以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が、複数の建物ユニットが組み合わされてなるユニット式建物となっている。建物は、例えば二階建てとなっており、その一階部分にはアルコーブが設けられている。図1は、そのアルコーブを有する建物ユニットとそれに隣接する建物ユニットとが並設された状態を示す斜視図である。以下においては、この図1に基づいて、これら各建物ユニットに関する構成について説明する。
図1に示すように、建物10には、その一階部分に、アルコーブ11が形成された建物ユニット20(以下、この符号にXを付す)と、その建物ユニット20に横並びで隣接する建物ユニット20(以下、この符号にYを付す)とが設けられている。これら各建物ユニット20X,20は、互いの桁面(長辺側の側面)同士を向き合わせて配置されている。この場合、各建物ユニット20X,20Yは、その短手方向(ユニット短手方向)に並んでおり、以下の説明では各建物ユニット20X,20Yの並ぶ方向をユニット並び方向ともいう。なお、本実施形態では、建物ユニット20Xが第1ユニットに相当し、建物ユニット20Yが第2ユニットに相当する。また、アルコーブ11が屋外開放空間に相当する。
建物ユニット20Xは、その長辺方向(桁方向)の長さが建物ユニット20Yよりも長くなっている。建物ユニット20Xは、その一部が、同ユニット20Xの長辺方向に建物ユニット20Yよりも張り出しており、その張り出した部分が張出部13となっている。建物ユニット20Xでは、この張出部13にアルコーブ11が形成されている。また、この場合、建物ユニット20Yに着目すると、建物ユニット20Yは、建物ユニット20Xに対してセットバック(後退)させて配置されている。そのため、建物ユニット20Yは、その屋外側の一の側面部28が建物ユニット20Xの張出側の側面部27に対してオフセットされている。なお、建物ユニット20Yの側面部28がオフセット側面部に相当する。
アルコーブ11は、その2つの側面が屋外に開口されており、その開口された部分がそれぞれ開口部14,15となっている。各開口部14,15のうち、開口部14は建物ユニット20Xにおける張出側の側面部27に形成され、開口部15は、建物ユニット20Xにおける建物ユニット20Yと対向する側の側面部29に形成されている。この場合、これらの開口部14,15を通じて屋外からアルコーブ11への出入りが可能となっている。また、各開口部14,15の上方にはそれぞれ垂れ壁17,18が設けられ、アルコーブ11において各開口部14,15間の角隅部には化粧柱19が立設されている。
アルコーブ11において残りの2つの側面には外壁31,32が設けられている。外壁31は、アルコーブ11を挟んで開口部14とは反対側に設けられ、建物ユニット20Xの短手方向(ユニット並び方向)に沿って延びている。外壁32は、アルコーブ11を挟んで開口部15とは反対側に設けられ、建物ユニット20Xの長手方向に沿って延びている。これらの外壁31,32はいずれもアルコーブ11に面して設けられている。
建物ユニット20Yには、その側面部28に外壁33が設けられている。外壁33は、建物ユニット20Yの短手方向(ユニット並び方向)に沿って延びており、その一端部において建物ユニット20Xの外壁31と連続している。つまり、両建物ユニット20X,20Yの各外壁31,33はユニット並び方向に連続して設けられており、これら両外壁31,33により各建物ユニット20X,20Yに跨がる外壁34が構成されている。
次に、各建物ユニット20X,20Yの構成について説明する。まず、建物ユニット20Yの構成について図2を参照しながら説明する。図2は、建物ユニット20Yを示す斜視図である。
図2に示すように、建物ユニット20Yは、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その溝部を水平方向におけるユニット内側に向けて配設されている。なお、天井大梁22が上梁に相当し、床大梁23が下梁に相当する。
建物ユニット20Yの長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
続いて、建物ユニット20Xの構成について説明する。建物ユニット20Xは、その内部にアルコーブ11が形成されている関係で、その床部の構成が建物ユニット20Yと相違している。そこで以下では、その相違点を中心に、建物ユニット20Xの構成について図3を用いながら説明する。なお、図3は、並設された両建物ユニット20X,20Yの骨格を示す斜視図である。
図3に示すように、建物ユニット20Xの側面部27では、開口部14が形成されている関係で床大梁23が欠損しており、その欠損した部分が梁欠損部35となっている。側面部27では、開口部14が隣り合う柱21間全域に亘って形成されている関係で、当該柱21間全域が梁欠損部35となっている。
建物ユニット20Xの側面部29では、開口部15が形成されている関係で床大梁23の一部が欠損しており、その欠損した部分が梁欠損部36となっている。側面部29では、床大梁23の長手方向の一端部が柱21に固定されている一方、他端部が梁欠損部36に隣接した開放端(自由端)となっている。以下の説明では便宜上、この床大梁23の符号にAを付し、この床大梁23Aの上方に配置された天井大梁22の符号にAを付す。なお、床大梁23Aが欠損梁に相当する。
床大梁23Aの先端部(自由端側の端部)と、床大梁23Aと対向する長辺側の床大梁23との間には支持梁37が掛け渡されている。支持梁37は、外壁31に沿って配設され、その外壁31を支持する支持部材となっている。支持梁37は、床小梁26と同じ角形鋼よりなり、その両端部が各床大梁23,23Aに溶接により固定されている(図7も参照)。
上記対向する床大梁23,23Aの間には、支持梁37の他に、複数の床小梁26(図示略)が架け渡されている。それら各床小梁26の上には、パーティクルボードからなる床面材38が敷設されている。また、建物ユニット20Yにも、各床小梁26の上に、パーティクルボードからなる床面材39が敷設されており、各建物ユニット20X,20Yには、それら床面材38,39上に跨がって居室46が形成されている。
梁欠損部35を挟んで対向する各柱21の側面にはそれぞれ短尺状の下梁41が固定されている。また、梁欠損部36を挟んで床大梁23Aの自由端と向き合う柱21の側面にも同様の下梁41が固定されている。これらの下梁41は、床大梁23と同じ溝形鋼により形成されている。各下梁41は、その溝部を水平方向におけるユニット内側に向けて配置され、その一端部が柱21の側面に溶接により固定されている。また、各下梁41は、床大梁23と同じ高さ位置に配置されている。
ここで、ユニット製造工場での建物ユニット20Xの製造時には、各梁欠損部35,36に対してそれぞれ仮梁43が組み付けられる(図9(a)参照)。仮梁43は、その両端部に平板状の連結プレート43aを有している。梁欠損部35では、仮梁43が、その両端部の連結プレート43aを各下梁41にボルトで仮固定することにより組み付けられる。また、梁欠損部36では、仮梁43が、その一端部の連結プレート43aを柱21側の下梁41にボルト75で仮固定し、かつ、その他端部の連結プレート43aを床大梁23Aの先端部にボルト77で仮固定することにより組み付けられる。
このように仮梁43が組み付けられた状態で建物ユニット20Xは施工現場へと搬送される。そのため、建物ユニット20Xの搬送時及び据付時に梁欠損部35,36にて床部に変形が生じるのが防止されている。建物ユニット20Xが施工現場へ搬送され、所定位置に据え付けられた後、同ユニット20Xから仮梁43が取り外される。これにより、仮梁43が取り外れた部位が梁欠損部35,36となる。
次に、各建物ユニット20X,20Yに跨がって設けられる外壁34(31,33)の構成について図1に加え図4及び図5を用いながら説明する。図4は、各建物ユニット20X,20Yが隣接するユニット隣接部における外壁34の構成を示す横断面図である。図5は、ユニット隣接部における外壁34の構成を示す正面図である。なお、図4及び図5では、建物ユニット20X,20Y同士が結合される境界線を示すドッキングライン(ユニット境界線)を一点鎖線で示している。また、図4では便宜上、天井大梁22Aを二点鎖線(仮想線)で示している。
図1に示すように、建物ユニット20Xの外壁31は、横並びに設けられた複数の外壁パネル50,60を有して構成されている。また、建物ユニット20Yの外壁33は、横並びに設けられた複数の外壁パネル50,70を有して構成されている。建物ユニット20Xの各外壁パネル50,60のうち、外壁パネル60は建物ユニット20Yの外壁33に隣接して配置され、建物ユニット20Yの各外壁パネル50,70のうち、外壁パネル70は建物ユニット20Xの外壁31に隣接して配置されている。つまり、これらの外壁パネル60,70は各建物ユニット20X,20Yの境界部にて互いに隣接配置されている。なお、図1では便宜上、外壁パネル70にドットハッチを付している。
建物ユニット20Xの外壁パネル50と、建物ユニット20Yの外壁パネル50とはいずれも同様の構成を有している。そのため、それら両外壁パネルにはいずれも同じ符号(50)を付している。ただ、以下では、これらの外壁パネル50を区別するために、場合によって建物ユニット20Xの外壁パネル50の符号にXを付し、建物ユニット20Yの外壁パネル50の符号にYを付す。なお、建物ユニット20Xの各外壁パネル50X,60がそれぞれ第1外壁パネルに相当し、建物ユニット20Yの各外壁パネル50Y,70がそれぞれ第2外壁パネルに相当する。
続いて、各外壁パネル50,60,70の構成について説明する。まず、外壁パネル50の構成、特に建物ユニット20X側の外壁パネル50Xの構成について説明する。なお、図5では便宜上、建物ユニット20X側の外壁パネル50X,60については外壁面材を取り外した状態で示している。
図4及び図5に示すように、外壁パネル50Xは、外壁面材51と、その外壁面材51の裏面に固定された下地フレーム52とを備える。外壁面材51は、窯業系サイディングにより構成されている。下地フレーム52は、断面コ字状の鋼材よりなる複数のフレーム材を有し、それら各フレーム材が矩形枠状に連結されることで構成されている。下地フレーム52は、互いの溝部を向き合わせて配置された一対の縦フレーム材52aと、それら各縦フレーム材53の間に架け渡された上下複数の横フレーム材52b〜52cとを有する。各横フレーム材52b〜52dのうち、横フレーム材52bは、各縦フレーム材53の上端部に架け渡された上フレーム材であり、横フレーム材52cは、各縦フレーム材53の下端部に架け渡された下フレーム材であり、横フレーム材52dは、各縦フレーム材53の中間高さに架け渡された中間フレーム材である。
下地フレーム52の横フレーム材52b(上フレーム材)は、その上方に設けられたバッキング材57にブラケット58を介して固定されている。バッキング材57は、合板等からなる板状の下地材であり、天井大梁22の下面に取り付けられた野縁67に固定されている。ブラケット58は、L字状の鋼板からなり、その鉛直板部58aが横フレーム材52bにボルト65により固定され、その水平板部58bがバッキング材57の下面にビス66により固定されている。
横フレーム材52c(下フレーム材)は、ブラケット59を介して支持梁37に固定されている(図7も参照)。支持梁37は、下地フレーム52(外壁パネル50)の裏側において横フレーム材52cに沿って延びている。支持梁37の(下地フレーム52側の)側面にはブラケット59が溶接固定され、そのブラケット59に対し横フレーム材52cがボルト68により固定されている。
このように、下地フレーム52は、上端の横フレーム材52bがバッキング材57に固定され、下端の横フレーム材52cが支持梁37に固定されている。これにより、下地フレーム52ひいては外壁パネル50Xがそれら両部材37,57に支持固定されている。
建物ユニット20Y側の外壁パネル50Yは、上述したように、上記外壁パネル50Xと同様の構成を有している。すなわち、外壁パネル50Yは、外壁パネル50Xと同様に、外壁面材51と、その裏面に固定された下地フレーム52とを有している。図示は省略するが、外壁パネル50Yの下地フレーム52は建物ユニット20Yの天井大梁22及び床大梁23にそれぞれ固定されている。これにより、下地フレーム52ひいては外壁パネル50Yがそれら各大梁22,23に支持固定されている。
次に、各建物ユニット20X,20Yにおいて互いに隣接する外壁パネル60,70の構成について説明する。これらの外壁パネル60,70のうち、まず建物ユニット20Y側の外壁パネル70の構成について説明する。
外壁パネル70は、外壁面材71と、その外壁面材71の裏面に固定された下地フレーム72とを備える。外壁面材71は、外壁面材51と同じ窯業系サイディングにより構成されている。下地フレーム72は、複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることにより構成されている。下地フレーム72は、建物ユニット20Yの柱21を挟んだ両側に配置された一対の縦フレーム材72a,72bと、それら各縦フレーム材72a,72bの間に架け渡された上下複数の横フレーム材72cとを有する。各縦フレーム材72a,72bのうち、縦フレーム材72aは外壁パネル50Y(下地フレーム52)に隣接配置され、縦フレーム材72bは外壁パネル60に隣接配置されている。縦フレーム材72aは、断面コ字状の鋼材により形成され、その溝部をフレーム内側に向けて配置されている。また、縦フレーム材72bは、断面L字状の鋼材により形成されている。横フレーム材72cは、長尺平板状に形成され、柱21と外壁面材71との間を通じて各縦フレーム材72a,72b間に架け渡されている。
縦フレーム材72aは、隣接する外壁パネル50Yの下地フレーム52(縦フレーム材52a)にボルトにより固定され、縦フレーム材72bは、柱21に対しブラケット74を介して固定されている。これにより、下地フレーム72ひいては外壁パネル70が柱21及び外壁パネル50Yに支持固定されている。
続いて、建物ユニット20X側の外壁パネル60の構成について図4及び図5に加え図6及び図7を用いながら説明する。図6は、建物ユニット20Xの外壁31周辺を示す斜視図である。図7は、外壁パネル60の下部周辺を示す側面図である。なお、図6では外壁パネル60の外壁面材61について図示を省略している。また、図7では、外壁パネル60の下部周辺を建物ユニット20Y側から見ている。
図4〜図6に示すように、外壁パネル60は、外壁面材61と、その外壁面材61の裏面に固定された下地フレーム62とを備える。外壁面材61は、外壁面材51,71と同じ窯業系サイディングにより構成されている。なお、外壁パネル60が隣接外壁パネルに相当し、下地フレーム62が隣接下地フレームに相当する。
下地フレーム62は、建物ユニット20Xの側面部29において天井大梁22A及び床大梁23Aに架け渡された縦材63と、その縦材63と外壁パネル50Xの下地フレーム52との間に配設されたフレーム本体部64とを有する。縦材63は、断面コ字状の鋼材により形成され、ウェブ63aと、ウェブ63aを挟んで対向する一対のフランジ63b,63cとを有する。
縦材63は、建物ユニット20Xの側面部29において天井大梁22A及び床大梁23Aよりも建物ユニット20Y側に配設されている。具体的には、縦材63は、各建物ユニット20X,20Yのユニット境界線を越えないように配設されている。縦材63は、そのウェブ63aを外壁面材61の裏面に当接させ、かつ、そのフランジ63bを天井大梁22A及び床大梁23Aの各ウェブ22a,23aの外側面に当接させた状態で配置されている。そして、かかる配置状態で、縦材63のフランジ63bが各大梁22A,23Aのウェブ22a,23aにボルト76,77により固定されている。詳しくは、フランジ63bは、天井大梁22Aのウェブ22aの外側面にボルト76により固定され、そのボルト76は天井大梁22Aのウェブ22aの内側面に溶接固定されたウェルディングナット78にウェブ22a及びフランジ63bを介して締結されている。また、フランジ63bは、床大梁23Aのウェブ23aの外側面にボルト77により固定され、そのボルト77は床大梁23Aのウェブ23aの内側面に溶接固定されたウェルディングナット79にウェブ23a及びフランジ63bを介して締結されている(図7も参照)。
このように、縦材63は、天井大梁22A及び床大梁23Aの各ウェブ22a,23a外側面に固定されているため、縦材63の固定位置は、図8に示すように、それら大梁22A,23Aの長手方向に微調整することが可能となっている。すなわち、縦材63のフランジ63bには、各ボルト76,77を挿通するための挿通孔92,93が形成されているが、それらの挿通孔92,93は孔径がボルト76,77の軸部の外径よりも大きくされている。そのため、その孔径の範囲内において縦材63の固定位置を微調整することが可能となっている。なお、上記の挿通孔92,93を大梁22A,23Aの長手方向に長い長孔形状として、縦材63の固定位置の調整範囲を大きくしてもよい。
フレーム本体部64は、複数のフレーム材81〜84が矩形枠状に連結されることにより構成されている。フレーム本体部64は、その高さ寸法(上下方向の寸法)が外壁パネル50の下地フレーム52よりも小さくなっており、詳しくは、上下に対向する天井大梁22A及び床大梁23Aの間の間隔よりも小さくなっている。フレーム本体部64は、それら天井大梁22A及び床大梁23Aの間を通じて縦材63と外壁パネル50X(詳しくは外壁パネル60と隣接する外壁パネル50X)の下地フレーム52との間に架け渡されて設けられている。
フレーム本体部64は、互いに離間して配置された一対の縦フレーム材81,82と、それら各縦フレーム材81,82の間に架け渡された上下一対の横フレーム材83,84とを有する。各縦フレーム材81,82のうち、縦フレーム材81は縦材63に隣接して配置され、縦フレーム材82は外壁パネル50Xの下地フレーム52(詳しくは縦フレーム材52a)に隣接して配置されている。
縦フレーム材81は、断面L字状の鋼材により形成されている。縦フレーム材81は、互いに直交する2つの板部81a,81bのうち、一方の板部81aを外壁面材61の裏面に当接させ、かつ他方の板部81bを縦材63のフランジ63bに当接させた状態で配置されている。板部81bは、ボルト86によりフランジ63bに固定されており、そのボルト86はフランジ63bの内側面に溶接固定されたウェルディングナット87に板部81b及びフランジ63bを介してフレーム内側(横方向)から締結されている。これにより、縦フレーム材81ひいてはフレーム本体部64が縦材63に対して固定されている。なお、ボルト86(及びウェルディングナット87)は上下方向に所定の間隔で複数配置されている(図9(b)を参照)。
縦フレーム材82は、断面コ字状の鋼材により形成され、ウェブ82aと、ウェブ82aを挟んで対向する一対のフランジ82b,82cとを有する。縦フレーム材82は、そのウェブ82aを縦フレーム材52aのウェブ91に当接させ、かつ、そのフランジ82bを外壁面材61の裏面に当接させた状態で配置されている。ウェブ82aは、ボルト88により縦フレーム材52a(ウェブ91)に対して固定されており、そのボルト88はウェブ91の内側面に溶接固定されたウェルディングナット89に各ウェブ82a,91を介してフレーム内側(横方向)から締結されている。これにより、縦フレーム材82ひいてはフレーム本体部64が下地フレーム52(外壁パネル50X)に対して固定されている。なお、ボルト88(及びウェルディングナット89)は上下方向に所定の間隔で複数配置されている(図9(b)を参照)。
各横フレーム材83,84はいずれも断面L字状の鋼材により形成されている。各横フレーム材83,84のうち、横フレーム材83は各縦フレーム材81,82の上端部に架け渡された上フレーム材であり、横フレーム材84は各縦フレーム材81,82の下端部に架け渡された下フレーム材である。横フレーム材83(上フレーム材)は、各縦フレーム材81,82の上端部にそれぞれ溶接により固定された水平板部83aと、その水平板部83aから上方に延び外壁面材61の裏面に当接された鉛直板部83bとを有する。横フレーム材84(下フレーム材)は、各縦フレーム材81,82の下端部にそれぞれ溶接により固定された水平板部84aと、その水平板部84aから下方に延び外壁面材61の裏面に当接された鉛直板部84bとを有する。
また、これら上下の横フレーム材83,84に加えて、さらに、各縦フレーム材81,82の中間高さに横フレーム材85を架け渡してもよい(図4参照)。この場合、横フレーム材85は、例えば長尺平板状の鋼板により形成することが考えられる。
下地フレーム62の表面側(アルコーブ11側)には、外壁面材61が取り付けられている。外壁面材61は、下地フレーム62の縦材63及びフレーム本体部64に跨がって設けられており、詳しくは縦材63及びフレーム本体部64の全域に跨がって設けられている。そして、外壁面材61は、それら両部材63,64にビスにより固定されている。
以上が、各外壁パネル50,60,70に関する説明である。
隣り合う建物ユニット20X,20Yの外壁パネル60,70の間には上下方向に延びる目地101(縦目地)が形成されている。目地101には、止水部材としてのガスケット102が配設されている。ガスケット102は、EPDM等の弾性を有する樹脂材料により形成され、目地101に沿って上下に延びるように配設されている。ガスケット102は、目地101においてその奥行き方向に2つ設けられ、それら2つのガスケット102a,102bのうち、ガスケット102aが隣接する外壁面材61,71の間に配設され、ガスケット102bが隣接する下地フレーム62,72の間に配設されている。これらのガスケット102a,102bにより、目地101を通じて雨水等の水が居室46側に浸入することが防止されている。
各外壁パネル50,60,70の屋内側には内壁パネル95が設けられている。内壁パネル95は、横並びの状態で複数設けられ、これら各内壁パネル95により内壁94が構成されている。内壁94は、各建物ユニット20X,20Yに跨がって設けられ、居室46に面している。内壁パネル95は、内壁面材96と、その裏面に固定された下地フレーム97とを有している。内壁面材96は、石膏ボードにより構成され、居室46に面して配置されている。
下地フレーム97は、木製角材よりなるフレーム材が矩形枠状に連結されることで構成されている。下地フレーム97は、外壁パネル50,60,70の下地フレーム52,62,72に木レンガ99を介して固定されている。これにより、下地フレーム97ひいては内壁パネル95が外壁パネル50,60,70に固定されている。
次に、各建物ユニット20X,20Yに外壁パネル50,60,70を組み付けて外壁34を構築する際の作業手順について説明する。ここでは特に、建物ユニット20Xに外壁パネル60を組み付ける際の作業手順を中心に説明する。図9は、かかる作業手順を説明するための図である。
ユニット製造工場では、まず建物ユニット20Xに各外壁パネル50Xを組み付ける作業を行う。
次に、図9(a)に示すように、建物ユニット20Xの天井大梁22A及び床大梁23Aに縦材63をボルト76,77により固定する作業を行う。また、この際、梁欠損部36に仮梁43を組み付ける作業を併せて行う。仮梁43は、その両端部の連結プレート43aをそれぞれ下梁41及び床大梁23Aにボルト75,77で仮固定することにより組み付ける。この場合、床大梁23A側においては、仮梁43の連結プレート43aを縦材63とともにボルト77により床大梁23Aに(仮)固定する(つまり、共締めする)。詳しくは、連結プレート43aを内側、縦材63を外側としてそれら両部材43a,63を床大梁23Aに仮固定する。
なお、図示は省略するが、梁欠損部35にも仮梁43が各連結プレート43aを下梁41にボルト固定することにより組み付けられる。
次に、図9(b)に示すように、縦材63と外壁パネル50Xの下地フレーム52との間にフレーム本体部64を組み付ける作業を行う。この作業では、フレーム本体部64の縦フレーム材81をボルト86により縦材63に固定するとともに、縦フレーム材82をボルト88により下地フレーム52の縦フレーム材52aに固定する。これにより、縦材63とフレーム本体部64とが一体化されて下地フレーム62が構成され、その下地フレーム62が建物ユニット20Xに対して組み付けられる。なお、この固定作業に際し、ボルト86,88による締結はフレーム本体部64の内側から(横向きに)行われる。
一方、建物ユニット20Y側については、同ユニット20Yの側面部28に各外壁パネル50Y,70を組み付ける作業を行う。これにより、建物ユニット20Yの当該側面部28に外壁33が構築される。
その後、各建物ユニット20X,20Yをトラック等により施工現場へ搬送する。そして、施工現場において、各建物ユニット20X,20Yを所定の位置に横並びで設置する。
各建物ユニット20X,20Yを設置後、まず建物ユニット20Xから仮梁43を取り外す作業を行う。この作業では、各ボルト75,77をそれぞれ取り外すことにより、仮梁43を下梁41及び床大梁23Aから取り外す。この際、床大梁23A側については、ボルト77を取り外した後、仮梁43の連結プレート43aを縦材63と床大梁23Aとの間からスライドさせて取り外す。
次に、図9(c)に示すように、建物ユニット20Xに組み付けられた下地フレーム62に外壁面材61をビスにより固定する作業を行う。これにより、外壁パネル60が建物ユニット20Xに組み付けられ、各外壁パネル50X,60により外壁31が構築される。そして、各建物ユニット20X、20Yの外壁31,33が連続することで外壁34が構築される。
ここで、各建物ユニット20X,20Yの隣接する外壁パネル60,70(詳しくは外壁面材61,71)の間で外壁面(外面)にずれが生じている場合には、そのずれを解消すべく、外壁パネル60の位置(詳しくは、同パネル60における外壁パネル70側の端部位置)を壁厚み方向に微調整する作業を行う(図8参照)。この作業では、まず外壁パネル60の外壁面材61を取り外し、縦材63を各大梁22A,23Aに固定しているボルト76,77を緩める。そして、その状態で、縦材63の位置を大梁22,23の長手方向に微調整する。この微調整に際しては、例えば縦材63のウェブ63aの外側面(外壁面材61側の面)が外壁パネル70の下地フレーム72(縦フレーム材72b)の外側面(外壁面材71側の面)と同一平面上(又は略同一平面上)に位置するように縦材63の位置を微調整する。
かかる微調整が終了した後、ボルト76,77を再び締めて縦材63を各大梁22A,23Aに固定する。その後、外壁面材61を下地フレーム62に再度取り付ける。これにより、外壁パネル60の外面が外壁パネル70の外面と同一平面にて連続する。
なお、上記の微調整を、下地フレーム62に外壁面材61を固定する前に行うようにしてもよい。すなわち、各建物ユニット20X,20Yを設置した時点で、縦材63の外側面と下地フレーム72(縦フレーム材72b)の外側面との間にずれが生じている場合には、その時点で上記微調整の作業を行うようにしてもよい。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物ユニット20Xにおいて建物ユニット20Yと対向する側の側面部29に天井大梁22Aと床大梁23とに架け渡した状態で縦材63を設け、その縦材63を各大梁22A,23Aの側面にボルト76,77により固定した。この場合、縦材(補強柱)が梁の欠除端に固定された端板にボルト固定されている上記従来技術(特許文献1の技術)の場合と異なり、縦材63の固定位置を大梁22A,23Aの長手方向に微調整することが可能となる。そして、こうした構成にあって、建物ユニット20X側の各外壁パネル50X,70のうち、建物ユニット20Y側の外壁パネル70と隣接する外壁パネル60の下地フレーム62を、その一部に上記縦材63を含んで構成した。この場合、縦材63の固定位置を大梁22A,23Aの長手方向に微調整することで外壁パネル60の位置を同方向に微調整することが可能となり、換言すると、外壁パネル60の位置を壁厚み方向に微調整することが可能となる。これにより、外壁パネル60の外面(外壁面)を外壁パネル70の外面(外壁面)と同一面で連続させることができるため、それら両外壁パネル60,70間にて外観が損なわれるのを抑制することができる。
ところで、縦材63を下地フレーム62とは別で設け、その縦材63に下地フレーム62を取り付けるようにしても上記の効果を得ることができる。その点、上記の実施形態では、縦材63を下地フレーム62の一部として構成したことで、縦材63に外壁パネル60の位置調整機能に加え、外壁面材61の下地としての機能を付与することができる。これにより、縦材63の多機能化を図ることができる。
縦材63を天井大梁22A及び床大梁23Aよりも建物ユニット20Y側に配置したため、縦材63を建物ユニット20Y側の外壁パネル70と近接した位置に配置することができる。この場合、外壁パネル70と近接した位置で、縦材63の固定位置ひいては外壁パネル60の位置を壁厚み方向に微調整することができるため、外壁パネル60の外面を外壁パネル70の外面と面一に合わせ易くすることができる。
縦材63を各建物ユニット20X,20Yのユニット境界線(ドッキングライン)を越えないように建物ユニット20Xに組み付けたため、ユニット製造工場にて建物ユニット20Xに縦材63を組み付けた状態でも建物ユニット20Xを施工現場へ好適に搬送することができる。
外壁パネル60の下地フレーム62を、縦材63と、その縦材63と外壁パネル50Xの下地フレーム52との間に配設されたフレーム本体部64とを有して構成した。そして、フレーム本体部64を、その両側に配置された縦材63及び下地フレーム52にそれぞれ固定した。この場合、フレーム本体部64が天井大梁22A及び床大梁23Aの間を通じて配置される構成にあって、そのフレーム本体部64を好適に支持することができる。
また、フレーム本体部64を床大梁23Aから上方に離間させて配置したため、施工現場にて仮梁43を床大梁23Aから取り外す際、仮梁43がフレーム本体部64に干渉するのを抑制できる。
隣り合う2つの建物ユニット20X,20Yのうち一方の建物ユニット20Xを他方の建物ユニット20Yよりも張り出して設置し、その張出部13にアルコーブ11を形成する場合、建物ユニット20Xにおけるアルコーブ11の奥側面と建物ユニット20Yの側面部28(オフセット側面部)とに跨がって外壁34を設けることが考えられる。その場合、各建物ユニット20A,20Yの外壁パネル60,70同士が互いに隣接することとなるため、上記の実施形態では、このような外壁構造に縦材63を用いた上述の構成を適用した。この場合、かかる外壁構造において、互いに隣接する外壁パネル60,70間にて外観が損なわれるのを抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、縦材63を各大梁22A,23Aよりも建物ユニット20Y側(換言すると、ユニット外側)に配置し、それら各大梁22A,23A(ウェブ22a,23a)のユニット外側の側面に固定したが、これを変更してもよい。例えば、各大梁22A,23Aがそのウェブ22a,23aをユニット内側に向けて配設されている場合に、縦材63をそれら大梁22A,23Aよりもユニット内側に配置し、それら各大梁22A,23Aのユニット内側の側面に固定することが考えられる。その場合にも、大梁22A,23Aに対する縦材63の固定位置を大梁22A,23Aの長手方向に微調整することができるため、かかる微調整により外壁パネル60の位置を同方向に微調整することができる。
(2)上記実施形態では、縦材63を下地フレーム62の一部として構成したが、縦材63を下地フレーム62とは別に設けてもよい。その場合、例えば下地フレーム62を矩形枠状に形成し、その下地フレーム62の裏面側(外壁面材61とは反対側)に縦材63を配設し各大梁22A,23Aの側面に固定する。そして、その縦材63に下地フレーム62をボルト等で固定する。この場合にも、各大梁22A,23Aに対する縦材63の固定位置を大梁長手方向に微調整することで、外壁パネル60の位置を同方向に微調整することができる。そのため、外壁パネル60の外面を外壁パネル70の外面と面一に揃えることが可能となり、それら外壁パネル60,70間で外観が損なわれるのを抑制することができる。
(3)上記実施形態では、縦材63とフレーム本体部64とを個別に建物ユニット20Xに組み付けたが、縦材63とフレーム本体部64とを予め一体化しておき、その一体化された両部材63,64(ひいては下地フレーム62)をまとめて建物ユニット20Xに組み付けてもよい。
また、上記実施形態では、縦材63とフレーム本体部64とをユニット製造工場にて建物ユニット20Xに組み付けたが、これら両部材63,64のうち少なくともいずれかを施工現場にて建物ユニット20Xに組み付けるようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、建物ユニット20Xが建物ユニット20Yに対してセットバック(後退)させて配置された構成に本発明の外壁構造を適用したが、本発明は必ずしもかかるユニット構成にのみ適用されるものではない。例えば、図10に示すように、同じ長辺長さを有する2つの建物ユニット20A,20Bが並設された構成に本発明の外壁構造を適用してもよい。図10の例では、各建物ユニット20A,20Bに跨がって車両を駐車可能なインナガレージ105が設けられている。インナガレージ105は、これら両建物ユニット20A,20Bにおいて、ユニット並び方向と直交する方向の一方側に形成されている。インナガレージ105は、その三方が仕切壁106〜108により仕切られており、その一側面には車両出入口109が形成されている。この場合、インナガレージ105は、車両出入口109を介して屋外に開放されている。なお、本例においては、インナガレージ105が屋外開放空間に相当する。また、建物ユニット20Aが第1ユニットに相当し、建物ユニット20Bが第2ユニットに相当する。
各仕切壁106〜108のうち、インナガレージ105を挟んで対向する2つの仕切壁106,107はいずれも各建物ユニット20A,20Bに跨がって設けられ、ユニット並び方向(建物ユニット20A,20Bの短手方向)に延びている。また、仕切壁108は、建物ユニット20Aにおいてインナガレージ105の奥側に設けられ、建物ユニット20A,20Bの長手方向に延びている。
ここで、各仕切壁106〜108のうち、仕切壁106では、そのインナガレージ105側に同ガレージ105に面して外壁111が設けられている。外壁111は、ユニット並び方向に並設された複数の外壁パネル112を備えて構成され、それら各外壁パネル112のうち建物ユニット20Aに外壁パネル112A(第1外壁パネルに相当)が設けられ、建物ユニット20Bに外壁パネル112B(第2外壁パネルに相当)が設けられている。したがって、かかる構成においても、各建物ユニット20A,20Bの外壁パネル112A,112Bが互いに隣接配置されることになるため、かかる構成に本発明の外壁構造を適用すれば、すなわち各外壁パネル112Aのうち外壁パネル112Bと隣接する外壁パネル112A(隣接外壁パネルに相当)に本発明を適用すれば、それら外壁パネル112A,112B間にて外観が損なわれるのを抑制することができる。
(5)上記実施形態では、建物ユニット20Xに屋外開放空間としてアルコーブ11が形成されていたが、バルコニーやベランダ、テラス等、アルコーブ11以外の屋外開放空間が形成されていてもよい。例えば、バルコニーが屋外開放空間として形成される場合には、そのバルコニーにバルコニー床部が設けられる場合がある。その場合、バルコニーを構成する建物ユニット20Xの床梁23,25上に床材等が敷設される等してバルコニー床部が形成されるため、建物ユニット20Xの床部には4辺に床大梁23が配設されることになる。そのため、かかる場合には、縦材63を、欠損のない床大梁23(下梁に相当)に対して固定することになる。