以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物として、複数の建物ユニットが組み合わされてなるユニット式建物について具体化している。また、本実施形態では、建物が建築基準法上の準耐火建築物に該当するものとなっている。なお、図1は、建物全体を示す斜視図である。
図1に示すように、建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた屋根部13とを備える。建物本体12は、一階部分と二階部分とを有する二階建てとなっている。建物本体12は、複数の建物ユニット20が組み合わせられることにより構成されている。建物ユニット20は、梁及び柱等を有して直方体状又は台形形状に形成されている。建物ユニット20は製造工場においてあらかじめ製造され、その後施工現場にトラック等により搬送されるものとなっている。
屋根部13は、陸屋根を形成している陸屋根部14と、傾斜屋根を形成している傾斜屋根部15とを有している。陸屋根部14と傾斜屋根部15とは隣接して設けられ、傾斜屋根部15は陸屋根部14から下方傾斜するように形成されている。また、陸屋根部14の周縁部にはパラペット16が設けられている。
屋根部13の直下に配置された各建物ユニット20のうち、上方に傾斜屋根部15が形成された建物ユニット20は側面視(詳しくはユニット短辺側の側面)の形状が台形形状をなすカットユニット20aとなっている。カットユニット20a上には、傾斜屋根部15に加えて陸屋根部14の一部が形成されている。カットユニット20a上では傾斜屋根部15と陸屋根部14とが当該ユニット20aの短手方向に並んで配置されている。なお、カットユニット20aが「所定の建物ユニット」に相当する。
続いて、カットユニット20aの構成について図2に基づいて説明する。図2は、カットユニット20aの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、カットユニット20aは、その四隅に配設された4本の柱21,22と、各柱21,22の上端部を連結する4本の天井大梁23,24と、各柱21,22の下端部を連結する4本の床大梁25とを備えている。そして、それら柱21,22、天井大梁23,24及び床大梁25により側面視台形形状の骨格(フレーム)が形成されている。この点からすると、カットユニット20aを台形ユニットということもできる。
各柱21,22のうち、カットユニット20aの短辺方向における一方側(屋内側)に配置された柱21は通常長さで形成された通常柱となっている。つまり、この柱21は、通常の建物ユニット20(直方体状の建物ユニット20)の柱21と同じ長さを有している。それに対して、カットユニット20aの短辺方向における他方側(屋外側)に配置された柱22は通常長さよりも短い長さで形成された短柱となっている。これら各柱21,22はいずれも四角筒状の角形鋼よりなる。
各天井大梁23,24のうちカットユニット20aの長辺側に配置された2本の天井大梁23はいずれも直線状に形成されている。それら各天井大梁23のうち一方(屋内側)の天井大梁23(以下、この符号にaを付す)は各柱21の上端部同士を連結しており、他方(屋外側)の天井大梁23(以下、この符号にbを付す)は各柱22の上端部同士を連結している。したがって、天井大梁23aは天井大梁23bよりも高い位置に配置されている。
それに対してカットユニット20aの短辺側に配置された2本の天井大梁24はいずれも途中で屈曲された屈曲形状をなしている。すなわち、天井大梁24は、水平方向に延びる水平部24aと、その水平部24aから下方傾斜して延びる傾斜部24bとを有している。これら各天井大梁24は、各柱21,22の上端部同士を連結しており、水平部24aが柱21に連結され、傾斜部24bが柱22に連結されている。各天井大梁23,24はいずれも断面コ字状の溝形鋼よりなり、その溝部をユニット内側に向けて配置されている。
対向する各天井大梁24の屈曲部の間には一対の中間梁26,27が架け渡されている。これらの中間梁26,27はいずれも断面コ字状の溝形鋼よりなり、互いのウェブを当接させた状態で溶接により固定されている(図3も参照)。各中間梁26,27のうち、中間梁26がカットユニット20aの短辺方向における屋内側、中間梁27が屋外側に配置され、中間梁26については天井大梁23aと互いの溝部を向き合わせた状態で配置されている。また、中間梁26と天井大梁23aとの間には、所定の間隔で複数の天井小梁28が架け渡されている。これら各天井小梁28は例えばリップ溝形鋼よりなる。
このように、カットユニット20aの天井部は複数の天井梁23,24,26〜28により構成されている。この場合、天井大梁23a、中間梁26、各水平部24a及び各天井小梁28を含んで水平天井部31(水平面部)が構成され、天井大梁23b、中間梁27及び各傾斜部24bを含んで傾斜天井部32(傾斜面部)が構成されている。水平天井部31は水平方向に延びており、その上方に陸屋根部14が形成されている。一方、傾斜天井部32は水平方向に対して傾斜しており、その上方に傾斜屋根部15が形成されている。
カットユニット20aの長辺側の対向する床大梁25の間には、所定の間隔で複数の床小梁33が架け渡されている。床小梁33は角形鋼よりなる。床小梁33は、天井小梁28と同間隔でかつ天井小梁28と上下に対向する位置に配置されている。
次に、カットユニット20a上に形成される屋根部の構成について図3を用いながら説明する。図3は、カットユニット20a上における傾斜屋根部15周辺の構成を示す縦断面図である。
図3に示すように、カットユニット20aの天井部において、水平天井部31の上には屋根パネル35が設けられており、傾斜天井部32の上には屋根パネル45が設けられている。これらの屋根パネル35,45は互いに隣接して配置され、それら屋根パネル35,45により、カットユニット20a上における屋根部(陸屋根部14及び傾斜屋根部15)の下地部分(屋根下地)が構成されている。
屋根パネル35は、水平天井部31において互いに対向する天井大梁23a及び中間梁26に架け渡されて設けられている。屋根パネル35は、屋根フレーム36と、その屋根フレーム36上に取り付けられた野地板37とを備える。屋根フレーム36は、互いに対向して設けられる一対の対向フレーム材38と、それら対向フレーム材38の間に架け渡され両フレーム材38を連結する複数の連結フレーム材39とを有する。
各対向フレーム材38はそれぞれ天井大梁23a及び中間梁26に沿って配設され、それら各天井梁23a,26上に載置されている。これにより、屋根フレーム36が天井大梁23aと中間梁26との間に架け渡されている。また、対向フレーム材38は、その載置状態で天井梁23a,26上にボルト41により固定されている。
連結フレーム材39は角形鋼により形成され、所定の間隔で複数(3つ以上)配置されている。これら連結フレーム材39の上には野地板37が載置されている。野地板37は、各連結フレーム材39に対しビス等で固定されている。野地板37は、優れた耐火性能を有する準不燃材料により形成され、例えば木片セメント板により形成されている。なお、野地板37は、木片セメント板に限らず、木毛セメント板や石膏ボード等、他の準不燃材料により形成されてもよい。
屋根パネル45は、傾斜天井部32において当該天井部32の傾斜方向に対向する天井大梁23b及び中間梁27に架け渡されて設けられている。この場合、屋根パネル45は、中間梁27側から天井大梁23b側に向けて下方傾斜した状態で配設されている。なお、屋根パネル45が特許請求の範囲に記載された「屋根パネル」に相当する。また、天井大梁23b及び中間梁27がそれぞれ「天井梁」に相当する。
屋根パネル45は、屋根フレーム46と、その屋根フレーム46上に取り付けられた野地板47とを備える。屋根フレーム46は、互いに対向して設けられる一対の対向フレーム材48,49と、それら対向フレーム材48,49の間に架け渡され両フレーム材48,49同士を連結する複数の連結フレーム材51とを有する。なお、各対向フレーム材48,49がそれぞれ第1フレーム材に相当し、連結フレーム材51が第2フレーム材に相当する。
各対向フレーム材48,49のうち、対向フレーム材48は中間梁27に沿って配設され、当該中間梁27の上に載置されている。一方、対向フレーム材49は天井大梁23bに沿って配設され、当該天井大梁23bの上に載置されている。これにより、屋根フレーム46が中間梁27と天井大梁23bとの間に架け渡されている。
対向フレーム材48は、断面L字状の鋼材により形成されている。対向フレーム材48は、中間梁27上に載置された水平板部48aと、連結フレーム材51の端部に溶接固定された鉛直板部48bとを有する。水平板部48aは、中間梁27のウェブにボルト53により固定されている。ボルト53は、中間梁27のウェブの下面に溶接固定されたナット54に水平板部48a及び当該ウェブを介して締結されている。なお、対向フレーム材49の構成については後述する。
連結フレーム材51は角形鋼により形成され、所定の間隔で複数(3つ以上)配置されている。連結フレーム材51は、その途中で屈曲された屈曲形状をなしており、一端が対向フレーム材48に固定された水平フレーム部51aと、一端が対向フレーム材49に固定された傾斜フレーム部51bとを有している。水平フレーム部51aは水平方向に延びているのに対し、傾斜フレーム部51bは水平フレーム部51aから傾斜屋根部15の傾斜方向に沿って延びている。なお、連結フレーム材51では、その上端側の一部のみが水平フレーム部51aとされ、残りの大部分が傾斜フレーム部51bとされている。
野地板47は、優れた耐火性能を有する準不燃材料により形成され、例えば木片セメント板により形成されている。野地板47は、各連結フレーム材51の上に跨がって載置され、その載置状態でそれら各連結フレーム材51にビス等で固定されている。詳しくは、野地板47には、各連結フレーム材51の水平フレーム部51a上に載置され固定された野地板47aと、各連結フレーム材51の傾斜フレーム部51b上に載置され固定された野地板47bとがある。これらの野地板47a,47bは互いに連続させて設けられている。なお、野地板47は、木片セメント板に限らず、木毛セメント板や石膏ボード等、その他の準不燃材料により形成されてもよい。
上記の屋根パネル45は、全体として見ると、水平方向に延びる水平パネル部45aと、その水平パネル部45aから下方傾斜して延びる傾斜パネル部45bとを有して形成されている。この場合、水平パネル部45aが連結フレーム材51の水平フレーム部51aと野地板47aとを含んで構成され、傾斜パネル部45bが連結フレーム材51の傾斜フレーム部51bと野地板47bとを含んで構成されている。
上述した各屋根パネル35,45により、カットユニット20a上における陸屋根部14及び傾斜屋根部15の屋根下地が構成されている。この場合、屋根パネル35と屋根パネル45の水平パネル部45aとにより陸屋根部14の屋根下地が構成され、屋根パネル45の傾斜パネル部45bにより傾斜屋根部15の屋根下地が構成されている。
陸屋根部14において屋根パネル35の野地板37の上と屋根パネル45(水平パネル部45a)の野地板47aの上とには防露断熱材56が敷設されている。防露断熱材56は例えば硬質ウレタンフォームにより形成されている。また、防露断熱材56の上には葺き材57が敷設されている。葺き材57は耐水皮膜が施された鋼板よりなる。
傾斜屋根部15において屋根パネル45(傾斜パネル部45b)の野地板47bの上には屋根材58(屋根仕上げ材)が葺設されている。屋根材58は、例えばスレート瓦(カラーベスト)からなる。屋根材58上において陸屋根部14側の端部には下地板59が設けられ、その下地板59の上には棟カバー61が取り付けられている。棟カバー61は、傾斜屋根部15と陸屋根部14とに跨がって設けられ、当該陸屋根部14において防露断熱材56と葺き材57との間に挟み込まれている。
続いて、カットユニット20aにおける天井部の構成について説明する。
カットユニット20aの水平天井部31において屋根パネル35(換言すると陸屋根部14)の下方には天井面材63が設けられている。天井面材63は石膏ボードにより構成され、水平天井部31を構成する各天井梁23a,26,28の下面に野縁64を介して固定されている。
天井面材63の上方には天井裏空間65が形成されている。天井裏空間65は、天井面材63と屋根パネル35(詳しくは野地板37)との間に形成されている。この点からすると、天井裏空間65を屋根裏空間ということもできる。天井裏空間65には、天井断熱材66が設けられている。天井断熱材66は、グラスウールにより板状に形成され、天井面材63上に2枚重ねされた状態で配設されている。なお、天井断熱材66の端部は天井大梁23a及び中間梁26の各溝部に入り込んでいる。また、中間梁27の溝部にはグラスウールからなる梁内断熱材68が配設されている。
カットユニット20aの傾斜天井部32には、屋根パネル45の下面側(裏面側)に天井パネル75が設けられている。天井パネル75は、屋根パネル45(詳しくは傾斜パネル部45b)の傾斜に沿って配設され、屋根パネル45と上下に対向している。この場合、天井パネル75と屋根パネル45(傾斜パネル部45b)とは互いに同じ向きに傾斜して配置されている。
天井パネル75は、天井面材76と、その天井面材76の裏面側(上面側)に設けられた天井フレーム77とを有する。天井面材76は、石膏ボードにより構成され、陸屋根部14下の天井面材63と連続させて設けられている。すなわち、天井面材63は、天井面材76の下面に当接するまで延出し、その当接部付近で繋ぎ材71を介して天井面材76と接続されている。なお、天井面材76が天井板に相当する。
天井フレーム77は、木製の長尺材からなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることで構成されている。天井フレーム77は、互いに対向して設けられる一対の対向フレーム材78,79と、それら各対向フレーム材78,79の間に架け渡されそれら両フレーム材78,79同士を連結する複数の連結フレーム材81とを有する。
天井フレーム77は、各連結フレーム材81が屋根パネル45の傾斜に沿って延びる向きで配設されている。この場合、各対向フレーム材78,79のうち、対向フレーム材78がフレーム上端に位置し、対向フレーム材79がフレーム下端に位置している。そして、かかる配設状態で、天井フレーム77は、屋根パネル45の屋根フレーム46に固定されている。なお、対向フレーム材79が下端フレーム材に相当する。
対向フレーム材78は、屋根フレーム46の各連結フレーム材51の上端部、詳しくは各水平フレーム部51aの端部に跨がって配設され、その配設状態で各水平フレーム部51aの下面にビス等で固定されている。一方、対向フレーム材79は、各連結フレーム材51(詳しくは傾斜フレーム部51b)の下端側に跨がって配設され、その配設状態で各傾斜フレーム部51bの下面に木レンガ82を介して固定されている。詳しくは、各傾斜フレーム部51bの下面にはそれぞれ木レンガ82が固定され、それら各木レンガ82の下面に対向フレーム材79がビス等で固定されている。このように、連結フレーム材51(詳しくは傾斜フレーム部51b)と対向フレーム材79とが木レンガ82を介して固定されていることから、屋根フレーム46と天井フレーム77との間には所定の隙間が形成されている。
天井フレーム77の下面には天井面材76がビス等で固定されている。天井面材76の上方には天井裏空間83が形成されている。天井裏空間83は、天井面材76と屋根パネル45(詳しくは野地板47)との間に形成されている。この点からすると、天井裏空間83を屋根裏空間ということもできる。また、天井裏空間83には、グラスウールからなる天井断熱材84が設けられている。
天井パネル75(及び屋根パネル45)の下端側には外壁部85が設けられている。外壁部85は、その屋外側に外壁パネル86を有しており、その屋内側に内壁パネル87を有している。外壁パネル86は、外壁面材88と、その裏面側(屋内側)に固定された外壁フレーム89とを有している。外壁面材88は、窯業系サイディングにより構成され、「外壁」に相当する。外壁フレーム89は、断面コ字状の鋼材からなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることで構成されている。外壁フレーム89を構成する各フレーム材のうち、フレーム上端に配された横フレーム材89aはその溝部を上方に向けて配設され、天井大梁23b(のウェブ)に屋外側からボルト94により固定されている。なお、天井大梁23bの溝部にはグラスウールからなる梁内断熱材93が配設されている。
内壁パネル87は、天井大梁23bを挟んで外壁パネル86とは反対側に設けられている。内壁パネル87は、内壁面材91と、その裏面側(屋外側)に固定された内壁フレーム92とを有している。内壁面材91は石膏ボードにより構成され、内壁フレーム92は木製角材よりなる複数のフレーム材が矩形枠状に連結されることで構成されている。内壁フレーム92を構成する各フレーム材のうち、フレーム上端に配された横フレーム材92aの上面には長尺板状の下地材95が設けられており、その下地材95の上には天井フレーム77の対向フレーム材79が載置されている。また、外壁パネル86と内壁パネル87との間には壁内空間103が形成されている。
次に、屋根パネル45の下端側の構成について図4を用いながら詳しく説明する。図4は、屋根パネル45の下端側周辺を拡大して示す縦断面図である。
図4に示すように、屋根パネル45の下端側では、野地板47bが天井大梁23bよりも屋外側に延出し、その延出した延出部47cの先端部(下端部)が外壁パネル86の外壁面材88の上方(真上)に位置している。この場合、野地板47bの延出部47cは外壁面材88よりも屋外側には張り出しておらず、それ故、この延出部47cは軒を形成してはいない。なお、延出部47cが野地板延出部に相当する。また、天井大梁23bが「外壁側の天井梁」に相当する。
延出部47cとその上の屋根材58との間には防水シート96の上部が挟み込まれている。防水シート96は、延出部47cの下端から垂下しており、その垂下した部分が外壁面材88とその屋外側面に取り付けられた板材97との間に挟み込まれている。これにより、野地板47bと外壁面材88との間を通じて雨水等の水が屋内側に入り込むことが防止されている。
屋根パネル45の下端側では、屋根フレーム46の各連結フレーム材51が天井大梁23bよりも屋外側に延出しており、その延出した延出部51cの先端部が外壁面材88の上方(真上)に位置している。この場合、各連結フレーム材51の延出部51cは野地板47bの延出部47cの下方に配置され、野地板47bの延出部47cを下方から支持している。なお、延出部51cがフレーム延出部に相当する。
屋根フレーム46の対向フレーム材49は、への字状の断面を有する長尺状の鋼材により形成されている。対向フレーム材49は、天井大梁23b(詳しくはその上フランジ23c)の上面に載置され固定された梁固定板部49aと、各連結フレーム材51の先端部(下端部)に固定されたフレーム固定板部49bとを有する。
梁固定板部49aは、天井大梁23bの上フランジ23cにボルト98により固定されている。ボルト98は、上フランジ23cの下面に溶接されたナット99に梁固定板部49a及び当該上フランジ23cを介して締結されている。梁固定板部49aは、その一部が天井大梁23bよりも屋外側に延出しており、その延出した延出部101にフレーム固定板部49bが接続されている。
フレーム固定板部49bは、延出部101の屋外側端部から屋外側に向けて上方傾斜し、各連結フレーム材51の延出部51cの端面51dに溶接により固定されている。フレーム固定板部49bは、その傾斜方向が各延出部51cの端面51dの傾斜方向と同じ方向となっている。したがって、フレーム固定板部49bは、それら端面51dに沿って配設された状態で各端面51dに溶接固定されている。なお、連結フレーム材51の傾斜方向とその端面51dの傾斜方向とは互いに直交している。
続いて、天井パネル75の下端側の構成について説明する。
天井パネル75の下端側では、上述したように、天井フレーム77の対向フレーム材79が内壁パネル87の内壁フレーム92(詳しくは横フレーム材92a)上に設けられた下地材95の上面に載置されている。下地材95の上面は当該下地材95の長手方向に沿って延びる水平面となっており、この下地材95の上面が載置面に相当する。
対向フレーム材79は、天井大梁23bの上フランジ23cの屋内側において当該上フランジ23cに近接させて配置されている。対向フレーム材79は、天井面材76の裏面(上面)に固定された第1面105と、下地材95の上面に載置された第2面106とを有している。第1面105は、天井面材76の裏面に沿って傾斜する傾斜面となっており、第2面106は、下地材95の上面に沿って延びる水平面となっている。
対向フレーム材79は、第1面105と直交する方向である当該フレーム材79の幅方向において対称な形状を有している。したがって、対向フレーム材79は、第1面105と幅方向に対称となる第3面107と、第2面106と幅方向に対称となる第4面108とをさらに有している。なお、第4面108が第2対称面に相当する。
対向フレーム材79の第4面108は天井大梁23bの上フランジ23cの屋内側に位置しており、上下方向に延びる面となっている。この第4面108と上フランジ23cとの間には所定の隙間109が形成されている。この隙間109は、天井裏空間83に配設された配線Hを壁内空間103へと導くための隙間となっている。つまり、この場合、対向フレーム材79に第4面108が形成されていることで、対向フレーム材79が上フランジ23cに近接配置されているにもかかわらず、対向フレーム材79(第4面108)と上フランジ23cとの間に上記の隙間109が形成され、その隙間109を通じて配線Hが天井裏空間83から壁内空間103へと導かれるようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
互いに離間する天井大梁23b及び中間梁27に屋根パネル45を架け渡して設置し、その屋根パネル45を、屋根フレーム46と、屋根フレーム46の各連結フレーム材51上に支持され準不燃材料からなる野地板47とを有して構成した。野地板47は、その一部が天井大梁23bよりも屋外側に延出して外壁面材88上へと至る延出部47cとなっている。そして、屋根フレーム46の各連結フレーム材51を天井大梁23bよりも屋外側に延出させて延出部51cを形成し、それら各連結フレーム材51の延出部51cにより野地板47の延出部47cを下方から支持するようにした。これにより、施工の際等に野地板47の延出部47cの上に作業者等が載って同延出部47cに下向きの荷重が作用したとしても、その荷重を連結フレーム材51の延出部51cにより下方から受けることができる。そのため、野地板47が比較的割れ易い準不燃材料により形成されている場合であっても、野地板47の踏み割れを防止することができる。
屋根パネル45が外壁面材88側に向けて下方傾斜して設置される構成では、屋根パネル45が水平状態で設置される構成と比べて、野地板47の延出部47cの長さが長くなり易い。その点、上記の実施形態では、屋根パネル45が下方傾斜して設置される構成に、上述した屋根構造、すなわち連結フレーム材51の延出部51cにより延出部47cを支持する屋根構造を適用した。具体的には、屋根パネル45がカットユニット20aの傾斜天井部32上において下方傾斜した状態で設置される構成に、上述の屋根構造を適用した。このため、かかる構成においても野地板47の踏み割れを好適に防止することができる。
天井大梁23b上に載置固定された対向フレーム材49の一部を天井大梁23bよりも屋外側に延出させ、各連結フレーム材51の延出部51cに固定した。この場合、野地板47の延出部47cから連結フレーム材51の延出部51cに作用する荷重を対向フレーム材49により下方から受けることができるため、延出部51cひいては野地板47の延出部47cに下方への撓みが生じるのを抑制することができる。これにより、野地板47の踏み割れを確実に防止することが可能となる。
具体的には、対向フレーム材49を、天井大梁23b上に載置固定され一部が天井大梁23bよりも屋外側に延出した梁固定板部49aと、当該梁固定板部49aにおける延出側の端部から上方に延び各連結フレーム材51の延出部51cの端面51dに固定されたフレーム固定板部49bとを有して構成した。この場合、連結フレーム材51の延出部51cの先端が対向フレーム材49により支持されるため、延出部51cが片持ち支持される場合と比べて、延出部51cひいては野地板47の延出部47cに下方への撓みが生じるのを抑制することができる。そのため、野地板47の踏み割れをより確実に防止することが可能となる。
また、フレーム固定板部49bを、梁固定板部49aから各連結フレーム材51の延出部51cの端面51dに沿って上方傾斜させ、その傾斜状態で各延出部51cの端面51dに固定した。この場合、フレーム固定板部49bが鉛直上向きに延びている構成と異なり、連結フレーム材51の延出部51cをその端面が鉛直方向に延びるようにカットする等の面倒な作業をしなくても済むため、屋根フレーム46の製造について容易化を図ることが可能となる。
屋根フレーム46を構成する各対向フレーム材48,49及び連結フレーム材51を不燃材料である鋼材により形成したため、傾斜屋根部15において耐火性能の向上を図ることができる。
屋根パネル45の下面側に天井パネル75を設け、その天井パネル75の天井フレーム77を木材からなるフレーム材78,79,81により構成した。この場合、屋根パネル45の野地板47と天井パネル75の天井面材76との間において、その上側に鋼製のフレーム(屋根フレーム46)が配設され、その下側に木製のフレーム(天井フレーム77)が配設されている。そのため、野地板47と天井面材76との間において、フレーム全体が鋼製とされる場合と比べ、軽量化及び低コスト化を図りながら、耐火性能の向上を図ることができる。
天井フレーム77を構成する各フレーム材78,79,81のうちフレーム下端に配される対向フレーム材79に、天井面材76の裏面(上面)に固定される第1面105と、内壁パネル87上の下地材95の上面に載置される第2面106とを形成した。そして、対向フレーム材79を、その幅方向(第1面105と直交する方向)において対称な形状で形成した。これにより、対向フレーム材79が幅方向に反転して組み付けられても同じ態様で組み付けることができるため、組み間違えが生じるのを回避することが可能となる。
また、対向フレーム材79を幅方向に対称形状としたことで、同フレーム材79には第2面106と幅方向に対称な第4面108が形成され、その第4面108と天井大梁23bの上フランジ23cとの間には配線Hを通すための隙間109が形成されている。これにより、対向フレーム材79が天井大梁23bの屋内側に近接配置される構成であっても、それら両部材23b,79間を通じて配線Hを配設することが可能となる。
ところで、図5に示す従来技術の屋根構造では、天井フレーム127の下端に配された下端フレーム材127aが第1フレーム材122の鉛直板部122bに固定されている。そして、下端フレーム材127aには、配線を通すための孔部128が形成され、その孔部128を通じて配線が天井裏空間から壁内空間へ導かれている。これに対して、上記の実施形態では、対向フレーム材49のフレーム固定板部49bが梁固定板部49aの屋外側端部から上方に延びている関係で、対向フレーム材79に孔部を設けなくても配線Hを隙間109を通じて天井裏空間83から壁内空間103へ導くことが可能となっている。そのため、対向フレーム材79に孔部を加工形成しなくてよい分、作業負担の軽減を図ることが可能となる。
ちなみに、上述した対向フレーム材79の形状に基づく作用効果は、屋根パネル45の構成の如何に関わらす得ることができる。すなわち、上記実施形態では、屋根パネル45が、連結フレーム材51の延出部51cにより野地板47の延出部47cを下方から支持する構成を有していたが、屋根パネルがかかる構成を有していなくても、対向フレーム材7の形状に基づく上述の作用効果を得ることは可能である。さらにいえば、屋根パネル45の野地板47が準不燃材料以外の材料で形成されている場合にも上述の作用効果を得ることが可能である。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、屋根フレーム46の対向フレーム材49において、そのフレーム固定板部49bを梁固定板部49aから上方傾斜するように形成したが、これを変更して、梁固定板部49aから鉛直上向きに延びるように形成してもよい。その場合、各連結フレーム材51の延出部51cの端面51dを鉛直方向に延びるように形成し、その鉛直方向に延びる端面51dにフレーム固定板部49bを固定するようにすればよい。その場合にも、延出部51cの先端が支持されることになるため、延出部51cが片持ち支持される場合と比べて、延出部51cひいては野地板47の延出部47cに下方への撓みが生じるのを抑制することができる。そのため、野地板47の踏み割れをより確実に防止することが可能となる。
また、フレーム固定板部49bを、梁固定板部49a(詳しくは延出部101の端部)から連結フレーム材51の延出部51cの下面に沿って上方傾斜するように形成し、その傾斜状態でフレーム固定板部49bを延出部51cの下面に固定するようにしてもよい。その場合にも、野地板47の延出部47cから各連結フレーム材51の延出部51cに作用する荷重を対向フレーム材49により受けることができるため、延出部51cひいては野地板47の延出部47cに下方への撓みが生じるのを抑制することができる。そのため、野地板47の踏み割れを確実に防止することが可能となる。
(2)上記実施形態では、対向フレーム材49の一部(固定部)を天井大梁23bよりも屋外側に延出させ、その延出部分を各連結フレーム材51の延出部51cに固定したが、対向フレーム材49にこのような延出部分を必ずしも設ける必要はない。すなわち、対向フレーム材49を天井大梁23bよりも屋外側に延出させないように配設してもよい。この場合にも、野地板47の延出部47cに作用する下向き荷重を各連結フレーム材51の延出部51cによって受けることができるため、野地板47の踏み割れを防止することができる。
(3)上記実施形態では、天井パネル75の天井フレーム77を木製としたが、屋根フレーム46と同様に鋼製としてもよい。そうすれば、より一層耐火性能の向上を図ることができる。
(4)上記実施形態では、天井フレーム77のフレーム下端に配される対向フレーム材79を第1面105〜第4面108を有する幅方向に対称な形状で形成したが、対向フレーム材79は必ずしもかかる形状で形成する必要はない。例えば、対向フレーム材79と天井大梁23bとの間に配線H通し用の隙間109を形成する必要がない場合等には、対向フレーム材79を矩形断面を有する木製の角材により形成してもよい。
(5)上記実施形態では、カットユニット20aにおいて、その天井部の一部が傾斜天井部32とされていたが、カットユニットとしては、天井部の全体が傾斜天井部とされているものもある。その場合、やはり傾斜天井部の傾斜方向両側に配置される一対の天井梁(天井大梁)に屋根パネルが架け渡されることが想定される。そのため、その場合に本発明の屋根構造を適用してもよい。
(6)上記実施形態では、傾斜屋根部15を構成する屋根パネルに本発明の屋根構造を適用したが、陸屋根部を構成する屋根パネルに本発明の屋根構造を適用してもよい。陸屋根部を構成する屋根パネルについても、その野地板が屋外側の天井梁よりも屋外側に延出している場合には野地板の踏み割れの問題が生じるおそれがあるため、そのような場合に本発明の屋根構造を適用することができる。
(7)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物に本発明の屋根構造を適用してもよい。要するに、対向する一対の天井梁に屋根パネルが設置される構成を有し、その屋根パネルの野地板が準不燃材料により形成されている場合には、本発明を適用することが可能である。