JP5757698B2 - 有機無機複合粒子並びにその製造方法、該粒子を含む分散液および該粒子を配合した化粧料 - Google Patents

有機無機複合粒子並びにその製造方法、該粒子を含む分散液および該粒子を配合した化粧料 Download PDF

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Description

本発明は、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有する天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させた有機無機複合粒子並びに該粒子の製造方法、該粒子を含む分散液および該粒子を配合した化粧料に関する。
無機酸化物粒子は、顔料、紫外線吸収剤、充填剤などの目的で塗料、インク、樹脂組成物、化粧料などに配合して使用されている。しかし、このような無機酸化物粒子の表面には、水酸基があるため、水との相溶性に乏しいオイルなどの低極性溶媒中では分散性が低いため、粒子の凝集などが起こりやすいといった問題があった。
このような問題を解決する手段として、例えば本願出願人は、多孔質シリカ粒子に対する樹脂被覆粒子の製造方法を検討してきた。特許文献1にて、エマルジョン法または重合法を開示している。
また本願出願人は、特許文献2にて、プラズマ重合法による樹脂被覆粒子の製造方法を記載している。さらには、特許文献3にて、鱗片状複合粒子に対し噴霧乾燥法による樹脂被覆粒子の製造方法を開示している。
化粧料の用途として天然物由来の高分子ゲル分子を用いる場合、高分子ゲル溶液のまま用いる場合がほとんどであり、有機粒子として使用(併用も含む)する例はあるが無機粒子と併用して用いる例は少ない。その中で、特許文献4には、無機顔料、雲母類、クレー類その他の体質顔料、化粧品用、工業用顔料と、カルボキシル基を有する酸価200以上の高分子物質のAl、Mg、Ca、Zn、Zr、Tiの金属塩、または該金属塩と疎水化剤共存下、撹拌した後乾燥し顔料に付着させることが記載されている。
一方、特許文献5には、ケイ酸系化合物、アルミナ系化合物、リン酸系化合物などの無機粒子またはセルロースを始めとする有機粒子と、カテキン類、ビタミン類、タンニン類、天然保湿因子、植物由来の精油などから選ばれる天然有機成分とを混合し、この混合物をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥して得られる天然有機成分担持粒子が、亜麻仁油に対して分散性を有することにより、化粧品材料として使用可能であることが記載されている。
さらに、特許文献6には、吸湿性物質を顔料表面へ付着させる製造方法が開示されている。
特開2003−012460号公報 特開2003−063932号公報 特開2006−052299号公報 特開昭63−199273号公報 特開2006−045491号公報 特開2007−284483号公報
特許文献1に記載のエマルジョンおよび重合法表面処理方法は、さらに無機酸化物粒子表面への被覆の高密度化へと発展させる必要があった。
また、特許文献2に記載のプラズマ修飾固体では、固体表面が瞬間的に100℃以上の条件下に有機化合物が曝される必要があった。
さらに、特許文献3の噴霧乾燥法では、処理時に100℃以上の気流雰囲気下で操作されるスプレードライヤーを用いた調製が必須であり、さらに均一な被覆ができない恐れがある。また、特許文献4の被覆法では、顔料と保湿成分分子を撹拌した後、乾燥しファンデルワールス力によって付着させる手法であり、均一な被覆ができない恐れがある。
また、特許文献5に記載の天然有機成分担持粒子は、100℃以上の気流雰囲気下で操作されるスプレードライヤーを用いて調製されるが、粒子に担持すべき天然有機成分が熱安定性に欠ける場合にはこの方法を採用することができないため、低温条件下で粒子表面を修飾する方法が求められていた。
さらに、特許文献6の被覆法では、無機酸化物顔料とアニオン性官能基を有する表面改質剤共存下、多価金属イオンを添加することにより、多価金属イオンが無機酸化物粒子と表面改質剤とを金属石鹸的に連結するものである。しかしながら、これら従来の付着や噴霧乾燥法による被覆はファンデルワールス力によるものであり、有機分子被覆後のpHや不純物イオンといった外部環境の変化や粒子同士の摩擦により、連結した有機分子成分が粒子から解裂または欠落するという問題点があった。
さらに述べれば、粒子表面への担持成分または修飾成分について何ら制約を受けることなく、しかも簡便な手段で均一に修飾し、かつ被覆した成分の特性を長期間持続できるような有機無機複合粒子を製造する方法の確立が望まれていた。
そこで、本発明者らは、上記のような問題を解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有する天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させ、かつ均一に修飾した有機無機複合粒子を調製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る有機無機複合粒子は、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有する天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させてなることを特徴としている。
前記高分子ゲルは、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有して収縮性と膨潤性とを兼ね備えるものであることが好ましい。
前記無機酸化物粒子は、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セリウム、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、およびケイ素などから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物粒子(ただし、ケイ素酸化物粒子を除く。)または複合酸化物粒子であることが好ましい。
前記無機酸化物粒子は、粒子表面にアニオン電荷を有するケイ素酸化物粒子の表面を、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セリウム、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、およびケイ素などから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物(ただし、ケイ素酸化物を除く。)または複合酸化物で被覆したものであることが好ましい。本願で用いる無機酸化物粒子は、表面電荷量の調節を目的とした表面処理を施した粒子を使用することがより好ましい。
前記無機酸化物粒子の平均粒子径は、0.1〜280μmの範囲にあることが好ましい。
前記高分子ゲル分子は、周辺環境の変化に応じてその分子形態を変化させて収縮したり、膨潤したりするものであることが好ましい。
前記高分子ゲル分子は、その分子内に1個または2個以上の水酸基を有するものであることが好ましい。
前記高分子ゲル分子は、カルボキシル基、チオール基、スルホン基、スルフィン基、スルフェン基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、ホスフェン酸基、リン酸基、ヒドロキシム酸基、ヒドロキサム酸基、ニトロール基、ニトロソール基、およびニトロン酸基の群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性官能基を分子内に有するものであることが好ましい。
前記高分子ゲル分子は、ヒアルロン酸またはその塩からなるヒアルロン酸類、アミノ酸、ポリアミノ酸、ピロリドンカルボン酸またはその誘導体、尿素またはその誘導体、N − アセチルグルコサミン、動植物性多糖類、コエンザイムQ10、ライスパウダー、ゼラチン、オリゴ糖、単糖類、サポニン類、植物性ペプタイド、リン脂質、セリシン、コンドロイチン、セラミド、アルブミン、コラーゲン、キチンおよびキトサン、植物・海藻抽出物類から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに前記高分子ゲル分子は、天然高分子化合物類、イタコン酸類、およびN−イソプロピルアクリルアミド類から選ばれた少なくとも1種の化合物、または該化合物とエステル系化合物もしくはポリ(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いてもよい。
前記天然高分子化合物類は、カテキン類、ビタミン類、タンニン類、多糖類、たんぱく質類、リン脂質類、天然保湿因子類、アルギン酸類、ポリグルタミン酸類およびポリアスパラギン酸類から選ばれた少なくとも1種またはその塩であることが好ましい。
前記カテキン類は、茶由来のカテキンであることが好ましい。
前記ビタミン類は、ビタミン、ビタミン誘導体、ビタミンに近い働きをするビタミン様物質から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記タンニン類は、タンニン、タンニン酸、ピロガロール、没食子酸および没食子酸エステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記有機無機複合粒子の平均粒子径は、0.1〜300μmの範囲にあることが好ましい。
前記有機無機複合粒子は、前記無機酸化物粒子の表面に静電的結合させる前記高分子ゲル分子の量と該高分子ゲル分子を膨潤させる時間の長さによってその平均粒子径を制御したものであることが好ましい。
本発明に係る有機無機複合粒子の製造方法は、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を静電的引力により結合させてなる有機無機複合粒子の製造方法であって、
(1)前記高分子ゲル分子を含む溶液に、該高分子ゲル分子を収縮させることのできる溶媒を添加して撹拌する工程、
(2)前記工程(1)で得られた溶液に前記無機酸化物粒子を添加して撹拌することにより該無機酸化物粒子の表面に前記高分子ゲル分子を静電的結合させる工程、
(3)前記工程(2)で得られた分散液に、前記高分子ゲル分子を膨潤させることのできる溶媒を添加して撹拌することにより、前記無機酸化物粒子の表面に静電的結合させた高分子ゲル分子を膨潤させる工程
(4)前記工程(3)で得られた分散液を濾過して固形分を分離する工程、
(5)前記工程(4)で得られた固形分を乾燥する工程
を含むことを特徴としている。
上記の製造方法において、前記高分子ゲル分子がヒアルロン酸であるとき、前記工程(1)で添加される溶媒は、アセトンであることが好ましい。
また、前記高分子ゲル分子がヒアルロン酸であるとき、前記工程(3)で添加される溶媒は、水であることが好ましい。
本発明に係る有機無機複合粒子分散液は、前記有機無機複合粒子を油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、エステル類、多価アルコール類、糖類、シリコーン油、架橋シリコーンゲルおよびフッ素油から選ばれた溶媒またはその混合溶媒に、0.001〜50重量%の範囲で分散させてなることを特徴としている。
本発明に係る化粧料は、前記有機無機複合粒子を0.001〜40重量%の範囲で配合してなるものであることを特徴としている。
前記化粧料は、スキンケア化粧料、ベースメークアップ化粧料、洗浄用化粧料、またはボディーケア化粧料であることが好ましい。
本発明に係る有機無機複合粒子、すなわち無機酸化物粒子の表面に収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を静電的引力により結合させてなる有機無機複合粒子は、水などの水系溶媒の他に、非水系溶媒に対しても分散性がよく、しかも粒子同士の凝集が起こりにくいという特性を備えている。
また、従来のファンデルワールス力による有機無機複合粒子と異なり、連結された有機分子成分が粒子から容易に解裂または欠落する虞がない。
また、前記高分子ゲル分子は、前記無機酸化物粒子の表面に結合させる前記高分子ゲル分子の量と該高分子ゲル分子を膨潤させる時間の長さによってその平均粒子径を制御することができるという特性を備えている。
本発明に係る有機無機複合粒子の製造方法によれば、常温・常圧の液中条件下で、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を静電的引力によって簡単に結合させることができる。すなわち、本発明方法によれば、100℃以上の加熱操作を必要としないので、たとえ前記高分子ゲル分子が熱安定性に欠けるものであっても、前記無機酸化物粒子の表面に容易に結合させることができる。
また、本発明方法によれば、水などの水系溶媒の他に、非水系溶媒に対しても分散性がよく、しかも粒子同士の凝集が起こりにくいという特性を備えた有機無機複合粒子を容易に得ることができる。
さらに、前記無機酸化物粒子が、たとえ粒子表面にアニオン電荷を有する無機酸化物粒子(例えば、シリカなどのケイ素酸化物粒子)であっても、カチオン電荷を有する無機酸化物でその表面を被覆すれば、本発明でいう無機酸化物粒子として使用することもできる。
図1は、アルミナで被覆したシリカ粒子(すなわち、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子「アルミナ被覆シリカ粒子(II)」)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率10,000倍の写真(SEM写真)である。 図2は、アルミナで被覆したシリカ粒子の表面にヒアルロン酸を結合させてなる有機無機複合粒子(実施例4の粒子D)を、走査型電子顕微鏡で撮った倍率350,000倍の写真(SEM写真)である。
以下、本発明に係る有機無機複合粒子並びにその製造方法、該粒子を含む分散液および該粒子を配合した化粧料の実施態様について具体的に説明する。
[有機無機複合粒子]
本発明に係る有機無機複合粒子は、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させてなるものである。
無機酸化物粒子
前記無機酸化物粒子としては、粒子表面にカチオン電荷を有するものであれば、特に制限なく使用することができる。すなわち、市販されているものをそのまま用いてもよく、また従来公知の方法で調製したものを用いてもよい。その調製方法としては、例えば噴霧乾燥法、加水分解法、ゾルーゲル法などが挙げられる。
さらに具体的に述べれば、前記無機酸化物粒子は、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セリウム、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ケイ素などから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物粒子(ただし、ケイ素酸化物粒子を除く。)または複合酸化物粒子であることが好ましい。
また、前記無機酸化物粒子は、粒子表面にアニオン電荷を有するケイ素酸化物粒子の表面を、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セリウム、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、から選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物(ただし、ケイ素酸化物を除く。)または複合酸化物で被覆したものであることが好ましい。本発明で用いる無機酸化物粒子は、表面電荷量の調節を目的とした表面処理を施した粒子を使用することがより好ましい。
前記無機酸化物粒子の平均粒子径は、0.1〜280μm、特に0.15〜250μmの範囲にあることが好ましい。ここで、前記平均粒子径が0.1μm未満のものは、粒子の飛散力が高まって取扱いが難しくなるので好ましくない。また、前記平均粒子径が280μmを超えると、自然沈降力が高まって溶媒中に均一に分散させることが難しくなるので、好ましくない。
なお、前記無機酸化物粒子は、サンプルミル、サンドミル、ジェットミル、ジューサーミキサー、ヤリヤ粉砕機などを用いて粉砕して適当な大きさの粒子に調節したものであってもよい。
前記無機酸化物粒子の形状は、特に制限されずに用途や効果に応じて針状、球状、棒状、板状、鱗片状、円環状、中空状または貫通孔を有する形状のものから適宜選択して用いることができる。なお、前記平均粒子径については、その形状によって個別の測定条件(例えば、(長手方向の長さ+短手方向の長さ)/2など)が示される場合があるが、本発明においては、後述する「測定方法および評価方法」のところに記載された遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定された値を意味する。
前記無機酸化物粒子は、通常、後述する有機化合物分子を含む溶液中に、そのまま添加して使用されるが、平均粒子径の小さいもの(例えば、1μm未満)については粒子同士が凝集してしまうことがある。よって、このように平均粒子径の小さいものは、水や有機溶媒などの溶媒中に予め分散または懸濁させて使用することが好ましい。
高分子ゲル分子
本発明で使用される高分子ゲル分子は、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させることができるものである。
ここで、「静電的結合」とは、正電荷と負電荷間に働く力、例えばクーロン力、水素結合力、疎水性相互作用などをいい、静電的引力によって無機酸化物粒子の表面に高分子ゲル分子が結合した状態をいう。従って、ファンデルワールス力、インターカレーション等の結合力の弱いものとは区別される。
前記高分子ゲル分子は、周辺環境の変化に応じてその分子形態を変化させて収縮したり、膨潤したりするものから適宜選択される。
また、前記高分子ゲル分子は、その分子の分子内に1個または2個以上の水酸基を有するものであることが好ましい。ここで、前記水酸基により、水分子を包接したり、放出したりする。この水分子の取り込み量の変化により、前記高分子ゲル分子が収縮または膨潤という分子形態の変化をする。
前記高分子ゲル分子は、カルボキシル基、チオール基、スルホン基、スルフィン基、スルフェン基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、ホスフェン酸基、リン酸基、ヒドロキシム酸基、ヒドロキサム酸基、ニトロール基、ニトロソール基、およびニトロン酸基の群から選ばれた少なくとも1種のアニオン性官能基を分子内に有するものであることが好ましい。
さらに詳しく述べれば、前記高分子ゲル分子としては、カルボキシル基(-COOH)をもつ有機炭素酸化物、チオール基(-SH)、スルホン基(-SO3H)、スルフィン基(-S(=O)OH)、スルフェン基(-SOH)などをもつ有機硫黄酸化物、ホスホン酸基(-P(=O)(OH)2)、ホスフィン酸基、ホスフェン酸基などをもつ有機リン酸化物、ヒドロキシム酸(-C(=NOH)OH)、ヒドロキサム酸(-C(=O)NHOH)、ニトロール酸、ニトロソール酸、ニトロン酸などをもつ有機窒素酸化物や有機ホウ素酸化物、またはその塩がある。なお、これらの化合物は、1種単独または2種以上の混合物であってもよい。
前記高分子ゲル分子について、さらに具体的に述べれば、天然保湿因子類は、ヒアルロン酸またはその塩からなるヒアルロン酸類、アミノ酸、ポリアミノ酸、ピロリドンカルボン酸またはその誘導体、尿素またはその誘導体、N−アセチルグルコサミン、動植物性多糖類、コエンザイムQ10、ライスパウダー、ゼラチン、オリゴ糖、単糖類、サポニン類、植物性ペプタイド、リン脂質、セリシン、コンドロイチン、セラミド、アルブミン、コラーゲン、キチンおよびキトサン、植物・海藻抽出物類から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記高分子ゲル分子のうちヒアルロン酸またはその塩の平均分子量は、1,000〜5,000,000、好ましくは5,000〜3,000,000であることが望ましい。ここで、前記平均分子量が1,000未満であると、ヒアルロン酸のもつ保湿機能の発現効果が低いため好ましくない。また前記平均分子量が5,000,000を超えると、粘性が増加して粒子の分散性に悪影響を及ぼすことがあり、結果として高分子ゲル分子を粒子表面に均一結合させることが難しくなるので、好ましくない。
なお、ここでいう平均分子量とは、日本薬局方一般試験法に定める粘度測定法にて測定したものである。
さらに前記高分子ゲル分子は、天然高分子化合物類、イタコン酸類、およびN−イソプロピルアクリルアミド類から選ばれた少なくとも1種の化合物、または該化合物とエステル系化合物もしくはポリ(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体から選ばれた少なくとも1種の化合物などが挙げられるものであってもよい。
ここで、前記天然高分子化合物類は、カテキン類、ビタミン類、タンニン類、多糖類、たんぱく質類、リン脂質類、天然保湿因子類、アルギン酸類、ポリグルタミン酸類、およびポリアスパアギン酸類から選ばれた少なくとも1種またはその塩であることが好ましい。
また、前記カテキン類は、茶由来のカテキンであることが好ましい。
前記ビタミン類は、ビタミン、ビタミン誘導体、およびビタミンに近い働きをするビタミン様物質から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記タンニン類は、タンニン、タンニン酸、ピロガロール、没食子酸、および没食子酸エステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
植物・海藻抽出物類としては、アボカド抽出物、アルテア抽出物、アルニカ抽出物、アシタバ抽出物、アロエ抽出物、アーモンド油、イナゴマメ抽出物、イネ抽出物、イチゴ抽出物、ウイキョウ抽出物、ウコン抽出物、ウスベニアオイ抽出物、サイシン抽出物、エゴマ油、オウレン抽出物、オリーブ油、オドリコソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、オウゴン抽出物、オノニス抽出物、インチンコウ抽出物、カミツレ抽出物、カラスムギ抽出物、カンゾウ抽出物、キズタ抽出物、キイチゴ抽出物、キンギンカ抽出物、クマザサ抽出物、クチナシ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クジン抽出物、クララ抽出物、クレソン抽出物、黒砂糖抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ゲンチアナ抽出物、ゴボウ抽出物、コボタンヅル抽出物、コムギ抽出物、小麦胚芽抽出物、ゴマ抽出物、コンフリー抽出物、サボテン抽出物、サボンソウ抽出物、サンザシ抽出物、サルビア抽出物、ショウガ抽出物、シソ抽出物、ジオウ抽出物、シア脂、シモツケ抽出物、シャクヤク抽出物、シラカバ抽出物、シラユリ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、ソウハクヒ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、大豆抽出物、緑茶、紅茶、烏龍茶等の茶抽出物、ツバキ抽出物、トウモロコシ抽出物、トウチュウカソウ抽出物、トルメンチラ抽出物、トウキ抽出物、ドクダミ抽出物、バクモンドウ抽出物、ハウチマメ抽出物、ハマメリス抽出物、ハッカ抽出物、ミドリハッカ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、パセリ抽出物、バラ抽出物、ヒマワリ抽出物、ヒノキ抽出物、ヘチマ抽出物、ブドウ抽出物、プルーン抽出物、ブッチャーズブルーム抽出物、ボラージ油、ボタン抽出物、ホホバ油、ボダイジュ抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、マロニエ抽出物、マカデミアナッツ油、マルメロ抽出物、ムラサキ抽出物、メドウホーム油、メリッサ抽出物、ムクロジ抽出物、モッカ抽出物、ヤグルマソウ抽出物、ユリ抽出物、ユズ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物、羅漢果抽出物、ライム抽出物、ラベンダー抽出物、リンドウ抽出物、ワレモコウ抽出物、リンゴ抽出物及びレンゲソウ抽出物等の植物抽出物やコンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、ウミウチワ、マツモ、モズク、イシゲ、ハバノリ、コンブモドキ、フクロノリ、イワヒゲ、カゴメノリ、アナメ、スジメ、トロロコンブ、カジメ、ツルアラメ、チガイソ、エゾイシゲ、ラッパモク、ホンダワラ、オオバモク、ジャイアントケルプ等の褐藻類;テングサ、ヒラクサ、オニクサ、オバクサ、トサカノリ、キリンサイ、ツノマタ、トチヤカ、スギノリ、シキンノリ、カイノリ、ウスバノリ、ウシケノリ、アサクサノリ、フサノリ、カギノリ、ヒビロウド、カタノリ、ムカデノリ、マツノリ、トサカマツ、フノリ、イバラノリ、オゴノリ、カイメンソウ、ダルス、イギス、エゴノリ、コノハノリ、ヒメゴケ等の紅藻類;クロレラ、アオノリ、ドナリエラ、クロロコッカス、アナアオサ、カワノリ、マリモ、シオグサ、カサノリ、フトジュズモ、タマジュズモ、ヒトエグサ、アオミドロ等の緑藻類等の海藻抽出物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
前記有機無機複合粒子は、前記無機酸化物粒子の表面に結合させる前記高分子ゲル分子の量と該高分子ゲル分子を膨潤させる時間の長さによってその平均粒子径を制御することができ、これは本発明における一つの特徴部分である。
前記無機酸化物粒子の表面に結合させる前記高分子ゲル分子の量は、該無機酸化物粒子の全量に対し0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜10重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記結合量が0.001重量%未満では、高分子ゲル分子のもつ機能(例えば、該有機無機複合粒子を化粧料に配合して使用する場合は、感触特性など)を発現させることが難しくなるため、好ましくない。また、前記結合量が20重量%を超える場合は、高分子ゲル分子同士の相互作用が強くなって、該高分子ゲル分子のもつ機能を低下させる要因となることがあるので、好ましくない。
このようにして得られる前記有機無機複合粒子の平均粒子径は、0.1〜300μm、好ましくは0.15〜280μmの範囲にあることが好ましい。ここで、前記平均粒子径が0.1μm未満のものを使用することもできるが、粒子の飛散力が高まって取扱いが難しくなるので好ましくない。また、前記平均粒子径が300μmを超えると、前記無機酸化物粒子の場合と同様に、自然沈降力が高まって溶媒中に均一に分散させることが難しくなるので、ここでは、300μmを上限値とする。
なお、前記無機酸化物粒子は、サンプルミル、サンドミル、ジェットミル、ジューサーミキサー、ヤリヤ粉砕機などを用いて粉砕して適当な大きさの粒子に調節したものであってもよい。
先にも述べたように、前記有機無機複合粒子は、水系溶媒や非水系溶媒などの溶媒に溶解して使用される。
前記溶媒としては、前記高分子ゲル分子を溶解させることができるものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールをはじめとするアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンをはじめとするケトン類、THF、ジオキサンをはじめとするエーテル類、DMF、NMPをはじめとするアミド類などを挙げることができるが、前記高分子ゲル分子の種類などを考慮して適宜選択すべきである。なお、これらの溶媒は、1種単独または2種以上の混合物であってもよい。ただし、溶媒自身のみならず前記高分子ゲル分子と相分離を起こさないものから選択することが望ましい。
さらに、前記高分子ゲル分子は、その分子の分子内に1個または2個以上の水酸基により、水分子を包接、放出を行い、周辺環境の変化に応じて水分子の取り込み量の変化により、その分子形態を変化させて収縮したり、膨潤したりすることで保水性を有するものである。すなわち、水分子の包接に伴う膨潤に対し、収縮は膨潤とは逆の過程として、水分子を放出する現象を意味する。ここで、周辺環境の変化とは、1) 分散している溶媒(系)の温度、pHなどの物理的性質の変化や、2)混合溶媒系においては、溶媒組成の変化などに伴う双極子パラメーター、比誘電率、粘度、極性などの変化が挙げられる。
前記膨潤性とは膨潤度で表され、次式で定義する。
膨潤度=膨潤後の高分子ゲル分子の重量/膨潤前の高分子ゲル分子の重量・・・(1)
測定方法は、膨潤前の高分子ゲル分子1gに対し、水を徐々に滴下し18時間静置した後、水の染み出し(充分膨潤仕切った状態)が確認されたときの重量を測定し、式(1)で算出する。本発明に用いる前記高分子ゲル分子は、膨潤度として10〜8,000となる高分子ゲル分子が好ましい。例えば、ヒアルロン酸については、膨潤度が凡6,000となる。
さらに、前記高分子ゲル分子は、水を主成分とする溶媒中で分子の膨潤状態をとり、一方、有機溶媒を主成分とする含水有機溶媒中で分子の収縮状態をとることが好ましい。
[有機無機複合粒子の製造方法]
本発明に係る有機無機複合粒子の製造方法は、粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた天然物由来の高分子ゲル分子を静電的引力により結合させてなる有機無機複合粒子の製造方法であって、
(1)前記高分子ゲル分子を含む溶液に、該高分子ゲル分子を収縮させることのできる溶媒を添加して撹拌する工程、
(2)前記工程(1)で得られた溶液に前記無機酸化物粒子を添加して撹拌することにより該無機酸化物粒子の表面に前記高分子ゲル分子を静電的結合させる工程、
(3)前記工程(2)で得られた分散液に、前記高分子ゲル分子を膨潤させることのできる溶媒を添加して撹拌することにより前記無機酸化物粒子の表面に結合した高分子ゲル分子を膨潤させる工程、
(4)前記工程(3)で得られた分散液を濾過して固形分を分離する工程、
(5)前記工程(4)で得られた固形分を乾燥する工程、
を含むものである。
次に、この製造方法の各工程について具体的に説明すれば、以下の通りである。
工程(1)
この工程では、前記高分子ゲル分子を適当な溶媒に撹拌しながら室温で溶解させた溶液に、撹拌しながら該高分子ゲル分子を収縮させるための溶媒を添加して、さらに室温にて200〜700rpmの速度で1〜4時間撹拌する。ここで、前記高分子ゲル分子を溶解させる溶媒は、該高分子ゲル分子を溶解し得る水系溶媒または非水系溶媒から選ばれる。また、該高分子ゲル分子を溶解させる際には、必要に応じて前記溶媒を加温することも可能であるが、室温まで冷却したときに、前記高分子ゲル分子が溶解した状態を保持できるものであることが好ましい。
さらに、前記高分子ゲル分子を収縮させる溶媒は、使用される有機化合物分子の種類などによっても異なるので、水系溶媒または非水系溶媒から適宜選択して使用することが必要である。ここで、前記溶媒としては、前記高分子ゲル分子を溶解するために使用した溶媒だけでなく前記高分子ゲル分子と相分離を起こさないものを使用することが好ましい。
前記水系溶媒または非水系溶媒中に溶解される前記高分子ゲル分子は、該高分子ゲル分子の種類やその溶解性などによっても異なるが、該溶媒中に0.5〜3.0重量%含むような割合で添加することが好ましい。
また、前記高分子ゲル分子を収縮させるための溶媒は、その種類や前記高分子ゲル分子の種類などによっても異なるが、得られる溶液中に含まれる前記高分子ゲル分子の含有量が0.2〜1.0重量%となるような割合で添加することが好ましい。ここで、前記高分子ゲル分子の含有量が0.2重量%未満であると、使用される溶媒の量が必要以上に増えるので好ましくなく、また前記高分子ゲル分子の含有量が1.0重量%を超えると、得られる溶液の粘度が高くなる場合があるので好ましくない。
工程(2)
この工程では、前記工程(1)で得られた前記高分子ゲル分子を含む溶液を撹拌しながら、これに前記無機酸化物粒子を徐々に添加し、さらに室温にて200〜700rpmの速度で1〜6時間撹拌する。
これにより、前記無機酸化物粒子の表面に、前記高分子ゲル分子を静電的引力により結合させる。ここで、前記撹拌時間は、添加する無機酸化物粒子の重量などに依存して変動するが、該無機酸化物粒子が分散液内で均一分散するまでの時間を目安とする。ただし、6時間を超えて撹拌しても格別の効果は得られないので、これ以上行うことは得策ではない。
工程(3)
この工程では、先ず始めに、前記工程(2)で得られた分散液を撹拌しながら、前記有機化合物分子を膨潤させるための溶媒を添加して、さらに室温にて200〜700rpmの速度で1〜6時間撹拌する。
ここで、前記溶媒は、得られる溶液中に含まれる前記高分子ゲル分子の含有量が0.05〜0.3重量%となるように添加される。また、前記撹拌時間は、前記溶液中に含まれる無機酸化物粒子(その表面に前記高分子ゲル分子が静電的結合したもの)の重量などに依存して変動するが、該無機酸化物粒子が分散液内で均一分散するまでの時間を目安とする。ただし、6時間を超えて撹拌しても格別の効果は得られないので、これ以上行うことは得策ではない。
次いで、前記の撹拌を止めて、室温にて6〜24時間静置する。これにより、前記無機酸化物粒子の表面に静電的結合した前記高分子ゲル分子を膨潤させる。ここで、前記静置時間は、前記高分子ゲル分子の種類やその結合量などによっても異なるが、6時間未満では、該高分子ゲル分子を完全に膨潤させることができない可能性があるので好ましくない。ただし、粒子の平均粒子径を制御する必要がある場合にはこの限りでない。また、24時間を超えて静置しても格別の効果は得られないので、これ以上行うことは得策ではない。
工程(4)
この工程では、前記工程(3)で得られた有機無機複合粒子を含む溶液を濾過して固形分を分離する。
前記有機無機複合粒子からなる固形分の分離は、ブフナー漏斗、フィルタープレス、水平ベルトフィルター、シンクロフィルター、プリコートフィルター、ドラムフィルター、ベルトフィルター、トレイフィルターなどの市販の濾過装置を用いて行うことができる。また、その分離方法も、従来公知の方法を採用することができるが、減圧濾過方式で行うことが好ましい。
また、このようにして得られる前記有機無機複合粒子のケーキ状物質は、工程(3)で添加した溶媒を用いて、十分に洗浄しておくことが好ましい。
工程(5)
次いで、前記ケーキ状物質は、常圧または減圧にて、室温〜80℃、好ましくは室温〜60℃の温度で0.5〜6時間、好ましくは1〜3時間かけて乾燥することが好ましい。ここで、前記乾燥温度が室温未満であると、前記ケーキ状物質を短時間で十分に乾燥することができず、また前記乾燥温度が80℃を超えると、無機酸化物粒子の表面に静電的結合した前記高分子ゲル分子が分解することがあるので、好ましくない。なお、前記有機無機複合粒子のケーキ状物質の乾燥を比較的低い温度で、しかも短時間で行うためには、減圧乾燥方式で行うことが好ましい。
また、このようにして得られる有機無機複合粒子の乾燥粉体(粒子群)は、必要に応じてサンプルミル、ジェットミル、ジューサーミキサー、ヤリヤ粉砕機などの粉砕装置や解砕装置にかけて凝集物や塊状になったものなどを予め解砕しておくことが望ましい。
以上、本発明に係る有機無機複合粒子の製造方法について記載したが、前記高分子ゲル分子としてヒアルロン酸を使用したときの一例を上記の工程ごとに述べれば、以下の通りである。
(1)高分子ゲル分子としてのヒアルロン酸を、溶媒としての水に撹拌しながら室温で溶解させる。次いで、この溶液に、前記ヒアルロン酸を収縮させるための溶媒としてのアセトンを添加して、さらに室温にて約200rpmの速度で約2時間撹拌する。これにより、前記ヒアルロン酸を水中で収縮させる。
(2)前記工程(1)で得られたヒアルロン酸を含む溶液を撹拌しながら、これに無機酸化物粒子(例えば、アルミナ被覆シリカ粒子)を徐々に添加し、さらに室温にて約400rpmの速度で約3時間撹拌する。これにより、前記無機酸化物粒子の表面に、前記ヒアルロン酸を静電的引力により結合させる。
(3)前記工程(2)で得られた分散液を撹拌しながら、これに前記ヒアルロン酸を膨潤させるための溶媒としての水を添加して、さらに室温にて約400rpmの速度で約3時間撹拌する。次いで、前記の撹拌を止めて、室温にて約18時間静置する。これにより、前記無機酸化物粒子の表面に静電的結合した前記ヒアルロン酸を膨潤させる。
(4)前記工程(3)で得られたヒアルロン酸付き有機無機複合粒子を含む溶液を濾過して固形分を分離する。
(5)前記工程(4)で得られた固形分(ケーキ状物質)を減圧条件下、約60℃の温度で約3時間かけて乾燥する。
[有機無機複合粒子分散液]
本発明に係る有機無機複合粒子分散液は、前記有機無機複合粒子を油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、エステル類、多価アルコール類、糖類、シリコーン油、架橋シリコーンゲルおよびフッ素油から選ばれた溶媒またはその混合溶媒に、0.001〜50重量%の範囲で分散させてなるものである。
本発明に係る有機無機複合粒子は、先にも述べたように、水などの水系溶媒の他に、非水系溶媒に対しても分散性がよく、しかも粒子同士の凝集が起こりにくいため、上記の溶媒中に容易に分散させることができる。ここで、前記分散液において、前記有機無機複合粒子の含有量が0.001重量%未満であっても特に問題はないが、その用途(例えば、化粧料)によっては、該有機無機複合粒子のもつ機能を発揮させることができないので、好ましくない。また、前記有機無機複合粒子の含有量が50重量%を超えると、溶液の粘度が増加して、粒子同士の凝集が起こる場合もあるので、好ましくない。
[化粧料]
本発明に係る化粧料は、前記有機無機複合粒子を0.001〜40重量%の範囲で配合してなるものである。
前記有機無機複合粒子は、該粒子の固形分をそのまま従来公知の化粧料成分に配合するか、あるいは該粒子を含む前記有機無機複合粒子分散液を従来公知の化粧料成分に配合して使用される。ここで、前記分散液において、前記有機無機複合粒子の含有量が0.001重量%未満であっても特に問題はないが、その化粧料用途によっては、該有機無機複合粒子のもつ機能(例えば、感触特性)を発揮させることができないので、好ましくない。また、前記有機無機複合粒子の含有量が40重量%を超えると、該有機無機複合粒子のもつ機能性が過度に発現したり、あるいは副作用(たとえば、皮膚の炎症など)を引き起こしたりする場合があるので、好ましくない。
前記化粧料としては、スキンケア化粧料、ベースメークアップ化粧料、洗浄用化粧料、ボディーケア化粧料などが挙げられる。この中でも、本発明に係る有機無機複合粒子は、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、ボディパウダー等のボディーケア化粧料などの用途に使用することが好ましい。
[測定方法および評価方法]
本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)平均粒子径の測定方法
(a)平均粒子径の測定法A
前記無機酸化物粒子または前記有機無機複合粒子を純水中に分散させたスラリー液(固形分濃度1.0重量%)を調製し、これに超音波粉砕機装置((株)カイジョー製TA−5287型超音波破壊装置)を用いて5分間、超音波を照射して前記粒子をよく分散させる。次いで、得られた分散液を、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製CAPA―700)にかけて前記粒子の粒子径分布を測定して、体積基準の積算分布が50%となる粒子径の値を平均粒子径(所謂、メディアン径)とする。因みに、この測定方法では、水系溶媒(純水)に分散させた0.01〜300μmの粒子径をもつ粒子群の平均粒径を測定することができる。
(b)平均粒子径の測定法B
前記無機酸化物粒子または前記有機無機複合粒子をイソノナン酸イソノニル(日清オイリオグループ(株)製サラコス99(登録商標))中に分散させたスラリー液(固形分濃度1.0重量%)を調製し、これに超音波粉砕機装置((株)カイジョー製TA−5287型超音波破壊装置)を用いて5分間、超音波を照射して、前記粒子をよく分散させる。次いで、得られた分散液を、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製CAPA−700)にかけて前記粒子の粒子径分布を測定して、体積基準の積算分布が50%となる粒子径の値を平均粒子径(所謂、メディアン径)とする。因みに、この測定方法では、非水系溶媒(イソノナン酸イソノニル)に分散させた0.01〜300μmの粒子径をもつ粒子群の平均粒径を測定することができる。
(2)示差熱測定方法
前記有機無機複合粒子の粉体を白金製容器に約30mg採取し、示差熱天秤装置((株)リガク製 示差熱天秤 サーモプラスTG8110)にかけて前記粒子表面に静電的結合した高分子ゲル分子(水分吸収性のあるものは水分)の量を、大気雰囲気下で、温度を室温から1000℃まで10℃/分の度合いで昇温して測定し、その際の試料の重量変化(%)から求める。
(3)分散性の評価方法
前記有機無機複合粒子の分散性評価は、水との相溶性に乏しい有機溶媒であるイソノナン酸イソノニル中に分散させた有機無機複合粒子の平均粒子径(所謂、メディアン径)で評価する。なお、この平均粒子径は、上記の平均粒子径測定法Bに基づき測定する。ここで、高分子ゲル分子結合前の無機酸化物粒子の平均粒子径(所謂、メディアン径)より、高分子ゲル分子結合後の無機酸化物粒子の平均粒子径(所謂、メディアン径)が小さくなっていればいるほど、前記有機無機複合粒子の有機溶媒中における分散性が高まっていることを意味する。このように両親媒性を有する有機無機複合粒子は、水溶媒中でも水との相溶性に乏しい有機溶媒に対しても容易に分散させることができ、また該有機溶媒中で粒子の凝集を引き起こすこともない。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。すなわち、ここには、天然物由来の高分子ゲル分子としてヒアルロン酸またはセリシンを使用した事例のみを示しているが、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた高分子ゲル分子であれば、特に制限なく使用することができる。また、周辺環境の変化因子の一つである「溶液組成の変化」に基づいて、無機酸化物粒子の表面を前記高分子ゲル分子で完全に修飾する方法を記載しているが、その他の手法(例えば、温度変化やpH変化など)を採用してもよい。
[実施例1]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(I)の調製
3リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を68g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水670gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度350rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら10%濃度の塩酸水溶液を添加してスラリーのpHを6.00に調整した。さらに、前記スラリーのpHを6.00に維持しながら、Al23換算基準で約5重量%の高塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学(株)製 PAC#1000)27gを、2時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って7時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面をアルミナ成分で被覆した。
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、アルミナで被覆されたシリカ粒子(以下、「アルミナ被覆シリカ粒子(I)」という。)の乾燥粉体69gを得た。このようにして得られたアルミナ被覆シリカ粒子(I)を前記測定法Aで測定した平均粒子径は8.60μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径23.17μmであった。
有機無機複合粒子(A)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.0012g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約0.01重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.003重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は36gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(I)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(A)」という。)11.88gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(A)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.53μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(A)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例2]
有機無機複合粒子(B)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.0048g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約0.01重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.003重量%濃度になるよう撹拌しながら加え、さらに室温にて撹拌した。この時のアセトンの添加量は144gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(I)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次いで、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(I)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(B)」という)11.96gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(B)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機化合物分子(B)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例3]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(II)の調製
3リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を68g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水670gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度350rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら10%濃度の塩酸水溶液を添加してスラリーのpHを6.00に調整した。さらに、前記スラリーのpHを6.00に維持しながら、Al23換算基準で約2重量%の高塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学(株)製 PAC#1000)11gを、2時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って7時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面をアルミナ成分で被覆した。
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、アルミナで被覆されたシリカ粒子(以下、「アルミナ被覆シリカ粒子(II)」という。)の乾燥粉体69gを得た。このようにして得られたアルミナ被覆シリカ粒子(II)の前記測定法Aで測定した平均粒子径は10.42μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μmであった。
有機無機複合粒子(C)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は35gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(C)」という。)12.26gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(C)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、11.23μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(C)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例4]
有機無機複合粒子(D)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は145gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水204gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌をとめて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(D)」という。)12.51gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(D)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、10.33μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(D)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例5]
有機無機複合粒子(E)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(資生堂(株)製 バイオヒアルロン酸ナトリウム 平均分子量:110〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(E)」という。)12.51gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(E)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、10.50μmであった。
ついで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(E)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材では検出しない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例6]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(III)の調製
5リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を53g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水470gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度200rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら15%濃度のアンモニア水溶液を添加してスラリーのpHを9.35に調整した。さらに、前記スラリーのpHを9.35に維持しながら、MgO換算基準で約10重量%の塩化マグネシウム(関東化学(株)製)5gを、6時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って13時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面を酸化マグネシウム成分で被覆した。
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1100gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、酸化マグネシウムで被覆されたシリカ粒子(以下、「酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)」という。)の乾燥粉体53gを得た。このようにして得られた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の前記測定法Aで測定した平均粒子径は8.26μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径28.67μmであった。
有機無機複合粒子(F)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は36gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(F)」という。)12.26gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(F)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.38μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(F)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III))の表面からは、検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例7]
有機無機複合粒子(G)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(G)」という。)12.51gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(G)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.42μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(G)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III))の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例8]
有機無機複合粒子(H)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(資生堂(株)製 バイオヒアルロン酸ナトリウム 平均分子量:110〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(H)」という。)12.51gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(H)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.58μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(H)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。またヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例9]
有機無機複合粒子(I)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアロオリゴ(登録商標) 平均分子量:1万以下)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は60gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質(ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)を洗浄した。
さらに、マグネティック撹拌子を入れた1リットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は60gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(I)」という。)5.11gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(I)の分散性を評価したところ、9.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(I)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例10]
有機無機複合粒子(J)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は35gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)を12g撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、アセトン240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(J)」という。)12.18gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(J)の分散性を評価したところ、7.44μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(J)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例11]
有機無機複合粒子(K)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は145gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)を12g撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、アセトン240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(K)」という。)11.96gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(K)の分散性を評価したところ、8.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(K)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例12]
有機無機複合粒子(L)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにセリシン(一丸ファルコス(株)製 SILKGEN(登録商標) G SOLUBLES−E 5.5重量%、平均分子量:5,500〜40,000)を0.91g入れ、セリシンの含有量が約1重量%になるようにエタノール4gを加えた。次いで、セリシンの分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、セリシンの含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は12gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のセリシンを含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記セリシンをこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したセリシンを膨潤させるための純水30gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にセリシンを静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(L)」という。)4.78gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(L)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.63μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(L)を測定したところ、その表面(セリシンの静電的結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。
[実施例13]
有機無機複合粒子(M)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにセリシン(一丸ファルコス(株)製 SILKGEN(登録商標) G SOLUBLES−E 5.5重量%、平均分子量:5,500〜40,000)を3.64g入れ、セリシンの含有量が約1重量%になるようにエタノール16gを加えた。次いで、セリシンの分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、セリシンの含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は46gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のセリシンを含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記セリシンをこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したセリシンを膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にセリシンを静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(M)」という。)4.80gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(M)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.95μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(M)を測定したところ、その表面(セリシンの静電的結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。
[実施例14]
有機無機複合粒子(N)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.05g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水5gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は12gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、チタニア粒子(石原産業(株)製、TIPAQUE WHITE(登録商標)CR−50、前記測定法Aで測定した平均粒子径0.62μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径13.37μm)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのチタニア粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記チタニア粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水25gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(チタニア粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたチタニア粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(N)」という。)4.76gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(N)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、11.41μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(N)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の静電的結合部分)に、基材(チタニア粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[実施例15]
有機無機複合粒子(O)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.2g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は46gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、チタニア粒子(石原産業(株)製、TIPAQUE WHITE(登録商標)CR−50、前記測定法Aで測定した平均粒子径0.62μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径13.37μm)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのチタニア粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記チタニア粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(チタニア粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたチタニア粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(O)」という。)4.76gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(O)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、12.47μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(O)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の静電的結合部分)に、基材(チタニア粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
[比較例1]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICRO BEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を20g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水220gを加えた。次に、前記ガラス製ビーカーにpHメーターを設置し、マグネティック撹拌子を用いて回転速度300rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
次に、得られたスラリーを室温にて撹拌しながら15%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加してスラリーのpHを約12.0に調整し、4時間撹拌した後スラリーを18時間放置し、シリカ粒子の表面にナトリウム成分を静電的結合させた。
次いで前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、ナトリウムで被覆されたシリカ粒子(以下、「ナトリウム被覆シリカ粒子」という。)(IV)の乾燥粉体20gを得た。このようにして得られたナトリウム被覆シリカ粒子の前記測定法Aで測定した平均粒子径は9.68μmであった。
有機無機複合粒子(a)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したナトリウム被覆シリカ粒子(IV)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのナトリウム被覆シリカ粒子(IV)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記ナトリウム被覆シリカ粒子(IV)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(ナトリウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたナトリウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(a)」という。)12.51gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(a)の分散性を評価したところ、20.06μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(a)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(ナトリウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認できなかった。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できなかった。
[比較例2]
有機無機複合粒子(b)の調製
マグネティック撹拌子を入れた1リットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアロオリゴ(登録商標) 平均分子量:1万以下)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて4時間撹拌した。このときのアセトン添加量は60gであった。
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(b)」という。)5.3gを得た。
このようにして得られた有機無機複合粒子(b)の分散性を評価したところ、19.36μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(b)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認できなかった。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できなかった。
なお、比較を容易にするため、上記で得られた有機無機複合粒子、すなわち実施例複合粒子A〜Kおよび比較例複合粒子a〜bの概要を以下の表1に示す。
表1において、被覆率については、各粒子の調製における原料の仕込み量によって定義する。すなわち、調製対象となる無機金属酸化物粒子の重量基準に対して、カチオン電荷付与剤および高分子ゲル分子を処理する割合によって定義する。
尚、比較例1においては、シリカ粒子表面がナトリウムで修飾された粒子について便宜上「ナトリウム被覆シリカ粒子」と称したが、他の例と同様の被覆率については算出していない。
そして、比較例1および比較例2では、得られた粒子aおよび粒子bの表面からは示差熱天秤法(TG−DTA法)評価による水成分のピークは確認されず、また、ヒアルロン酸由来の熱重量変化が確認されていない。したがって、高分子ゲル分子欄の該当する成分欄は空欄とした。
[実施例16および比較例3]
有機無機複合粒子の感触特性
実施例1〜2および比較例1〜2で得られた有機無機複合粒子の粉体について、専門パネラーによる官能テスト(感触特性評価試験)を行い、しっとり感、均一な延び広がり性、柔らかさの3つの評価項目に関して聞き取り調査を行った。その結果を以下の評価点基準に基づき評価した。この評価試験から得られた結果を表2に示す。
表中のSILICA MICROBEADS(登録商標)とは、高分子ゲル処理を行っていない試料を用いたものを比較例として示す。
評価点基準
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:普通。
×:劣る。
[実施例17および比較例4]
パウダーファンデーションの調製
表3に示す配合比率(重量%)となるように、実施例3〜5で得られた実施例粒子C〜E並びに比較例1および比較例2で得られた比較例粒子aおよびbである成分(1)(表3では各種ビーズと記す)と、表3中の成分(2)〜(9)とをそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。
次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
これにより、実施例粒子C〜Eを配合した実施例化粧料C〜E、並びに比較例粒子aおよびbを配合した比較例化粧料aおよびbを得た。
パウダーファンデーションの使用感
有機無機複合粒子の粉体を配合したパウダーファンデーションについて、専門パネラーによる官能テスト(感触特性評価試験)を行い、肌に塗布後の均一な延び、しっとり感、柔らかさ、の3つの評価項目に関して聞き取り調査を行った。その結果を以下の評価点基準に基づき評価した。この評価試験から得られた結果を表4に示す。
表中のSILICA MICROBEADS(登録商標)とは、高分子ゲル処理を行っていない試料を用いたものを比較例として示す。
評価点基準
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:普通。
×:劣る。

Claims (3)

  1. 粒子表面にカチオン電荷を有する無機酸化物粒子の表面に、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し、さらに収縮性と膨潤性により保水性を有する天然物由来の高分子ゲル分子を、粒子表面に静電的結合させた有機無機複合粒子の製造方法であって、
    (1)前記高分子ゲル分子を含む溶液に、該高分子ゲル分子を収縮させることのできる溶媒を添加して撹拌する工程、
    (2)前記工程(1)で得られた溶液に前記無機酸化物粒子を添加して撹拌することにより該無機酸化物粒子の表面に前記高分子ゲル分子を静電的結合させる工程、
    (3)前記工程(2)で得られた分散液に、前記高分子ゲル分子を膨潤させることのできる溶媒を添加して撹拌することにより、前記無機酸化物粒子の表面に静電的結合した高分子ゲル分子を膨潤させる工程、
    (4)前記工程(3)で得られた分散液を濾過して固形分を分離する工程、
    (5)前記工程(4)で得られた固形分を乾燥する工程、
    を含み、
    前記無機酸化物粒子が、チタンの酸化物粒子、またはケイ素酸化物粒子をアルミニウムもしくはマグネシウムの酸化物で被覆した無機酸化物粒子であり、
    前記高分子ゲル分子がセリシンまたはヒアルロン酸であることを特徴とする有機無機複合粒子の製造方法。
  2. 前記高分子ゲル分子がヒアルロン酸であるとき、前記工程(1)で添加される溶媒が、アセトンであることを特徴とする請求項に記載の有機無機複合粒子の製造方法。
  3. 前記高分子ゲル分子がヒアルロン酸であるとき、前記工程(3)で添加される溶媒が、水であることを特徴とする請求項に記載の有機無機複合粒子の製造方法。
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