JP6470454B1 - 透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法 - Google Patents

透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】線入磨き板ガラスと同等の仕上がり性を満足し、施工作業性がより向上した透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法の提供。
【解決手段】臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第1ポリカーボネートシート層1と、第1ポリカーボネートシート層1に積層され、目付が20g/m2〜95g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層2と、硬化樹脂組成物層2に積層され、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第2ポリカーボネートシート層3と、を備える積層体10からなり、厚さが300μm〜400μmである、透明不燃シート20。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法に関する。
建物の天井に設置され、火災時の煙の流動や拡散を防止する防煙垂壁として、金属線がガラスの間に配置された線入磨き板ガラス等が用いられてきた。防煙垂壁を構成するこのようなガラスは、落下によるけが等が発生するおそれや、衝撃を受けた場合に割れるおそれがある。また、線入磨き板ガラスは、設置されるオフィスや店舗の美観を損なうことのないよう、ガラスの両面が平面となるように研磨されているため、高価である。さらに、線入磨き板ガラスそのものが重いため、防煙垂壁としてオフィス等の天井へ施工するにあたり、施工作業者の作業負担が大きいという問題があった。
このような線入磨き板ガラス製の防煙垂壁の問題点を解消するものとして、ガラス繊維織物を硬化性樹脂板の内部に配置した透明不燃性シートが提案されている(例えば特許文献1、2)。不燃性能を満足することにより、火災による被害拡大を抑制するための防煙垂壁等にも適用することができる。
特開2005−319746号公報 特開2011−84070号公報
従来の透明不燃シートとしては、例えばガラス繊維織物に含侵された硬化樹脂組成物層の表面および裏面を、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性フィルムでラミネートした積層体としたものが挙げられる。
しかしながら、このような透明不燃シートは、不燃性能を満足するために総発熱量等を抑える必要があった。そのため、ポリカーボネートを使用した場合、熱可塑性フィルムの膜厚は100μmを越えると不燃性能を満足することはできず、透明不燃シートとしての膜厚は270μm程度であった。また、ポリエチレンテレフタレートを使用した場合、熱可塑性フィルムの膜厚は75μmを越えると不燃性能を満足することはできず、透明不燃シートとしての膜厚は220μm程度であった。
透明不燃シートを防煙垂壁として使用する場合、額縁のようにシートの4辺をアルミフレーム等で保持してから天井等へ施工することが一般的に行われている。
しかしながら、上記のとおり従来の透明不燃シートの膜厚は最大でも270μmであるため、厚みが薄いことにより、既存の線入磨き板ガラスを使用した場合には生じないしわやたるみが発生しやすく、施工作業性や仕上がり性に不具合が生じるおそれがあった。
上記問題点に鑑み、本発明は、線入磨き板ガラスと同等の仕上がり性を満足し、施工作業性がより向上した透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の透明不燃シートは、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第1ポリカーボネートシート層と、前記第1ポリカーボネートシート層に積層され、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層と、前記硬化樹脂組成物層に積層され、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体からなり、厚さが300μm〜400μmである。
前記第1ポリカーボネートシート層および/または前記第2ポリカーボネートシート層は、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分としてもよい。
前記硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物を含んでもよい。
前記硬化樹脂組成物層はエポキシ系シランカップリング剤を含み、前記硬化樹脂組成物層は前記第1ポリカーボネートシート層に直接積層され、前記第2ポリカーボネートシート層は前記硬化樹脂組成物層に直接積層されてもよい。
前記硬化樹脂組成物は前記ガラス繊維と隙間なく一体化していることにより、前記ガラス繊維は透明であり視認できないものであってもよい。
全光線透過率が88%以上であり、ヘイズが1.0%以下であってもよい。
前記第1ポリカーボネートシート層の屈折率と前記硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下であり、前記第2ポリカーボネートシート層の屈折率と前記硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下であってもよい。
前記硬化樹脂組成物の屈折率と前記ガラス繊維織物の屈折率との差が、0.02以下であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の防煙垂壁は、上記のいずれかに記載の透明不燃シートを備える。
また、上記課題を解決するために、本発明の透明不燃シートの製造方法は、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を用いて臭素を5質量%〜20質量%含有するポリカーボネートシートを形成するシート化工程と、前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第1ポリカーボネートシートとし、前記第1ポリカーボネートシートの一方の面に、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂およびエポキシ系シランカップリング剤を含み、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層を形成する硬化性樹脂組成物層形成工程と、前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第2ポリカーボネートシートとし、前記硬化性樹脂組成物層に、前記第2ポリカーボネートシートを積層する積層工程と、
前記硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含む。
前記硬化性樹脂組成物層形成工程は、前記硬化性樹脂組成物を第1プロセスフィルムに塗付する段階と、さらに前記硬化性樹脂組成物へガラス繊維織物を載せて、当該硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させる段階と、その後、前記硬化性樹脂組成物の上に第2プロセスフィルムを載せる段階と、を含み、前記硬化工程は、前記第1プロセスフィルムと前記第2プロセスフィルムに挟まれた前記硬化性樹脂組成物を硬化させる段階を含み、前記硬化工程後に、硬化した前記硬化性樹脂組成物の両面から前記第1プロセスフィルムおよび前記第2プロセスフィルムを剥がしてから、前記第1ポリカーボネートシートの一方の面に、前記硬化性樹脂組成物層を形成してもよい。
前記硬化性樹脂組成物層形成工程は、含浸により前記硬化性樹脂組成物と前記ガラス繊維とを隙間なく一体化させて、前記ガラス繊維を透明にして視認できない状態とする工程であってもよい。
本発明によれば、線入磨き板ガラスと同等の仕上がり性を満足し、施工作業性がより向上した透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法を提供することができる。
また、本発明によって、UL94V規格に基づく垂直燃焼性試験におけるV−0基準を満たし、ガラス同等の視認性を満足する透明不燃シートを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る透明不燃シートの断面を示す模式図である。 文字の視認性の評価方法を説明する図である。
以下、本発明に係る透明不燃シート、防煙垂壁および透明不燃シートの製造方法について説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
[透明不燃シート]
透明不燃シートは、第1ポリカーボネートシート層と、硬化樹脂組成物層と、第2ポリカーボネートシート層とを備える積層体からなり、厚さが300μm〜400μmである。
透明不燃シートの厚さが300μm〜400μmであることにより、従来よりも厚膜のシートであるため、アルミフレーム等で保持しても、しわやたるみが生じることがなく、施工作業性や仕上がり性を満足する。また、このような厚膜のシートであっても軽量であるため、線入磨き板ガラス等を施工するよりも、施工負担が軽くなる。
(第1ポリカーボネートシート層)
第1ポリカーボネートシート層は、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである。施工作業性や仕上がり性を満足するべく、透明不燃シートの厚さを300μm〜400μmとするために、第1ポリカーボネートシート層の厚さを100μm〜150μmに設定する。このように、ポリカーボネートシート層の厚みが十分にあることにより、透明性を上げることができる。
ポリカーボネートのみを厚さが100μm〜150μmのシートへシート化した場合、総発熱量等が高くなることにより、コーンカロリーメータ等を用いた評価において、透明不燃シートは不燃性能を満足することができない。ただし、第1ポリカーボネートシート層が、難燃剤としての機能を発揮する臭素を5質量%〜20質量%含有することにより、厚さが100μm〜150μmであっても、透明不燃シートとして不燃性能を満足することができる。
(硬化樹脂組成物層)
硬化樹脂組成物層は、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む。ガラス繊維織物は、不燃性能として要求される、防炎上有害な裏面にまで貫通する亀裂および穴がないことを満足するために用いられる。ガラス繊維織物の目付が少ないと、コーンカロリーメータ試験において透明不燃シートが縮む等の変形が生じて不燃性能を満足しないおそれがある。また、目付が多いと、透明不燃シートの透明性に問題が生じるおそれがある。そこで、ガラス繊維織物の目付を30g/m2〜80g/m2とすることにより、不燃性能および透明性を満足することができる。
ガラス繊維織物としては、透明不燃シートが透明性および不燃性能を満足することができれば、特に限定されない。例えば、直径4.5μm〜8.0μmのガラス糸を約200本束ねて厚みが50μm〜70μmとなったガラス繊維を、織物に加工したものをガラス繊維織物として用いることができる。
また、硬化樹脂組成物は、難燃剤としての機能を発揮する臭素を10質量%〜30質量%含有することにより、総発熱量を抑えることができることで、厚膜であっても透明不燃シートとして不燃性能を満足することができる。
前記硬化樹脂組成物が含有する臭素としては、透明不燃シートの透明性および不燃性能を満足することができるものであれば、特に限定はない。例えば、難燃剤としての機能を発揮する臭素系の無機化合物や有機化合物を、エポキシやウレタン、メラミン系の硬化性樹脂等と混合し、硬化させたものを硬化樹脂組成物として用いることができる。特には、硬化性樹脂であるエポキシ樹脂のうち、ビスフェノールAに臭素が付加したテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物を含むことが好ましい。
また、硬化樹脂組成物は、上記の他、屈折率の調整やその他の性能を向上させるために、屈折率を調整するための樹脂、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤等を含むことができる。
透明不燃シートにおいて、前記第1ポリカーボネートシート層と前記硬化樹脂組成物層との接着や、前記硬化樹脂組成物層と第2ポリカーボネートシート層との接着をするために、接着剤層を備えることができる。ただし、前記硬化樹脂組成物層がエポキシ系シランカップリング剤を含むことにより、ポリカーボネートとの密着性が向上するため、接着剤層を不要とし、接着剤のコストや塗付の手間を省くことができる。
例えば、前記第1ポリカーボネートシート層と前記硬化樹脂組成物層との接着には接着剤を使用し、前記硬化樹脂組成物層と第2ポリカーボネートシート層との接着は前記エポキシ系シランカップリング剤による直接接着とすることができる。また、前記第1ポリカーボネートシート層と前記硬化樹脂組成物層との接着は前記エポキシ系シランカップリング剤による直接接着とし、前記硬化樹脂組成物層と第2ポリカーボネートシート層との接着には接着剤を使用することができる。
好ましくは、前記硬化樹脂組成物層はエポキシ系シランカップリング剤を含み、前記硬化樹脂組成物層は前記第1ポリカーボネートシート層に直接積層され、前記第2ポリカーボネートシート層は前記硬化樹脂組成物層に直接積層される構成とすることができる。このようにすれば、接着剤のコストや塗付の手間は不要となる。
用いることのできるエポキシ系シランカップリング剤としては、第1ポリカーボネートシート層と硬化樹脂組成物層または第2ポリカーボネートシート層と硬化樹脂組成物層との密着性を向上させることができれば、特に限定されない。例えば、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤を単独または併用して用いることができる。
前記硬化樹脂組成物は前記ガラス繊維織物と隙間なく一体化していることにより、前記ガラス繊維織物は透明であり視認できないものであることが好ましい。ガラス繊維織物は、その繊維表面が平滑ではない場合があり、微細な凹凸があることで入射する光が散乱し、ガラス繊維織物は単体では白く視認されるものである。ただし、ガラス繊維織物と略同一の屈折率を有する硬化樹脂組成物が、ガラス繊維織物へ浸透することにより、その表面と空気等の混入がなく、隙間なく一体化すれば、微細な凹凸へ硬化樹脂組成物が浸透して入射する光の散乱を抑えることができる。その結果として、ガラス繊維織物が透明となり視認できなくなり、磨き板ガラスと同等の視認性を確保することができ、透明不燃シート越しの景色が、あたかも透明不燃シートが存在しないかのように、何らの違和感もなく見ることができる。
(第2ポリカーボネートシート層)
第2ポリカーボネートシート層は、第1ポリカーボネートシート層と同様に、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである。施工作業性や仕上がり性を満足するべく、透明不燃シートの厚さを300μm〜400μmとするために、第1ポリカーボネートシート層と同様に、第2ポリカーボネートシート層の厚さを100μm〜150μmに設定する。このように、ポリカーボネートシート層の厚みが十分にあることにより、透明性を上げることができる。
ポリカーボネートのみを厚さが100μm〜150μmのシートへシート化した場合、総発熱量等が高くなることにより、コーンカロリーメータ等を用いた評価において、透明不燃シートは不燃性能を満足することができない。ただし、第1ポリカーボネートシート層と同様に、第2ポリカーボネートシート層が、難燃剤としての機能を発揮する臭素を5質量%〜20質量%含有することにより、厚さが100μm〜150μmであっても、透明不燃シートとして不燃性能を満足することができる。
なお、透明不燃シートとしての透明性や不燃性能を満足すれば、第2ポリカーボネート層の臭素含有量や厚さは、第1ポリカーボネートと同じでも異なってもよい。
第1ポリカーボネートシート層と、前記第1ポリカーボネートシート層に積層される硬化樹脂組成物層と、前記硬化樹脂組成物層に積層される第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体であれば、硬化樹脂組成物層の両面にある第1ポリカーボネートシート層と第2ポリカーボネートシート層が硬化樹脂組成物層を保護する保護フィルムとしての役割を果たし、防煙垂壁に好適な透明不燃シートとなる。
第1ポリカーボネートシート層や第2ポリカーボネートシート層が含有する臭素としては、透明不燃シートの透明性および不燃性能を満足することができるものであれば、特に限定はない。例えば、難燃剤としての機能を発揮する臭素系の無機化合物や有機化合物を、ポリカーボネートと混合し、シート化したものを第1ポリカーボネートシート層や第2ポリカーボネートシート層として用いることができる。特には、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とし、前記第1ポリカーボネートシート層および/または前記第2ポリカーボネートシート層とすることが好ましい。
透明不燃シートは、全光線透過率が88%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることが好ましい。これらの光学特性を満足すれば、磨き板ガラスと同等の視認性を確保することができ、透明不燃シート越しの景色が、あたかも透明不燃シートが存在しないかのように、何らの違和感もなく見ることができる。
第1ポリカーボネートシート層の屈折率と硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下であり、第2ポリカーボネートシート層の屈折率と硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下であることが好ましい。透明不燃シートの透明性を上記のように光学特性で定義することもできるが、このような屈折率差でも透明性を定義することができる。これらの屈折率差であることにより、磨き板ガラス等と同等の視認性を確保することができ、透明不燃シート越しの景色が、あたかも透明不燃シートが存在しないかのように、何らの違和感もなく見ることができる。
また、透明不燃シートにおいて、前記硬化樹脂組成物の屈折率と前記ガラス繊維織物の屈折率との差が、0.02以下であることが好ましい。透明不燃シートの透明性を上記の光学特性や屈折率差で定義することもできるが、硬化樹脂組成物の屈折率とガラス繊維織物の屈折率との差によっても透明性を定義することができる。かかる屈折率との差であることにより、磨き板ガラスと同等の視認性を確保することができ、透明不燃シート越しの景色が、あたかも透明不燃シートが存在しないかのように、何らの違和感もなく見ることができる。
(その他の構成)
前記積層体は、上記の構成に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、上記のように、前記第1ポリカーボネートシート層と前記硬化樹脂組成物層を接着する第1接着剤層や、前記硬化樹脂組成物層と第2ポリカーボネートシート層を接着する第2接着剤層を備えることができる。また、透明不燃シートを施工するまでに傷や汚れが生じないよう、第1ポリカーボネートシート層や第2ポリカーボネートシート層の表面に保護用の紙やフィルムを積層することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る透明不燃シートの断面を示す模式図である。透明不燃シート20は、第1ポリカーボネートシート層1と、硬化樹脂組成物層2と、第2ポリカーボネートシート層3とが積層した積層体10を備える。硬化樹脂組成物層2は、ガラス繊維織物2aと、ガラス繊維織物2aに含浸された硬化樹脂組成物2bを含む。
上記した本発明の透明不燃シートであれば、透明性と不燃性能を満足することができる。特に、不燃性能については、建築基準法の不燃材料等の評価として用いられるコーンカロリーメータ(ISO 5660−1)による発熱性試験により、不燃材料に要求される性能を満たすものである。
(UL94V規格)
そして、本発明の透明不燃シートは、コーンカロリーメータによる不燃材料の要求を満足するのみならず、さらに、UL94V規格によりV−0の判定基準を満たすものである。UL規格は、プラスチック材料の燃焼性試験で、材料の燃えにくさの度合いを示す規格である。
コーンカロリーメータによる発熱性試験は、試験対象を平置きして評価を行うものである。ただし、透明不燃シートは、シート面が水平方向を向く平置きの状態で使用される場合もあるが、防煙垂壁、間仕切り、シートシャッターまたは透明ブラインド等にも応用することができるものであり、透明不燃シートの面が鉛直方向に面し、厚み方向が水平方向に向かう、すなわち垂直に保持される状態で使用される場合も多い。
このように、透明不燃シートが垂直に保持された場合には、コーンカロリーメータによる不燃材料の要求を満足するシートであっても、シートの下端に炎が接炎することにより着火し、自然には鎮火せずに延焼する場合がある。
本発明の透明不燃シートであれば、UL規格による垂直燃焼試験によりV−0の性能を満足する。したがって、平置きの状態で使用される場合のみならず、垂直に保持されて使用される場合であっても、接炎により延焼しないシートである。
[透明不燃シートの製造方法]
透明不燃シートの製造方法は、シート化工程と、硬化性樹脂組成物層形成工程と、積層工程と、硬化工程とを含む。
(シート化工程)
シート化工程は、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を用いて臭素を5質量%〜20質量%含有するポリカーボネートシートを形成する工程である。この工程により、例えば、厚さが100μm〜150μmである第1ポリカーボネートシートや、厚さが100μm〜150μmである第2ポリカーボネートシートを形成することができる。
テトラブロモビスフェノールA誘導体としては、透明不燃シートとしての性能を満足できるものであれば、特に限定されない。例えば、テトラブロモビスフェノールAジメチルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジブロモプロピルエーテル、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA臭素化エポキシオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA炭酸塩オリゴマー、またはこれらのモノマーやオリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、これらの誘導体は、荷姿として固体であってもよく、液状であってもよい。
また、ポリカーボネートシートにおけるポリカーボネートとテトラブロモビスフェノールA誘導体の含有比は、ポリカーボネートシートとして臭素を5質量%〜20質量%含有すれば、特に限定されない。
シート化する手法は、上記のポリカーボネートシートを形成することができれば特に限定されない。例えば、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を溶融混練してペレット化した後、押出機に供給してシート化する方法が挙げられる。また、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体の混合のみ行って混合物を得た後、この混合物を押出機に直接供給して押出機内で溶融混練してシート化する方法も行うことができる。
(硬化性樹脂組成物層形成工程)
硬化性樹脂組成物層形成工程は、前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第1ポリカーボネートシートとし、前記第1ポリカーボネートシートの一方の面に、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂およびエポキシ系シランカップリング剤を含み、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層を形成する工程である。
硬化性樹脂組成物層の形成方法は、特に限定されない。例えば、前記硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させ、その後、ガラス繊維織物を第1ポリカーボネートシートに積層することによって、形成することができる。また、ガラス繊維織物を第1ポリカーボネートシートの一方の面に乗せたのち、ガラス繊維織物に硬化性樹脂組成物を塗付して含浸させることにより、形成することができる。さらに、第1ポリカーボネートシートの一方の面に硬化性樹脂組成物を塗付した後、そこへガラス繊維織物を載せて硬化性樹脂組成物を含浸させることにより、形成することができる。
ガラス繊維織物およびエポキシ系シランカップリング剤については、上記透明不燃シートの項目において説明したものを用いることができる。
テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、透明不燃シートの透明性や不燃性能を満足するものであれば、特に限定されない。例えば、エポキシ等量150〜800の樹脂を用いることができる。
テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物として臭素を10質量%〜30質量%含有する量を含めることができれば、特に限定されない。
硬化性樹脂組成物層は、硬化性樹脂組成物の他、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂を硬化させる光重合開始剤等を含むことができる。また、屈折率の調整やその他の性能を向上させるために、屈折率を調整するための樹脂、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤等を含むことができる。
また、光重合開始剤としては、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂と相溶し、これを硬化させることができれば、特に限定されない。例えば、トリアリールスルホニウム塩系の光カチオン重合開始剤等を用いることができる。
前記硬化性樹脂組成物層形成工程は、含浸により前記硬化性樹脂組成物と前記ガラス繊維とを隙間なく一体化させて、前記ガラス繊維を透明にして視認できない状態とする工程とすることが好ましい。ガラス繊維織物は、その繊維表面が平滑ではない場合があり、微細な凹凸があることで入射する光が散乱し、ガラス繊維織物は単体では白く視認される場合がある。ただし、含浸により硬化性樹脂組成物がガラス繊維織物へ浸透することにより、その表面と空気等の混入がなく、隙間なく一体化すれば、微細な凹凸へ硬化樹脂組成物が浸透して、ガラス繊維織物に入射する光が散乱することを抑えることができる。その結果として、ガラス繊維織物が透明となり視認できなくなり、磨き板ガラスと同等の視認性を確保することができ、透明不燃シート越しの景色が、あたかも透明不燃シートが存在しないかのように、何らの違和感もなく見ることができる。
例えば、硬化性樹脂組成物として液状のものを基本とし、粘度の調製や、湿潤剤や消泡剤等の添加剤を添加することにより、ガラス繊維への浸透性を高め、繊維中に含まれていた空気等が硬化性樹脂組成物層から抜けやすくなり、泡かみのない層とすることができることで、磨き板ガラスと同等の視認性を確保することができる。
(積層工程)
積層工程は、前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第2ポリカーボネートシートとし、前記硬化性樹脂組成物層に、前記第2ポリカーボネートシートを積層する工程である。
積層工程は、第2ポリカーボネートシートを積層することができ、透明不燃シートの透明性や不燃性能を満足することができれば、特に限定されない。例えば、硬化性樹脂組成物層に第2ポリカーボネートシート層を重ね、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないように加圧する工程を、積層工程とすることができる。
(硬化工程)
硬化工程は前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程である。例えば、光重合開始剤を用いる場合には、前記透明不燃シート中間体に紫外線等の光を照射させて、硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。
なお、硬化工程は、積層工程後に行ってもよく、積層工程前に行ってもよい。例えば、硬化性樹脂組成物層形成工程後に硬化工程を行い、硬化した層に接着剤等で第2ポリカーボネートシートを積層することができる。
本発明では、硬化性樹脂組成物層を形成するにあたり、プロセスフィルムを用いてもよい。例えば、硬化性樹脂組成物を第1プロセスフィルムに塗付する段階と、さらに硬化性樹脂組成物へガラス繊維織物を載せて、当該硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させる段階と、その後、硬化性樹脂組成物の上に第2プロセスフィルムを載せる段階と、を行ってよい。このようにして、硬化性樹脂組成物を、第1プロセスフィルムと第2プロセスフィルムに挟んだ後、硬化性樹脂組成物を硬化させてもよい。そして、硬化性樹脂組成物を硬化させた後に、硬化性樹脂組成物の両面から第1プロセスフィルムおよび第2プロセスフィルムを剥がして硬化性樹脂組成物層とし、それから、第1ポリカーボネートシートの一方の面に、硬化性樹脂組成物層を形成してもよい。
このように、プロセスフィルムを用いることにより、表面のより平滑な硬化性樹脂組成物層を形成することができる。プロセスフィルムとしては、例えば、UV透過性を満足し、硬化性樹脂組成物の硬化を阻害しないポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることができる。
(その他の工程)
透明不燃シートの製造方法は、上記の工程に加え、さらに他の工程を含んでもよい。例えば、上記の積層工程の前に、圧着作業等によって第1ポリカーボネートシートや第2ポリカーボネートシートの表面に傷や汚れ等が付着しないよう、これらの表面にプロセスフィルムを貼り付ける工程や、上記の硬化工程後にプロセスフィルムを剥離する工程を含めることができる。また、プロセスフィルムを用いない場合であっても、透明不燃シートを施工するまでに傷や汚れが生じないよう、第1ポリカーボネートシート層や第2ポリカーボネートシート層の表面に保護用の紙やフィルムを積層する工程を含めることができる。さらに、透明不燃シートを所定の幅に切断するトリマー工程や、所定の長さに調製する切断工程等を含むことができる。
本発明の透明不燃シートについて、その製造方法は特に制限されないが、例えば上記した本発明の製造方法により製造することができる。
[防煙垂壁]
上記した本発明の透明不燃シートは、透明性と不燃性能が要求される用途に好適に用いることができる。例えば、ガラスの代替品として適用可能であり、透明不燃シートの4辺をアルミフレーム等で保持して防煙垂壁とし、天井等へ施工することができる。
また、本発明の透明不燃シートは、防煙垂壁の他、間仕切り等にも応用することができる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[透明不燃シートの製造]
〈実施例1〉
臭素含有量20質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、FR−60(SABIC社製)を第1ポリカーボネートシートとした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した(硬化性樹脂組成物層形成工程)。なお、表1に示すように、光硬化性樹脂組成物には、ガラス繊維織物の屈折率にあわせるべく、水添BFA型エポキシ樹脂が配合された。そして、光重合開始剤として、スルホニウム塩系光酸発生剤が配合された。また、ポリカーボネート層との密着性を向上させるべく、モノエポキシアルコキシシランが配合された。
次に、第1ポリカーボネートシートと同様のFR−60を第2ポリカーボネートシートとし、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した(積層工程)。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
積層工程後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの実施例1の透明不燃シートを製造した。
Figure 0006470454
〈実施例2〉
臭素含有量10質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、PCF−10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートとした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、第1ポリカーボネートシートと同様のPCF−10を第2ポリカーボネートシートとし、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラー加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの実施例2の透明不燃シートを製造した。
〈実施例3〉
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をプロセスフィルムとして使用し、プロセスフィルムの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
上記と同様のプロセスフィルムを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、プロセスフィルムとの層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。
ローラーで加圧後、プロセスフィルムの面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
プロセスフィルムを硬化性樹脂組成物層の両面から剥がして、その両面にウレタン系接着剤を乾燥重量が2.0g/m2となるように塗付してから、第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層を貼り合わせた。第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層は同じものであり、臭素含有量10質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートPCF−10(株式会社シャインテクノ社製)である。
これらの工程により、厚さが354μmの実施例3の透明不燃シートを製造した。
〈実施例4〉
臭素含有量10質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、PCF−10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシート層とした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、ウレタン系プライマーを塗付し、そこへさらに表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。なお、表1に示すように、実施例4では、モノエポキシアルコキシシランは配合しなかった。
次に、第2ポリカーボネートシートの一方の面に、ウレタン系プライマーを塗付し、塗付した面を硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの実施例4の透明不燃シートを製造した。
〈実施例5〉
臭素含有量10質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、PCF−10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートとした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに厚みが67μmで目付が79g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製2013NT)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、第1ポリカーボネートシートと同様のPCF−10(株式会社シャインテクノ社製)を第2ポリカーボネートシートとし、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが360μmの実施例5の透明不燃シートを製造した。
〈比較例1〉
臭素含有量20質量%含有し、厚さが127μmであり、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とするポリカーボネートシートとして、FR−60(SABIC社製)を第1ポリカーボネートシートとした。第1ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の臭素を含有しない光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、第1ポリカーボネートシートと同様のFR−60(SABIC社製)を第2ポリカーボネートシートとし、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、第1ポリカーボネートシート層または第2ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体の第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが350μmの比較例1の透明不燃シートを製造した。
〈比較例2〉
臭素を含有しない、厚さが125μmであるポリカーボネートシートとして、PC−10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、上記のポリカーボネートシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体のポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが346μmの比較例2の透明不燃シートを製造した。
〈比較例3〉
臭素を含有しない、厚さが100μmであるポリカーボネートシートとして、PC−10(株式会社シャインテクノ社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、上記のポリカーボネートシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体のポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが296μmの比較例3の透明不燃シートを製造した。
〈比較例4〉
臭素を含有しない、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレートシート(PETシート)として、表面が易接着処理されたA4300(東洋紡株式会社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。PETシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、上記のPETシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて使用し、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、PETシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明シート中間体を得た。
加圧後、透明シート中間体のPETシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが246μmの比較例4の透明シートを製造した。
〈比較例5〉
臭素を含有しない、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレートシート(PETシート)として、表面が易接着処理されたA4300(東洋紡株式会社社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。PETシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が29.7g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1030)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。ここで、光硬化性樹脂組成物にスチレンを配合することにより、硬化後の屈折率をガラス繊維織物よりも高くなるように設定した。
次に、上記のPETシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて使用し、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、PETシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明シート中間体のPETシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが220μmの比較例5の透明不燃シートを製造した。
〈比較例6〉
臭素を含有しない、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレートシート(PETシート)として、表面が易接着処理されたA4300(東洋紡株式会社社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。PETシートの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。ここで、光硬化性樹脂組成物にスチレンを配合することにより、硬化後の屈折率をガラス繊維織物よりも高くなるように設定した。
次に、上記のPETシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて使用し、これを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、PETシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明シート中間体のPETシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが260μmの比較例6の透明不燃シートを製造した。
〈比較例7〉
臭素を含有しない、厚さが68μmであるポリカーボネートシートとして、C000(エスカーボシート株式会社社製)を第1ポリカーボネートシートおよび第2ポリカーボネートシートに代えて使用した。ポリカーボネートシートの一方の面に、表1に示す配合の臭素を含有しない光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が48.5g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1080)を載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
次に、上記のポリカーボネートシートと同様のシートを第2ポリカーボネートシートに代えて硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、ポリカーボネートシート層との層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。これにより、硬化性樹脂組成物層が未硬化の透明不燃シート中間体を得た。
加圧後、透明不燃シート中間体のポリカーボネートシート層の面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。これらの工程により、厚さが220μmの比較例7の透明不燃シートを製造した。
〈比較例8〉
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をプロセスフィルムとして使用し、プロセスフィルムの一方の面に、表1に示す配合の光硬化性樹脂組成物を塗付し、さらに目付が52.9g/m2のガラス繊維織物(株式会社有沢製作所社製1280)を2枚載せて1分間放置することで、光硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させて、硬化性樹脂組成物層を形成した。
上記と同様のプロセスフィルムを硬化性樹脂組成物層の上に載せ、硬化性樹脂組成物層の層内や、硬化性樹脂組成物層と、プロセスフィルムとの層内に空気や気泡が混入しないようにローラーで加圧した。
ローラーで加圧後、プロセスフィルムの面に向けてブラックライト(東芝製 FL20SBL)を積算光量が540mJ/cm2となるように照射し、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
プロセスフィルムを硬化性樹脂組成物層の両面から剥がして、厚さが320μmの比較例8の透明不燃シートを製造した。
上記の実施例1〜5および比較例1〜8の透明不燃シートの構成について、表2に示す。実施例1〜5における第1ポリカーボネートシート層および第2ポリカーボネートシート層の構成は、表2の熱可塑性樹脂層の項目に示す。
Figure 0006470454
[不燃性の評価]
(コーンカロリーメータによる発熱性試験)
「防耐火性試験・評価業務方法書」(一般財団法人建材試験センター(平成29年2月1日))における「発熱性試験・評価方法」に基づき、コーンカロリーメータを用いて発熱性試験を20分実施した。実施例1〜5および比較例1〜8の各シートは、100mm×100mm×各シートの厚さ、の大きさの試験片とした。
[難燃性の評価]
(UL94V規格に基づく垂直燃焼性試験)
UL94V規格(IEC606095−11−10 B法、ASTM D 3801)に基づき、実施例1〜5および比較例1〜8の各シートの試験片(125±5×13±0.5mm×各シートの厚さ)をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりV−0、V−1、V−2、Notの判定を行った。
[施工作業性の評価]
(曲げ強さの測定)
JIS P 8125−2に基づき、実施例1〜5および比較例1〜8の各シートについて、テーバー剛性試験機(テーバーステフネステスタ)を用いて曲げ強さの評価を行った。剛性は、ポリカーボネートシート層となるポリカーボネートが製造される際の樹脂の流れ方向(MD:マシンダイレクション)および樹脂の幅方向(TD:トランスバースダイレクション)の2つの方向について評価した。
(防煙垂壁としての施工によるシワ、たるみの発生の有無)
実施例1〜5および比較例1〜8の各シートを1500mm×500mmに切断し、枠に両面テープを貼り付けた1550mm×550mmのアルミフレームの枠に、各シートのフラット面を、テンションをかけない状態で取り付けた。取り付け後の各シートについて、アルミフレームを捩った際のシワやたるみの発生の有無を評価した。
[透明性の評価]
(光学特性)
JIS K 7361−1に基づき、実施例1〜5および比較例1〜8の各シートについて、ヘーズメータを用いて24℃条件下におけるヘイズおよび全光線透過率を測定した。なお、参考例として、防煙垂壁として用いられた5mm厚のガラス板についても、同評価を行った。
[視認性の評価]
(文字の視認性)
視認評価用サンプルとして、文字「あ」(「MSPゴシック」フォント)をマイクロソフト社の「MSワード」(商標)により、(フォントサイズ:20ポイント)で白色のPPC用紙に黒色で印字したものを準備した。図2に文字の視認性の評価方法を説明する図を示す。この図において、透明不燃シート20(本試験項目において、実施例1〜5および比較例1〜8の各シートのいずれか)および視認評価用サンプル30の側面図を示している。図2に示すように、視認評価用サンプル30は、評価者の目40の高さにおいて透明不燃シート20の平滑面21を介して水平方向より文字が視認できるように、文字の印刷面31が垂直方向と平行となるように設置した。透明不燃シート20は、文字の印刷面31から3m離れた地点であり、評価者の目40から2m離れた地点において、平滑面21が垂直方向と平行となるように設置した。この設置状態を初期状態とし、透明不燃シート20の平滑面21を水平方向と平行な方向へ向けて徐々に傾けていった。このように傾けて、透明不燃シート20を介して視認評価用サンプル30の文字が視認できなくなったときの角度(垂直方向からの傾きA)を記録した。なお、参考例として、防煙垂壁として用いられた5mm厚のガラス板についても、同評価を行った。
[密着性]
(熱硬化性樹脂層と光硬化性樹脂層との密着性の評価)
実施例1〜5および比較例1〜8の各シートを幅30mm、長さ150mmに切断したものをサンプルとし、JIS Z 0237に準拠した180度剥離試験により、熱可塑性樹脂層(第1ポリカーボネートシート層等)と光硬化性樹脂層(硬化樹脂組成物層等)との密着性を評価した。
(熱硬化性樹脂層と光硬化性樹脂層との剥離性の評価)
上記密着性の評価を実施後のサンプルについて、剥離部分を観察した。材破状態(熱可塑性樹脂層に光硬化性樹脂が付着しており、光硬化性樹脂層において破断した)を〇、界面剥離(熱可塑性樹脂層と光硬化性樹脂層との界面で剥離した)を×として評価した。
上記の評価を行った結果を、表3に示す。
Figure 0006470454
実施例1〜5の透明不燃シートは、臭素を含有することにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮すると共に、難燃性を評価する垂直燃焼性試験(UL94V)においてもV−0の性能を発揮した。そして、厚みがあることにより、アルミフレームへの施行によるしわやたるみが発生せず、施工作業性を満足した。また、ガラス繊維織物は視認できずに透明性も十分有しており、参考例で示したガラス板と比較して透明性、視認性および透過率は若干劣るものの、防煙垂壁としては全く問題のない性能を発揮した。さらに、シランカップリング剤や接着剤を用いることで、密着性能も問題なかった(表1〜3)。
比較例1では、熱可塑性樹脂層として臭素含有量20質量%の難燃PCを用いたものの、光硬化性樹脂組成物が臭素を含有しない構成であった。その結果、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮した。ただし、難燃性の評価では、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。(表1〜3)。
比較例2では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しないことにより、発熱性試験において不燃性能を満足せず、また難燃性の評価においても、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった(表1〜3)。
比較例3では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しないやや薄膜のポリカーボネートシートであることにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮したものの、難燃性の評価において、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに劣り、施工によるシワ、たるみが発生し、施工作業性に劣った。さらに、文字の視認性にやや劣る結果となった(表1〜3)。
比較例4では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しない薄膜のポリエチレンテレフタレートであることにより、発熱性試験において不燃性能を満足せず、また難燃性の評価においても、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに劣り、施工によるシワ、たるみが発生し、施工作業性に劣った。さらに、文字の視認性に劣る結果となった(表1〜3)。
比較例5では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しない薄膜のポリエチレンテレフタレートであり、ガラス繊維織物の目付が少ないことにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮したものの、難燃性の評価において、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに劣り、施工によるシワ、たるみが発生し、施工作業性に劣った。さらに、ヘイズが高く、また、文字の視認性にやや劣る結果となった(表1〜3)。
比較例6では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しない薄膜のポリエチレンテレフタレートであることにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮したものの、難燃性の評価において、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに劣り、施工によるシワ、たるみが発生し、施工作業性に劣った。さらに、ヘイズが高く、また、文字の視認性にやや劣る結果となった(表1〜3)。
比較例7では、熱可塑性樹脂層が臭素を含有しない薄膜のポリカーボネートであることにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮したものの、難燃性の評価において、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに劣り、施工によるシワ、たるみが発生し、施工作業性に劣った。さらに、ヘイズが高く、また、文字の視認性にやや劣り、密着性を満足しない結果となった(表1〜3)。
比較例8では、熱可塑性樹脂層がなく、また、ガラス繊維織物を2枚重ねて使用したことにより、発熱性試験において不燃認定に相当する性能を発揮したものの、難燃性の評価において、V−2、V−1、V−0のいずれの基準も満足しなかった。また、曲げ強さに優れ、施工によるシワ、たるみが発生せず、施工作業性を満足した。ただし、ヘイズが高く、また、文字の視認性に劣る結果となった(表1〜3)。
(まとめ)
上記の実施例の結果から、本発明の透明不燃シートであれば、不燃性能と難燃性能を満足しつつ、施工によるシワ、たるみが発生しないことで、線入磨き板ガラスと同等の仕上がり性を満足し、施工作業性がより向上することは明らかである。このような透明不燃シートであれば、防煙垂壁等の用途に有用である。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 第1ポリカーボネートシート層
2 硬化樹脂組成物層
2a ガラス繊維織物
2b 硬化樹脂組成物
3 第2ポリカーボネートシート層
10 積層体
20 透明不燃シート
21 平滑面
30 視認評価用サンプル
31 文字の印刷面
40 評価者の目
A 垂直方向からの傾き

Claims (12)

  1. 臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第1ポリカーボネートシート層と、
    前記第1ポリカーボネートシート層に積層され、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層と、
    前記硬化樹脂組成物層に積層され、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体からなり、
    厚さが300μm〜400μmである、透明不燃シート。
  2. 前記第1ポリカーボネートシート層および/または前記第2ポリカーボネートシート層は、ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を主成分とする、請求項1に記載の透明不燃シート。
  3. 前記硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物を含む、請求項1または2に記載の透明不燃シート。
  4. 前記硬化樹脂組成物層はエポキシ系シランカップリング剤を含み、前記硬化樹脂組成物層は前記第1ポリカーボネートシート層に直接積層され、前記第2ポリカーボネートシート層は前記硬化樹脂組成物層に直接積層される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明不燃シート。
  5. 前記硬化樹脂組成物は前記ガラス繊維織物と隙間なく一体化していることにより、前記ガラス繊維織物は透明であり視認できないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明不燃シート。
  6. 全光線透過率が88%以上であり、ヘイズが1.0%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明不燃シート。
  7. 前記第1ポリカーボネートシート層の屈折率と前記硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下であり、
    前記第2ポリカーボネートシート層の屈折率と前記硬化樹脂組成物層の屈折率との差が0.04以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明不燃シート。
  8. 前記硬化樹脂組成物の屈折率と前記ガラス繊維織物の屈折率との差が、0.02以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の透明不燃シートを備える防煙垂壁。
  10. 請求項4〜8のいずれかに記載の透明不燃シートを製造する方法であって、
    ポリカーボネートおよびテトラブロモビスフェノールA誘導体を用いて臭素を5質量%〜20質量%含有するポリカーボネートシートを形成するシート化工程と、
    前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第1ポリカーボネートシートとし、前記第1ポリカーボネートシートの一方の面に、目付が30g/m2〜80g/m2のガラス繊維織物に含浸された、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂およびエポキシ系シランカップリング剤を含み、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化性樹脂組成物、または目付が30g/m 2 〜80g/m 2 のガラス繊維織物に含浸された、臭素化ビニルエステル樹脂を含み、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層を形成する硬化性樹脂組成物層形成工程と、
    前記シート化工程により得た前記ポリカーボネートシートを第2ポリカーボネートシートとし、前記硬化性樹脂組成物層に、前記第2ポリカーボネートシートを積層する積層工程と、
    前記硬化性樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含む、
    透明不燃シートの製造方法。
  11. 前記硬化性樹脂組成物層形成工程は、前記硬化性樹脂組成物を第1プロセスフィルムに塗付する段階と、さらに前記硬化性樹脂組成物へガラス繊維織物を載せて、当該硬化性樹脂組成物をガラス繊維織物に含浸させる段階と、その後、前記硬化性樹脂組成物の上に第2プロセスフィルムを載せる段階と、を含み、
    前記硬化工程は、前記第1プロセスフィルムと前記第2プロセスフィルムに挟まれた前記硬化性樹脂組成物を硬化させる段階を含み、
    前記硬化工程後に、硬化した前記硬化性樹脂組成物の両面から前記第1プロセスフィルムおよび前記第2プロセスフィルムを剥がしてから、前記第1ポリカーボネートシートの一方の面に、前記硬化性樹脂組成物層を形成する、請求項10に記載の透明不燃シートの製造方法。
  12. 前記硬化性樹脂組成物層形成工程は、含浸により前記硬化性樹脂組成物と前記ガラス繊維とを隙間なく一体化させて、前記ガラス繊維を透明にして視認できない状態とする工程である、請求項10または11に記載の透明不燃シートの製造方法。
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