JP4417683B2 - 紫外線遮蔽性組成物および紫外線遮蔽性加工物品 - Google Patents

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本発明は、新規な紫外線吸収剤を含む紫外線吸収剤組成物を重合体等の媒体に配合してなる透明性が高く、耐ブリード性に優れ、紫外線遮蔽効果に優れた加工物品を与える紫外線遮蔽性組成物、それを用いた加工物品に関し、更に詳しくは紫外線吸収剤が重合体鎖に結合した重合体結合紫外線吸収剤と微粒子白色無機顔料からなる紫外線吸収剤組成物を重合体等の媒体に配合してなる紫外線遮蔽性組成物ならびにそれを用いた加工物品に関する。
合成樹脂等の重合体は、その成形物を長期にわたって使用または保管する際に、太陽光線による光暴露、特に紫外線等の作用で脆化等を生じ、弾性低下、引張り強度の低下、クラックの発生等の機械的特性の低下、電気的性質の劣化、着色等を引き起こす問題点を有している。同様に、重合体を被膜形成成分やバインダーとするコーティング剤、塗料、オフセットインキ、グラビヤインキ、捺染剤等を用いた被覆材料分野の製品においても塗膜の光沢低下、割れ、ブリスターの発生、顔料の変色、褪色等、あるいは不適切な包装材料の選定から場合により内容物が紫外線等で品質劣化を引き起こすことがあった。
このような問題点を改善するために、高分子を成形加工する際には、従来から重合体は、紫外線吸収剤、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、あるいは無機系の白色無機顔料、例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が配合されて使用されている。通常、紫外線吸収剤は1種または2種以上を組み合わせて、あるいは酸化防止剤、ヒンダートアミン系等の光安定剤等と併用して使用されており、更には帯電防止の目的で帯電防止剤も使用されている。
しかしながら、一般的にこれらの有機系の紫外線吸収剤は低分子量化合物であるため、これらを使用した場合には種々の不都合を生じている。例えば、比較的沸点(融点)の低い化合物や昇華性の化合物では、成形加工時や加熱硬化時等の熱加工時、あるいは加温状態での保存時や使用時等に昇華、揮発等を起こしたり、温水や酸性、アルカリ性等の水溶液、アルコール、油等の有機溶剤等と接触することによって、合成樹脂や塗膜中から抽出されることがあり、紫外線吸収等の機能剤の効果を長期にわたって持続することができない場合があった。
また、紫外線吸収剤を合成樹脂と混合して使用する場合、合成樹脂との相溶性が悪い場合には長期使用中に成形加工品表面や塗装表面にブリード(ブルーミング現象)を起こし、有効添加量の減少をもたらすほか、表面にべたつきを起こしたり、接着性や印刷適性が低下したり、他の物品を汚染する等の問題が発生することもある。更に、紫外線吸収剤を、その溶解度や相溶性の限度を超えて合成樹脂等に多量に添加すると、相分離を起こして合成樹脂等の透明性や機械的強度を低下させることになるため、添加量に制限があり、改善が要求されていた。更に、低分子の紫外線吸収剤は化合物によっては皮膚や粘膜に対する刺激性があったり、また、粉体の場合には粉塵の発生等、安全性や衛生性についても注意の必要なものがある。
このような問題点を解決するために、特定な紫外線吸収性のベンゾトリアゾール系の化合物を用いてラクトン類を開環重合させ、生成するポリエステル鎖の末端に上記化合物が結合した紫外線吸収剤が提案されているが、上記化合物は分子鎖の末端のみであり、使用量を多くする必要がある(特許文献1)。
一方、無機系の紫外線吸収性顔料として、微粒子白色無機顔料である微粒子酸化チタンあるいは微粒子酸化亜鉛等を合成樹脂と混合する場合、成形加工品表面や塗装表面にブリードすることはないが、紫外線吸収効果を出すために多量に合成樹脂と混合する必要があり、合成樹脂の透明性を低下させる。
特開平10−265556号公報
本発明の課題は、上記の従来技術の問題点のない新規な紫外線吸収剤組成物を重合体等の媒体に配合した場合に、透明性が高く、耐ブリード性に優れ、紫外線遮蔽効果に優れた加工物品を与える紫外線遮蔽性組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、相互に縮合反応する反応性基を有する紫外線吸収剤と重合体のそれぞれの上記反応性基を縮合反応させることによって紫外線吸収剤が重合体鎖に結合した重合体結合紫外線吸収剤が得られ、これを無機系紫外線吸収剤としての微粒子白色無機顔料である微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛等と組み合わせた紫外線吸収剤組成物を重合体等の媒体に配合することにより、上記課題が達成できることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成されたものであり、重合体結合紫外線吸収剤の製造に当たり、互いに反応させる紫外線吸収剤と重合体とを選択することにより、得られる重合体結合紫外線吸収剤を、これが添加される合成樹脂類等の重合体成分に対して適正な(相溶性のある)重合体結合紫外線吸収剤とすることができ、無機系紫外線吸収剤である微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛等と組み合わせることにより、従来の紫外線吸収剤に比べて各種合成樹脂等との相溶性が良く、加工性に優れ、物性的にも、また耐ブリード性、透明性にも優れた実用上極めて有用な紫外線吸収性組成物を提供することができる。
本発明によれば、紫外線吸収性有機機能剤(A)紫外線吸収性無機顔料(B)とが、媒体としての重合体と混練され、または媒体としての重合体の溶液あるいは水系分散体中に溶解および分散されてなる紫外線遮蔽性組成物において、上記紫外線吸収性有機機能剤が、それぞれ相互に縮合反応する反応性基を有する紫外線吸収剤と、重合体の上記反応性基とを縮合させて得られる、上記紫外線吸収剤が上記重合体鎖に結合してなる重合体結合紫外線吸収剤であり、上記紫外線吸収性無機顔料が紫外線吸収性微粒子白色無機顔料であり、上記A:Bの質量%が95〜5:5〜95であり、波長320〜400nmの紫外線と波長290〜320nmの紫外線との両方を吸収することを特徴とする紫外線遮蔽性組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記の紫外線遮蔽性組成物を用いて形成されたことを特徴とする加工物品が提供される。
本発明で用いる重合体結合紫外線吸収剤は、無機系紫外線吸収剤である微粒子酸化亜鉛あるいは微粒子酸化チタン等と組み合わせた紫外線吸収剤組成物として、合成樹脂、繊維、紙、不織布、塗料、コーティング剤、捺染剤、印刷インキ、電子写真現像剤、インクジェットインキ、接着剤等に添加することにより、合成樹脂成形体や上記の加工物品の、太陽光線、特に紫外線等の作用による光暴露による脆化等による弾性低下、引っ張り強度の低下、クラックの発生等の物性の低下、電気的性質の劣化、着色等、顔料、染料等の色素の変色、褪色等が防止・抑制される。更に、通常の低分子の紫外線吸収剤の欠陥である蒸発、揮発や昇華等による紫外線吸収剤の揮散による紫外線吸収効果の低下や被添加材との相溶性の限界による添加量の制限、表面へのブルーミング現象による有効添加量の減少や他の物品への汚染や印刷性の阻害、無機系紫外線吸収剤の樹脂への添加による透明性の低下等が防止・抑制される
次に本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いる重合体結合紫外線吸収剤は、それぞれ縮合反応性基(以下では反応性基ということがある。)を有する紫外線吸収剤と重合体のそれぞれの反応性基同士を縮合させることによって得られる紫外線吸収剤が重合体鎖に結合した高分子量の紫外線吸収剤である。
紫外線吸収剤および重合体が有する縮合性反応性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、低級アルキル(C1〜C3)エステル基、エポキシ基、アミノ基、クロルトリアジン基あるいはイソシアネート基等の公知の反応性基が挙げられる。反応性基の組み合わせとしては、例えば、縮合してエステル結合を形成する水酸基とカルボキシル基やその誘導基の組み合わせ、縮合(付加)してウレタン結合を形成する水酸基とイソシアネート基の組み合わせの如く、反応性基が相互に縮合反応する基の組み合わせとして選択される。本発明における「縮合」とは、化学大辞典(共立出版社、昭和35年3月30日発行)、第4巻、第682頁の「しゅくごう 縮合」の項に記載の意味であり、縮合には付加も含まれる。
反応性基を有する紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤に上記の反応性基を導入させた誘導体が使用される。例えば、3−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−4′−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、3−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−5′メチル−4′−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、3−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−5′−エチル−4′−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、3−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、3−[3′−(5″−クロロ−2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、3−[3″−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−4″−ヒドロキシ−5″−(1′,1′−ジメチルベンジル)フェニル]プロピオン酸、3−[3″−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−4″−ヒドロキシ−5″−(1″,1″,3″,3″−テトラメチルブチル)フェニル]プロピオン酸、4−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−3′−ヒドロキシフェノキシ]酪酸等、それらの酸クロライド化物、上記化合物の酸基がヒドロキシル基となったもの等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の誘導体、
2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−メチルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−イソプロピルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−テトラデシルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−オクチロイルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−ヒドロキシ−3″−プロピロイルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2″−カルボキシプロピオキシ−3″−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4′−[(2′−フタリロキシ−3′−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2′−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2′,4′−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等、それらのジカルボン酸ハーフエステル誘導体、それらの酸クロライド化合物等のトリアジン系紫外線吸収剤の誘導体、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4,4′−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジ−ヒドロキシ−4,4′−ジ−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤の誘導体、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤の誘導体、ケイヒ酸、p−メトキシケイヒ酸等のケイヒ酸系紫外線吸収剤の誘導体、サリチル酸等およびそれらの酸クロライド化物等のサリチル酸系紫外線吸収剤の誘導体等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の誘導体は、1種または同種の2種以上または異種の上記誘導体を組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤の反応性基と縮合する反応性基を有する重合体は、特に限定されず、重合体結合紫外線吸収剤が配合される重合体成分の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)共重合体、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)共重合体、ポリエチレンモノアルコール等の水酸基含有ポリオレフィン系重合体;ポリ(エチレン−co−アクリル酸)共重合体、ポリ(エチレン−co−メタアクリル酸)共重合体、ポリエチレンモノカルボン酸等のカルボキシル基含有ポリオレフィン系重合体;ポリ(エチレン−co−アクリル酸メチル)共重合体、ポリ(エチレン−co−メタアクリル酸メチル)共重合体等の低級アルキルエステル基を有するポリオレフィン系重合体;ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール−co−メタアクリル酸)共重合体等の水酸基とカルボキシル基を有するポリオレフィン系重合体;ポリ(エチレン−co−エチルアクリレート−co−無水マレイン酸)共重合体、ポリ(エチレン−co−ブチルアクリレート−co−無水マレイン酸)共重合体、ポリエチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体等の酸無水物基を有するポリオレフィン系重合体;ポリ(エチレン−co−グリシジルメタアクリレート)共重合体等のエポキシ基を有するポリオレフィン系重合体;
ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、(ポリエチレングリコール)−(ポリプロピレングリコール)ブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール等の水酸基を有するポリエーテル系重合体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルやイタコン酸モノエチル等の不飽和ジカルボン酸のモノ低級アルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー等の少なくとも1種と、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等のビニルモノマー、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル等の少なくとも1種との共重合体;ポリブチレンアジペート、ポリエチレンセバケート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート等の芳香族ポリエステル等のポリエステル系重合体;6−ナイロン系、6,6−ナイロン系等のポリアミド系重合体;水酸基やアミノ基を有するポリシリコーン系重合体;ポリウレタン系重合体;ポリ尿素系重合体;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;セルロース系重合体;キトサン系重合体等が挙げられる。
これらの縮合性反応基を有する重合体の数平均分子量は、通常、約3,000〜200,000程度であり、好ましくは約5,000〜100,00の範囲である。本発明において特に好ましい重合体結合紫外線吸収剤は、反応性基として水酸基またはカルボキシル基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がこれらの基と縮合反応する反応性基を有する重合体と結合したものである。
上記の反応性基を有する重合体に前記の反応性基を有する紫外線吸収剤を結合させる方法は、特に限定されないが、例えば、上記重合体および上記紫外線吸収剤を溶解する溶剤にこれらを溶解し、必要により縮合触媒を用いて、150〜250℃程度の温度で反応させる方法、押出機等の混練機中で上記重合体と上記紫外線吸収剤を溶融下に混練、必要により縮合触媒の存在下に反応させる方法等が挙げられる。結合させる上記紫外線吸収剤の量は、上記重合体の平均分子量によっても異なり、結合量が少なければ重合体結合紫外線吸収剤の配合量が多くなり、結合量が多くなれば配合量が少なくて済む。従って、上記紫外線吸収剤の結合量を一概に規定することはできないが、結合量は、上記重合体100質量部に対して、通常、上記紫外線吸収剤残基として10〜50質量部の範囲が好ましい。
本発明において紫外線吸収剤残基とは、それぞれの紫外線吸収剤において紫外線吸収に関与する構造部分を含む残基であり以下の部分をいう。
例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤では、
Figure 0004417683
(式中のR1は水素または炭素数が1〜18のアルキル基または芳香環を含むアルキル基、Xは炭素数が1〜18のアルキル基またはアルコキシ基またはハロゲン元素を表す。)
例えば、トリアジン系紫外線吸収剤では、
Figure 0004417683
(式中のR2、R3は水素または炭素数が1〜4のアルキル基を表す。)
例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤では、
Figure 0004417683
(式中のR1〜R3は前記の定義と同じである。)
本発明で用いる紫外線吸収剤組成物は、紫外線吸収性有機機能剤としての前記の重合体結合紫外線吸収剤と紫外線吸収性無機顔料である紫外線吸収性微粒子白色無機顔料からなるものである。
本発明で使用する紫外線吸収性微粒子白色無機顔料としては、微粒子酸化亜鉛および/または微粒子酸化チタン等が好ましい。微粒子酸化亜鉛および微粒子酸化チタンは、平均粒子径が5〜100nmのものが好ましく、より好ましくは10〜70nmで、比表面積が20〜80m2/gの微粒子顔料である。これらは、物性、堅牢性の向上や分散媒体への親和性等の付与のため、従来公知のシリカ、アルミナやジルコニア等の無機材料、シリコーン、シランカップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、メラミン樹脂等の有機材料を用いた表面処理品として使用することもできる。
重合体結合紫外線吸収剤と紫外線吸収性微粒子白色無機顔料の使用割合は、重合体結合紫外線吸収剤5〜95質量%、紫外線吸収性微粒子白色無機顔料95〜5質量%(両者の合計は100質量%)の割合である。透明性および長波長領域紫外線の吸収を重視する場合には、重合体結合紫外線吸収剤の割合を多くすることが好ましい。また、短波長領域の紫外線の吸収を重視する場合には紫外線吸収性微粒子白色無機顔料の割合を多くすることが好ましい。
本発明で用いる紫外線吸収剤組成物は、予め上記の2成分が混合されたものであっても、使用に際して媒体とそれぞれの成分を独立にあるいは一緒に混合して、媒体中に2成分が含まれているものでも構わない。
本発明の紫外線遮蔽性組成物は、媒体に上記の紫外線吸収剤組成物を配合してなるものである。本発明における媒体は、重合体(固体、溶液、分散体)である。
重合体は、本発明の紫外線遮蔽性組成物の使用目的に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。重合体としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、天然ゴム、各種合成ゴムからなる群より選ばれた1種または2種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイ等が挙げられる。
本発明の紫外線遮蔽性組成物には、その使用目的に応じて、それぞれの用途で使用される各種添加剤を適宜配合することができる。例えば、媒体が重合体の場合には、必要に応じて上記以外の従来公知の酸化防止剤、光安定剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤等の他の機能剤や用途に応じた各種添加剤も適宜配合することができる。これらの機能剤も、重合体結合紫外線吸収剤と同様に、重合体結合機能剤として使用することもできる。
重合体結合機能剤の形成に使用する反応性基(前記の反応性基と同じ)を有する機能剤として、例えば、酸化防止剤としては、3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸等、それらの酸クロライド化合物等のヒンダードフェノール系酸化防止剤の誘導体;3−3′−チオビスプロピオン酸モノドデシルエステル、3−3′−チオビスプロピオン酸モノオクタデシルエステル等、それらの酸クロライド化物等の硫黄系酸化防止剤の誘導体が挙げられる。光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール、1,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール等、それらのジカルボン酸ハーフエステル誘導体、それらの酸クロライド化物等のヒンダートアミン系光安定剤の誘導体が挙げられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、トリス−(t−オクチル−ナフタロ)(カルボキシル−フタロ)シアニン・酸化バナジウムコンプレックス、N−(o−カルボキシル−p−ジブチルアミノフェニル)−N,N′,N′−トリス−(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン・6フッ化リン酸塩等の赤外線吸収剤の誘導体が挙げられる。
また、帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)モノブチルエーテル、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノエトキシ−ポリエチレングリコール等、それらのジカルボン酸ハーフエステル誘導体、それらの酸クロライド化物等、3−ジエチルアミノプロピオン酸、2,3−エポキシプロピル−ジメチルアミン、2,3−エポキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド等の帯電防止剤の誘導体等が挙げられる。
これらの反応性基を有する機能剤を結合させる重合体は、前記の重合体結合紫外線吸収剤の製造に使用する重合体と同じである。
以下では媒体が重合体である本発明の紫外線遮蔽性組成物について説明する。
本発明の紫外線遮蔽性組成物は、その使用目的(例えば、成形機を用いて、フィルム、シート、繊維、種々形状の成形体(加工物品)を製造するために使用する;溶液状態または分散体として、基材に塗布、含浸、印刷する等のために使用する等)によって製造方法は異なるが、いずれの場合も従来公知の方法で製造することができる。また、重合体に配合する紫外線吸収剤組成物の量も紫外線遮蔽性組成物の使用目的によって異なる。これらについての詳細は後述する。
本発明の紫外線遮蔽性組成物を、合成樹脂(媒体)の成形用として使用する場合には、上記組成物は、例えば、成形用合成樹脂と前記の紫外線吸収剤組成物を、ミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機あるいはニーダー等で混練し、シート状のマスターバッチあるいはペレタイザーでペレット化されたマスターバッチとして製造される。これらは、使用に際しては、成形用合成樹脂と共に常法に従いヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー等にて混合され、ミキシングロール、射出成形機、押出成形機、インフレーション成形機等で目的の成形体(加工物品)とされる。
成形用合成樹脂としては、成形体、シート、フィルム等の成形に使用される従来公知の熱可塑性成形材料が挙げられる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)からなる群より選ばれた1種の樹脂または2種以上の樹脂のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイが挙げられる。
また、成形用合成樹脂は、前記したナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用することができる。
尚、これらの熱可塑性成形材料には、必要に応じて従来使用されている合成樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは併用して添加することができる。
尚、成形用合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂も使用することができる。熱硬化性樹脂は上記のナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
合成樹脂成形用途においては、前記の紫外線吸収剤組成物の添加量は、上記の合成樹脂に対して任意の量で添加することが可能であるが、上記合成樹脂100質量部に対して、通常約0.05〜20質量部、好ましくは約0.1〜10質量部の割合で添加するのが良い。更に従来公知の光安定剤、酸化防止剤等および/または前記のこれらを重合体に結合させた重合体結合機能剤を併用して相乗効果を得ることもできる。
本発明の紫外線遮蔽性組成物を繊維形成用に使用する場合には、媒体の重合体としては公知の繊維形成用重合体が用いられる。繊維形成用重合体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル系重合体、ポリウレタン、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体等が挙げられる。溶融紡糸で繊維を得る場合には、本発明の紫外線遮蔽性組成物は、例えば、前記の合成樹脂成形用の場合と同様にペレット化された組成物として使用され、湿式紡糸で繊維を得る場合には、繊維形成用重合体の紡糸液に前記の紫外線吸収剤組成物を溶解および分散させた状態で使用される。繊維形成には従来公知の紡糸方法が用いられる。
この場合の前記の紫外線吸収剤組成物の添加量は、繊維形成用重合体100質量部に対して約0.1〜5質量部の割合で添加するのが好ましい。
本発明の紫外線遮蔽性組成物を、本発明でいう加工物品である紙、不織布、繊維、塗料、コーティング剤、捺染剤、印刷インキまたは接着剤用等に使用する場合には、それぞれの用途で従来から使用されている重合体が媒体として使用される。この場合には、本発明の上記組成物は、溶液あるいは分散体として使用され、これらは従来公知の湿式加工方法により製造される。
湿式加工方法としては、溶液の製造には加熱攪拌反応槽や混合攪拌反応槽を使用する方法、ディゾルバー混合法等が挙げられ、湿式分散による加工方法としてはミキシングロールミル、ニーダー、ボールミル、アトライター、サンドミル、横型媒体分散機、縦型媒体分散機、連続横型媒体分散機、連続縦型媒体分散機等が使用される。また、合成樹脂成形用と同様にシート状またはペレット状の組成物を用いて上記の湿式加工法により溶液状態または分散体の組成物とすることもできる。
塗料における媒体の重合体(塗膜形成成分)としては、塗料が、油性溶剤型の場合には、例えば、従来公知のアクリルメラミン系樹脂、アルキッドメラミン系樹脂、ポリエステルメラミン系樹脂、アクリルイソシアネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が、水性溶液型塗料では、例えば、アクリルメラミン系樹脂、アルキッドメラミン系樹脂等が、水性ディスパージョン型塗料では、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂等が、粉体塗料では、例えば、アクリルイソシアネート系樹脂、ポリエステルイソシアネート系樹脂、ポリエステルエポキシ系樹脂等が、紫外線・電子線硬化塗料では、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が使用される。本発明の紫外線遮蔽性組成物を用いた塗料は、金属板用、特に自動車用、コイルコーティング用、建材用、木工用等に好適である。
尚、本発明の紫外線遮蔽性組成物をコーティング剤や接着剤の製造に使用する場合も、製造方法、紫外線吸収剤組成物の使用量は塗料の場合と同様である。
本発明の紫外線遮蔽性組成物を捺染剤(通常、分散体)として使用する場合には、媒体の重合体としては、従来公知のアクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、合成ゴム等が挙げられる。これらはエマルジョンの形態で使用される。
本発明の紫外線遮蔽性組成物を各種印刷インキ用に使用する場合には、媒体の重合体としては、従来公知の印刷インキ用のビヒクル重合体が使用される。
印刷インキとしては、従来公知の輪転、枚葉等のオフセットインキ、プラスチックフィルム・シート用、アルミ箔用、建材・化粧板用等のグラビヤインキ、金属板用インキ等のインキが挙げられる。また、本発明の上記組成物は、電子写真用現像剤およびインクジェットインキの製造にも使用することができる。例えば、従来公知のフルカラー、モノカラー、モノクロの乾式現像剤、湿式現像剤、水性、油性、ソリッドタイプのインクジェットインキが挙げられる。本発明の上記組成物は、特に広告、看板用、外装塗装用等のフルカラー画像の用途に使用される現像剤やインキの製造に好適である。
本発明の紫外線遮蔽性組成物には、用途に応じて、着色剤を添加することができる。着色剤としては、合成樹脂の着色、塗料、捺染剤、印刷インキ、電子写真用現像剤あるいはインクジェットインキ等の物品を着色するために従来から使用されている色素が使用され、特に限定されない。色素としては、例えば、通常使用されている有機顔料、無機顔料および体質顔料および染料が使用される。
具体的には、例えば、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ポリアゾ系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン−ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピロロピロール系顔料、蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック顔料、酸化チタン系顔料、黄色酸化鉄、弁柄、酸化クロム、群青、複合酸化物顔料、硫化亜鉛等の無機顔料、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウム等の体質顔料、更に分散染料、油溶性染料が挙げられる。
色素の変色、褪色等に対する耐久性の向上に前記の紫外線吸収剤組成物の使用は効果的であり、そのために前記のように合成樹脂用着色組成物、塗料、捺染剤、印刷インキ、電子写真用現像剤あるいはインクジェットインキ等の着色組成物の調整時に前記紫外線吸収剤組成物と色素を重合体に添加、混合する方法や予め色素の製造工程中に色素を紫外線吸収剤組成物と混合処理したり、紫外線吸収剤組成物で被覆処理をし、色素の加工品として使用する方法等を用いることもできる。目的によっては複数の重合体結合機能剤を併用して処理することや、被覆処理の場合には微小重合体ビーズ状に加工したり、架橋処理等により色素に重合体結合機能剤を固定化することも有効である。
以上の重合体結合紫外線吸収剤と微粒子酸化亜鉛を組み合わせた紫外線吸収剤組成物は、A領域、B領域において紫外線の吸収に優れ、且つ可視光領域の透過率が大で透明性に優れている。また、以上の紫外線吸収剤組成物は、耐溶剤性、耐ブリード性に優れ、透明性が高いことから、広範囲の紫外線遮蔽効果に優れた紫外線遮蔽性組成物およびその加工物品の製造に有用である。
次に合成例および実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、文中の部または%とあるのは質量基準である。
合成例1
(1)3−[3′−(2″H−ベンゾトリアゾール−2″−イル)−5−tert−ブチル−4′−ヒドロキシジフェニル]プロピオン酸259部とエチレン−ビニルアルコール共重合体(ビニルアルコール含有量:16.8%、数平均分子量:16,000)200部をキシレンに溶解し、220℃で5時間、縮合反応させることにより重合体結合紫外線吸収剤を得た。
得られた重合体結合紫外線吸収剤の紫外線吸収剤残基の含有量は、3−(2′H−ベンゾトリアゾール−2′−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール基換算の含有率で示すと35%である。
実施例1
(1)合成例1で得られた重合体結合紫外線吸収剤を紫外線吸収剤残基の含有量が10%になるようにポリエチレン樹脂に配合し、スクリュー形二軸押出成形機により混練部の温度を200℃として混練押出して重合体結合紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチを作製した。
(2)別に、微粒子酸化亜鉛(一次粒子径0.02μm:BET値からの換算)をポリエチレン樹脂に20%配合し、スクリュー形二軸押出成形機により混練部の温度を200℃として混練押出して微粒子酸化亜鉛含有ポリエチレンマスターバッチを作製した。
(3)上記(1)で得られた重合体結合紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチ15部、上記(2)で得られた微粒子酸化亜鉛含有ポリエチレンマスターバッチ10部をポリエチレン樹脂75部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、重合体結合紫外線吸収剤が1.5%、微粒子酸化亜鉛が1.0%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
実施例2
実施例1(1)で得られた重合体結合紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチ15部、実施例1(2)で得られた微粒子酸化亜鉛含有ポリエチレンマスターバッチ15部をポリエチレン樹脂70部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、重合体結合紫外線吸収剤が1.5%、微粒子酸化亜鉛が1.5%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
比較例1
実施例1(1)で得られた重合体結合紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチ20部をポリエチレン樹脂80部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、重合体結合紫外線吸収剤が2%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
比較例2
実施例1(2)で得られた微粒子酸化亜鉛含有ポリエチレンマスターバッチ20部をポリエチレン樹脂80部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、微粒子酸化亜鉛が4%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
比較例3
実施例1(1)で得られた重合体結合紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチ3部をポリエチレン樹脂97部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、重合体結合紫外線吸収剤が0.3%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
比較例4
(1)市販品のベンゾトリアゾール系低分子量紫外線吸収剤をポリエチレン樹脂に10%配合し、スクリュー形二軸押出成形機により混練部の温度を200℃として混練押出して低分子量紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチを作成した。
(2)上記(1)で得られた低分子量紫外線吸収剤含有ポリエチレンマスターバッチ3部をポリエチレン樹脂97部と配合、混合しスクリュー型押出成形機を使用して、スクリュー回転数50rpmにて200℃で混練溶融し、これを円形ダイより円筒状に押出してインフレーション法により厚さ50μmのフィルムに成膜して、市販の低分子量紫外線吸収剤が0.3%配合された紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを得た。
(試験方法)
上記の実施例および比較例により得られた紫外線遮蔽ポリエチレン系樹脂フィルムを使用し、紫外線に対する遮蔽能と可視光に対する透明性を評価するために光透過率の測定および有機溶剤に対する耐久性を見るために溶剤への溶出試験を行った。試験方法は次のとおりである。
(1)光透過率測定
分光光度計(日立社製)により、波長200〜500nmの光透過率を測定する。波長265nm、波長300nmのB領域紫外線、波長350nmと385nmのA領域紫外線および500nmの可視領域の光透過率を測定して、紫外線に対する遮蔽能と可視光に対する透明性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004417683
表1から明らかなように、実施例1および2の重合体結合紫外線吸収剤と微粒子酸化亜鉛を組み合わせた紫外線吸収剤組成物を配合したポリエチレンフィルムは、比較例1の重合体結合紫外線吸収剤単独を配合したポリエチレンフィルムに比べ、300nm以下の短波長領域においても紫外線を吸収している。
また、実施例1および2の紫外線吸収剤組成物を配合した該フィルムは、比較例2の微粒子酸化亜鉛のみを配合した該フィルムに比べ、300nmのB波長領域紫外線、350nmと385nmのA波長領域紫外線の吸収に優れ、500nmの可視光の透過率が大で透明性に優れている。
従って、実施例1および2の紫外線吸収剤組成物を配合したポリエチレンフィルムは、比較例2の微粒子酸化亜鉛を単独で配合した該フィルムよりも紫外線の吸収に優れ、可視光の透過率が大で透明性に優れている。特に、実施例1のポリエチレンフィルムは、透明性を重視した配合処方の該フィルムであり、実施例2は紫外線遮蔽性を重視した配合処方による該フィルムである。
(2)有機溶剤溶出試験
実施例1の紫外線吸収剤組成物が配合されたポリエチレンフィルム、比較例2の微粒子酸化亜鉛のみが配合されたポリエチレンフィルム、比較例3の重合体結合紫外線吸収剤のみが配合されたポリエチレンフィルムおよび比較例4の市販品ベンゾトリアゾール系低分子量紫外線吸収剤を含んだポリエチレンフィルムを表2に記載の各種有機溶剤に48時間浸漬させ、その後フィルムを分光光度計で測定し、極大吸収波長の吸収残率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004417683
表2から明らかなように、低分子量の紫外線吸収剤は各種溶剤に容易に溶出してしまうのに対し、重合体結合紫外線吸収剤および微粒子酸化亜鉛は各種溶剤に対し耐溶剤性、耐ブリード性に優れている。従って、それらを組み合わせた前記の紫外線吸収剤組成物は各種溶剤に対し耐溶出性、耐ブリード性に優れている。

Claims (5)

  1. 紫外線吸収性有機機能剤(A)紫外線吸収性無機顔料(B)とが、媒体としての重合体と混練され、または媒体としての重合体の溶液あるいは水系分散体中に溶解および分散されてなる紫外線遮蔽性組成物において、上記紫外線吸収性有機機能剤が、それぞれ相互に縮合反応する反応性基を有する紫外線吸収剤と、重合体の上記反応性基とを縮合させて得られる、上記紫外線吸収剤が上記重合体鎖に結合してなる重合体結合紫外線吸収剤であり、上記紫外線吸収性無機顔料が紫外線吸収性微粒子白色無機顔料であり、上記A:Bの質量%が95〜5:5〜95であり、波長320〜400nmの紫外線と波長290〜320nmの紫外線との両方を吸収することを特徴とする紫外線遮蔽性組成物。
  2. 紫外線吸収性微粒子白色無機顔料が、平均粒子径が5〜100nmである微粒子酸化亜鉛顔料および/または微粒子酸化チタン顔料である請求項1に記載の紫外線遮蔽性組成物。
  3. 請求項に記載の紫外線遮蔽性組成物を用いて形成されたことを特徴とする紫外線遮蔽性加工物品。
  4. 工物品が成形体、紙、不織布、繊維および電子写真用乾式現像剤から選択されるものである請求項に記載の紫外線遮蔽性加工物品。
  5. 工物品が請求項に記載の紫外線遮蔽性組成物の溶液または水系分散体からなる捺染剤、塗料、コーティング剤、接着剤、印刷インキ、インクジェットインキおよび電子写真用湿式現像剤から選択されるものである請求項に記載の紫外線遮蔽性加工物品。
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