JP2019197105A - 光拡散性シート、該光拡散性シートを含む照明カバー及び照明機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過性、不燃性に優れつつ、LED光源としたときのランプイメージの発生抑制効果及び引裂強さにも優れる、光拡散性シート、該光拡散性シートを含む照明カバー及び照明機器を提供する。【解決手段】平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布2と、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層3と、硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層A41と、を含む光拡散性シート1であって、熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、光拡散性シート。硬化性樹脂層の、熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層B42が積層されている。熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側の最表面の表面粗さRaが0.2μm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、光拡散性シート、該光拡散性シートを含む照明カバー及び照明機器に関する。
建築基準法では、建物の用途、構造、規模などによって、天井や壁を不燃材料、準不燃材料などの国土交通大臣が定め告示した不燃性能を具備する材料の使用を通達している。従って、例えば、商業施設に用いられる照明カバー、商業施設に用いられる膜天井などには、不燃性(燃えにくい性質)に優れたシートを使用することが求められる。
不燃性に優れた光拡散シートとして、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物を挟む一対の樹脂層と、を含む光拡散シートであって、前記ガラス繊維織物が20〜70重量%であり、前記一対の樹脂層が80〜30重量%であり、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と前記一対の樹脂層を構成する樹脂組成物との屈折率の差が0.02以下であり、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と前記一対の樹脂層を構成する樹脂組成物とのアッベ数の差が30以下であり、全光線透過率が80%以上であり、かつ、ヘーズが65%以上である、光拡散シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。該光拡散シートによれば、ガラス繊維織物と樹脂層との屈折率の差が0.02以下であるので、ガラス繊維織物を視認できなくなる、また、ガラス繊維織物と樹脂層とのアッベ数の差が30以下であるので、ガラス繊維織物と樹脂層との界面で、着色も抑えることができる、また、不燃性のガラス繊維織物を用い、かつ、樹脂層の重量が所定範囲内であるので、不燃性になる。更に、全光線透過率が80%以上であり、かつ、ヘーズが65%以上であるので、光を充分に透過し、かつ、光を拡散ないし散乱することができる、とされている。
光拡散性シートを照明カバーとして用いる場合、意匠性の観点から、ランプイメージの発生を抑制することが求められる。ランプイメージの発生とは、光源をシート越しに見たときに、光源の存在する部分が他の部分よりも輝度が高くなることで、光源の形状が視認される現象をいう。近年、照明機器の光源としてLEDを用いたLED照明が普及してきている。LEDは、指向角が小さいため、蛍光灯等と比較してランプイメージの発生がより強まる。
本発明者が検討したところ、特許文献1の実施例として開示されている光拡散シートは、LED照明のカバーとして用いた場合、ランプイメージの発生を十分に抑制できないという問題があることを知得した。本発明者は、特に、LED照明機器を薄型化するにあたり、LED光源と、特許文献1の実施例として開示されている光拡散シートからなるカバーと、の距離を小さくすると、ランプイメージの発生がより困難となることを知得した。また、本発明者は、特許文献1の実施例として開示されているシートにおいて、ランプイメージの発生を抑制すべく、光拡散性をさらに高めようとすると、光透過性が低下する場合があるという問題があることも知得した。
本発明は、上記問題を解決し、光透過性、不燃性に優れつつ、LED光源としたときのランプイメージの発生抑制効果及び引裂強さにも優れる、光拡散性シート、該光拡散性シートを含む照明カバー及び照明機器を提供することを課題とする。なお、本発明において、光透過性に優れるとは全光線透過率が高いことであり、不燃性に優れるとは、燃えにくい性質に優れるということである。
本発明者は、特許文献1の実施例として開示されている光拡散シートについて、ランプイメージの発生、特にLED光源としたときの、該光源と光拡散シートとの距離を小さくした場合のランプイメージの発生を抑制すべく、該文献に光拡散性を高めるものとして開示されている手法である、ガラス繊維織物の通気度を減少させることを試みた。具体的には、ガラス繊維織物の通気度を低下させるには、ガラス繊維織物の経糸及び緯糸により形成される空隙を小さくしつつ、厚さを大きくすることが知られており、これを試みた。しかしながら、上記手法によれば得られる光拡散シートの光透過性が劣るものとなることを知得した。
本発明者は、特許文献1の実施例として開示されている光拡散シートについて、ランプイメージの発生を抑制すべく、ガラス繊維織物の通気度減少とは異なる手法、硬化性樹脂層表面のエンボス加工について表面粗さRaをさらに高めることを試みた。しかしながら、当該手法では、ランプイメージの低減を十分に図ることが困難であった。
そこで、本発明者は、特許文献1の実施例として開示されている光拡散シートについて、エンボス加工よりさらに細かい凹凸を付与するサンドブラスト加工を硬化性樹脂層表面に施す方法を検討した。しかしながら、本発明者は、該方法では、光透過性が劣るとともに、得られる光拡散シートの引裂強さが非常に劣るものとなることを知得した。
本発明者は、上記特許文献1の実施例で開示されているシートの硬化性樹脂層表面にサンドブラスト加工を施すと引裂強さが劣る原因について検討した。そして、硬化性樹脂層は硬いが脆く、サンドブラスト加工による凹凸を起点として引裂かれ易くなることを知得した。一方、本発明者は、特許文献1の実施例で開示されているシートにおいて、ガラス繊維織物に含浸される樹脂層として熱可塑性樹脂層とすると、熱可塑性樹脂がガラス繊維織物への含浸性に劣るため、光拡散性シートの光透過性が劣ることも知得した。
本発明者は、前述したような検討を重ね、光透過性、不燃性に優れつつ、ランプイメージの発生抑制効果及び引裂強さにも優れる、光拡散性シートを得るに至った。すなわち、本発明者は、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布を用いることで不燃性に優れつつ光透過性を高め、ガラス繊維布に含浸される硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に、熱可塑性樹脂層を積層し、当該熱可塑性樹脂層を表面粗さRaが0.3〜1.2μmのサンドブラスト加工を施すことにより、上記光透過性を維持しつつLED光源のランプイメージの発生抑制及び引裂強さ向上を両立させることができることを知得した。さらに、上記サンドブラスト加工の具体的な指標として、全光線透過率を65〜80%、ヘーズを95%以上とし、このような指標を満足するようにサンドブラスト加工を施すことによって、十分な光透過性とLED光源のランプイメージ発生抑制が確保できることを知得した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、前記光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、光拡散性シート。
項2.前記硬化性樹脂層の、前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層Bが積層されている、項1に記載の光拡散性シート。
項3.前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側の最表面の表面粗さRaが0.2μm以下である、項1又は2に記載の光拡散性シート。
項4.前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層Aが光源側である、項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性シート。
項5.項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散性シートを含む照明カバーであって、
前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層A側が光源側に配置される、照明カバー。
項6.前記光源がLED光源である、項5に記載の照明カバー。
項7.項5又は6に記載の照明カバーを含む、照明機器。
項1.平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、前記光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、光拡散性シート。
項2.前記硬化性樹脂層の、前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層Bが積層されている、項1に記載の光拡散性シート。
項3.前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側の最表面の表面粗さRaが0.2μm以下である、項1又は2に記載の光拡散性シート。
項4.前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層Aが光源側である、項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性シート。
項5.項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散性シートを含む照明カバーであって、
前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層A側が光源側に配置される、照明カバー。
項6.前記光源がLED光源である、項5に記載の照明カバー。
項7.項5又は6に記載の照明カバーを含む、照明機器。
本発明の光拡散性シートによれば、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上であるであることから、光透過性、不燃性に優れつつ、LED光源としたときのランプイメージの発生抑制効果及び引裂強さにも優れる。
本発明の光拡散性シートは、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、ことを特徴とする。
例えば図1に示されるように、本発明の光拡散性シート1は、ガラス繊維布2と、ガラス繊維布2に含浸された硬化性樹脂層3と、硬化性樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層A41を含む積層構造を有する。該熱可塑性樹脂層A41には、表面粗さRaが0.3〜1.2μmのサンドブラスト加工が施されている。
例えば図1に示されるように、本発明の光拡散性シート1は、硬化性樹脂層3の、熱可塑性樹脂層A41が積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層B42を積層することができる。そして、当該熱可塑性樹脂層B42は、最表面の表面粗さRaが0.2以下とすることができる。また、本発明の光拡散性シート1は、図示しないが、当該熱可塑性樹脂層B42が積層されない態様とすることもできる。
光拡散性シート1において、ガラス繊維布2は、少なくとも1層含まれていればよく、複数層含まれていてもよい。図1において、硬化性樹脂層3は、ガラス繊維布2を構成している複数のガラス繊維の隙間を埋めており、硬化性樹脂層3の一方の表面側部分31と、他方の表面側部分と32とは、当該隙間部分を介して通じている。以下、本発明の光拡散性シート1を構成する各層の組成について詳述する。
(ガラス繊維布2)
本発明の光拡散性シート1において、ガラス繊維布2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布を形成している。ガラス繊維布2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。
本発明の光拡散性シート1において、ガラス繊維布2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布を形成している。ガラス繊維布2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。
ガラス繊維布2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、光透過性をより向上させる観点から、後述する、硬化性樹脂層3の屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
本発明の光拡散性シート1において、ガラス繊維布2は、平均単繊維径(平均フィラメント径)が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2である。上記平均単繊維径とすることにより、硬化性樹脂組成物とガラス繊維との界面における光散乱を抑制し、光拡散性シートの光透過性を向上させる。また、上記質量とすることにより、光拡散性シートの不燃性を向上させつつ、光透過性を向上させる。上記平均単繊維径は3〜4.6μmとすることが好ましい。また、上記質量は、8〜40g/m2が好ましい。なお、上記質量は、ガラス繊維布1枚あたりの質量である。
本発明の光拡散性シート1において、不燃性を維持しつつ、光透過性をより一層向上させる観点から、ガラス繊維布2の1枚あたりの厚さとしては、10〜60μmが好ましく挙げられ、10〜40μmがより好ましく挙げられる。また、ガラス繊維布2を構成するガラス繊維は、引裂強さをより向上させる観点から、ガラス糸とすることが好ましく、複数の長繊維が多数撚り集められたガラスヤーンとすることがより好ましい。当該ガラス糸の番手としては、引裂強さと不燃性と光透過性をより並立させる観点から、1.5〜12texが好ましく、1.5〜6texがより好ましく、1.5〜5texがさらに好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維本数としては、20〜200本が挙げられ、同様の観点から20〜110本がより好ましく挙げられる。
光拡散性シート1中の、ガラス繊維布2の総質量(g/m2)と硬化性樹脂層3の総質量(g/m2)の合計量(g/m2)に対する、ガラス繊維布2の総質量(g/m2)の割合としては、光透過性と不燃性をより向上させる観点から、20〜60質量%が挙げられ、20〜50質量%が好ましく挙げられ、20〜35質量%がより好ましく挙げられる。また、光拡散性シート1の質量(g/m2)に対する、ガラス繊維布2の総質量(g/m2)の割合としては、光透過性と不燃性をより向上させる観点から、3〜20質量%が挙げられ、5〜13質量%が好ましく挙げられる。
また、本発明の光拡散性シート1において、引裂強さと不燃性と光透過性をより一層並立させる観点から、ガラス繊維布2が織物であり、前記織物を構成するガラス糸が、平均単繊維径が3.5〜4.6μmであるものとすることが好ましい。
ガラス繊維布2と後述する硬化性樹脂層3との屈折率の差としては、光透過性をより向上させる観点から、0.02以下が好ましく、0.01以下がより好ましく、0.005以下がさらに好ましい。ガラス繊維布2の屈折率としては、好ましくは1.45〜1.65程度、より好ましくは1.50〜1.60程度が挙げられる。
ガラス繊維布2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、後述する硬化性樹脂層3の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、硬化性樹脂層3を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
(硬化性樹脂層3)
本発明の光拡散性シート1において、硬化性樹脂層3は、前述のガラス繊維布2に含浸されており、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により形成されている。具体的には、硬化性樹脂層3は、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物により形成されている。これにより、ガラス繊維布への樹脂含浸性が向上し、光拡散性シート1の光透過性を向上させる。硬化性樹脂層3は、熱可塑性を有しないものとすることができる。
本発明の光拡散性シート1において、硬化性樹脂層3は、前述のガラス繊維布2に含浸されており、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により形成されている。具体的には、硬化性樹脂層3は、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物により形成されている。これにより、ガラス繊維布への樹脂含浸性が向上し、光拡散性シート1の光透過性を向上させる。硬化性樹脂層3は、熱可塑性を有しないものとすることができる。
硬化性樹脂としては、光拡散性シート1の光透過性をより一層向上させる観点から、硬化性樹脂層3と前述したガラス繊維布2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。好ましい硬化性樹脂としては、硬化性樹脂が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂層A41及びB42との接着性をより向上させるという観点から、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものが特に好ましい。本発明において、アクリルシラップとは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に溶解した重合性液状混合物をいう。上記アクリルシラップの中でも、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、及びメタクリル酸メチル/アクリル酸ノルマルブチル共重合体からなる群より選ばれる1種以上のアクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチル単量体に溶解したアクリルシラップが特に好ましい。このように、硬化性樹脂層3を、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものとする場合、熱可塑性樹脂層A41及びB42との密着性がより向上するため、光拡散性シート1の光透過性がより一層向上するので好ましい。
硬化性樹脂層3を形成する樹脂組成物は、硬化促進剤、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、光拡散性シート1の光透過性をより高めるために、後述のガラス繊維布2と硬化性樹脂3の屈折率とは、近似するように設定される。このような観点から、硬化性樹脂3の屈折率としては、好ましくは1.45〜1.65程度、より好ましくは1.50〜1.60程度が挙げられる。
本発明の光拡散性シート1において、硬化性樹脂層3の質量(ガラス繊維布帛2の質量を除く質量)としては、例えば、20〜120g/m2が挙げられ、光透過性と不燃性とをより両立するという観点から、50〜90g/m2が好ましく挙げられ、60〜80g/m2がより好ましく挙げられる。また、硬化性樹脂層3の厚さ(ガラス繊維布2に含浸された状態の硬化性樹脂層3)としては、例えば、20〜150μmが挙げられ、光透過性と不燃性とをより両立するという観点から、50〜90μmが好ましく挙げられ、60〜80μmがより好ましく挙げられる。
本発明の光拡散性シート1において、光拡散性シート1の質量(g/m2)に対する、硬化性樹脂層3の質量(g/m2)の割合としては、15〜40質量%が挙げられ、15〜25質量%が好ましく挙げられる。
本発明の光拡散性シート1において、ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層3(ガラス繊維布2と硬化性樹脂層3の複合体)の光透過性の指標としては、例えば、全光線透過率が90%以上、ヘーズが5%以下、が挙げられる。
(熱可塑性樹脂層A41及びB42)
本発明の光拡散性シート1において、熱可塑性樹脂層A41は、ガラス繊維布2に含浸された硬化性樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層される。そして、当該熱可塑性樹脂層A41には表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上となるようにサンドブラスト加工が施されている。当該構成とすることにより、光透過性を維持しつつLED光源のランプイメージの発生抑制及び引裂強さ向上を両立させることができる。
本発明の光拡散性シート1において、熱可塑性樹脂層A41は、ガラス繊維布2に含浸された硬化性樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層される。そして、当該熱可塑性樹脂層A41には表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上となるようにサンドブラスト加工が施されている。当該構成とすることにより、光透過性を維持しつつLED光源のランプイメージの発生抑制及び引裂強さ向上を両立させることができる。
具体的に、本発明の光拡散性シート1では、サンドブラスト加工の凹凸を起点として引裂かれ易くなる硬化性樹脂層3ではなく、熱可塑性樹脂層A41にサンドブラスト加工を施すことにより、引裂強度の向上を奏することができる。また、当該熱可塑性樹脂層A41に、所定の表面粗さ、全光線透過率及びヘーズとなるようにサンドブラスト加工を施すことにより、光透過性を維持しつつ、LED光源のランプイメージ発生抑制を奏することが可能となる。
上記熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは、光透過性とランプイメージ発生抑制と引裂強さとをより並立させる観点から、0.4〜0.5μmが好ましい。なお、表面粗さの測定は、次のようにおこなう。
<表面粗さの測定>
表面粗さ測定器(株式会社東京精密社製、SURFCOM130A)を用い、JIS B 0601−1994に従って、測定条件として、評価長さ4.000mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値0.8mm、フィルタ種別:ガウシアン、測定レンジ±400.0μm、傾斜補正:直線、カットオフ比300として測定する。
表面粗さ測定器(株式会社東京精密社製、SURFCOM130A)を用い、JIS B 0601−1994に従って、測定条件として、評価長さ4.000mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値0.8mm、フィルタ種別:ガウシアン、測定レンジ±400.0μm、傾斜補正:直線、カットオフ比300として測定する。
また、熱可塑性樹脂層A41のRyは、同様の観点から、3〜8μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。さらに、熱可塑性樹脂層A41のRzは、2〜7μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。
上記のようなサンドブラスト加工の調整手法としては、特に制限されないが、例えば、ブラスト材の種類、粒径、ショット圧、加工時間等を調整することが挙げられる。
例えば図1に示されるように、本発明の光拡散性シート1は、硬化性樹脂層3の、熱可塑性樹脂層A41が積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層B42を積層することができる。これにより、光拡散性シート1の引裂強さをより一層優れたものとすることができる。また、上記熱可塑性樹脂層B42は、表面にサンドブラスト加工が施されておらず、平滑面とすることが好ましい。当該熱可塑性樹脂層B42の平滑性としては、熱可塑性樹脂層B42の表面側の表面粗さRaが0.2μm以下とすることが好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。また、熱可塑性樹脂層B42の表面平滑性の別の指標として、静摩擦係数が0.9以下、かつ、動摩擦係数が0.8以下とすることが挙げられる。当該静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K 7125に準じて測定されるものである。また、本発明の光拡散性シート1は、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布2と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層3と、前記硬化性樹脂層の一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層A41とを含み、前記熱可塑性樹脂層A41が積層された面の反対面側の最表面の表面粗さRaが0.2μm以下であり、前記熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、前記光拡散性シート1の全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上、とすることができる。
本発明の光拡散性シートは、ガラス繊維布2に対し熱可塑性樹脂層A41が光源側であることが好ましい。これにより、光透過性がより一層向上する。具体的に、サンドブラスト加工による凹凸により光拡散を生じさせるところ、表面にサンドブラスト加工を施した熱可塑性樹脂層A41を光源側とすることで、低屈折率である空気層と熱可塑性樹脂層A41サンドブラスト面との界面における、光源からの光の、光源側への反射を低減させることができ、光透過性を向上させることができる。また、上記構成としつつ、熱可塑性樹脂層B42が前述した平滑面である場合は、光透過性をより一層向上させつつ、室内空間中の塵埃等が当該表面に付着したときの拭き取り性にも優れたものとすることができる。
熱可塑性樹脂層A41及びB42としては、特に制限されないが、ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、可塑剤の量が少なくてもフィルム化が可能なものが挙げられ、ポリ塩化ビニル樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂を含む2軸延伸フィルムが好ましく挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂が挙げられ、これらを少なくとも1種以上含むものとすることもできる。また、熱可塑性樹脂層A41及びB42は、ポリ塩化ビニル樹脂を含まないものとすることもできる。光拡散性シート1の引裂強さをより一層優れたものとする観点から、熱可塑性樹脂層A41及びB42は、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が、たて方向及びよこ方向ともに1N/mm以上のものが挙げられ、3〜20N/mmのものが好ましく挙げられ、5〜15N/mmのものがより好ましく挙げられる。中でも、耐薬品性(照明カバーとして使用するときはアルカリ洗剤耐性を含む。)、引裂強さの向上及び光透過性をより一層両立させるという観点からは、熱可塑性樹脂層A41及びB42は、ポリエステル樹脂を含むものとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)とすることが挙げられる。なお、エレメンドルフ引裂伝播抵抗は、株式会社東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128−2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定し、この測定値をフィルム厚みで除した引裂伝播抵抗(N/mm)を意味する。また、上記熱可塑性樹脂層A41及びB42の引裂強さは、たて方向及びよこ方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値とする。また、熱可塑性樹脂層A41と熱可塑性樹脂層B42とは、同じ樹脂組成物とする必要は無く、互いに異なる組成としてもよいし、それぞれ異種の熱可塑性樹脂を含むものとしてもよい。
また、熱可塑性樹脂層A41及びB42の屈折率と、硬化性樹脂層3の屈折率との差は、光透過性をより向上させる観点から小さいことが好ましく、当該屈折率差としては、例えば、0.1以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂層A41及び/又はB42には、必要に応じて、コロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施すことができ、また、易滑性、易接着性、帯電防止性などの各種機能を付与するコーティング層を設けたものであってもよい。
本発明の光拡散性シート1において、熱可塑性樹脂層A41及びB42の1層あたりの質量としては、例えば、30〜150g/m2が挙げられ、引裂強さと不燃性とをより両立するという観点から、50〜90g/m2が好ましく挙げられ、60〜80g/m2がより好ましく挙げられる。また、熱可塑性樹脂層A41及びB42の厚さとしては、例えば、20〜100μmが挙げられ、引裂強さと不燃性とをより両立するという観点から、30〜70μmが好ましく挙げられ、40〜60μmがより好ましく挙げられる。また、例えば、熱可塑性樹脂層A41及び/又はB42に、易滑性、易接着性、帯電防止性などの各種機能を付与するコーティング層等、別の層を積層する場合は、当該別の層の厚さとしては、例えば、0.1〜3μmが挙げられ、0.1〜1μmが好ましく挙げられる。
(光拡散性シート1の特性)
本発明の光拡散性シート1は、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である。本発明においては、細かい凹凸を付与し得るサンドブラスト加工を熱可塑性樹脂層A41に施し、その指標として、上記全光線透過率及びヘーズとするものである。光拡散性シート1の、全光線透過率はJIS K7361−1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
本発明の光拡散性シート1は、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である。本発明においては、細かい凹凸を付与し得るサンドブラスト加工を熱可塑性樹脂層A41に施し、その指標として、上記全光線透過率及びヘーズとするものである。光拡散性シート1の、全光線透過率はJIS K7361−1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
本発明の光拡散性シート1は、前述のように、熱可塑性樹脂層A41がガラス繊維布2に対し光源側であることが好ましく、これにより、光透過性がより一層向上する。本発明の光拡散性シート1は、熱可塑性樹脂層A41側がガラス繊維布2に対し光源側としたときの全光線透過率としては、70〜80%が好ましく挙げられ、70〜75%がより好ましく挙げられる。また、本発明の光拡散性シート1は、熱可塑性樹脂層A41側がガラス繊維布2に対し光源側としたときのヘーズとしては、96%以上が好ましく挙げられ、97〜99%がより好ましく挙げられる。
本発明の光拡散性シート1の厚さとしては、例えば、100〜300μm等が挙げられ、150〜250μmが好ましく挙げられる。また、また、本発明の光拡散シート1の質量として、例えば、100〜400g/m2が挙げられ、250〜350g/m2が好ましく挙げられる。また、本発明の透明シート1において、硬化性樹脂層3(ガラス繊維布2の質量を除く。)、熱可塑性樹脂層A41及びB42の合計質量が100〜300g/m2、より好ましくは150〜250g/m2であると、不燃性と引裂強度とを一層両立しやすくなるので好ましい。
本発明の光拡散性シート1は、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布2と、前記ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層3と、前記硬化性樹脂層3の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層A41と、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、前記光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上であることから、引裂強さに優れる。本発明の光拡散性シート1が備える引裂強さとしては、例えば、20〜100Nが挙げられる。本発明において、引裂強さは、次のように測定、算出される。
(試験方法)
JIS R 3420:2013の7.16のC法(トラペゾイド法)に準じ、透明シートから75mm×150mmの試験片をたて方向、よこ方向にそれぞれ採取し、直角を含む2つの台形部(図2に例示する台形A部に相当)それぞれに裏表両面に滑り止めのためのテープ(積水化学株式会社製商品名600S)を貼付し、切れ目は入れずに、定速荷重型引張試験機(株式会社オリエンテック製商品名RTC−1310A)を用いておこない、最大荷重を測定し、たて方向最大荷重及びよこ方向最大荷重の平均値(=(たて方向最大荷重(N)+よこ方向最大荷重(N))/2)を初期引裂強度(N)とする。
(試験方法)
JIS R 3420:2013の7.16のC法(トラペゾイド法)に準じ、透明シートから75mm×150mmの試験片をたて方向、よこ方向にそれぞれ採取し、直角を含む2つの台形部(図2に例示する台形A部に相当)それぞれに裏表両面に滑り止めのためのテープ(積水化学株式会社製商品名600S)を貼付し、切れ目は入れずに、定速荷重型引張試験機(株式会社オリエンテック製商品名RTC−1310A)を用いておこない、最大荷重を測定し、たて方向最大荷重及びよこ方向最大荷重の平均値(=(たて方向最大荷重(N)+よこ方向最大荷重(N))/2)を初期引裂強度(N)とする。
本発明の透明シート1は、ガラス繊維布2を含むため、燃えにくい性質(不燃性)を備えることができる。なお、本発明の光拡散性シート1の不燃性としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。不燃性をより一層向上させるためには、例えば、硬化性樹脂組成物層3及び熱可塑性樹脂層A41及びB42において、難燃剤の添加や有機物量の減量等を行なえばよい。
(本発明の光拡散性シート1の製造方法)
本発明の光拡散性シート1の製造方法としては、特に制限されず、例えば次のような製造方法が挙げられる。まず、上記のガラス繊維布2と、硬化性樹脂組成物層3を構成する上記の未硬化の硬化性樹脂組成物を準備する。該硬化性樹脂組成物を熱可塑性樹脂層A41、B42とするフィルム(例えばポリエステルフィルム等)に塗布し、ガラス繊維布2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布2の両面側から硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化性樹脂組成物を加熱や光照射により硬化させて、ガラス繊維布2に硬化性樹脂組成物層3が含浸され、該硬化性樹脂組成物層3に熱可塑性樹脂層とするフィルムが積層された、透明シート(熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シート)が得られる。熱エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合、加熱温度は、特に制限されず、例えば50〜200℃程度とすることができる。また、光エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合には、樹脂組成物に光を照射して硬化させる。光照射の条件としては、例えば積算光量100〜500mJ/cm2とすることができる。
本発明の光拡散性シート1の製造方法としては、特に制限されず、例えば次のような製造方法が挙げられる。まず、上記のガラス繊維布2と、硬化性樹脂組成物層3を構成する上記の未硬化の硬化性樹脂組成物を準備する。該硬化性樹脂組成物を熱可塑性樹脂層A41、B42とするフィルム(例えばポリエステルフィルム等)に塗布し、ガラス繊維布2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布2の両面側から硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化性樹脂組成物を加熱や光照射により硬化させて、ガラス繊維布2に硬化性樹脂組成物層3が含浸され、該硬化性樹脂組成物層3に熱可塑性樹脂層とするフィルムが積層された、透明シート(熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シート)が得られる。熱エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合、加熱温度は、特に制限されず、例えば50〜200℃程度とすることができる。また、光エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合には、樹脂組成物に光を照射して硬化させる。光照射の条件としては、例えば積算光量100〜500mJ/cm2とすることができる。
次に、当該得られた透明シートの熱可塑性樹脂層A41の表面に対し、表面粗さRaが0.3〜1.2μm、光拡散性シートの全光線透過率が全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上となるようにサンドブラスト加工をおこない、本発明の光拡散性シート1を得る。当該サンドブラスト加工は、熱可塑性樹脂層A41の、硬化性樹脂組成物層3への積層前に予めおこなってもよい。また、サンドブラスト加工は、公知の方法でおこなえばよい。
(本発明の光拡散性シート1の用途)
本発明の光拡散性シートの用途としては、照明機器の照明カバーとすることができる。当該照明機器としては、LEDを光源とするLED照明や有機EL照明が挙げられる。また、上記用途として、液晶表示装置のバックライトユニットも挙げられる。
本発明の光拡散性シートの用途としては、照明機器の照明カバーとすることができる。当該照明機器としては、LEDを光源とするLED照明や有機EL照明が挙げられる。また、上記用途として、液晶表示装置のバックライトユニットも挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
上記のガラス繊維布2に含浸させる硬化性樹脂組成物層3を構成する硬化性樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、アクリルシラップ(株式会社菱晃製商品名「アクリシラップXD−8005」(屈折率1.550)及び「アクリシラップXD−8006」(屈折率1.570)を質量比で1:1で混合したもの)、ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製)、スチレンモノマー(日本ユピカ株式会社製)、2官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤の混合物を使用した。なお、硬化剤である2官能(メタ)アクリレートとしては、表1に記載のNPGDA(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212、(日本ユピカ株式会社製))を用いた。また、光重合開始剤の量は、ビニルエステル樹脂とスチレンモノマーと2官能(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して2質量部とした。熱可塑性樹脂層A41及びB42としては、市販の東洋紡株式会社製2軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ75μm、質量105g/m2)を使用した。
<実施例1>
(ガラス繊維布の製造)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(ガラス繊維布の製造)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(透明シートの製造)
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が68g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が68g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
(サンドブラスト加工)
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、当該熱可塑性樹脂層A41表面の表面粗さRaが0.3〜1.2μm、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上となるようにサンドブラスト加工を施し、実施例1の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.445μm、Ryは3.610μm、Rzは2.646μmであった。また、熱可塑性樹脂層B42の表面粗さRaは0.2μm以下であった。
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、当該熱可塑性樹脂層A41表面の表面粗さRaが0.3〜1.2μm、全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上となるようにサンドブラスト加工を施し、実施例1の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.445μm、Ryは3.610μm、Rzは2.646μmであった。また、熱可塑性樹脂層B42の表面粗さRaは0.2μm以下であった。
<実施例2>
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(透明シートの製造)
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が68g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が68g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
(サンドブラスト加工)
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、実施例1のサンドブラスト加工より粗さが細かくなるようにブラスト材の粒径及びショット圧を調整してブラスト加工をおこない、実施例2の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.445μm、Ryが3.610μm、Rzが2.646μmであった。
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、実施例1のサンドブラスト加工より粗さが細かくなるようにブラスト材の粒径及びショット圧を調整してブラスト加工をおこない、実施例2の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.445μm、Ryが3.610μm、Rzが2.646μmであった。
<比較例1>
(ガラス繊維布の製造)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(ガラス繊維布の製造)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m2、屈折率1.561であった。
(透明シートの製造)
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が67g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
前述の2軸延伸ポリエステルフィルムに、表1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維布を載せ、1分間静置してガラス繊維布の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の2軸延伸ポリエステルフィルムもう1枚をさらに載せ、この上からローラで硬化性樹脂組成物層の質量が67g/m2となるように加圧した。その後、2軸延伸ポリエステルフィルムごと、硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化性樹脂組成物層を形成し、熱可塑性樹脂層A41とするフィルム/ガラス繊維布2に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂組成物層3/熱可塑性樹脂層B42とするフィルムの順で積層された透明シートを得た。得られた透明シートにおいて、ガラス繊維布のガラス繊維間の隙間には、硬化性樹脂組成物層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維布の層の両面上には硬化性樹脂組成物層が形成されていた。なお、上記透明シートの、ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層(ガラス繊維布と硬化性樹脂層3の複合体)としては、全光線透過率90%以上、ヘーズが5%以下であった。
(サンドブラスト加工)
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、実施例2のサンドブラスト加工より粗さがさらに細かくなるようにブラスト材の粒径及びショット圧を調整してブラスト加工をおこない、比較例1の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.178μm、Ryは1.518μm、Rzは1.135μmであった。
得られた透明シートの、熱可塑性樹脂層A41とする2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に、実施例2のサンドブラスト加工より粗さがさらに細かくなるようにブラスト材の粒径及びショット圧を調整してブラスト加工をおこない、比較例1の光拡散性シートを得た。得られた光拡散性シートの、熱可塑性樹脂層A41の表面粗さRaは0.178μm、Ryは1.518μm、Rzは1.135μmであった。
なお、実施例及び比較例において、ガラス繊維織物の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維織物の厚みは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。硬化性樹脂組成物及びガラス繊維織物の屈折率は、前述の方法で測定及び算出した。以下の評価は、光拡散性シートの製造後、1週間室内で放置してから行った。
表面粗さ、全光線透過率、ヘーズについては、前述の方法で測定した。なお、全光線透過率、ヘーズは、サンドブラスト加工を施した熱可塑性樹脂層A41側がガラス繊維布2に対し光源側、及びサンドブラスト加工を施していない熱可塑性樹脂層B42側がガラス繊維布2に対し光源側、の両方について測定し、全光線透過率は65〜80%、ヘーズは95%以上を合格とした。
(ランプイメージの評価)
光源として、3つのLED光源を備えるライト(富士通株式会社製商品名LEDなんでもライトHGN2340F−R(光源:高輝度白色LED(3灯)))を用い、光拡散性シート越しに当該光源を目視で観察し、ランプイメージを評価した。図3は、当該光源を、光拡散性シートを透さずに観察したときのランプイメージを説明する概略図である。具体的に、上記光源、光拡散性シート、観察者の目、の順で、それぞれが一直線上となるように配置した。光源と光拡散性シートとの距離(最短距離)を調節し、当該距離が1cmの位置から1cmずつ光拡散性シートを光源から遠ざけていき、光拡散性シートを透して観察される3つのLED光源それぞれの形状が独立して視認できなくなる距離(例えば、図4に例示するように、3つのLED光源が重なり3つの光源として視認できなくなる距離)を測定し、ランプイメージの評価をおこなった。上記距離が12cm以下を合格とした。なお、実施例1、2、比較例1において、サンドブラスト加工を施した熱可塑性樹脂層A41側がガラス繊維布2に対し光源側、及びサンドブラスト加工を施していない熱可塑性樹脂層B42側がガラス繊維布2に対し光源側、の両方について評価した。
光源として、3つのLED光源を備えるライト(富士通株式会社製商品名LEDなんでもライトHGN2340F−R(光源:高輝度白色LED(3灯)))を用い、光拡散性シート越しに当該光源を目視で観察し、ランプイメージを評価した。図3は、当該光源を、光拡散性シートを透さずに観察したときのランプイメージを説明する概略図である。具体的に、上記光源、光拡散性シート、観察者の目、の順で、それぞれが一直線上となるように配置した。光源と光拡散性シートとの距離(最短距離)を調節し、当該距離が1cmの位置から1cmずつ光拡散性シートを光源から遠ざけていき、光拡散性シートを透して観察される3つのLED光源それぞれの形状が独立して視認できなくなる距離(例えば、図4に例示するように、3つのLED光源が重なり3つの光源として視認できなくなる距離)を測定し、ランプイメージの評価をおこなった。上記距離が12cm以下を合格とした。なお、実施例1、2、比較例1において、サンドブラスト加工を施した熱可塑性樹脂層A41側がガラス繊維布2に対し光源側、及びサンドブラスト加工を施していない熱可塑性樹脂層B42側がガラス繊維布2に対し光源側、の両方について評価した。
(不燃性評価)
各光拡散シートの表面に、輻射電気ヒーターで50kw/m2の輻射熱を照射し、加熱開始後20分間の総発熱量と、加熱開始後20分間に発熱量が200kw/m2を超えた時間を測定した。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、加熱開始後20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えない場合に、不燃性に優れる(◎)と評価とした。
各光拡散シートの表面に、輻射電気ヒーターで50kw/m2の輻射熱を照射し、加熱開始後20分間の総発熱量と、加熱開始後20分間に発熱量が200kw/m2を超えた時間を測定した。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、加熱開始後20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えない場合に、不燃性に優れる(◎)と評価とした。
表1から明らかなように、実施例1及び2の光拡散性シートは、平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、前記光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、ことから、光透過性、不燃性に優れつつ、LED光源としたときのランプイメージの発生抑制効果に優れるものであった。また、実施例1及び2の光拡散性シートは、特許文献1の実施例の光拡散性シートの硬化性樹脂層の片面に本願実施例1と同様のサンドブラスト加工を施したものに比して、引裂強さに優れるものであった。
中でも、実施例1及び2において、熱可塑性樹脂層Aがガラス繊維布に対して光源側としたときの方が、熱可塑性樹脂層Bをガラス繊維布に対して光源側としたよりも、光透過性に優れるものであった。
一方、比較例1は、Raが0.3μm未満であったことから、ランプイメージの発生抑制が十分でなかった。
中でも、実施例1及び2において、熱可塑性樹脂層Aがガラス繊維布に対して光源側としたときの方が、熱可塑性樹脂層Bをガラス繊維布に対して光源側としたよりも、光透過性に優れるものであった。
一方、比較例1は、Raが0.3μm未満であったことから、ランプイメージの発生抑制が十分でなかった。
1・・・光拡散性シート
2・・・ガラス繊維布
3・・・硬化性樹脂層
31、32・・・硬化性樹脂層の表面側部分
41・・・熱可塑性樹脂層A
42・・・熱可塑性樹脂層B
2・・・ガラス繊維布
3・・・硬化性樹脂層
31、32・・・硬化性樹脂層の表面側部分
41・・・熱可塑性樹脂層A
42・・・熱可塑性樹脂層B
Claims (7)
- 平均単繊維径が3〜5μmのガラス繊維から構成され、質量が8〜60g/m2であるガラス繊維布と、前記ガラス繊維布に含浸された状態で含まれる硬化性樹脂層と、前記硬化性樹脂層の少なくとも一方の面側に積層された熱可塑性樹脂層Aと、を含む光拡散性シートであって、
前記熱可塑性樹脂層Aの表面粗さRaが0.3〜1.2μmであり、
前記光拡散性シートの全光線透過率が65〜80%、ヘーズが95%以上である、
光拡散性シート。 - 前記硬化性樹脂層の、前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側に、熱可塑性樹脂層Bが積層されている、請求項1に記載の光拡散性シート。
- 前記熱可塑性樹脂層Aが積層された面の反対面側の最表面の表面粗さRaが0.2μm以下である、請求項1又は2に記載の光拡散性シート。
- 前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層Aが光源側である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散性シート。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散性シートを含む照明カバーであって、
前記ガラス繊維布に対し前記熱可塑性樹脂層A側が光源側に配置される、照明カバー。 - 前記光源がLED光源である、請求項5に記載の照明カバー。
- 請求項5又は6に記載の照明カバーを含む、照明機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018089983A JP2019197105A (ja) | 2018-05-08 | 2018-05-08 | 光拡散性シート、該光拡散性シートを含む照明カバー及び照明機器 |
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2018
- 2018-05-08 JP JP2018089983A patent/JP2019197105A/ja active Pending
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