JP5731175B2 - 透明不燃性シートとこれを用いたシートシャッター - Google Patents

透明不燃性シートとこれを用いたシートシャッター Download PDF

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Description

本発明は防煙シャッター等に用いられる、透明性と不燃性を備えたシートに関し、さらに詳しくは、ガラス繊維布帛と硬化樹脂とを用いるシートであって、折曲げ応力が加わっても白化を生じることがなく、しかもシート全体の強度を高くできる、透明不燃性シートと、これを用いたシートシャッターに関する。
一般に、工場や倉庫の出入口等に、高速で昇降するシート製のシャッターを用いる場合がある。従来この種のシャッターには、降ろした状態でも採光でき、シャッターを挟んだ反対側が目視できるように、透明の塩化ビニル樹脂などの透明シートと、この透明シートに等間隔で添着された中骨とから構成したものがある(例えば、特許文献1参照、以下、従来技術1という。)。しかしこの従来技術1では、上記の透明シートが不燃性に劣る問題があるうえ、燃焼すると有害ガスを発生する虞もあった。
一方、建築基準法及び建築基準法施行令では、建築物の火災時に発生する煙や有害ガスの流動を妨げて、避難や消火活動が円滑に行えるように遮煙設備を設けることを規定している。この建築基準法で不燃材料として認定を受けるためには、発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/mを越えず、燃焼後に貫通穴がないことを要件としている。
従来、上記の遮煙設備に用いるシャッターやスクリーンとして、透明性と、上記の要件を満たす不燃性とを備えた、ガラス繊維織物と硬化性樹脂層とからなる不燃性シートが提案されている(例えば、特許文献2参照、以下、従来技術2という。)。即ち、この従来技術2は、ガラス繊維織物とこれを挟む一対の硬化樹脂層とからなり、ガラス繊維織物が20〜70質量%であり、硬化樹脂層が80〜30質量%であり、ガラス繊維織物を構成するガラス組成物と上記の硬化樹脂層を構成する樹脂組成物との屈折率の差が0.02以下に設定してある。
特開平06−173557号公報 特開2005−319746号公報
上記の従来技術2のシートは、透明性と不燃性とを備えているが、これをシートシャッターとして用いるには、引裂強さなどが弱い問題がある。これを改良するため、ガラス繊維織物の厚さを、例えば85μm以上などのように厚くすることが考えられる。しかしながら、シートシャッターは上方の繰出し部へ容易に巻き取れる必要があるのに対し、ガラス繊維織物が厚くなるとこの巻取り易さが低下する問題がある。また、ガラス繊維織物が厚いと、衝撃や屈曲等により硬化樹脂とガラス繊維との界面で剥離が発生し易く、この剥離した部分で白化(チョークマークともいう)を生じて、透明性が損なわれる問題がある。
本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、ガラス繊維布帛と硬化樹脂とを用いる、透明性と不燃性を備えたシートであって、折曲げ応力が加わっても白化を生じることがなく、しかもシート全体の強度を高くできる、透明不燃性シートと、これを用いたシートシャッターを提供することにある。
本発明は上記の課題を解決するために、例えば本発明の実施の形態を示す図1に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明1は透明不燃性シートに関し、ガラス繊維布帛(2)とこれに含浸させた透明な硬化樹脂層(3)とを含む基材層(4)を有しており、上記の硬化樹脂層(3)を構成する硬化樹脂の屈折率上記のガラス繊維布帛(2)を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.05以下であり、上記のガラス繊維布帛(2)は厚さが80μm以下であり、上記の基材層(4)の少なくとも片面に補強層(5)が一体に形成してあり、上記の補強層(5)は、ガラス繊維からなる網体(6)を含んでいることを特徴とする。
本発明2はシートシャッターに関し、上記の本発明1の透明不燃性シートを用いたことを特徴とする。
上記のガラス繊維布帛に透明な硬化樹脂層が含浸してあり、その硬化樹脂の屈折率がガラス繊維の屈折率に近似させてあるので、これらを有する上記の基材層は全体として透明となっている。上記の硬化樹脂の屈折率と上記のガラス繊維の屈折率の差は、0.05以下に設定され好ましくは0.02以下に設定される。ここで上記の屈折率とは、光が二つの媒質の境界で屈折するときの、入射角の正弦と屈折角の正弦との比をいい、両媒質中の光の速さの比に等しい。
上記のガラス繊維の屈折率は特定の値に限定されないが、例えば1.4〜1.7の範囲であると好ましく、1.5〜1.6の範囲であると更に好ましい。なお、ガラス繊維が無アルカリガラスからなる場合には、屈折率を1.55〜1.57の範囲にすることができる。また、上記の硬化樹脂の屈折率は、例えばJIS K7142の「プラスチックの屈折率測定方法」に従って測定される。
上記の基材層のガラス繊維布帛と硬化樹脂層との比率は特定のものに限定されないが、ガラス繊維布帛が20〜70質量%であり、硬化樹脂層が80〜30質量%であると、硬化樹脂をガラス繊維内に隙間なく充填して透明性を高めることができるうえ、硬化樹脂が過剰に多くならないので、不燃性を確実に維持するとともに基材の柔軟性を高く維持できて好ましく、ガラス繊維布帛が30〜70質量%であり、硬化樹脂層が70〜30質量%であるとさらに好ましい。
上記のガラス繊維布帛は特定の構造のものに限定されず、例えば経糸と緯糸とで織成することができる。この織組織としては、例えば平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織等が挙げられるが、これらの織組織に限定されない。この場合、織密度は60本/25mm以上の高密度であると、上記の硬化樹脂が燃焼したのちも貫通穴が形成されないので、優れた不燃性能が得られて好ましい。
上記のガラス繊維布帛は厚さが80μm以下であるので、柔軟性が良好であり、シートシャッターの繰出し部へ容易に巻取ることができる。しかも、屈曲性に優れており、衝撃や折曲げ応力を受けても硬化樹脂とガラス繊維との界面での剥離が生じ難いので、透明性を損なう白化の発生が抑制される。なお、上記のガラス繊維布帛の厚さは、50μm以下であると柔軟性や屈曲性が一層優れており、さらに好ましい。
上記の基材層は、上記の透明不燃性シート内に1枚のみ備えたものであってもよく、複数枚を備えたものであってもよい。複数枚を備える場合は、基材層同士が直接、互いに接合したものであってもよく、或いは、例えば難燃性合成樹脂フィルム等を介して互いに接合したものであってもよい。
上記の基材層は、少なくとも片面に補強層が一体に形成してあるので、透明不燃性シート全体の引裂強さを高く維持することができる。この補強層は、特定の材料に限定されないが、透明性と不燃性を維持するため、例えばガラス繊維からなる網体や、塩化ビニル樹脂などの、透明な難燃性合成樹脂材料のフィルムなどが、単独で或いはこれらを組み合わせて用いることができる。
上記のガラス繊維網体は、特定の形状や構造のものに限定されず、例えば経糸2本の間に緯糸を挟みこんで樹脂で固定したガラス繊維直交積層ネットなどが用いられる。この場合、繊維間の開口幅は、3〜20mmに設定すると、繊維間の開口を介して良好に採光できるうえ、透明不燃性シート全体の強度を高くできて好ましい。
上記の透明不燃性シートは、シート表面に50kw/mの輻射熱を照射する発熱性試験で、加熱開始20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ、加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/mを超えない不燃性能を有すると、建築基準法等に規定する不燃材料としての認定を受けることができて、好ましい。
また上記の透明不燃性シートは、一般織物試験方法を規定するJIS L1096の、トラペゾイド法による引裂強さが40N以上であると、シートシャッターとして必要な強度を備えるので好ましく、上記の引裂強さが50N以上であるとさらに好ましい。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1)基材にガラス繊維布帛を備えるので不燃性があり、しかもこのガラス繊維布帛に含浸させた硬化樹脂の屈折率とガラス繊維の屈折率が近似しているので、基材層を含む全体の全光線透過率を高くすることができる。
(2)ガラス繊維布帛の厚さが80μm以下であるので、柔軟性や屈曲性が優れているうえ、衝撃や折曲げ応力を受けても硬化樹脂とガラス繊維との界面での剥離を生じ難い。この結果、その剥離による白化の発生を抑制でき、透明性を良好に維持することができる。
(3)基材の少なくとも片面に補強層が一体に形成してあるので、シート全体の強度を高くすることができる。
本発明の実施形態を示す、透明不燃性シートの要部の拡大断面図である。 本発明の実施例の諸物性と評価の、比較例と対比した対比表である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、この透明不燃性シート(1)は、ガラス繊維布帛(2)とこれに含浸させた透明な硬化樹脂層(3)とを含む基材層(4)を有しており、この基材層(4)の両面に補強層(5)が一体に形成してある。この補強層(5)は、ガラス繊維網体(6)とこれを外側から覆う透明な難燃性合成樹脂材料のフィルム(7)とからなる。なおこの実施形態では、基材層(4)の両面にそれぞれ補強層(5)を形成したが、本発明ではこの補強層(5)を片面にのみ形成してもよく、或いは、一方または両方の面の補強層(5)が、ガラス繊維網体(6)または難燃性合成樹脂フィルム(7)のみであってもよい。
上記のガラス繊維布帛(2)やガラス繊維網体(6)を構成するガラス繊維は、特定の材質のものに限定されず、汎用の無アルカリガラス繊維(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス繊維(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス繊維(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス)等があげられるが、汎用性の高い無アルカリガラス繊維の使用が好ましい。
上記のガラス繊維布帛(2)を構成するガラス繊維の番手は、特定のものに限定されないが、20tex以下のものを用いると、厚さが80μm以下のガラス繊維布帛を容易に織成できるうえ、その織密度を高くできるので好ましい。なおガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
上記のガラス繊維布帛(2)とガラス繊維網体(6)とは、同種のガラス繊維で構成されていてもよく、互いに異なる種類のガラス繊維で構成されていてもよい。また、ガラス繊維布帛(2)とガラス繊維網体(6)は、それぞれが一種類のガラス繊維で構成されていてもよく、或いは、例えば経糸と緯糸とが別個のガラス繊維であるなど、2種類以上のガラス繊維で構成されていてもよい。2種類以上のガラス繊維で構成される場合には、ガラス繊維の番手は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、ガラス繊維の組成が同じであり、ガラス繊維の番手が異なっていてもよい。
なお、上記のガラス繊維布帛(2)は、シランカップリング剤などで表面処理されていると、硬化樹脂と良好に接合でき、透明不燃性シート(1)の耐久性を向上できて好ましい。
上記の硬化樹脂は、ガラス繊維布帛(2)に含浸でき、屈折率がガラス繊維と近似しておればよく、特定の材質のものに限定されない。例えば、熱で硬化する樹脂組成物であってもよく、紫外線等の照射で硬化する樹脂組成物であってもよく、さらには、熱と紫外線照射とのいずれでも硬化する樹脂組成物であってもよい。また、有機溶剤等でエマルジョンにした樹脂を加熱乾燥により硬化させてもよく、さらには可塑剤等でゾル状となった樹脂を加熱によるゲル化で硬化させてもよい。なお、この硬化樹脂は、未硬化の状態で粘度が低いと、ガラス繊維布帛(2)に容易に含浸できるので好ましい。これらの硬化樹脂としては、具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はエポキシ樹脂などが好ましく、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、硬化特性に優れている点で、エポキシ樹脂や塩化ビニル樹脂、或いはビニルエステル樹脂であると更に好ましい。
上記の硬化樹脂には、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤などの添加物が含まれていてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。
上記の補強層(5)は、基材層(4)の強度を補強できるものであればよく、特定の材質のものに限定されないが、上記のようにガラス繊維網体(6)を用いると、不燃性を良好に維持できるうえ、基材層(4)の強度を大幅に高めることができる。しかもこのガラス繊維網体(6)の繊維間の開口幅を、例えば3〜20mmに設定することで、基材層(4)の透明性を充分に確保できるので、好ましい。
一方、上記の透明な難燃性合成樹脂フィルム(7)は、透明性と難燃性があればよく、特定の材質のものに限定されず、例えば難燃性の塩化ビニル樹脂等が用いられる。なお、この難燃性合成樹脂材料は、自体が難燃性を有する合成樹脂材料であってもよく、或いは難燃剤を配合した合成樹脂材料であってもよい。これらの難燃性合成樹脂フィルム(7)は、上記の基材層(4)の強度を補強するが、過剰に厚くすると透明不燃性シート(1)の不燃性を低減する虞があり、また透明不燃性シート(1)の屈曲性等を阻害する虞もある。しかしこの難燃性合成樹脂フィルム(7)を上記の基材層(4)の外面に形成すると、透明不燃性シート(1)の耐候性を高めたり、他物との接触による損傷を防止したりすることができるので、保護層としても作用でき、従って、この難燃性合成樹脂フィルム(7)を基材層(4)の両面に形成すると好ましい。またこの難燃性合成樹脂フィルム(7)は、上記のガラス繊維網体(6)と組み合わせて用いる場合、そのガラス繊維網体(6)を保護するようにそのガラス繊維網体(6)の外側に配置すると好ましい。
上記の透明不燃性シート(1)は、例えば次の手順で得ることができる。
最初に上記の基材層(4)は、例えばガラス繊維布帛(2)に未硬化の樹脂を塗布して含浸させたのち、絞りローラ等で厚さと樹脂含有率とを調整し、次いで加熱等により上記の樹脂を硬化することで得られる。或いは、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等のフィルムに未硬化の樹脂層を形成し、ガラス繊維布帛(2)の両面にそれぞれこの未硬化の樹脂層を圧着してその樹脂を含浸させたのち、この樹脂を硬化させてもよい。
次いで、上記の操作で得られた基材層(4)に、例えばウレタン系樹脂接着剤を塗布したのち、上記のガラス繊維網体(6)と難燃性合成樹脂フィルム(7)とを順に載せて、プレス機等で加熱圧着し、一体化する。これにより上記の透明不燃性シート(1)が得られる。
次に、上記の透明不燃性シート(1)の諸物性と、透明性や不燃性等の評価を測定した実施例について説明する。
(実施例1)
ガラス繊維布帛として、厚さ0.02mmのEガラス繊維織物(ユニチカ株式会社製、商品名E02R)を200mm×200mmに裁断して用いた。このガラス繊維織物は、有機物を除去するために熱処理されており、エポキシシランカップリング剤による表面処理が施されている。上記のEガラス繊維の屈折率は、1.55〜1.56である。
上記のガラス繊維織物に含浸させる硬化樹脂として、スチレンモノマーを配合して屈折率を1.55に調整したエポキシアクリレート樹脂を用い、この樹脂100質量部に対し硬化剤として過酸化物を0.5質量部を添加した。
ガラス繊維網体として、Eガラス繊維直交積層ネット(ユニチカ株式会社製、商品名C22A1)を、200mm×200mmに裁断して用いた。このガラス繊維直交積層ネットは、タテ糸上下2本でヨコ糸1本を挟み込んでアクリル系樹脂で接着したもので、繊維間の開口幅は5mmである。
難燃性合成樹脂フィルムとして、厚さが0.15mmの難燃性透明塩化ビニル樹脂フィルムを、200mm×200mmに裁断して用いた。
厚さ0.05mmのPETフィルムに、上記の未硬化の樹脂を30g/m塗布し、これに上記のガラス繊維織物を載せ、1分間静置してガラス繊維織物の内部に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、絞りローラで樹脂含有率が50%となるように絞って、樹脂とガラス繊維の含有率(質量%)が50/50となるように調整した。その後、上記のPETフィルムごと、電気ヒーターにより80℃で10分間加熱硬化させた後、上記のPETフィルムを除去して、透明で厚さ0.03mmの基材層を得た。
上記の基材層の両面にウレタン系樹脂接着剤を、それぞれ片面に固形分で10g/m塗布したのち、乾燥機で150℃で1分乾燥させた。次いでこの基材層の片面に上記のガラス繊維直交積層ネットと上記の塩化ビニル樹脂フィルムとを順に載せ、反対面には塩化ビニル樹脂フィルムのみを載せた。この積層体を2枚のステンレス鏡面板の間に挟み、170℃に加熱した平面熱圧プレス機にセットして、面圧力17kgf/cmで1分間加熱接着し、実施例1の透明不燃性シートを得た。
(実施例2)
ガラス繊維布帛として、厚さ0.03mmのEガラス繊維織物(ユニチカ株式会社製、商品名E03R)を200mm×200mmに裁断して用いた以外は、上記の実施例1と同等の材料を用い、同様に処理して実施例2の透明不燃性シートを得た。
(実施例3)
ガラス繊維布帛として、厚さ0.05mmのEガラス繊維織物(ユニチカ株式会社製、商品名E06C)を200mm×200mmに裁断して用いた以外は、上記の実施例1と同等の材料を用い、同様に処理して実施例3の透明不燃性シートを得た。
(実施例4)
ガラス繊維布帛として、厚さ0.07mmのEガラス繊維織物(ユニチカ株式会社製、商品名E08A)を200mm×200mmに裁断して用いた以外は、上記の実施例1と同等の材料を用い、同様に処理して実施例4の透明不燃性シートを得た。
(参考例1)
上記のガラス繊維直交積層ネットを省略した以外は、上記の実施例2と同等の材料を用い、同様に処理して参考例1の透明不燃性シートを得た。
(参考例2)
含浸させる硬化樹脂として、塩化ビニル樹脂のエマルジョン(固形分50%)を用いた以外は、上記の参考例1と同等の材料を用いた。この塩化ビニル樹脂エマルジョンを上記のガラス繊維織物に塗布したのち、絞りローラで樹脂含有率が50%となるように調整し、PETフィルムを用いずに、120℃で5分間加熱乾燥して硬化させ、厚さ0.03mmの基材層を得た。次いでこの基材層の両面に、接着剤を塗布することなく、前記の厚さが0.15mmの難燃性透明塩化ビニル樹脂フィルムを載せ、その後は上記の実施例1と同様の操作で、平面熱圧プレス機にセットして1分間加熱接着し、参考例2の透明不燃性シートを得た。
なお、この参考例2では、硬化樹脂と上記の難燃性樹脂フィルムとが共に塩化ビニル樹脂材料からなるので、加熱により良好に一体化できるうえ、ウレタン系樹脂などの接着剤と、その塗布操作を省略できる利点がある。
(比較例1)
ガラス繊維布帛として、厚さ0.09mmのEガラス繊維織物(ユニチカ株式会社製、商品名E10R)を200mm×200mmに裁断して用いた以外は、上記の実施例1と同等の材料を用い、同様に処理して比較例1の透明不燃性シートを得た。
(比較例2)
上記のガラス繊維直交積層ネットを省略した以外は、上記の比較例1と同等の材料を用い、同様に処理して比較例2の透明不燃性シートを得た。
上記の各実施例と比較例で得た透明不燃性シートは、次の方法で不燃性等を評価した。
(不燃性の評価)
得られた透明不燃性シートの表面に、輻射電気ヒータで50kw/mの輻射熱を照射し、加熱開始後20分間の総発熱量と、加熱開始後20分間に発熱量が200kw/mを超えた時間を測定した。総発熱量が8MJ/m以下であり、200kw/mを越えた時間が継続して10秒を超えない場合に、不燃性の評価を○とした。
(透明性の評価)
新聞紙の上に透明不燃性シートを置き、文字が読めるか否かで判定し、読めた場合は透明性の評価を○とした。
(全光線透過率)
各透明不燃性シートの全光線透過率は、JIS K7105「プラスチックの光学特性試験方法」の5.5「光線透過率及び全光線反射率」に従って測定した。
(引裂強さ)
各透明不燃性シートの引裂強さは、JIS L1096「一般織物試験方法」の8.15.4に規定するC法(トラペゾイド法)に準じて測定した。具体的には、株式会社オリエンテック製のTENSILON(登録商標)万能材料試験機を用い、所定の形状に調製したタテ方向の試料を引張速度200mm/分で引裂いて、その引裂強度を測定した。
(白化の発生)
JIS P8115「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準じたMIT形試験機に透明シートをセットし、往復50回折り曲げた後の透明不燃性シートを確認し、その透明不燃性シートに白化(チョークマーク)が認められなかった場合を○とした。
上記の各透明不燃性シートの諸物性と評価の測定した結果を図2の対比表に示す。
この測定結果から明らかなように、ガラス繊維織物の厚さが80μmを越える比較例1や比較例2では、いずれも白化を生成して、不燃性シートの透明性が損なわれた。これに対し、ガラス繊維織物の厚さが80μm以下の実施例では、いずれの場合も白化の発生が認められず、透明性が良好に維持された。
特に補強層にガラス繊維網体を用いた実施例1〜4では、透明性と不燃性とを備えたシートでありながら、高い引裂強さを有しており、シートシャッター用膜材として必要な強度を充分に備えていることが判明した。
上記の実施形態で説明した透明不燃性シートは、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の材料や寸法、形状、構造、製造方法、加工・成形方法などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば、上記の実施形態では、基材層の両面にガラス繊維網体を一体に形成したが、本発明では、上記の実施例のように、片面にのみガラス繊維網体を一体形成したものであってもよい。
また上記のガラス繊維網体は、上記の実施例では直交積層ネットを用いたが、織成されたものであってもよい。
また上記の実施例では、硬化樹脂としてエポキシアクリレート樹脂または塩化ビニル樹脂を用い、難燃性合成樹脂材料として塩化ビニル樹脂を用いたが、本発明では他の種類の硬化樹脂や難燃性合成樹脂材料を用いてもよい。さらに上記の実施例では、Eガラス繊維を織成したガラス繊維布帛を用いたが、本発明では他の種類のガラス繊維を用いてもよいことは、いうまでもない。
本発明の透明不燃性シートは、透明性と不燃性を備えるうえ、折曲げ応力が加わっても白化を生じることがなく、しかもシート全体の強度を高くできるので、倉庫や工場などの出入口等に用いるシートシャッターや、防煙シャッター、遮煙スクリーンなどに特に好適であるが、建物内の間仕切りなど、採光と不燃性が要求される各種のシートにも好適である。
1…透明不燃性シート
2…ガラス繊維布帛(ガラス繊維織物)
3…硬化樹脂層
4…基材層
5…補強層
6…ガラス繊維網体(ガラス繊維直交積層ネット)
7…難燃性合成樹脂フィルム

Claims (10)

  1. ガラス繊維布帛(2)とこれに含浸させた透明な硬化樹脂層(3)とを含む基材層(4)を有しており、
    上記の硬化樹脂層(3)を構成する硬化樹脂の屈折率上記のガラス繊維布帛(2)を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.05以下であり、
    上記のガラス繊維布帛(2)は厚さが80μm以下であり、
    上記の基材層(4)の少なくとも片面に補強層(5)が一体に形成してあり、
    上記の補強層(5)は、ガラス繊維からなる網体(6)を含んでいることを特徴とする、透明不燃性シート。
  2. 上記の基材層(4)は、上記のガラス繊維布帛(2)が20〜70質量%であり、上記の硬化樹脂層(3)が80〜30質量%である、請求項1に記載の透明不燃性シート。
  3. 上記のガラス繊維網体(6)は、繊維間の開口幅が3〜20mmである、請求項1または請求項2に記載の透明不燃性シート。
  4. 上記の補強層(5)は、透明な難燃性合成樹脂材料からなるフィルム(7)を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  5. 上記の透明な難燃性合成樹脂材料からなるフィルム(7)が上記のガラス繊維網体(6)の外側に配置されている、請求項4に記載の透明不燃性シート。
  6. 上記のガラス繊維布帛(2)の厚さが50μm以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  7. JIS P8115「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準じたMIT形試験機で往復50回の折り曲げ試験をしたときに、前記ガラス繊維布帛(2)と前記硬化樹脂層(3)との間に白化が生じないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  8. シート表面に50kw/mの輻射熱を照射する発熱性試験で、加熱開始20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ、加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/mを超えない、請求項1からのいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  9. 一般織物試験方法を規定するJIS L1096の、トラペゾイド法による引裂強さが40N以上である、請求項1からのいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  10. 上記の請求項1からのいずれか1項に記載の透明不燃性シートを用いたことを特徴とする、シートシャッター。
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