JP7248285B2 - 透明シート - Google Patents
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Description
項1. ガラス繊維布と樹脂を含む、透明シートであって、
前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、
前記第2樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高く、
前記透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、
透明シート。
項2. 前記一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2以下である、項1に記載の透明シート。
項3. 前記第2樹脂層の両面側に、それぞれ、前記第1樹脂層が積層されている、項1又は2に記載の透明シート。
項4. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層に含まれる樹脂の合計含有量が、200g/m2以上である、項1~3のいずれか1項に記載の透明シート。
項5. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の合計厚みが、180μm以上である、項1~4のいずれか1項に記載の透明シート。
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、後述する第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる。本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、該シートの不燃性の向上に寄与する。そして、ガラス繊維布2の屈折率は、後述する第1樹脂層3の屈折率と近似するように設定され、これにより、後述する本発明の透明シート1の全光線透過率85%以上、ヘーズ15%以下という構成にすることができる。換言すれば、上記本発明の透明シート1の全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と後述する第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。
第1樹脂層3を構成する樹脂を用いて、ガラス繊維布2が含まれていないシートを、ガラス繊維布2を含む場合と同じ条件で同じ厚みとして作製して試験片とする。試験片を幅8mm、長さ20mmとして表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率-1)/分散値 (I)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、上記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
A:ガラス繊維布の質量(g/m2)
B:ガラス繊維布を構成するガラス材料の比重(g/m3)
C:ガラス繊維布の厚み(m)
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2に含浸されており、樹脂を含む樹脂組成物が硬化又は固化されて得られるものにより形成されている。また、後述の通り、第2樹脂層4は、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる。従って、少なくとも、第1樹脂層3と第2樹脂層4とが接面している場合には、第1樹脂層3の表面にはガラス繊維布2が露出しておらず、ガラス繊維布2は第1樹脂層3中に含まれている。前述のように、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2の屈折率と近似するように選択、設定され、これによりガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、後述する全光線透過率85%以上、ヘーズ15%以下という構成とすることができる。
本発明の透明シート1において、第2樹脂層4は、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる。そして、前述のように、第2樹脂層4の臭素濃度が前記第1樹脂層3の臭素濃度より高い。本発明の透明シート1においては、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3と、これとは別にガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4とを積層し、該ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4として、相対的に臭素濃度の高い樹脂を用いる。これにより、本発明の透明シート1は、特許文献2のように臭素濃度の低い他の樹脂により薄めたりする等、ガラス繊維布2の屈折率と近似させる必要がなく、臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができる。
本発明の透明シート1において、フィルム層5は、必要に応じて第1樹脂層3又は第2樹脂層4上に積層され、透明シート1の初期引裂強度をより向上させる役割を果たす。フィルム層5は、第1樹脂層3及び第2樹脂層4よりも外側に1層ずつ含まれていることが好ましい。
本発明の透明シート1は、例えば防煙垂壁としての使用時に最外層となるように金属又は金属化合物を含む帯電防止層を設けることができる。
本発明の透明シート1は、必要に応じて、第1樹脂層3、第2樹脂層4、又はフィルム層5の外側(帯電防止層6を第1樹脂層3、第2樹脂層4、又はフィルム層5の外側に備えさせる場合はさらに帯電防止層6の外側)にさらに使用時に剥離される剥離可能なカバー層を積層することができる。剥離可能なカバー層は、本発明の透明シート1の最表面に好適に設けることができる。これにより、例えば、本発明の透明シート1を防煙垂壁とする場合、施工時に透明シート1に傷等が発生し透明性や美感が低下するのを防ぎやすくなる。
本発明の透明シート1は、全光線透過率(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後の全光線透過率)が、85%以上、ヘーズ(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後のヘーズ)が10%以下である。前述のように、上記本発明の透明シート1の全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。上記全光線透過率としては、好ましくは90%以上が挙げられる。また、上記ヘーズとしては、5%以下が好ましく挙げられ、3%以下がより好ましく挙げられ、1%以下が特に好ましく挙げられる。透明シート1の、全光線透過率はJIS K7361-1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
(1)試験体(シート)の個数は3個とする。
(2)試験体の形状及び寸法は、1辺の大きさが99mm±1mmの正方形とする。
[試験装置]
(1)使用する試験装置の概略図を図7に示す。試験装置は、円錐状に形作られた輻射電気ヒーター、点火用プラグ、輻射熱遮蔽板、試験体ホルダー、ガス濃度分析装置及びガス流量の測定のできる排気システム、熱流計等で構成される。
(2)輻射電気ヒーターは、50kW/m2の輻射熱を試験体表面に均一な照射が安定してできるものとする。
(3)輻射熱遮蔽板は、試験開始前の輻射熱から試験体を保護できるものとする。
(4)試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図を図8に示す。試験体ホルダーは、外寸で1辺106mm±1mmの正方形で、深さが25mm±1mmの大きさで、厚さが2.15mm±0.25mmのステンレス鋼製で、上部には1辺94.0mm±0.5mmの正方形の開口を中央部に設けるものとする。押さえ枠は、内寸で1辺111mm±1mmの正方形で、深さが54mm±1mmのステンレス鋼製とする。
(5)排気システムは、試験温度で有効に機能する遠心式排気ファン、フード、通風口、排気ダクト、オリフィスプレート流量メータ等を備えているものとする。フード下端部と試験体表面との距離は、210mm±50mmとし、その状態での排気システムの排気装置は、標準温度と標準圧力に換算した流量が0.024m3/s以上であることとする。排気流量の測定のために、内径57mm±3mmのオリフィスをフードとダクトの間に設ける。排気ガス採取を目的として、12個の直径2.2mm±0.1mmの穴のあるリングサンプラーをフードから685mm±15mmの位置に、穴が流れと反対の方向に向くように取り付ける。又、排気ガスの温度を、オリフィスから上流100mm±5mmの位置の排気ダクトの中心部で測定する。オリフィスは、流量の測定に影響を及ぼさない位置に設置する。
(6)ガス分析装置は、排気ガス中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度を連続的に正確に測定できるものとする。
(7)点火用プラグは、10kVの変圧器あるいは誘導式コイルシステム等から電力を供給できるものとする。スパークの電極間距離は、3mm±0.5mmとし、電極の位置を原則として試験体の中心軸上13mm±2mmとする。
(8)熱流計は、100kW/m2±10kW/m2まで測定可能なシュミット・ボルダー型を用いる。熱流計の熱感知部は、直径12.5mmの円形で、表面の輻射率は0.95±0.05であるものとする。
[試験条件]
(1) 試験時間は、試験体表面に輻射熱が照射され、同時に電気スパークが作動してから、20分とする。ただし、明らかに燃焼が持続しなくなった時には、測定を終了することができるものとする。
(2) 試験体は、側面と裏面を厚さ0.025mm以上、0.04mm以下のアルミニウムはくで包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維(公称厚さ13mm、密度65kg/m3)を充填してから、試験体ホルダーに押し込むものとする。
(3) 試験中は、輻射電気ヒーターから試験体の表面に50kW/m2の輻射熱を照射する。
(4) 排気ガス流量を0.024m3/s±0.002m3/sに調節する。
(5) 試験開始までは、輻射熱遮蔽板によって、試験体が輻射熱を受けないようにする。
(6) 輻射熱遮蔽板を移動する前に、点火用プラグを所定の位置に設定する。
[測定]
(1) 酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度を5秒以内の間隔で測定する。
(2) 以下に示す手法で、単位面積当たりの発熱速度(kW/m2)を算出し、更に単位面積当たりの総発熱量(MJ/m2)を加熱開始から終了までの時間の発熱速度を累積することにより算出する。
V298=C(Δp・Te)1/2/350(:25℃におけるダクト内流量)
E=17.2×103kJ/m3
X0 O2:1分間のベースライン測定による酸素濃度の平均値
XO2:酸素濃度の実測値
単位面積当たりの発熱速度(q”)は、
q”=q/As
ここで、
As:試験体の初期の暴露面積(0.0088m2)。
C(オリフィス係数)は、規定の排気流速の下で、本測定で発熱速度がqb=5kW±0.5kWに相当する流量のメタンを燃焼させた際の酸素濃度(XO2)及び差圧(△p)から次の式で計算する。
C=qb/(△hc/ro×1.10)(Te/△p)1/2(1.105-1.5XO2)/(0.2095-XO2)
ここで、
qb:供給されるメタンの発熱速度
△hc/ro:メタンの場合は12.54×103kJ/kg
Te:排気ダクト内のガス温度(2方向ピトー管の付近で計測した値)
本発明の透明シート1の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維布2に第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる中間体を調製する第1工程、前記中間体に第2樹脂層4を積層する第2工程、とを含むものとすることができる。以下、図1に示す積層構造とする場合の一例について説明する。
本発明の透明シート1の用途としては、建築物の天井に垂下して取り付けられる、防煙垂壁とすることが挙げられる。防煙垂壁としては、ガラス繊維布と樹脂との透明シート1を用いた公知のものが挙げられ、例えば、建築物の天井面に配設された取付レールと、前記取付レールに上端部が保持されて吊り下げられた透明シート1と、前記透明シート1の両側方に配置された一対の端部方立と、を備え、前記透明シート1と前記端部方立とが分離自在に接合している防煙垂壁等が挙げられる。また、上記防煙垂壁として、2対の方立の間に透明シート1が張設されてなる垂壁も挙げられ、例えば、天井に垂下されて設置される場合の透明シート1の下部側に無目を有さない防煙垂壁が挙げられる。また、透明性を高めた場合、ガラスの代替と成り得ることから、ガラスが用いられている他の用途、例えば、パーティション、間仕切り、防煙シート、防煙カーテン(例えば工場などで使用されるもの)等に適用することもできる。
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z、番手4.2tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ38μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ38μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m2、厚さは0.4μmであった。
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が30g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が183g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が233g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が322g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が476g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECE225 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径7.0μm、平均フィラメント本数200本、撚り数1.0Z、番手22.5tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が57本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度60本/25mm、緯糸密度57本/25mm、厚さ90μm、質量105g/m2、屈折率1.561であった。
上記した工程フィルムとして使用するPETフィルムに、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、前述した工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が105g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程フィルムとして使用するPETフィルム1枚を剥離して、工程フィルムとして試用するPETフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Zを得た。得られた積層体Zにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)はガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Zは2枚準備した。
上記得られた積層体Z1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Zのうち、もう一方を、該積層体Zの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Zの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が184g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Zを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、両面の工程フィルムとするPETフィルムを剥離し、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/とする積層体を得た。得られた該積層体を、フィルム層5とする前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも該積層体と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、該積層体とPVDFとアクリル樹脂とを含むシートとを接着させることにより、フィルム層5(PVDFとアクリル樹脂とを含むシート)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(PVDFとアクリル樹脂とを含むシート)の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シートを用いておこなった。
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECBC 1/0 0.5Z」(平均フィラメント径4.0μm、平均フィラメント本数66本、撚り数0.5Z、番手2.3tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が95本/25mm、緯糸密度が95本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、厚さ15μm、質量17g/m2、屈折率1.561であった。
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m2、厚さは0.4μmであった。
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が25g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が387g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
2・・・ガラス繊維布
3・・・第1樹脂層
4・・・第2樹脂層
5・・・フィルム層
Claims (5)
- ガラス繊維布と樹脂を含む、透明シートであって、
前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、
前記第2樹脂層の樹脂中の臭素濃度が前記第1樹脂層の樹脂中の臭素濃度より高く、
前記透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、
透明シート。 - 前記一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験
において、総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項1に記載の透明シート。 - 前記第2樹脂層の両面側に、それぞれ、前記第1樹脂層が積層されている、請求項1又は2に記載の透明シート。
- 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層に含まれる樹脂の合計含有量が、200g/m2以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の透明シート。
- 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の合計厚みが、180μm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の透明シート。
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