JP6664334B2 - シート - Google Patents

シート Download PDF

Info

Publication number
JP6664334B2
JP6664334B2 JP2016562633A JP2016562633A JP6664334B2 JP 6664334 B2 JP6664334 B2 JP 6664334B2 JP 2016562633 A JP2016562633 A JP 2016562633A JP 2016562633 A JP2016562633 A JP 2016562633A JP 6664334 B2 JP6664334 B2 JP 6664334B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin layer
glass fiber
resin
sheet
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016562633A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016088751A1 (ja
Inventor
信貴 武内
信貴 武内
仁 興梠
仁 興梠
裕樹 堀越
裕樹 堀越
賢一 野田
賢一 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Teijin Frontier Co Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Teijin Frontier Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd, Teijin Frontier Co Ltd filed Critical Unitika Ltd
Publication of JPWO2016088751A1 publication Critical patent/JPWO2016088751A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6664334B2 publication Critical patent/JP6664334B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/02Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres in the form of fibres or filaments
    • B32B17/04Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres in the form of fibres or filaments bonded with or embedded in a plastic substance
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/30Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising vinyl (co)polymers; comprising acrylic (co)polymers
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04CSTRUCTURAL ELEMENTS; BUILDING MATERIALS
    • E04C2/00Building elements of relatively thin form for the construction of parts of buildings, e.g. sheet materials, slabs, or panels
    • E04C2/54Slab-like translucent elements
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04HBUILDINGS OR LIKE STRUCTURES FOR PARTICULAR PURPOSES; SWIMMING OR SPLASH BATHS OR POOLS; MASTS; FENCING; TENTS OR CANOPIES, IN GENERAL
    • E04H15/00Tents or canopies, in general

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Architecture (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Panels For Use In Building Construction (AREA)

Description

本発明は、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートに関するものであり、詳しくは、本発明は、透光性と不燃性に優れたガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートに関する。
従来、膜材料、例えば、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられるシートとして、ガラス繊維布帛と樹脂を含むシートが知られている。中でも、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂を含むシートは、不燃性、防汚性、柔軟性等に優れることが知られている。該シートは、建築物の屋根材、テント倉庫材等に用いられる場合、屋外から屋内へ採光できることが求められることがあり、優れた透光性も求められる。
ガラス繊維布帛とフッ素樹脂を含むシートとして、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸された100〜250℃の融点を有するフッ素系樹脂層を少なくとも1層積層してなる膜材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。該膜材料によれば、十分な透光性を有し、且つ長期の使用においても、強度の低下や汚れによる透光性の低下が極めて少ない膜材料、即ち、耐候性、防汚性および柔軟性に加えて透光性にも優れた4拍子揃ったバランスのとれた膜材料を提供することができるとされている。
また、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とからなるシートとして、ガラス繊維織物と、該ガラス繊維織物に含浸されたフッ素樹脂からなる樹脂被膜層からなる、入射した光を所定の光透過特性で透過・拡散させるガラス繊維シートであって、該ガラス繊維織物を特定の構成とし、前記光透過特性は、全光線透過率が50%以上であるとともに、平行光線透過率が5%以下となるように形成されている光拡散用ガラス繊維シートが知られている(例えば、特許文献2参照。)。該シートによれば、高い光拡散性を有する条件において、同時に充分な透光性を実現した光拡散シートを実現することができるとされている。
特開平9−76420号公報 特許第4359967号公報
しかしながら、透光性に優れるとされる特許文献1の実施例として開示されたシートは全光線透過率が高くても32.5%、特許文献2の実施例として開示されたシートは全光線透過率が高くても60.4%である。このように、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて、当業者が優れると考える透光性のレベルは、せいぜい全光線透過率が60%程度のものであった。換言すれば、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートでは、全光線透過率が70%を超えるような高い透光性が得ることができないことが技術常識であった。
そこで、本発明は、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて優れた透光性を備えさせる技術を提供することを課題とする。
本発明者は、特許文献1や特許文献2で開示されたシートが高い透光性を得られない原因について検討したところ、ガラス繊維布帛の屈折率は1.5〜1.7程度、フッ素樹脂の屈折率は1.3〜1.4程度であり、両者の屈折率差が大きく、ガラス繊維とフッ素樹脂との界面において光が多く散乱し、これに起因して優れた透光性が得られないことを知得した。
そこで、本発明者がさらに鋭意検討したところ、ガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて、ガラス繊維布帛に屈折率が近似する樹脂層を含浸させ、これにフッ素樹脂層を積層させることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートは優れた透光性を得られることを知得した。即ち、少なくとも1つのガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛を含浸した状態で含む第1樹脂層と、前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層とを含むシートにおいて、前記第2樹脂層にフッ素樹脂を含有させ、更に前記第1樹脂層にフッ素樹脂以外の樹脂を含有させ、且つ、前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層の屈折率の差を0.05以下に設定することによって、優れた透光性を備えさせ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成するに至った。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様のシートを提供する。
項1. 少なくとも1つのガラス繊維布帛と、
前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、
前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層とを含み、
前記第2樹脂層が、フッ素樹脂を含み、
前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、
前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層の屈折率の差が0.05以下である、
ことを特徴とする、シート。
項2. 前記第1樹脂層に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である、項1に記載のシート。
項3. 前記第1樹脂層が、軟化点(Ts)が100〜150℃、ガラス転移点が40℃以下、数平均分子量が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含む、項1又は2に記載のシート。
項4. 前記第1樹脂層が、ガラス転移点が60〜120℃のポリエステル樹脂を含む、項1又は2に記載のシート。
項5. 前記第1樹脂層に対して前記第2樹脂層が接面している状態で積層されている、項1〜4のいずれかに記載のシート。
項6. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、接着層を更に含む、項1〜4のいずれかに記載のシート。
項7. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、接着層と、ガラス繊維網体からなる網体層とを更に含む、項1〜4のいずれかに記載のシート。
項8. 前記接着層が、軟化点が20〜150℃、ガラス転移点が40℃以下、数平均分子量が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含む、項6又は7に記載のシート。
項9. 前記接着層が、塩化ビニル樹脂を含む、項6又は7に記載のシート。
項10. 前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との合計量に対する前記ガラス繊維布帛の割合が10〜70質量%である、項1〜9のいずれかに記載のシート。
項11. 前記第2樹脂層が、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂を含む、項1〜10のいずれかに記載のシート。
項12. 全光線透過率が70%以上である、項1〜11のいずれかに記載のシート。
項13. 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下である、項1〜12のいずれかに記載のシート。
本発明によれば、高い透光性が得ることができないことが技術常識であったガラス繊維布帛とフッ素樹脂とを含むシートにおいて、ガラス繊維布帛に屈折率が近似する第1樹脂層を含浸させ、これにフッ素樹脂を含む第2樹脂層を積層させることにより、従来技術では得られなかった優れた透光性を有するシートが得られる。このように、本発明のシートは、優れた透光性を有するため、建築物の屋根材、テント倉庫材等に好適に用いることができる。特に、本発明の一態様では、シートに折曲げ応力を繰り返し加えても白化が生じるのを抑制できるので、優れた透光性をより維持し易いシートを提供することも可能になる。
本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 本発明のシートの積層構造の一例を示す断面模式図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置の概略を示す図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図である。図6中に示す数値(寸法)の単位はmmである。
本発明のシートは、少なくとも1つのガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層とを含み、前記第2樹脂層がフッ素樹脂を含み、前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層の屈折率の差が0.05以下であることを特徴とする。以下、本発明のシートについて詳細に説明する。
積層構造
本発明のシート1は、図1〜4に示されるように、少なくとも1つのガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された状態で含まれ、該第1樹脂層3の少なくとも一方の面上側に第2樹脂層4を備える積層構造を有する。本発明のシート1において、ガラス繊維布帛2は、少なくとも1つ含まれていればよく、複数含まれていてもよい。例えば、図2に示すように、本発明の透明不燃性シート1において、2枚のガラス繊維布帛2が、それぞれ、第1樹脂層3の両表面側に位置するように配されていてもよい。
また、図1〜4に示されるように、本発明のシート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布帛2を構成している複数のガラス繊維の隙間を埋めており、第1樹脂層3の一方の表面側部分31と、他方の表面側部分32とは、当該隙間部分を介して通じている。
また、本発明のシート1において、ガラス繊維布帛2は、第1樹脂層3を含浸した状態で含まれていればよいが、透光性をより一層高めるという観点から、図1〜4に示されるように、ガラス繊維布帛2の両面上に、ガラス繊維布帛2が存在していない第1樹脂層3部分が形成されていることが好ましい。
本発明のシート1において、第2樹脂層4は、第1樹脂層3の少なくとも一方の面上側に積層されていればよいが、図1〜4に示されるように第1樹脂層3の両面に積層されていることが好ましい。
また、本発明のシートにおいて、第1樹脂層3に対して第2樹脂層4が接面している状態で積層(即ち、第1樹脂層3と第2樹脂層4が直接積層)されていてもよいが、例えば、図3に示されるように、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性をより高めることを目的として、第1樹脂層3と第2樹脂層4との間には、接着層5が積層されていてもよい。また、例えば、図4に示されるように、第1樹脂層3又は接着層5とフッ素樹脂層4との間には、シート1の機械的強度(硬さ)を高めること等を目的として、ガラス繊維からなる網体層6が積層されていてもよい。図4では、第2樹脂層4側から接着層5及び網体層6がこの順で配されているが、第2樹脂層4側から網体層6及び接着層5がこの順で配されていてもよい。また、図4では、接着層5と網体層6を含む形態を示しているが、網体層6が積層される場合、接着層5を含まない形態としてもよい。接着層5及び網体層6は、それぞれ、樹脂層3の一方の面上側に積層されていてもよいし、図4のように両面側に積層されていてもよい。
本発明のシート1は、透光性をより一層向上させるという観点から、ガラス繊維布帛2と、ガラス繊維布帛2に含浸されている第1樹脂層3と、該第1樹脂層3の少なくとも一方の面に直接第2樹脂層4が積層された積層構造とすることが好ましい。第2樹脂層4を、接着層5等他の樹脂層を介さずに、ガラス繊維布帛2に含浸されている第1樹脂層3に直接積層させることにより、第2樹脂層4が第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることがより一層抑制され易くなり、優れた透光性を維持し易くなる。
各層の組成
本発明のシート1を構成する各層の組成について詳述する。
[ガラス繊維布帛2]
ガラス繊維布帛2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布帛2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布帛を形成している。ガラス繊維布帛2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されないが、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。ガラス繊維織物の織密度については、特に制限されないが、シート1に含まれる樹脂が燃焼してしまった場合に、ガラス繊維布帛2に大きな貫通孔がより形成されにくく、より優れた不燃性能が保持されるという観点から、経、緯ともに30本/25mm以上が好ましく、40本/25mm以上がより好ましく、50本/25mm以上が特に好ましい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維のガラス材料については、特に制限されず、公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、具体的には、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられる。これらのガラス材料の中でも、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布帛2を形成できることを限度として特に制限されない。ガラス繊維の番手としては、シート1の透光性をより一層向上させるという観点から、20tex以下が好ましい。ガラス繊維布帛2は、1種の番手のガラス繊維で形成されていてもよいし、2種以上の番手のガラス繊維で形成されていてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、シート1の透光性をより一層優れたものとする観点から、30〜500本程度が好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、シート1の透光性をより一層向上させるという観点から、3.0〜10.0μm程度が好ましい。ガラスヤーンの番手は、シート1の透光性をより一層優れたものとする観点から3〜80texが好ましい。
例えば、本発明のシート1を採光用テントに用いる場合等、シート1を通した視認性が重視され、ヘーズの値をより小さいものとする場合は、ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30〜120本程度がより好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は3.0〜6.0μm程度がより好ましく、3.0〜5.0μm程度がさらに好ましい。また、同様の観点から、ガラスヤーンの番手は、3〜12texがより好ましく、3〜5texが更に好ましい。ガラス繊維布帛2を構成するガラスヤーンにおける単繊維の直径及びガラスヤーンの番手が上記の範囲内にあることにより、シート1の透光性がより一層向上し易くなる機序の詳細は明らかではないが、このような条件を充足することにより、ガラス繊維布帛2が平滑化し、第1樹脂層3との界面における光の散乱が効果的に抑制され、結果として、シート1の透光性がより一層向上し易くなると考えられる。
また、例えば、本発明のシート11を照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視され、ヘーズの値をより大きいものとする場合には、ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、180〜500本程度がより好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は7.0〜10.0μm程度がより好ましく、8.0〜10.0μm程度が更に好ましい。同様の観点から、ガラスヤーンの番手は、20〜80texがより好ましく、50〜80texが更に好ましい。
ガラス繊維布帛2との第2樹脂層3との接着性を高め、本発明のシート1の透光性をより一層向上させるという観点からは、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の表面は、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
シート1において、ガラス繊維布帛2の割合(質量%)は、シート1の透光性をより一層向上させつつ、優れた不燃性を備えさせるという観点から、ガラス繊維布帛2と後述の第1樹脂層3との合計量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜55質量%がより好ましい。また、ガラス繊維布帛2の1枚の質量(g/m2)は、10〜1000(g/m2)が好ましく、20〜800(g/m2)がより好ましく、30〜700(g/m2)が更に好ましい。中でも、優れた透光性と優れた不燃性を好適に維持させつつ、シート自体の厚さをより大きくし易くして、膜材料としての取扱性を高める観点から、150〜400(g/m2)がより好ましく、150〜300(g/m2)が一層好ましい。
前述のように、ガラス繊維布帛2は、第1樹脂層3中に少なくとも1つ含まれていればよいが、複数含まれていてもよい。ここで、ガラス繊維布帛2を複数層含む場合、例えば図2に示されるように、ガラス繊維布帛2の厚さ方向における中央部Nが、第1樹脂層3の厚さ方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、第1樹脂層3の両表面側(図2の31側及び32側)にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されていることが好ましい。このように、2つのガラス繊維布帛2が、それぞれ第1樹脂層3の両表面側(図2の31側及び32側)に位置するように配されていることにより、第1樹脂層3の中央部分のみにガラス繊維布帛2が配置されているシートに比して、機械的強度(硬さ)をより高めることができ、さらに熱による反りもより効果的に抑制することができる。より具体的には、第1樹脂層3の表面からガラス繊維布帛2の中央部Nまでの最短距離L1と、第1樹脂層3の厚さL0とが、以下の式(I)の関係を充足することが好ましい。
また、ガラス繊維布帛2は、式(I)の関係を充足するように、第1樹脂層3の両表面側にそれぞれ1枚ずつ含まれることがより好ましい。更に、上記L1と上記L0とは、以下の式(II)の関係を充足することが好ましい。
また、ガラス繊維布帛2の厚さ方向における中央部Nが、第1樹脂層3の厚さ方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、第1樹脂層3の両表面側にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されている場合であって、更にシート1におけるガラス繊維布帛2の割合を10〜70(質量%)とし、且つガラス繊維布帛2の1枚の質量を20〜50(g/m2)とした場合は、シート1の透光性と機械的強度(硬さ)を特に優れた状態で両立させることが可能になる。
ガラス繊維布帛2と後述の第1樹脂層3の屈折率の差は0.05以下に設定される。このように、ガラス繊維布帛2と第1樹脂層3の屈折率の差が0.05以下であることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートは優れた透光性を得ることが可能になる。より一層効果的に透光性を向上させるという観点から、ガラス繊維布帛2と第1樹脂層3の屈折率の差として、好ましくは0.04以下、より好ましくは0.03以下が挙げられる。
なお、ガラス繊維布帛2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布帛を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、第1樹脂層3の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、第1樹脂層3を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、特に制限されないが、例えば10〜1000μm程度が挙げられる。シート1の透光性をより一層向上させるという観点から、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとして、20〜800μmが好ましく、30〜700μm程度がより好ましい。また、例えば、本発明のシート1を採光用テントに用いる場合等、シート1を通した視認性が重視され、ヘーズの値をより小さいものとする場合は、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、20〜50μmが特に好ましい。また、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さを20〜50μmとすることにより、第2樹脂層4とガラス繊維布帛2との柔軟性がより一層近似し、第2樹脂層4がガラス繊維布帛2に含浸されている第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることをより一層抑制でき、優れた透光性をより一層維持し易くなる。また、例えば、本発明のシート11を照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視され、ヘーズの値をより大きいものとする場合には、ガラス繊維布帛2の1枚あたりの厚さとしては、50〜800μmが特に好ましい。
[第1樹脂層3]
本発明のシート1において、第1樹脂層3は、前述のガラス繊維布帛2に含浸された状態で含まれる。前述の通り、第1樹脂層3の屈折率は、ガラス繊維布帛2の屈折率との差が0.05以下である必要があり、0.04以下が好ましく、0.03以下がより好ましい。前述のガラス繊維布帛2と樹脂層3の屈折率の差が0.05以下とすることにより、ガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、得られるシートは優れた透光性を得ることができる。
第1樹脂層3はフッ素樹脂以外の樹脂を含む。第1樹脂層3として、ガラス繊維布帛2との屈折率との差を0.05以下とする観点から、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂、又は屈折率が1.45〜1.60の硬化性樹脂を含むことが好ましい。屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等の中から選択すればよい。また、屈折率が1.45〜1.60の硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の中から選択すればよい。これらの中でも、シート1の柔軟性をより向上させ、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることをより効果的に抑制させるという観点から、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂が好ましい。また、屈折率が1.45〜1.60の熱可塑性樹脂の中でも、シート1の透光性と第2樹脂層4との接着性をより一層向上させるという観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。更に、第1樹脂層3は、屈折率を調整する目的で、上記熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂の中から複数種を含有することができる。
前述のように、第1樹脂層3と該第1樹脂層3の少なくとも一方の面に直接フッ素樹脂層4が積層された積層構造とする場合、第1樹脂層3において、軟化点(Ts)が20〜150℃、ガラス転移点(Tg)が40℃以下、数平均分子量(Mn)が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含有させると、第2樹脂層4がより一層強固に接着し、第2樹脂層4が第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることがより一層抑制され易く、優れた透光性をより一層維持し易くなる。
優れた透光性をより一層効果的に維持させるという観点から、上記ポリエステル樹脂の軟化点(Ts)は、20〜120℃がより好ましく、上記ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、0℃以下−30℃以上がより好ましく、−10℃以下−30℃以上が更に好ましい。同様の観点から、上記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は10000〜30000ダルトンがより好ましく、上記ポリエステル樹脂の酸価は0.5〜20mgKOH/gであることがより好ましく、1〜15mgKOH/gが特に好ましい。
とりわけ、上記ポリエステル樹脂が、軟化点(Ts)が20〜60℃、ガラス転移点(Tg)が0℃以下、数平均分子量(Mn)が10000〜30000ダルトン、酸価が0.5〜20mgKOH/gを満たしていると、第2樹脂層4が特に強固に接着し、第2樹脂層4が第1樹脂層3に特に追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じるのを効果的に抑制することが可能になる。更に、上記ポリエステル樹脂が不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないものであると、上記効果が一層優れたものとなり易い。ここで、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化の促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことをいう。「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、不揮発性水性化助剤を積極的には系に添加しないことにより、結果的にこれらを含有しないことを意味する。こうした不揮発性水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリエステル樹脂成分100質量部に対して5質量部以下程度含まれていても差し支えない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、具体的には、後述する界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、酸価が20mgKOH/gを超える酸変性化合物、水溶性高分子が挙げられる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤も含まれる。例えば、カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸及びその塩、オレイン酸、ステアリン酸、パルチミン酸等の高級カルボン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、ペルフルオロオクタンスルホン酸及びその塩、ペルフルオロオクタンスルホンアミド及びその塩等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩が挙げられる。変性ワックス類とは、重量平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩であり、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス等が挙げられる。酸価が20mgKOH/gを超える酸変性化合物としては、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が20質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩が挙げられる。水溶性高分子としては、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないポリエステル樹脂としては、不揮発性水性化助剤を実質的に含有しないポリエステル樹脂水性分散体を塗布、乾燥して得られるものが挙げられ、ポリエステル樹脂水性分散体の市販品としては、例えば、「エリーテルKT−0507」(ユニチカ株式会社製)が挙げられる。
また、第1樹脂層3において、ガラス転移点(Tg)が60〜120℃、より好ましくは60〜80℃のポリエステル樹脂を含有させると、例えば50℃等高温環境下で張力をかけた状態で使用する場合にも、シートが白濁することをより一層低減し易く、優れた透光性をより一層維持し易くなる。ガラス転移点(Tg)が60〜120℃のポリエステル樹脂の軟化点(Ts)としては、例えば、100〜220℃、好ましくは150〜180℃が挙げられ、数平均分子量(Mn)としては、例えば、10000〜30000ダルトン、好ましくは14000〜22000ダルトンが挙げられ、酸価としては、例えば、0.5〜20mgKOH/g、好ましくは1〜15mgKOH/gが挙げられる。
なお、本発明において、Ts(℃)は、JIS K 2531:1960 環球法に準じて測定される値である。Tg(℃)は、JIS K 7121に準じ、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製 ダイヤモンドDSC)を用いて10℃/minの昇温速度でスキャンさせたチャートから、ガラス転移点(Tg)(補外ガラス転移開始温度(℃))を読みとる値である。Mnは、VPO法(蒸気圧浸透圧法)で測定される値である。酸価は、ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1g当たりに換算した値を酸価として求められる値である。
第1樹脂層3において、樹脂の割合としては、特に制限されないが、例えば、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。
第1樹脂層3の質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、30〜500g/m2が好ましく、30〜300g/m2がより好ましく、30〜100g/m2が更に好ましい。中でも、優れた透光性と優れた不燃性を好適に維持させつつ、シート自体の厚さをより大きくし易くして、膜材料としての取扱性を高める観点から、150〜400(g/m2)がより好ましく、150〜300(g/m2)が一層好ましい。
第1樹脂層3は、フッ素樹脂以外の樹脂の他に、必要に応じて、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤、光拡散剤などの添加物を更に含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。光拡散剤としては、コロイダルシリカ、透明微小球、例えば、ガラスビーズやアクリルビーズなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
第1樹脂層3の厚さ(L0)については、前述する式(I)及び(II)を充足するように適宜設定することが好ましいが、具体的には30〜300μmが挙げられる。第1樹脂層3の厚さ(L0)として、膜材料としての取扱性をより一層好適するという観点から、好ましくは150〜300μmが挙げられる。
[第2樹脂層4]
本発明のシート1において、第2樹脂層4は、第1樹脂層3の少なくとも一方の面側に配される層である。第2樹脂層4は、フッ素樹脂を含む。本発明において、フッ素樹脂とは、少なくとも1種の含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体(単独重合体又は共重合体)であり、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組わせて使用してもよい。これらのフッ素樹脂の中でも、本発明のシート1により一層優れた透光性を備えさせるという観点から、PCTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDFからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含むことが好ましく、耐候性や柔軟性の観点からはETFE及びPVDFがより好ましい。
第2樹脂層4には、フッ素樹脂以外に、必要に応じて、例えば、有機顔料、無機顔料等の着色顔料、染料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を含んでもよい。
第2樹脂層4におけるフッ素樹脂の割合としては、特に制限されないが、例えば50〜100質量%程度が好ましく、70〜100質量%程度がより好ましい。
第2樹脂層4の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、22〜435g/m2が好ましく、22〜200g/m2がより好ましく、22〜150g/m2が更に好ましい。
また、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、透光性をより一層向上させ、且つ柔軟性を付与して折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を抑制し優れた透光性をより維持し易くするという観点から、12.5〜500μmが好ましく、12.5〜250μmがより好ましい。また、シート全体の厚さを500μm以上にしつつ、優れた不燃性特性を備え易くするという観点からは、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとして、10〜120μmが好ましい。
[接着層5]
接着層5は、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間に、これらの接着性を向上させるために、必要に応じて設けられる層である。
接着層5を形成する樹脂の種類については、特に限定されるものではないが、例えば、硬化樹脂を含む第1樹脂層3を使用する場合であれ、フッ素樹脂シートの融点に近い融点をもつ樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、具体的には、オレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)などの芳香族系樹脂;テトラフルオロエチレン(TFE)単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位からなる共重合体(TFE−PAVE共重合体)、TFE−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの熱溶融性フッ素樹脂などが挙げられる。また、例えば、熱硬化性樹脂を含む第1樹脂層3を使用する場合であれば、前述した軟化点(Ts)が20〜150℃、ガラス転移点(Tg)が40℃以下、数平均分子量(Mn)が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を用いることが特に好ましい。このような樹脂を用いて接着層5を形成することによって、第1樹脂層3と第2樹脂層4との接着性を高めることができ、例えば第2樹脂層4を積層する方法としてフッ素樹脂で形成されたシートを接着する方法を採用した場合においても、第2樹脂層4が第1樹脂層3により追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じるのを効果的に抑制でき、優れた透光性をより一層維持し易くなる。
また、接着層5を形成する樹脂として塩化ビニル樹脂も好適に使用できる。接着層5を塩化ビニル樹脂で形成する場合、塩化ビニル樹脂が有する燃え難い性質(不燃性)を利用して、優れた不燃性を維持しつつ、シート自体の厚さを大きくし易くなり、膜材料としての取扱性が一層好適になる。接着層5を塩化ビニル樹脂で形成する場合、優れた不燃性を好適に維持させつつ、シート自体の厚さをより大きくし易くして、膜材料としての取扱性を高めるという観点から、ガラス繊維布帛を除いた第1樹脂層3の質量A(g/m2)、第2樹脂層4全体の質量B(g/m2)、接着層5全体の質量C(g/m2)の比(A:B:C)としては、100:10〜40:100〜300が好ましく、100:20〜30:150〜200がより好ましい。
接着層5の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、5〜300g/m2が好ましく、20〜250g/m2がより好ましく、100〜250g/m2が特に好ましい。
また、接着層5の1層あたりの厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、50〜400μmが好ましい。また、膜材料としての取扱性を高めるという観点からは、接着層5を塩化ビニル樹脂を含むものとし、接着層5の1層あたりの厚さが100〜300μmがより好ましい。
[網体層6]
網体層6は、シート1の不燃性を高めたり、機械的強度を高めることなどを目的として、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間に、必要に応じて設けられる層である。
網体層6はガラス繊維網体によって形成される。網体層6を構成するガラス繊維網体としては、特に制限されないが、例えばガラス繊維布帛2で例示したガラス繊維と同じガラス繊維の網体が例示できる。また、ガラス繊維網体の形状及び構造については、特に限定されず、例えば経糸2本の間に緯糸を挟み込んで樹脂で固定したガラス繊維直交積層ネットなどが挙げられる。網体層6を構成するガラス繊維網体は、ガラス繊維間の開口幅を好ましくは3〜20mmに設定することにより、ガラス繊維間の開口を介して良好に採光でき、シート1全体の強度を高めることが可能になる。また、第1樹脂層3の両面側に第2樹脂層4を設ける場合であれば、不燃性を高めたり、機械的強度を高めるという観点から、第1樹脂層3と第2樹脂層4の間のそれぞれに網体層6(即ち、2つ網体層6)を配置することが好ましい。
網体層6の厚さについては、特に制限されないが、例えば50〜300μm程度、好ましくは100〜200μm程度が挙げられる。
透光性及び不燃性特性
本発明のシート1を、高い透光性を有することが好ましい。高い透光性を担保する観点から、本発明のシート1の全光線透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。このような全光線透過率を充足することによって、例えば、建築物の屋根材、テント倉庫材などとして使用した際に屋外から屋内への採光量を高めることができる。全光線透過率を高めるには、ガラス繊維布帛2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差を0.05以下とすることの他、例えば、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の繊維径、番手、ガラス繊維布帛の厚さ等を小さいものとしてガラス繊維布帛の平滑性を高めたり、織密度が小さいものとしたり、前記ガラス繊維布帛と第1樹脂層3との合計量に対する前記ガラス繊維布帛2の割合を調整すること等により可能となる。
また、本発明のシート1のヘーズは、例えば、採光用テントに用いる場合等、シートを通した視認性が重視される場合には、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。また、例えば、照明カバーに用いる場合等、光拡散性が重視される場合には、本発明のシート1のヘーズは、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。ヘーズを高くするには、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の繊維径を太いものとする、また織密度が高いものとする等の手法が挙げられる。また、第1樹脂層3中にガラスビーズを分散させることによっても、ヘーズを高くすることが可能である。なお、本発明において、シート1の全光線透過率及びヘーズは、それぞれ、JIS K7375 2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定して得られる値である。
本発明のシート1は、ガラス繊維布帛2と第2樹脂層4とを含むため、燃えにくい性質(不燃性)を備えることができる。なお、本発明のシート1の不燃性としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開
始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。不燃性をより一層向上させるためには、例えば、第1樹脂層3及び/又は第2樹脂層4において、難燃剤の添加や有機物量の減量等を行なえばよい。
なお、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」については、具体的には、以下に示す試験体、試験装置及び試験条件に記載の内容に従って行われる。
[試験体]
(1)試験体(シート)の個数は3個とする。
(2)試験体の形状及び寸法は、1辺の大きさが99mm±1mmの正方形とする。
[試験装置]
(1)使用する試験装置の概略図を図5に示す。試験装置は、円錐状に形作られた輻射電気ヒーター、点火用プラグ、輻射熱遮蔽板、試験体ホルダー、ガス濃度分析装置及びガス流量の測定のできる排気システム、熱流計等で構成される。
(2)輻射電気ヒーターは、50kW/m2の輻射熱を試験体表面に均一な照射が安定してできるものとする。
(3)輻射熱遮蔽板は、試験開始前の輻射熱から試験体を保護できるものとする。
(4)試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図を図6に示す。試験体ホルダーは、外寸で1辺106mm±1mmの正方形で、深さが25mm±1mmの大きさで、厚さが2.15mm±0.25mmのステンレス鋼製で、上部には1辺94.0mm±0.5mmの正方形の開口を中央部に設けるものとする。押さえ枠は、内寸で1辺111mm±1mmの正方形で、深さが54mm±1mmのステンレス鋼製とする。
(5)排気システムは、試験温度で有効に機能する遠心式排気ファン、フード、通風口、排気ダクト、オリフィスプレート流量メータ等を備えているものとする。フード下端部と試験体表面との距離は、210mm±50mmとし、その状態での排気システムの排気装置は、標準温度と標準圧力に換算した流量が0.024m3/s以上であることとする。排気流量の測定のために、内径57mm±3mmのオリフィスをフードとダクトの間に設ける。排気ガス採取を目的として、12個の直径2.2mm±0.1mmの穴のあるリングサンプラーをフードから685mm±15mmの位置に、穴が流れと反対の方向に向くように取り付ける。又、排気ガスの温度を、オリフィスから上流100mm±5mmの位置の排気ダクトの中心部で測定する。オリフィスは、流量の測定に影響を及ぼさない位置に設置する。
(6)ガス分析装置は、排気ガス中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度を連続的に正確に測定できるものとする。
(7)点火プラグは、10kVの変圧器あるいは誘導式コイルシステム等から電力を供給できるものとする。スパークの電極間距離は、3mm±0.5mmとし、電極の位置を原則として試験体の中心軸上13mm±2mmとする。
(8)熱流計は、100kW/m2±10kW/m2まで測定可能なシュミット・ボルダー型を用いる。熱流計の熱感知部は、直径12.5mmの円形で、表面の輻射率は0.95±0.05であるものとする。
[試験条件]
(1) 試験時間は、試験体表面に輻射熱が照射され、同時に電気スパークが作動してから、20分とする。ただし、明らかに燃焼が持続しなくなった時には、測定を終了することができるものとする。
(2) 試験体は、側面と裏面を厚さ0.025mm以上、0.04mm以下のアルミニウムはくで包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維(公称厚さ13mm、密度65kg/m3)を充填してから、試験体ホルダーに押し込むものとする。
(3) 試験中は、輻射電気ヒーターから試験体の表面に50kW/m2の輻射熱を照射する。
(4) 排気ガス流量を0.024m3/s±0.002m3/sに調節する。
(5) 試験開始までは、輻射熱遮蔽板によって、試験体が輻射熱を受けないようにする。
(6) 輻射熱遮蔽板を移動する前に、点火用プラグを所定の位置に設定する。
[測定]
(1) 酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度を5秒以内の間隔で測定する。
(2) 以下に示す手法で、単位面積当たりの発熱速度(kW/m2)を算出し、更に単位面積当たりの総発熱量(MJ/m2)を加熱開始から終了までの時間の発熱速度を累積することにより算出する。
発熱速度(q)は、次の式に従って算出する。
ここで、
298=C(Δp・Te)1/2/350(:25℃におけるダクト内流量)
E=17.2×103kJ/m3
0 O2:1分間のベースライン測定による酸素濃度の平均値
O2:酸素濃度の実測値

単位面積当たりの発熱速度(q")は、
q"=q/As
ここで、
As:試験体の初期の暴露面積(0.0088m2)。

C(オリフィス係数)は、規定の排気流速の下で、本測定で発熱速度がqb=5kW±0.5kWに相当する流量のメタンを燃焼させた際の酸素濃度(XO2)及び差圧(△p)から次の式で計算する。
C=qb/(△hc/ro×1.10)(Te/△p)1/2(1.105−1.5XO2)/(0.2095−XO2
ここで、
b:供給されるメタンの発熱速度
△hc/ro:メタンの場合は12.54×103kJ/kg
Te:排気ダクト内のガス温度(2方向ピトー管の付近で計測した値)
本発明のシート1の全体の厚さとしては、特に制限されないが、例えば、200〜1000μmが挙げられる。膜材料としての取扱性を高めるという観点からは、本発明のシート1の全体の厚さとして、好ましくは500〜1000μmが挙げられる。
製造方法
本発明のシート1の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体を調製する第1工程、前記中間体の第1樹脂層3の上に、必要に応じて接着層5及び/又は網体層6を積層させた後に、第2樹脂層を積層させる第2工程を経て製造することができる。
前記第1工程では、先ず、前記ガラス繊維布帛2と、第1樹脂層3を形成する樹脂を含む原料液を準備する。次に、ガラス繊維布帛2に前記原料液を塗布して含浸させた後、絞りローラー等を用いて厚さと樹脂の含有率とを調整する。次に、樹脂を加熱エネルギーや光エネルギー等の付与により硬化させ、又は加熱により溶媒を蒸発させ、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体が得られる。また、前記樹脂を含む原料液を塗布したポリエチレンテレフタレート等のフィルムを準備し、ガラス繊維布帛2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布帛2の両面側から樹脂を含浸させ、樹脂を硬化または溶媒を蒸発させた後、フィルムを剥離することにより、ガラス繊維布帛2に第1樹脂層3が含浸された中間体を得ることもできる。
前記第1工程において、熱エネルギーの付与によって前記樹脂を硬化させる場合、加熱温度については、特に制限されないが、例えば50〜200℃程度が挙げられる。また、光エネルギーの付与によって前記樹脂を硬化させる場合には、前記樹脂に光を照射させればよい。光照射の条件としては、例えば、積算光量100〜500mJ/cm2が挙げられる。
前記第2工程において、前記第1工程で得られた中間体の第1樹脂層3の上に第2樹脂層4を積層する方法については、特に制限されないが、例えば、フッ素樹脂のディスパージョンを、前記中間体の第1樹脂層3に塗布し、乾燥、焼成する方法;フッ素樹脂で形成されたシートを前記中間体の第1樹脂層3上に配置した後、プレス機などを用いて加熱加圧することによって接着する方法等が挙げられる。また、第1樹脂層3と第2樹脂層4との間に、接着層5及び/又は網体層6を配置する場合であれば、例えば、前記中間体の第1樹脂層3の上に、接着層5を塗布した後、この上から網体層6を配置し、更に網体層6の上にフッ素樹脂で形成されたシートを配置した後、プレス機などを用いて加熱加圧することによって、第1樹樹脂層3の上に、網体層6及び第2樹脂層4を形成することができる。
前記第2工程において、フッ素樹脂で形成されたシートを用いて第2樹脂層4を積層させる場合、該シートには、例えば、エッチング処理、プラズマ処理、コロナ処理、光化学的処理等の接着性を向上させる処理が施されていてもよい。
用途
本発明のシート1は、透光性に優れているため、建築物の屋根材、テント倉庫材等の膜材料、照明カバー等に好適に用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
1.シートの製造
ガラス繊維布帛として、表2に記載の市販のガラス繊維布帛(ガラス材料:Eガラス、比重2.54g/cm3)を200mm×200mmに裁断して用いた。なお、表2において、「E03R SK」、「E03E SK」、「E06C SK」、「H105 4 107」、「H201 A 107」は、それぞれ、ユニチカ株式会社製のEガラス繊維織物の商品名である。Eガラス繊維織物には、有機物を除去するための熱処理と、シランカップリング剤による表面処理が施されている。なお、実施例1、2、7〜10で使用したガラス材料は、上記のガラス体積率が39.4%であった。
上記のガラス繊維布帛に含浸させる第1樹脂層を形成する樹脂組成物としては、表2の組成となるようにして、ポリエステル樹脂(商品名「エリーテルUE−3400」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.53)、「エリーテルKT−0507」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.53)、「エリーテルUE−3600」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.55)、「エリーテルUE−3200G」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.56)、「プラスコートZ−687」(互応化学工業株式会社製、屈折率1.53))、及び、ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製)とスチレンモノマー(日本ユピカ株式会社製)と2官能(メタ)アクリレートと光重合開始剤の混合物(屈折率1.56)を使用した。なお、硬化剤である2官能(メタ)アクリレートとしては、表2に記載のNPGDA(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212、(日本ユピカ株式会社製)を用いた。また、光重合開始剤の量は、ビニルエステル樹脂とスチレンモノマーと2官能(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して2質量部とした。なお、使用したポリエステル樹脂の物性を下記表1に示す。
第2樹脂層を形成するシートとして、ETFEシート(商品名「ネオフロン」、ダイキン工業株式会社製、厚さ0.1mm)、及びPVDFシート(商品名「デンカDXフィルム、厚さ0.02mm」を使用した。
接着層を形成する樹脂としては、表2の組成となるようにして、ポリエステル樹脂(商品名「エリーテルUE−3400」(ユニチカ株式会社製、屈折率1.53))、塩化ビニル樹脂フィルム(厚さ160μm)を使用した。
(実施例1)
まず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、100g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートを1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂層とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例2)
ポリエステル樹脂として、エリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液に代えて、エリーテルKT−0507(水性分散体)を使用した以外は、実施例1と同様の条件で、本発明のシートを得た。得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は70μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例3)
まず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、80g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸させたポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートを1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した第1樹脂層(ポリエステル樹脂)とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は24g/m2、厚さ(L0)は50μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例4)
まず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、180g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートを1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した第1樹脂層(ポリエステル樹脂)とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は54g/m2、厚さ(L0)は100μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例5)
まず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を370g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートを1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した第1樹脂層(ポリエステル樹脂)とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は110g/m2、厚さ(L0)は170μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例6)
まず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、680g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートをもう1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した第1樹脂層(ポリエステル樹脂)とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は204g/m2、厚さ(L0)は220μmであった。また、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例7)
ポリエステル樹脂として、エリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液に代えて、エリーテルUE−3600をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を使用した以外は、実施例1と同様に行い、本発明のシートを得た。得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例8)
ポリエステル樹脂として、エリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液に代えて、プラスコートZ−687を使用した以外は、実施例1と同様に行い、本発明のシートを得た。得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は50μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例9)
先ず、上述のETFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、100g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上から、ガラスビーズ(株式会社ユニオン社製商品名ユニビーズ、平均粒径45〜53μm、屈折率1.50)を均一に100g/m2分散させ、該ポリエステル樹脂分散液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理をおこない、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートをもう1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂層とETFEシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は120μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。
(実施例10)
まず、厚さ0.05mmのPETフィルム上に、表2に記載の量(g/m2)の第1樹脂層を形成する樹脂組成物を塗布した。次に、該樹脂組成物の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂組成物を含浸させた。次いで、上から厚さ0.05mmのPETフィルムを載せ、この上からローラーで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、前記樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマー含有)を形成し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)からなる中間体シートを得た。
次に、前述のETFEシート上に、接着層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を100g/m2塗布し、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、上記中間体シートを載せた。さらに、該中間体シートの上面側にも、接着層を形成するため、ユニチカエリーテルUE−3400をトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を100g/m2塗布した。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ポリエステル樹脂を皮膜化した。該中間体シートの上面側において皮膜化したポリエステル樹脂の上に、前述のETFEシートを1枚載せ、該ETFEシートの上からローラーで加圧し、該ETFEシートと皮膜化したポリエステル樹脂との間にある気泡を取り除き、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧30kgf/cm2、時間30分の条件でプレスし、ETFEシートと中間体シートとをポリエステル樹脂を介して接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)と、該第1樹脂層の両面に接着層(ポリエステル樹脂、厚さ5μm)を介して第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ビニルエステル樹脂及びスチレンモノマーの硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ビニルエステル樹脂等の硬化物)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れがやや発生した。
(実施例11)
まず、離型用のPTFEシート上に、ユニチカエリーテルUE−3200Gをトルエン/MEK混合溶媒(比率8/2)に固形分30%になるように溶解させた溶液を、860g/m2塗布した。次に、塗布したポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布したポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離した。次いで、皮膜化したポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させた。
次に、ガラス繊維布帛に含浸したポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムが接着したシートの両面を、上述のPVDFシート2枚で挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間3分の条件でプレスし、塩化ビニル樹脂フィルムとPVDFシートとを接着させることにより、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層(ポリエステル樹脂)と、該第1樹脂層の両面に接着剤層(塩化ビニル樹脂、厚さ160μm)を介して第2樹脂層(フッ素樹脂)が積層された積層構造である、本発明のシートを得た。
得られたシートにおいて、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)の質量は204g/m2、厚さ(L0)は220μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には第1樹脂層(ポリエステル樹脂)が形成されていた。また、得られたシートにおいて、第2樹脂層(フッ素樹脂)の熱収縮による部分的な膨れは発生しなかった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛を除いた第1樹脂層3の質量A(g/m2)、第2樹脂層全体の質量B(g/m2)、接着層全体の質量C(g/m2)の比(A:B:C)としては、100:30:180であった。
なお、実施例において、ガラス繊維織物の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維織物の厚さは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。第1樹脂層及びガラス繊維布帛の屈折率は、上記の方法で測定及び算出した。以下の評価は、シートの製造後、1週間室内で放置してから行った。
2.シートの性能評価
(引裂強さ)
JIS L 1096:2010「一般織物試験方法」の8.17.3に規定するC法(トラペゾイド法)に準じて測定した。具体的には、株式会社オリエンテック製のTENSILON(登録商標)万能材料試験機を用い、75mm×150mmに調製したタテ方向の試料を引張速度200mm/分で引裂いて、その引裂強度を測定した。
(全光線透過率及びヘーズ)
JIS K7361−1 1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に従って測定した。また、ヘーズはJIS K7136 2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に従って測定した。
(不燃性の評価)
実施例1〜10で得られた各シートを用い、建築基準法第2条第9号および建築基準法施行令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験をおこない、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であるものについて、評価を○とした。
(シートに折曲げ応力が繰り返し加わった時の白化のし易さ)
JIS R 3420:2013 7.14「クロスの耐折強さ」に従って試験を行い、シート試験片の折り曲げ部分における、折り曲げに起因する白線発生の有無を目視により観察し、該白線が確認された折り曲げ回数により評価した。なお、白線の有無の確認は、折り曲げ回数が5回、10回、20回、30回、40回、50回、60回、70回、80回、90回、100回の各回、これ以降は100回毎に、シートを黒台紙の上に設置して行った。また、試験片のn数は3とし、その平均値により評価した。該往復折り曲げ回数が多いほど、シートは、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じるのが抑制されていると評価される。
結果を表2に示す。実施例1〜10で得られたシートは、ガラス繊維布帛の屈折率と前記第1樹脂層の屈折率との差が0.05以下であったことから、全光線透過率が高く、透光性に優れたものであった。特に、実施例1〜8のシートは、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された第1樹脂層と、該第1樹脂層の両面に直接第2樹脂層が積層された積層構造であったことから、全光線透過率が85%以上と特に透光性に優れたものであった。
特に、実施例1〜4及び7のシートは、ガラス繊維布帛の厚さが20〜50μmであったことから、第2樹脂層とガラス繊維布帛との柔軟性がより一層近似し、第2樹脂層が第1樹脂層により一層追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を生じることがより一層抑制されやすく、優れた透光性をより一層維持し易いものであった。
中でも、実施例1〜4のシートは、第1樹脂層が、ガラス繊維布帛2との屈折率との差が0.05以下であって、かつ、軟化点(Ts)が20〜150℃、ガラス転移点(Tg)が40℃以下、数平均分子量(Mn)が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含むものであったことから、第2樹脂層(フッ素樹脂)がより一層強固に接着し、第2樹脂層(フッ素樹脂)が第1樹脂層により追従しやすくなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化の発生をより一層抑制し易く、優れた透光性をより一層維持し易くなっていた。
とりわけ、実施例2のシートは、第1樹脂層が、ガラス繊維布帛2との屈折率との差が0.05以下であって、且つ軟化点(Ts)が20〜60℃、ガラス転移点(Tg)が0℃以下、数平均分子量(Mn)が10000〜30000ダルトン、酸価が0.5〜20mgKOH/gのポリエステル樹脂を含むものであったことから、第2樹脂層(フッ素樹脂)が特に強固に接着し、第2樹脂層(フッ素樹脂)が第1樹脂層に特に追従し易くなり、折曲げ応力が繰り返し加わっても白化の発生を特に抑制し易く、優れた透光性を格段に維持し易くなっていた。
また、実施例7、8及び11のシートは、雰囲気温度50℃の環境下、経糸方向にJIS R 3420 2013のタイプIIに準じて測定されるシート引張強さ(N/25mm)の1/10の張力(N)をかけた状態で6時間放置した後も、第1樹脂層のガラス転移に伴うシートの白濁が全く生じず、高温環境下で張力をかけた状態で使用する場合にも透光性をより一層維持し易くなっていた。中でも、実施例11のシートは、接着層として塩化ビニル樹脂を使用していたことから、優れた不燃性を維持しつつ、シートの厚さを500μm以上とし易くなり、膜材料として用いるのに特に好適なものであった。
1 シート
2 ガラス繊維布帛
3 第1樹脂層
4 第2樹脂層
5 接着層
6 網体層

Claims (12)

  1. 少なくとも1つのガラス繊維布帛と、
    前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層の少なくとも一方の面側に積層されている第2樹脂層とを含み、
    前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、接着層を更に含み、
    前記接着層の1層あたりの厚みが50〜400μmであり、
    前記第2樹脂層が、フッ素樹脂を含み、
    前記第1樹脂層が、フッ素樹脂以外の樹脂を含み、
    前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層の屈折率の差が0.05以下である、
    ことを特徴とする、シート。
  2. 前記第1樹脂層に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1に記載のシート。
  3. 前記第1樹脂層が、軟化点(Ts)が100〜150℃、ガラス転移点が40℃以下、数平均分子量が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載のシート。
  4. 前記第1樹脂層が、ガラス転移点が60〜120℃のポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載のシート。
  5. 前記第1樹脂層に対して前記第2樹脂層が接面している状態で積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載のシート。
  6. 前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、接着層と、ガラス繊維網体からなる網体層とを更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載のシート。
  7. 前記接着層が、軟化点が20〜150℃、ガラス転移点が40℃以下、数平均分子量が5000〜50000ダルトン、酸価が0.5〜500mgKOH/gのポリエステル樹脂を含む、請求項又はに記載のシート。
  8. 前記接着層が、塩化ビニル樹脂を含む、請求項又はに記載のシート。
  9. 前記ガラス繊維布帛と前記第1樹脂層との合計量に対する前記ガラス繊維布帛の割合が10〜70質量%である、請求項1〜のいずれかに記載のシート。
  10. 前記第2樹脂層が、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂を含む、請求項1〜のいずれかに記載のシート。
  11. 全光線透過率が70%以上である、請求項1〜10のいずれかに記載のシート。
  12. 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項1〜11のいずれかに記載のシート。
JP2016562633A 2014-12-02 2015-12-01 シート Active JP6664334B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014244036 2014-12-02
JP2014244036 2014-12-02
PCT/JP2015/083733 WO2016088751A1 (ja) 2014-12-02 2015-12-01 シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016088751A1 JPWO2016088751A1 (ja) 2017-12-07
JP6664334B2 true JP6664334B2 (ja) 2020-03-13

Family

ID=56091693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016562633A Active JP6664334B2 (ja) 2014-12-02 2015-12-01 シート

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6664334B2 (ja)
WO (1) WO2016088751A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6619220B2 (ja) * 2015-12-01 2019-12-11 ユニチカ株式会社 シート
JP6243562B1 (ja) * 2017-02-28 2017-12-06 ユニチカ株式会社 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JP7294633B2 (ja) * 2019-02-27 2023-06-20 ユニチカ株式会社 シート
CN110989058A (zh) * 2019-12-30 2020-04-10 无锡睿涛光电科技有限公司 一种耐冲击阻燃扩散板及其生产工艺
WO2023145843A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 Agc株式会社 複合シートの製造方法、積層体の製造方法、複合シート及び積層体

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5115931B2 (ja) * 2008-08-29 2013-01-09 平岡織染株式会社 透明性複合シート
WO2011037083A1 (ja) * 2009-09-25 2011-03-31 積水化学工業株式会社 透明複合シート
JP5731175B2 (ja) * 2010-03-16 2015-06-10 ユニチカ株式会社 透明不燃性シートとこれを用いたシートシャッター
JP2014201007A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 クラレプラスチックス株式会社 採光不燃シートおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016088751A1 (ja) 2016-06-09
JPWO2016088751A1 (ja) 2017-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6664334B2 (ja) シート
JP6619220B2 (ja) シート
JP5142002B2 (ja) 透明不燃性シート及びその製造方法
JP6035549B2 (ja) 光拡散不燃シートおよびその製造方法
JP2017100338A (ja) 透明不燃性シート
JP2014201007A (ja) 採光不燃シートおよびその製造方法
JP2017537824A (ja) 強度保持布帛
JP6243562B1 (ja) 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JP2017209943A (ja) 透明シート
JP5142055B2 (ja) 透明不燃性シートからなる防煙垂壁
JP2014201024A (ja) 採光不燃シート
JP6357272B1 (ja) 透明シートの製造方法及び透明シート
JP7294633B2 (ja) シート
JP7248285B2 (ja) 透明シート
JP6959647B2 (ja) 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JP2017213724A (ja) シート
JP6371445B1 (ja) 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JP2016124204A (ja) 建築構造用不燃膜材
TWI811268B (zh) 不燃性片材、及包含該不燃性片材之防煙垂壁
JP7357907B2 (ja) シート
JP7421785B2 (ja) 透明シート
JP5926551B2 (ja) 透明不燃性シートとその製造方法
JP2016112859A (ja) 透明不燃性シートとその製造方法
JP2018001695A (ja) 高遮熱高防汚膜材
JP6940875B2 (ja) 透明シートの製造方法及び透明シート

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20170801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170915

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6664334

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250