JP4615665B2 - 樹脂組成物および該樹脂組成物を利用した熱線および/または紫外線遮蔽材 - Google Patents

樹脂組成物および該樹脂組成物を利用した熱線および/または紫外線遮蔽材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機微粒子を分散性良好に含有する樹脂組成物および該樹脂組成物を利用した熱線および/または紫外線遮蔽材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無機微粒子をポリマー中へ均一に分散させることは、必要とする効果を発揮させるために、様々な技術分野で従来から要望されているところである。例えば塗料においては、紫外線遮蔽性無機微粒子や熱線遮蔽性無機微粒子といった添加剤がマトリックスポリマーに添加されて塗料組成物とされることがあるが、これら添加剤がポリマー中に均一分散していることがもちろん望ましい。これまでの添加剤とポリマーの混合分散方法は、ボールミルやアトライタ等一般的混合機を用いた機械的混合分散であった。また分散性の一層の向上を図るため、カップリング剤系や有機酸系の処理剤で添加剤表面を処理することも併せて行われていた。
【0003】
しかし、無機微粒子は粒径が小さくなるほど粒子間力が大きくなることが知られており、特にサブミクロンという極めて小さい粒径の粒子では、粒子同士の凝集力は非常に強固となって、単なる機械的混合分散で均一分散を図ることは困難であった。一方で、無機微粒子等の添加剤がマトリックスポリマーに均一分散していない樹脂組成物を用いて塗膜や板を形成すると、良好な透明性や色調を得ることができないといった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サブミクロン域の無機微粒子が均一に分散させ得るポリマーを見出して、透明性、色調に優れた塗膜あるいは成形体を形成することのできる樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂組成物は、1分子中に、酸基および/またはアミノ基を0.0002〜2mol/kgの範囲で有し、かつ、2個のヘテロ原子の間に直接または炭素を介して炭素数が3以上のアルキレン基が挟まれた構造を有するポリマーと、平均粒径が100nm以下の無機微粒子とを含有するところに要旨を有する。酸基および/またはアミノ基と特定のアルキレン構造を有するポリマーの利用によって、サブミクロン域の無機微粒子を均一に分散させることができた。特に、無機微粒子が熱線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物である構成は、優れた性能の熱線および/または紫外線遮蔽材を製造する上で好ましい。
【0006】
本発明の樹脂組成物は、前記ポリマー以外に熱可塑性樹脂をさらに含有するものであってもよく、特に、樹脂組成物から熱線および/または紫外線遮蔽材を成形する際に、有用である。しかも、前記ポリマーは熱可塑性樹脂との相溶性に優れているため、透明性に優れた遮蔽材を得ることができる。
【0007】
本発明の樹脂組成物を利用した熱線および/または紫外線遮蔽材としては、別の基材上に、本発明の樹脂組成物を用いた塗膜が形成されているパターンと、熱線および/または紫外線遮蔽材自体が樹脂組成物を用いて成形されたものであるパターンとが含まれる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、従来から特に均一分散が困難とされていたサブミクロン域の粒径の無機微粒子をポリマー中に均一分散させることができないか、種々の検討を重ねた結果、ポリマー分子中に特定のアルキレン構造を存在させるとともに、特定量の酸基および/またはアミノ基とすることにより優れた分散性が得られることを見出し、本発明をなすに至った。なお、本発明における「ポリマー」とは、ホモポリマーのみならず、本発明の目的を阻害しないコポリマーおよび三元以上の多元共重合体も含む意味である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の樹脂組成物の大きな特徴の一つは、主体となるポリマーの分子中に、2個のヘテロ原子の間に直接または炭素を介して炭素数が3以上のアルキレン基が挟まれた構造が存在している点にある。無機微粒子を均一に分散させるには、無機微粒子に対する親和力(濡れ性)と無機微粒子を吸着する力、および無機微粒子の凝集を阻害する立体的大きさや電気的反発力がポリマーに備わっていることが必要と考えられる。
【0010】
本発明においては、ポリマー中のヘテロ原子に挟まれた炭素数3以上のアルキレン基が無機微粒子に対する親和力を発揮し、また後述する酸基またはアミノ基が、無機微粒子の吸着点となっていると推測される。すなわち、ポリマー中に上記特定のアルキレン構造が存在することにより、ポリマーの無機微粒子に対する親和性が向上するとともに、ポリマー中の酸基またはアミノ基がイオン的に無機微粒子を吸着するため、無機微粒子が凝集していても機械的撹拌のみによって分散が進み、均一な分散状態が得られるものと考えられる。そして、均一分散の結果、本発明の樹脂組成物から得られる塗膜あるいは成形体は、透明性および色調に優れたものとなるのである。
【0011】
アルキレン基の炭素数は3以上でなければ、無機微粒子の分散性が向上せず、最終的に良好な透明性の塗膜や成形体を得ることができないため好ましくない。
アルキレン基のより好ましい炭素数は4以上である。また炭素数の好ましい上限は18である。
【0012】
またこのアルキレン基は、直接または炭素原子を介して、ヘテロ原子で挟まれている必要がある。前記アルキレン基がヘテロ原子で挟まれているのがよい理由は定かではないが、おそらく無機微粒子に対する親和性を示すのに適度な極性を発現するためと推測している。なお、ヘテロ原子とは、主として酸素原子や窒素原子等が挙げられる。
【0013】
「2個のヘテロ原子の間に直接または『炭素を介して』炭素数が3以上のアルキレン基が挟まれている構造」の「炭素を介して」とは、ヘテロ原子にカルボニル基の炭素等、アルキレン基を構成しない炭素原子が結合し、この炭素原子にアルキレン基が結合した構造を意味している。一方、ヘテロ原子の間にアルキレン基のみが存在していれば「直接」挟まれている構造を意味する。
【0014】
炭素数が3以上のアルキレン基としては、特に限定はないが、メチレン基が3個以上連続した構造が好ましい。例えばトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。なお、炭素数が3以上のアルキレン基としては、環式構造のものよりも鎖式構造のものの方が好ましい。
【0015】
ポリマー分子中に炭素数が3以上のアルキレン基がヘテロ原子に挟まれた構造が存在するとは、主鎖および/または側鎖にこのような構造が組み込まれていることを示し、下記(a)〜(f)の形態が代表的な例として挙げられる。
【0016】
【化1】
【0017】
上記構造(a)中、Rは、炭素数1以上のアルキレン基、シクロ環または芳香環を表し、構造(c)および(d)中、nはカプロラクトンの付加モル数を表す。なお、構造(a)にのみ、主鎖も併記している。上記のうち、特に、構造(a)および(b)のように、2個のヘテロ原子の間に特定のアルキレン構造を有し、かつ、側鎖末端にカルボキシル基が位置している構造が側鎖に存在する場合は、無機微粒子の分散性に非常に優れているため好ましい。
【0018】
また主鎖中に存在する場合には下記の形態が代表例として挙げられる。
【0019】
【化2】
【0020】
炭素数が3以上のアルキレン基をヘテロ原子に挟まれた状態で分子中に存在させるには、この構造を有する単量体を用いてポリマーを作製する方法、あるいはこの構造を有する化合物を側鎖に付加する方法等を採ることができる。
【0021】
上記特定のアルキレン構造を有する単量体の具体例としては、例えばラジカル重合性単量体として、カプロラクトン変性カルボキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製;商品名「プラクセルFMA」シリーズ)等が挙げられる。「プラクセルFM4A」は、側鎖に特定のアルキレン構造を有する形態として例示した構造(a)を有する(メタ)アクリレートである。カプロラクトンを4モル付加しており、ヘテロ原子にカルボニル炭素1個を介して挟まれたペンタメチレン基(カプロラクトンに由来する)部分が4つ連結している。なお、Rはエチレン基である。「プラクセルFM10A」は、カプロラクトンを10モル付加させているので、上記ペンタメチレン基部分が10個連結した構造である。これらの単量体は、1分子中に無機微粒子に対する親和性に寄与すると考えられる特定構造のアルキレン基と、無機微粒子への吸着点となり得るカルボキシル基とを有しており、ポリマーにこれらの官能基を容易に導入することができ、後述する他の単量体とも共重合するため、特に好ましいものとして挙げることができる。
【0022】
また、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製;商品名「プラクセルF」シリーズ)、カプロラクトン変性アセトアセチル(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製;商品名「プラクセルATF」シリーズ)等も、ポリマー側鎖に特定のアルキレン構造を導入するための単量体として用いることができる。これらは、後述する酸基および/またはアミノ基を有する単量体と併用すると、ポリマー中の酸基および/またはアミノ基を本発明の規定範囲内にすることができる。
【0023】
これらの特定のアルキレン構造を有するラジカル重合性単量体は、後述する他の単量体と共重合することが好ましいが、その場合は、無機微粒子との親和性が発揮される点で、単量体全量中0.2質量%以上用いることが好ましい。
【0024】
また、上記特定のアルキレン構造を有し、縮重合に使用される単量体としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、コハク酸等の多価カルボン酸、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等のアルキレングリコール類;ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレンエーテルグリコール類;等の多価アルコール類が挙げられる。
【0025】
ポリマーを形成した後、特定のアルキレン構造を有する化合物を側鎖に付加する方法を採用する場合には、ポリマー中のカルボキシル基、ヒドロキシル基またはアミノ基に対しラクトン化合物を反応させるとよい。
【0026】
本発明の樹脂組成物の主たる成分であるポリマーの第2の大きな特徴は、ポリマーの酸基および/またはアミノ基が、ポリマー1kg中、0.0002〜2molの範囲で存在している点にある。ポリマー中に存在する酸基および/またはアミノ基が、無機微粒子をイオン的に吸着して、無機微粒子の分散を促進させるため、これらの官能基を有さないポリマーでは、無機微粒子を均一に分散させることができない。なお、ポリマーの性質上、酸基のみあるいはアミノ基のみを上記範囲で有していることが好ましいが、両者を有していてもよい。
【0027】
酸基とアミノ基の合計が0.0002mol/kgより少ないと、無機微粒子の分散性向上効果が発揮されないが、2mol/kgより多いと、無機微粒子同士の間がポリマーで架橋する状態となり、樹脂組成物が増粘してしまうため、取扱い上、好ましくない。酸基および/またはアミノ基の好ましい下限は、0.002mol/kgであり、さらに好ましい下限は0.009mol/kgである。他方酸基および/またはアミノ基の好ましい上限は1mol/kgであり、さらに好ましくは0.5mol/kgである。酸基の種類としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基が挙げられ、アミノ基にはイミノ基も含まれる。なお、酸基の測定方法は実施例において後述する。アミノ基は、酸基の測定方法に準じ、滴定にパラトルエンスルホン酸標準溶液(酢酸溶液)を用いて行うことができる。
【0028】
ポリマー中に上記官能基を導入する方法としては、これらの官能基を有する単量体を用いてポリマーを作製する方法、あるいはこれらの官能基を有する化合物を側鎖に付加する方法等を採ることができる。
【0029】
ポリマー中に酸基を導入するために用いられる単量体としては、ラジカル重合性を有するものとして、前記したカプロラクトン変性カルボキシ(メタ)アクリレートの他に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等の酸性リン酸基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、イソプレンやブタジエン等のジエン化合物の共役二重結合の1つをスルホン化した単量体、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HAPS)等のスルホン酸基含有単量体が挙げられる。
【0030】
ポリマー中にアミノ基を導入するために用いられる単量体としては、ラジカル重合性を有するものとして、アルキレンイミン、ビニルアミン、アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
本発明のポリマーは、前記構成を満足するものであれば、特に限定されないが、例えばアクリル系ポリマーやポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマーが挙げられる。特に、塗膜や成形体としたときの特性、特に耐候性、透明性等を考慮すると、アクリル系ポリマーとポリエステル系ポリマーが好ましいものとして挙げられる。
【0032】
アクリル系ポリマーは、前記したヘテロ原子に挟まれた炭素数が3以上のアルキレン基を有するラジカル重合性単量体、官能基含有ラジカル重合性単量体のうち、(メタ)アクリル系のラジカル重合性単量体と、必要に応じ、その他の(メタ)アクリル系のラジカル重合性単量体を用いて、公知の重合方法で重合することにより得ることができる。
【0033】
共重合可能な他の(メタ)アクリル系のラジカル重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類;
シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、4−メチロールシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、チシリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等のアリールアルキル(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、イミド(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の含窒素(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個以上の重合性二重結合を有する(メタ)アクリレート類;「アデカスタブLA82」や「アデカスタブLA87」(いずれも旭電化工業社製)等の(メタ)アクリロイル基含有紫外線安定性単量体;「RUVA93」(大塚化学社製)等の(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収性単量体;等が挙げられる。これらの単量体は、必要に応じて一種類のみを用いてもよく、また二種以上を用いてもよい。
【0034】
特に、樹脂組成物から得られる塗膜や成形体が、長期耐候性が要求される場合は、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート類、tert−ブチル(メタ)アクリレート、紫外線安定性単量体および紫外線吸収性単量体を単量体の一部として用いることが好ましい。
【0035】
もちろん、アクリル系ポリマーを合成するために用いられる単量体の一部において、前記したヘテロ原子に挟まれた炭素数が3以上のアルキレン基を有するラジカル重合性単量体、官能基含有ラジカル重合性単量体のうちの(メタ)アクリル系でない単量体や、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン;マクロモノマー(例えば、東亞合成化学工業社製;商品名「AA−6」、「AS−6」、「AB−6」等)等のラジカル重合性単量体を用いてもよい。
【0036】
上記各種単量体の混合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の混合方法が採用され得る。
【0037】
また単量体組成物を共重合させる際のラジカル重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の重合方法が採用され得る。例えば、溶液重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合等の重合方法が使用できる。溶液重合法を用いて単量体組成物を重合させる場合に用いることができる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、その他の芳香族系溶媒;iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これら溶媒は一種のみを使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。なお、溶媒の使用量は生成物の濃度等を考慮して、適宜定めればよい。
【0038】
また単量体組成物をラジカル重合させる際には重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤の使用量は、要求されるポリマーの特性値等から適宜決定されるべきものであり、特に限定はないが、単量体成分全量に対して0.01〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%の範囲である。
【0039】
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜200℃の範囲が好ましく、40〜140℃がより好ましい。なお反応時間は、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
【0040】
本発明で使用するポリマーがポリエステル系ポリマーの場合、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得ることができる。
【0041】
ポリエステル系ポリマーに用いる多価カルボン酸類としては、前記炭素数が3以上のアルキレン基を有するものの他、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、メチルメジック酸等の脂環式ジカルボン酸;これらカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルが挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用される。
【0042】
ポリエステル系ポリマーに用いる多価アルコール類としては、前記炭素数が3以上のアルキレン基を有するものの他、例えばエチレングリコール、1,4−ブテンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレンエーテルグリコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族多価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類およびビスフェノール類のアルキレンオキサイドを挙げることができ、これらの1種又は2種以上が使用される。
【0043】
本発明のポリマーがポリエステル系ポリマーの場合、酸基の存在量(酸価)を前記規定範囲とするには、カルボン酸単量体の割合をアルコール単量体よりも多くするか、アルコール単量体を多く使用する場合には適量な酸価まで反応が進行した時点で反応を終了すればよい。
【0044】
また分子量の調整や反応の制御を目的として、モノカルボン酸、モノアルコールを必要により使用してもよい。モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、パラオキシ安息香酸、トルエンカルボン酸、サリチル酸、酢酸、プロピオン酸およびステアリン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、ベンジルアルコール、トルエン−4−メタノール、シクロヘキサンメタノール等のモノアルコールが挙げられる。
【0045】
このポリエステル系ポリマーは、これら原料を使用して通常の方法で製造される。例えば、アルコール成分と酸成分を所定の割合で反応容器に仕込み、窒素等の不活性ガスを吹き込みながら、触媒の存在下150〜190℃の温度で反応を開始する。副生する低分子化合物は連続的に反応系外へ除去される。その後、更に反応温度を210〜250℃に上げて反応を促進し、目的とするポリエステル系ポリマーを得る。反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの条件下でも行うことができる。
【0046】
上記触媒としては、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属;およびこれらの金属含有化合物が挙げられる。
【0047】
本発明で使用するポリマーの平均分子量は特に限定されないが、有機溶剤に対する溶解性や無機微粒子の分散性等を考慮すると、1×103〜1×106の範囲が好ましく、2×103〜5×105の範囲がより好ましい。
【0048】
本発明では、平均粒径が100nm以下の無機微粒子を分散させている点が大きな特徴である。樹脂組成物中に前記ポリマーを存在させることにより、小さい粒径の無機微粒子でもポリマー中に均一に分散させることができ、塗膜や成形体の透明性や色調を高めることができる。
【0049】
本発明で使用する無機微粒子の平均粒径は100nm以下であることが必要であり、より好ましくは50nm以下である。該平均粒径が100nmよりも大きいと、得られる塗膜や成形体の透明性や色調が低下する。より優れた分散性の観点からは、無機微粒子の好ましい下限値は5nmであり、より好ましくは10nmである。また無機微粒子の粒径の変動係数(粒径分布)は、50%以下が好ましく、さらには30%以下が好ましい。無機微粒子の粒径分布が広すぎる、すなわち粒径の変動係数が50%を超えると、得られる塗膜や成形体の透明性が低下するおそれがある。ここで本発明における平均粒径とは、無機微粒子を含む分散液を必要に応じて塗料溶媒で希釈して、動的光散乱方式による粒径アナライザー(「NICOMPModel1370」野崎産業社製)を用いて測定した質量基準の平均分散粒径をいう。
【0050】
本発明で使用できる無機微粒子としては、特に限定はなく例えば金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属酸化物等の無機微粒子を挙げることができる。樹脂組成物で塗膜や成形体を形成したときの、熱的安定性および化学的安定性が高く、且つ透明性が優れた塗膜・成形体を形成することのできる材料が求められている点で、上記無機微粒子の中でも、熱線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物の微粒子が好ましく使用される。
【0051】
この好ましい金属酸化物としては、例えば酸化亜鉛、酸化インジウムおよび/または酸化インジウムにIV価金属元素および/またはFを含有させた酸化インジウム系酸化物、酸化スズおよび/または酸化スズにV価金属元素および/またはFを含有させた酸化スズ系酸化物、酸化亜鉛にIIIB族金属元素、IVB族金属元素等のIII価金属元素、IV価金属元素、FおよびCのうち少なくとも一つの元素を含有させた酸化亜鉛系酸化物、スズ酸カドミウム等が挙げられる。これらの無機微粒子の製造法は、例えば、特開平8−253317号、特開平9−59591号等に開示されている。
【0052】
本発明で使用できる無機微粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等任意の形状でよく、特に限定されない。またより一層の分散性向上を図るため、有機酸系、カップリング剤系、界面活性剤、金属石鹸系、金属塩系、アルカリシリケート系、リン酸塩系、金属アルコキシド系等から選択される1種または2種以上の表面処理剤で無機微粒子表面を処理してもよい。
【0053】
本願の無機微粒子の含有量は、ポリマー100質量部に対して1〜90質量部の範囲が好ましく、さらには10〜80質量部の範囲が好ましい。無機微粒子の含有量が1質量部より少ないと、充分な熱線および/または紫外線遮蔽効果を得ることができないことがあり、他方含有量が90質量部より多いと、得られる塗膜や成形体の透明性、色調の他、可撓性等の物性が低下するおそれがある。
【0054】
本願の樹脂組成物には、これまで説明した特定のアルキレン構造を有するポリマー以外の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。例えば、基材の上に、無機微粒子が均一に分散された塗膜を形成する場合には、上記ポリマーと無機微粒子を含む樹脂組成物を塗布して塗膜を形成すればよいが、熱線および/または紫外線遮蔽板のような成形体を製造する場合には、成形体自体に強度やその他の特性が要求されるため、上記ポリマーと無機微粒子と共に、熱可塑性樹脂を併用することが推奨される。
【0055】
このような熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂をいずれも用いることができる。特に、成形体を、熱線および/または紫外線遮蔽材に利用する場合は、透明性に優れ、強度にも優れるポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。本発明で用いられる特定のアルキレン構造を有するアクリル系ポリマーは、通常アクリル系ポリマーと相溶しにくいと言われているポリカーボネート樹脂とも良好に相溶し、透明性に優れた成形体を得ることができる。
【0056】
本発明の樹脂組成物として熱可塑性樹脂併用パターンのものを用いる場合は、ポリマーと無機微粒子の量比を前述した範囲にすることが好ましく、樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂とポリマーと無機微粒子の使用量については、特に限定されないが、樹脂組成物を用いてシート状あるいは板状等の成形体を得たときに、この成形体の単位面積当たりの無機微粒子含有量が、または法線方向(上方)からの投影面積中の無機微粒子含有量が0.5〜40g/m2となるようにすることが好ましい。熱線および/または紫外線遮蔽効果等の無機微粒子に由来する効果が良好に発揮されるからである。より好ましい無機微粒子の含有量は、1〜20g/m2である。
【0057】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて種々の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤;紫外線安定剤;塗料等の層形成用組成物に一般に使用されるレベリング剤;黄鉛、モリブデートオレンジ、紺青、カドミウム系顔料、チタン白、複合酸化物顔料、透明酸化鉄、カーボンブラック、環式高級顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、染付顔料、顔料中間体等の顔料;顔料分散剤;抗酸化剤;粘性改質剤;シランカップリング剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;充填剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防食剤;防錆剤;蛍光性増白剤;有機・無機防炎剤;滴下防止剤;溶融流改質剤;静電防止剤等が挙げられる。また、フタロシアニン化合物や、特開平9−59591号に開示されているような近赤外域に吸収を持ち、かつ溶解性と耐候性に優れている有機系色素等を配合してもよい。
【0058】
前記ポリマー中に無機微粒子を分散させるには、必要により溶剤の存在下で、単軸あるいは2軸押出機、ラボプラストミル、ブラベンダ型ミキサー、ボールミル、アトライター、サンドグライダ、三本ロール、高速インペラーミル、ジェットミル、ニーダ、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、超音波分散機等の従来公知の従来公知の撹拌機や分散機を使用して、両者を混合撹拌すればよい。
【0059】
また、熱可塑性樹脂を併用するパターンでは、成形体を製造する場合が多いので、押出機等で、熱可塑性樹脂とポリマーと無機微粒子を溶融混練し、押出成形する方法、あるいは、熱可塑性樹脂に高濃度にポリマーと無機微粒子を含有させたマスターバッチペレットと、熱可塑性樹脂ペレット(無機微粒子を含まない)を溶融混練して押出成形する方法等、適宜選択可能である。溶融混練前に予めポリマー中に無機微粒子を分散させておいてから、熱可塑性樹脂とこの分散物とを溶融混練すると、無機微粒子の分散状態が最も良好になり、極めて透明度の高い成形体を得ることができる。なお、成形方法は、押出成形に限られず、公知の成形方法が利用可能である。
【0060】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含有しないパターン、含有するパターン、いずれにおいても、アルミニウム、ステンレス、トタン、ブリキ、塗装鋼板、コンクリート、モルタル、スレート、ガラス等の無機素材;木材、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ABS樹脂等のプラスチック、あるいは木材や紙等の有機素材等からなる各種成形体、棒、基板またはフィルム等の各種基材に塗布されて、塗膜を形成することができる。無機微粒子として、熱線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物を用いた場合には、これにより、熱線および/または紫外線遮蔽能を有する塗膜が基材上に形成された構成の熱線および/または紫外線遮蔽材を得ることができる。
【0061】
塗布方法としては特に限定されず、基材の種類に応じて、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、カーテンフローコータ、ロールコート、スピンコート、バーコート、静電塗装等の方法により行うことができる。また、本発明の樹脂組成物の塗膜を基材に形成させた後に、成形加工することもできる。
【0062】
さらに、熱可塑性樹脂を含有するパターンの樹脂組成物においては、前記したように成形体に成形することができ、無機微粒子として、熱線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物を用いた場合には、これにより、熱線および/または紫外線遮蔽材を得ることができる。成形体の形状としては、特に限定されず、フィルム・シート状、板状、容器等、あらゆる形状に成形することができる。塗膜を基材上に形成する場合よりも、成形体自体に熱線・紫外線吸収能を付与でき、塗装工程が省略できることからコストダウンが図れ、種々の用途への展開が可能である。成形方法としては、熱可塑性樹脂を成形するときに用いられる公知の方法がいずれも採用可能である。
【0063】
本発明の熱線および/または紫外線遮蔽材は、紫外線からの内容物の保護、紫外線による印刷物等各種材料の退色・変質・劣化の防止、紫外線からの人体の保護等を目的とした紫外線の遮断、冷房時の室内温度上昇の抑制、暖房時における室内の保温等を目的とした赤外線の遮断等を必要とする種々の分野等に極めて有用である。
【0064】
また、本発明の樹脂組成物から得られる塗膜または成形体は、熱線および/または紫外線遮蔽材に限られず、無機微粒子が均一に分散したものであるので、静電気障害の防止、プラスチック、紙、布等の導電性付与等の帯電防止および導電化等を必要とする種々の分野でも有用である。
【0065】
具体的には、食品包装、医薬品包装、化粧品包装、電子材料包装等に使用される各種包装用フィルム・容器、農業用フィルム、温室用フィルム、建材用・自動車用等での保護フィルム、建造物・自動車・高温炉等の窓材、あるいはこれらの窓材用の粘着フィルム、接着フィルムまたは塗料、衣服や帽子等衣料用の涼感性あるいは保温性に優れる繊維製品用の保護膜、サングラス等の眼鏡レンズあるいはレンズ用保護膜、傘、サンルーフ等の保護膜として、本発明の樹脂組成物から得られる塗膜あるいは成形体を活用することができる。これにより、透明性を維持しながら、紫外線、赤外線を有効に遮断することができ、帯電防止効果も発揮させることができる。なお、化粧品に樹脂組成物を配合してもよい。
【0066】
さらに、クリーンルームや自動車等の窓材、衣料、各種CRT、LCD等の各種ディスプレー画面、タッチパネル等の帯電防止化、あるいはファクシミリ用記録紙等の静電記録紙等の導電化等にも、本発明の樹脂組成物を利用することができ、塗膜として、あるいは、フィルム等の成形体等として、種々の形態で利用可能である。
【0067】
本発明の樹脂組成物から得られる塗膜を他の基材上に形成した場合、または本発明の樹脂組成物から得られた成形体については、さらに、種々の公知の表面処理を施すことが可能である。例えば、特願平11−228000号に開示されているシリコーン系硬化性樹脂、有機ポリマー複合微粒子を含む硬化性樹脂、多官能アクリレート樹脂等を用いて表面保護層を形成すると、耐候性、耐擦り傷性、耐汚染性を付与することができる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお特に断りのない限り、実施例および比較例に記載された「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示すものとする。
【0069】
実施例1
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた500mlのフラスコに酢酸n−ブチル122部を仕込み、窒素ガスを導入し、撹拌しながら110℃に加熱した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEAと省略)12.4部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMAと省略)45.0部、メチルメタクリレート(MMAと省略)26.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHAと省略)10.8部、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(「アデカスタブLA87」;旭電化工業社製;LA87と省略)2.0部、カプロラクトン変性カルボキシメタクリレート(「プラクセルFM4A」;カプロラクトン4モル付加物;ダイセル化学工業社製;FM4Aと省略)3.7部および開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−Eと省略)1.2部の混合物を3時間かけて仕込物に滴下し、滴下開始4時間後、5時間後にそれぞれABN−Eを1.2部追加し、その後さらに3時間加熱し、アクリルポリマーが45.4%含まれた酢酸n−ブチル溶液を得た。
【0070】
このアクリルポリマーの物性を下記に示す方法により測定した。またこのアクリルポリマー溶液100部に対して平均粒径20nmの酸化亜鉛を150部添加し、ペイントシェーカーで3分間撹拌した後、イソシアネート系硬化剤(「N3200」;住友バイエルウレタン社製)をNCO基/OH基が等モルとなるように配合し、酢酸n−ブチルで固形分が40%になるまで希釈した。この樹脂組成物をガラス板上に、乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥後、得られた塗膜のヘイズ値を測定した。結果を表2に示した。
【0071】
(重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn))
アクリルポリマーのMw、MnをGPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィー、「HLC−8120GPC」東ソ社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0072】
(粘度)
300mlのマヨネーズ瓶に、実施例および比較例で合成したアクリルポリマー300gを採り、蓋をして25±0.2℃の恒温水槽に入れて調温する。調温後、B型粘度計に指定されたローターおよびガードをセットし、始動1分後の目盛り板の指数を読み取る。使用したローターNoと回転数に応じて定められた乗数を掛けて粘度指度を求める。
【0073】
(酸基濃度)
100mlビーカーに、実施例および比較例で合成したアクリルポリマー約1.0gを精秤し、混合溶剤(トルエン/メタノール=7/3vol比)10mlを加えて混合した後、自動滴定装置にセットし、0.02mol/lアルコール性KOHで電位差滴定を行う。空試験として同様の操作を混合溶媒のみについて行う。上記試験で得られた結果を下記式に代入して酸基濃度を算出した。
酸基濃度(mol/kg)={(V1−V2)×f×0.02}/S
1:本試験の0.02mol/lアルコール性KOHの使用量(ml)
2:空試験の0.02mol/lアルコール性KOHの使用量(ml)
f:0.02mol/lアルコール性KOHのファクター(力価)
S:試料の重さ(g)。
【0074】
(ヘイズ)
透明なプラスチックの内部または表面の不明瞭なくもり様の外観を示す指標であって、JIS K 6714に準拠して光線透過率を測定し、次式によってヘイズを算出した。
ヘイズ(%)=Td/Tt×100
式中、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率。
【0075】
実施例2〜5、比較例1〜5
表1に示す組成および配合量で実施例1と同様にしてアクリルポリマーを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。なお、表1中、MAAはメタクリル酸を、BAはブチルアクリレートを、M6200は2官能のポリエステルアクリレート(「M6200」;東亞合成化学工業社製)を、FM10Aはカプロラクトン変性カルボキシメタクリレート(「プラクセルFM10A」;カプロラクトン10モル付加物;ダイセル化学工業社製)を、FM1はカプロラクトン変性ヒドロキシメタクリレート(「プラクセルFM1」;カプロラクトン1モル付加物;ダイセル化学工業社製)を、NVは固形分(%)をそれぞれ示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
実施例6
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた500mlのフラスコにブタノール60部、トルエン62部を仕込み、窒素ガスを導入し、撹拌しながら100℃に加熱した。ブチルアクリレート8部、スチレン(Stと省略)18.7部、メチルメタクリレート25.3部、シクロヘキシルメタクリレート44.5部、LA87を1.0部、FM4Aを2.5部およびABN−E4.0部を混ぜて得られた混合物を3時間かけて仕込物に滴下し、滴下開始4時間後、5時間後にそれぞれABN−Eを0.2部追加し、その後さらに3時間加熱し、アクリルポリマーの45.6%溶液を得た。
【0079】
このアクリルポリマーの物性を実施例1と同様にして測定した。またこのアクリルポリマー溶液100部に対して平均粒径20nmの酸化亜鉛150質量部を添加してペイントシェーカーで3分間撹拌した後、酢酸ブチルで固形分が40%になるまで希釈した。この樹脂組成物をガラス板上に、乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥後、得られた塗膜のヘイズ値を測定した。
結果を表4に示した。
【0080】
実施例7〜8、比較例6〜比較例10
表3に示す組成および配合量で実施例6と同様にしてアクリルポリマーを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表4に示した。なお、表中のHO−MSは、ヘテロ原子(酸素)にカルボニル炭素を介して炭素数2のアルキレン基が挟まれた構造が2個連結し、末端カルボキシル基のメタクリルモノマー「ライトエステルHO−MS」(共栄社化学社製)である。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
実施例9
実施例6で得られたアクリルポリマー溶液100部、平均粒径20nmの酸化亜鉛6部およびポリカーボネート樹脂粉末(「パンライトK−1285WP」;帝人化成社製)549部を、ラボプラストミルを用い、280℃で5分間溶融混練した。酸化亜鉛の含有量は約1%である。この溶融物を引き続き押出成形し、厚さ1mmのポリカーボネートシートを得た。このポリカーボネートシートのヘイズは1.5であった。
【0084】
実施例10
実施例6で得られたアクリルポリマー溶液100部に、平均粒径20nmの酸化亜鉛を6部添加して、ペイントシェーカーで3分間撹拌しておき、この分散物と前記ポリカーボネート樹脂粉末549部を、ラボプラストミルを用いて280℃で5分間溶融混練した。この溶融物を引き続き押出成形し、厚さ1mmのポリカーボネートシートを得た。このポリカーボネートシートのヘイズは0.8であった。予め、アクリルポリマーで微粒子を分散させておいてから、ポリカーボネートと混練することにより、一層透明度が良好になることが確認できた。
【0085】
比較例11
比較例7で得られたアクリルポリマー溶液100部に平均粒径20nmの酸化亜鉛を6部添加して、ペイントシェーカーで3分間撹拌しておき、この分散物と前記ポリカーボネート樹脂粉末549部を、ラボプラストミルを用いて280℃で5分間溶融混練した。得られた溶融物は既に濁っていることが目視で確認できたが、引き続き押出成形し、厚さ1mmのポリカーボネートシートを得た。このポリカーボネートシートのヘイズは20であった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、分子中に特定のアルキレン構造が存在し、かつ、特定量の酸基および/またはアミノ基を有するポリマーを用いているので、サブミクロン域の無機微粒子が均一に分散されており、優れた透明性や色調の塗膜あるいは成形体を形成することができるようになった。

Claims (5)

  1. 1分子中に、酸基を0.0002〜2mol/kgの範囲で有し、かつ、下記構造(a)及び/または(c)を有するポリマーと、平均粒径が100nm以下の金属酸化物とを含有し、前記金属酸化物の含有量が、前記ポリマー100質量部に対して10質量部以上であることを特徴とする樹脂組成物。
    (上記構造(a)中、Rは、炭素数1以上のアルキレン基、シクロ環または芳香環を表し、nはカプロラクトンの付加モル数4または10を表し、(c)中、nはカプロラクトンの付加モル数を表す。)
  2. 前記金属酸化物が熱線および/または紫外線遮蔽能を有する金属酸化物である請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物が、前記ポリマー以外にさらに熱可塑性樹脂を含有するものである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 基材上に、請求項2または3に記載された樹脂組成物を用いた塗膜が形成されていることを特徴とする熱線および/または紫外線遮蔽材。
  5. 請求項2または3に記載された樹脂組成物を用いて成形されたものであることを特徴とする熱線および/または紫外線遮蔽材。
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