以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の外壁構造を、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てユニット式建物において具体化している。まず、ユニット式建物について、図1、図2を参照しつつ説明する。図1は建物10の概略図、図2は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上に設けられた屋根13とを有している。建物本体12は、一階部分14及び二階部分15を有しており、一階部分14が下階部に相当し、二階部分15が上階部に相当する。
屋根13は、片流れ屋根とされており、その全体が傾斜屋根になっている。建物本体12は、平面視で長方形状になっており、屋根13の棟は、建物本体12の長手方向に延びている。
建物本体12の外壁16は、棟に沿って延びた桁側壁部16aと、屋根13の傾斜方向に延びた妻側壁部16bとを有している。建物本体12においては、桁側壁部16aと妻側壁部16bとが接続されていることで出隅部分が形成されており、これら壁部16a,16bはいずれも屋根13から下方に向けて延びている。桁側壁部16aは、屋根13の棟側に配置された外壁部であり、その上端部は、屋根13の棟に沿って水平方向に延びている。妻側壁部16bは、桁側壁部16aの一側方に配置された外壁部であり、その上端部は、屋根13の傾斜に沿って棟から軒先に向けて斜め下方に延びている。
建物本体12は、直方体状の建物ユニット20が複数組み合わされることで構築されており、一階部分14及び二階部分15は、いずれも複数の建物ユニット20を有している。各建物ユニット20は、それぞれの長辺部が棟に沿って延びる向きで、建物本体12の長手方向及び短手方向のそれぞれにおいて複数ずつ横並びに配置されている。建物ユニット20は、ユニット製造工場等の工場にて製造され、その後、トラック等により建築現場に運搬される。
図2に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(ユニット躯体)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材28が支持され、床小梁26によって床面材29が支持されている。
建物ユニット20においては、柱21、天井大梁22及び床大梁23により形成された骨格がユニット躯体31とされており、このユニット躯体31が建物躯体を構成している。
次に、外壁16の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は桁側壁部16aの構成を示す図であり、(a)に屋根13周辺における桁側壁部16aの縦断面図を示し、(b)に縦下地材34周辺における桁側壁部16aの正面図を示す。なお、図3(b)においては、桁側壁部16aを屋内側から見た図を示している。
図3(a)に示すように、桁側壁部16aは、外壁面を形成する外壁面材32と、外壁面材32を支持している外壁下地33とを有している。なお、外壁16においては、妻側壁部16bも外壁面材32及び外壁下地33を有している。
外壁面材32は、サイディングボード等の外装材により形成されており、外壁下地33に対して屋外側からビス等により取り付けられている。外壁下地33は、上下方向に延びているスタッド等の縦下地材34と、壁幅方向に延びているランナ等の横下地材35,36とを有している。横下地材35,36のうち、上側横下地材35は、縦下地材34の上端部に接続されており、下側横下地材36は、縦下地材34の下端部に接続されている。横下地材35,36は、いずれも軽量形鋼により形成されている。
図3(b)に示すように、縦下地材34は、互いに連結された一対の縦材34aを有している。一対の縦材34aは、いずれも断面コ字状の軽量溝形鋼により形成されており、互いに溝部を反対側に向けてそれぞれのウェブが重ねられた状態でボルト等により固定されている。
外壁16においては、外壁面材32及び外壁下地33がユニット化されることで壁パネル41,42が形成されており、これら壁パネル41,42が建物本体12の外周面に沿って複数ずつ並べられている。各壁パネル41,42においては、外壁下地33が、少なくとも1つの縦下地材34と、上下一対の横下地材35,36とを有しており、これら縦下地材34及び横下地材35,36に対して少なくとも1つの外壁面材32が取り付けられている。
外壁16での壁パネル41,42の配置について、図1〜図6を参照しつつ説明する。図4は、二階部分15の壁パネル41,42の配置を示す斜視図、図5は、桁側壁部16a周辺の概略平面図、図6は上側壁パネル42の正面図である。なお、図6においては、(a)に中間壁パネル42cを示し、(b)に跨ぎ壁パネル42bを示す。
図2に示すように、壁パネル41,42のうちユニット壁パネル41は、ユニット躯体31に取り付けられていることで建物ユニット20に含まれている。ユニット壁パネル41は、ユニット躯体31の外側に配置されており、建物ユニット20の各側面部のうち、ユニット壁パネル41を含んで構成された側面部は、外壁16を形成する外壁形成部43になっている(図3(a)参照)。ユニット壁パネル41は、上側横下地材35が天井大梁22に固定され、下側横下地材36が床大梁23に固定されていることで、これら天井大梁22と床大梁23とに掛け渡された状態になっている。なお、外壁形成部43がユニット側面部に相当する。
ユニット壁パネル41は、工場においてユニット躯体31に取り付けられることで、そのユニット躯体31と共に建物ユニット20を構成しており、ユニット躯体31に一体化された状態で工場から建築現場に運搬されたものである。この場合、ユニット壁パネル41を、建築現場において建物ユニット20が設置されるよりも前にユニット躯体31に取り付けられた先付け壁パネルと称することもできる。
なお、図2に示す建物ユニット20は、建物本体12の出隅部分を形成するものであり、長辺部及び短辺部のそれぞれに対してユニット壁パネル41が1つずつ設けられている。ちなみに、ユニット壁パネル41は、建物ユニット20の長辺部や短辺部において、横並びに複数配置されていてもよい。
また、建物本体12においては、一階部分14の建物ユニット20と二階部分15の建物ユニット20とが上下に重ねられていることで、これら建物ユニット20の各ユニット壁パネル41が上下に並べられている。
図4に示すように、壁パネル41,42のうち上側壁パネル42は、二階部分15においてユニット壁パネル41の上方に配置されている。二階部分15においては、外壁16がユニット躯体31よりも上方に延びていることで屋根13に到達しており(図3(a)参照)、その延出部分が上側壁パネル42を含んで構成されている。なお、上側壁パネル42が外壁パネルに相当する。
建物ユニット20について、2つの建物ユニット20を上下に積み重ねた場合にこれら建物ユニット20の境界線になる仮想線をスタッキングラインSLと称すれば、このスタッキングラインSLは、建物ユニット20の上端側及び下端側の両方に設定することができ、ユニット壁パネル41は、これらスタッキングラインSLから上下にはみ出さない位置に配置されている。
二階部分15においては、上側壁パネル42とユニット壁パネル41とがスタッキングラインSLを挟んで上下に並べられている。この場合、上側壁パネル42とユニット壁パネル41との間には、スタッキングラインSLに沿って壁幅方向に延びた二階横目地45が形成されている。なお、外壁16は、二階横目地45を屋外側から覆い隠す二階胴差46を有している(図1参照)。二階胴差46は、二階横目地45を上下に跨いだ状態で上側壁パネル42とユニット壁パネル41とに掛け渡されており、この二階横目地45に沿って壁幅方向に延びている。
上側壁パネル42は、工場で製造され、建築現場に運搬された後、既に建築現場にて設置された建物ユニット20のユニット躯体31に対して取り付けられたものである。この場合、上側壁パネル42を、建築現場において建物ユニット20のユニット壁パネル41よりも後からユニット躯体31に取り付けられた後付け壁パネルを称することもできる。
図3(a)に示すように、上側壁パネル42は、二階部分15のユニット躯体31及び屋根13に対して固定されている。屋根13は、棟に沿って延びている棟木51と、棟木51から軒先に向けて斜め下方に延びている垂木52と、垂木52の上に設けられた屋根下地としての野地板53とを有しており、野地板53の上に瓦等の屋根葺き材が設けられている。なお、屋根13は、二階部分15の建物ユニット20から上方に向けて延びた束材により支持されている。束材は、建物ユニット20の天井大梁22の上に立設されており、その上端部が垂木52の下面部に固定されている。
上側壁パネル42においては、外壁下地33が棟木51と二階部分15の天井大梁22とに掛け渡された状態になっている。外壁下地33においては、上側横下地材35がボルト等により棟木51に固定され、下側横下地材36が固定ブラケット55を介して天井大梁22の上側フランジに固定されている。固定ブラケット55は、壁幅方向に沿って所定間隔で複数設けられており、天井大梁22及び下側横下地材36のいずれに対してもボルト等により固定されている。なお、固定ブラケット55が固定部材に相当する。
図4の説明に戻り、横並びに隣り合う建物ユニット20の境界線をドッキングラインDLと称すれば、ユニット壁パネル41は、ドッキングラインDLから側方にはみ出さない位置に配置されている。二階部分15において、横並びに隣り合う建物ユニット20の境界部(ユニット境界部)には、これら建物ユニット20の各外壁形成部43(各ユニット壁パネル41)の間にユニット縦目地61が形成されており、このユニット縦目地61は、二階横目地45からドッキングラインDLに沿って下方に向けて延びている。
上側壁パネル42は、スタッキングラインSLに沿って横並びに複数配置されている。これら上側壁パネル42には、建物本体12の出隅部分に配置された出隅壁パネル42aが含まれている。出隅壁パネル42aは、互いに直交する方向に延びた一対の壁パネル部を有しており、これら壁パネルがいずれも外壁面材32及び外壁下地33を含んで構成されている。例えば、桁側壁部16aと妻側壁部16bとの接続部分に配置された出隅壁パネル42aにおいては、一対の壁パネル部のうち一方が桁側壁部16aに含まれ、他方が妻側壁部16bに含まれている。
複数の上側壁パネル42のうち、桁側壁部16aに含まれたものは、桁側壁部16aの上端部が水平方向に延びていることに起因して長方形状に形成されており、妻側壁部16bに含まれたものは、妻側壁部16bの上端部が傾斜していることに起因して台形状又は三角形状に形成されている。ちなみに、出隅壁パネル42aにおいては、一対の壁パネル部のうち、桁側壁部16aに含まれた方の壁パネル部は長方形状に形成されている一方で、妻側壁部16bに含まれた方の壁パネル部は台形状に形成されている。
桁側壁部16a及び妻側壁部16bのいずれにおいても、隣り合う上側壁パネル42の間には、二階横目地45から上方に向けて延びた上側縦目地62が形成されており、各上側壁パネル42は、上側縦目地62とユニット縦目地61とが上下に並ばないように配置されている。
ユニット縦目地61及び上側縦目地62には、ガスケットやシーリング材等の防水部材が設けられている。特に、上側縦目地62においては、隣り合う上側壁パネル42の各外壁面材32の間に防水部材が押し込まれており、この防水部材を屋内側から覆う防水シート64(図3(a)参照)が、各外壁面材32の屋内側面に掛け渡された状態で設けられている。この防水シート64は、二階横目地45に沿って壁幅方向に延びており、上側壁パネル42については、外壁面材32の屋内側面に重ねられている一方で、ユニット壁パネル41については、外壁面材32の屋外側面に重ねられている。
防水シート64においては、屋内側に向けて上側縦目地62内に入り込んだ状態になっていることに起因して、上側縦目地62の下端部から下方に延びた延出部分に折れ目や撓みが生じやすくなっており、その折り目や撓みを通じて防水シート64の屋内側に雨水等の水が浸入することが懸念される。ここで、ユニット縦目地61と上側縦目地62とが上下に並んでいると、上側縦目地62の下方位置において、防水シート64の延出部分をユニット縦目地61内の防水部材に貼り付けることになるが、この防水部材の屋外側面がユニット壁パネル41の外壁面と面一になっていないことなどに起因して、防水シート64の延出部分とユニット縦目地61内の防水部材との間に隙間が生じやすくなっている。このため、防水シート64がユニット縦目地61内の防水部材に重ねられた部分においては、防水シート64の屋外側に水が浸入する懸念が更に高くなってしまう。
これに対して、本実施形態では、ユニット縦目地61と上側縦目地62とが左右にずれた位置に配置されているため、上側縦目地62の下方位置において、防水シート64の延出部分をユニット壁パネル41の外壁面材32の屋外面に重ねることができる。このため、防水シート64において、上側縦目地62の下端部から下方に延びた延出部分に折れ目や撓みが生じていたとしても、その延出部分がユニット壁パネル41の外壁面に対して適正に貼り付けられることで、その折れ目や撓みを通じて水が防水シート64の屋内側に浸入することを抑制できる。
桁側壁部16aにおいては、複数の上側壁パネル42に、ユニット縦目地61(ドッキングラインDL)を左右に跨いだ跨ぎ壁パネル42bと、ドッキングラインDLを跨がない位置に配置された中間壁パネル42cとが含まれている。桁側壁部16aにおいては、その両側端部に配置された出隅壁パネル42aの間に跨ぎ壁パネル42bが配置されており、中間壁パネル42cは、出隅壁パネル42aと跨ぎ壁パネル42bとの間に配置されている。また、ドッキングラインDLは、跨ぎ壁パネル42bの中心を通っている。
出隅壁パネル42a、跨ぎ壁パネル42b及び中間壁パネル42cについては、それぞれの幅寸法が所定のモジュール寸法M(例えば500mm)を基準に設定されている。出隅壁パネル42aの幅寸法Wa、跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wb及び中間壁パネル42cの幅寸法Wcは、
Wa=M×p−M×1/4…(1)
Wb=M×q−M×1/2…(2)
Wc=M×r…(3)
という式にて算出された値に設定されている。なお、p,q,rは正の整数である。また、モジュール寸法Mを基準寸法と称することもできる。
(3)式によれば、中間壁パネル42cの幅寸法Wcはモジュール寸法Mの正の整数倍(自然数倍)であり、中間壁パネル42cはモジュール壁パネルに相当する。また、(1)式によれば、出隅壁パネル42aは、モジュール寸法Mの正の整数倍よりもモジュール寸法Mの1/4だけ小さい値になっており、跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbは、モジュール寸法Mの正の整数倍よりもモジュール寸法Mの1/2だけ小さい値になっている。この場合、出隅壁パネル42a及び跨ぎ壁パネル42bが特寸壁パネルに相当する。また、出隅壁パネル42aは、桁側壁部16aの側端部に配置された端部壁パネルに相当する。
出隅壁パネル42aと跨ぎ壁パネル42bとの間には、少なくとも1つの中間壁パネル42cが配置されている。このことからして、出隅壁パネル42aと跨ぎ壁パネル42bとの離間距離は、中間壁パネル42cの幅寸法Wcを正の整数倍した値、つまりモジュール寸法Mを正の整数倍した値になっている。
また、桁側壁部16aにおいては、建物ユニット20の外壁形成部43の幅寸法Wdもモジュール寸法Mを基準に設定されている。この幅寸法Wdは、
Wd=M×s−M×1/4…(4)
という式にて算出された値に設定されている。なお、sは正の整数である。
本実施形態の桁側壁部16aにおいては、出隅壁パネル42a及び跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wa,Wbが、外壁形成部43の幅寸法Wdに関係なく設定されている。例えば、出隅壁パネル42aについては、(1)式のpが1になっていることで、Wa=375mmに設定されている。また、跨ぎ壁パネル42bについては、(2)式のqが4になっていることで、Wb=1750mmに設定されている。
ちなみに、出隅壁パネル42aの幅寸法Waは、モジュール寸法Mよりも小さい値に設定されている。つまり、上記のように、(1)式のpが1になっている。このため、出隅壁パネル42aが、互いに直交する一対の壁パネル部を有していても、大型化することを抑制できる。これにより、運搬作業や建物躯体への取付作業に際して作業負担を低減できる。なお、出隅壁パネル42aにおいては、妻側壁部16bに含まれている部分の幅寸法が、幅寸法Waよりも小さい値(例えば250mm)に設定されている。
中間壁パネル42cの設置数や幅寸法は、外壁形成部43の幅寸法Wbに応じて設定されている。例えば、図4に示すように、2つの外壁形成部43A,43Bが横並びに配置され、外壁形成部43Aの幅寸法Wd1が外壁形成部43Bの幅寸法Wd2より大きい場合、外壁形成部43Aの上側と外壁形成部43Bの上側とで中間壁パネル42cの設置数が異なっている。外壁形成部43A,43Bについては、(4)式のsがそれぞれ10,7になっていることで、Wd1=4750mm、Wd2=3250mmに設定されている。
外壁形成部43Aの上側に2つの中間壁パネル42cが配置されており、外壁形成部43Bの上側には1つの中間壁パネル42cが配置されている。外壁形成部43Bの上側の中間壁パネル42cが幅寸法Wc1を有しており、これと同じ幅寸法Wc1を外壁形成部43Aの上側の2つの中間壁パネル42cのうち一方が有し、他方が幅寸法Wc2を有している。幅寸法Wc1については、(3)式のrが4になっていることで、Wc1=2000mmに設定されている。また、幅寸法Wc2については、(3)式のrが3になっていることで、Wc2=1500mmに設定されている。
ちなみに、跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wb及び中間壁パネル42cの幅寸法Wcは、建物ユニット20の短辺部の幅寸法We(例えば2500mm)よりも小さい値に設定されている。ここで、上側壁パネル42は、建物ユニット20と共にトラックに積載されて運搬されることや、桁側壁部16aの高さ寸法によっては上側壁パネル42の高さ寸法がトラックの幅方向について道路交通法の輸送制限を超えることが想定される。そこで、跨ぎ壁パネル42b及び中間壁パネル42cについては、その幅寸法Wb,Wcをトラックの幅方向について輸送制限を超えない値に設定しておくことで、トラックにて適正に運搬することができる。
図5に示すように、桁側壁部16aにおいては、平面視で中間壁パネル42cが建物ユニット20の各柱21に前後に重ならない位置に配置されている。ここで、柱21の幅寸法はモジュール寸法M×1/4よりも小さい値(例えば125mm)とされており、平面視で出隅壁パネル42aの背面側に配置された柱21が、その出隅壁パネル42aから側方にはみ出さない位置に配置されている。また、平面視で跨ぎ壁パネル42bの背面側に配置された柱21は、その跨ぎ壁パネル42bの中央付近に配置され且つ跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbがモジュール寸法Mより大きいことで、跨ぎ壁パネル42bから側方にはみ出さない状態になっている。
各上側壁パネル42は、外壁面材32及び外壁下地33をそれぞれ有しており、隣り合う上側壁パネル42は、それぞれの外壁下地33が連結されることで互いに固定されている。例えば、跨ぎ壁パネル42b及び中間壁パネル42cにおいては、図6(a),(b)に示すように、上下一対の横下地材35,36と、これら横下地材35,36の端部同士を連結している左右一対の縦材34aとにより、矩形枠上の枠体33aが形成されている。枠体33aにおいては、左右一対の縦材34aが縦枠部を形成し、上側横下地材35が上枠部を形成し、下側横下地材36が下枠部を形成しており、枠体33aの幅寸法が壁パネル42b,42cの幅寸法Wb,Wcと同じになっている。
隣り合う上側壁パネル42については、それぞれの枠体33aの縦材34aが、左右に重ねられた状態でボルト等により互いに連結されている。この場合、隣り合う上側壁パネル42の各縦材34aは、互いに連結された状態で1つの縦下地材34を形成している。これら縦材34aは、それぞれのウェブの外側面を互いに重ね合わせた状態で、それらウェブを貫通したボルト部材により連結されている。
また、隣り合う上側壁パネル42の各枠体33aは、金属板等の連結部材65によっても連結されている。連結部材65は、枠体33aの上部及び下部のそれぞれに設けられており、上部に設けられた連結部材65は、各枠体33aの上側横下地材35に掛け渡され、下部に設けられた連結部材65は、各枠体33aの下側横下地材36に掛け渡されている。
壁パネル42b,42cは、枠体33aの内側に配置された縦下地材34を有している。この縦下地材34は、左右一対の縦材34aの間に設けられ、上下一対の横下地材35,36を連結している。左右一対の縦材34aにより形成される縦下地材34を含めて、縦下地材34の設置間隔はモジュール寸法Mを基準に設定されている。
例えば、中間壁パネル42cにおいては、図6(a)に示すように、縦下地材34の設置間隔がモジュール寸法Mになるように等間隔で配置されている。この場合、縦下地材34の設置間隔がモジュール寸法Mになっている領域をモジュール領域S1とすれば、中間壁パネル42cの幅寸法Wcを算出する(3)式のrと同じ数のモジュール領域S1が、横並びに配置されていることになる。この場合、モジュール領域S1の数を変更すれば中間壁パネル42cの幅寸法Wcが増減するため、この中間壁パネル42cを、製造する際の作業負担やコスト負担の小さい汎用品として使用可能になっている。
また、跨ぎ壁パネル42bにおいては、図6(b)に示すように、モジュール領域S1に加えて、縦下地材34の設置間隔がモジュール寸法Mよりも小さくされた特寸領域S2が配置されている。特寸領域S2の幅寸法(縦下地材34の設置間隔)は、モジュール寸法Mの1/2になっており、特寸領域S2は、隣り合うモジュール領域S1の間に配置されている。跨ぎ壁パネル42bに配置されたモジュール領域S1及び特寸領域S2の総数が、跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbを算出する(2)式のqと同じ数になっている。なお、特寸領域S2の幅寸法は、モジュール領域S1よりも所定値(モジュール寸法Mの1/2)だけ小さい値になっている。この場合、跨ぎ壁パネル42bは、特寸領域S2を有していることで特殊品として使用可能なものになっている。
上側壁パネル42においては、複数の固定ブラケット55が下側横下地材36に沿って横並びに配置されている。これら固定ブラケット55は、基本的に、縦下地材34に上下に並ばない位置に配置され、且つ設置間隔がモジュール寸法Mになるように等間隔で配置されている。
例えば、中間壁パネル42cにおいては、図6(a)に示すように、全ての固定ブラケット55の設置間隔がモジュール寸法Mとされている。また、固定ブラケット55は、隣り合う縦下地材34の中央位置に配置されており、これら縦下地材34までの離間距離がモジュール寸法Mの1/2になっている。ここで、2つの中間壁パネル42cが隣り合わせに配置されている場合、これら中間壁パネル42cの境界部を挟んで隣り合う固定ブラケット55についても、その離間距離がモジュール寸法Mの1/2になる。
一方、跨ぎ壁パネル42bにおいては、図6(b)に示すように、固定ブラケット55の設置間隔がモジュール寸法Mにはなっていない。複数の固定ブラケット55のうち、ドッキングラインDLを挟んで隣り合う固定ブラケット55は、互いの離間距離がモジュール寸法M×1.5になる位置に配置されている。この離間距離は、隣り合う柱21の幅寸法の合計よりも大きい値にされており、固定ブラケット55を柱21の上端部に対して固定せずに済む。ここで、隣り合う建物ユニット20は、互いの柱21にドッキングプレートが掛け渡されていることで連結されており、そのドッキングプレートは、各柱21の上端面に上から重ねられている。このように、柱21の上端部にはドッキングプレートが固定されているため、固定ブラケット55を柱21の上端部に適正に固定することが困難になっている。
また、跨ぎ壁パネル42bにおいては、複数の固定ブラケット55のうち枠体33aの縦枠部(縦材34a)の隣に配置された固定ブラケット55と、その縦枠部との離間距離が、モジュール寸法Mの1/2にされている。このため、中間壁パネル42cと跨ぎ壁パネル42bとが隣り合っている場合に、これら壁パネル42c,42bの境界部を挟んで隣り合う固定ブラケット55の離間距離はモジュール寸法Mになっている。この場合、ドッキングラインDLを挟んで隣り合う固定ブラケット55を除けば、桁側壁部16aにおいては、固定ブラケット55がモジュール寸法Mを設置間隔として配置されていることになる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
汎用品として使用可能な中間壁パネル42cに加えて、特殊品として使用可能な出隅壁パネル42aや跨ぎ壁パネル42bが桁側壁部16aに含まれているため、桁側壁部16aの幅寸法がモジュール寸法Mの整数倍に制限されるということを回避できる。また、建物ユニット20の幅寸法が変更されることで桁側壁部16aの幅寸法が変更された場合には、出隅壁パネル42aや跨ぎ壁パネル42bの幅寸法や設置数を変更しなくても、中間壁パネル42cの幅寸法や設置数を変更することで、桁側壁部16aの幅寸法の変更に対応することができる。しかも、中間壁パネル42cについては、汎用品として使用可能なことからして製造する際の作業負担やコスト負担を低減することができる。
中間壁パネル42cではなく跨ぎ壁パネル42bがドッキングラインDLを跨ぐ位置に配置されているため、桁側壁部16aの幅寸法を変更する場合でも、ドッキングラインDLに対する跨ぎ壁パネル42bの相対位置を変更する必要がない。このため、跨ぎ壁パネル42bの位置を基準にすることで、中間壁パネル42cの設置位置を容易に設定することができる。
また、中間壁パネル42cではなく出隅壁パネル42aが桁側壁部16aの端部に配置されているため、桁側壁部16aの幅寸法を変更する場合でも、桁側壁部16aの端部に対する出隅壁の相対位置を変更する必要がない。このため、出隅壁パネル42aの位置を基準にすることで、中間壁パネル42cの設置位置を容易に設定することができる。
さらに、桁側壁部16aの幅寸法を変更する場合、跨ぎ壁パネル42bと出隅壁パネル42aとの間の領域が中間壁パネル42cの設置領域であるということに変わりがないため、出隅壁パネル42aや跨ぎ壁パネル42b、中間壁パネル42cの並び順を新たに設定するという手間を省くことができる。
跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbが、モジュール寸法Mの整数倍に対してモジュール寸法M×1/2だけ小さいという規則性を有しているため、跨ぎ壁パネル42bを製造する場合に、中間壁パネル42cを製造するための設計や部材を流用しやすくなっている。このため、跨ぎ壁パネル42bを製造する際の作業負担やコスト負担を低減することができる。
出隅壁パネル42aの幅寸法Wcが、モジュール寸法Mの整数倍に対してモジュール寸法M×1/4だけ小さいという規則性を有しているため、出隅壁パネル42aを製造する場合に、中間壁パネル42cを製造するための設計や部材を流用しやすくなっている。このため、出隅壁パネル42aを製造する際の作業負担やコスト負担を低減することができる。
出隅壁パネル42aの幅寸法Wcがモジュール寸法Mよりも小さいため、出隅壁パネル42aを小型化することができる。この場合、出隅壁パネル42aが一対の壁パネル部を有していても、その出隅壁パネル42aを工場から建築現場に運搬する際や、建築現場において建物躯体に取り付ける際の作業負担を低減できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)特寸壁パネルとしての跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbは、モジュール寸法Mの正の整数倍よりも所定値だけ小さければ、その所定値はモジュール寸法M×1/2でなくてもよい。例えば、モジュール寸法Mの正の整数倍よりもモジュール寸法M×1/4だけ小さい値とされていてもよい。また、跨ぎ壁パネル42bの幅寸法Wbは、モジュール寸法M以下の値とされていてもよい。
(2)特寸壁パネルとしての出隅壁パネル42aの幅寸法Waは、モジュール寸法Mの正の整数倍よりも所定値だけ小さければ、その所定値はモジュール寸法M×1/4でなくてもよい。例えば、モジュール寸法Mの正の整数倍よりもモジュール寸法M×1/8だけ小さい値とされていてもよい。また、出隅壁パネル42aの幅寸法Waは、モジュール寸法M以上の値とされていてもよい。
(3)跨ぎ壁パネル42bは、その中心線がドッキングラインDLに重なる位置に配置されているのではなく、その中心線がドッキングラインDLから左右にずれた位置に配置されていてもよい。
(4)上記実施形態の桁側壁部16aでは、中間壁パネル42cが出隅壁パネル42aと跨ぎ壁パネル42bとの間に配置されていたが、中間壁パネル42cは、隣り合う跨ぎ壁パネル42bの間に配置されていてもよい。
(5)上記実施形態の桁側壁部16aでは、出隅壁パネル42a及び跨ぎ壁パネル42bの両方が特寸壁パネルとされていたが、複数の上側壁パネル42の少なくとも1つが特寸壁パネルとされていればよい。この構成としては、例えば、出隅壁パネル42a及び跨ぎ壁パネル42bのうち一方だけが特寸壁パネルとされた構成や、少なくとも1つの中間壁パネル42cが特寸壁パネルとされた構成が挙げられる。これらの構成であっても、建物ユニット20の外壁形成部43の幅寸法Wdを、モジュール寸法Mの正の整数倍とは異なる値に設定することができる。つまり、建物ユニット20の大きさに関する自由度を高めることができる。
(6)上記実施形態では、特寸壁パネルとしての跨ぎ壁パネル42bにおいて、隣り合うモジュール領域S1の間に特寸領域S2が配置されていたが、特寸領域S2は、跨ぎ壁パネル42bの端部に配置されていてもよい。また、特寸領域S2は、1つの特寸壁パネルに複数配置されていてもよい。
(7)上記実施形態では、縦下地材34や固定ブラケット55が、基本的に設置間隔がモジュール寸法Mになるように横並びに配置されていたが、それぞれの設置間隔は、モジュール寸法Mになっていなくてもよい。例えば、モジュール寸法Mの0.5倍や1.5倍、2倍などに設定されていてもよい。
(8)上記実施形態では、跨ぎ壁パネル42bにおいて、固定ブラケット55が柱21に上下に並ばない位置に配置されていたが、固定ブラケット55は、柱21に上下に並ぶ位置に配置されていてもよい。この場合でも、固定ブラケット55を柱21の上端部やドッキングプレートに固定することで、跨ぎ壁パネル42bをユニット躯体31に取り付けることはできる。
(9)上記実施形態では、桁側壁部16aにおいて、中間壁パネル42cがモジュール壁パネルとされ、出隅壁パネル42a及び跨ぎ壁パネル42bが特寸壁パネルとされていたが、モジュール壁パネル及び特寸壁パネルは、妻側壁部16bに配置されていてもよい。
(10)上記実施形態では、端部壁パネルが出隅壁パネル42aとして外壁16の出隅部分を形成していたが、端部壁パネルは、入隅壁パネルとして外壁16の入隅部分を形成していてもよい。また、端部壁パネルは、互いに直交する一対の壁パネル部を有していなくてもよい。例えば、端部壁パネルとしての出隅壁パネル42aが、桁側壁部16aに含まれる方の壁パネル部を有している一方で、妻側壁部16bに含まれる方の壁パネルを有していない構成とする。
(11)上記実施形態では、上側壁パネル42が屋根13から下方に延びた状態で配置されていたが、上側壁パネル42は、建物ユニット20の外壁形成部43に配置されていれば、バルコニーやベランダの手摺部などを形成していてもよい。例えば、建物ユニット20の上方にバルコニーが設けられ、桁側壁部16aが建物ユニット20から上方に向けて突出していることでバルコニーの手摺部を形成した構成とする。