JP6915573B2 - 屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品 - Google Patents
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1.ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを5〜20質量部、及び着色剤を0.1〜10質量部含有してなり、上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記式(1)で示されるポリオルガノシロキサン及び下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルからなるポリオルガノシロキサン・アクリル共重合体であり、且つ、平均粒径10〜60μmの粉体であることを特徴とする屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
CH 2 =C(R 7 )COOR 8 (2)
[式中のR 7 は水素原子又はメチル基を表し、R 8 はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
2.上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度が500〜1,500である上記1記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
3.上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して7〜15質量部である上記1又は2記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
4.上記着色剤が、無機顔料、有機顔料、塩基性染料、酸性染料、油溶染料及び分散染料の群から選ばれる上記1〜3のいずれかに記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
5.上記屋外用ポリ塩化ビニル硬質樹脂成形品が、雨樋、窓枠、屋外用フィルム・シート材、平板及び波板の群から選ばれる製品に用いられる上記1〜4のいずれかに記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
本発明で用いるポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル単量体と塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(通常、塩化ビニル50質量%以上の共重合体)、塩素化塩化ビニル共重合体である。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィンモノマー、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が挙げられる。本発明におけるポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは500〜1,500であり、より好ましくは700〜1,300である。この平均重合度が500未満では耐衝撃強度が低く、要求を満たすことはできなくなる場合がある。また、上記の平均重合度が1,500を超えると、溶融粘度が高くなり、可塑剤なしで成形することが困難となる場合がある。なお、このポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K 7367−2に既定の溶融粘度法により測定した値である。
[式中のR7は水素原子又はメチル基を表し、R8はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
(条件1〜5)
1.照射:ブラックパネル温度50℃、湿度70%、照度0.53kW/m2 6時間
2.暗黒+両面 スプレー:3分
3.暗黒:槽内温度50℃、湿度95% 3時間54分
4.暗黒+両面 スプレー:3分
5.暗黒:槽内温度50℃、湿度95% 2時間
(1)ポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドの作製
ポリ塩化ビニル樹脂として信越化学工業社製の「TK−800(平均重合度800)」を用い、このポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、日信化学工業社製のアクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」(シリコーン含有率70質量%:平均粒径30μm、球状品)を10質量部添加するとともに、熱安定剤、滑剤及びその他の成分を表1に示す配合材料及び配合量(質量部)で添加し、回転混合機として日本コークス工業社製10Lヘンシェルミキサー(FM10C/1型)を用いて、回転数1800rpmで回転混合させながら、0.1hrブレンドし、120℃でポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドを排出させた。なお、上記のヘンシェルミキサーには、上羽根としてST羽根(標準)、下羽根としてAO羽根(標準)をそれぞれ使用した。
上記で得たポリ塩化ビニル系樹脂コンパウンドを6インチ2本ロールにて、ロール温度170℃及び20rpmの条件でコントロールし、5分間混練し、厚み0.8mmのロールシート化した。
上記ロールシート(厚さ0.8mm)を所望の長さに切断し、180℃、圧力50kg/cm2及び3分間の条件でプレスし、1mm厚のプレスシートを得た。
ポリ塩化ビニル樹脂を「TK−1000(平均重合度1,000)」として添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
ポリ塩化ビニル樹脂を「TK−1300(平均重合度1,300)」として添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
熱安定剤(Ca/Zn系)を5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
熱安定剤としてSn系を用い、その配合量を2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
外滑剤を1.2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を15質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を20質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とした以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を3質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を25質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、アクリレート系紫外線吸収剤(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(4−アルキル(炭素数8〜12個)−オキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)を0.5質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
アクリル変性ポリオルガノシロキサン「シャリーヌ R−170S」を無添加とし、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.3質量部添加すると共に、アクリレート系紫外線吸収剤を2質量部添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
上記プレスシートをメタルハライド光源式促進耐候性試験機(スガ試験機製、MV3000)における促進耐候性試験で、下記条件を1サイクルとして240時間(20サイクル)の促進試験を行った。
(条件1〜5)
1.照射:ブラックパネル温度50℃、湿度70%、照度0.53kW/m2、6時間
2.暗黒+両面スプレー:3分
3.暗黒:槽内温度50℃、湿度95%、3時間54分
4.暗黒+両面スプレー:3分
5.暗黒:槽内温度50℃、湿度95%、2時間
上記促進耐候性試験96時間及び240時間終了後のサンプルについて、分光色差計(日本電色工業製、SE7700)により、耐候性試験0時間の成形品に対する色差ΔEを測定し、その測定値を表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示した。
上記のロールシートの作製(予備溶融加工)において、6インチ2本ロール及びロール温度170℃の条件で、樹脂コンパウンドを2本ロールに投入後、該ロールに巻き付くまでの時間を計測し、この時間を溶融混練の進みやすさの指標とし、下記の基準に従って成形性を評価した。その評価を表1(各実施例)及び表2(各比較例)に示した。
○:ロールに巻き付くまでの時間が90秒以内
△:ロールに巻き付くまでの時間が91〜180秒
×:ロールに巻き付くまでの時間が181秒以上
・ポリ塩化ビニル樹脂:「TK−800」「TK−1000」「TK−1300」(いずれも信越化学工業社製)
・アクリル変性ポリオルガノシロキサン:日信化学工業社製の「シャリーヌ R−170S」
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
・アクリレート系紫外線吸収剤:2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:4−アルキル(炭素数8〜12個)−オキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
・ヒンダードアミン系紫外線吸収剤:セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
・顔料:無機酸化物系ブラウン顔料(住化カラー社製 SP−9T1659)
・熱安定剤:Ca/Zn系(サンエース社製 CZ−3122)
・熱安定剤:Sn系(オクチル錫メルカプト、ブチル錫サルファイド)
・外部滑剤:ジペンタエリスリトールステアリン酸エステル
・内部滑剤:グリセリンモノステアリン酸エステル
・PMMA:三菱化学社製商品名「メタブレンP−570A」
・アクリルゴム:アクリル系コア−シェル型衝撃改良剤(ダウ・ケミカル社製KM−357P)
実施例1,7〜9と比較例1との評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンをポリ塩化ビニル系樹脂に添加することにより成形性を損なうことがなく、且つ、耐候性が向上し得ることが確認された。
比較例2及び比較例3の評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの添加量が少ないと耐候性の発現が限定的となり、また、上記添加量が多すぎると耐候性は向上するものの成形性が著しく阻害されることが確認された。
実施例1〜9と比較例4〜8との評価からは、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを添加することで、一般的な紫外線吸収剤を添加した組成物に比べて、長期に亘り耐候性に優れており、特にチョーキング防止効果を持続できることが確認された。
Claims (5)
- ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを5〜20質量部、及び着色剤を0.1〜10質量部含有してなり、上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記式(1)で示されるポリオルガノシロキサン及び下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルからなるポリオルガノシロキサン・アクリル共重合体であり、且つ、平均粒径10〜60μmの粉体であることを特徴とする屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
CH 2 =C(R 7 )COOR 8 (2)
[式中のR 7 は水素原子又はメチル基を表し、R 8 はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。) - 上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合度が500〜1,500である請求項1記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
- 上記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの配合量が、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して7〜15質量部である請求項1又は2記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
- 上記着色剤が、無機顔料、有機顔料、塩基性染料、酸性染料、油溶染料及び分散染料の群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
- 上記屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品が、雨樋、窓枠、屋外用フィルム・シート材、平板及び波板の群から選ばれる製品に用いられる請求項1〜4のいずれか1項記載の屋外用ポリ塩化ビニル系硬質樹脂成形品。
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