、屋根部61において陸屋根63以外の部分は二階部分15のバルコニー64(ルーフバルコニー)となっている。つまり、当該部分では、屋根部61がバルコニー64の床部として用いられている。このバルコニー64へは、玄関41上方の書斎55から出入りが可能となっている。
駐車スペース34は、車両前後方向(車両進行方向)が南北方向(第2方向Y)とされており、1台分の車両Cを駐車することが可能となっている。駐車スペース34は、南北方向の両側においてそれぞれ屋外に開放されている。つまり、駐車スペース34の南北方向の両側はそれぞれ屋外に開放された開口部となっており、これら各開口部のうち北側の開口部65は車両Cを駐車スペース34に出入りさせるための車両出入口として用いられている。この開口部65は、玄関隣接部37と玄関対向部38とに跨がって形成された大開口とされている。これにより、この開口部65を介して、駐車スペース34に加え玄関ポーチ35も屋外に開放されている。なお、開口部65が第2出入部及び第2開口部に相当する。
駐車スペース34を挟んだ両側にはそれぞれガレージ側壁部67が設けられている。これらガレージ側壁部67は、ガレージ形成部32(詳しくは玄関隣接部37)の一部を構成しており、屋根部61とともに駐車スペース34を区画形成している。各ガレージ側壁部67のうち、ガレージ側壁部67aは、駐車スペース34に対して玄関41とは反対側に配置され、駐車スペース34を屋外と区画している。また、ガレージ側壁部67bは、駐車スペース34に対して玄関41側に配置され、駐車スペース34を玄関41及び玄関前空間39と区画している。
詳しくは、ガレージ側壁部67aは、駐車スペース34の車両進行方向の全域に亘って設けられているのに対し、ガレージ側壁部67bは駐車スペース34と玄関41との間、及び駐車スペース34と玄関前空間39との間にのみ設けられている。つまり、ガレージ側壁部67bは、駐車スペース34と玄関ポーチ35との間には設けられておらず、それにより駐車スペース34と玄関ポーチ35との間にはそれら両スペース34,35を連通する連通部68が形成されている。これにより、その連通部68を介して駐車スペース34と玄関ポーチ35との間を移動することが可能となっている。
玄関ポーチ35を挟んで連通部68とは反対側にはポーチ側壁部69が設けられている。このポーチ側壁部69は、ガレージ形成部32(詳しくは玄関対向部38)の一部を構成しており、屋根部61とともに玄関ポーチ35を区画形成している。玄関ポーチ35は、上述したように、開口部65を介して屋外に開放されている。この開口部65は、玄関ポーチ35を北向き(北側)に開放しており、換言すると玄関ポーチ35を玄関前空間39とは反対側に開放している。これにより、この開口部65を通じて屋外から玄関ポーチ35への出入りが可能となっている。また、開口部65は、ポーチ側壁部69とガレージ側壁部67aとの間に形成され、詳しくはそれら両壁部67a,69の間の全域に亘って形成されている。
玄関対向部38には、玄関ポーチ35を挟んで開口部65と対向する位置に、さらに開口部71が設けられている。この開口部71は、玄関ポーチ35を南向き(南側)に開放しており、つまりは玄関ポーチ35を玄関前空間39に開放している。これにより、この開口部71を通じて玄関前空間39から玄関ポーチ35への出入りが可能となっている。また、この開口部71は、玄関前空間39を挟んで玄関口56と対向している。また、開口部71は、ポーチ側壁部69とガレージ側壁部67bとの間に形成され、詳しくはそれら両壁部67b,69の間の全域に亘って形成されている。なお、この場合、開口部71が第1出入部及び第1開口部に相当する。
上記のように、玄関対向部38には、南北方向(第2方向Y)に対向する各開口部65,71が設けられているため、住宅10への帰宅時及び住宅10からの外出時には、それら各開口部65,71を介して、つまりは玄関ポーチ35及び玄関前空間39を通って玄関口56へと移動することが可能となっている。これにより、住宅10への帰宅外出時において、玄関対向部38の内部を玄関ポーチ35として利用することが可能となっている。
玄関前空間39の西側には、ガレージ形成部32の玄関隣接部37詳しくはその延出部37aが配置されている。玄関前空間39を挟んで延出部37aとは反対側には、居住部31において外壁部36aよりも屋外側に張り出した張出部73が設けられている。張出部73は、一階部分14と二階部分15とに跨がって形成され、その内部に屋内空間の一部(例えば二階部分15の洋室53)を有している。張出部73は、外壁部36aからの張出長さが外壁部36aと玄関対向部38との離間距離(換言すると玄関前空間39の南北方向の長さ)と同じとなっている(図2や図3等も参照)。この場合、玄関前空間39は、その四方が外壁部36aと玄関対向部38と玄関隣接部37(延出部37a)と張出部73とにより囲まれている。つまり、これら4者36a,37a,38,73により囲まれた内側の空間が玄関前空間39となっている。なお、張出部73が住宅張出部に相当する。
玄関対向部38と張出部73とは東西方向(第1方向X)において互いに離間している。この場合、玄関対向部38(詳しくはポーチ側壁部69)と張出部73との間には玄関前空間39を外部に開放させる開放部74が形成されている。この場合、この開放部74を通じて玄関前空間39への出入りが可能となっている。したがって、本住宅10では、帰宅外出時の移動ルートとして、上述した玄関ポーチ35を経由するルートに加えて、開放部74を通じたルートが設けられている。また、開放部74は、ポーチ側壁部69を挟んで開口部71と隣接しており、その開口幅が開口部71の開口幅よりも小さくされている。
図5に示すように、玄関前空間39は、屋根部13において外壁部36aよりも屋外側に張り出した軒部13aにより上方から覆われている。軒部13aは、外壁部36aから張り出す張出長さL1が、外壁部36aと玄関対向部38との間の離間距離L2よりも長くなっている。つまり、軒部13aは、その張出長さL1が比較的長くされたワイドキャンチルーフとして構成されており、本実施形態では上記張出長さL1が2mとされている。この場合、軒部13aは、その軒先を含む一部が玄関対向部38の真上に位置している。そのため、軒部13aにより玄関前空間39の全域が上方から覆われた状態となっている(図3も参照)。なお、軒部13aが張出部に相当する。
上述した構成によれば、玄関前空間39を挟んで玄関口56とは反対側には玄関対向部38が設けられているため、強風時等に雨が玄関前空間39に向けて斜めに降る場合には(図5のドットハッチを参照)、玄関対向部38により雨が玄関前空間39に入り込むのを抑制することができる。また、玄関前空間39は軒部13aにより上方から覆われているため、真上から降る雨については軒部13aにより玄関前空間39への入り込みを抑制することができる。これにより、玄関前空間39を通って玄関口56と玄関ポーチ35との間を移動する際に雨にかかるのを抑制することができる。つまり、この場合、玄関口56と駐車スペース34との間を玄関ポーチ35及び玄関前空間39を経由して移動する際に雨にかかるのを抑制することができる。
また、軒部13aが玄関対向部38の屋根部61(詳しくは陸屋根63)よりも高い位置に配置されているため、屋根部61と軒部13aとの間の開放部分を通じて玄関前空間39へ日射を取り込み易くすることができる。これにより、玄関前空間39における採光性を確保しながら、玄関41と駐車スペース34との間を移動する際に雨にかかるのを抑制することが可能となる。
続いて、ガレージ形成部32及びその周辺部を構成する建物ユニット20の配置に関する構成について図4を用いて説明する。
図4に示すように、ガレージ形成部32は、南北方向(第2方向Y)に並べられた複数の建物ユニット20により構成され、具体的には3つの建物ユニット20a〜20cにより構成されている。これら建物ユニット20a〜20cはいずれもその(平面視の)長手方向(ユニット長手方向)を同じ方向に向けた状態で配置され、具体的にはユニット長手方向を東西方向(第1方向X)に向けた状態で配置されている。以下では、これら建物ユニット20a〜20cをガレージユニット20a〜20cという。なお、図4では、これらガレージユニット20a〜20cを他の建物ユニット20と区別するために、各ガレージユニット20a〜20cの柱21を黒塗りして示している。
各ガレージユニット20a〜20cのうち、ガレージユニット20aは玄関41を形成する建物ユニット20(以下、この建物ユニット20を建物ユニット20dという)の西側に隣接して配置され、ガレージユニット20b,20cは建物ユニット20dよりも北側に配置されている。この場合、各ガレージユニット20b,20cはいずれも、玄関隣接部37の延出部37aを構成している。また、各ガレージユニット20b,20cのうち、ガレージユニット20bが南側に配置され、ガレージユニット20cが北側に配置されている。この場合、ガレージユニット20bは、ガレージユニット20aとガレージユニット20cとの間に配置されている。なお、この場合、ガレージユニット20aが第1ガレージユニットに相当し、ガレージユニット20bが第2ガレージユニットに相当し、ガレージユニット20cが第3ガレージユニットに相当する。
各ガレージユニット20a〜20cのうち、ガレージユニット20aとガレージユニット20bとはユニット長手方向の長さが同じとされている。これら各ガレージユニット20a,20bは、東西方向(第1方向X)において同じ位置に位置合わせされた状態で配置されている。これに対して、ガレージユニット20cは、ユニット長手方向の長さが各ガレージユニット20a,20bよりも長くされている。ガレージユニット20cは、その一方側(西側)の妻面(短辺側の側面)を各ガレージユニット20a,20bの一方側(西面)の妻面と揃えた状態で配置されている。これにより、ガレージユニット20cは、その一部が各ガレージユニット20a,20bよりも東側(第1方向X)に延出しており、その延出した部分がユニット延出部77となっている。そして、このユニット延出部77により玄関対向部38が構成されている。
また、各ガレージユニット20a〜20cのうち、ガレージユニット20bは、その(平面視の)短手方向(ユニット短手方向)の長さが各ガレージユニット20a,20cよりも短くされている。詳しくは、ガレージユニット20bは、ユニット短手方向の長さが各ガレージユニット20a,20cのユニット短手方向の長さの半分とされている。したがって、ガレージユニット20bはいわゆるハーフユニットとされている。
ガレージ形成部32の各ガレージ側壁部67a,67bのうち、ガレージ側壁部67aは各ガレージユニット20a〜20cの短辺側の一方の側面部(詳しくは西側の側面部)に跨がって形成されている。ガレージ側壁部67aは、各ガレージユニット20a〜20cの当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。また、ガレージ側壁部67bは、各ガレージユニット20a,20bの短辺側の他方の側面部(詳しくは東側の側面部)に跨がって形成されている。ガレージ側壁部67bは、各ガレージユニット20a,20bの当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。さらに、ポーチ側壁部69は、ガレージユニット20cの短辺側の他方の側面部(詳しくは東側の側面部)に形成されている。ポーチ側壁部69は、ガレージユニット20cの当該側面部を構成する柱21、天井大梁22及び床大梁23を利用して形成されている。
ガレージ形成部32の屋根部61は各ガレージユニット20a〜20cの天井部に跨がって形成されている。屋根部61は、これらガレージユニット20a〜20cの天井部を構成する天井大梁22及び天井小梁25を利用して形成されている。また、屋根部61のうち、陸屋根63がガレージユニット20cの天井部に形成され、バルコニー64の床部が各ガレージユニット20a,20bの天井部に形成されている。
ガレージユニット20cのユニット延出部77は、玄関41を形成する建物ユニット20dと対向して配置されている。建物ユニット20dは、そのユニット長手方向をガレージユニット20aのユニット長手方向と同じ方向に向けた状態で配置されている。建物ユニット20dは、ユニット長手方向(換言すると東西方向)の長さがユニット延出部77の同方向の長さよりも長くなっており、またユニット短手方向の長さがガレージユニット20aの同方向の長さと同じとなっている。建物ユニット20dは、南北方向(第2方向Y)においてガレージユニット20aと同じ位置に位置合わせされた状態で配置されている。なお、この場合、建物ユニット20dが玄関ユニットに相当する。
ユニット延出部77と建物ユニット20dとの間には、建物ユニット20が設けられていない非ユニット空間79が形成されている。この非ユニット空間79は、東西方向の長さが建物ユニット20dのユニット長手方向の長さと同じとされ、南北方向の長さがガレージユニット20bのユニット短手方向の長さと同じとされている。本住宅10では、この非ユニット空間79を用いて玄関前空間39が形成されている。
非ユニット空間79を挟んでガレージユニット20bとは反対側には、張出部73を構成する建物ユニット20(以下、建物ユニット20eという)が設けられている。建物ユニット20eは、そのユニット長手方向をガレージユニット20a〜20cのユニット長手方向と同じ方向に向けた状態で配置されている。また、建物ユニット20eは、ユニット短手方向の長さがガレージユニット20bと同じとされている。したがって、建物ユニット20eも、ガレージユニット20bと同様、ハーフユニットとされている。また、建物ユニット20eは、南北方向(第2方向Y)においてガレージユニット20bと同じ位置に位置合わせされた状態で配置されている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
屋根部13の軒部13aにより玄関前空間39を上方から覆うようにしたため、玄関前空間39において採光性を確保し易くすることができる。つまり、この場合、玄関対向部38と軒部13aとの間の開放部分を上下に広くとることができるため、その開放部分を通じて玄関前空間39へ日射を好適に採り込むことができる。
また、軒部13aを玄関対向部38の真上位置まで張り出させたため、玄関前空間39の全域を軒部13aにより上方から覆うことができる。これにより、玄関前空間39を通って玄関41と玄関対向部38との間を移動する際に雨にかかるのをより確実に抑制することができる。
ガレージ形成部32内に、駐車スペース34に加えて玄関ポーチ35を設け、その玄関ポーチ35を玄関対向部38に形成した。この場合、玄関対向部38に駐車スペース34が形成される場合と異なり、開口部71に隣接して車両Cが駐車されることがないため、開口部71を通じて玄関対向部38から玄関前空間39へ出入りする際に車両Cが邪魔になることがない。そのため、駐車スペース34と玄関41との間の移動を円滑に行うことが可能となる。
玄関対向部38には、玄関ポーチ35を挟んで上記開口部71と対向する位置に、さらに開口部65を設けたため、上述したように、住宅10への帰宅外出時においては玄関対向部38内を玄関ポーチ35として利用することが可能となる。
また、開口部65を、玄関対向部38と玄関隣接部37とに跨がる大開口として形成した。この場合、開口部65を、車両Cを駐車スペース34に出入りさせるための車両出入口として用いることに加え、屋外(詳しくは玄関対向部38を挟んで玄関前空間39とは反対側)から玄関ポーチ35へ出入りするための出入部として用いることができる。
また、開口部65が大開口とされていることで、この開口部65と開口部71とを介して日射を玄関前空間39に取り込み易くすることができる。そのため、玄関前空間39における採光性をより確保し易くすることができる。さらに、開口部65が大開口とされていることで、住宅正面側(北側)からの意匠性の向上を図ることもできる。
ガレージ形成部32において玄関41に隣接する玄関隣接部37の一部を、玄関口56(玄関41)よりも第2方向Y(北側)に延出させて延出部37aとし、その延出部37aから第1方向Xに延びるようにして玄関対向部38を設けた。この場合、延出部37aが、玄関前空間39における第1方向Xの一方側に配置されるため、その延出部37aにより玄関前空間39への雨の入り込みを抑制することができる。これにより、玄関前空間39においてより一層雨にかかるのを抑制することができる。
第1方向Xにおいて玄関前空間39を挟んで延出部37aとは反対側に、玄関口56(外壁部36a)よりも屋外側に張り出した張出部73を設けた。この場合、玄関前空間39を挟んだ両側にそれぞれ延出部37aと張出部73とが配置されるため、玄関前空間39への雨の入り込みをさらに抑制することができる。また、かかる構成では、玄関前空間39が延出部37a、玄関対向部38及び張出部73により3方から囲まれるため、玄関前空間39において開放感が損なわれることが懸念される。その点、上記の実施形態では、玄関対向部38と張出部73とを第1方向Xに離間させて配置することで、それら両者間38,73に開放部74を形成したため、玄関前空間39において開放感が損なわれるのを抑制しながら、上述した効果を得ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、屋根部13の軒部13aを玄関対向部38の真上位置まで張り出させたが、軒部13aを玄関対向部38の真上位置まで張り出させないようにしてもよい。つまり、軒部13aの外壁部36aからの張出長さL1を玄関対向部38と外壁部36aとの離間距離L2と同じか又はそれよりも小さくしてもよい。その場合でも、軒部13aにより玄関前空間39を覆うことができるため、真上から降る雨が玄関前空間39に降り込むのを抑制することが可能となる。
また、上記実施形態では、外壁部36aから張り出す軒部13a(張出部に相当)により玄関前空間39を上方から覆うようにしたが、かかる張出部としては必ずしも軒部13aを用いる必要はない。例えば、二階部分15の外壁部36aから屋外側に張り出す庇部を張出部として設け、その庇部により玄関前空間39を上方から覆うようにしてもよい。
・上記実施形態では、ガレージ形成部32を玄関41に隣接させて配置したが、ガレージ形成部32は必ずしも玄関41に隣接させる必要はない。例えば、ガレージ形成部を張出部73の屋外側に隣接させて配置することが考えられる。この場合、ガレージ形成部を、東西方向(第1方向X)に延びる平面視長方形状とし、そのガレージ形成部の一部を玄関口56と対向させて玄関対向部とする。そして、その玄関対向部に玄関ポーチを形成し、その玄関ポーチの東側に連続させて駐車スペースを形成することが考えられる。この場合にも、玄関対向部と玄関口56との間の玄関前空間39へ雨が入り込むのを抑制することができる。
また、ガレージ形成部を張出部73の屋外側に隣接配置した上述の構成において、ガレージ形成部に駐車スペースのみ形成するようにしてもよい。この場合、駐車スペースの一部が玄関対向部に形成されることになる。そのため、駐車スペースから玄関前空間39への出入りを行うことになる。なお、この場合、駐車スペースが覆い空間に相当することになる。
・上記実施形態では、開口部65(第2出入部及び第2開口部に相当)を玄関隣接部37と玄関対向部38とに跨がって形成したが、これを変更して、玄関隣接部37及び玄関対向部38にそれぞれ個別に開口部を設けてもよい。この場合、玄関隣接部37の開口部が車両出入口となり、玄関対向部38の開口部が玄関ポーチ35への出入口(第2出入部及び第2開口部に相当)となる。
また、開口部65を玄関隣接部37にのみ形成するようにしてもよい。この場合、玄関対向部38には第2出入部(第2開口部)が設けられないこととなる。
・上記実施形態では、ガレージ形成部32の屋根部61について、その一部だけを陸屋根63としたが、屋根部61の全部を陸屋根63としてもよい。また、屋根部61の全域に亘ってバルコニー64を設け、屋根部61の全部をバルコニー64の床部としてもよい。さらに、ガレージ形成部32の上部を(全て)居室にしてもよい。
・上記実施形態では、二階建ての住宅10に本発明を適用したが、三階建て以上の住宅に本発明を適用してもよい。例えば、三階建ての住宅に本発明を適用する場合、その住宅の三階部分に外壁部36aから屋外側に張り出すキャンチ式のバルコニーを設け、そのバルコニーにより玄関前空間39を上方から覆うことが考えられる。この場合、バルコニーが張出部に相当することになる。
・上記実施形態では、ユニット式住宅に本発明を適用したが、鉄骨軸組工法や在来木造工法等、他の工法で構築された住宅に本発明を適用してもよい。