JP5886020B2 - 水性美爪料組成物 - Google Patents
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Description
従来、光輝性の水性美爪料組成物として、光輝性を得るための顔料としてパール顔料、アルミニウム顔料などを用いた場合、最低でも粒子径3μm以上となることが必要である。このような大きい粒子径となる顔料を配合する水性美爪料組成物では顔料が沈降してハードケーキが発生し、その結果、水性美爪料塗布具において再分散のためのボールや棒などの撹拌部材を複数回撹拌する必要がある。
また、上記特許文献2の化粧料に用いる顔料は、本願発明の近接技術を開示するものであるが、水性美爪料に配合して初期及び経時後の再分散性が良好となることについては全く記載も示唆もされていない。また、球状あるいは塊状の顔料を処理して隙間なく処理されていることについての開示はあるが、板状顔料を処理したものについては開示されていない。実際には、当該特許文献2に基づく処理方法による処理顔料(製造実施例1)の状態を電子顕微鏡(×35000倍)でみると、図4に示すように、一部が露出した状態、具体的には、一部しか被覆されていない状態である。このため、水性の美爪料に配合し、低粘度の組成物とした際、ハードケークを生じ、再分散性が悪くなることが予想される。
(1) 少なくとも下記A群の高分子から選ばれる水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜20質量%と、アクリル酸アルキル共重合体を固形分換算で2〜10質量%と、下記B群から選ばれる中和剤と、更に下記A群の水不溶性物質とは別に結晶セルロースを0〜3質量%と、水を含有することを特徴とする水性美爪料組成物。
A群:セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ラテックス
B群:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム
(2) 上記板状顔料が、パール顔料、アルミニウム粉顔料、金属または金属酸化物コーティングガラスフレーク、及びアルミコーティングポリエステルフィルムの1種以上から選択される顔料であることを特徴とする上記(1)に記載の水性美爪料組成物。
(3) 上記水不溶性物質は、上記板状顔料を表面被覆率0.1〜10%で覆うことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の水性美爪料組成物。
(4) ずり速度38.4s−1のときの粘度が4〜65mPa・s、ずり速度384s−1のときの粘度が4〜24mPa・sの範囲にある上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の水性美爪料組成物。
(5) 少なくとも下記A群の高分子から選ばれる水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜20質量%とアクリル酸アルキル共重合体を固形分換算で2〜10質量%と下記B群から選ばれる中和剤と更に下記A群の水不溶性物質とは別に結晶セルロースを0〜3質量%と水を配合し、該板状顔料を分散してなることを特徴とする水性美爪料組成物の製造方法。
A群:セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ラテックス
B群:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム
(6) アクリル酸エステルを分子内に含有する樹脂及び/又は結晶セルロースを添加し、水性美爪料組成物を、ずり速度38.4s−1のときの粘度を4〜65mPa・s、ずり速度384s−1のときの粘度を4〜24mPa・sの範囲とする上記(5)に記載の水性美爪料組成物の製造方法。
(7) さらに、pH調整剤を添加し、水性美爪料組成物のpHを6〜9の範囲内とする上記(5)又は(6)に記載の水性美爪料組成物の製造方法。
本発明の水性美爪料組成物は、少なくとも水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜20質量%と、水を含有することを特徴とするものである。
この水不溶性物質を上記板状顔料の表面に被覆する方法等としては、例えば、1)水不溶性物質と板状顔料を混合した水スラリー状物をスプレードライヤーにて噴霧乾燥させ、板状顔料表面に水不溶性物質を接着させる方法(以下、「製法1」という)、2)酸性、あるいは塩基性水溶液に可溶な物質をpH調整して水に溶かし、酸・あるいは塩基で不溶化の方向にpHを傾け、板状顔料表面に水不溶性物質を析出させる方法(以下、「製法2」という)により行うことができる。
この水不溶性物質の表面被覆量は、少なすぎるとハードケーキ抑制による再分散性の効果が得られず、一方、多すぎるとパール感が減少するだけでなく、パール表面が点接触にならず面接触になり再分散性の効果が得られなくなる。そのため、水不溶性物質の表面被覆量は、板状顔料の表面被覆率(表面処理時の質量%から算出)として、0.1〜10%とし、好ましくは、0.5〜8%、更に好ましくは、1〜7%の範囲とする。
なお、本発明における水不溶性物質を表面に被覆した板状顔料と、未被覆の板状顔料の区別の方法として、未被覆の板状顔料を配合した系では再分散性が得られないが、水不溶性物質を板状粒子の表面被覆に使用した系では良好な再分散性を得られることが確認できる。
この被覆処理した板状顔料の含有量が3%未満であると、光輝性と隠ぺい力に乏しくなり、一方、20%を越えると、塗布具ペン芯内に板状顔料がつまり、筆記不良になりやすくなり、好ましくない。なお、未表面処理の板状顔料ではハードケーキ化が促進するものとなる。
特に好ましいものは、アクリル酸アルキルの共重合体が望ましい。なお、中和には、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等を用いることができ、特に好ましいものは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
市販品では、アクリル酸アルキル共重合体であるAMPHOMER HC(アクゾノーベル社製)、アクリル酸アルキル共重合体であるLuvimer 100P(BASF社製)、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンであるヨドゾール GH800F(アクゾノーベル社製)などを挙げることができる。
これらの樹脂の含有量は、固着性と分散安定性の点から、組成物全量に対して、固形分換算で、2〜10%を含有することが好ましく、更に好ましくは、3.5〜8.5%とすることが望ましい。
用いる結晶セルロースは、増粘剤として機能するだけでなく、顔料の固い沈降を防止する沈降抑制剤として機能するものであり、具体的には、セルロースを酸加水分解又はアルカリ酸化分解して得られる実質的に一定の重合度を有するセルロース結晶子集合物であり、従来の増粘多糖類等の水溶液と異なり、セルロース結晶体が水中で分散粒子となる特性を有するものである。
用いることができる結晶セルロースとしては、例えば、一次粒子の微細なセルロース結晶体の表面を水溶性高分子等を用いてコーティング処理したコロイダルグルードからなるものが挙げられ、具体例としては、セオラスRC−591、RC−N81、RC−591NF、CL−611、セオラスクリーム〔以上、旭化成(株)製〕などが挙げられる。
これらの結晶セルロースの含有量は、塗布具に使用可能な粘度範囲の点から、組成物全量に対して、0.5〜3.5%を含有することが好ましく、更に好ましくは、1.2〜2.0%とすることが望ましい。
用いることができる保湿剤としては、例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の水に可溶なグリコール類が挙げられる。
これらの保湿剤の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、1〜30%、更に好ましくは、5〜20%の範囲で使用される。
また、用いることができる消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(シメチコン)が挙げられる。このポリジメチルシロキサンは、末端がトリメチルシロキシ単位でブロックされメチル化された線状シロキサンポリマーの混合物からなるシリコーン油であり、市販品として、KS−66(信越シリコーン社製)などを適宜量用いることができる。
上記所定のずり速度において、上記各粘度範囲内とすることにより、繊維を樹脂等で固めた、または、繊維同士を融着した、いわゆるペン芯で、本発明の美爪料組成物の流出が可能となり、マーカのような塗布が更に容易となり、細いブラシで塗布といった、力加減で、塗布面積の変動が少なく、ラインが描きやすく、塗りやすいものとなる。
また、上記粘度範囲の調整は、上記被覆処理板状顔料、水、更に、アクリル酸エステルを分子内に含有する樹脂及び/又は結晶セルロースなどを好適な含有量となるように組み合わせることにより調整することができる。
具体的には、上述の少なくとも水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜15%と、水を配合し、該板状顔料を上記分散機等で、上記好ましい粘度範囲、pH範囲等となるように混合分散することで調製することができる。
図1は、本発明の美爪料組成物を収容する美爪料塗布具の一例を示す部分縦面図、図2は、図1の美爪料塗布具に用いる塗布体の全体側面図、図3は、図2のI−I線に沿う塗布体の横断面図である。
上記の製造手順で得られた塗布体を、上記構成の水性美爪料組成物を内部に有する有底筒状の本体の開口端の内壁面側に、弁機構を設けて、前記弁機構を覆う様に本体の開口端の外壁面側とホルダーの内壁がネジ嵌合している塗布具本体のホルダーの内部に装着した。そして、塗布体をプッシュして塗布体先端部まで水性美爪料組成物が到達した後に、塗布具を前後に振り、塗布体の抜ける迄の回数を10本測定し、その平均値を計算した。また、対照として、同じ種類のペン本体を用い、側面にインキ導入孔を設けないペン芯に変更した筆記具用のペン先を用い、同様の試験を行った。
その結果は、対照が10本の平均値として、10回未満でペン芯が抜けるのに対し、本実施例のペン芯では、全て200回以上になってからペン芯が抜けたので、明らかに有意差のある結果を得た。
更に、この水性美爪料組成物を充填した美爪料塗布具を用いて爪の上に塗布したところ、美麗な線及び模様を簡単に描くことができ、また、経時沈降安定性に優れ、板状顔料が沈降してもハードケイクを生じ難く、攪拌することで容易に再分散可能であり、使用性に優れたものとなることが確認できた。
下記表1に示す配合処方で、ホモミキサーあるいはディスパーで混合分散して、各水性美爪料組成物を調製した。
上記で得られた実施例1〜13及び比較例1〜9の各水性美爪料組成物について、下記方法により、pH(25℃)、ずり速度38.4(s−1)、384(s−1)における25℃の各粘度、ポンピング、終筆、隠ぺい力、50℃でのボール動きについて評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
得られた各美爪料組成物について、温度25℃で、ガラス電極式pH測定装置(堀場製作所社製)を用いてpHを測定した。
〔粘度の測定方法〕
得られた各美爪料組成物について、温度25℃で、コーンプレート型粘度計(TV−30型粘度計のうち、EMD型粘度計、標準コーンプレート、トキメック社製)を用いて所定のずり速度における粘度を測定した。
各美爪料組成物を図1に示す塗布具に充填し、1秒間に1回の感覚でポンピングを行い、ポンピング性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:1〜15回でペン先に上記組成物液が到達。
△:16〜30回でペン先に上記組成物液が到達。
×:30回以上でペン先に上記組成物液が到達。
各美爪料組成物を図1に示す塗布具に充填し、紙面に筆記し、終筆性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:描線がカスレることなく、終筆。
△:描線がカスレたが、終筆。
×:描線がカスレ、終筆不能。
各美爪料組成物によって筆記した描線の様子を観察し、隠ぺい力を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:描線は完全に下地を隠ぺい。
△:描線は不完全に下地を隠ぺいし、下地色がうっすらと確認可能。
×:描線は不完全に下地を隠ぺいし、下地色がはっきりと確認可能。
各美爪料組成物を図1に示す塗布具に充填し、50℃でのボール動きを下記評価基準で評価した。
各美爪料組成物を図1に示す塗布具に充填し、50℃で1ケ月静置させる。これを手で振り、撹拌ボールの動きを観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:1〜3回の振りで撹拌ボールが動く。
△:4〜9回の振りで撹拌ボールが動く。
×:撹拌ボールが動くまで10回以上振らなければいけない。
*1:セオラスRC−N81、旭化成ケミカルズ社製
*2:AMPHOMER HC(粉体)、アクゾノーベル社製
*3:Luvimer 100P(粉体)、BASF社製
*4:ヨドゾールGH800F、アクゾノーベル社製、固形分45質量%
*5:板状顔料(MP−20、Merck社製)を製法1でセルロース処理。表面被覆率
2%
*6:板状顔料(MP−20、Merck社製)を製法2でキトサン処理。表面被覆率
2%
*7:KS−66、信越シリコーン社製
*8:MP−20、Merck社製
*9:Supersheen MP−1001、Merck社製
*10:MP−115、Merck社製
*11:Sparkle MP−47、Merck社製
*12:MP−149、Merck社製
14 弁機構
18 ペン芯タイプの塗布体
Claims (7)
- 少なくとも下記A群の高分子から選ばれる水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜20質量%と、アクリル酸アルキル共重合体を固形分換算で2〜10質量%と、下記B群から選ばれる中和剤と、更に下記A群の水不溶性物質とは別に結晶セルロースを0〜3質量%と、水を含有することを特徴とする水性美爪料組成物。
A群:セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ラテックス
B群:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム - 上記板状顔料が、パール顔料、アルミニウム粉顔料、金属または金属酸化物コーティングガラスフレーク、及びアルミコーティングポリエステルフィルムの1種以上から選択される顔料であることを特徴とする請求項1に記載の水性美爪料組成物。
- 上記水不溶性物質は、上記板状顔料を表面被覆率0.1〜10%で覆うことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性美爪料組成物。
- ずり速度38.4s−1のときの粘度が4〜65mPa・s、ずり速度384s−1のときの粘度が4〜24mPa・sの範囲にある請求項1〜3の何れか一つに記載の水性美爪料組成物。
- 少なくとも下記A群の高分子から選ばれる水不溶性物質を表面に被覆された板状顔料を3〜20質量%とアクリル酸アルキル共重合体を固形分換算で2〜10質量%と下記B群から選ばれる中和剤と更に下記A群の水不溶性物質とは別に結晶セルロースを0〜3質量%と水を配合し、該板状顔料を分散してなることを特徴とする水性美爪料組成物の製造方法。
A群:セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ラテックス
B群:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン、L−アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム - アクリル酸エステルを分子内に含有する樹脂及び/又は結晶セルロースを添加し、水性美爪料組成物を、ずり速度38.4s−1のときの粘度を4〜65mPa・s、ずり速度384s−1のときの粘度を4〜24mPa・sの範囲とする請求項5に記載の水性美爪料組成物の製造方法。
- さらに、pH調整剤を添加し、水性美爪料組成物のpHを6〜9の範囲内とする請求項5又は6に記載の水性美爪料組成物の製造方法。
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