JP7248285B2 - 透明シート - Google Patents

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Description

本発明は、透明シートに関し、具体的には防煙垂壁等に好適な透明シート、これを用いた防煙垂壁に関する。
建築基準法及び建築基準法施行令は、建築物の火災時に発生する煙、有毒ガスなどの流動を妨げて、避難及び消火活動が円滑に行えるように、排煙設備を設けることを規定している。従って、オフィスビル、商業施設などの建築物には、排煙設備及び遮煙設備として、防煙垂壁などが設置されることが多い。
防煙垂壁は、火災発生時の煙、有毒ガスなどが廊下や上層階へ流動することを一時的に遮断し、避難に必要な時間を確保することなどを目的として、通常、建築物の天井に取り付けられている。このため、防煙垂壁によって視野が妨げられたり、美観が損なわれたりしないよう、防煙垂壁としては、透明板ガラス、ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体などが用いられている。ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体は、透明板ガラスに比して割れにくいという利点を有する。例えば、特許文献1には、ガラス繊維織物と硬化樹脂層とを含む透明不燃性シートが開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、当該ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂と、を有する不燃性シートであって、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と、前記光硬化樹脂との屈折率との差が0.02以下であり、前記不燃性シートに対する前記ガラス繊維織物の割合が20~70重量%、前記不燃性シートに対する前記光硬化樹脂の割合が80~30重量%であり、前記光硬化樹脂は、少なくとも臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させたものである不燃性シートが開示されている。
特開2005-319746号公報 特開2014-213489号公報
建築基準法では、防煙垂壁は不燃材料で構成されることが求められる。不燃材料の認定試験の要件には、所定の発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること、及び加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を越えないこと、が含まれる。上記総発熱量は、シートに含まれる樹脂量(g/m2)が大きいほど高くなる傾向にある。
例えば、特許文献1では、実施例2として樹脂量を300g/m2としたシートが開示されているところ、上記総発熱量が8.74MJ/m2となり、上記不燃材料の認定試験の要件を満足していない。
一方、特許文献2では、ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂として、臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させて得られる光硬化樹脂を用いることで、樹脂重量が200g/m2以上となると不燃認定を取得できなかった課題を解決するとされている。そして、具体的な実施例として、樹脂重量を、380±10g/m2とした実施例1、260±7g/m2とした実施例2、及び140±5g/m2とした実施例3が開示され、それぞれ上記総発熱量が5.0MJ/m2、3.0MJ/m2、2.0MJ/m2であったことが開示されている。しかしながら、該文献においては、樹脂重量が400g/m2以上の範囲は、不燃認定未取得範囲とされているという問題がある。
加えて、本発明者等は、上記特許文献2のシートは、樹脂重量を実施例3から実施例2、実施例1のように増加した場合、上記総発熱量を低減させるために、同時にガラス繊維織物の重量を大きくする必要があることを知得した。実際、特許文献2では、ガラス繊維織物重量が実施例3では50g/m2であるところ、実施例2では100g/m2、実施例1では150g/m2であり、樹脂重量の増加に伴ってガラス繊維織物重量も増加されており、これにより上記総発熱量を8MJ/m2以下に設定できることを知得した。そして、本発明者等は、ガラス繊維織物重量の増加に伴い、得られるシートのヘーズが高くなってしまい、シートの透明性が低下するという問題があることを知得した。従って、特許文献2に開示されている発明は、樹脂重量を大きくした場合に、シートの透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立が依然不十分であるという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラス繊維布と樹脂を含むシートにおいて、樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることを可能とする、透明シート及び該透明シートを用いた防煙垂壁の提供を課題とする。
上記問題を解決するために、本発明者等は、特許文献2の発明についてさらに詳細に検討した。特許文献2に開示されている発明では、臭素化ビニルエステルをガラス繊維織物に含浸させて光硬化樹脂とし、該ガラス繊維織物と該光硬化樹脂との屈折率差を小さくすることで透明化を図っている。ところが、特許文献2の発明では、上記屈折率差を小さくするために、上記光硬化樹脂中の臭素化ビニルエステルの含有量が制限され、臭素化ビニルエステル以外の成分を含有する必要があり、樹脂重量を大きくした場合に、シートの透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立が依然不十分であることを知得した。すなわち、臭素化ビニルエステル等、ハロゲン元素が置換基となっている樹脂は、ハロゲン元素が高屈折率置換基であることから、該樹脂の屈折率がガラス繊維織物の屈折率よりも相当高くなる。そして、特許文献2の発明では、ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる樹脂の屈折率を、ガラス繊維織物の屈折率と合わせるために、ガラス繊維織物よりも屈折率の低い、臭素濃度の低い他の成分と混合する必要があることを知得した。実際、特許文献2の実施例では、臭素化ビニルエステルを、スチレンやネオペンチルグリコール等で希釈することで、屈折率がガラス繊維織物のそれに合うように調整されているものの、臭素濃度が低くなっている。従って、本発明者等は、特許文献2のシート中の臭素化ビニルエステルの含有量が制限され、臭素化ビニルエステルの持つ低発熱特性を十分に活かしきれず、樹脂重量を大きくした場合にはそれと同時にガラス繊維織物の重量を大きいものとせねばならず、シートの透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立が依然不十分であることを知得した。
そこで、本発明者等がさらに検討を重ねたところ、特許文献2では、臭素化ビニルエステルをガラス繊維布に含浸する樹脂として使用することを必須とするため、ガラス繊維布の屈折率と合わすように高屈折率置換基である臭素濃度を薄める必要があり、臭素化ビニルエステルの含有量が制限されることを突き止めた。そして、本発明者等は、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂組成物層に加えて、これとは別にガラス繊維布には含浸されない状態で含まれる樹脂組成物層を積層し、該ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる樹脂組成物層として臭素化ビニルエステル等の臭素原子を置換基として含む樹脂を用いれば、当該臭素原子を置換基として含む樹脂を他の樹脂で薄める必要がなく、臭素原子を置換基として含む樹脂の持つ低発熱特性を一層活かすことが可能となることを知得した。すなわち、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂組成物層には臭素濃度が低い樹脂(後述の通り、臭素を含まない樹脂も含む)を用いることによりガラス繊維布との屈折率差を容易に小さくすることができ、かつ、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる樹脂組成物層とは別に、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる樹脂組成物層を積層し、該ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる樹脂組成物層として臭素濃度の高い樹脂を用いることにより、臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより好適に図ることが可能となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ガラス繊維布と樹脂を含む、透明シートであって、
前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、
前記第2樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高く、
前記透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、
透明シート。
項2. 前記一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2以下である、項1に記載の透明シート。
項3. 前記第2樹脂層の両面側に、それぞれ、前記第1樹脂層が積層されている、項1又は2に記載の透明シート。
項4. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層に含まれる樹脂の合計含有量が、200g/m2以上である、項1~3のいずれか1項に記載の透明シート。
項5. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の合計厚みが、180μm以上である、項1~4のいずれか1項に記載の透明シート。
本発明の透明シートによれば、ガラス繊維布と樹脂を含む透明シートにおいて、前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、前記第2樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高いものであって、透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下であることから、樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることが可能となる。従って、該透明シートを用いた防煙垂壁とすれば、透明性に優れることと、総発熱量が低いものとしつつ、樹脂重量が大きい厚みのある防煙垂壁とすることが可能となる。
本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明シートの一態様を説明する横断面模式図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置の概略を示す図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図である。図8中に示す数値(寸法)の単位はmmである。
本発明の透明シートは、ガラス繊維布と樹脂を含む透明シートであって、前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、前記第2樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高く、透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下であることを特徴とする。
例えば図1~図6に示すように、本発明の透明シート1は、ガラス繊維布2と、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3と、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4とを含み、第2樹脂層4の臭素濃度が第1樹脂層3の臭素濃度より高い。
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。また、図1~図6に示されるように、本発明の透明シート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2を構成しているガラス繊維の隙間を埋めており、第1樹脂層3の一方の表面側部分と、他方の表面側部分とは、当該隙間を介して通じている。図1、図3、図4及び図6に示されるように、本発明の透明シート1は、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3を複数層含むようにすることができる。また、図1~図6には示していないが、1層の第1樹脂層3に複数枚のガラス繊維布2が含まれるようにすることもできる。
本発明の透明シート1において、ガラス繊維に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4は、例えば図1及び図4に示されるように、1層としてもよいし、図2、図3、図5及び図6に示されるように、複数層としてもよい。第2樹脂層4が複数層である場合、2~5層であることが好ましく、2~3層であることがより好ましい。
例えば、図1、図3、図4、図6の透明シート1においては、第2樹脂層4の両面側に、それぞれ、第1樹脂層3が積層された積層構造を備えている。また、図2、図3、図6の透明シート1においては、第1樹脂層3の両面側に、それぞれ、第2樹脂層4が積層された積層構造を備えている。本発明の透明シート1において、第1樹脂層3と第2樹脂層4の積層構造の具体例としては、図1及び図4に示すような第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3がこの順に積層された積層構造;図2及び図5に示すような第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4がこの順に積層された積層構造;図3及び図6に示すような第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4/第1樹脂層3/第2樹脂層4がこの順に積層された積層構造が挙げられる。
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3及び第2樹脂層4以外の他の層を設けてもよい。例えば、図4~6に示されるように、本発明の透明シート1は、フィルム層5を含んでいてもよい。フィルム層5は、第1樹脂層3及び第2樹脂層4よりも外側に1層ずつ含まれていることが好ましい。また、図示しないが、本発明の透明シート1は、例えば、防煙垂壁としての使用時に剥離されるカバー層を設けてもよい。以下、本発明の透明シート1を構成する各層について詳述する。
[ガラス繊維布2]
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、後述する第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる。本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、該シートの不燃性の向上に寄与する。そして、ガラス繊維布2の屈折率は、後述する第1樹脂層3の屈折率と近似するように設定され、これにより、後述する本発明の透明シート1の全光線透過率85%以上、ヘーズ15%以下という構成にすることができる。換言すれば、上記本発明の透明シート1の全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と後述する第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。
本発明の透明シート1において、ガラス繊維布2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布を形成している。ガラス繊維布2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、透明性を向上させる観点から、後述する、第1樹脂層3の屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布2を形成できれば、特定のものに制限されない。ガラス繊維の番手としては、透明性をより一層向上するという観点から、好ましくは20tex以下が挙げられ、3~6texが好ましく、3~5texがより好ましい。ガラス繊維の番手は、1種類単独であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30~400本程度が好ましく、40~120本程度がより好ましい。また、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から3.0~6.0μm程度が好ましく、3.0~5.0μm程度がより好ましい。ガラスヤーンの番手は、透明シート1の不燃性を向上させつつ透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から2~30texが好ましく、2~12texがより好ましく、2~5texがさらに好ましい。
透明シート1において、ガラス繊維布2の総質量(g/m2)と後述の第1樹脂層3の総質量(g/m2、ガラス繊維布2は除く。)との合計量(g/m2)に対する、透明シート1中のガラス繊維布2の総質量の割合(質量%)は、透明シート中の樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。また、後述する防煙垂壁としての使用時に剥離されるカバー層を除いた透明シート1の全質量(g/m2)に対する透明シート1中のガラス繊維布2の総質量(g/m2)の割合(質量%)としては、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、5~50質量%が好ましく、5~28質量%がより好ましく、5~25質量%がさらに好ましく、8~19質量が特に好ましい。ガラス繊維布2の1枚あたりの質量(g/m2)は、10~120(g/m2)が好ましく、10~60(g/m2)がより好ましく、20~40(g/m2)がさらに好ましい。また、透明シート1中のガラス繊維布2の総質量(g/m2)としては、透明シート1の不燃性を向上させつつ透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から10~120(g/m2)が好ましく、20~100(g/m2)がより好ましく、30~80(g/m2)が特に好ましい。
ガラス繊維布2と後述の第1樹脂層3の屈折率の差としては、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下が挙げられる。ガラス繊維布2の屈折率としては、好ましくは1.50~1.58程度、より好ましくは1.53~1.57程度が挙げられる。
なお、上記ガラス繊維布2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、第1樹脂層3及び第2樹脂層4の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、第1樹脂層3又は第2樹脂層4を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
ガラス繊維布2と第1樹脂層3とのアッベ数の差としては、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。ガラス繊維布2のアッベ数としては、30~80が好ましく、40~70がより好ましく、50~65がさらに好ましい。なお、第1樹脂層3及びガラス繊維布2のアッベ数は、それぞれ、次のように測定する。
(第1樹脂層3のアッベ数)
第1樹脂層3を構成する樹脂を用いて、ガラス繊維布2が含まれていないシートを、ガラス繊維布2を含む場合と同じ条件で同じ厚みとして作製して試験片とする。試験片を幅8mm、長さ20mmとして表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率-1)/分散値 (I)
(ガラス繊維布2のアッベ数)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、上記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
ガラス繊維布2の1枚あたりの厚さとしては、透明シート1の不燃性を向上させつつ透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から、例えば10~100μm程度が挙げられ、10~55μmが好ましく挙げられ、10~35μm程度がより好ましく挙げられる。ガラス繊維布2の厚みを10~35μmとする場合、ガラス繊維布2は、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が38%以上であることが特に好ましい。10~35μmの厚みであって、ガラス体積率が38%以上であるガラス繊維布2は、例えば、ガラス繊維布に開繊処理を施すことにより得られる。
ガラス体積率(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維布の質量(g/m2
B:ガラス繊維布を構成するガラス材料の比重(g/m3
C:ガラス繊維布の厚み(m)
(第1樹脂層3)
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2に含浸されており、樹脂を含む樹脂組成物が硬化又は固化されて得られるものにより形成されている。また、後述の通り、第2樹脂層4は、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる。従って、少なくとも、第1樹脂層3と第2樹脂層4とが接面している場合には、第1樹脂層3の表面にはガラス繊維布2が露出しておらず、ガラス繊維布2は第1樹脂層3中に含まれている。前述のように、第1樹脂層3は、ガラス繊維布2の屈折率と近似するように選択、設定され、これによりガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、後述する全光線透過率85%以上、ヘーズ15%以下という構成とすることができる。
第1樹脂層3は、硬化樹脂組成物層又は熱可塑性樹脂組成物層とすることができる。硬化樹脂組成物層とする場合、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物(光硬化された樹脂組成物又は熱硬化された樹脂組成物)とすることができる。熱可塑性樹脂組成物層とする場合、熱可塑性樹脂組成物が乾燥、固化されることにより得られる、硬化物とすることができる。
本発明の透明シート1は、後述する第2樹脂層4の臭素濃度が第1樹脂層3の臭素濃度より高いことが必要である。すなわち、本発明者等は、ガラス繊維布に含浸された樹脂中の臭素濃度が高くなれば、該樹脂の発熱量が低くなる一方で、樹脂の屈折率がガラス繊維布の屈折率より高くなってしまい、得られるシートの透明性が損なわれやすくなることを知得した。そこで、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3には臭素濃度が低い方の樹脂を用いることによりガラス繊維布2との屈折率差を容易に小さくすることができ、かつ、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3とは別にガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4を積層し、該ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4として臭素濃度が高い方の樹脂を用いることにより臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることが可能となることを見出したのである。
本発明の透明シート1のヘーズをより一層低いものとする観点からは、第1樹脂層3中の臭素濃度としては、例えば、30質量%以下が挙げられ、26質量%以下が好ましく挙げられ、20質量%以下がより好ましく挙げられ、16.7質量%以下がさらに好ましく挙げられる。第1樹脂層3中の臭素濃度の下限としては、0質量%が挙げられる。すなわち、第1樹脂層3には臭素が含まれていなくてもよい。
本発明において、上記臭素濃度は、EDS分析により測定されるものである。具体的には、図1~図6に例示するような、透明シート1の厚さ方向の切断面を測定面とし、試料厚さ(すなわち、透明シート1の縦方向または横方向の長さ)が1cmとなるようにしたものを測定試料とし、装置として日本電子株式会社製商品名JSM-6390Aにて、測定する層の厚さ方向の中心付近にて任意に1点測定し、その値を各層の臭素濃度とする。
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3の臭素濃度(質量%)と後述する第2樹脂層4の臭素濃度(質量%)との差(=第2樹脂層4の臭素濃度-第1樹脂層3の臭素濃度)は、例えば、3質量%以上が挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点からは、5~50質量%が好ましく挙げられ、10~50質量%がさらに好ましく挙げられ、20~50質量%が特に好ましく挙げられる。
第1樹脂層3の形成に用いられる硬化性樹脂としては、透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から、第1樹脂層3と前述したガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。硬化性樹脂としては、硬化性樹脂組成物が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、フィルム層5を設ける場合に、フィルム層5との接着性をより向上させるという観点から、硬化性アクリル樹脂がより好ましく、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものが特に好ましい。本発明において、アクリルシラップとは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に溶解した重合性液状混合物をいう。上記アクリルシラップの中でも、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、及びメタクリル酸メチル/アクリル酸ノルマルブチル共重合体からなる群より選ばれる1種以上のアクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチル単量体に溶解したアクリルシラップが特に好ましい。このように、第1樹脂層3を、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものとする場合、フィルム層5との密着性がより向上するため、透明シート1の透明性がより一層向上するので好ましい。
第1樹脂層3の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、透明シート1の透明性をより一層向上させる観点から、第1樹脂層3とガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。例えば、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としてEガラスを用いた場合、より一層両者の屈折率を近似させる観点からは、これらの中でもポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂などが好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、用いるガラス繊維の屈折率に近似させることなどを目的として、屈折率の異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明の透明シート1において、第1樹脂層3を熱可塑性樹脂組成物層とする場合、第1樹脂層3は、ゾル状または溶媒に溶解した熱可塑性樹脂組成物を含浸、固化(加熱による固化や、乾燥による固化)させたものであることが好ましい。
第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2をより越えないものとする観点から、リンを含有するものとすることができる。リンの含有形態としては、例えば、上記した樹脂のうち、置換基としてリン原子を導入した樹脂からなる樹脂組成物、又は上記した樹脂に公知のリン系難燃剤を添加した樹脂組成物とすることができる。リン系難燃剤としては、例えば、非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物などの縮合型リン酸エステル化合物を含むものとすることが挙げられ、屈折率調整の観点から、非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物を含むことがより好ましい。また、リン酸エステル化合物のブリードアウトを一層抑制する観点から、分子量が420以上の縮合リン酸エステル化合物を含むものとすることがより好ましい。非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物としては、例えば1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)[RDP、分子量574.46]、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)[BDP、分子量692.64]、1,3-フェニレン ビス(ジキシレニル)ホスフェート[分子量686.67]、ビスフェノールAビス((ビスジメチルフェニル)ホスフェート)[分子量804.86]などが挙げられる。また、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物としては、例えば2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2クロロエチル)ホスフェート)[分子量582.99]などが挙げられる。これらのリン酸エステル化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤を含有することができる。
また、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物は、硬化促進剤、紫外線吸収剤、充填剤、光重合開始剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6,-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、第1樹脂層3として硬化性アクリル樹脂を用いる場合は、透明性向上の観点から、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンが好ましい。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1樹脂層3が添加物を含有する場合、その含有量としては、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%が挙げられる。
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3の樹脂組成物の総質量(ガラス繊維布2を除く質量)としては、例えば、20~250g/m2が挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、20~200g/m2が好ましく挙げられ、20~120g/m2がより好ましく挙げられ、20~80g/m2が特に好ましく挙げられる。また、第1樹脂層3の1層あたりの厚さ(ガラス繊維布2を含む状態の厚さ)としては、例えば、20~150μmが挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、20~100μmが好ましく挙げられ、20~50μmがより好ましく挙げられる。
本発明の透明シート1において、第1樹脂層3の屈折率としては、好ましくは1.50~1.58程度、より好ましくは1.53~1.57程度が挙げられる。
(第2樹脂層4)
本発明の透明シート1において、第2樹脂層4は、ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる。そして、前述のように、第2樹脂層4の臭素濃度が前記第1樹脂層3の臭素濃度より高い。本発明の透明シート1においては、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3と、これとは別にガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4とを積層し、該ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4として、相対的に臭素濃度の高い樹脂を用いる。これにより、本発明の透明シート1は、特許文献2のように臭素濃度の低い他の樹脂により薄めたりする等、ガラス繊維布2の屈折率と近似させる必要がなく、臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができる。
本発明の透明シート1の、第2樹脂層4中の臭素濃度としては、総発熱量をより一層抑制しつつ樹脂重量をより一層大きいものとする観点から、例えば、31質量%以上が挙げられ、35質量%が好ましく挙げられる。上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。
第2樹脂層4に臭素を含ませる方法としては、例えば、第2樹脂層4を構成する樹脂を置換基として臭素原子を含有する樹脂とする方法、臭素原子を含む難燃剤を硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂中に添加した樹脂組成物とする方法等が挙げられる。
上記置換基として臭素原子を含有する樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂、臭素化不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、置換基として臭素原子を含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリウレタン樹脂、臭素化ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記臭素原子を含む難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイドなどのフェニルオキサイド系難燃剤等が挙げられる。上記難燃剤を含有させる樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する樹脂や、上記第1樹脂層3で例示した硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の透明シート1において、第2樹脂層4の総質量としては、例えば、100~600g/m2が挙げられ、180~500g/m2が好ましく挙げられる。また、第2樹脂層4の1層あたりの厚さとしては、例えば、80~600μmが挙げられ、100~400μmが好ましく挙げられる。
本発明の透明シート1において、第2樹脂層4の屈折率としては、特に制限されないが、例えば、1.570~1.650、より好ましくは1.572~1.620、さらに好ましくは1.580~1.620が挙げられる。
また、本発明の透明シート1の透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図りつつ、さらには、透明シート1の樹脂重量を高めて、機械的強度を効果的に高める観点から、第1樹脂層3及び第2樹脂層4を構成している樹脂の合計含有量(透明シート1に含まれる全ての第1樹脂層3(ガラス繊維布2の質量は除く。)と第2樹脂層4における合計)としては、好ましくは200g/m2以上、より好ましくは240g/m2以上、さらに好ましくは270g/m2以上が挙げられる。なお、当該合計含有量の上限としては、例えば、600g/m2以下が挙げられる。
また、同様の観点から、第1樹脂層3及び第2樹脂層4の合計厚み(透明シート1に含まれる全ての第1樹脂層3と第2樹脂層4における合計)としては、好ましくは180μm以上、より好ましくは200μm以上、さらに好ましくは240μm以上が挙げられる。なお、当該合計厚みの上限としては、例えば、500μm以下、450μm以下が挙げられる。
(フィルム層5)
本発明の透明シート1において、フィルム層5は、必要に応じて第1樹脂層3又は第2樹脂層4上に積層され、透明シート1の初期引裂強度をより向上させる役割を果たす。フィルム層5は、第1樹脂層3及び第2樹脂層4よりも外側に1層ずつ含まれていることが好ましい。
フィルム層5を構成する素材としては、特に制限されないが、ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、可塑剤の量が少なくてもフィルム化が可能なものが挙げられ、ポリ塩化ビニル樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂を含む2軸延伸フィルムが好ましく挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂が挙げられ、これらを少なくとも1種以上含むものとすることもできる。また、フィルム層5は、ポリ塩化ビニル樹脂を含まないものとすることもできる。透明シート1の初期引裂強度をより一層優れたものとする観点から、フィルム層5は、エレメンドルフ引裂伝播抵抗(Tensile propagation resistance)が、たて方向及びよこ方向ともに1N/mm以上のものが挙げられ、3~20N/mmのものが好ましく挙げられ、5~15N/mmのものがより好ましく挙げられる。中でも、耐薬品性(防煙垂壁として使用するときはアルカリ洗剤耐性を含む。)、初期引裂強度の向上及び透明性をより一層両立させるという観点からは、フィルム層5は、ポリエステル樹脂を含むものとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)とすることが挙げられる。なお、エレメンドルフ引裂伝播抵抗は、株式会社東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128-2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定し、この測定値をフィルム厚みで除した引裂伝播抵抗(N/mm)を意味する。また、引裂強さは、たて方向及びよこ方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値とする。また、フィルム層5をPVDFとアクリル樹脂(PMMA等)を含む樹脂組成物をフィルム化したものとすれば、耐候性に優れつつ、第1樹脂層3や第2樹脂層4との密着性に優れ、膜材料としても好適となる。
本発明の透明シートにおいて、フィルム層5とするフィルムは、透明性及び平滑性に優れたものであることが好ましい。フィルム層5とするフィルムの透明性として、例えば、全光線透過率(JIS K 7105:1981)は90%以上が好ましく、91~98%がより好ましい。また、例えば、ヘーズ(JIS K 7105:1981)は1.5%以下が好ましく、0.3~1.0%がより好ましい。
(金属又は金属化合物を含む帯電防止層)
本発明の透明シート1は、例えば防煙垂壁としての使用時に最外層となるように金属又は金属化合物を含む帯電防止層を設けることができる。
金属又は金属化合物を含む帯電防止層において、含まれる金属元素としては、例えば、Ag、Ni、Cu、Sn、Sb、Al、In、Ti等が挙げられ、金属単体としたときの標準電極電位が0eV未満の金属元素が挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属酸化物(五酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモンドープ酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化銀等)が挙げられる。また、帯電防止層において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ガラスなどからなる微粒子を含まないものとすることもできる。金属又は金属化合物の含有形態としては、例えば、蒸着、スパッタリング、めっき等による金属若しくは金属化合物薄膜、又は、金属若しくは金属化合物微粒子が固着樹脂中に分散された層とすることが挙げられる。上記金属又は金属化合物微粒子の形状としては、粒状、フレーク状、針状(繊維状)が挙げられる。金属又は金属化合物微粒子の平均粒子径としては、例えば、BET法を用いて求めた平均粒子径(窒素ガス吸着法により測定される比表面積(m2/g)から常法により平均粒子径として算出される比表面積径)が可視光線の波長以下の100nm以下、好ましくは1~100nmとすることで、透明シート1の透明性をより維持しやすくなる。
金属又は金属化合物を含む帯電防止層を、金属又は金属化合物微粒子を含むものとする場合、金属又は金属化合物微粒子を基材に固着させる固着樹脂を含むことが好ましい。すなわち、帯電防止層が、固着樹脂と、該固着樹脂中に分散される金属又は金属化合物微粒子と、を含む層とすることが好ましい。固着樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、特にポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、例えば、変性アクリル樹脂(ウレタン変性、ポリエステル変性、ポリカーボネート変性、フッ素変性等)とすることができる。帯電防止層の質量としては、例えば、1層あたり、0.1~10g/m2が挙げられ、0.1~5g/m2が好ましく挙げられ、0.1~3g/m2がより好ましく挙げられ、0.1~1g/m2が特に好ましく挙げられる。また、帯電防止層の厚さとしては、例えば、1層あたり、0.01~3μmが挙げられ、0.05~1μmが好ましく挙げられる。帯電防止層における、固着樹脂と、金属又は金属化合物微粒子と、の質量比(固着樹脂の質量(g/m2):金属又は金属化合物微粒子の質量(g/m2))としては、10:1~1:1が好ましく、8:1~2:1がより好ましく、4:1~2:1が特に好ましい。また、金属又は金属化合物を含む帯電防止層を設けた場合の表面平滑性としては、例えば、表面粗さRaが1~200nmが挙げられる。また、帯電防止層の全質量(g/m2)に対する、金属及び金属化合物微粒子の質量(g/m2)の割合としては、50~10質量%が挙げられ、30~20質量%が好ましく挙げられる。
(使用時に剥離される剥離可能なカバー層)
本発明の透明シート1は、必要に応じて、第1樹脂層3、第2樹脂層4、又はフィルム層5の外側(帯電防止層6を第1樹脂層3、第2樹脂層4、又はフィルム層5の外側に備えさせる場合はさらに帯電防止層6の外側)にさらに使用時に剥離される剥離可能なカバー層を積層することができる。剥離可能なカバー層は、本発明の透明シート1の最表面に好適に設けることができる。これにより、例えば、本発明の透明シート1を防煙垂壁とする場合、施工時に透明シート1に傷等が発生し透明性や美感が低下するのを防ぎやすくなる。
上記使用時に剥離される剥離可能なカバー層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。中でも、上記使用時に剥離される剥離可能なカバー層として、光透過性の保護フィルムとすれば、例えば、前述した第1樹脂層3又は第2樹脂層4を形成する樹脂組成物を光硬化性の硬化性樹脂組成物とする場合に、当該硬化性樹脂組成物を硬化させる工程においても使用時に最外層となる層の表面に傷等が発生し透明性や美感が低下することを防ぎやすくなる点で好ましい。上記光透過性としては、光硬化樹脂を硬化させる光を透過させれば特に制限されないが、例えば、100~400nmの波長の光を透過させるもの、250~400nmの波長の光を透過させるものが挙げられる。カバー層の光線透過率としては、例えば、UV透過率測定器(株式会社島津製作所製商品名UV3150)にて測定する、測定波長250~400nm間の平均透過率が40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。
なお、使用時に剥離される剥離可能なカバー層は、例えば防煙垂壁等、使用時に剥離されることから、透明性及び平滑性は特に制限されない。例えば、コストの観点から、全光線透過率は80~95%程度(JIS K 7105:1981)、ヘーズは2~10%程度(JIS K 7105:1981)が挙げられる。
(透明シート1の物性)
本発明の透明シート1は、全光線透過率(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後の全光線透過率)が、85%以上、ヘーズ(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後のヘーズ)が10%以下である。前述のように、上記本発明の透明シート1の全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維布2の屈折率と第1樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。上記全光線透過率としては、好ましくは90%以上が挙げられる。また、上記ヘーズとしては、5%以下が好ましく挙げられ、3%以下がより好ましく挙げられ、1%以下が特に好ましく挙げられる。透明シート1の、全光線透過率はJIS K7361-1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
本発明の透明シート1の厚さとしては、例えば、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1の厚さ(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を除く厚さ)が、200~700μm、好ましくは250~600μmが挙げられる。また、本発明の透明シート1の質量として、例えば、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1の質量(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を除く質量)が、200~800g/m2が挙げられ、400~750g/m2が好ましく挙げられる。また、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1中の樹脂の総質量(例えば、透明シート1が図4の積層構造である場合は、第1樹脂層3、第2樹脂層4及びフィルム層5の樹脂質量の合計)は、例えば、300~700g/m2が挙げられ、390~700g/m2が好ましく挙げられ、450~650g/m2がより好ましく挙げられる。
本発明の透明シート1は、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1が、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。さらに、本発明の透明シート1は、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1が、上記発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないことが好ましい。
なお、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」については、具体的には、以下に示す試験体、試験装置及び試験条件に記載の内容に従って行われる。
[試験体]
(1)試験体(シート)の個数は3個とする。
(2)試験体の形状及び寸法は、1辺の大きさが99mm±1mmの正方形とする。
[試験装置]
(1)使用する試験装置の概略図を図7に示す。試験装置は、円錐状に形作られた輻射電気ヒーター、点火用プラグ、輻射熱遮蔽板、試験体ホルダー、ガス濃度分析装置及びガス流量の測定のできる排気システム、熱流計等で構成される。
(2)輻射電気ヒーターは、50kW/m2の輻射熱を試験体表面に均一な照射が安定してできるものとする。
(3)輻射熱遮蔽板は、試験開始前の輻射熱から試験体を保護できるものとする。
(4)試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図を図8に示す。試験体ホルダーは、外寸で1辺106mm±1mmの正方形で、深さが25mm±1mmの大きさで、厚さが2.15mm±0.25mmのステンレス鋼製で、上部には1辺94.0mm±0.5mmの正方形の開口を中央部に設けるものとする。押さえ枠は、内寸で1辺111mm±1mmの正方形で、深さが54mm±1mmのステンレス鋼製とする。
(5)排気システムは、試験温度で有効に機能する遠心式排気ファン、フード、通風口、排気ダクト、オリフィスプレート流量メータ等を備えているものとする。フード下端部と試験体表面との距離は、210mm±50mmとし、その状態での排気システムの排気装置は、標準温度と標準圧力に換算した流量が0.024m3/s以上であることとする。排気流量の測定のために、内径57mm±3mmのオリフィスをフードとダクトの間に設ける。排気ガス採取を目的として、12個の直径2.2mm±0.1mmの穴のあるリングサンプラーをフードから685mm±15mmの位置に、穴が流れと反対の方向に向くように取り付ける。又、排気ガスの温度を、オリフィスから上流100mm±5mmの位置の排気ダクトの中心部で測定する。オリフィスは、流量の測定に影響を及ぼさない位置に設置する。
(6)ガス分析装置は、排気ガス中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度を連続的に正確に測定できるものとする。
(7)点火用プラグは、10kVの変圧器あるいは誘導式コイルシステム等から電力を供給できるものとする。スパークの電極間距離は、3mm±0.5mmとし、電極の位置を原則として試験体の中心軸上13mm±2mmとする。
(8)熱流計は、100kW/m2±10kW/m2まで測定可能なシュミット・ボルダー型を用いる。熱流計の熱感知部は、直径12.5mmの円形で、表面の輻射率は0.95±0.05であるものとする。
[試験条件]
(1) 試験時間は、試験体表面に輻射熱が照射され、同時に電気スパークが作動してから、20分とする。ただし、明らかに燃焼が持続しなくなった時には、測定を終了することができるものとする。
(2) 試験体は、側面と裏面を厚さ0.025mm以上、0.04mm以下のアルミニウムはくで包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維(公称厚さ13mm、密度65kg/m3)を充填してから、試験体ホルダーに押し込むものとする。
(3) 試験中は、輻射電気ヒーターから試験体の表面に50kW/m2の輻射熱を照射する。
(4) 排気ガス流量を0.024m3/s±0.002m3/sに調節する。
(5) 試験開始までは、輻射熱遮蔽板によって、試験体が輻射熱を受けないようにする。
(6) 輻射熱遮蔽板を移動する前に、点火用プラグを所定の位置に設定する。
[測定]
(1) 酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度を5秒以内の間隔で測定する。
(2) 以下に示す手法で、単位面積当たりの発熱速度(kW/m2)を算出し、更に単位面積当たりの総発熱量(MJ/m2)を加熱開始から終了までの時間の発熱速度を累積することにより算出する。
発熱速度(q)は、次の式に従って算出する。
Figure 0007248285000001
ここで、
298=C(Δp・Te)1/2/350(:25℃におけるダクト内流量)
E=17.2×103kJ/m3
0 O2:1分間のベースライン測定による酸素濃度の平均値
O2:酸素濃度の実測値
単位面積当たりの発熱速度(q”)は、
q”=q/As
ここで、
As:試験体の初期の暴露面積(0.0088m2)。
C(オリフィス係数)は、規定の排気流速の下で、本測定で発熱速度がqb=5kW±0.5kWに相当する流量のメタンを燃焼させた際の酸素濃度(XO2)及び差圧(△p)から次の式で計算する。
C=qb/(△hc/ro×1.10)(Te/△p)1/2(1.105-1.5XO2)/(0.2095-XO2
ここで、
b:供給されるメタンの発熱速度
△hc/ro:メタンの場合は12.54×103kJ/kg
Te:排気ダクト内のガス温度(2方向ピトー管の付近で計測した値)
(本発明の透明シート1の製造方法)
本発明の透明シート1の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維布2に第1樹脂層3が含浸された状態で含まれる中間体を調製する第1工程、前記中間体に第2樹脂層4を積層する第2工程、とを含むものとすることができる。以下、図1に示す積層構造とする場合の一例について説明する。
前記第1工程について、第1樹脂層3を構成する樹脂が硬化性樹脂である場合を挙げて説明する。前記第1工程では、先ず、ガラス繊維布2と、第1樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物を準備する。該未硬化の硬化性樹脂組成物を工程フィルム(例えばPETフィルム等)に塗布し、該塗布した未硬化の硬化性樹脂組成物の上にガラス繊維布2を載せ、ガラス繊維布2に未硬化の硬化性樹脂組成物を含浸させる。次いで、もう1枚工程フィルム(例えばPETフィルム等)を該ガラス繊維布2に含浸された未硬化の硬化性樹脂組成物の上に載せ、該工程フィルムBの上からローラで加圧し第1樹脂層3の質量を調整する。その後、工程PETフィルムBを透して第1樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程フィルムのいずれか一方(本例では便宜上工程フィルムA)を剥離して、工程フィルムB/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3の積層構造である中間体を得ることができる。該中間体は2枚準備する。このとき、透明シート1において、フィルム層5を含むものとする場合は、上記中間体に含まれる工程フィルムBに代えて、フィルム層5とすることができる。また、透明シート1を、例えば、フィルム層5と、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とを含むものとする場合は、予めフィルム層5と使用時に剥離される剥離可能なカバー層を積層して積層フィルムとしておき、前記中間体に含まれる工程フィルムBに代えて、該積層フィルムをカバー層が表面側となるように用いればよい。
前記第2工程について、第2樹脂層4を構成する樹脂が硬化性樹脂である場合を挙げて説明する。前記第2工程では、第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂を準備し、該未硬化の硬化性樹脂を、前記第1工程で得られた中間体の第1樹脂層3面側に塗布する。次に、該第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂の上に、前記得られた中間体のもう一方を、第1樹脂層3側が該第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂側となるように載せ、該もう一方の中間体の上からローラで加圧し第2樹脂層4の質量を調整する。その後、該もう一方の中間体を透して第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第2樹脂層4を形成、積層する。そして、第2樹脂層4の両表面にある工程フィルムBを剥離することにより、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である、本発明の透明シート1を得ることができる。なお、上記フィルム層5を含むものとする場合や、使用時に剥離可能なカバー層を含むものとする場合は、第2樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化して第2樹脂層4を形成、積層した後、当該フィルム層5、使用時に剥離可能なカバー層を剥離せずにおき、透明シート1とすればよい。
(本発明の透明シート1の用途)
本発明の透明シート1の用途としては、建築物の天井に垂下して取り付けられる、防煙垂壁とすることが挙げられる。防煙垂壁としては、ガラス繊維布と樹脂との透明シート1を用いた公知のものが挙げられ、例えば、建築物の天井面に配設された取付レールと、前記取付レールに上端部が保持されて吊り下げられた透明シート1と、前記透明シート1の両側方に配置された一対の端部方立と、を備え、前記透明シート1と前記端部方立とが分離自在に接合している防煙垂壁等が挙げられる。また、上記防煙垂壁として、2対の方立の間に透明シート1が張設されてなる垂壁も挙げられ、例えば、天井に垂下されて設置される場合の透明シート1の下部側に無目を有さない防煙垂壁が挙げられる。また、透明性を高めた場合、ガラスの代替と成り得ることから、ガラスが用いられている他の用途、例えば、パーティション、間仕切り、防煙シート、防煙カーテン(例えば工場などで使用されるもの)等に適用することもできる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
上記のガラス繊維布2に含浸させる、第1樹脂層3を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、アクリルシラップ(株式会社菱晃製商品名「アクリシラップXD-8005」(屈折率1.550))及び非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物であるRDP(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブPFR」)、光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(アクリルシラップ:非ハロゲン縮合リン酸エステル化合物:光重合開始剤)=70:30:3)を使用した。ガラス繊維布2に含浸されない状態で含まれる、第2樹脂層4を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、臭素化ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製商品名ネオポール8197)、光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物を使用した。光重合開始剤の量は、臭素化ビニルエステル樹脂100質量部に対して3質量部とした。フィルム層5としては、市販の東洋紡株式会社製2軸延伸ポリエステルフィルム2種(商品名「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ38μm、質量53g/m2、全光線透過率(JIS K 7105:1981)93%、ヘーズ(JIS K 7105:1981)0.9%)、(商品名「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ50μm、質量70g/m2、全光線透過率(JIS K 7105:1981)93%、ヘーズ(JIS K 7105:1981)0.9%)、及び、市販のPVDFとアクリル樹脂とを含むフィルム(PVDFとPMMAとのアロイであって、PVDFの含有量が80質量%、PMMAの含有量が20質量%であるシートAと、PVDFの含有量が20質量%、PMMAの含有量が80質量%であるシートBと、が接合されてなるシート(デンカ株式会社製、商品名「デンカDXフィルム DX-14S50」、厚さ50μm、質量68g/m2、全光線透過率(JIS K 7105:1981)92%、ヘーズ(JIS K 7105:1981)5%)を使用した。使用時に剥離される剥離可能なカバー層としては、ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm、質量36g/m2)の一方の面上にフィルム層5に対し剥離可能に接着させるアクリル酸エステル系粘着剤を塗布したもの、及び、PETフィルム(厚さ50μm、全光線透過率93%、ヘーズ4%(JIS K 7105:1981))を使用した。また、当該PETフィルムは、後述する工程フィルムとしても使用した。
<実施例1>
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z、番手4.2tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ38μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ38μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m2、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1樹脂層3の形成、並びに該第1樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が30g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が183g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例2>
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が233g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例3>
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が322g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例4>
実施例1の、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層において、もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が476g/m2となるように加圧した以外は、実施例1と同様におこない、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例5>
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECE225 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径7.0μm、平均フィラメント本数200本、撚り数1.0Z、番手22.5tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が57本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度60本/25mm、緯糸密度57本/25mm、厚さ90μm、質量105g/m2、屈折率1.561であった。
(第1樹脂層3の形成、並びに該第1樹脂層3へのフィルム層5の積層)
上記した工程フィルムとして使用するPETフィルムに、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、前述した工程フィルムとして使用されるPETフィルムをもう1枚該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が105g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程フィルムとして使用するPETフィルム1枚を剥離して、工程フィルムとして試用するPETフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Zを得た。得られた積層体Zにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)はガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Zは2枚準備した。
(ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Z1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Zのうち、もう一方を、該積層体Zの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Zの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が184g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Zを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、両面の工程フィルムとするPETフィルムを剥離し、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/とする積層体を得た。得られた該積層体を、フィルム層5とする前述のPVDFとアクリル樹脂とを含むシート2枚で、該シート2枚とも該積層体と接着する面がシートB側(すなわち、アクリル樹脂リッチ面)となるよう挟み、加熱プレス機で、温度160℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、該積層体とPVDFとアクリル樹脂とを含むシートとを接着させることにより、フィルム層5(PVDFとアクリル樹脂とを含むシート)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(PVDFとアクリル樹脂とを含むシート)の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シートを用いておこなった。
<実施例6>
(ガラス繊維布の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECBC 1/0 0.5Z」(平均フィラメント径4.0μm、平均フィラメント本数66本、撚り数0.5Z、番手2.3tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が95本/25mm、緯糸密度が95本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維布2とするガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、厚さ15μm、質量17g/m2、屈折率1.561であった。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m2、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1樹脂層3の形成、並びに該第1樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布2を載せ、1分間静置してガラス繊維布2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1樹脂層3の質量が25g/m2となるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維布2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3側に、ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2樹脂層4の質量が387g/m2となるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/ガラス繊維布2に含侵されない状態で含まれる第2樹脂層4/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる第1樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明シート1を得た。なお、後述する透明シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
なお、実施例及び比較例において、ガラス繊維布の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維布の厚みは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維布の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。ガラス繊維布2、第1樹脂層3、第2樹脂層4の屈折率は、前述の方法で測定及び算出した。ガラス繊維布2及び第1樹脂層3のアッベ数は、上記の方法で測定及び算出した。以下の評価は、透明シート1の製造後、1週間室内で放置してから行った。
臭素濃度は、前述した方法にて測定、算出した。
使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1の全光線透過率、ヘーズ、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明シート1の、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験における、総発熱量(MJ/m2)及び発熱速度200kW/m2を超える時間(S)は、前述の方法にて測定、算出した。また、貫通孔の有無は、上記「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従い、加熱開始後20分間後のシートについて判定した。
各評価結果を表1に示す。
Figure 0007248285000002
実施例1~6の透明シートは、ガラス繊維布と樹脂を含む透明シートにおいて、透明シートの厚さ方向に、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、第2樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高いものであって、透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下であることから、樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることが可能となるものであった。
1・・・透明シート
2・・・ガラス繊維布
3・・・第1樹脂層
4・・・第2樹脂層
5・・・フィルム層

Claims (5)

  1. ガラス繊維布と樹脂を含む、透明シートであって、
    前記透明シートの厚さ方向に、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる第1樹脂層と、前記ガラス繊維布に含浸されない状態で含まれる第2樹脂層を含み、
    前記第2樹脂層の樹脂中の臭素濃度が前記第1樹脂層の樹脂中の臭素濃度より高く、
    前記透明シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、
    透明シート。
  2. 前記一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験
    において、総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項1に記載の透明シート。
  3. 前記第2樹脂層の両面側に、それぞれ、前記第1樹脂層が積層されている、請求項1又は2に記載の透明シート。
  4. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層に含まれる樹脂の合計含有量が、200g/m2以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の透明シート。
  5. 前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の合計厚みが、180μm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の透明シート。
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