JP5945057B1 - 透明不燃性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とからなる透明不燃性シートにおいて、塩化ビニル樹脂フィルム等を熱プレス加工により積層可能であり、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制でき、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することのできる、透明不燃性シートを提供する。【解決手段】ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とを含む透明不燃性シートであって、前記樹脂層が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含む、透明不燃性シート。【選択図】図1

Description

本発明は、透明不燃性シートに関する。
建築基準法及び建築基準法施行令は、建築物の火災時に発生する煙、有毒ガスなどの流動を妨げて、避難及び消火活動が円滑に行えるように、排煙設備を設けることを規定している。従って、オフィスビル、商業施設などの建築物には、排煙設備及び遮煙設備として、防煙垂壁などが設置されることが多い。また、例えば、工場、倉庫などの出入口には、用時に昇降するシートシャッターが設置されることがある。このようなシートシャッターでは、シートシャッターが降りている時にも向こう側が目視できるように、透明樹脂製シートと骨組みによって構成されることがある(例えば、特許文献1を参照)。このようなシートシャッターに防煙性を付与することにより、火災発生時に煙などの流動を抑制することが期待できる。そこで、特許文献1に開示されたようなシートシャッターを防煙シャッターなどとして用いることが考えられる。
また、防煙垂壁は、火災発生時の煙、有毒ガスなどが廊下や上層階へ流動することを一時的に遮断し、避難に必要な時間を確保することなどを目的として、通常、建築物の天井に取り付けられている。このため、防煙垂壁によって視野が妨げられたり、美観が損なわれたりしないよう、防煙垂壁としては、透明板ガラス、ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体などが用いられている。ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体は、透明板ガラスに比して割れにくいという利点を有する。
例えば、特許文献2には、ガラス繊維織物と硬化樹脂層とを含む透明シートが開示されている。また、特許文献3には、硬化樹脂層の内部にガラス繊維布帛が埋設され、該硬化樹脂層の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層が積層されてなり、JIS P 8115の折り曲げ試験による白化発生が30回以上の採光不燃シートが開示されている。また、特許文献4には、ガラス繊維からなる基材と、その表裏全面に含浸塗布された軟質塩化ビニル樹脂などを含む樹脂含浸被覆層とを有する透明性複合シートが開示されている。
特開平06−173557号公報 特開2005−319746号公報 特開2014−201007号公報 特開2010−52370号公報 特開2013−150766号公報 登録実用新案第3173095号公報
例えば、特許文献1に開示されたようなシートシャッターは、透明塩化ビニルにより構成されているため、優れた透明性を発揮できるが、不燃性に劣るだけでなく、このままでは機械的強度が非常に低いという問題を有する。これに対して、特許文献2、3に開示されたような透明シートにおいては、一対の硬化樹脂層の間にガラス繊維織物が挟まれている。また、特許文献4に開示された透明性複合シートにおいては、ガラス繊維基材の表裏全面が軟質塩化ビニル樹脂で被覆されている。このため、特許文献2〜4に開示された透明性複合シートは、特許文献1に開示されたシートシャッターに比して機械的強度に優れているという利点を有する。
ところで、特許文献2〜4に開示されているようなガラス繊維布帛シートを用いた防煙垂壁として、例えば特許文献5に開示されているような、所謂パネル式の防煙垂壁と、例えば特許文献6に開示されているような、所謂テンション式の防煙垂壁とが知られている。パネル式及びテンション式のいずれも、枠体によってガラス繊維布帛シートが把持される。
防煙垂壁は、枠体の点数が多ければ多いほど、作業、部品コストがかかるばかりでなく、防煙垂壁の存在感が増し、防煙垂壁が設置されるオフィスビル、商業施設等の美観を損ねる場合がある。そこで、本発明者等は、できるだけ枠体の点数を少ないものとすべく、ガラス繊維布帛シートを幅広いものとすることを検討した。しかしながら、ガラス繊維シートは、工業生産性上の理由から、広げられる幅に限界がある。そこで、本発明者等は、施工現場での作業性と、ガラス繊維布帛シートの美観等から、決められた幅のガラス繊維布帛シート同士を超音波溶着加工により接合させて幅広いものとすることを想起した。
ここで、特許文献2に開示されている透明シートは、最外層が硬化樹脂層であることから、超音波溶着加工を施すことができないという問題がある。また、硬化樹脂層を形成させるのに、装置及び工程が比較的複雑となることから、コストが高くなるという問題もある。
また、特許文献3に開示されている採光不燃シートは、最外層に熱可塑性樹脂層が積層されているため超音波溶着加工が可能である。しかしながら、ガラス繊維布帛が埋設される樹脂層が硬化樹脂層のため、やはり硬化樹脂層を形成させるのに装置、工程が比較的複雑となり、さらに硬化樹脂層に熱可塑性樹脂層を積層させる工程が装置、工程の複雑さを一層高め、コストがより高くなるという問題がある。
以上のように、本発明者等は、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層を硬化樹脂とした場合は得られるシートはコストが高くなる場合もあることから、該樹脂層として熱可塑性樹脂を用いることを検討した。この点、例えば、特許文献4に開示された透明性複合シートは、ガラス繊維からなる基材の表裏全面に軟質塩化ビニル樹脂組成物を含浸塗布して形成されているため、超音波溶着加工が可能であり、特許文献2及び3に開示されている、硬化樹脂がガラス繊維布帛に含浸される透明シートに比して、コスト良く製造することができる。
しかしながら、該透明性複合シートは、軟質塩化ビニル樹脂組成物に屈折率調整剤として、可塑剤の一種である芳香族リン酸エステル化合物を40質量%以上含ませるものである。このため、当該透明性複合シートでは、表面のべたつきが大きくなり、当該表面に塵埃等が吸着されて、汚損され易いという問題がある。これらの問題点を解消するため、特許文献4に開示されたような透明性複合シートの両面に塩化ビニル樹脂フィルムを貼り合わせることを検討した。ところが、塩化ビニル樹脂フィルムを貼り合わせたにも関わらず、上記問題点を解決することができなかった。具体的に、得られた透明性複合シートは、製造直後は透明性に優れるが、時間が経過するにつれて軟質塩化ビニル樹脂組成物中の透明化剤が塩化ビニル樹脂フィルムに移行して、ブリードを生じてしまうことが明らかとなった。屈折率調整剤として使用される可塑剤の移行を生じると、透明性複合シートの屈折率が経時的に変化し、ガラス繊維の屈折率と軟質塩化ビニル樹脂組成物の屈折率との差の絶対値が大きくなり、この結果、透明性複合シートの透明性が早期に低下するという問題がある。
このような状況下、本発明者等は、ガラス繊維に含浸された状態で含まれる樹脂層を飽和ポリエステル樹脂とし、該樹脂層に塩化ビニル樹脂フィルム等を積層させたシートとすることにより、上記問題を一挙に解決し得るのではないかと想起した。
すなわち、塩化ビニル樹脂(軟質)は、屈折率が1.53程度であり、汎用的なガラス繊維であるEガラス繊維の屈折率(1.56〜1.58程度)と屈折率差の絶対値が大きく、例えば、特許文献4のように可塑剤等によって塩化ビニル樹脂の屈折率を調整する必要がある。これに対し、飽和ポリエステル樹脂は、塩化ビニル樹脂のように可塑剤を必要とせずとも、例えば共重合組成等を調整することにより屈折率が1.50〜1.60等に調整可能であってEガラス繊維を含むガラス繊維の屈折率と容易に近似させることができる。また、飽和ポリエステル樹脂は、硬化性樹脂とは異なり、接着剤を用いずとも、例えば、熱プレス加工等によって塩化ビニル樹脂フィルム等を積層することが可能であることから、コスト面でも有利となる。
ここで、本発明者等は、超音波溶着加工等によりシートを幅広くするほど、使用する飽和ポリエステル樹脂によって、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みが生じやすくなるという問題が生じることを知得した。中でも、前記したテンション式のものは特に弛みが生じやすい傾向があった。そこで、弛みの発生を防ぐべく、シートにより強い張力をかけた状態で枠体に取り付ける必要がある。しかしながら、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる飽和ポリエステル樹脂層上に塩化ビニル樹脂フィルム等を積層させたシートは、該飽和ポリエステル樹脂の種類によっては、張力をかけた際、シートに白い筋が発生し、美観を損ねるという問題があることを知得した。この問題は、防煙垂壁に適用する場合のみならず、例えば、屋根材のような膜材料に用いる際にも起こりうる問題である。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラス繊維布帛と、該ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とからなる透明不燃性シートにおいて、塩化ビニル樹脂フィルム等を熱プレス加工により積層可能であり、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制でき、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することのできる、透明不燃性シートの提供を主な課題とする。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、ガラス繊維に含浸された状態で含まれる樹脂層として、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含むものとすることにより、塩化ビニル樹脂フィルム等を熱プレス加工により積層可能であり、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制でき、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とを含む透明不燃性シートであって、
前記樹脂層が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含む、
透明不燃性シート。
項2. 溶液中の濃度が20質量%となるようにして、前記飽和ポリエステル樹脂をトルエン/MEK(メチルエチルケトン)混合溶媒(質量比率5/5)に溶かしたときの溶液粘度が10〜100mPa・sである、項1に記載の透明不燃性シート。
項3. 前記樹脂層の少なくとも一方の面側に、フィルム層をさらに有する、項1または2に記載の透明不燃性シート。
項4. 前記フィルム層が超音波溶着を可能とする樹脂を含む、項に記載の透明不燃性シート。
項5. 前記フィルム層が塩化ビニル樹脂を含む、項3又は4に記載の透明不燃性シート。
項6. 前記透明不燃性シートにおいて、前記ガラス繊維布帛の質量と前記樹脂層の質量との合計量中の前記ガラス繊維布帛の質量の合計割合が、20〜50質量%である、項1〜5のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項7. 前記透明不燃性シートの全光線透過率が80%以上であり、
前記透明不燃性シートのヘーズが30%以下である、項1〜6のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項8. 前記透明不燃性シートが、防煙垂壁用、防煙シャッター用、防煙カーテン用、間仕切壁用、または膜材料用である、項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項9. 項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シートを備える、防煙垂壁。
項10. 前記防煙垂壁がテンション式防煙垂壁である、項9に記載の防煙垂壁。
本発明の透明不燃性シートによれば、塩化ビニル樹脂フィルム等を熱プレス加工により積層可能であり、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制でき、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することができる。従って、本発明の透明不燃性シートに塩化ビニル樹脂フィルム等を積層したシートは、従来のガラス繊維布帛に硬化樹脂を含浸させた透明不燃性シートに比してコスト良く製造することができ、例えば、超音波溶着加工等により接合させ幅の広いものとし、弛みを抑制するよう張力をかけた際にも、白い筋の発生が抑制できることと、該シートを把持する枠体の点数を少なくすることができやすくなることとが相俟って、美観に優れたものとしやすくなる。
本発明の透明不燃性シートの略図的断面図である。 本発明の透明不燃性シートの略図的断面図である。 本発明の透明不燃性シートの略図的断面図である。 本発明の透明不燃性シートの略図的断面図である。
本発明の透明不燃性シートは、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とを含む透明不燃性シートであって、樹脂層が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
例えば図1に示されるように、本発明の透明不燃性シート1は、ガラス繊維布帛2と、ガラス繊維布帛2に含浸された樹脂層3とを含む積層構造を有する。透明不燃性シート1において、ガラス繊維布帛2は、少なくとも1層含まれていればよく、複数層含まれていてもよい。例えば、図4に示すように、本発明の透明不燃性シート1においては、2枚のガラス繊維布帛2が、それぞれ、樹脂層3の両表面側に位置するように配されていてもよい。
図1において、樹脂層3は、ガラス繊維布帛2を構成している複数のガラス繊維の隙間を埋めており、樹脂層3の一方の表面側部分31と、他方の表面側部分と32とは、当該隙間部分を介して通じている。また、本発明の透明不燃性シート1においては、透明性を高め、さらに、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果を維持しつつ、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生をより一層抑制する観点から、例えば図1〜4に示されるように、ガラス繊維布帛2の層の少なくとも一方の面上に当該樹脂層3が形成されていることが好ましく、ガラス繊維布帛2の層の面上に当該樹脂層3が形成されていることがより好ましい。
本発明の透明不燃性シート1において、樹脂層3の上には、例えば図2及び図3に示されるように、透明不燃性シート1の不燃性を高めたり、機械的強度(硬さ)を高めることなどを目的として、必要に応じて、フィルム層4が積層されていてもよい。また、図3に示されるように、樹脂層3とフィルム層4との間には、透明不燃性シート1の機械的強度(硬さ)を高めることなどを目的として、必要に応じて、ガラス繊維からなる網体層5が積層されていてもよい。フィルム層4及び網体層5は、それぞれ、ガラス繊維布帛2の層の一方面側に積層されていてもよいし、図2及び図3のように両面側に積層されていてもよい。以下、本発明の透明不燃性シート1を構成する各層について詳述する。
[樹脂層3]
本発明の透明不燃性シート1において、樹脂層3は、ガラス繊維布帛2に含浸された状態で含まれる。また、樹脂層3は、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含む。
前述のように、従来の透明不燃性シートにおいてガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる塩化ビニル樹脂(軟質)は、屈折率が1.53程度であり、汎用的なガラス繊維であるEガラス繊維の屈折率(1.56〜1.58程度)と屈折率差の絶対値が大きく、例えば、特許文献4のように可塑剤等によって塩化ビニル樹脂の屈折率を調整する必要がある。これに対し、飽和ポリエステル樹脂は、塩化ビニル樹脂のように可塑剤を必要とせずとも、例えば共重合組成等を調整することにより屈折率が1.50〜1.60等に調整可能であってEガラス繊維を含むガラス繊維の屈折率と容易に近似させることができ、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制できる。
そして、本発明の透明不燃性シートにおいては、樹脂層3が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含むため、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することができる。本発明において、樹脂層3が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含むことにより、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制し、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することができることの機序は明らかではないが、例えば、次のように考えることができる。
すなわち、本発明者等は、防煙垂壁として枠体に取り付ける際の、飽和ポリエステル樹脂の種類により弛みが発生する原因について検討したところ、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる飽和ポリエステル樹脂が柔らかいほど弛みが発生しやすい傾向にあることを知得した。また、本発明者等が、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋が発生する原因について検討したところ、上記弛みの原因とは反対に、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる飽和ポリエステル樹脂が硬いほど上記白い筋が発生しやしくなる傾向にあることを知得した。上記飽和ポリエステル樹脂が硬いほど上記白い筋が発生しやすくなる作用機序としては、上記飽和ポリエステル樹脂が硬い場合、該飽和ポリエステル樹脂の硬さと該飽和ポリエステル樹脂に積層される塩化ビニル樹脂フィルム等の硬さとの差が大きくなる。そして、該硬さの差が大きくなると、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に、直接引っ張られる塩化ビニル樹脂フィルム等に上記飽和ポリエステル樹脂が追随しにくくなり、飽和ポリエステル樹脂と塩化ビニル樹脂フィルム等との間で部分的に剥離が生じ、上記白い筋が発生すると考えられる。
従って、本発明者等は、上記弛みの発生と上記白い筋の発生とを同時に抑制するためには、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる飽和ポリエステル樹脂の硬さを適切なものにする必要があると推測した。そして、本発明者等がさらに検討を行った結果、飽和ポリエステル樹脂の芳香族濃度に着目し、これを適切な範囲とすることにより、上記弛みの発生と上記白い筋の発生とを同時に抑制することができることを突きとめたのである。
なお、芳香環濃度は、飽和ポリエステル樹脂の組成から算出するものであり、ベンゼン核を一個(一当量)として計算し、例えばテレフタル酸には一個、ナフタレンジカルボン酸には二個として飽和ポリエステル樹脂の繰り返し単位あたり芳香環がいくつあるか計算し、次に樹脂1トンあたり何個(何当量)の芳香環があるかを計算する。すなわち単位は樹脂1トンあたりの当量数で表すものとする。飽和ポリエステル樹脂の組成は、NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定をおこなって、それぞれのモノマー成分のピーク強度から飽和ポリエステル樹脂の組成を求める。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いる。
上記芳香環濃度は、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果を維持しつつ、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生をより一層抑制する観点から、4000〜5700等量/tが好ましい。また、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生を抑制する効果と、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果とを維持しつつ、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維のガラス材料として汎用性の高い無アルカリガラス (Eガラス)を用いた場合にシートのヘーズをより一層小さいものとし透明性により一層優れるという観点から、上記芳香環濃度は、4000〜5700等量/tが好ましく、4500〜5700等量/tがより好ましい。
本発明において、飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とから構成される樹脂であることが好ましい。ジカルボン酸成分として用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸(ADA)、セバシン酸(SEA)、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸(AZA)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウム−スルホイソフタル酸等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、芳香族濃度を3000〜5700等量/tにより調整しやすくなるという観点と、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生の抑制と、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生の抑制とをより一層共立させやすくするという観点から、ジカルボン酸成分における芳香族ジカルボン酸の割合は、50〜100モル%が好ましく、80〜100モル%がより好ましい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(1,2−PG)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,17−ヘプタデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール(MPD)、ネオペンチルグリコール(NPG)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(BEPG)、3,3-ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、1,4−フェニレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、(水素化)ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BAEO)、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールSのプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記したジカルボン酸成分及びジオール成分において、飽和ポリエステル樹脂の溶剤への溶解性をより高め、ガラス繊維布帛2への含浸性をより高めて、得られるシートの透明性をより向上させる、という観点から、テレフタル酸及びエチレングリコールに加えて、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、(水素化)ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレングリコール(1,2−PG)からなる群より選ばれる1種以上の成分を含むことが好ましい。また、同様の観点から、飽和ポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸成分と全ジオール成分との合計量を100モル%とした場合の、テレフタル酸とエチレングリコールの合計量の割合としては、20〜70モル%が好ましく、30〜65モル%がより好ましい。
また、飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分やジオール成分以外に、3価以上のカルボン酸成分やアルコール成分を構成成分としてもよい。3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸(TMA)や、その誘導体などが挙げられ、3価以上のアルコール成分としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。
本発明において、樹脂層3に含まれる飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、樹脂層3に後述するフィルム層4を積層する際の樹脂層3とフィルム層4との接着性を高め、張力をかけた場合に白い筋の発生を一層抑制しやすくするという観点から、−5〜100℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。また、樹脂層3に含まれる飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、上記接着性の向上という観点と、飽和ポリエステル樹脂の溶剤への溶解性をより高め、ガラス繊維布帛2への含浸性をより高めて、得られるシートの透明性をより向上させるという観点から、5000〜50000ダルトンが好ましく、8000〜30000ダルトンがより好ましい。
ガラス繊維布帛2への樹脂層3の含浸性をより一層高めて、得られるシートの透明性をより一層高めるという観点から、溶液中の濃度が20質量%となるようにして、飽和ポリエステル樹脂をトルエン/MEK混合溶媒(質量比率5/5)に溶かしたときの溶液粘度が、1〜100mPa・sであることが好ましく、5〜60mPa・sであることがより好ましい。
なお、本発明において、樹脂層3に含まれる飽和ポリエステル樹脂の溶液粘度は、B型粘度計を用い、測定温度25℃、回転数60rpm、ロータNo.1を用いて測定した値である。
上述のような飽和ポリエステル樹脂を得るためには、例えば、以下のような手法を用いることができる。すなわち、多価カルボン酸やグリコールなどの原料モノマーを反応缶に投入した後、エステル化反応をおこなう。次いで、公知の方法で所望の分子量に達するまで重縮合させることにより、飽和ポリエステル樹脂を製造することができる。エステル化反応は、例えば、180℃以上の温度において、4時間以上行われる。
重縮合反応は、一般的には、130Pa以下の減圧下、220〜280℃で、重合触媒を用いて行われる。重合触媒としては、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物などが挙げられる。なお、重合触媒の使用量が過少であると重合反応が遅くなる場合があり、一方、過多であると得られる飽和ポリエステル樹脂の色調が低下する場合がある。そのため、重合触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10-4モル〜20×10-4モルであることが好ましい。
そして、飽和ポリエステル樹脂の酸価を調整するために、前記の重縮合反応に引き続き、多価カルボン酸をさらに添加し、不活性雰囲気下で解重合反応を行うことができる。
本発明の透明不燃性シート1において、樹脂層3は、必要に応じて、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。当該他の樹脂としては、例えば、芳香環濃度が3000等量/t未満又は5700等量/tを超える飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられる。他の樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、樹脂層3は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化剤、硬化助剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、充填剤、粘着付与剤、他の樹脂、酸無水物、帯電防止剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光拡散剤などの各種添加剤を少なくとも1種含有してもよい。
硬化剤としては、エポキシ樹脂、酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシナネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシナネート等のイソシアネート類およびそのブロックイソシアネート、ウレトジオン類、β−ヒドロキシアルキルアミド等が挙げられる。硬化触媒としては、オクチル錫、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
熱安定剤としては、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物等が挙げられる。
滑剤としては、タルクやシリカ、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。顔料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。粘着付与剤としては、タッキファイヤー等が挙げられる。
難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル、赤燐、トリアジン、メラミンイソシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤、二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃助剤、シリコーンパウダー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。
光拡散剤としては、コロイダルシリカ、透明微小球、例えば、ガラスビーズやアクリルビーズなどが挙げられる。
樹脂層3において、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂の割合としては、特に制限されないが、透明性を高め、さらに、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果を維持しつつ、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生をより一層抑制する観点から、好ましくは50〜100質量%が好ましく、より好ましくは70〜100質量%が挙げられる。
樹脂層3の屈折率としては、透明不燃性シート1の透明性をより優れたものとする観点から、ガラス繊維布帛2の屈折率との差の絶対値が0.03以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることが特に好ましい。
樹脂層3の質量としては、特に制限されるものではないが、透光性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、30〜500g/m2が好ましく、30〜300g/m2がより好ましく、30〜100g/m2が更に好ましい。また、樹脂層3の厚さ(例えば、図2、図4のL0を参照)については、後述する式(I)及び(II)を充足するように適宜設定することが好ましいが、具体的には30〜300μm、好ましくは30〜100μmが挙げられる。
[ガラス繊維布帛2]
本発明の透明不燃性シート1において、ガラス繊維布帛2は、複数のガラス繊維により構成されている。ガラス繊維布帛2において、複数のガラス繊維は、互いに絡み合って1枚の布帛を形成している。ガラス繊維布帛2としては、例えば、複数の経糸と複数の緯糸とで構成されるガラス繊維織物(ガラスクロス)が挙げられる。ガラス繊維織物の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。ガラス繊維織物の織密度は、特に制限されないが、例えば織密度が60本/25mm以上であると、透明不燃性シート1の樹脂層3が燃焼してしまった場合にも、ガラス繊維布帛2には大きな貫通孔が形成されず、優れた不燃性能が保持されるため好ましい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス (Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス (Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス (Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス (ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス (Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維布帛2を形成できれば、特定のものに制限されない。ガラス繊維の番手としては、織密度を高くする観点から、好ましくは20tex以下が挙げられる。ガラス繊維の番手は、1種類単独であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30〜400本程度が好ましく、40〜120本程度がより好ましい。また、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、透明不燃性シート1の透明性をより向上させるという観点から3.0〜6.0μm程度が好ましく、3.0〜5.0μm程度がより好ましい。ガラスヤーンの番手は、透明性をより向上させるという観点から3〜30texが好ましく、3〜12texがより好ましく、3〜5texがさらに好ましい。ガラス繊維布帛2を構成するガラスヤーンにおける単繊維の直径及びガラスヤーンの番手が上記の範囲内にあることにより、透明不燃性シート1の透明性がより向上される機序の詳細は明らかではないが、このような条件を充足することにより、ガラス繊維布帛2が平滑化し、樹脂層3との界面における光の散乱が効果的に抑制され、結果として、透明不燃性シート1の透明性がより一層向上し易くなると考えられる。
ガラス繊維布帛2との樹脂層3との接着性を高め、本発明の透明不燃性シート1の耐久性を高める観点からは、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の表面は、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
透明不燃性シート1において、ガラス繊維布帛2の割合(質量%)は、透明性を高め、さらに、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果を維持しつつ、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生をより一層抑制する観点から、ガラス繊維布帛2と後述の樹脂層3との合計量中、20〜50質量%が好ましく、20〜28質量%がより好ましい。また、ガラス繊維布帛2の1枚の質量(g/m2)は、10〜120(g/m2)が好ましく、10〜60(g/m2)がより好ましく、10〜40(g/m2)がさらに好ましい。
前述のように、ガラス繊維布帛2は、少なくとも1層含まれていればよく、複数層含まれていてもよい。ここで、ガラス繊維布帛2を複数層含む場合、例えば図4に示されるように、ガラス繊維布帛2の厚み方向における中央部Nが、樹脂層3の厚み方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、樹脂層3の両表面側(図4の31側及び32側)にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されていることが好ましい。このように、2枚のガラス繊維布帛2が、それぞれ、樹脂層3の両表面側(図4の31側及び32側)に位置するように配されていることにより、樹脂層3の中央部分のみにガラス繊維布帛2が配置されている透明不燃性シートに比して、機械的強度(硬さ)をより高めることができ、さらに熱による反りもより効果的に抑制することができる。より具体的には、樹脂層3の表面からガラス繊維布帛2の中央部Nまでの最短距離L1と、樹脂層3の厚みL0とが、以下の式(I)の関係を充足することが好ましい。
0%<L1/L0×100<30% (I)
また、ガラス繊維布帛2は、式(I)の関係を充足するように、樹脂層3の両表面側にそれぞれ1枚ずつ含まれることが特に好ましい。さらに、上記L1と上記L0とは、10(%)<L1/L0×100<20(%)を満たすことがより好ましい。
また、ガラス繊維布帛2の厚み方向における中央部Nが、樹脂層3の厚み方向における中央部Mよりも表面側に位置するようにして、樹脂層3の両表面側にそれぞれガラス繊維布帛2が配置されている場合であって、さらに、透明不燃性シート1におけるガラス繊維布帛2の割合を20〜28(質量%)とし、かつ、後述のように、ガラス繊維布帛2の1枚の質量を10〜40(g/m2)とした場合は、透明不燃シート1の変形による透明性の低下が特に抑制されやすくなることも相俟って、透明性が特に優れたものとなる。
ガラス繊維布帛2の屈折率としては、好ましくは1.45〜1.65程度、より好ましくは1.50〜1.60程度が挙げられる。ガラス繊維布帛2の屈折率が1.45〜1.65程度となるガラス材料としては公知のものが使用でき、例えば、Eガラスは1.56程度、Sガラスは1.53程度、NEガラスは1.51程度、Cガラスは1.55程度である。前述の通り、ガラス繊維布帛2と前述の樹脂層3の屈折率の差の絶対値としては、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下、特に好ましくは0.01以下が挙げられる。
なお、ガラス繊維布帛2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維布帛を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、樹脂層3の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、樹脂層3を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
ガラス繊維布帛2の厚みとしては、例えば10〜100μm程度が挙げられ、透明性を高め、さらに、塩化ビニル樹脂フィルム等を積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果を維持しつつ、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に弛みの発生をより一層抑制する観点から、10〜55μmが好ましく、10〜35μm程度がより好ましい。ガラス繊維布帛2の厚みを10〜35μmとする場合、ガラス繊維布帛2は、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が38%以上であることが特に好ましい。10〜35μmの厚みであって、ガラス体積率が38%以上であるガラス繊維布帛2は、例えば、ガラス繊維に開繊処理を施すことにより得られる。
ガラス体積(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維布帛の質量(g/m2
B:ガラス繊維布帛を構成するガラス材料の比重(g/m3
C:ガラス繊維布帛の厚み(m)
[フィルム層4]
本発明の透明不燃性シート1は、不燃性を高めたり、機械的強度を高めることなどを目的として、必要に応じて、樹脂層3の上にフィルム層4をさらに有していてもよい。フィルム層4を構成する樹脂(樹脂フィルム)としては、例えば、本発明の透明不燃性シート1を防煙垂壁とする際に、現場で容易に加工し幅広いものとできやすくなるという観点から、超音波溶着加工を可能とする樹脂が好ましい。超音波溶着加工を可能とする樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。中でも、より不燃性を高めるという観点から、塩化ビニル樹脂とすることが特に好ましい。とりわけ、塩化ビニル樹脂が軟質塩化ビニル樹脂であると、シートとしたときに巻き取り可能となり、取扱い性が向上するため好ましい。上記軟質塩化ビニル樹脂としては、例えば、可塑剤の含有量が5〜60質量%、好ましくは11〜60質量%のものが挙げられる。本発明の透明不燃性シート1は、両面側にフィルム層4を有することが好ましい。
本発明の透明不燃性シート1がフィルム層4を有する場合、フィルム層4の厚みは、特に制限されず、例えば50〜200μm程度、好ましくは80〜150μm程度が挙げられる。
[網体層5]
本発明の透明不燃性シート1は、不燃性を高めたり、機械的強度を高めることなどを目的として、必要に応じて、樹脂層3とフィルム層4との間に、ガラス繊維網体からなる網体層5をさらに有していてもよい。網体層5を構成するガラス繊維網体としては、特に制限されず、例えばガラス繊維布帛2で例示したガラス繊維と同じガラス繊維の網体が例示できる。また、ガラス繊維網体の形状及び構造は、特に限定されず、ガラス繊維網体としては、例えば経糸2本の間に緯糸を挟み込んで樹脂で固定したガラス繊維直交積層ネットなどが挙げられる。網体層5においては、ガラス繊維間の開口幅を好ましくは3〜20mmに設定することにより、透明不燃性シート1の高い透明性を確保することができ、さらに、ガラス繊維間の開口を介して良好に採光でき、透明不燃性シート1全体の強度を高め得る。本発明の透明不燃性シート1は、不燃性を高めたり、機械的強度を高める観点から、両面側に網体層5を有することが好ましい。
本発明の透明不燃性シート1が網体層5を有する場合、網体層5の厚みは、特に制限されず、例えば50〜300μm程度、好ましくは100〜200μm程度が挙げられる。
[第2フィルム層]
また、本発明の透明不燃性シート1は、必要に応じて、フィルム層4の上にさらに第2フィルム層(図示していない)を積層することができる。特に、本発明の透明不燃性シート1を、テント屋根材等、膜材料として用いる場合、耐候性の観点から、第2フィルム層としてフッ素樹脂層を積層することが好ましい。フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/ペンタフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組わせて使用してもよい。これらのフッ素樹脂の中でも、本発明の透明不燃性シート1により一層優れた透明性と透光性を備えさせるという観点から、PVDFが特に好ましい。第2フィルム層としてフッ素樹脂とする場合、フッ素樹脂がより剥離しにくくするという観点から、フィルム層は塩化ビニル樹脂とすることが好ましい。すなわち、この場合、塩化ビニル樹脂層は、樹脂層3と第2フィルム層であるフッ素樹脂との接着層の役割を果たすこととなる。
第2フィルム層の1層あたりの質量としては、特に制限されるものではないが、透明性及び不燃性をより一層向上させるという観点から、例えば、22〜435g/m2が好ましく、22〜200g/m2がより好ましく、150〜200g/m2が更に好ましい。
また、第2フィルム層の厚さとしては、特に制限されるものではないが、例えば、透明性をより一層向上させ、且つ柔軟性を付与して折曲げ応力が繰り返し加わっても白化を抑制し優れた透明性をより維持し易くするという観点から、12.5〜500μmが好ましく、12.5〜250μmがより好ましい。
[透明不燃性シート1の透明性及び不燃性]
本発明においては、透明不燃性シート1を防煙垂壁、防煙シート、間仕切壁、防煙カーテン(例えば工場などで使用されるもの)、タッチパネルなどとして使用した際に、視野の妨げとなったり、美観を損ねることを抑制するために、高い透明性を有することが好ましい。高い透明性を担保する観点から、本発明の透明不燃性シート1の全光線透過率は、80%以上であり、好ましくは85%以上である。また、本発明の透明不燃性シート1のヘーズは、30%以下であり、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。透明不燃性シート1の全光線透過率及びヘーズは、それぞれ、JIS K7375 2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に従って測定して得られた値である。上記のように、全光線透過率をより高いものとしつつ、ヘーズをより小さいものとする方法としては、ガラス繊維布帛2の屈折率と樹脂層3の屈折率との差の絶対値をより小さいものとしたり、樹脂層3に含まれる飽和ポリエステル樹脂の前記溶液粘度を調整し含浸性をより高めたり、ガラス繊維布帛2を構成するガラス繊維の単繊維本数、単繊維直径、ガラスヤーンの番手等を調整したりすることが挙げられる。
本発明のシート1は、ガラス繊維布帛2を含むため、燃えにくい性質(不燃性)を備えることができる。なお、本発明のシート1の不燃性としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。不燃性をより一層向上させるためには、例えば、樹脂層3及び/又はフィルム層4、第2フィルム層において、難燃剤の添加や有機物量の減量等を行なえばよい。特に、本発明の透明不燃性シートを防煙垂壁とする場合は、透明性をより優れたものとしつつ、不燃性を一層優れたものとする観点から、(ガラス繊維布帛2/該ガラス繊維布帛2に含浸された状態で含まれる、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含む樹脂層3/塩化ビニル樹脂を含むフィルム層4)である積層構造とし、樹脂層3、フィルム層4全体の、透明不燃性シート1における質量割合(ガラス繊維布帛2の質量を除いた樹脂層3の質量(g/m2):フィルム層4全体の質量(g/m2))として、5:95〜15:85とすることが好ましく、7:93〜13:87とすることがより好ましい。
[透明不燃性シート1の製造方法]
本発明の透明不燃性シート1の製造方法としては、特に制限されず、例えば、次のような製造方法が挙げられる。まず、ガラス繊維布帛2と、樹脂層3を形成する樹脂を含む原料液を準備する。次に、ガラス繊維布帛2に前記原料液を塗布して含浸させた後、絞りローラー等を用いて厚さと樹脂の含有率とを調整する。次に、加熱により溶媒を蒸発させ、ガラス繊維布帛2に樹脂層3が含浸された本発明の透明不燃性シートが得られる。また、前記樹脂を含む原料液を塗布したポリエチレンテレフタレート等のフィルムを準備し、ガラス繊維布帛2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布帛2の両面側から樹脂を含浸させ、溶媒を蒸発させた後、フィルムを剥離することにより、ガラス繊維布帛2に樹脂層3が含浸された本発明の透明不燃性シートを得ることもできる。
[用途]
本発明の透明不燃性シートは、防煙垂壁用、防煙シャッター用、防煙カーテン用、間仕切壁用、または膜材料用に用いることができる。特に、本発明の透明不燃シートは、塩化ビニル樹脂フィルムを積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制できることから、防煙垂壁用、特にテンション式防煙垂壁用として、好適に用いることができる。本発明において、テンション式防煙垂壁とは、2対の方立の間に透明不燃性シートが張設されてなる垂壁であり、例えば、天井に垂下されて設置される場合の透明不燃性シートの下部側に無目を有さない防煙垂壁が挙げられる。さらにこの場合、2対の方立の間に張設されてなる透明不燃性シートの幅方向の長さ(すなわち、2対の方立間の距離)としては、例えば1〜25mが挙げられ、5〜20mが好ましく挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
1.飽和ポリエステル樹脂
(1)飽和ポリエステル樹脂の組成
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定をおこなって、それぞれのモノマー成分のピーク強度から飽和ポリエステル樹脂の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(2)飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
飽和ポリエステル樹脂をJIS−K 7121に従って、入力補償型示走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、−50℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間点をガラス転移温度(Tg)として求めた。
(3)飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量
送液ユニット(島津製作所社製LC−10ADvp型)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製SPD−6AV型)を用い、GPC分析により、ポリスチレン換算で飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量を求めた。なお、GPC分析条件としては、検出波長を254nmとし、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた。
(4)酸価
末端の酸無水物基が開環している状態における酸価を測定した。得られた飽和ポリエステル共重合体を溶媒(ジメチルスルホキシド)で洗浄後、0.5g精秤し、50mlのジオキサン水溶液[(ジオキサン)/(水)=9/1](体積比)に対して、150℃で40分間溶解をおこなった。このとき、末端の酸無水物基が開環すると推測される。そして、室温まで冷却した後、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、飽和ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価として求めた。
(5)溶液粘度
トルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に、溶液中の濃度が20質量%となるようにして飽和ポリエステル樹脂を溶かし、得られた溶液の粘度を、測定温度25℃、回転数60rpm、ロータNo.1の条件で、B型粘度計(東京計器株式会社社製のBL型)を用いて測定した。
2.飽和ポリエステル樹脂の調製
[飽和ポリエステル樹脂A]
テレフタル酸83g(50モル部)、イソフタル酸83g(50モル部)、エチレングリコール42g(67モル部)、ネオペンチルグリコール71g(68モル部)、および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を250℃とし系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10-5Pa)に到達してから、さらに3.0時間重合反応をおこない、ポリエステル樹脂Aを得た。
[ポリエステル樹脂B〜I]
ポリエステル樹脂の仕込組成を表1、2のように変更した以外は、調製例1と同様の操作をおこない、ポリエステル樹脂B〜Iを得た。得られたポリエステル樹脂A〜Iにおける、モノマーの仕込組成及び最終組成を表1に示す。
なお、表1中における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SEA:セバシン酸
ADA:アジピン酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
BEPG:2,2−ブチルエチルプロパンジオール
BAEO:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体
PG:1,2−プロピレングリコール
3.シートの製造
ガラス繊維布帛として、表2に記載の市販のガラス繊維布帛(ガラス材料:Eガラス、比重2.54g/cm3)を200mm×200mmに裁断して用いた。なお、表1において、「E03R SK」は、それぞれ、ユニチカ株式会社製のEガラス繊維織物の商品名である。Eガラス繊維織物には、有機物を除去するための熱処理と、シランカップリング剤による表面処理が施されている。なお、実施例1〜7、比較例1、2で使用したガラス材料は、上記のガラス体積率が39.4%であった。
フィルム層を形成する樹脂としては、表2の組成となるようにして、塩化ビニル樹脂フィルム(オカモト株式会社製、商品名一般用PVC #320、厚さ100μm)を使用した。
<実施例1>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Aをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20質量%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂A)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂A)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂A)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂A)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂A)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は4690(等量/t)であった。
<実施例2>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Bをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂B)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂B)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂B)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂B)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂B)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は4144(等量/t)であった。
<実施例3>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Cをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂C)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂C)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂C)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂C)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂C)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は4916(等量/t)であった。
<実施例4>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Dをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂D)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂D)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂D)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂D)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂D)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は3154(等量/t)であった。
<実施例5>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Eをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂E)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂E)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂E)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂E)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂E)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は5530(等量/t)であった。
<実施例6>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Fをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は4087(等量/t)であった。
<実施例7>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Gをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂G)とを含む、本発明の透明不燃性シートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂F)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、本発明の透明不燃性シートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂G)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂G)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂G)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は5097(等量/t)であった。
<比較例1>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Hをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂H)とを含む比較例のシートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂H)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、比較例のシートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂H)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂H)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂H)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は6264(等量/t)であった。
<比較例2>
まず、離型用のPTFEシート上に、得られた飽和ポリエステル樹脂Iをトルエン/MEK混合溶媒(比率5/5)に固形分20%になるように溶解させた溶液を、150g/m2塗布した。次に、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液の上に、表2に記載のガラス繊維布帛を載せ、1分間静置してガラス繊維布帛の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、塗布した飽和ポリエステル樹脂溶液中の溶媒を揮発させるため、乾燥機にて70℃で8分間、120℃で8分間の2段階で加熱処理を行い、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂を皮膜化した。その後PTFEシートを剥離し、ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂I)とを含む、比較例のシートを得た。次いで、皮膜化した飽和ポリエステル樹脂の両面を、上述した塩化ビニル樹脂フィルム2枚で挟み、加熱プレス機で、温度150℃、プレス圧10kgf/cm2、時間5分の条件でプレスし、ガラス繊維布帛に含浸した飽和ポリエステル樹脂層と塩化ビニル樹脂フィルムを接着させ、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された樹脂層(飽和ポリエステル樹脂I)と、該樹脂層の表面にフィルム層(塩化ビニル樹脂)が積層された積層構造(図2を参照)である、比較例のシートを得た。
得られたシートにおいて、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂I)の質量は30g/m2、厚さ(L0)は60μmであった。また、得られたシートにおいて、ガラス繊維布帛のガラス繊維間の隙間には、樹脂層(飽和ポリエステル樹脂I)が含浸されており、ガラス繊維布帛の層の両面上には樹脂層(飽和ポリエステル樹脂I)が形成されていた。また、得られたシート中の樹脂層の組成は表2に示すものであり、芳香族濃度は2594(等量/t)であった。
4.シートの性能評価
(全光線透過率及びヘーズ)
JIS K7361−1 1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に従って測定した。また、ヘーズはJIS K7136 2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に従って測定した。結果を表2に示す。
(不燃性の評価)
実施例1〜7及び比較例1、2で得られた各シートを用い、建築基準法第2条第9号および建築基準法施行令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験をおこない、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下であるものについて、評価を○とした。結果を表2に示す。
(シートを枠体に取り付ける際に発生する弛みの評価)
実施例1〜7及び比較例1、2で得られた各シートを長さ500mm角の枠の上に置いた時に発生する弛みの状況を下記の基準により評価した。○以上を合格とした。結果を表2に示す。
◎・・・たるみの発生が全くなかった。
○・・・わずかにたるみが発生したが、実用上問題ないレベルであった。
△・・・たるみが発生し、実用上やや問題のあるレベルであった。
×・・・たるみが顕著に発生し、実用上問題のあるレベルであった。
(張力をかけた場合に発生する白い筋の評価)
実施例1〜7及び比較例1、2で得られた各シートを長さ250mm、幅50mmのサイズにカットし、カットした各シートに対して引張試験機(INTESCO社製装置名2100型)を用いて300Nの荷重を5秒間かけたときの白い筋の発生状況を下記基準により評価した。結果を表2に示す。
◎・・・白い筋の発生が全く見られなかった。
○・・・わずかに白い筋が発生したが、実用上問題ないレベルであった。
△・・・白い筋の発生がやや多く、実用上やや問題のあるレベルであった。
×・・・白い筋の発生がかなり多く、実用上問題のあるレベルであった。
実施例1〜7のシートは、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含むものであったことから、可塑剤のブリードによるシートの透明性の低下を抑制でき、例えば、防煙垂壁として枠体に取り付ける際に発生する弛みを抑制し、塩化ビニル樹脂フィルムを積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制することのできるものであった。特に、実施例1、3、5及び7のシートは、芳香族濃度が4500〜5700等量/tであったことから、防煙垂壁として枠体に取り付ける際の弛みを抑制する効果と、塩化ビニル樹脂フィルムを積層し張力をかけた場合に白い筋の発生を抑制する効果とを維持しつつ、シートのヘーズをより一層小さいものとし、透明性により一層優れるものであった。
また、実施例1〜7のシートは、樹脂層に含まれる飽和ポリエステル樹脂がテレフタル酸及びエチレングリコールに加えて、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、(水素化)ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレングリコール(1,2−PG)からなる群より選ばれる1種以上の成分を含み、飽和ポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸成分と全ジオール成分との合計量を100モル%とした場合の、テレフタル酸とエチレングリコールの合計量の割合が20〜70モル%であったことから、飽和ポリエステル樹脂の溶剤への溶解性が特に優れ、ガラス繊維布帛2への含浸性が特に優れて、得られるシートの透明性をより向上させるものであった。
一方、比較例1のシートは、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層が、芳香環濃度が5700等量/tを超える飽和ポリエステル樹脂を含むものであったことから、塩化ビニル樹脂フィルムを積層し張力をかけた場合に白い筋の発生が多いものであった。また、比較例2のシートは、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層が、芳香環濃度が3000等量/t未満の飽和ポリエステル樹脂を含むものであったことから、弛みの発生が多いものであった。なお、実施例1〜7、比較例1、2において、塩化ビニル樹脂フィルムを積層する前の、ガラス繊維布帛と、ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層(飽和ポリエステル樹脂)とを含むシートについて、上記不燃性の評価は○であった。
1…透明不燃性シート
2…ガラス繊維布帛
3…樹脂層
31,32…樹脂層の表面
4…フィルム層
5…網体層

Claims (10)

  1. ガラス繊維布帛と、前記ガラス繊維布帛に含浸された状態で含まれる樹脂層とを含む透明不燃性シートであって、
    前記樹脂層が、芳香環濃度が3000〜5700等量/tである飽和ポリエステル樹脂を含む、
    透明不燃性シート。
  2. 溶液中の濃度が20質量%となるようにして、前記飽和ポリエステル樹脂をトルエン/MEK混合溶媒(質量比率5/5)に溶かしたときの溶液粘度が10〜100mPa・sである、請求項1に記載の透明不燃性シート。
  3. 前記樹脂層の少なくとも一方の面側に、フィルム層をさらに有する、請求項1または2に記載の透明不燃性シート。
  4. 前記フィルム層が超音波溶着を可能とする樹脂を含む、請求項に記載の透明不燃性シート。
  5. 前記フィルム層が塩化ビニル樹脂を含む、請求項3又は4に記載の透明不燃性シート。
  6. 前記透明不燃性シートにおいて、前記ガラス繊維布帛の質量と前記樹脂層の質量との合計量中の前記ガラス繊維布帛の質量の合計割合が、20〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  7. 前記透明不燃性シートの全光線透過率が80%以上であり、
    前記透明不燃性シートのヘーズが30%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  8. 前記透明不燃性シートが、防煙垂壁用、防煙シャッター用、防煙カーテン用、間仕切壁用、または膜材料用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シートを備える、防煙垂壁。
  10. 前記防煙垂壁がテンション式防煙垂壁である、請求項9に記載の防煙垂壁。
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