JP2021095701A - 窓辺構造及び居室 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外壁から突出したデザインとすることなく、窓部を背にして着座可能な腰掛部を形成できる窓辺構造、及び生活シーンを考慮して窓辺構造を効果的に配置した居室を提供する。【解決手段】窓辺構造1は、建物の外壁の一部を屋内側にセットバックさせて形成された屋外凹部3と、屋外凹部3の屋内側に形成され、居室2を区画する屋内壁面15の一部を屋外凹部3側に突出させて形成された屋内凹部4と、屋外凹部3及び屋内凹部4の境界となる外壁に設けられる窓部5と、屋内凹部4に形成される造作家具であり、前記窓部5を背にして着座可能な腰掛部6と、を備える。また、居室2は、上述のいずれかの窓辺構造1が配置され、少なくともリビング空間12、ダイニング空間13、及びキッチン14が無柱で長手方向に一列に並んで配置された大空間の居室であり、屋内凹部4は、長手方向の中央を含む位置に形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、住宅の窓辺構造、及び当該窓辺構造が設けられた居室に関する。
従来より、建物の外壁に形成される開口部の屋内側に腰掛が形成された出窓が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。すなわち、当該出窓の下側の外壁を出窓と同様に屋外側に突出させて、出窓及び外壁の屋外側に突出した空間を利用して、外壁の屋内側に背凭れを形成するとともに、空間の下面を床面よりも高い座面を形成することで、腰掛として利用可能に構成している。
特開平02−2484号公報 特開昭63−85794号公報
上述のような腰掛を形成するためには、外壁から突出した出窓を形成する必要があり、建物の外観の自由度を制限する問題がある。また、上述の特許文献には、出窓の屋内側に形成される居室との関りについては記載されておらず、生活シーンを考慮した出窓及び腰掛の配置については、記載された文献がない。
そこで、本発明は、外壁から突出したデザインとすることなく、窓部を背にして着座可能な腰掛部を形成できる窓辺構造、及び生活シーンを考慮して窓辺構造を効果的に配置した居室を提供することを目的とする。
本発明の窓辺構造は、建物の外壁の一部を屋内側にセットバックさせて形成された屋外凹部と、前記屋外凹部の屋内側に形成され、居室を区画する屋内壁面の一部を前記屋外凹部側に突出させて形成された屋内凹部と、前記屋外凹部及び前記屋内凹部の境界となる外壁に設けられる窓部と、前記屋内凹部に形成される造作家具であり、前記窓部を背にして着座可能な腰掛部と、を備えることを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記屋内凹部は前記屋外凹部よりも幅方向の長さが短く形成されていることを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記屋内凹部は天井面が前記屋内凹部以外の居室の天井面よりも低いことを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記建物は2階以上の建物であり、前記屋外凹部は、前記建物の2階以上に亘って連続して形成されるとともに、前記屋内凹部は、少なくとも2階に形成されることを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記腰掛部は、複数人が着座可能な長椅子状であり、屋内凹部の全幅に亘って形成される座面部と、前記屋内凹部の幅方向の一部または全部に形成される背凭れ部と、を少なくとも有しており、前記座面部及び前記背凭れ部に着脱可能な第一のクッション材が固定されるとともに、前記屋内凹部の一方の側壁面にも着脱可能な第二のクッション材が固定されることを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記腰掛部は前記窓部から距離を開けて配置されることを特徴としている。
本発明の窓辺構造は、前記腰掛部は前記窓部の下側の額縁で座面部の下地が形成されることを特徴としている。
本発明の居室は、上述のいずれかの窓辺構造が配置され、少なくともリビング空間、ダイニング空間、及びキッチンが無柱で長手方向に一列に並んで配置された大空間の居室であり、前記屋内凹部は、長手方向の中央を含む位置に形成されることを特徴としている。
本発明の居室は、前記屋内凹部は、前記キッチンのワークトップよりも前記ダイニング空間側であり、且つ、少なくとも一部が前記ダイニング空間に面して配置されることを特徴としている。
本発明の居室は、前記リビング空間の前記屋内凹部から最も離れる位置の天井に吹き抜けが形成されていることを特徴としている。
本発明の居室は、前記リビング空間は、前記屋内凹部に背を向けるようにリビングソファが配置されており、前記屋内凹部から最も離れる位置で、前記リビングソファに向かい合うようにパーソナルチェアが配置されることを特徴としている。
本発明の窓辺構造によると、建物の外壁の屋外凹部が形成された部分の屋内側に屋内凹部が形成されていることで、屋内側から見れば居室の屋内壁面の一部を屋外側に突出させつつ、屋外側から見れば凹部が形成されたデザインとすることができ、外観デザインの選択の自由度を高めることができる。また、屋内凹部は、居室に接する面以外の面が天井、床、及び3つの壁に囲まれた空間となるので、このような屋内凹部に腰掛部が形成されることで、適度にこもり感のある心地よい空間を形成することができる。また、屋内凹部は、居室と間仕切られていないので、適度に繋がりある空間とすることができる。
本発明の窓辺構造によると、屋内凹部の幅方向の長さが屋外凹部の幅方向の長さよりも短く形成されているので、屋内凹部のこもり感をいっそう高めることができるとともに、屋内凹部の側面、屋内凹部に隣接する屋内壁面、及び屋外凹部の奥側の外壁面とに囲まれた壁体内空間が形成されることとなり、例えば、壁体内収納やパイプスペースとして利用することができる。また、当該壁体内空間に構造躯体としての柱を配置することで、居室内に必要な柱の数を減少させることもできる。
本発明の窓辺構造によると、屋内凹部は天井面が屋内凹部以外の居室の天井面よりも低いことので、よりこもり感を高めることができ、屋内凹部をより居心地のよい空間とすることができる。
本発明の窓辺構造によると、屋外凹部が建物の1階から2階以上に亘って連続して形成されているので、建物の2階まで延びる植栽を屋外凹部に配置することができる。そして、屋内凹部は、少なくとも2階に形成されているので、屋内凹部と屋外凹部との境界となる外壁に形成された窓部から植栽の葉の部分が視認可能となり、腰掛部が配置された屋内凹部を緑を感じることができる空間とすることができる。
本発明の窓辺構造によると、腰掛部は、複数人が着座可能な長椅子状であるので、複数人で座る、または1人で横たわるなど、シーンに応じて様々な使用をすることができる。特に、第二のクッション材が一方の側壁面に着脱可能に配置されているので、横たわった場合に第二のクッション材を枕として利用することができる。また、第一のクッション材及び第二のクッション材が着脱可能であるので、クッション材の交換が容易となる。
本発明の窓辺構造によると、腰掛部は窓部から距離を開けて配置されているので、窓部の下端の位置を腰掛部に妨げられることがなく自由にできるので、外観デザイン性を向上させることができる。
本発明の窓辺構造によると、腰掛部の座面部の下地は窓部の下側の額縁で形成されるので、窓額縁を座面として利用することで、別途座面部を設ける必要がなく施工性を向上させることができる。
本発明の居室によると、リビング空間、ダイニング空間、及びキッチンが無柱で長手方向に一列に並んで配置された大空間の居室であって、屋内凹部は、長手方向の中央を含む位置に形成されているので、当該屋内凹部を、広く開放的な居室の中に在りつつ、こもり感を感じることのできる空間とすることができる。長手方向の中央を含む位置に形成されることで、屋内凹部がリビング空間、ダイニング空間、及びキッチンのいずれの場所とも関係のとりやすい位置に配置されることとなる。
本発明の居室によると、屋内凹部がキッチンのワークトップよりもダイニング空間側に配置されることで、屋内凹部からキッチンのワークトップを視認することができなくなるので、例えば居住者がキッチンで作業中であっても、別の居住者が屋内凹部の腰掛部でくつろぐことができる。また、ダイニング空間で食事などの作業をする者は、ダイニングテーブルに向かって座るので、最も屋内凹部に近い位置のダイニングチェアに座る着座者は屋内凹部に背を向けるように座ることとなり、屋内凹部の腰掛部に座る人がダイニング空間からの視線を意識することがなく、屋内凹部をより居心地のよい空間とすることができる。
本発明の居室によると、リビング空間の屋内凹部から最も離れる位置の天井に吹き抜けが形成されているので、居室の開放感と対比されることで、屋内凹部のこもり感が強調され、より居心地のよい空間とすることができる。
本発明の居室によると、リビング空間は、屋内凹部に背を向けるようにリビングソファが配置されており、屋内凹部から最も離れる位置で、リビングソファに向かい合うようにパーソナルチェアが配置されているので、居室の全体を見渡せるパーソナルチェアと、落ち着いた窓辺構造の腰掛部とが一つの居室に配置されるので、様々なシーンで過ごしやすい居室とすることができる。
窓辺構造及び居室を有する建物2階の間取りを説明する水平断面図。 窓辺構造を屋内側からみた正面図。 窓辺構造の構成を説明する鉛直断面図。 第一のクッション材を着脱する状態を説明する図。 第二のクッション材を着脱する状態を説明する図。 窓辺構造を屋内側から見た斜視図。 窓辺構造の寸法を説明するとともに、窓辺構造に居住者又は来客が横たわる状態(A)と複数の居住者等が腰掛ける状態(B)を説明する図。 居室の全体構成を説明する図。 居室のリビング空間、ダイニング空間、及びキッチンを区分けした状態を示す図。 窓辺構造の窓部の下側の額縁を腰掛部の座面として利用した状態を説明する図。
以下、本発明の窓辺構造1及び居室2の実施形態について各図を参照しつつ説明する。窓辺構造1及び居室2は、2階建て以上の建物に設けられる構造である。建物は例えば戸建住宅であり、本実施形態では3階建の住宅を想定している。なお、建物は戸建住宅に限定されるものではなく、非居住性の建物であってもよく、又は集合住宅であってもよい。
窓辺構造1は、図1に示すように、建物の外壁の一部を屋外側にセットバックさせて屋外凹部3を形成し、屋外凹部3の屋内側に屋内壁面の一部を屋外凹部3側に突出させて屋内凹部4を形成している。そして屋外凹部3と屋内凹部4との境界となる外壁に窓部5を設けるとともに、窓部5の屋内側の屋内凹部4に腰掛部6を形成している。
屋外凹部3は、建物の北側の外壁のほぼ中央に、当該建物の1階から3階までに亘って形成されている。屋外凹部3は、外壁の一部が屋内側に凹状に窪んで形成されるものである。したがって、屋外凹部3の両側は外壁が屋外凹部3よりも屋外側に突出して形成されている。北側の外壁に沿って、建物2階の屋外凹部3の一方側には、バルコニー7が形成されており、バルコニー7と屋外凹部3との間に袖壁8が突出して形成されている。また、建物2階の屋外凹部3の他方側には、パントリー9が形成されている。バルコニー7は、屋外凹部3の西側に形成されており、パントリー9は屋外凹部3の東側に形成されている。図7に示すように、屋外凹部3の奥行きHは1500mmで、屋外凹部3の幅方向の長さHは、2500mm程度である。隣地境界10から建物外壁までの長さHが、例えば1000mmであり、屋外凹部3と屋内凹部4との境界となる外壁から隣地境界10までの長さ(H+H)が2500mm程度となるので、1階の屋外凹部3の内側には一辺が2500mm程度の庭が形成され、2階の高さとなる樹木11が植えられる。
屋外凹部3の屋内側には外壁を挟んで屋内凹部4が形成されている。屋内凹部4は、リビング空間12、ダイニング空間13、及びキッチン14が無柱で長手方向に一列に並んで配置された大空間の居室2に面して配置されている。居室2は間仕切壁と外壁とによって矩形に形成されている。本実施形態においては、居室2を区画する間仕切壁及び外壁を屋内壁面15とよぶ。屋内凹部4は屋内壁面15の一部を屋外凹部3側に突出させて凹状に形成している。
屋内凹部4は、図2、図3、及び図6に示すように、内部に造作家具の腰掛部6が設置されている。腰掛部6は木製で、屋内凹部4の床面に固定される直方体の箱形の下台16と、下台16の上に配置される平板状のソファー台17と、ソファー台17の上に設置される座面部18と、座面部18の屋外側の端縁から上方に向かって先細るように延びる背凭れ部19と、を有している。下台16、ソファー台17、及び座面部18は、屋内凹部4のほぼ全幅に亘って形成されるとともに、背凭れ部19は、屋内凹部4の幅方向のパントリー9側の側壁面から途中までの長さに形成されている。下台16は、居室2側の面が、隣接するバルコニー7の屋内側の外壁の屋内壁面15、及びパントリー9と居室2とを隔てる間仕切壁の居室2側の屋内壁面15と面一となっており、同一のクロスが貼付されて、同一の屋内壁面15を形成している。
なお、ここで屋内凹部4の幅方向とは、屋内凹部4と屋外凹部3の境界となる外壁面に対して平行な水平方向をいう。また、屋内凹部4の奥行き方向とは、屋内凹部4と屋外凹部3の境界となる外壁面に対して垂直な方向をいう。
腰掛部6は、座面部18及び背凭れ部19に第一のクッション材20が固定される。第一のクッション材20は、座面部18の上面及び背凭れ部19の居室2側の面を覆う形状に形成されており、例えば例えば発泡ポリウレタン等の弾性を有する素材をカバー布で覆って形成されている。図4に示すように、座面部18及び背凭れ部19には面ファスナー22が設けられており、第一のクッション材20を着脱可能な構成であることが好ましい。また、屋内凹部4のパントリー9側の側壁面に第二のクッション材21が固定されている。第二のクッション材21は、上方に向かって幅が狭くなる略三角柱状であり、側壁面にもたれる場合の背凭れとして、または、腰掛部6に横たわる場合の枕として利用可能な形状である。第二のクッション材21は、第一のクッション材20と同様に、例えば例えば発泡ポリウレタン等の弾性を有する素材をカバー布で覆って形成されている。また、図5に示すように、側壁面にも面ファスナー22が設けられて、第二のクッション材21を着脱可能な構成であることが好ましい。
屋内凹部4の寸法は、図3及び図7に示すように、奥行き方向の長さHが510mmである。すなわち、隣接するバルコニー7の屋内側の外壁の屋内壁面15、及びパントリー9と居室2とを隔てる間仕切壁の居室2側の屋内壁面15よりも510mm屋外側に窪んで形成されている。また、屋内凹部4は、天井面23が居室2の他の部分の天井面24よりも低く、居室2の天井面24から屋内凹部4の天井面23までの距離Hが400mmである。また、屋内凹部4は、幅方向の長さHが2000mmであり、屋内凹部4の高さHは2000mmである。なお、屋外凹部3の幅方向の長さHは例えば2500mm程であり、屋内凹部4は、屋外凹部3よりも幅方向の長さが短く形成されている。
このように屋内凹部4の幅方向の長さを屋外凹部3に比べて短くすることで、建物外観の意匠性や窓部5から屋外側を見た場合の開放感を低下させることなく、屋内凹部4を狭くしてよりこもり感のある空間とすることができる。また、屋内凹部4が屋外凹部3よりも幅方向に短いことにより、屋内凹部4のバルコニー7側の側壁面とバルコニー7の側面との間の距離が長くなるので、屋内凹部4の側壁面、バルコニー7の側面、屋外凹部3の奥側の外壁面、及び、屋内凹部4とバルコニー7との間の屋内壁面15に囲まれた壁体内空間25が大きく形成されることとなる。この壁体内空間25は、図示しないが、例えば壁体内収納として利用することができる。壁体内収納は居室2側に開口させて、装飾品のディスプレイとして利用し、又は、居室2で使用する物品などを収納させてもよく、屋内凹部4側に開口させて、屋内凹部4の腰掛部6に座った者が利用する物品などを収納させても良い。また、壁体内空間25は、壁体内収納に利用する他に、例えば、パイプスペースとして利用することができる。また、壁体内空間25に構造躯体としての柱を配置することで、居室2内に必要な柱の数を減少させることもできる。
また、腰掛部6の寸法は、図2及び図3に示すように、座面部18の上の第一のクッション材20の上面の高さが床面から400mmであり、背凭れ部19を覆う位置の第一のクッション材20の高さが床面から800mmである。背凭れ部19は、パントリー9側の側壁から1200mmの位置まで形成されている。なお、屋内凹部4及び腰掛部6の寸法はこれに限定されるものではなく、建物の構造や広さに応じて決定することができるものである。なお、屋内凹部4の幅方向の長さ及び座面部18の長さは1500mm以上であることが好ましい。1500mm以上あれば、例えば3人程度の居住者または来客者が同時に腰掛部6に腰掛けることができ、または、腰掛部6に横たわることができる。
屋外凹部3と屋内凹部4との境界となる外壁には、図3及び図6に示すように、窓部5が設けられている。窓部5は、腰掛部6から独立して配置されており、窓部5の窓ガラスから腰掛け部の背凭れ部19までが例えば100mm程度離れるように形成されている。窓部5は、例えば嵌め殺しの窓であり、床面から屋内凹部4の天井面23までの高さを有し、例えば1300mm程度の幅を有している。窓部5は屋内凹部4の幅方向の中央に配置されている。なお、窓部5の種類及び寸法は、これに限定されるものではなく、嵌め殺しの窓に変えて、例えばスイング窓や引き違い窓などの他の形態の窓で形成されていてもよい。
なお、本実施形態の窓辺構造1は、腰掛部6が窓部5から独立して配置される構造であるが、本発明の窓辺構造1はこれに限定されるものではなく、図10に示すように、窓部5の下側の額縁26が屋内側に延びて、腰掛部6を形成するものであっても良い。このように構成されると、窓額縁26を座面として利用することができ、別途、腰掛部6の座面部18を設ける必要がなく施工性を向上させることができる。
居室2の西側には、図1に示すように、上下階に繋がる階段27及び小型のエレベータ28が設けられている。また、建物の2階北西角にはトイレ29が設けられている。居室2の南側には、2つの掃き出し窓30が東西に並んで設けられている。西側の掃き出し窓30の屋外側にはテラス31が設けられており、東側の掃き出し窓30の屋外側にはテラス31と繋がって形成されたロジア32が設けられている。ロジア32は建物から独立した壁体33によって西側及び南側が囲まれて、外部からの視線を遮ったプライバシー空間となっている。また、ロジア32の東側には1階から3階まで吹き抜ける吹き抜け庭34が設けられており、吹き抜け庭34の東側に設けられた縦格子35によって、外部からの視線を遮っている。
居室2は、図示しない高強度の梁を架け渡すことで無柱の大空間に形成されており、図8及び図9に示すように、東側から、キッチン14、ダイニング空間13、及びリビング空間12の順に配置されている。キッチン14は、コンロ36、ワークトップ37、シンク38が並んだシステムキッチンと、システムキッチンとダイニング空間13との間に形成されたキッチンカウンタ39と、を有するアイランドキッチンである。キッチン14とその北側のパントリー9との間にはパントリー9に出入り可能な建具40が設けられている。
ダイニング空間13は、南北に長い長方形に形成されたダイニングテーブル41が配置される空間であり、ダイニングテーブル41の長辺に4脚ずつの椅子42が配置され、ダイニングテーブル41の短辺にそれぞれ1脚の椅子42が配置されている。
リビング空間12は、北東の角で折れ曲がるように配置されるL字形状のリビングソファ43と、居室2の南西の角に配置され、リビングソファ43に向き合うように配置されるパーソナルチェア44とを有している。居室2のパーソナルチェア44が配置された位置を含む南西角の天井には3階につながる吹き抜け45が形成されている。図示しないが吹き抜け45の南側の3階の外壁には嵌め殺し窓が形成されており、リビング空間12に光を取り入れるとともに、リビング空間12を開放的な印象としている。リビングソファ43は屋内凹部4に背を向けて配置されることとなり、パーソナルチェア44は、屋内凹部4から最も離れる位置に配置されることとなるので、屋内凹部4がリビング空間12に居る居住者や来客から適度に離された空間とすることができるので、こもり感のある居心地の良い空間とすることができる。
居室2は東西方向に長い矩形に形成されており、居室2の北側の長辺におけるほぼ中央に屋内凹部4は形成されている。なお、屋内凹部4が形成される位置はこれに限定されるものではないが、屋内凹部4は、居室2の長手方向における中心を含む位置に形成されることが好ましい。すなわち、図8に示すように、一方の短辺から居室2の全長Hの半分の長さHの位置が屋内凹部4に含まれることが好ましい。屋内凹部4が、居室2の長手方向の中心を含む位置に形成されることで、屋内凹部4を、リビング空間12、ダイニング空間13、及びキッチン14のいずれの空間にもアクセスしやすい位置とすることができる。
また、屋内凹部4は、キッチン14のワークトップ37よりも前記ダイニング空間13側であることが好ましい。より好ましくは、少なくとも屋内凹部4の一部が前記ダイニング空間13に面して配置される。屋内凹部4がキッチン14のワークトップ37よりもダイニング空間13側に配置されることで、屋内凹部4に配置される腰掛部6に腰かけた居住者や来客がキッチン14のワークトップ37を視認不能となる。また、屋内凹部4は一部がダイニング空間13に面していることで、屋内凹部4に最も近い位置に設けられた椅子42に腰かけた居住者又は来客は、ダイニングテーブル41に向かって腰かけるので、背後の屋内凹部4に配置された腰掛部6が視界に入ることがなく、腰掛部6の居心地が視線に邪魔されることがない。また、屋内凹部4は一部がリビング空間12に面しており、吹き抜け45は、リビング空間12の屋内凹部4から最も離れる位置に形成されていることで、こもり感のある屋内凹部4と、解放感のある吹き抜け45とが居室2の離れた位置に配置されることとなり、居住者の気分に応じて、居心地の良い場所でくつろぐことができる。
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る窓辺構造1及び居室2は、住宅のリビング空間12、ダイニング空間13、及びキッチン14を有する大空間の居室2、及び当該居室2に形成される窓辺構造1として好適に用いることができる。
1 窓辺構造
2 居室
3 屋外凹部
4 屋内凹部
5 窓部
6 腰掛部
12 リビング空間
13 ダイニング空間
14 キッチン
15 屋内壁面
18 座面部
19 背凭れ部
20 第一のクッション材
21 第二のクッション材
23 屋内凹部の天井面
24 居室の天井面
43 リビングソファ
44 パーソナルチェア

Claims (11)

  1. 建物の外壁の一部を屋内側にセットバックさせて形成された屋外凹部と、
    前記屋外凹部の屋内側に形成され、居室を区画する屋内壁面の一部を前記屋外凹部側に突出させて形成された屋内凹部と、
    前記屋外凹部及び前記屋内凹部の境界となる外壁に設けられる窓部と、
    前記屋内凹部に形成される造作家具であり、前記窓部を背にして着座可能な腰掛部と、
    を備えることを特徴とする窓辺構造。
  2. 前記屋内凹部は前記屋外凹部よりも幅方向の長さが短く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の窓辺構造。
  3. 前記屋内凹部は天井面が前記屋内凹部以外の居室の天井面よりも低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窓辺構造。
  4. 前記建物は2階以上の建物であり、
    前記屋外凹部は、前記建物の1階から2階以上に亘って連続して形成されるとともに、
    前記屋内凹部は、少なくとも2階に形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の窓辺構造。
  5. 前記腰掛部は、複数人が着座可能な長椅子状であり、前記屋内凹部の全幅に亘って形成される座面部と、前記屋内凹部の幅方向の一部または全部に形成される背凭れ部と、を少なくとも有しており、
    前記座面部及び前記背凭れ部に着脱可能な第一のクッション材が固定されるとともに、前記屋内凹部の一方の側壁面にも着脱可能な第二のクッション材が固定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の窓辺構造。
  6. 前記腰掛部は前記窓部から距離を開けて配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の窓辺構造。
  7. 前記腰掛部は前記窓部の下側の額縁で着座可能な座面部の下地が形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の窓辺構造。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかの窓辺構造が配置され、少なくともリビング空間、ダイニング空間、及びキッチンが無柱で長手方向に一列に並んで配置された大空間の居室であり、
    前記屋内凹部は、長手方向の中央を含む位置に形成されることを特徴とする居室。
  9. 前記屋内凹部は、前記キッチンのワークトップよりも前記ダイニング空間側であり、且つ、少なくとも一部が前記ダイニング空間に面して配置されることを特徴とする請求項8に記載の居室。
  10. 前記リビング空間の前記屋内凹部から最も離れる位置の天井に吹き抜けが形成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の居室。
  11. 前記リビング空間は、前記屋内凹部に背を向けるようにリビングソファが配置されており、前記屋内凹部から最も離れる位置で、前記リビングソファに向かい合うようにパーソナルチェアが配置されることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の居室。
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