以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物として、複数の建物ユニットが互いに組み合わされてなるユニット式建物について具体化している。そこでまず、建物ユニットの構成について図10を参照しながら簡単に説明する。なお、図10は建物ユニットを示す斜視図である。
図10に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。なお、柱21がユニット柱に相当し、天井大梁22及び床大梁23がユニット大梁に相当する。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
続いて、建物10の一階部分について図1を用いながら説明する。図1は一階部分におけるアルコーブ周辺を示す平面図である。図2はアルコーブを示す斜視図である。
図1に示すように、建物10の一階部分には、玄関11や居室12,13、アルコーブ14等が設けられている。玄関11には玄関口16が設けられており、その玄関口16には玄関ドア17が設けられている。玄関11は、玄関口16を介してアルコーブ14(玄関ポーチ)に通じている。
図1及び図2に示すように、アルコーブ14は、一階部分における角部に形成された凹状空間となっている。アルコーブ14は、一階部分において互いに直交する2つの外壁部31,32をそれぞれ屋内側に後退させることにより形成されている。この場合、アルコーブ14においてその2面には屋外に開口された開口部33,34が形成されている。アルコーブ14にはこれらの開口部33,34を通じて屋外から出入りできるようになっている。なお、各開口部33,34のうち、開口部33は開口部34よりも開口幅が大きくなっている。この場合、この開口部33の形成されている側がアルコーブ14の正面側となる。以下の説明では、この正面側の開口部33の幅方向を第1方向Xといい、この第1方向Xと直交する開口部34の幅方向を第2方向Yという。
アルコーブ14(玄関ポーチ)において各開口部33,34の間の角隅部にはポーチ柱30が立設されている。ポーチ柱30は、アルコーブ14において独立した状態で配置された化粧柱である。ポーチ柱30は、アルコーブ14を形成する建物ユニット20(以下、アルコーブユニット20Aという)の柱21を用いて構成されている。なお、以下の説明では便宜上、ポーチ柱30を構成する当該柱21の符号にAを付す。また、この柱21Aが独立柱に相当する。
続いて、アルコーブユニット20Aの構成について説明する。アルコーブユニット20Aは、その床部の構成が通常の建物ユニット20と相違しており、以下においてはその相違点を中心に説明する。図3は、アルコーブユニット20Aにおける柱21A周辺を示す斜視図である。
図3に示すように、アルコーブユニット20Aにおいて柱21Aを介して隣接する各側面部にはそれぞれ上記開口部33,34が形成される。この場合、アルコーブユニット20Aの上記各側面部には、各開口部33,34が形成されている関係で床大梁23の一部が除去された梁欠損部39が形成されている。
柱21Aにおける各開口部33,34側の側面にはそれぞれ、短尺状の下梁37が固定されている。下梁37は、床大梁23と同じ断面を有する溝形鋼により形成され、その溝部を水平方向内側に向けた状態で配設されている。下梁37は、床大梁23と同じ高さ位置に配置され、天井大梁22に対して真下に位置している。
ここで、ユニット製造工場でのアルコーブユニット20Aの製造時には、梁欠損部39に対して仮梁38(図3において二点鎖線で示す)が組み付けられる。仮梁38は、その一端部が下梁37に対してボルトにより固定され、その他端部が図示しない床大梁23(梁欠損部39に隣接する床大梁23)に対してボルトにより固定される。この場合、仮梁38を介して隣り合う柱21A,21間が互いに連結される。
このように仮梁38が組み付けられた状態でアルコーブユニット20Aは施工現場へと搬送される。そのため、アルコーブユニット20Aの搬送時及び据付時に床部が変形するのが防止されている。アルコーブユニット20Aが施工現場へ搬送され、所定位置に据え付けられた後、同ユニット20Aから仮梁38が取り外される。これにより、その仮梁38が取り外された部位が梁欠損部39となる。
次に、ポーチ柱30の構成について図4〜図6を用いながら説明する。図4は、ポーチ柱30の構成を示す横断面図である。図5は、ポーチ柱30の構成を分解した状態で示す分解横断面図である。図6は、ポーチ柱30周辺を分解した状態で示す斜視図である。なお、図6では便宜上、アルコーブユニット20Aを二点鎖線で示している(後述する図7も同様)。
図4〜図6に示すように、ポーチ柱30は、アルコーブユニット20Aの柱21Aと、その柱21Aに沿って上下に延びるとともに柱21Aを囲むように設けられた支持フレーム40と、支持フレーム40よりも外周側において柱21Aを囲むように設けられた複数の化粧板35とを備えて構成されている。支持フレーム40は柱21Aに対して固定され、各化粧板35はそれぞれ支持フレーム40に対して取り付けられている。
柱21Aは、上述したように角形鋼管よりなり、その横断面が矩形形状詳しくは正方形状をなしている。柱21Aには、その側面として、第1方向Xに対向する2つの側面21a,21bと、第2方向Yに対向する2つの側面21c,21dとが設けられている。各側面21a,21bのうち、側面21aが第1方向Xにおいてアルコーブユニット20Aの内側(以下、ユニット内側という)に形成され、側面21bがアルコーブユニット20Aの外側(以下、ユニット外側という)に形成されている。また、各側面21c,21dのうち、側面21cが第2方向Yにおいてユニット内側に形成され、側面21dがユニット外側に形成されている。
続いて、支持フレーム40の構成について図4〜図6に加え図7を用いながら説明する。図7は、支持フレーム40を分解した状態で示す斜視図である。
図4〜図7に示すように、支持フレーム40は、第1フレーム部41と第2フレーム部42と第3フレーム部43とを備える。これら各フレーム部41〜43はいずれも柱21Aに沿って上下方向に延びる長尺状に形成されており、それら各フレーム部41〜43が互いに連結されることにより支持フレーム40が構成されている。
第1フレーム部41は、概ね柱21Aに対して第1方向Xにおけるユニット内側に配設されている。第2フレーム部42及び第3フレーム部43は柱21A及び第1フレーム部41を挟んで第2方向Yにおける両側にそれぞれ配設されている。これら各フレーム部42,43は柱21A及び第1フレーム部41に対してそれぞれ固定されている。それら各フレーム部42,43のうち、第2フレーム部42が柱21A及び第1フレーム部41に対して第2方向Yのユニット内側に配置され、第3フレーム部43が第2方向Yのユニット外側に配置されている。この点からすると、第2フレーム部42を内側フレーム部ということができ、第3フレーム部43を外側フレーム部ということができる。
続いて、各フレーム部41〜43の構成について順に説明していく。まず、第1フレーム部41の構成について図4〜図7に加え図8及び図9を用いながら説明する。図8は、第1フレーム部41を示す斜視図である。図9は、その第1フレーム部41が上下の梁に固定された状態を示す縦断面図である。
図4〜図9に示すように、第1フレーム部41は、上下方向に延びる縦枠材45と、その縦枠材45において上下方向に所定の間隔で取り付けられた複数(具体的には3つ)の位置決め部46とを有している。縦枠材45は、横断面がコ字状をなす鋼材により形成されており、ウェブ45aとそのウェブ45aを挟んで両側に設けられた一対のフランジ45b,45cとを有している。縦枠材45は、柱21Aに対して第1方向Xにおけるユニット内側に離間して配置され、その配置状態においてその溝部を同方向Xにおけるユニット外側に向けている。この場合、縦枠材45の各フランジ45b,45cは第2方向Yに互いに対向した状態で配置されている。それら各フランジ45b,45cのうちユニット内側に位置するフランジ45bについては柱21Aの側面21cよりも若干ユニット内側に配置され、ユニット外側に位置するフランジ45cについては第2方向Yにおいて柱21Aの中間部(詳しくは中央部)と同位置に配置されている。
縦枠材45には、その上端部に天井大梁22に固定される上梁固定部51が設けられ、その下端部に下梁37に固定される下梁固定部52が設けられている。この場合、各固定部51,52はそれぞれ第1方向Xに延びる天井大梁22とその真下に位置する下梁37とに固定されている。
上梁固定部51は、L字状の鋼板により形成され、縦枠材45の上端部に溶接固定された水平板部51aと、天井大梁22のウェブ22aの外側面に固定された鉛直板部51bとを有している。水平板部51aは、天井大梁22の下フランジ22bの下面に当接しており、その当接状態で鉛直板部51bがボルト54により天井大梁22のウェブ22aに固定されている。この場合、鉛直板部51bの外側面にはウェルディングナット55が溶接固定されており、そのウェルディングナット55に対してボルト54が天井大梁22のウェブ22a及び上梁固定部51の鉛直板部51bを介して梁内側から締結されている。
下梁固定部52は、L字状の鋼板により形成され、縦枠材45の下端側に溶接固定されている。詳しくは、縦枠材45はその下端側において各フランジ45b,45cが除去されており、その除去された部位に下梁固定部52が配設されている。下梁固定部52は、下梁37の上フランジ37aの上面に当接された水平板部52aと、下梁37のウェブ37bの外側面にボルト57により固定された鉛直板部52bとを有している。下梁37のウェブ37bの内側面にはウェルディングナット58が溶接固定されており、そのウェルディングナット58に対してボルト57が下梁固定部52の鉛直板部52b及び下梁37のウェブ37bを介して締結されている。
なお、ユニット製造工場でのアルコーブユニット20Aの製造時においては、下梁固定部52に加えて仮梁38(図9において仮梁38の端部プレートを二点鎖線で示す)が下梁37に対してボルト57により(仮)固定される。この場合、かかる仮固定状態でアルコーブユニット20Aが施工現場へと搬送され、所定位置に据え付けられた後、ボルト57が取り外されることにより仮梁38が取り外される。そして、その後ボルト57が再び締められることで下梁固定部52が下梁37に(本)固定されるようになっている。
縦枠材45のフランジ45bには位置決め部46が取り付けられている。位置決め部46は、フランジ45bに固定され当該フランジ45bから第1方向Xにおけるユニット外側へ突出する突出板47と、その突出板47に取り付けられ柱21Aの側面21a,21cに当接する2つの当接部材48,49とを有している。
突出板47は平板状の鋼板よりなり、フランジ45bの内側面に溶接固定されている。突出板47は、その一部が柱21Aの側面21cと対向する位置まで突出しており、その対向部分には上記当接部材としてのスペーサ48が取り付けられている。スペーサ48は、合板により平板状に形成されており、柱21Aの側面21cと突出板47との間に配設されている。したがって、スペーサ48は柱21Aの側面21cに当接した状態で配設されている。かかるスペーサ48の配設状態で突出板47はビス61により柱21Aに対して固定されている。この場合、ビス61は突出板47とスペーサ48とをそれぞれ貫通した状態で柱21Aに打ち付けられている。
突出板47においてスペーサ48よりも縦枠材45(フランジ45b)側には、上記当接部材としてのアングル49が固定されている。アングル49は、L字状の鋼板により形成され、突出板47の板面(詳しくはユニット外側の板面)に溶接固定された固定板部49aと、柱21Aの側面21aに当接された当接板部49bとを有している。
このように、位置決め部46には、柱21Aにおいて互いに直交する2つの側面21a,21cにそれぞれ当接する2つの当接部材48,49が設けられている。このため、位置決め部46は、それら当接部材48,49による当接により柱21Aに対して第1方向X及び第2方向Yのいずれの方向においても位置決めがされている。そして、かかる位置決め部46による位置決めによって、第1フレーム部41ひいては支持フレーム40が柱21Aに対して第1方向X及び第2方向Yの各方向において位置決めされている。
第2フレーム部42は、第1フレーム部41と柱21Aとに跨がって設けられており、それら両部材21A、41に対してそれぞれ固定されている。第2フレーム部42は、第1方向Xにおいて互いに離間して配置された一対の縦枠材64,65と、それら各縦枠材64,65の間に架け渡された複数の横枠材66とを有している。各縦枠材64,65のうち縦枠材64が第1方向Xにおけるユニット内側に配置され、縦枠材65がユニット外側に配置されている。
縦枠材64は、横断面がコ字状をなす長尺状の鋼材により形成されており、ウェブ64aとそのウェブ64aを挟んで両側に設けられた一対のフランジ64b,64cとを有している。縦枠材64は、その溝部を第1方向Xにおけるユニット外側に向けた状態で、第1フレーム部41の縦枠材45に対して第2方向Yにおけるユニット内側に隣接して配置されている。この場合、縦枠材64は、各フランジ64b,64cのうち縦枠材45側のフランジ64cを当該縦枠材45のフランジ45bに当接させて配置されており、その配置状態でフランジ64cが縦枠材45のフランジ45bにボルト68により固定されている。これにより、縦枠材64ひいては第2フレーム部42が第1フレーム部41に対して固定されている。また、かかる固定状態において縦枠材64のウェブ64aは、その外側面が縦枠材45のウェブ45aの外側面と同一平面上に位置している。
ボルト68による上記固定について詳しくは、縦枠材45のフランジ45bの内側面にはウェルディングナット69が溶接固定されており、そのウェルディングナット69に対してボルト68が各フランジ45b,64cを介して締結されている。また、ボルト68及びウェルディングナット69は、縦枠材45,64の長手方向に沿って所定の間隔で複数(具体的には4つ)配置されている。この場合、ボルト68及びウェルディングナット69は、横枠材66と異なる高さ位置に配置されている。そのため、ボルト68をウェルディングナット69に締結する際に、上下に並ぶ横枠材66の間を通じてかかる締結作業がし易くなっている(図11(c)も参照)。また、ボルト68によりフランジ45b,65c同士が固定される固定部分が柱21Aよりも横枠材66側に位置しているため、横枠材66の間を通じてボルト68の締結を行う際柱21Aが邪魔となるのを回避することができる。
縦枠材65は、横断面がL字状をなす長尺状の鋼材により形成されている。縦枠材65を構成する2つの板部65a,65bのうち、一方の板部65aは、その外側面が縦枠材64のフランジ64bの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部65bは、第1方向Xにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置しており、その先端側(板部65aとは反対側の先端側)が柱21Aの側面21bと対向する位置まで延びている。
板部65bの先端部にはスペーサ71が取り付けられている。スペーサ71は、上下方向に延びる長尺平板状の合板により形成されている。スペーサ71は、幅方向の一部が板部65bからはみ出した状態で当該板部65bの内側面に接着剤等を用いて固定されている。スペーサ71は、その(反板部65b側の)板面が柱21Aの側面21bに当接した状態で配設されている。
横枠材66は、長尺平板状の鋼板により形成されている。横枠材66は、上下方向に所定の間隔をおいて複数(具体的には4つ)配置されている。各横枠材66はそれぞれ一方の端部が縦枠材64のフランジ64bの内側面に溶接固定され、他方の端部が縦枠材65の板部65aの内側面に溶接固定されている。これにより、これらの横枠材66を介して各縦枠材64,65が互いに連結されている。
第3フレーム部43は、第1フレーム部41と柱21Aとに跨がって設けられており、それら両部材21A、41に対してそれぞれ固定されている。第3フレーム部43は、第1方向Xにおいて互いに離間して配置された一対の縦枠材74,75と、それら各縦枠材74,75の間に架け渡された複数の横枠材76とを有している。各縦枠材74,75のうち縦枠材74が第1方向Xにおけるユニット内側に配置され、縦枠材75がユニット外側に配置されている。
縦枠材74は、その横断面がL字状をなす長尺状の鋼材により形成されている。縦枠材74は、第1フレーム部41の縦枠材45に対して第2方向Yにおけるユニット外側に離間して配置されている。縦枠材74を構成する2つの板部74a,74bのうち、一方の板部74aはその外側面が縦枠材45のウェブ45aの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部74bは、第2方向Yにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置している。
縦枠材75は、横断面がL字状をなす鋼材により長尺状に形成されている。縦枠材75を構成する2つの板部75a,75bのうち、一方の板部75aはその外側面が縦枠材74の板部74bの外側面と同一平面上に位置している。また、他方の板部75bは、第1方向Xにおいて柱21Aよりも(若干)ユニット外側に位置している。この場合、当該板部75bの外側面は、第2フレーム部42の縦枠材65の板部65bの外側面と同一平面上に位置している。
板部75bは、その先端部(板部75aとは反対側の先端部)がスペーサ71の外側面に重ねられており、その状態でビス78によりスペーサ71を介して柱21Aに固定されている。この場合、ビス78は、板部75bとスペーサ71とを貫通して柱21Aに打ち付けられている。また、ビス78は、上下方向に所定の間隔で複数打ち付けられている。これにより、縦枠材75ひいては第3フレーム部43が柱21Aに対して固定されているとともに、スペーサ71ひいては当該スペーサ71を有する第2フレーム部42(詳しくは縦枠材65)が柱21Aに対して固定されている。
横枠材76は、長尺平板状の鋼板により形成されている。横枠材76は、上下方向に所定の間隔をおいて複数(具体的には4つ)配置されている。各横枠材76はそれぞれ一方の端部が縦枠材74の板部74bの内側面に溶接固定され、他方の端部が縦枠材75の板部75aの内側面に溶接固定されている。これにより、これらの横枠材76を介して各縦枠材74,75が互いに連結されている。
第3フレーム部43は、その縦枠材74が第1フレーム部41の縦枠材45に対して固定されている。以下、これら縦枠材45,74同士が固定される固定部分の構成について説明する。
縦枠材45,74同士が固定される固定部分において、縦枠材45側にはそのフランジ45cに上下方向に所定の間隔で複数(具体的には4つ)の固定金具81が固定されておいる。その一方で、縦枠材74側には、その板部74aに上下方向に所定の間隔で複数(具体的には4つ)の固定金具82が固定されている。各固定金具82はそれぞれ各固定金具81と対応して配置されており、その配置状態で両固定金具81,82がボルト84を用いて固定されている。なお、各固定金具81,82がそれぞれ固定部に相当する。
固定金具81は、平面視L字状の鋼板により形成されている。固定金具81を構成する2つの板部81a,81bのうち、板部81aは縦枠材45のフランジ45cの外側面に溶接固定されている。板部81bは、板部81aから第2方向Yにおいて縦枠材74側に延びており、その第1方向Xにおける位置が縦枠材74の板部74a(ひいては後述するフレーム外周部90)よりも支持フレーム40の内部側(換言すると柱21A側)に設定されている。
一方、固定金具82は、平面視略Z字状の鋼板により形成されている。固定金具82は、縦枠材74の板部74aの内側面に溶接固定された固定板部82aと、固定金具81の板部81bの外側面に固定された固定板部82bと、それら各固定板部82a,82b同士を繋ぐ繋ぎ板部82cとを有している。固定板部82bは、固定金具81の板部81bに重ね合わせられた状態で当該板部81bにボルト84により固定されている。この場合、ボルト84により固定される各板部81b,82bは縦枠材74の板部74a(フレーム外周部90)よりも支持フレーム内部側となる位置で互いに固定されている。このため、ボルト84の頭部は、フレーム外周部90よりも支持フレーム内部側に位置している。
ボルト84による固定構成についてより詳しくは、上記各板部81b,82bにはそれぞれボルト84を挿通するための挿通孔87,88が形成されている。これら各挿通孔87,88には、ボルト84が板部82bの外側から挿通されており、その挿通状態でボルト84が板部81bの内側面に溶接固定されたウェルディングナット85に締結されている。これにより、各固定金具81,82がボルト84及びナット85により固定され、ひいては第1フレーム部41と第3フレーム部43とが互いに固定されている。
ここで、本実施形態では、各固定金具81,82同士の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。そして、その調整により第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。以下、かかる固定位置の調整に関する構成について説明する。
各固定金具81,82に形成されたボルト84の挿通孔87,88のうち、固定金具81(板部81b)に形成された挿通孔87は丸孔形状とされているのに対して、固定金具82(板部82b)に形成された挿通孔88は第2方向Yに長い長孔形状とされている。長孔としての挿通孔88は、その長手方向(つまり第2方向Y)における孔の長さが例えばボルト84の外径の1.5倍〜2倍程度に設定されている。この場合、その挿通孔88が形成されている範囲内で固定金具81に対する固定金具82の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。そして、その調整により第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を第2方向Yに調整することが可能となっている。なお、本実施形態では、第3フレーム部43が特許請求の範囲に記載された「第2フレーム部」に相当する。
本実施形態では、かかるフレーム部41,43同士の固定位置の調整により、第2方向Yにおける支持フレーム40の幅W、より詳しくは同フレーム40の外周部(以下、フレーム外周部90という)の幅Wを調整することが可能となっている。フレーム外周部90は、支持フレーム40においてその外周部を構成する部分である。具体的には、フレーム外周部90は、第1フレーム部41における縦枠材45(詳しくはウェブ45a)、第2フレーム部42における縦枠材64(詳しくはウェブ64a及びフランジ64b)、縦枠材65及び横枠材66、第3フレーム部43における各縦枠材74,75及び横枠材76をそれぞれ含んで構成されている。フレーム外周部90は、平面視において矩形形状をなしており、詳しくは正方形状をなしている。
以上が、支持フレーム40に関する説明である。続いて、支持フレーム40に取り付けられる化粧板35について説明する。
化粧板35は、支持フレーム40のフレーム外周部90に取り付けられている。化粧板35は、窯業系サイディングにより構成され、支持フレーム40(フレーム外周部90)の周囲に分割して2つ設けられている。各化粧板35は柱21Aに沿って上下に延びる長尺状とされ、その長さが柱21Aの長さと略同じ長さとなっている。また、各化粧板35はいずれもその横断面がフレーム外周部90に沿ったコ字状をなしており、詳しくはその横断面がいずれも同じ大きさでかつ同じ形状とされている。各化粧板35は、互いの溝部(内側空間)を第2方向Yに向き合わせた状態で支持フレーム40(フレーム外周部90)の外周側に配設されており、その配設状態でフレーム外周部90にビスにより固定されている。この場合、各化粧板35は支持フレーム40(さらには柱21A)を囲むように設けられており、それら各化粧板35により横断面矩形(詳しくは正方形)の化粧壁部36が構成されている。
上記のように、各化粧板35が支持フレーム40を介して柱21Aに取り付けられていることから、化粧壁部36ひいてはポーチ柱30の幅は柱21Aの幅よりも十分に大きくなっている。本実施形態では、ポーチ柱30の幅が柱21Aの幅の約2倍程度となっている。
各化粧板35は、互いの端面同士を第2方向Yに向き合わせた状態で配置されている。それら各化粧板35の端面同士の間には上下方向に延びる目地91(縦目地)が形成されている。目地91は、各化粧板35の間において2箇所存在しており、その目地幅方向が第2方向Yとなっている。それら2つの目地91はいずれも第2方向Yにおいて同位置にあり、また同方向Yにおいてポーチ柱30の中央に位置している。
これらの目地91にはそれぞれ、目地止水部材としてガスケット92が配設されている。ガスケット92は、定形シールよりなり、EPDM等の樹脂材料により形成されている。ガスケット92は、目地91に沿って上下に延びるように配設され、当該目地91にはめ込まれている。これにより、目地91を通じて雨水等の水が化粧板35の内側空間(つまりポーチ柱30の内部空間)に入り込むことが防止されている。
ガスケット92の奥側には止水シート93が配設されている。止水シート93は、上下方向に延びる長尺状のシートであり、目地91を挟んで隣り合う各化粧板35の裏面に跨がって配設されている。止水シート93は、目地91を挟んだ両側部分が化粧板35とフレーム外周部90との間に挟み込まれた状態で設けられている。この場合、仮に雨水等の水がガスケット92を突破したとしても、その水がポーチ柱30の内部空間に入り込むのを防止することができる。また、止水シート93は各目地91に対してそれぞれ配設されており、それら各止水シート93のうち一方については化粧板35と第1フレーム部41(縦枠材45)との間に挟み込まれ、他方については化粧板35と第2フレーム部42(縦枠材65)及び第3フレーム部43(縦枠材74)との間に挟み込まれている。特に、上記一方の止水シート93について付言すると、この止水シート93は縦枠材45のウェブ45aの外側面に貼り付けられている(図9参照)。この場合、縦枠材45は止水シート93の下地としても利用されており、その関係で縦枠材45が目地91を第2方向Yに跨ぐ位置に配置されている。
次に、アルコーブユニット20Aの柱21Aを利用して上述したポーチ柱30を構築する際の作業手順について説明する。図11は、アルコーブユニット20Aの柱21Aに支持フレーム40を固定する際の作業手順を説明するための図である。
ポーチ柱30を構築するにあたっては、まずユニット製造工場においてアルコーブユニット20Aの柱21A等に支持フレーム40を固定する作業を行う。この支持フレーム40の固定作業に際しては、まず図11(a)に示すように、第1フレーム部41の上梁固定部51及び下梁固定部52をそれぞれ天井大梁22及び下梁37に固定する作業を行う。この場合、上梁固定部51についてはボルト54をウェルディングナット55に締結することで天井大梁22に固定し、下梁固定部52についてはボルト57をウェルディングナット58に締結することで下梁37に固定する。また、これら各固定部51,52を天井大梁22及び下梁37に固定する際には、第1フレーム部41の各位置決め部46(詳しくはスペーサ48及びアングル49)をそれぞれ柱21Aの各側面21a,21cにそれぞれ当接させて位置決めした状態で固定を行う(図11(b)も参照)。
次に、図11(b)に示すように、各位置決め部46をそれぞれ柱21Aに対してビス61により固定する作業を行う。これにより、第1フレーム部41が柱21Aに対して所定の位置に位置決めされた状態で固定される。
次に、図11(c)に示すように、第1フレーム部41に対して第2フレーム部42を固定する作業を行う。この場合、ボルト68をウェルディングナット69に締結することで、第2フレーム部42の縦枠材64を第1フレーム部41の縦枠材45に固定する。
次に、図11(d)に示すように、第1フレーム部41に対して第3フレーム部43を固定する作業を行う。この場合、ボルト84をウェルディングナット85に締結することで、第3フレーム部43の固定金具82を第1フレーム部41の固定金具81に固定する。
ここで、かかる固定作業に際しては、まずボルト84を各固定金具81,82の挿通孔87,88に挿通した状態でウェルディングナット85に(緩めた状態で)仮締めする。そして、その仮締め状態で固定金具82を固定金具81に対して第2方向Yに変位させることで、すなわち第3フレーム部43を第1フレーム部41に対して第2方向Yに変位させることで、フレーム外周部90の幅Wを予め定められた所定幅に調整する。そして、かかる幅調整をした後、ボルト84をウェルディングナット85に対して本締めする。これにより、フレーム外周部90の幅Wが所定幅とされた状態で第3フレーム部43が第1フレーム部41に固定される。
なお、フレーム外周部90の上記所定幅は化粧板35の寸法ばらつきを考慮して、当該フレーム外周部90(支持フレーム40)に取り付けられる化粧板35(化粧板35の寸法)ごとに規定することが考えられる。
次に、第3フレーム部43の縦枠材75をビス78により柱21Aに固定する。これにより、上記各フレーム部41〜43からなる支持フレーム40が柱21等に固定される。
その後、支持フレーム40が固定されたアルコーブユニット20Aは施工現場へ搬送される。施工現場では、アルコーブユニット20Aの支持フレーム40のフレーム外周部90に各化粧板35をビスにより固定する作業を行う。これにより、アルコーブユニット20Aにおいてポーチ柱30が構築される。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
柱21Aを囲むように支持フレーム40を設け、その支持フレーム40のフレーム外周部90に各化粧板35を取り付けた。そして、支持フレーム40において、フレーム外周部90の幅Wを隣り合う化粧板35の間に形成される目地91の目地幅方向(第2方向Yと同方向)に調整可能に構成した。この場合、フレーム外周部90の幅Wを調整することで、同外周部90に取り付けられる各化粧板35の間の目地幅を調整することができる。これにより、化粧板35に寸法ばらつき等が生じても、そのばらつきを上記調整により吸収し目地幅を所定の幅とすることができる。そのため、ポーチ柱30において意匠性が損なわれるのを抑制することができる。また、目地91においてガスケット92による止水効果を確実に発揮させることができる。
支持フレーム40を、柱21Aに固定された第1フレーム部41と、第1フレーム部41に固定された第3フレーム部43とを備えて構成した。そして、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を目地幅方向(第2方向Y)に調整可能とし、その調整によりフレーム外周部90の幅Wを目地幅方向に調整可能とした。この場合、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を目地幅方向に調整するといった比較的簡単な手法でフレーム外周部90の幅Wを調整することができる。
具体的には、第1フレーム部41の固定金具81と第3フレーム部43の固定金具82とをボルト84及びナット85の締結により互いに固定し、それら各固定金具81,82に形成したボルト84の挿通孔87,88のうち、固定金具82側の挿通孔88を目地幅方向(第2方向Y)に延びる長孔形状とした。そして、その長孔形状の挿通孔88により各固定金具81,82の固定位置を目地幅方向に調整可能とした。この場合、かかる固定位置の調整により、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を目地幅方向に調整することができる。そのため、各フレーム部41,43同士を固定する固定金具81,82に、フレーム部41,43同士の位置調整機能を付与することができる。
第1フレーム部41及び第3フレーム部43にそれぞれ固定金具81,82を上下方向に所定の間隔で複数配置したため、それら複数配置された各固定金具81,82のそれぞれで長孔形状の挿通孔88による固定金具81,82同士の位置調整が可能となっている。この場合、各フレーム部41,43における上下方向の各位置で固定金具81,82同士の位置調整の量(調整量)を変えることができるため、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の傾きを微調整することができる。これにより、隣り合う化粧板35の一方に対して他方が傾いている場合等に、かかる微調整をすることで化粧板35の傾きを解消することができる。そのため、化粧板35が傾くことで意匠性が損なわれる不都合を抑制することができる。
各固定金具81,82を、支持フレーム40においてフレーム外周部90よりもフレーム内側となる位置でボルト84及びナット85により固定したため、フレーム外周部90に取り付けられる化粧板35にボルト84が干渉するのを回避することができる。この場合、化粧板35にボルト84との干渉を回避するための凹部や孔部を加工形成しなくても済むという利点を得ることができる。
柱21Aの周囲に、横断面がコ字状をなす2つの化粧板35を互いの溝部を向き合わせた状態で配設した。つまり、2つの化粧板35により柱21Aを囲んでポーチ柱30を形成した。この場合、横断面L字状の4つの化粧板により柱21Aを囲んでポーチ柱を形成する場合と比べて、目地数を少なくすることができるため、意匠性の向上が図れる等の利点を得ることができる。また、コ字状をなす2つの化粧板35により柱21Aを囲む構成では、L字状をなす4つの化粧板により柱21Aを囲む構成よりも、目地幅にばらつきが生じ易くなるおそれがあるが、上記の実施形態では、かかる構成に対してフレーム外周部90の幅を調整可能とする上述の支持フレーム40を適用しているため、そのばらつきをフレーム外周部90の幅調整により好適に吸収することができる。そのため、かかる構成においても、意匠性が損なわれる等の不都合を抑制することができる。
また、柱21Aに支持フレーム40を介して化粧板35を取り付けたことで、化粧板35を柱21Aから離間した位置に取り付けることができる。これにより、ポーチ柱30の幅を柱21Aの幅よりも十分に大きくすることができるため、ポーチ柱30において重厚感を演出することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43(特許請求の範囲に記載された「第2フレーム部」に相当)の固定位置を目地幅方向(第2方向Y)に調整することで、フレーム外周部90の幅Wを調整可能としたが、これに代えて又は加えて、第1フレーム部41に対する第2フレーム部42の固定位置を目地幅方向に調整することで、フレーム外周部90の幅Wを調整可能にしてもよい。この場合、第2フレーム部42が特許請求の範囲に記載された「第2フレーム部」に相当する。
(2)上記実施形態では、支持フレーム40を、3つのフレーム部41〜43に分割したが、これを変更して、2つ又は4つ以上のフレーム部に分割するようにしてもよい。それらの場合であっても、各フレーム部のうち柱21Aに固定されたフレーム部(第1フレーム部に相当)と、そのフレーム部に固定されるフレーム部(第2フレーム部に相当)とについて、互いの固定位置を目地幅方向に調整可能に構成すればよい。そうすれば、かかる調整により、目地幅方向にフレーム外周部90の幅を調整可能とすることができる。
(3)上記実施形態では、化粧板35の目地91の目地幅方向が第2方向Yとなっていたが、目地幅方向が第1方向Xとなっている場合も考えられる。その場合には、支持フレーム40のフレーム外周部90の幅を第1方向Xに調整可能とすればよい。
(4)上記実施形態では、第1フレーム部41及び第3フレーム部43の固定金具81,82同士をボルト84及びウェルディングナット85の締結により固定したが、この場合、ウェルディングナット85に代えて通常のナットを用いてもよい。また、通常のナットを用いる場合、固定金具82の挿通孔88を長孔形状とすることに代えて又は加えて、固定金具81の挿通孔87を長孔形状としてもよい。例えば、挿通孔88に加えて挿通孔87についても長孔形状とすれば、それら2つの長孔により固定金具81,82同士の固定位置を目地幅方向に調整可能な範囲を大きくすることが可能となる。そのため、フレーム外周部90の幅Wを調整可能な範囲を大きくすることができる。
(5)上記実施形態では、固定金具82を固定金具81にボルト84により固定する固定位置を支持フレーム40のフレーム外周部90よりもフレーム内部側に設定したが、これを変更して、上記固定位置をフレーム外周部90に設定してもよい。但し、その場合、ボルト84の頭部がフレーム外周部90よりも外側に突出するため、化粧板35に当該頭部との干渉を回避するための凹部や孔部を加工形成する必要がある。この点を鑑みると、上記固定位置はフレーム外周部90よりもフレーム内部側に設定するのが望ましい。
(6)上記実施形態では、固定金具82に形成された長孔(挿通孔88)を利用して第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を目地幅方向に調整可能としたが、フレーム部41,43同士の固定位置の調整は必ずしも長孔を利用したものに限らない。例えば、第1フレーム部41と第3フレーム部43とに跨がる状態で、回転操作により第3フレーム部43を第1フレーム部41に対して目地幅方向に変位させる調整ボルトを取り付けることが考えられる。この場合にも、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の配設位置を調整ボルトを用いて目地幅方向に調整することで、フレーム外周部90の幅Wを同方向に調整することが可能となる。かかる構成では、調整ボルトに上記調整を不能とするためのロック機構を設け、フレーム外周部90の幅調整をした後、そのロック機構により上記調整を不能と(つまりはロック)することで、第1フレーム部41に対して第3フレーム部43を固定することが考えられる。
(7)上記実施形態では、第1フレーム部41に対する第3フレーム部43の固定位置を目地幅方向(第2方向Y)に調整することで、フレーム外周部90の幅Wを調整可能としたが、フレーム外周部90の幅調整をするに際しては必ずしも第3フレーム部43(ひいては上下方向に延びるフレーム部)を用いる必要はない。例えば、第1フレーム部41に第3フレーム部43を固定することに代えて、第1フレーム部41にフレーム外周部90の一部を構成する外周構成部材を上下方向に所定の間隔で複数固定することが考えられる。そして、第1フレーム部41に対するこれら各外周構成部材の固定位置をそれぞれ目地幅方向に調整可能とし、それら各外周構成部材の固定位置の調整によりフレーム外周部90の幅Wを調整することが考えられる。なお、外周構成部材としては、例えば平面視の形状が第3フレーム部43と同じ形状のものが考えられる。
上記の構成によれば、各外周構成部材の固定位置の調整量をそれぞれ変えることで、それら外周構成部材に跨がって取り付けられる化粧板35の傾きを調整することができる。そのため、かかる傾き調整により、当該化粧板35を隣接する化粧板35に対して傾きのない状態で取り付けることが可能となる。
(8)上記実施形態では、2つの化粧板35により柱21Aを囲む構成に本発明を適用したが、3つ以上の化粧板35により柱21Aを囲む構成に本発明を適用してもよい。例えば、横断面がL字状の4つの化粧板35により柱21Aを囲む構成に本発明を適用することが考えられる。この場合、隣り合う各化粧板35の間ごとに計4つの目地が形成され、具体的には、目地幅方向が第1方向Xとなる目地(以下、第1目地という)と、目地幅方向が第2方向Yとなる目地(以下、第2目地という)とがそれぞれ2つずつ形成される。このような構成においては、支持フレーム40を、第1方向X及び第2方向Yのいずれかの方向にフレーム外周部90の幅を調整可能に構成することが考えられる。その場合、化粧板35等に寸法ばらつきが生じても、そのばらつきをフレーム外周部90の上記幅調整により吸収することで、第1目地又は第2目地の目地幅を所定の幅にすることができる。そのため、この場合にも、意匠性が損なわれる等の不都合を抑制することができる。
(9)上記実施形態では、アルコーブ14に設けられたポーチ柱30(化粧柱)に本発明の柱構造を適用したが、バルコニーやテラス等、アルコーブ14以外に設けられた化粧柱に本発明を適用してもよい。また、屋内(例えばリビングダイニング等)に設けられた化粧柱に本発明を適用してもよい。
(10)また、本発明の柱構造を、建物10において独立した状態で設けられる化粧柱以外に適用してもよい。その場合の例を図12に示す。図12の例では、建物95に、車両を駐車可能なガレージ空間96(インナガレージ)が設けられている。ガレージ空間96は、2つの建物ユニット20の内部空間を利用して形成されている。ガレージ空間96は、その3方が仕切壁97a〜97cにより囲まれており、その一側面には車両がガレージ空間96に出入りするための車両出入口98が形成されている。また、車両出入口98を挟んだ両側の仕切壁97a,97bのうち一方の仕切壁97aにはガレージ空間96に人が出入りするための出入口103が形成されている。
仕切壁97aは、その厚み方向の両側にそれぞれ化粧板99を備え、その化粧板99が横並びに複数設けられることで仕切壁97aが構成されている。仕切壁97aにおいて出入口103側の端部では、化粧板99が建物ユニット20の柱21を3方から囲むようにして設けられている。これらの化粧板99(以下、この符号にAを付す)は横断面L字状をなしており、その化粧板99Aが仕切壁97aの壁厚み方向に並んでコ字状をなすように配置されている。この場合、各化粧板99Aの間に形成される目地101は、その目地幅方向が仕切壁97aの壁厚み方向となっている。
各化粧板99Aは、柱21に対して支持フレーム102を介して取り付けられている。支持フレーム102は、柱21を囲むように形成されており、柱21に対して固定されている。そして、支持フレーム102のフレーム外周部109に対して各化粧板99Aが取り付けられている。支持フレーム102は、その構成が上記実施形態における支持フレーム40と基本的に同じ構成となっている。すなわち、支持フレーム102は、第1フレーム部105と第2フレーム部106と第3フレーム部107とを備えて構成されている。そして、第1フレーム部105に対する第3フレーム部107の固定位置が目地101の目地幅方向(仕切壁97aの壁厚み方向)に調整可能となっており、その調整により目地幅方向におけるフレーム外周部109の幅Wを調整可能となっている。
かかる構成においても、化粧板99Aや支持フレーム102に寸法ばらつき等が生じた場合には、そのばらつきをフレーム外周部109の幅Wを目地幅方向に調整することで吸収し、それにより目地幅を所定の幅とすることができる。これにより、かかる構成においても、意匠性が損なわれる等の不都合が生じるのを抑制することができる。
特に、上述の構成では、柱21を囲むL字状の化粧板99Aが平板状の化粧板99と隣接配置されていることから、目地101の目地幅にばらつきが生じると、隣り合う化粧板99Aと化粧板99との間で壁厚み方向の段差が生じるおそれがある。その場合、その段差により意匠性が著しく損なわれるおそれがある。そのため、かかる点を鑑みても、上述の構成に本発明の柱構造を適用することの意義は大きいといえる。
(11)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。要するに、柱が複数の化粧板により囲まれてなる柱構造を備えた建物であれば、本発明を適用することができる。