JP5750157B2 - ギヤラックを押圧するための装置 - Google Patents

Description

本発明は、特許請求の範囲の請求項１の上位概念部分により詳しく規定された類の、ピニオンにギヤラックを押圧するための装置に関する。

ＥＰ０６８０４３０Ｂ１から、特には車両のステアリングシステムのための、ギヤラックに係合しているピニオンに当該ギヤラックを押圧するための装置が知られている。当該装置において、スラストピースの遊びを除去ないし調整するために、異なる厚みを有する様々な固定リングを選択的に取り付けることにより、ピニオン、ギヤラック、ハウジング及びスラストピースの構造上の許容誤差が除去されて、スラストピースの遊びが調整される。通常、０．０５ｍｍのステップで調整がなされる。これは、約０．５ｍｍ乃至１ｍｍという可能性ある許容誤差の際、その厚みに対応して積層される非常に多数の固定リングが必要であることを意味する。更に、個々の部材の摩耗と撓みに基づく作動中の調整が簡単にはできない、という欠点もある。

従って、別の特許文献ＤＥ１０２００８０５４７８２．４において、簡単な態様で既存の許容誤差が除去され得て、結果としてスラストピースの遊びが調整され得る、というギヤラックを押圧するための装置が提案されている。

許容誤差を調整するために、２つの互いに回転可能な調整ディスクを有する調整装置が設けられている。当該調整ディスクは、接触面にて互いに当接しており、当該接触面は、少なくとも２つの傾斜面を有している。２つの調整ディスクは、それらの間に介在するねじりバネによって、互いに対してねじり可能であり、これによって個々の部材の許容誤差が補償され得る。

調整装置は、更に、スプリングワッシャを有しており、当該スプリングワッシャは、スラストピースと、当該スラストピース側の調整ディスクの一方との間に配置されている。ここで、肩部が設けられ、当該肩部は、スラストピース内、あるいは、調整ディスク上に設けられて、それぞれの他方部材が凹部を有する。調整装置またはスラストピースの肩部が、遊びを形成する。それは、少なくとも、例えばピニオンとギヤラックとの間のかみ合いが滑らか（均一）でないこと、ピニオンの不均整（不円滑）、他の欠陥、が補償され得るような大きさである。この場合、スラストピース内あるいは調整装置内の凹部は、スプリングワッシャに撓み変形（Federweg）を可能にする。当該撓み変形（Federweg）が、前述の遊びを補償するために必要なのである。

別の特許出願では、調整装置に、２つの調整ディスクとねじりバネとがアセンブリユニットとして装備されている。この場合、２つの調整ディスクはネジによって互いに固定されて、ねじり（回転）が禁止される。引き続いての圧縮バネの組み付けの後、調整ネジが所定のトルクで締結される。これにより、肩部によって実現される遊びがブリッジされる。その後、調整ネジが再び所定の角度だけ解放される。この解放角度が、肩部によって実現される遊びに対応することになる。その後、調整ネジは、例えばコーキング（かしめ処理）や接着（Verkleben）によって、ねじりに対しては固定されている必要がある。

本発明の課題は、スラストピース遊びないし許容誤差補償に関する利点を維持しつつ、特には簡単な組み付けによって、前記別の特許出願を更に改善することである。

本発明によれば、前記課題は、特許請求の範囲の請求項１の特徴部分に開示された特徴によって解決される。

今や、明らかな通り、完全な調整装置が、スラストピースとスプリングワッシャと圧縮バネとを伴って事前組付アセンブリユニットとして、形成される。クランプネジ（Spannschraube）の代わりに、バネ作用ピン（Spannstift）が用いられる。バネ作用ピンは、予張力を受けつつ、一方側でスラストピースの肩部に対して当接しており、他方側で調整ディスクの傾斜面に背いた裏側に当接している。

最終的な組付のために、ステアリングギヤの外側で事前組付されたアセンブリユニットが、ハウジングのハウジング孔内に挿入される。引き続いて、当該アセンブリユニットが、ハウジング孔内に固定される。これは、有利な態様では、固定リングによって行われ得て、当該固定リングは、ハウジングナット内に配置され得る。

２つの調整ディスクの互いの回転は、許容誤差の補償を達成するために、ねじりバネによって行われ得る。ねじりバネは、２つの調整ディスクの間に配置されている。

事前組付のために、バネ作用ピンは、調整ディスクにおいて軸方向に延びる長孔（３１）を貫いて案内されて、その前方のスラストピースの側の端部の拡幅部においてスラストピースの肩部に当接している。他方側では、肩部において、調整ディスクの傾斜面に背く裏側に、同様に予張力を受けつつ当接している。

事前組付されたアセンブリユニットが予張力を維持するために、調整ディスクの長孔は、有利な態様では、ある角度だけ周方向に互いに対して回転された状態とされ得る。

スラストピースの肩部には、アセンブリユニットの遊びの無い結合のために、傾斜した面取部が設けられ得る。

アセンブリユニットの個々の部材が共に保持されるバネ作用ピンは、最終組付の後、除去される。

有利な実施形態及び発展形態は、下位請求項と、添付の図面に基づいて以下に原理的に説明される実施例と、から明らかである。

スラストピースと調整装置とを有する本発明に従う装置の断面図である。 ハウジングを除いた、図１の本発明装置の分解斜視図である。

図１は、車両のステアリングシステムのための、ここでは図示されていないピニオンに対して同様に図示されていないギヤラックを押圧するための装置１０を示している。挿入ホイル１１が、スラストピース１３と不図示のギヤラックとの間に隣り合うように位置している。また、調整装置１４が、スラストピースのギヤラックに背く側の後方に配置されている。固定リング１５とスラストピース１３との間に、圧縮バネ１６が配置されており、当該圧縮バネ１６は、不図示のギヤラックに対してスラストピース１３を押圧している。調整装置１４は、２つの調整ディスク２０、２１を有している。スラストピース１３に向く側の調整ディスク２０とスラストピースとの間に、スプリングワッシャ２２が配置されている。スラストピース１３には、凹部２３が設けられている。２つの調整ディスク２０、２１は、互いに接触面にて当接しており、当該当接面には傾斜面１８、１９が設けられている（図２参照）。

従って、前記別の特許出願における調整ネジの代わりに簡単な固定リング１５で作用がなされ得るように、構成要素の許容誤差が補償される必要がある。これは、調整装置１４によって達成される。調整装置１４は、まず許容誤差スパンを補償し、続いて運転中の摩耗及び撓みをも補償する。スラストピースの遊びは、それ自身、スプリングワッシャ２２と調整ディスク２０の肩部２４とによって調整される。

完全な調整装置１４が、スラストピース１３とスプリングワッシャ２２と圧縮バネ１６と２つの調整ディスク２０、２１とを伴うアセンブリユニットとして、当該２つの調整ディスク２０、２１の間のねじりバネ２６と共に、バネ作用ピン２７によって、ステアリングギヤの外側で、前もって組み付けられる。このために、バネ作用ピン２７は、予張力を受けつつ、一方側でスラストピース１３の肩部１７に対して当接しており、他方側で調整ディスク２１の裏側に当接している。調整ディスク２１の裏側は、調整ディスク２０、２１の傾斜面１８、１９を伴う接触面から背いた側に存在している。

ねじりバネ２６は、２つの調整ディスク２０、２１によって、予張力を与えられた状態で、事前組付の位置に保持されている。この２つの調整ディスクの事前組付の位置は、バネ作用ピン２７の二面部２８によって維持される。

二面部２８の前方端には、１つの縮径部とそれに続く互いに対向する２つの拡幅部２９とが設けられている。２つの拡幅部２９は、スラストピース１３の肩部１７に当接している。リング状の凹部２５において、バネ作用ピンは、更なるリング状肩部３０を介して、調整ディスク２１のスラストピース１３に背く側に当接している。

バネ作用ピン２７の二面部２８は、調整ディスク２０、２１の軸方向に延びる長孔３１に挿入される（図２参照）。２つの調整ディスク２０、２１の長孔３１は、予張力を維持するために、ある角度だけ周方向に互いに対して回転されている。

組付のために、調整装置は、組み付けられたスプリングワッシャ２２と圧縮バネ１６を伴うスラストピース１３内にバネ作用ピン２７が挿入されて回転される。この場合において、バネ作用ピン２７の拡幅部２９が鍵のように作用する。スラストピース１３の肩部１７には傾斜した面取部が設けられているので、事前組付アセンブリユニットの遊びの無い結合が形成され得る。

続いて、事前組付アセンブリユニットは、ハウジング１２の孔内に挿入される。事前組付アセンブリユニットは、ハウジング１２のハウジングナット３２内に設置された固定イング１５によって位置決めされる。続いて、バネ作用ピン２７が回転され外側に引き抜かれて除去される。この態様により、スラストピース１３が活性化されて、ねじりバネ２６を介して、２つの調整ディスク２０、２１が互いに対して回転される。調整ディスク２０、２１の２つの傾斜面１８、１９に基づいて、軸方向の移動がもたらされ、個々の構成部材の許容誤差の補償がもたらされる。

調整ディスク２０、２１の接触面における２つの傾斜面１８、１９は、２×１８０°に広がっていて、大きい構成部材許容誤差や摩耗でも補償できるようになっている。特に、前記別の特許出願の調整ネジと比較して、固定リング１５によって、更なる調整の必要を無くすことができる。

簡単な閉塞カバー３３によって、装置は、ギヤラックに背く側の外側に対して、ハウジング１２の孔内に閉塞される。

１０ 装置
１１ 挿入ホイル
１２ ハウジング
１３ スラストピース
１４ 調整装置
１５ 固定リング
１６ 圧縮バネ
１７ 肩部
１８ 傾斜面
１９ 傾斜面
２０ 調整ディスク
２１ 調整ディスク
２２ スプリングワッシャ
２３ 凹部
２４ 肩部
２５ 凹部
２６ ねじりバネ
２７ バネ作用ピン（Spannstift）
２８ 二面部
２９ 二面部の拡幅部
３０ 環状肩部
３１ 長孔
３２ ハウジングナット
３３ 閉塞カバー

Claims (9)

1. 特には車両のステアリングシステムのための、ギヤラックに係合しているピニオンに当該ギヤラックを押圧するための装置であって、
   圧力バネ（１６）によってギヤラックの方向に荷重付与可能で、ハウジング（１２）内で移動可能に案内されるスラストピース（１３）と、
   ステアリングシステムにおいて発生する遊びを補償するための調整装置（１４）と、
   を備えており、
   スプリングワッシャ（２２）が、調整装置（１４）とスラストピース（１３）との間に配置されており、
   スプリングワッシャ（２２）の領域において、調整装置（１４）が肩部（２４）を有していてスラストピース（１３）が凹部（２３）を有しているか、あるいは、調整装置（１４）が凹部（２３）を有していてスラストピース（１３）が肩部を有しており、
   調整装置（１４）は、２つの互いに回転可能な調整ディスク（２０、２１）を有しており、それらは、接触面にて互いに当接しており、
   当該接触面は、少なくとも２つの傾斜面（１８、１９）を有しており、
   調整装置（１４）は、当該調整装置（１４）の中心軸方向に延びるバネ作用ピン（２７）によってスラストピース（１３）とスプリングワッシャ（２２）と圧縮バネ（１６）とを伴うアセンブリユニットとして、前もって組み付けられている
   ことを特徴とする装置。
2. バネ作用ピン（２７）は、予張力を受けつつ、一方側でスラストピース（１３）に対して当接しており、他方側で調整ディスク（２１）の傾斜面（１８，１９）に背いた裏側に当接している
   ことを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. バネ作用ピン（２７）は、スラストピース（１３）の肩部に当接している
   ことを特徴とする請求項２に記載の装置。
4. ２つの調整ディスク（２０、２１）の間に、ねじりバネ（２６）が配置されている
   ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の装置。
5. バネ作用ピン（２７）は、調整ディスク（２０、２１）において軸方向に延びる長孔（３１）を貫いている
   ことを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の装置。
6. ハウジング（１２）のハウジング孔内に挿入されたアセンブリユニットが、ギヤラックに背いた側で、固定リング（１５）によって保持されている
   ことを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の装置。
7. 固定リング（１５）は、ハウジングナット（３２）内に配置されている
   ことを特徴とする請求項６に記載の装置。
8. ２つの傾斜面（１８、１９）は、それぞれ、調整ディスク（２０、２１）の半周領域に広がっている
   ことを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載の装置。
9. スラストピース（１３）の肩部（１７）には、傾斜した面取部が設けられている
   ことを特徴とする請求項１乃至８のいずれかに記載の装置。

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