JP5771275B2 - 高い放熱性を有する電磁波吸収フィルム - Google Patents
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Description
本発明の電磁波吸収フィルム1は、図1(a) に示すように、プラスチックフィルム10の少なくとも一面に単層又は多層の金属薄膜11と、カーボンナノチューブ薄層14とが順に形成された構造を有する。図1(a)〜図1(d)は、プラスチックフィルム10の一面全体に形成された金属薄膜11に実質的に平行で断続的な多数の線状痕12が二方向に形成された例を示す。
プラスチックフィルム10を形成する樹脂は、絶縁性とともに十分な強度、可撓性及び加工性を有する限り特に制限されず、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアリーレンサルファイド(ポリフェニレンサルファイド等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等が挙げられる。強度及びコストの観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。プラスチックフィルム10の厚さは10〜100μm程度で良い。
金属薄膜11を形成する金属は導電性を有する限り特に限定されないが、耐食性及びコストの観点からアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金が好ましく、特にアルミニウム、銅、ニッケル及びこれらの合金が好ましい。金属薄膜の厚さは0.01μm以上が好ましい。厚さの上限は特に限定的でないが、実用的には10μm程度で十分である。勿論、10μm超の金属薄膜を用いても良いが、高周波数の電磁波の吸収能はほとんど変わらない。金属薄膜の厚さは0.01〜5μmがより好ましく、0.01〜1μmが最も好ましい。金属薄膜11は蒸着法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、又はプラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等の化学気相蒸着法)、めっき法又は箔接合法により形成することができる。
図1(b)及び図1(c) に示すように、金属薄膜11に多数の実質的に平行で断続的な線状痕12a,12bが二方向に不規則な幅及び間隔で形成されている。なお、説明のために図1(c) では線状痕12の深さを誇張している。二方向に配向した線状痕12は種々の幅W及び間隔Iを有する。後述するように、線状痕12はランダムに付着した硬質微粒子(ダイヤモンド微粒子)を有するパターンロールの摺接により形成されるので、線状痕の間隔Iは横手方向及び長手方向で変わらない。以下横手方向間隔Iについて説明するが、その説明はそのまま長手方向間隔にも当てはまる。線状痕12の幅Wは線状痕形成前の金属薄膜11の表面Sに相当する高さで求め、線状痕12の間隔Iは、線状痕形成前の金属薄膜11の表面Sに相当する高さにおける線状痕12の間隔とする。線状痕12が種々の幅W及び間隔Iを有するので、本発明の電磁波吸収フィルム1は広範囲にわたる周波数の電磁波を効率良く吸収することができる。
図3(a) 及び図3(b) に示すように、金属薄膜11に線状痕12の他に多数の微細貫通穴13をランダムに設けても良い。微細穴13は、表面に高硬度微粒子を有するロールを金属薄膜11に押圧することにより形成することができる。図3(b) に示すように、微細穴13の開口径Dは線状痕形成前の金属薄膜11の表面Sに相当する高さで求める。微細穴13の開口径Dは90%以上が0.1〜1000μmの範囲内にあるのが好ましく、0.1〜500μmの範囲内にあるのがより好ましい。また微細穴13の平均開口径Davは0.5〜100μmの範囲内にあるのが好ましく、1〜50μmの範囲内にあるのがより好ましい。
線状痕12を有する金属薄膜11の上に、カーボンナノチューブ薄層14が形成されている。カーボンナノチューブは単層構造でも多層構造でも良い。多層カーボンナノチューブは約10〜数10 nmの外径を有し、凝集なしに均一な薄い層に形成し易いだけでなく、導電性に優れているので好ましい。
カーボンナノチューブ薄層14を保護するために、図4に示すように、カーボンナノチューブ薄層14をプラスチック保護層15で覆うのが好ましい。プラスチック保護層15用のプラスチックフィルムはベースとなるプラスチックフィルム10と同じで良い。保護層15の厚さは10〜100μm程度が好ましい。
(1) 線状痕の形成
図5(a)〜図5(e) は線状痕を二方向に形成する装置の一例を示す。この装置は、(a) 金属薄膜-プラスチック複合フィルム100を巻き出すリール21と、(b) 複合フィルム100の幅方向と異なる方向で金属薄膜11の側に配置された第一のパターンロール2aと、(c) 第一のパターンロール2aの上流側で金属薄膜11の反対側に配置された第一の押えロール3aと、(d) 複合フィルム100の幅方向に関して第一のパターンロール2aと逆方向にかつ金属薄膜11の側に配置された第二のパターンロール2bと、(e) 第二のパターンロール2bの下流側で金属薄膜11の反対側に配置された第二の押えロール3bと、(f) 第一及び第二のパターンロール2a,2bの間で金属薄膜11の側に配置された電気抵抗測定手段4aと、(g) 第二のパターンロール2bの下流側で金属薄膜11の側に配置された電気抵抗測定手段4bと、(h) 線状痕付き金属薄膜-プラスチック複合フィルム1を巻き取るリール24とを有する。その他に、所定の位置に複数のガイドロール22,23が配置されている。各パターンロール2a,2bは、撓みを防止するためにバックアップロール(例えばゴムロール)5a,5bで支持されている。
電磁波吸収フィルム1の少なくとも一面に形成された線状痕12を有する金属薄膜11にカーボンナノチューブ分散液を塗布し、自然乾燥することにより、カーボンナノチューブ薄層14を形成する。カーボンナノチューブ分散液は、(a) 有機溶媒にカーボンナノチューブ及び必要に応じて分散剤を配合したもの、又は(b) 有機溶媒にカーボンナノチューブ、バインダ樹脂、及び必要に応じて分散剤を配合したものである。分散液中のカーボンナノチューブの濃度は0.01〜2質量%が好ましい。カーボンナノチューブの濃度が0.1質量%未満であると十分な塗布量が得られず、また2質量%超であるとカーボンナノチューブが分散液中で凝集するおそれがあり、均一なカーボンナノチューブ薄層が得られない。カーボンナノチューブの濃度はより好ましくは0.01〜1質量%であり、最も好ましくは0.1〜0.5質量%である。
カーボンナノチューブ薄層14を保護するためにプラスチックフィルムからなるプラスチック保護層15を熱ラミネートするのが好ましい。PETフィルムの場合、熱ラミネート温度は110〜150℃で良い。
(1) 電磁波吸収能の評価
(a) 伝送減衰率
伝送減衰率Rtpは、図10(a) 及び図10(b) に示すように、50ΩのマイクロストリップラインMSL(64.4 mm×4.4 mm)と、マイクロストリップラインMSLを支持する絶縁基板120と、絶縁基板120の下面に接合された接地グランド電極121と、マイクロストリップラインMSLの両端に接続された導電性ピン122,122と、ネットワークアナライザNAと、ネットワークアナライザNAを導電性ピン122,122に接続する同軸ケーブル123,123とで構成されたシステムを用い、マイクロストリップラインMSLにノイズ抑制フィルムの試験片TPを粘着剤により貼付し、0.1〜6 GHzの入射波に対して反射波S11の電力及び透過波S12の電力を測定し、下記式(1):
Rtp=-10×log[10S21/10/(1-10S11/10)]・・・(1)
により求める。
図10(a) 及び図10(b) に示すシステムにおいて、入射した電力Pin=反射波S11の電力+透過波S12の電力+吸収された電力(電力損失)Plossが成り立つ。従って、入射した電力Pinから反射波S11の電力及び透過波S21の電力を差し引くことにより、電力損失Plossを求め、Plossを入射電力Pinで割ることによりノイズ吸収率Ploss/Pinを求める。
電磁波吸収フィルム1の放熱性は、その一部に与えられた熱がフィルム全体に拡散する速度により評価する。具体的には、図11(a) に示すように、電磁波吸収フィルム1の長方形サンプル200(100 mm×50 mm)と、電磁波吸収フィルム1のサンプル200と同じ大きさの長方形開口部202を有するアクリル支持板201(200 mm×100 mm×2 mm)とを準備し、図11(b) 及び図11(c) に示すようにサンプル200をアクリル支持板201の開口部202に幅10 mmの接着テープ(セロハンテープ)203により固定する。図11(d) に示すように、サンプル200は電磁波吸収フィルム1のカーボンナノチューブ薄層14側に厚さ100μmのPETフィルム205を積層したものである。
粒径分布が50〜80μmのダイヤモンド微粒子を電着したパターンロール32a,32bを有する図9に示す構造の装置を用い、厚さ16μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一面に真空蒸着法により形成した厚さ0.05μmのアルミニウム薄膜11に、図2(c)に示すように直交する二方向に配向した線状痕を形成した。線状痕付きアルミニウム薄膜11の光学顕微鏡写真から、線状痕は下記特性を有することが分った。
幅Wの範囲:0.5〜5μm
平均幅Wav:2μm
間隔Iの範囲:2〜30μm
平均間隔Iav:20μm
平均長さLav:5 mm
鋭角側の交差角θs:90°
実施例1と同様に作製した線状痕付きアルミニウム薄膜11にカーボンナノチューブ分散液を塗布せずに作製した電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して、実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを求めた。結果をそれぞれ図14及び図15に示す。
金属薄膜11をニッケルにより形成した以外実施例1及び比較例1と同様にして電磁波吸収フィルム1を作製し、各電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して、実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを求めた。結果をそれぞれ図18及び図19に示す。図18及び図19から明らかなように、実施例2は比較例2より高い伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを示した。これから、ニッケルからなる金属薄膜11の場合でも、カーボンナノチューブ薄層14の形成により伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinが向上することが分かる。
線状痕の交差角θsをそれぞれ30°,60°及び90°とした以外実施例1と同様にして電磁波吸収フィルム1を作製し、各電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して、実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを求めた。6 GHzの周波数の入射波に対する伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを表1に示す。表1から明らかなように、30°〜90°の交差角θsのいずれでも高い伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを示した。
カーボンナノチューブ分散液の塗布量を下記表2に示すように変化させた以外実施例1と同様にして作製した各電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して、実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを求めた。6 GHzの周波数の入射波に対する伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを表2に示す。表2から明らかなように、カーボンナノチューブ薄層14の厚さが0.01〜0.1 g/m2の範囲内では、高い伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを示すが、上記範囲外の厚さでは伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinの向上効果は不十分であった。
アルミニウム薄膜11の厚さを0.08μmとした以外実施例1と同じ方法で作製した電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ図20及び図21に示す。図20及び図21から明らかなように、実施例5の伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinは実施例1とほぼ同レベルであった。これから、線状痕を有する金属薄膜とカーボンナノチューブ薄層14とを組合せた本発明の電磁波吸収フィルム1は、金属薄膜の厚さに関係なく優れた電磁波吸収能を有することが分かる。
下から順に厚さ50 nmのNi層及び厚さ100 nmのCu層からなる二層構造の金属薄膜を用いた以外実施例1と同じ方法で作製した電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ図22及び図23に示す。図22及び図23から明らかなように、金属薄膜が二層構造の場合も高い伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを示した。
厚さ16μmの二軸延伸PETフィルムの一面に真空蒸着法により形成した厚さ0.05μmのニッケル薄膜11に、線状痕を形成することなく実施例1と同じ方法で厚さ0.060 g/m2のカーボンナノチューブ薄層14を形成した。得られたサンプルから切り出した試験片TPに対して伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ図24及び図25に示す。図24及び図25から、線状痕のないニッケル薄膜11にカーボンナノチューブ薄層14を形成しただけでは、十分な電磁波吸収能が得られないことが分かる。
厚さ16μmの二軸延伸PETフィルムに金属薄膜を形成することなく実施例1と同じ方法で厚さ0.061 g/m2のカーボンナノチューブ薄層14を形成した。得られたサンプルから切り出した試験片TPに対して伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ図26及び図27に示す。図26及び図27から、線状痕付き金属薄膜なしにカーボンナノチューブ薄層14だけを形成した場合、十分な電磁波吸収能が得られないことが分かる。
厚さ16μmの二軸延伸PETフィルムに実施例1と同じ方法で線状痕付きアルミニウム薄膜11及びカーボンナノチューブ薄層14を形成したサンプルから、下記表3に示すサイズの小片を10枚切り出し、各小片の6 GHzにおける伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ表3に示す。Rtp及びPloss/Pinの値が小さいのは、小片の面積が試験片TP(55.2 mm×4.7 mm)の面積より小さいからである。表3から明らかなように、本発明の電磁波吸収フィルム1は小片化しても伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinの値のバラツキが小さかった。これは、ランダムに形成された線状痕のバラツキがカーボンナノチューブ薄層14により平均化されたためであると考えられる。
厚さ16μmの二軸延伸PETフィルムに実施例1と同じ方法で線状痕付きアルミニウム薄膜11を形成したサンプル(カーボンナノチューブ薄層14は形成していない。)から、下記表4に示すサイズの小片を10枚切り出し、各小片の伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ表4に示す。表4から明らかなように、カーボンナノチューブ薄層14を形成していない電磁波吸収フィルムを小片化すると、伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinの値のバラツキは、カーボンナノチューブ薄層14を有する実施例7のものより大きくなった。
カーボンナノチューブ分散液として、キシレン/イソプロピルアルコール(IPA)=6/4の混合溶媒98質量%に、外径10〜15 nmで平均長さ3μmの多層カーボンナノチューブ(触媒除去済み)0.5質量%を均一に分散させ、さらに1.5質量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)を溶解したものを用いた以外、実施例1と同様にして実施例8の電磁波吸収フィルム1を作製した。この電磁波吸収フィルム1から切り出した試験片TPに対して実施例1と同じ方法でノイズ吸収率Ploss/Pinを測定し、またこの電磁波吸収フィルム1から切り出したサンプルに対して実施例1と同じ方法で熱拡散性(放熱性)の評価を行った。ノイズ吸収率Ploss/Pinを図28に示し、熱拡散性(放熱性)の評価を図29に示す。また実施例8の同じ試験片TPに対して6カ月後にノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果を図30に示す。図29から明らかなように、カーボンナノチューブ薄層14がバインダ樹脂を含有する実施例8の電磁波吸収フィルム1も、良好な熱拡散性を有していた。
平均長さ1μmの多層カーボンナノチューブ1.0質量%と、PMMA 1.0質量%とを含有するカーボンナノチューブ分散液を用いた以外実施例1と同様にして電磁波吸収フィルムを作製し、それから切り出した試験片TPに対して実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。結果をそれぞれ図33及び図34に示す。図33及び図34から明らかなように、比較例7の伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinはいずれも比較例1と同程度であった。これから、カーボンナノチューブの平均長さが2μm未満であると、カーボンナノチューブ薄層14の効果がほとんど得られないことが分かる。
カーボンナノチューブの濃度を1.3質量%に変更した以外実施例8と同様にして、電磁波吸収フィルム1を作製し、実施例1と同じ方法でノイズ吸収率Ploss/Pin及び熱拡散性(放熱性)を測定した。結果をそれぞれ図35及び図36に示す。図35及び図36から明らかなように、カーボンナノチューブの濃度を変更しても、得られる電磁波吸収フィルムの電磁波吸収能及び熱拡散性はほとんど変化しなかった。
厚さ16μmのPETフィルムの一面にアルミニウム薄膜11を形成せずに、実施例8と同じカーボンナノチューブ分散液を塗布したサンプルに対して、実施例1と同じ方法でノイズ吸収率Ploss/Pinの測定及び熱拡散性(放熱性)の評価を行った。結果をそれぞれ図37及び図38に示す。
厚さ16μmのPETフィルムの一面に形成した厚さ0.05μmのアルミニウム薄膜11に線状痕を形成せずに、実施例8と同じカーボンナノチューブ分散液を塗布したサンプルに対して、実施例1と同じ方法でノイズ吸収率Ploss/Pinの測定及び熱拡散性(放熱性)の評価を行った。結果をそれぞれ図39及び図40に示す。
厚さ16μmのPETフィルムの一面に厚さ0.05μmのアルミニウム薄膜11を形成しただけのサンプルに対して、実施例1と同じ方法で熱拡散性(放熱性)の評価を行った。結果を図41に示す。
パナソニック株式会社製のPGSグラファイトシート(厚さ17μm)に対して、実施例1と同じ方法で熱拡散性の評価を行った。結果を図42に示す。図42から明らかなように、グラファイトシートの熱拡散性は本発明の放熱性電磁波吸収フィルムより劣っていた。
線状痕を一方向(二軸延伸PETフィルムの長手方向)のみ形成した以外実施例1と同様にして電磁波吸収フィルムを形成し、それから第一の試験片TP(線状痕がその長手方向と一致する。)及び第二の試験片TP(線状痕がその横手方向と一致する。)をそれぞれ切り出し、実施例1と同じ方法で伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを測定した。6 GHzにおける伝送減衰率Rtp及びノイズ吸収率Ploss/Pinを表5に示す。表5から明らかなように、一方向の線状痕を有するアルミニウム薄膜11にカーボンナノチューブ薄層14を形成した電磁波吸収フィルムは、高い電磁波吸収能を有するものの、その異方性は大きかった。
Claims (8)
- プラスチックフィルムと、その少なくとも一面に設けた単層又は多層の金属薄膜とを有し、前記金属薄膜に多数の実質的に平行で断続的な線状痕が不規則な幅及び間隔で複数方向に形成されているとともに、前記金属薄膜上にカーボンナノチューブ薄層が形成されており、前記線状痕の幅は90%以上が0.1〜100μmの範囲内にあって平均1〜50μmであり、前記線状痕の横手方向間隔は1〜500μmの範囲内にあって平均1〜200μmであり、前記カーボンナノチューブは2μm以上の平均長さを有することを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1に記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記線状痕が二方向に配向しており、その交差角が30〜90°であることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1又は2に記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記カーボンナノチューブは触媒が除去されていることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記金属薄膜がアルミニウム、銅、銀、錫、ニッケル、コバルト、クロム及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記カーボンナノチューブ薄層の塗布量で表した厚さがカーボンナノチューブの質量基準で0.01〜0.5 g/m2であることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記カーボンナノチューブ薄層がバインダ樹脂を含有することを特徴とする電磁波吸収フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電磁波吸収フィルムにおいて、前記カーボンナノチューブ薄層の上にプラスチックフィルムが熱ラミネートされていることを特徴とする電磁波吸収フィルム。
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