JP6915573B2 - 屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する耐候性、特に耐チョーキング性に優れた屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品に関する。
従来、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた成形品は、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形などの方法により成形されており、パイプ、継手、排水マス、雨樋、窓枠、サイディング、フィルム・シート材、ホース、チューブ、電線被覆材等の各種の建材に広く使用されている。
しかしながら、ポリ塩化ビニル系樹脂は、光や熱に対して不安定である欠点を有している。特に屋外で長期間使用されるパイプ、デッキ、窓枠、雨樋等の成形品は、日光中の紫外線、雨水等の作用により成形品表面が分解、浸食され白く変色する現象(いわゆるチョーキング現象)が起き、成形品の外観を著しく損なう問題があった。このチョーキング現象による変色を防ぐために紫外線吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が添加される技術(特開2001−181461号公報)が提案されているが、この技術では、長期間に亘るチョーキング防止効果の持続性がなく期待できない。
上記と同様に、チョーキングによる変色を防ぐために、ポリ塩化ビニル系樹脂に比べて耐候性に優れた他の樹脂材料、例えば、アクリル樹脂やフッ素樹脂等により成形品に表層を形成する技術の提案もあるが、この場合、成形装置が複雑になり、工程が増える等のコストアップの要因となってしまう(特開平5−125249号公報)。
特開2001−181461号公報 特開平5−125249号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、紫外線吸収剤の添加やコストアップの要因となる他樹脂による表層形成を行わなくても、長期に亘り耐候性に優れたポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、アクリル変性ポリオルガノシロキサンをポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5〜20質量部を添加したポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品は、紫外線吸収剤の添加や他樹脂による表層形成を行うことがなくても、屋外の用途の成形品として耐候性に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
したがって、本発明は、下記の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品を提供する。
1.ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを5〜20質量部、及び着色剤を0.1〜10質量部含有してなり、上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記式(1)で示されるポリオルガノシロキサン及び下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルからなるポリオルガノシロキサン・アクリル共重合体であり、且つ、平均粒径10〜60μmの粉体であることを特徴とする屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
Figure 0006915573
[式中のR 1 、R 2 、R 3 は、独立に炭素数1〜20個の1価炭化水素基、または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1個をハロゲン原子で置換した基を表し、Yはラジカル反応性基又は−SH基を有する有機基を表し、Z 1 、Z 2 は独立に水素原子、炭素数1〜4個の低級アルキル基、または、式−SiR 4 5 6 (R 4 、R 5 は独立に上記R 1 、R 2 、R 3 で示された炭素数1〜20個の1価炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、R 6 は炭素数1〜20個の1価炭化水素基、炭素数1〜20個の1価のハロゲン化炭化水素基、または、Yで示されたラジカル反応基もしくは−SH基を有する有機基を表す。)で示される基を表し、mは10,000以下の正の整数、nは1以上の整数である。]
CH 2 =C(R 7 )COOR 8 (2)
[式中のR 7 は水素原子又はメチル基を表し、R 8 はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
2.上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度が500〜1,500である上記1記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
3.上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して7〜15質量部である上記1又は2記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
4.上記着色剤が、無機顔料、有機顔料、塩基性染料、酸性染料、油溶染料及び分散染料の群から選ばれる上記1〜3のいずれかに記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
5.上記屋外用ポリ塩化ビニル硬質樹脂成形品が、雨樋、窓枠、屋外用フィルム・シート材、平板及び波板の群から選ばれる製品に用いられる上記1〜4のいずれかに記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
本発明のポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品によれば、紫外線吸収剤の添加や他樹脂による表層形成を行わなくても、長期に亘り耐候性に優れるものであり、屋外建材用途として、特に濃色系屋外建材に有用である。
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル単量体と塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(通常、塩化ビニル50質量%以上の共重合体)、塩素化塩化ビニル共重合体である。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィンモノマー、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が挙げられる。本発明におけるポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは500〜1,500であり、より好ましくは700〜1,300である。この平均重合度が500未満では耐衝撃強度が低く、要求を満たすことはできなくなる場合がある。また、上記の平均重合度が1,500を超えると、溶融粘度が高くなり、可塑剤なしで成形することが困難となる場合がある。なお、このポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K 7367−2に既定の溶融粘度法により測定した値である。
次に、本発明で用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサン・アクリル共重合体であり、下記一般式(1)で示されるポリオルガノシロキサン及び下記一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルが用いられる。
Figure 0006915573
上記式(1)中のR1、R2、R3は、独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基で例示される炭素数1〜20個の1価の炭化水素基であり、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1個をハロゲン原子で置換した基を表す。上記のR1、R2、R3としては、好ましくはメチル基がよい。
上記式(1)中のYは、ビニル基、アリル基、γ−メタクリロキシプロピル基等で例示されるラジカル反応性基であり、または、γ−メルカプトプロピル基等で例示される−SH基含有有機基を表す。また、上記式中、Z1、Z2は、独立に水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個の低級アルキル基、または、式−SiR456(R4、R5は独立にR1〜R3で示された炭素数1〜20個の1価の炭化水素基、または炭素数1〜20個の1価ハロゲン化炭化水素基を表し、R6はR1〜R3で示された炭素数1〜20個の1価炭化水素基、炭素数1〜20個の1価のハロゲン化炭化水素基、または、Yで示されたラジカル反応基もしくは−SH基をもつ有機基を表す。)で示されるトリオルガノシリル基を表す。mは10,000以下の正の整数を表し、nは1以上の整数、好ましくは1〜500の整数を表す。なお、1分子中で、R1〜R6、Yの各々は同一でも異なるものがあってもよい。
CH2=C(R7)COOR8 (2)
[式中のR7は水素原子又はメチル基を表し、R8はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
上記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート等が例示されるものであり、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルは、これと共重合可能な他の単量体の1種又は2種以上と混合して用いることができる。但し、本発明の所望の効果を十分に奏するためには、(メタ)アクリル酸エステルが70質量%以上、これと共重合可能な他の単量体が30質量%以下であることが好ましい。共重合可能な他の単量体としては、多官能又は単官能エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド及び不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のオキシラン基含有不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物等のポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステルや、アリル(メタ)アクリレートジビニルベンゼンなどが例示される。
一方、単官能エチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が例示される。
本発明で用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサン骨格にアクリル系モノマー又はそのオリゴマーがグラフト重合した共重合体である。アクリル変性ポリオルガノシロキサンを得るには、ポリオルガノシロキサンと、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルと、必要によりこれと共重合可能な他の単量体の混合物とを用いて、グラフト共重合によりアクリル変性ポリオルガノシロキサンを得ることができる。この場合、用いられるポリオルガノシロキサン:(メタ)アクリル酸エステルとの質量比を5:95〜95:5、好ましくは30:70〜90:10とすることができる。
なお、本発明に用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンの形態としては、特に制限はないが、平均粒径10〜60μmの粉体を用いることが好適である。
本発明に用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、5〜20質量部であり、好ましくは7〜15質量部である。上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量が上記範囲内であれば、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の耐候性が向上し得る。上記の配合量が少なすぎると、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の耐候性向上効果が発揮され難くなり、逆に、上記配合量が多すぎると、アクリル変性ポリオルガノシロキサンが樹脂コンパウンドの溶融混錬を阻害してしまい、成形加工が困難となる。
また、本発明の樹脂組成物には、着色剤を必須成分として配合するものである。この着色剤としては、通常、プラスチックの着色に慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。このような着色剤としては、具体的には、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉類、カーボンブラック等の炭素塩類、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ等の酸化物類、沈降性硫酸バリウム等の硫酸塩類、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の炭酸塩類、クレー、群青等のケイ酸塩類、黄鉛等のクロム酸塩類、コバルトブルー等のアルミン酸塩類、紺青等のフェロシアン化合物類等の無機顔料、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ジスアゾイエローAAA、レーキレッドC等のアゾ顔料類、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド等の多環式顔料類、ビクトリアピュアブルーBOレーキ、アルカリブルートナー等の染料レーキ類、アジン顔料類、蛍光顔料類等の有機顔料、及び塩基性染料、酸性染料、油溶染料、分散染料等の染料が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。上記の着色剤の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜5質量部である。
本発明に用いられるポリ塩化ビニル系成形品には、これらの他に、塩素含有樹脂のための熱安定剤を添加してもよい。この熱安定剤は、塩素含有樹脂組成物を成形加工する際に、塩素含有樹脂が熱分解して塩化水素を放出し、成形品を変色したり、分子鎖を切断し劣化させたりすることを防止するために使用される。この熱安定剤としては、ポリ塩化ビニル系樹脂成形品に従来用いられてきたものを使用することができ、例えば、カルシウム、バリウム、亜鉛等の金属化合物、錫系化合物、鉛系化合物などが挙げられる。この熱安定剤の配合量は、特に制限はないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0より大きく20質量部以下、好ましくは1〜10質量部で使用することができる。また、必要に応じて、滑剤、加工助剤、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤を添加してもよい。これらの添加剤は、各々、0より大きく20質量部以下の範囲で添加することができる。また、本発明の成形品はポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品であり、一般的に公知な可塑剤をポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、5質量部以下、好ましくは1質量部以下の少量であれば使用してよいが、好ましくは可塑剤を使用しないで成形することができ、可塑剤なしでも所望の耐熱性及び耐候性を有する硬質成形品を得ることができる。
本発明は、上述したように、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル変性ポリオルガノシロキサン、着色剤、必要に応じて、その他の添加剤を所定量配合してなる樹脂組成物の成形品である。この樹脂組成物を得る方法としては、回転混合機を用い、特定の回転速度で混合させながら成形させることにより、耐候性の高い成形品を得ることができる。上記樹脂組成物を対流させて均一混合できる観点から、用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等が挙げられる。
上記混合機による撹拌の際は、混合機内の温度を20〜140℃にコントロールすることが好適であり、好ましくは0.05〜0.20hrで混合させることにより、樹脂混合物の粉体コンパウンドを得ることができる。
上記の粉体コンパウンド(樹脂混合物)の成形(「本成形」ともいう。)の方法としては、特に制限はないが、押出成形、プレス成形、射出成形及びカレンダー成形の群の中から選ばれる成形法により行うことが好適である。
上記成形の前には、上記の粉体コンパウンドを予備溶融加工させることができる。この予備溶融加工としては、例えば、押出成形又はロール成形したもの、或いは、これらを細断により好ましくは0.5〜10mm程度、より好ましくは1〜7mm程度にペレット化して使用する方法等が挙げられる。この予備溶融加工の設定温度を140〜200℃で混練することが好ましく、更には、該条件で2〜12分間で混練させることが好適である。押出成形を用いた予備溶融加工の場合には、例えば、粉体コンパウンドを押出成形機で140〜170℃で溶融させて、長手方向が0.5〜10mm程度のペレットになるように行い、ペレットコンパウンドを得ることができる。ロール成形の場合には、2本ロール(例えば3〜9インチで10〜30rpm)に粉体コンパウンドを投入させ、例えば160〜180℃で4〜10分間の条件で混練させ、厚さ0.1〜5mmのシート状成形物とすることができる。
上記予備溶融加工の後、上述した各種成形法により粉体コンパウンドを成形して本成形品であるポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品を得ることができる。この成形加工の具体例としては、所望の質量分のペレットまたは所望の長さに切断したロールシートを、好ましい条件として、150〜250℃、圧力10〜100kg/cm2及び1〜30分の条件で、所望の形状になるようにプレスすることにより、所望の厚さのプレス成形シートを得ることができる。また、本成形加工は、プレス成形だけでなく、押出成形を選択しても構わない。この場合には、押出機にペレット化した予備溶融加工品を投入し、樹脂温度が170〜200℃になるようにコントロールし、角棒、シート等の押出成形品を得ることも可能である。
本発明のポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品は、メタルハライド光源式促進耐候性試験機(スガ試験機製、MV3000)を用いた下記の促進耐候性試験により、240時間経過後に分光色差計(日本電色工業製、SE7700)で測定した0時間の成形品に対する色差がΔE<30となるものである。なお、樹脂成形品の色差が30を超えると、色相変化が著しい場合があり、本発明の効果を損なう場合がある。
上記の促進耐候性試験は、下記条件(1〜5)を1サイクルとするものであり、ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品を下記の促進耐候性試験で240時間行うことは、下記の促進耐候性試験を20サイクル行うことを意味する。
(条件1〜5)
1.照射:ブラックパネル温度50℃、湿度70%、照度0.53kW/m2 6時間
2.暗黒+両面 スプレー:3分
3.暗黒:槽内温度50℃、湿度95% 3時間54分
4.暗黒+両面 スプレー:3分
5.暗黒:槽内温度50℃、湿度95% 2時間
また、本発明のポリ塩化ビニル硬質樹脂成形品は、高い耐候性が要求される屋外用材料に用いることができ、特に建材に好適に用いられるものであり、例えば、雨樋、窓枠、屋外用フィルム・シート材、平板、波板などの屋外建材、特に有色・濃色のある着色建材に有用である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
(1)ポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドの作製
ポリ塩化ビニル樹脂として信越化学工業社製の「TK−800(平均重合度800)」を用い、このポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、日信化学工業社製のアクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」(シリコーン含有率70質量%:平均粒径30μm、球状品)を10質量部添加するとともに、熱安定剤、滑剤及びその他の成分を表1に示す配合材料及び配合量(質量部)で添加し、回転混合機として日本コークス工業社製10Lヘンシェルミキサー(FM10C/1型)を用いて、回転数1800rpmで回転混合させながら、0.1hrブレンドし、120℃でポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドを排出させた。なお、上記のヘンシェルミキサーには、上羽根としてST羽根(標準)、下羽根としてAO羽根(標準)をそれぞれ使用した。
(2)ロールシートの作製
上記で得たポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドを6インチ2本ロールにて、ロール温度170℃及び20rpmの条件でコントロールし、5分間混練し、厚み0.8mmのロールシート化した。
(3)プレスシートの作製
上記ロールシート(厚さ0.8mm)を所望の長さに切断し、180℃、圧力50kg/cm2及び3分間の条件でプレスし、1mm厚のプレスシートを得た。
[実施例2]
ポリ塩化ビニル樹脂を「TK−1000(平均重合度1,000)」として添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例3]
ポリ塩化ビニル樹脂を「TK−1300(平均重合度1,300)」として添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例4]
熱安定剤(Ca/Zn系)を5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例5]
熱安定剤としてSn系を用い、その配合量を2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例6]
外滑剤を1.2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例7]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例8]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を15質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例9]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を20質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例1]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とした以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例2]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を3質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例3]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を25質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例4]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例5]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、アクリレート系紫外線吸収剤(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例6]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(4−アルキル(炭素数8〜12個)−オキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例7]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例8]
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.3質量部添加すると共に、アクリレート系紫外線吸収剤を2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
上記の各実施例及び各比較例のシート成形物(プレスシート)に対して、促進耐候性試験及び成形性の評価を下記の方法により行った。
〈促進耐候性試験〉
上記プレスシートをメタルハライド光源式促進耐候性試験機(スガ試験機製、MV3000)における促進耐候性試験で、下記条件を1サイクルとして240時間(20サイクル)の促進試験を行った。
(条件1〜5)
1.照射:ブラックパネル温度50℃、湿度70%、照度0.53kW/m2、6時間
2.暗黒+両面スプレー:3分
3.暗黒:槽内温度50℃、湿度95%、3時間54分
4.暗黒+両面スプレー:3分
5.暗黒:槽内温度50℃、湿度95%、2時間
上記促進耐候性試験96時間及び240時間終了後のサンプルについて、分光色差計(日本電色工業製、SE7700)により、耐候性試験0時間の成形品に対する色差ΔEを測定し、その測定値を表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示した。
〈成形性〉
上記のロールシートの作製(予備溶融加工)において、6インチ2本ロール及びロール温度170℃の条件で、樹脂コンパウンドを2本ロールに投入後、該ロールに巻き付くまでの時間を計測し、この時間を溶融混練の進みやすさの指標とし、下記の基準に従って成形性を評価した。その評価を表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示した。
○:ロールに巻き付くまでの時間が90秒以内
△:ロールに巻き付くまでの時間が91〜180秒
×:ロールに巻き付くまでの時間が181秒以上
Figure 0006915573
Figure 0006915573
上記表1及び表2の配合材料の詳細は、以下のとおりである。
・ポリ塩化ビニル樹脂:「TK−800」「TK−1000」「TK−1300」(いずれも信越化学工業社製)
・アクリル変性ポリオルガノシロキサン:日信化学工業社製の「シャリーヌ R−170S」
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
・アクリレート系紫外線吸収剤:2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:4−アルキル(炭素数8〜12個)−オキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
・ヒンダードアミン系紫外線吸収剤:セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
・顔料:無機酸化物系ブラウン顔料(住化カラー社製 SP−9T1659)
・熱安定剤:Ca/Zn系(サンエース社製 CZ−3122)
・熱安定剤:Sn系(オクチル錫メルカプト、ブチル錫サルファイド)
・外部滑剤:ジペンタエリスリトールステアリン酸エステル
・内部滑剤:グリセリンモノステアリン酸エステル
・PMMA:三菱化学社製商品名「メタブレンP−570A」
・アクリルゴム:アクリル系コア−シェル型衝撃改良剤(ダウ・ケミカル社製KM−357P)
表1,2の結果から、以下の点が考察される。
実施例1,7〜9と比較例1との評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンをポリ塩化ビニル系樹脂に添加することにより成形性を損なうことがなく、且つ、耐候性が向上し得ることが確認された。
比較例2及び比較例3の評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの添加量が少ないと耐候性の発現が限定的となり、また、上記添加量が多すぎると耐候性は向上するものの成形性が著しく阻害されることが確認された。
実施例1〜9と比較例4〜8との評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを添加することで、一般的な紫外線吸収剤を添加した組成物に比べて、長期に亘り耐候性に優れており、特にチョーキング防止効果を持続できることが確認された。

Claims (5)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを5〜20質量部、及び着色剤を0.1〜10質量部含有してなり、上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記式(1)で示されるポリオルガノシロキサン及び下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルからなるポリオルガノシロキサン・アクリル共重合体であり、且つ、平均粒径10〜60μmの粉体であることを特徴とする屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
    Figure 0006915573
    [式中のR 1 、R 2 、R 3 は、独立に炭素数1〜20個の1価炭化水素基、または、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1個をハロゲン原子で置換した基を表し、Yはラジカル反応性基又は−SH基を有する有機基を表し、Z 1 、Z 2 は独立に水素原子、炭素数1〜4個の低級アルキル基、または、式−SiR 4 5 6 (R 4 、R 5 は独立に上記R 1 、R 2 、R 3 で示された炭素数1〜20個の1価炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を表し、R 6 は炭素数1〜20個の1価炭化水素基、炭素数1〜20個の1価のハロゲン化炭化水素基、または、Yで示されたラジカル反応基もしくは−SH基を有する有機基を表す。)で示される基を表し、mは10,000以下の正の整数、nは1以上の整数である。]
    CH 2 =C(R 7 )COOR 8 (2)
    [式中のR 7 は水素原子又はメチル基を表し、R 8 はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
  2. 上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度が500〜1,500である請求項1記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
  3. 上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して7〜15質量部である請求項1又は2記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
  4. 上記着色剤が、無機顔料、有機顔料、塩基性染料、酸性染料、油溶染料及び分散染料の群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
  5. 上記屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品が、雨樋、窓枠、屋外用フィルム・シート材、平板及び波板の群から選ばれる製品に用いられる請求項1〜4のいずれか1項記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
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