JP5747603B2 - 電子写真用トナー、電子写真用現像剤、及び、画像形成方法 - Google Patents
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Description
少なくとも結着樹脂、着色剤、及び、バリウム化合物を含有し、
前記結着樹脂の骨格中に芳香環が含有され、
動的粘弾性測定より求めた緩和時間t=10×Dt(Dt:定着時の加熱時間)における緩和弾性率G(t)が2.0×102Pa以上3.0×103Pa以下であり、且つ、蛍光X線によるトナーの全構成原子量に対するバリウム含有量〔Ba〕が、0.1%以上0.5%以下である電子写真用トナーである。
請求項1に記載のトナーを含む電子写真用現像剤である。
感光体を帯電する帯電工程、帯電した前記感光体を露光して前記感光体上に潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像を請求項2に記載の電子写真用現像剤により現像し現像像を形成する現像工程、前記現像像を被転写体上に転写する転写工程、及び、前記被転写体上に前記現像像を定着する定着工程を含む画像形成方法である。
本実施形態の電子写真用トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び、バリウム化合物を含有し、動的粘弾性測定より求めた緩和時間t=10×Dt(Dt:定着時の加熱時間)における緩和弾性率G(t)が2.0×102Pa以上3.0×103Pa以下であり、且つ、蛍光X線によるトナーの全構成原子量に対するバリウム含有量〔Ba〕が、0.1%以上0.5%以下のトナーである。
また、長期保管に伴う定着画像のひび割れ、あるいは画像光沢の低下の原因は、日光その他照明等からの紫外線を着色剤分子や結着樹脂が吸収し、着色剤分子や結着樹脂が分解しているためと考えられている。さらに、従来複写機に用いられている樹脂においても、骨格の構成要素であるベンゼン環構造がより短波長側の光を吸収する為、長期間紫外線に曝されると、脆弱になり画像のひび割れや光沢度の低下が顕著になることがある。
芳香環のように共役により、電子を供与しやすい性質を持つ官能基がある場合、励起される反結合性軌道のエネルギー準位が高いため、励起状態が不安定となる。そのため、骨格としての変質の原因となり、特に紫外線などのエネルギーが高い光に曝されると、劣化を招き、結果として樹脂が脆弱になる。また、エステル基の酸素のような非共有電子対を持つ官能基が芳香環の近くに或る場合、該非共有電子対が存在する非結合性軌道のエネルギー準位はさらに高くなるため、より励起状態が不安定となり、劣化が進む原因となる。
上述のように、芳香環を骨格中に有する結着樹脂は、紫外線曝露による劣化を生ずることがあるが、トナー中にバリウム化合物を添加することで、結着樹脂の劣化が抑制される。
バリウム化合物の添加による結着樹脂の劣化抑制の機構は未だ完全に解明されていないが、以下のような可能性が挙げられる。なお、これらの機構の真偽は特許性に影響を与えるものではない。
まず、バリウム化合物が、励起された樹脂骨格中の芳香環分子に対し紫外線吸収剤として作用し、樹脂の脆化を防止している可能性がある。
樹脂中の芳香環に吸収された光は電子を励起し、その分子は電子的に励起された状態となる。この電子励起状態の分子は、光化学第一次過程である(a)反応、(b)失活(放射及び無放射過程)、(c)エネルギー移動のうちの1つ、又は2つ以上の過程を経て、基底状態へ戻る。
芳香環を有する結着樹脂の場合、トナー中では着色剤等が隣接し立体障害を生じやすいため、上記(b)の過程による電子励起エネルギーの振動エネルギーへの変換が妨げられ、電子励起状態がより不安定となる。その結果、樹脂骨格中の分子のイオン化が生じ易く、上記(a)の化学反応により、樹脂骨格中の結合状態が切断するなどして劣化が引き起こされる。
本実施形態においては、トナーに含まれるバリウム化合物が励起状態の樹脂分子から励起エネルギーを受け取り、バリウム元素の最外殻電子を励起させるため(上記(c))、樹脂の脆化を防止できると推定される。特にバリウム化合物は、樹脂骨格と比較して分子が小さいために立体障害の影響を受けにくく、電子励起エネルギーは効率よく振動エネルギーへと変換できると推定される。
トナー表面付近で光により励起された一重項の酸素分子は反応性が高く、近傍の樹脂を酸化し、脆化させると考えられる。この励起酸素分子を効率よく消光するバリウム化合物を添加することにより、励起酸素分子を失活させ、樹脂の脆化を防止することができると推定される。
上述のように、バリウム化合物をトナーに添加することで結着樹脂の劣化が抑制されるため、本実施形態のトナーは紫外線暴露下における定着画像のひび割れ、あるいは画像光沢の低下が抑制されるものと推察される。
前記緩和時間における緩和弾性率G(t)が2.0×102Paを下回ると、添加したバリウム化合物が均一に分散しにくくなるばかりではなく、トナーとしての凝集性が十分得られず、画像の脆弱化を防止する効果が減少する要因となる。また、3.0×103Paを上回る場合には、画像の光沢度が低く、発色性に悪影響を及ぼす。
上記測定で得られた損失弾性率、及び貯蔵弾性率の周波数依存曲線を時間-温度換算則にしたがって、横軸に時間、縦軸に緩和弾性率の関数に変換する。すると右下がりの曲線(グラフ)が得られる。任意の定着時間(定着時の加熱時間)Dtから上記式より緩和時間tを求め、上記曲線上においてそのtにおける緩和弾性率が、その定着時間での緩和弾性率となる。
すなわち、粘弾性を左右する制御因子としては、結着樹脂の分子量分布やモノマー組成の寄与が大きいため、結着樹脂の分子量分布を詳細に制御したり、特定のモノマー組成を選択することが必要である。特に、分子量分布として好ましい構成は、少なくとも三つのピークもしくはショルダーを有し、高分子量側から順にピークの谷もしくはショルダー部で分子量を分割した際に、高分子量側からそれぞれM1、M2、M3とすると、M1の重量平均分子量Mw1は5.0x105以上7.2x105以下、数平均分子量Mn1は4.0x105以上5.0x105以下、M2の重量平均分子量Mw2は8.0x104以上1.2x105以下、数平均分子量Mn2は8.0x104以上9.5x104以下、M3の重量平均分子量Mw3は1.0x104以上1.5x104以下、数平均分子量Mn3は3500以上4500以下であることがより好ましい。
本実施形態のトナーはバリウム化合物を含有する。これにより、画像のひび割れや光沢度の低下、着色剤の変色又は褪色が抑制される。
バリウム化合物の含有量は、蛍光X線によるトナーの全構成原子量に対するバリウム含有量〔Ba〕として0.1%以上0.5%以下とされる。
この中でも、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、チタンニッケルバリウムイエローがトナー特性や画像形成装置に悪影響及ぼすこと無くより良好に用いられ、さらに好ましくは、硫酸バリウム、チタン酸バリウムである。
本実施形態の電子写真用トナーは、結着樹脂、着色剤及びバリウム化合物を有し、更に必要に応じて、離型剤等、その他の成分を含有してなる。本実施形態の電子写真用トナーは、カラー画像において、長期紫外線暴露下においても画像のひび割れや光沢度の低下を防止することができ、優れた定着画像を与えることができる。
本実施形態の電子写真用トナーの製法としては、混練粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法等、特に制限はないが、特に好ましいのは。混練粉砕法と乳化凝集法である。
これに対し混練粉砕法は結着樹脂や着色剤等の原料混合物中にバリウム化合物を混合させそのまま混練工程で分散できるため、均一にバリウム化合物を分散させることができる。このようにして得られた混練物を、粉砕、分級することによって所望のトナー粒子を得る。
また乳化凝集法は、粒径が1μm以下の結着樹脂の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液等を混合し、樹脂粒子、着色剤をトナー粒径に凝集させる工程(以下、「凝集工程」と称することがある)にて、バリウム化合物を共存させることができるため、前述の問題を解決できる。バリウム化合物が水溶性であれば分子レベルでトナー粒子内部に添加することができるためより好ましい。樹脂粒子を構成する重合性単量体の成分にカルボキシル基含有単量体を添加することで、生成重合体中のカルボキシル基とバリウムとの塩構造を形成することができるので更に好ましい。凝集工程を経た凝集粒子は、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱し凝集体を融合しトナー粒子を形成する工程(以下、「融合工程」とも称する。)を経てトナー粒子となる。
ここで、「トナー粒径」とは、下記のトナーの体積平均粒径をいう。
本実施形態のトナーに使用し得る結着樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等を主成分とするスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられるが、電子写真用トナーとして用いる際の帯電安定性や現像耐久性の観点からスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂及びポリエステル樹脂が好ましい。
本実施形態において、用いられる着色剤に、特に制限はなく、公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて選択することができる。着色剤を1種単独で用いてもよいし、同系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。さらに、これらの着色剤を表面処理して用いてもよい。
例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3を代表的なものとして、例示することができる。
本実施形態のトナーは、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。本実施形態で使用される紫外線吸収剤は、従来公知のものを使用することができる。
代表的な紫外線吸収剤は、ベンソフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、パラアミノ安息香酸系、アニリド系、トリアジン系、ベンゾエート系の化合物を挙げることができる。これらの化合物の混合物であっても良い。
紫外線吸収剤をトナーに添加する方法としては、トナー粒子に対して粉体で混合する方法や、結着樹脂又は着色剤などの溶融混練時に添加する方法、が挙げられる。
本実施形態のトナーには、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。なお、本実施形態のトナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本実施形態のトナーには、必要に応じて、離型剤を添加してもよい。離型剤は一般に離型性を向上させる目的で使用される。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。本実施形態において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの離型剤の添加量としては、トナー粒子の全量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。上記範囲内であると、離型剤の効果が十分であり、また、トナー内にバリウム化合物が均一に分散されるだけでなく、現像機内部においてトナー粒子が破壊されにくいため、離型剤のキャリアへのスペント化が生じず、帯電も低下しにくい。
本実施形態のトナーは、トナー内部に内添剤を添加してもよい。内添剤は一般に定着画像の粘弾性制御の目的で使用される。前記内添剤の具体例としては、シリカ、チタニアのような無機粒子や、ポリメチルメタクリレート等の有機粒子などからなり、分散性を高める目的で表面処理されていてもよい。またそれらは単独でも、2種以上の内添剤を併用してもよい。
本実施形態のトナーには流動化剤や帯電制御剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面をシランカップリング剤などで処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子、アミン金属塩、サリチル酸金属錯体等、公知の材料が使用できる。それらは単独でも、2種以上の外添剤を併用してもよい。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、1.0質量部以上3.5質量部以下がより好ましい。
本実施形態に係る電子写真用現像剤は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、現像装置内に帯電付与構造をもつ一般に一成分現像剤という使用方法で使用されるのに加え、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と呼ばれる方式でも使用される。
キャリアは、フェライト、鉄粉などを芯剤として、樹脂で被覆されたキャリアであることが好ましい。用いられる芯材(キャリア芯材)は、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キャリア芯材の平均粒径としては、トナー平均粒径の3倍以上10倍以下が好ましい。
被覆樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。またこれらの共重合樹脂でもかまわない。キャリアの被覆樹脂としては上述樹脂中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また帯電を制御する目的で、樹脂粒子や、無機粒子などを被覆樹脂中に分散して使用してもよい。
上記方法により形成される樹脂被覆量は、キャリア芯材に対して0.5質量%以上10質量%以下とされる。トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100乃至30:100の範囲であり、3:100乃至20:100の範囲がより好ましい。
本実施形態の画像形成方法は、感光体を帯電する帯電工程、帯電した前記感光体を露光して前記感光体上に潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像を本実施形態の電子写真用現像剤により現像し現像像を形成する現像工程、前記現像像を被転写体上に転写する転写工程、及び、前記被転写体上に前記現像像を定着する定着工程を含む。
各工程はそれ自体一般的な工程であり、例えば特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
潜像(静電潜像)は、レーザー光学系やLEDアレイ等の露光手段で、表面が一様に帯電された感光体に露光することで形成される。露光方式は特に制限を受けるものではない。
転写は、現像像(トナー画像)を被転写体上に転写するものである。被転写体としては、転写紙等が例示できる。
定着は、転写紙等の被転写体に転写されたトナー画像を、定着部材からの加熱で被転写体上に定着するものであり、被転写体を2つの定着部材の間を通過させる間に被転写体上のトナー画像を加熱溶融して定着する。この定着部材は、ロール又はベルトの形態をなし、少なくとも一方に加熱装置を装着している。定着部材はロールやベルトをそのまま用いるか、その表面に樹脂を被覆して用いる。
このニップ幅は例えば以下の方法で測定が可能である。まず通常の複写機でベタ画像を用意する。これを定着機に通過中に電源を落とし、そのまま10秒放置、その後再び通過させる。電源が落ちていたときに定着部材に接触していた画像部分の光沢度が異なるため、この幅を測定する。これをニップ幅とする。
加圧部材に熱源を設置し、加圧、加熱の両部材から熱を加える方法を用いても良い。
定着ベルトは、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を単独か又は2種以上を混合して用いる。また、ロールとベルトの被覆樹脂は、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、弗化ビニリデン、弗化エチレン等の含フッ素化合物の単独重合体及び/又はそれらの共重合体、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素の単独重合体及び/又はそれらの共重合体を用いることができる。
試料前処理としては、トナー4gを加圧成型器で10t、1分間の加圧成型を実施した。
(株)Rigaku社製の蛍光X線ZSX Primus 2を使用して、測定条件は定性定量測定で、管電圧60KV、管電流50mA、測定時間40deg/minで測定した。
動的粘弾性の測定にはTAインスツルメント・ジャパン社製ARES測定装置を用いた。
トナー約2gを錠剤成形機で圧縮成形した後、加熱炉で加熱した25mmのパラレルプレートに載せて一度溶融させ、トナー全体が溶融したところでもう一枚のパラレルプレートを上から挟んでセットし、ノーマルフォース0とした後、プレート温度100℃で0.1rad/sec乃至100rad/secの振動周波数で正弦振動を与えながら粘弾性を測定した。続いて160℃まで10℃刻みでプレート温度昇温させながら同様の測定を実施した。測定のインターバルは30秒、測定開始後の温度調整精度は±1.0℃以下とした。また、測定中各測定温度におけるひずみ量を適切に維持し、適正な測定値が得られるように適宜調整した。
これらの各測定温度において得られた測定結果より緩和弾性率を求めた。
(ポリエステル樹脂1の製造)
・テレフタル酸 415部
・3−ドデセニル無水コハク酸 536部
・無水トリメリット酸 90部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 780部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物 855部
上記原料を、ステンレススチール製撹拌機、ガラス製窒素ガス導入管および流下式コンデンサーを備えた1リットル容量の4つ口丸底スラスコ中に投入し、このフラスコをマントルヒーターにセットした。次いで、ガス導入管より窒素ガスを導入し、フラスコ内を不活性ガス雰囲気に保ちながら昇温した。その後、0.15部のジブチルスズオキシドを加えて反応物の温度を200℃に保ちながら、所定時間反応させることにより、ポリエステル樹脂1を合成した。得られたポリエステル樹脂1の分子量分布をTHF可溶分でGPC測定したところ、一つのショルダーを含めて三つ山の分子量分布を持ち、それぞれのピークの谷、もしくはショルダーで分子量を分割した際に、高分子量側から、M1、M2、M3としたとき、重量平均分子量Mw1は5.1x105、数平均分子量Mn1は4.3x105、重量平均分子量Mw2は9.4x104、数平均分子量Mn2は8.1x104、M3の重量平均分子量Mw3は1.2x104、数平均分子量Mn3は3600であった。
・テレフタル酸 415部
・フマル酸 174部
・3−ドデセニル無水コハク酸 268部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 320部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物 1370部
樹脂の原料を上記組成に変更した以外は、ポリエステル樹脂1と同様の方法でポリエステル樹脂2を合成した。得られたポリエステル樹脂の分子量分布をGPCで測定したところ、GPCチャートは一山分布でMwが17800、Mnが6800であった。
・テレフタル酸 415部
・3−ドデセニル無水コハク酸 268部
・無水トリメリット酸 270部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物 780部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物 855部
樹脂の原料を上記組成に変更した以外は、ポリエステル樹脂1と同様の方法でポリエステル樹脂3を合成した。得られたポリエステル樹脂3の分子量分布をGPCで測定したところ、THF可溶分のGPCチャートは一山分布でMwが53200、Mnが14800であったがTHF不溶分が34%であった。
表1に示す配合量のポリエステル樹脂、着色剤としてピグメント・ブルー15:3(PB15:3)、離型剤(ポリエチレンワックス、FNP0190、日本精蝋社製)、紫外線吸収剤およびバリウム化合物をヘンシェルミキサーで混合後、連続式混練機で溶融混練し、冷却後ジェット式粉砕機で粉砕し、次いで慣性力方式の分級機で分級し、表1に示す平均粒径(トナー粒径)のトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に外添剤としてチタニア粒子をトナー粒子100部に対して1.2部、シリカ粒子を0.8部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して電子写真用シアントナーを得た。
表1に示す配合量のポリエステル樹脂、着色剤としてピグメント・レッド122(PR122)およびピグメント・レッド238(PR238)、離型剤(ポリエチレンワックス、FNP0190、日本精蝋社製)、紫外線吸収剤、並びに、バリウム化合物をヘンシェルミキサーで混合後、連続式混練機で溶融混練し、冷却後ジェット式粉砕機で粉砕し、次いで慣性力方式の分級機で分級し、表1に示す平均粒径のトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に外添剤としてチタニア粒子をトナー粒子100部に対して1.2部、シリカ粒子を0.8部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して電子写真用マゼンタトナーを得た。
表1に示す配合量のポリエステル樹脂、着色剤としてピグメント・イエロー74(PY74)、離型剤(ポリエチレンワックス、FNP0190、日本精蝋社製)、紫外線吸収剤およびバリウム化合物をヘンシェルミキサーで混合後、連続式混練機で溶融混練し、冷却後ジェット式粉砕機で粉砕し、次いで慣性力方式の分級機で分級し、表1に示す平均粒径のトナー粒子を得た。得られたトナー粒子に外添剤としてチタニア粒子をトナー粒子100部に対して1.2部、シリカ粒子を0.8部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して電子写真用イエロートナーを得た。
ニーダーにMn−Mgフェライト(平均粒径50μm:パウダーテック社製)を1,000部投入し、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(重合比率40:60、ガラス転移温度90℃、重量平均分子量72,000:綜研化学(株)製)150部をトルエン700部に溶かした溶液を加え、常温(25℃)で20分混合した後、70℃に加熱して減圧乾燥した後、取り出し、コートキャリアを得た。さらに得たコートキャリアを75μm目開きのメッシュでふるい、粗粉を除去してキャリア(1)を得た。
キャリア(1)と、イエロートナー(1)乃至(8)、マゼンタトナー(1)乃至(10)、又は、シアントナー(1)乃至(8)とを、それぞれ質量比95:5の割合でVブレンダーにいれ20分間撹拌し、電子写真用現像剤1乃至26を得た。電子写真用現像剤1乃至26に含まれるトナーの種類は表2に示すとおりである。
得られた電子写真用現像剤をDocuCentre Color 320CP(富士ゼロックス(株)製)改造機の現像機に入れ、単色画像及び電子写真学会テストチャートNo.5−1を原稿画像として未定着画像を出力した。なお用紙は富士ゼロックス社製(J紙)であった。
上記イエロートナー(1)乃至(8)、マゼンタトナー(1)乃至(10)、シアントナー(1)乃至(8)で形成された未定着画像を定着時間(定着時の加熱時間)220msecのオフライン定着機を用いて定着温度160℃で定着し、得られた画像に対して、テストチャート画像に対しては濃度ムラの有無を目視で評価すると共に、単色画像に対しては以下の長期紫外線暴露下の画像ひび割れ及び光沢度の評価を実施した。その結果を表3に示す。なお、各トナーにおける定着時間220msec、定着温度160℃での緩和弾性率を表2に示す。
表4に示すトナーを含む現像剤の組合せで、下記二種類の定着媒体に単色およびプロセスブラック(3色重ね画像)を定着し、それぞれ、実施例1乃至16、比較例1乃至10と同様、以下の長期紫外線暴露下の画像ひび割れ及び光沢度の評価を実施した。その結果を表4に示す。
・食品用ラベル紙
・表面にチタニア粒子を含有する白色系塗料を塗布したステッカー用紙
実施例1乃至16、比較例1乃至14の定着画像に対して、卓上型暴露試験機((株)東洋精機製作所製:SUNTEST CPS+)を用いて定着画像の紫外線暴露加速試験を行った。なお光源はキセノンアークランプ(100K ルクス 540W/m2)を用い、光源からの距離が約20cmになるように定着像を配置し、湿度50%、標準黒色体の表面温度が43℃となる環境下で、照射テストを実施した。なお前記湿度と標準黒色体の表面温度は試験機の環境等により若干の幅を持ち、具体的には湿度は50±5%、標準黒色体の表面温度は43±5℃であった。照射時間は600時間、1200時間、2400時間であり照射後のひび割れについては、目視で評価した。
光沢度については、グロスメーターにて画像の光沢度を測定した。紫外線照射前及び紫外線照射後の光沢度を測定し、照射前後で光沢度を比較し、以下の視点でグレード付けし評価した。
A:照射前後の光沢度の差は5未満で許容レベルである。
B:照射前後の光沢度の差は5以上12未満で許容レベルである。
C:照射前後の光沢度の差が12以上20未満の間で光沢度、発色性の低下が確認される。
D:照射前後の光沢度の差が20以上であり、画像としての劣化が著しい。
Claims (3)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び、バリウム化合物を含有し、
前記結着樹脂の骨格中に芳香環が含有され、
動的粘弾性測定より求めた緩和時間t=10×Dt(Dt:定着時の加熱時間)における緩和弾性率G(t)が2.0×102Pa以上3.0×103Pa以下であり、且つ、蛍光X線によるトナーの全構成原子量に対するバリウム含有量〔Ba〕が、0.1%以上0.5%以下である電子写真用トナー。 - 請求項1に記載のトナーを含む電子写真用現像剤。
- 感光体を帯電する帯電工程、帯電した前記感光体を露光して前記感光体上に潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像を請求項2に記載の電子写真用現像剤により現像し現像像を形成する現像工程、前記現像像を被転写体上に転写する転写工程、及び、前記被転写体上に前記現像像を定着する定着工程を含む画像形成方法。
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