JP6619220B2 - シート - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートに関するものであり、詳しくは、本発明は、透光性と不燃性に優れたガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートに関する。
従来、膜材料、例えば、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられるシートとして、ガラス繊維布帛と樹脂を含むシートが知られている。中でも、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂を含むシートは、不燃性、防汚性、柔軟性等に優れることが知られている。該シートは、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられる場合、屋外から屋内へ採光できることが求められることがあり、優れた透光性も求められる。
ガラス繊維布帛とフッ素樹脂を含むシートとして、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸された100〜250℃の融点を有するフッ素系樹脂層を少なくとも1層積層してなる膜材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。該膜材料によれば、十分な透光性を有し、且つ長期の使用においても、強度の低下や汚れによる透光性の低下が極めて少ない膜材料、即ち、耐候性、防汚性および柔軟性に加えて透光性にも優れた4拍子揃ったバランスのとれた膜材料を提供することができるとされている。
また、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とからなるシートとして、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物に含浸されたフッ素樹脂からなる樹脂被膜層からなる、入射した光を所定の光透過特性で透過・拡散させるガラス繊維シートであって、該ガラス繊維織物を特定の構成とし、前記光透過特性は、全光線透過率が50%以上であるとともに、平行光線透過率が5%以下となるように形成されている光拡散用ガラス繊維シートが知られている(例えば、特許文献2参照。)。該シートによれば、高い光拡散性を有する条件において、同時に充分な透光性を実現した光拡散シートを実現することができるとされている。
特開平9−76420号公報 特許第4359967号公報
しかしながら、透光性に優れるとされる特許文献1の実施例として開示されたシートは全光線透過率が高くても32.5%、特許文献2の実施例として開示されたシートは全光線透過率が高くても60.4%である。このように、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて、当業者が優れると考える透光性のレベルは、せいぜい全光線透過率が60%程度のものであった。換言すれば、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートでは、全光線透過率が70%を超えるような高い透光性が得ることができないことが技術常識であった。
本発明者等が特許文献1や特許文献2で開示されたシートが高い透光性を得られない原因について検討したところ、ガラス繊維布帛の屈折率は1.5〜1.7程度、フッ素樹脂の屈折率は1.3〜1.4程度であり、両者の屈折率差の絶対値が大きく、ガラス繊維とフッ素樹脂との界面において光が多く散乱し、これに起因して優れた透光性が得られないことを知得した。
そこで、本発明者等は、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて優れた透光性を得るべく、例えば、ガラス繊維布帛に屈折率が近似する樹脂層を含浸させ、これにフッ素樹脂層を積層させることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートは優れた透光性を得られることを知得した。
しかしながら、本発明者がさらに検討を重ねた結果、上記のように得られたシートは、積層したフッ素樹脂層が剥離し易くなる場合があるという問題があることを知得した。当該問題は、例えば特許文献1または2に開示されているような、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸されているフッ素樹脂樹脂層とからなるシートにおいては、当然認識されない問題である。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている、フッ素樹脂を含む第2樹脂層を含む積層構造であるシートであって、フッ素樹脂層の剥離が生じ難いシートを提供することを課題とする。
本発明者等が上記問題を解決するために鋭意検討をおこなったところ、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸されたフッ素樹脂以外の樹脂を含む樹脂層と、該樹脂層の一方の面側に積層されるフッ素樹脂層を含むシートであって、該フッ素樹脂層を、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含むものとし、さらに該フッ素樹脂の中でもポリフッ化ビニリデンに特定することにより、フッ素樹脂層の剥離が生じ難くなることを知得した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成するに至った。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様のシートを提供する。
項1.少なくとも1つのガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層と、を含み、前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記第2樹脂層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンである、シート。
項2.前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との屈折率差の絶対値が0.05以下である、項1に記載のシート。
項3.前記第1樹脂層に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である、項1又は2に記載のシート。
項4.前記第2樹脂層が接面した状態で積層されている樹脂層が塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又は飽和ポリエステル樹脂を含む、項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
項5.前記第2樹脂層が接面した状態で積層されている樹脂層が前記第1樹脂層である、項4に記載のシート。
項6.前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に中間層を更に含み、前記第2樹脂層が接面した状態で積層されている樹脂層が前記中間層である、項4に記載のシート。
項7.前記第1樹脂層に含まれる樹脂と、前記中間層に含まれる樹脂とが、異なる樹脂である、項6に記載のシート。
項8.前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、前記中間層と、ガラス繊維網体からなる網体層とを更に含む、項6又は7に記載のシート。
項9.前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との合計量に対する前記ガラス繊維布帛の割合が10〜70質量%である、項1〜8のいずれか1項に記載のシート。
項10.全光線透過率が70%以上である、項1〜9のいずれか1項に記載のシート。
項11.一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、総発熱量が8MJ/m以下である、項1〜10のいずれかに記載のシート。
項12.JIS K 6854−2:1999に準じて測定される前記第2樹脂層の剥離強力が20N/25mm以上である、項1〜11のいずれかに記載のシート。
項13.厚さが0.5mm以上である、項1〜12に記載のシート。
本発明によれば、少なくとも1つのガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、該第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されているフッ素樹脂を含む第2樹脂層と、を含むシートであって、該第2樹脂層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンであるシートとすることから、第2樹脂層の剥離が生じ難くなるという効果を奏することができる。
本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。
本発明のシートは、少なくとも1つのガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層と、を含み、前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記第2樹脂層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンである、シートである。
積層構造
本発明のシート1は、図1〜4に示されるように、少なくとも1つのガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された状態で含まれ、該第1樹脂層3の少なくとも一方の面上側に第2樹脂層4を備える積層構造を有する。本発明のシート1において、ガラス繊維布帛2は、少なくとも1つ含まれていればよく、複数含まれていてもよい。例えば、図2に示すように、本発明の透明不燃性シート1において、2枚のガラス繊維布帛2が、それぞれ、第1樹脂層3の両表面側に位置するように配されていてもよい。
また、図1〜4に示されるように、本発明のシート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布帛2を構成している複数のガラス繊維の隙間を埋めており、第1樹脂層3の一方の表面側部分31と、他方の表面側部分32とは、当該隙間部分を介して通じている。
また、本発明のシート1において、ガラス繊維布帛2は、第1樹脂層3を含浸した状態で含まれていればよいが、全光線透過率をより一層高めるという観点から、図1〜4に示されるように、ガラス繊維布帛2の両面上に、ガラス繊維布帛2が存在していない第1樹脂層3部分が形成されていることが好ましい。
本発明のシート1において、第2樹脂層4は、第1樹脂層3の少なくとも一方の面上側に積層されていればよいが、図1〜4に示されるように第1樹脂層3の両面に積層されていることが好ましい。
また、本発明のシートにおいて、第1樹脂層3に対して第2樹脂層4が接面している状態で積層(即ち、第1樹脂層3と第2樹脂層4が直接積層)されていてもよいが、例えば、図3に示されるように、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより高めることを目的として、第1樹脂層3と第2樹脂層4との間には、中間層5が積層されていてもよい。また、例えば、図4に示されるように、第1樹脂層3又は中間層5とフッ素樹脂層4との間には、シート1の機械的強度(硬さ)を高めること等を目的として、ガラス繊維からなる網体層6が積層されていてもよい。図4では、第2樹脂層4側から中間層5及び網体層6がこの順で配されているが、第2樹脂層4側から網体層6及び中間層5がこの順で配されていてもよい。また、図4では、中間層5と網体層6を含む形態を示しているが、網体層6が積層される場合、中間層5を含まない形態としてもよい。中間層5及び網体層6は、それぞれ、樹脂層3の一方の面上側に積層されていてもよいし、図4のように両面側に積層されていてもよい。
各層の組成
本発明のシート1を構成する各層の組成について詳述する。
[ガラス繊維布帛2]
ガラス繊維布帛2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布帛2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布帛を形成している。ガラス繊維布帛2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されないが、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。ガラス繊維織物の織密度については、特に制限されないが、シート1に含まれる樹脂が燃焼してしまった場合に、ガラス繊維布帛2に大きな貫通孔がより形成されにくく、より優れた不燃性能が保持されるという観点から、経、緯ともに40本/25mm以上が好ましく、50本/25mm以上がより好ましい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維のガラス材料については、特に制限されず、公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、具体的には、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられる。これらのガラス材料の中でも、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布帛2を形成できることを限度として特に制限されない。ガラス繊維の番手としては、シート1の透光性をより一層向上させるという観点から、20tex以下が好ましい。ガラス繊維布帛2は、1種の番手のガラス繊維で形成されていてもよいし、2種以上の番手のガラス繊維で形成されていてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、シート1の透光性をより一層優れたものとする観点から、30〜500本程度が好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、シート1の透光性をより一層向上させるという観点から、3.0〜10.0μm程度が好ましい。ガラスヤーンの番手は、シート1の透光性をより一層優れたものとする観点から3〜80texが好ましい。
例えば、本発明のシート1を、後述する用途の中でも採光用テントに用いる場合等、シート1を通した視認性が重視され、ヘーズの値をより小さいものとする場合は、ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30〜120本程度がより好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は3.0〜6.0μm程度がより好ましく、3.0〜5.0μm程度がさらに好ましい。また、同様の観点から、ガラスヤーンの番手は、3〜12texがより好ましく、3〜5texが更に好ましい。ガラス繊維布帛2を構成するガラスヤーンにおける単繊維の直径及びガラスヤーンの番手が上記の範囲内にあることにより、シート1のヘーズがより一層小さくし易くなる機序の詳細は明らかではないが、このような条件を充足することにより、ガラス繊維布帛2が平滑化し、第1樹脂層3との界面における光の散乱が効果的に抑制され、結果として、シート1のヘーズがより一層小さくし易くなると考えられる。
また、例えば、本発明のシート1を照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視され、ヘーズの値をより大きいものとする場合には、ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、180〜500本程度がより好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は7.0〜10.0μm程度がより好ましく、8.0〜10.0μm程度が更に好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンの番手は、20〜80texがより好ましく、50〜80texが更に好ましい。
ガラス繊維布帛2との第2樹脂層3との接着性を高め、本発明のシート1の全光線透過率をより一層向上させるという観点からは、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の表面は、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
シート1において、ガラス繊維布帛2の割合(質量%)は、シート1の全光線透過率をより一層向上させつつ、優れた不燃性を備えさせるという観点から、ガラス繊維布帛2と後述の第1樹脂層3との合計量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜55質量%がより好ましい。また、ガラス繊維布帛2の1枚の質量(g/m)は、10〜1000(g/m)が好ましく、20〜800(g/m)がより好ましく、30〜700(g/m)が更に好ましい。
前述のように、ガラス繊維布帛2は、第1樹脂層3中に少なくとも1つ含まれていればよいが、複数含まれていてもよい。ここで、ガラス繊維布帛2を複数層含む場合、例えば図2に示されるように、ガラス繊維布帛2の厚さ方向における中央部Nが、第1樹脂層3の厚さ方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、第1樹脂層3の両表面側(図2の31側及び32側)にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されていることが好ましい。このように、2つのガラス繊維布帛2が、それぞれ第1樹脂層3の両表面側(図2の31側及び32側)に位置するように配されていることにより、第1樹脂層3の中央部分のみにガラス繊維布帛2が配置されているシートに比して、機械的強度(硬さ)をより高めることができ、さらに熱による反りもより効果的に抑制することができる。より具体的には、第1樹脂層3の表面からガラス繊維布帛2の中央部Nまでの最短距離L1と、第1樹脂層3の厚さL0とが、以下の式(I)の関係を充足することが好ましい。
また、ガラス繊維布帛2は、式(I)の関係を充足するように、第1樹脂層3の両表面側にそれぞれ1枚ずつ含まれることがより好ましい。更に、上記L1と上記L0とは、以下の式(II)の関係を充足することが好ましい。
また、ガラス繊維布帛2の厚さ方向における中央部Nが、第1樹脂層3の厚さ方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、第1樹脂層3の両表面側にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されている場合であって、更にシート1におけるガラス繊維布帛2の割合を10〜70(質量%)とし、且つガラス繊維布帛2の1枚の質量を20〜50(g/m)とした場合は、シート1の高い全光線透過率と機械的強度(硬さ)を特に優れた状態で両立させることが可能になる。
シートの全光線透過率をより高いものとする観点から、ガラス繊維布帛2と後述の第1樹脂層3の屈折率の差の絶対値は0.05以下が好ましい。このように、ガラス繊維布帛2と第1樹脂層3の屈折率の差の絶対値が0.05以下であることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートはより一層全光線透過率を向上させることが可能になる。より一層効果的に全光線透過率を向上させるという観点から、ガラス繊維布帛2と第1樹脂層3の屈折率の差の絶対値として、より好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.03以下、より一層好ましくは0.01以下が挙げられる。
なお、ガラス繊維布帛2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布帛を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、第1樹脂層3の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、第1樹脂層3を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、特に制限されないが、例えば10〜1000μm程度が挙げられる。シート1の全光線透過率をより一層向上させるという観点から、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとして、20〜800μmが好ましく、30〜700μm程度がより好ましい。また、例えば、本発明のシート1を採光用テントに用いる場合等、シート1を通した視認性が重視され、ヘーズの値をより小さいものとする場合は、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、20〜50μmが特に好ましい。また、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さを20〜50μmとすることにより、第2樹脂層4とガラス繊維布帛2との柔軟性がより一層近似し、第2樹脂層4がガラス繊維布帛2に含浸されている第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることをより一層抑制でき、高い全光線透過率をより一層維持し易くなる。また、例えば、本発明のシート11を照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視され、ヘーズの値をより大きいものとする場合には、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、50〜800μmが特に好ましい。
[第1樹脂層3]
本発明のシート1において、第1樹脂層3は、前述のガラス繊維布帛2に含浸された状態で含まれる。前述の通り、第1樹脂層3の屈折率は、ガラス繊維布帛2の屈折率との差の絶対値が0.05以下が好ましく、0.04以下がより好ましく、0.03以下が特に好ましく、0.01以下がより一層好ましい。前述のガラス繊維布帛2と樹脂層3の屈折率の差の絶対値が0.05以下とすることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートはより高い全光線透過率を得ることができる。
第1樹脂層3はフッ素樹脂以外の樹脂を含む。第1樹脂層3として、好ましくはガラス繊維布帛2との屈折率との差の絶対値を0.05以下とする観点から、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂、又は屈折率が1.45〜1.60の硬化性樹脂を含むことが好ましい。屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂としては、例えば、飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂(熱可塑性アクリル樹脂)、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン系エラストマー等の中から選択すればよい。また、屈折率が1.45〜1.60の硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂(硬化性アクリル樹脂)等の中から選択すればよい。これらの中でも、シート1の柔軟性をより向上させ、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることをより効果的に抑制させるという観点から、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂が好ましい。また、第1樹脂層3は、屈折率を調整する目的で、上記熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂の中から複数種を含有することができる。
第1樹脂層3に対して第2樹脂層4が接面している状態で積層(即ち、第1樹脂層3と第2樹脂層4が直接積層)されている積層構造とする場合は、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより向上させるという観点から、前記第1樹脂層3は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂(熱可塑性アクリル樹脂又は硬化性アクリル樹脂)又は飽和ポリエステル樹脂を含むものとすることが好ましく、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を含むものとすることが特に好ましい。
また、後述する、第1樹脂層と第2樹脂層との間に、少なくとも該第2樹脂層に接面される状態で積層される、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を含む中間層5を更に含む積層構造とする場合は、前記第1樹脂層3としては特に制限されないが、シートの柔軟性と透明性を一層向上させる観点からは、飽和ポリエステル樹脂が好ましい。該飽和ポリエステル樹脂の中でも、軟化点(Ts)が20〜150℃、ガラス転移点(Tg)が80℃以下、数平均分子量(Mn)が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gの飽和ポリエステル樹脂を含有させると、第2樹脂層4が塩化ビニル樹脂を含む中間層5により一層強固に接着し、第2樹脂層4が第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることがより一層抑制され易く、高い全光線透過率をより一層維持し易くなる。
高い全光線透過率をより一層効果的に維持させるという観点から、上記飽和ポリエステル樹脂の軟化点(Ts)は、20〜120℃がより好ましく、80〜120℃が更に好ましい。上記飽和ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、75℃以下50℃以上がより好ましく、70℃以下60℃以上が更に好ましい。同様の観点から、上記飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は10000〜30000ダルトンがより好ましく、10000〜20000ダルトンが更に好ましい。また、上記飽和ポリエステル樹脂の酸価は0.5〜20mgKOH/gであることがより好ましく、0.5〜5mgKOH/gが更に好ましい。
とりわけ、上記飽和ポリエステル樹脂が、軟化点(Ts)が80〜120℃、ガラス転移点(Tg)が75℃以下50℃以上、数平均分子量(Mn)が10000〜30000ダルトン、酸価が0.5〜5mgKOH/gを満たしていると、第2樹脂層4が特に強固に接着し、第2樹脂層4が第1樹脂層3に特に追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じるのを効果的に抑制することが可能になる。また、第1樹脂層3において、ガラス転移点(Tg)が60〜120℃、より好ましくは60〜80℃の飽和ポリエステル樹脂を含有させると、例えば50℃等高温環境下で張力をかけた状態で使用する場合にも、シートが白濁することをより一層低減し易く、優れた透光性をより一層維持し易くなる。ガラス転移点(Tg)が60〜120℃の飽和ポリエステル樹脂の軟化点(Ts)としては、例えば、100〜220℃、好ましくは150〜180℃が挙げられ、数平均分子量(Mn)としては、例えば、10000〜30000ダルトン、好ましくは14000〜22000ダルトンが挙げられ、酸価としては、例えば、0.5〜20mgKOH/g、好ましくは1〜15mgKOH/gが挙げられる。
なお、本発明において、Ts(℃)は、JIS K 2531:1960 環球法に準じて測定される値である。Tg(℃)は、JIS K 7121に準じ、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製 ダイヤモンドDSC)を用いて10℃/minの昇温速度でスキャンさせたチャートから、ガラス転移点(Tg)(補外ガラス転移開始温度(℃))を読みとる値である。Mnは、VPO法(蒸気圧浸透圧法)で測定される値である。酸価は、飽和ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数を飽和ポリエステル樹脂1g当たりに換算した値を酸価として求められる値である。
第1樹脂層3において、フッ素樹脂以外の樹脂の割合としては、例えば、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。
第1樹脂層3の質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、30〜500g/mが好ましく、30〜300g/mがより好ましく、30〜100g/mが更に好ましい。
第1樹脂層3は、フッ素樹脂以外の樹脂の他に、必要に応じて、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤、光拡散剤などの添加物を更に含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。光拡散剤としては、コロイダルシリカ、透明微小球、例えば、ガラスビーズやアクリルビーズなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1樹脂層3の厚さ(L0)については、前述する式(I)及び(II)を充足するように適宜設定することが好ましいが、具体的には30〜300μm、好ましくは30〜100μmが挙げられる。
[第2樹脂層4]
本発明のシート1において、第2樹脂層4は、第1樹脂層3の少なくとも一方の面側に配される層であり、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略することがある。)である。
第2樹脂層4に含まれるアクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂等を挙げることができる。中でも、第1樹脂層3や、中間層5との接着性をより一層向上させるという観点から、PMMAが好ましい。
PVDFによる耐候性、防汚性と、アクリル樹脂による第1樹脂層3または中間層5との接着性とをより一層発揮する観点から、第2樹脂層4は、PVDFリッチ面(すなわち、PVDF含有量が51質量%以上)とアクリル樹脂リッチ面(すなわち、アクリル樹脂含有量が51質量%以上)とを含み、第1樹脂層3または中間層5との接着する面が前記アクリル樹脂リッチ面であることが好ましい。上記PVDFリッチ面におけるPVDFとアクリル樹脂の質量比(PVDF:アクリル樹脂)としては、例えば、51:49〜95:5が好ましく挙げられ、60:40〜90:10がより好ましく挙げられる。また、上記アクリル樹脂リッチ面におけるPVDFとアクリル樹脂の質量比(PVDF:アクリル樹脂)としては、例えば、5:95〜49:51が好ましく挙げられ、10:90〜40:60がより好ましく挙げられる。上記のように、第2樹脂層4を、PVDFリッチ面(すなわち、PVDF含有量が51質量%以上)とアクリル樹脂リッチ面(すなわち、アクリル樹脂含有量が51質量%以上)とを含むものとする方法としては、例えば、PVDFとアクリル樹脂とのアロイであって、PVDFの含有量が51質量%以上であるシートAと、アクリル樹脂の含有量が51質量%以上であるシートBとを用意し、該シートAと該シートBとを接合させる方法が挙げられる。
第2樹脂層4は、屋外等紫外線が照射される環境下で長期間使用しても第1樹脂層3と第2樹脂層4とがより剥離し難くなるという観点から、フッ素樹脂以外に、必要に応じて、紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系のいずれであってもよく、有機系であれば、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系、オキザリ二ド、サリシレート系、アクリル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。また、第2樹脂層4は、同様の観点から、紫外線遮蔽剤を含むこともできる。紫外線遮蔽剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等が光触媒活性もあり好ましく挙げられる。これら紫外線吸収剤及び紫外線遮蔽剤は、第2樹脂層4中に練り込んでもよいし、第2樹脂層4の表面に塗布してもよい。
また、その他、第2樹脂層には、必要に応じて、有機顔料、無機顔料等の着色顔料、染料、赤外線吸収剤等の添加剤を含んでもよい。
第2樹脂層4の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、22〜435g/mが好ましく、22〜200g/mがより好ましく、22〜150g/mが更に好ましい。
また、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、透光性をより一層向上させ、且つ柔軟性を付与して折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を抑制し優れた透光性をより維持し易くするという観点から、12.5〜500μmが好ましく、12.5〜250μmがより好ましい。また、シート全体の厚さを500μm以上にしつつ、優れた不燃性特性を備え易くするという観点からは、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとして、10〜120μmが好ましい。
[中間層5]
中間層5は、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間に、例えば、これらの接着性を向上させる等の目的で、必要に応じて設けられる層である。
中間層5は、第2樹脂層4の剥離を一層低減させる観点から、第2樹脂層4と接面する状態で設けることが好ましい。また、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより一層向上させ、シートを折り曲げたときに白化をより一層生じにくくさせる観点から、中間層は、例えば図3に示すように、順に第1樹脂層3、中間層5、第2樹脂層4が積層される積層構造として設けることが好ましい。
中間層5は、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより向上させる観点から、塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を含むことが好ましい。中間層5を塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂を含むものとする場合、第1樹脂層としてはフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、及びアクリル樹脂以外の樹脂を含むものであると、より一層中間層5を設ける意義が高まる。中でも、中間層5として塩化ビニル樹脂を含むものとする場合は、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより高めることができるのに加え、該塩化ビニル樹脂は難燃性に優れ、後述する発熱性試験・評価方法に従って測定される不燃性能に優れやすくなることから、得られるシートは不燃性を満足しやすくなりつつ、効果的に平成14年国土交通省告示第666号に定める膜材料の性能基準の一つである、厚さ0.5mm以上の基準を満足しやすくなる。中でも、中間層5が塩化ビニル樹脂により構成される場合、優れた不燃性を好適に維持させつつ、シート自体の厚さをより大きくし易くして、膜材料としてより一層好適するという観点から、ガラス繊維布帛を除いた第1樹脂層3の質量A(g/m)、第2樹脂層4全体の質量B(g/m)、中間層5全体の質量C(g/m)の比(A:B:C)としては、100:500〜1300:400〜1200が好ましく、100:700〜1100:600〜1000がより好ましい。
中間層5の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、5〜300g/mが好ましく、10〜250g/mがより好ましく、80〜200g/mが特に好ましい。中間層5の1層あたりの厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、50〜200μmが好ましく、70〜130μmがより好ましい。また、膜材料としての取扱性を高めるという観点からは、中間層5を塩化ビニル樹脂を含むものとし、中間層5の1層あたりの厚さが100〜300μmがより好ましい。
[網体層6]
網体層6は、シート1の不燃性を高めたり、機械的強度を高めることなどを目的として、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間に、必要に応じて設けられる層である。
網体層6はガラス繊維網体によって形成される。網体層6を構成するガラス繊維網体としては、特に制限されないが、例えばガラス繊維布帛2で例示したガラス繊維と同じガラス繊維の網体が例示できる。また、ガラス繊維網体の形状及び構造については、特に限定されず、例えば経糸2本の間に緯糸を挟み込んで樹脂で固定したガラス繊維直交積層ネットなどが挙げられる。網体層6を構成するガラス繊維網体は、ガラス繊維間の開口幅を好ましくは3〜20mmに設定することにより、ガラス繊維間の開口を介して良好に採光でき、シート1全体の強度を高めることが可能になる。また、第1樹脂層3の両面側に第2樹脂層4を設ける場合であれば、不燃性を高めたり、機械的強度を高めるという観点から、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間のそれぞれに網体層6(即ち、網体層6が2つ)を配置することが好ましい。
網体層6の1層あたりの厚さについては、特に制限されないが、例えば50〜300μm程度、好ましくは100〜200μm程度が挙げられる。
全光線透過率及び不燃性特性
本発明のシート1は、例えば、屋外から屋内へ採光する屋根材等に適用する場合は、高い全光線透過率を有することが好ましい。高い全光線透過率をより担保しやすくする観点から、本発明のシート1の全光線透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。このような全光線透過率を充足することによって、例えば、建築物の屋根材、テント倉庫材などとして使用した際に屋外から屋内への採光量を高めることができる。全光線透過率を高めるには、ガラス繊維布帛2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差の絶対値を0.05以下とすることの他、例えば、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の繊維径、番手、ガラス繊維布帛の厚さ等を小さいものとしてガラス繊維布帛の平滑性を高めたり、織密度が小さいものとしたり、前記ガラス繊維布帛と第1樹脂層3との合計量に対する前記ガラス繊維布帛2の割合を調整すること等により可能となる。
また、本発明のシート1のヘーズは、例えば、採光用テント等に用いる場合等、シートを通した視認性が重視される場合には、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。また、例えば、照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視される場合には、本発明のシート1のヘーズは、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。ヘーズを高くするには、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の繊維径を太いものとする、また織密度が高いものとする等の手法が挙げられる。また、第1樹脂層3中にガラスビーズを分散させることによっても、ヘーズを高くすることが可能である。なお、本発明において、シート1の全光線透過率及びヘーズは、それぞれ、JIS K7375 2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定して得られる値である。
本発明のシート1は、ガラス繊維布帛2と第2樹脂層4とを含むため、燃えにくい性質(不燃性)を備えることができる。なお、本発明のシート1の不燃性としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、総発熱量が8MJ/m以下であることが好ましい。不燃性をより一層向上させるためには、例えば、第1樹脂層3及び/又は第2樹脂層4において、難燃剤の添加や有機物量の減量等を行なえばよい。
本発明のシート1は、第2樹脂層4がポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを含むことから、フッ素樹脂層の剥離が生じ難くなる。なお、本発明のシート1の第2樹脂層の剥離強度としては、JIS K 6854−2:1999に準じて測定される剥離強度が20N/25mm以上が好ましく、40N/25mm以上がより好ましい。
本発明のシート1の厚さは、特に制限されないが、平成14年国土交通省告示第666号に定める膜材料の性能基準をも満足させるという観点から、性能基準の一つである厚さが0.5mm以上とすることが好ましい。また、上記観点と、高い全光線透過率をより担保しやすくする観点とから、0.5〜2.0mmがより好ましく、0.5〜1.0mmとすることが特に好ましい。
製造方法
本発明のシート1の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体を調製する第1工程、前記中間体の第1樹脂層3の上に、必要に応じて中間層5及び/又は網体層6を積層させた後に、第2樹脂層を積層させる第2工程を経て製造することができる。
前記第1工程では、先ず、前記ガラス繊維布帛2と、第1樹脂層3を形成する樹脂を含む原料液を準備する。次に、ガラス繊維布帛2に前記原料液を塗布して含浸させた後、絞りローラー等を用いて厚さと樹脂の含有率とを調整する。次に、樹脂を加熱エネルギーや光エネルギー等の付与により硬化させ、又は加熱により溶媒を蒸発させ、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体が得られる。また、前記樹脂を含む原料液を塗布したポリエチレンテレフタレート等のフィルムを準備し、ガラス繊維布帛2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布帛2の両面側から樹脂を含浸させ、樹脂を硬化または溶媒を蒸発させた後、フィルムを剥離することにより、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体を得ることもできる。
前記第1工程において、熱エネルギーの付与によって前記樹脂を硬化させる場合、加熱温度については、特に制限されないが、例えば50〜200℃程度が挙げられる。また、光エネルギーの付与によって前記樹脂を硬化させる場合には、前記樹脂に光を照射させればよい。光照射の条件としては、例えば、積算光量100〜500mJ/cmが挙げられる。
前記第2工程において、前記第1工程で得られた中間体の第1樹脂層3の上に第2樹脂層4を積層する方法については、特に制限されないが、例えば、フッ素樹脂のディスパージョンを、前記中間体の第1樹脂層3に塗布し、乾燥、焼成する方法;フッ素樹脂で形成されたシートを前記中間体の第1樹脂層3上に配置した後、プレス機などを用いて加熱加圧することによって接着する方法等が挙げられる。また、第1樹脂層3と第2樹脂層4との間に、中間層5及び/又は網体層6を配置する場合であれば、例えば、前記中間体の第1樹脂層3の上に、中間層5を塗布した後、この上から網体層6を配置し、更に網体層6の上にフッ素樹脂で形成されたシートを配置した後、プレス機などを用いて加熱加圧することによって、第1樹樹脂層3の上に、網体層6及び第2樹脂層4を形成することができる。また。中間層5として熱可塑性樹脂を含むものとする場合は、第1樹樹脂層3の上にシート又はフィルム状に成形された中間層5を配置し、該中間層5の上に第2樹脂層のシートを配置した後、プレス機などを用いて第1樹脂層3及び中間層5の融点または軟化点以上の温度で加熱加圧することによっても、第1樹脂層3の上に、中間層5、第2樹脂層4を積層させることができる。
前記第2工程において、フッ素樹脂で形成されたシートを用いて第2樹脂層4を積層させる場合、該シートには、例えば、エッチング処理、プラズマ処理、コロナ処理、光化学的処理等の接着性を向上させる処理が施されていてもよい。
用途
本発明のシート1は、透光性に優れているため、建築物の屋根材、テント倉庫材等の膜材料(特に採光用テントに用いられる膜材料を含む)、照明カバー等に好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
1.シートの製造
ガラス繊維布帛として、表2に記載の市販のガラス繊維布帛(ガラス材料:Eガラス、比重2.54g/cm)を200mm×200mmに裁断して用いた。なお、表2において、「E03R SK」は、それぞれ、ユニチカ株式会社製のEガラス繊維織物の商品名である。Eガラス繊維織物には、有機物を除去するための熱処理と、シランカップリング剤による表面処理が施されている。なお、実施例1〜3、比較例1〜3で使用したガラス材料は、上記のガラス体積率が39.4%であった。
上記のガラス繊維布帛に含浸させる第1樹脂層を形成する樹脂組成物としては、表2の組成となるようにして、市販の硬化性アクリル樹脂と光重合開始剤の混合物(屈折率1.56)、飽和ポリエステル樹脂(「エリーテルUE−3200G」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.56))、及びビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名「ネオポール8114」)とスチレンモノマー(日本ユピカ株式会社製)と2官能(メタ)アクリレートと光重合開始剤の混合物(屈折率1.56)を使用した。なお、硬化剤である2官能(メタ)アクリレートとしては、表2に記載のNPGDA(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212、(日本ユピカ株式会社製)を用いた。また、光重合開始剤の量は、硬化性アクリル樹脂100質量部に対して1質量部、ビニルエステル樹脂とスチレンモノマーと2官能(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して2質量部とした。なお、使用した飽和ポリエステル樹脂の物性を下記表1に示す。
第2樹脂層を形成するシートとして、PVDFとアクリル樹脂とを含むシート(PVDFとPMMAとのアロイであって、PVDFの含有量が80質量%、PMMAの含有量が20質量%であるシートAと、PVDFの含有量が20質量%、PMMAの含有量が80質量%であるシートBとが接合されてなるシート(デンカ株式会社製、商品名「デンカDXフィルム DX−14S100」、厚さ100μm、質量136g/m))、及びPVDFのみからなるシート(厚さ100μm、質量174g/m)を使用した。
中間層を形成する樹脂としては、表2の組成となるようにして、塩化ビニル樹脂フィルム(オカモト株式会社製、一般用PVC#320、厚さ100μm、質量120g/m)、飽和ポリエステル樹脂(「エリーテルUE−3400」(ユニチカ株式会社製)を使用した。
(実施例1)
まず、厚さ0.05mmのPETフィルム上に、表2に記載の量(g/m)の第1樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布した。次に、該樹脂組成物の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂組成物を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、この上からローラーで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、前記樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂)を形成し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂の硬化物)からなる中間体シートを得た。
次に、得られた中間体シートを前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも前記第1樹脂層との接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、中間体シートとPVDFとアクリル樹脂とを含むシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂の硬化物)と、該第1樹脂層の両面にポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを含む第2樹脂層が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂)の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層が形成されていた。
(実施例2)
まず、離型用のPTFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3200Gをトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、100g/m塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離した。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、中間層を形成する上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させた。そして、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムが接着したシートの両面を、上述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも前記中間層との接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、塩化ビニル樹脂フィルムとPVDFとアクリル樹脂とを含むシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に中間層(塩化ビニル樹脂)を介してポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを含む第2樹脂層が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、ガラス繊維布帛を除いた第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)の質量A(g/m)、第2樹脂層全体の質量B(g/m)、中間層全体の質量C(g/m)の比(A:B:C)としては、100:900:800であった。
(実施例3)
まず、厚さ0.05mmのPETフィルム上に、表2に記載の量(g/m)の第1樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布した。次に、該樹脂組成物の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂組成物を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、この上からローラーで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、前記樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマー含有)を形成し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)からなる中間体シートを得た。
次に、前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシートのシートB側の面上(すなわち、アクリル樹脂リッチ面上)に、中間層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を50g/m塗布し、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、上記中間体シートを載せた。さらに、該中間体シートの上面側にも、中間層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を50g/m塗布した。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。該中間体シートの上面側において皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の上に、前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート1枚を、中間層(該皮膜化した飽和ポリエステル樹脂)との接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるように載せ、該PVDFとアクリル樹脂とを含むシートの上からローラーで加圧し、該PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと皮膜化した飽和ポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、PVDFとアクリル樹脂とを含むシートと中間体シートとを飽和ポリエステル樹脂を介して接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)と、該第1樹脂層の両面に中間層(飽和ポリエステル樹脂、1層あたりの厚さ15μm)を介してPVDFとアクリル樹脂とを含むシートが積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマーの硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)が形成されていた。
(比較例1)
まず、厚さ0.05mmのPETフィルム上に、表2に記載の量(g/m)の第1樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布した。次に、該樹脂組成物の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂組成物を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、この上からローラーで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、前記樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂)を形成し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂の硬化物)からなる中間体シートを得た。
次に、得られた中間体シートを前述のPVDFのみからなるシート2枚で挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、中間体シートとPVDFのみからなるシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂の硬化物)と、該第1樹脂層の両面にPVDFのみからなるシートが積層された積層構造である、シートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(硬化性アクリル樹脂)の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層が形成されていた。
(比較例2)
まず、離型用のPTFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3200Gをトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、100g/m塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離した。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、中間層を形成する上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させた。そして、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムが接着したシートの両面を、上述のPVDFのみからなるシート2枚で挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、塩化ビニル樹脂フィルムとPVDFのみからなるシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に中間層(塩化ビニル樹脂)を介してPVDFのみからなるシートが積層された積層構造である、シートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)が形成されていた。
(比較例3)
まず、厚さ0.05mmのPETフィルム上に、表2に記載の量(g/m)の第1樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布した。次に、該樹脂組成物の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂組成物を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、この上からローラーで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、前記樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマー含有)を形成し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)からなる中間体シートを得た。
次に、前述のPVDFのみからなるシートの面上に、中間層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を50g/m塗布し、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、上記中間体シートを載せた。さらに、該中間体シートの上面側にも、中間層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を50g/m塗布した。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。該中間体シートの上面側において皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の上に、前述のPVDFのみからなるシート1枚を載せ、該PVDFのみからなるシートの上からローラーで加圧し、該PVDFのみからなるシートと皮膜化した飽和ポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm、時間5分の条件でプレスし、PVDFのみからなるシートと中間体シートとを飽和ポリエステル樹脂を介して接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)と、該第1樹脂層の両面に中間層(飽和ポリエステル樹脂、1層あたりの厚さ15μm)を介してPVDFのみからなるシートが積層された積層構造である、シートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層の質量は30g/m、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマーの硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)が形成されていた。
なお、実施例において、ガラス繊維織物の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維織物の厚さは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。第1樹脂層及びガラス繊維布帛の屈折率は、上記の方法で測定及び算出した。以下の評価は、シートの製造後、1週間室内で放置してから行った。
2.シートの性能評価
(全光線透過率及びヘーズ)
JIS K7361−1 1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に従って測定した。また、ヘーズはJIS K7136 2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に従って測定した。
(不燃性の評価)
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各シートを用い、建築基準法第2条第9号および建築基準法施行令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験をおこない、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、総発熱量が8MJ/m以下であるものについて、評価を○とした。
(剥離強度)
JIS K 6854−2:1999に準じ、引張試験機としてINTESCO社製2100型を用い、得られた各シートを幅25mm、長さ500mmにカットし、カットしたシートの長さ方向の両端部において第2樹脂層(フッ素樹脂層)を長さ方向に50mm剥離させたものを試験片とした。各実施例、比較例において該試験片を5個ずつ作成した。上記引張試験機の上部つかみで試験片の一方の端部におけるフッ素樹脂層のみをつかみ、上記引っ張り試験機の下部つかみで該試験片の他方の端部における第2樹脂層(フッ素樹脂層)以外の層のみをつかみ、つかみ移動速度を100mm/分として試験をおこない、得られた力−つかみ移動曲線から平均剥離力(N/25mm)を求め、これを上記5個の試験片についておこない、該5個の試験片の平均剥離力の平均値を剥離強度(N/25mm)とした。
結果を表2に示す。

実施例1〜3のシートは、フッ素樹脂層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを含むものであったことから、フッ素樹脂層の剥離が生じ難くなるという効果を奏するものであった。中でも、第2樹脂層が接面している樹脂層が塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂であった実施例1及び2は、剥離試験において第2樹脂層が剥離せずに第2樹脂層が材料破壊したように、フッ素樹脂層の剥離がより一層生じ難くなるものであった。また、実施例2のシートは、中間層が塩化ビニル樹脂を含むものであったことから、優れた剥離強度と不燃性を維持しつつ、厚さをより大きくしやすくなることが判明した。また、実施例1又は実施例3と、実施例2と、を比較して、実施例2は第1樹脂層が熱可塑性樹脂層であったことから、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることをより効果的に抑制させるものであった。さらに、実施例2のシートは、雰囲気温度50℃の環境下、経糸方向にJIS R 3420 2013のタイプIIに準じて測定されるシート引張強さ(N/25mm)の1/10の張力(N)をかけた状態で6時間放置した後も、第1樹脂層のガラス転移に伴うシートの白濁が全く生じず、高温環境下で張力をかけた状態で使用する場合にも透光性をより一層維持し易くなっていた。
一方、比較例1〜3は、フッ素樹脂層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを含むものでなく、ポリフッ化ビニリデン樹脂のみからなるものであったことから、実施例1〜3のシートに比して、フッ素樹脂層の剥離が生じ難くなるという効果に劣るものであった。
1 シート
2 ガラス繊維布帛
3 第1樹脂層
4 第2樹脂層
5 中間層
6 網体層

Claims (10)

  1. 少なくとも1つのガラス繊維布帛と、
    前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層と、を含み、
    前記第1樹脂層が、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又は飽和ポリエステル樹脂を含み、
    前記第2樹脂層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンであり、
    前記第2樹脂層が前記第1樹脂層に接面した状態で積層されている、シート。
  2. 少なくとも1つのガラス繊維布帛と、
    前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層と、を含み、
    前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に中間層とガラス繊維網体からなる網体層とを含み、前記第2樹脂層が接面した状態で積層されている樹脂層が前記中間層であり、
    前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、
    前記第2樹脂層が、フッ素樹脂とアクリル樹脂とを含み、該フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンであり、
    前記中間層が塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂又は飽和ポリエステル樹脂を含む、シート。
  3. 前記第1樹脂層に含まれる樹脂と、前記中間層に含まれる樹脂とが、異なる樹脂である、請求項に記載のシート。
  4. 前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との屈折率差の絶対値が0.05以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
  5. 前記第1樹脂層に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート。
  6. 前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との合計量に対する前記ガラス繊維布帛の割合が10〜70質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載のシート。
  7. 全光線透過率が70%以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のシート。
  8. 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、総発熱量が8MJ/m以下である、請求項1〜のいずれかに記載のシート。
  9. JIS K 6854−2:1999に準じて測定される前記第2樹脂層の剥離強力が20N/25mm以上である、請求項1〜のいずれかに記載のシート。
  10. 厚さが0.5mm以上である、請求項1〜に記載のシート。
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