JP6930872B2 - 不燃性シート、該不燃性シートを用いた防煙垂壁、防煙スクリーン・カーテン、並びに不燃性シートの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、ガラスクロスの両面に接着層を介して熱可塑性樹脂層を積層してなる不燃性シートであって、前記ガラスクロス中のガラス繊維の番手が3〜20tex、経糸と緯糸の密度合計が80本/25mm〜190本/25mmであり、前記接着層が、ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと、少なくとも1種の分子量が380以下の可塑剤とを含み、前記接着層の総質量に対する前記可塑剤の含有率が30〜80質量%であり、かつ、全光線透過率が75%以上とすることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明で使用されるガラスクロス2は、ガラス繊維織物で構成されている。ガラス繊維織物としては、例えば、経糸と緯糸のガラス繊維で織成したもの、複数の一方向のガラス繊維を互いにガラス繊維が交差する方向に配置したもの、ガラス繊維直交積層ネットなどが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維の経糸と緯糸とで織成したものが好ましい。織成による織組織としては、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。織成による織組織としては、特に制限されないが、どの方向にも均一な引っ張り強さが得られるという点で平織が好ましい。
本発明の不燃性シート1で用いられる接着層3は、ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと、少なくとも1種の分子量が380以下の可塑剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で構成されている。接着層3の材質は、特に限定することなく熱可塑性樹脂4とガラスクロス2を接着することができるものであれば使用することができるが、ポリ塩化ビニル(PVCペーストレジンを可塑剤に分散させたPVCペーストゾルを使用することが好ましい。
PVCペーストゾルは加熱することでPVC粒子への可塑剤吸収が進行しゾル状態からゲル状態へと変化する。更に加熱を続けると溶融が進行し、良好な接着層を形成することができる。
本発明の不燃性シート1の熱可塑性樹脂層4で用いる熱可塑性樹脂としては、接着層3を構成する熱可塑性樹脂組成物とガラスクロス2のガラス繊維の屈折率と近似させることができるものであれば、特に限定されない。好ましい熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。例えば、ガラス繊維織物を構成するガラス繊維として無アルカリガラス繊維を用いた場合、屈折率の観点からは、これらの中でもポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂がより好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、用いるガラス繊維の屈折率に近似させることなどを目的として、屈折率の異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の不燃性シート1全体の厚さとしては、特に制限されないが、透明性、柔軟性及び裁断性を維持する観点からは、0.45mm以下、好ましくは0.40mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下である。
また、印刷や彩色によって一部が不透明であってもよい。また、ヘアライン処理、エンボス処理、ハードコート処理、防汚処理、帯電防止処理、遮熱処理等各種表面処理などを施してもよい。
具体例を示すと、熱可塑性樹脂層4としての熱可塑性樹脂フィルムの片面に、ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと少なくとも1種の分子量380以下の可塑剤とを含むゾル状の樹脂組成物を塗布して接着層3を形成し(工程1)、ガラスクロス2の両面に接着層3が形成された熱可塑性樹脂層4の接着層3を積層し(工程2−1)、次いで、ガラスクロス2の両面に1対の熱可塑性樹脂層4,4を接着層3を介して加熱圧着して貼り合わせる(工程2−2)ことで不燃性シート1が得られる。
1.熱可塑性樹脂層
[熱可塑性樹脂]:ポリ塩化ビニル樹脂(ZEST−1300Z;新第一塩ビ社製)
[可塑剤1]:ジイソノニルアジペート(DINA;ジェイプラス社製)
[難燃剤]:リン酸エステル(レオフォス−65;味の素ファインテクノ社製)
[安定剤]:Ba−Zn系安定剤 (ADEKA社製)
[紫外線吸収剤]:ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(キマソープ81;BASFジャパン社製)
[顔料]:MP MKV 073 ブルー(大日精化工業社製)
[ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジン]:PSH−161(カネカ社製)
[可塑剤2]:ブチルベンジルフタレート(BBP)(フェロ・ジャパン社製)
[可塑剤3]:ジオクチルフタレート(DOP)(ジェイプラス社製)
[硬化性樹脂]:ビニルエステル樹脂(日本ユピカ社製)
[安定剤]:Ba−Zn系安定剤 (ADEKA社製)
1067(アリサワファイバーグラス社製)
1080(アリサワファイバーグラス社製)
2116(ユニチカ社製)
[熱可塑性樹脂製フィルムの作製]
(フィルムA)
ポリ塩化ビニル樹脂を65.6質量%、可塑剤1を13.8質量%、安定剤を2.62質量%、紫外線吸収剤を0.66質量%、難燃剤を17.1質量%、帯電防止剤を0.07質量%、スリップ剤を0.03質量%、顔料を0.12質量%それぞれ添加し、ヘンシェルミキサー機を使用して混合し、カレンダー成形機にてポリ塩化ビニル樹脂フィルムAを作製した。
(フィルムB)
ポリ塩化ビニル樹脂を58.5質量%、可塑剤1を4.69質量%、安定剤を2.35質量%、紫外線吸収剤を0.24質量%、難燃剤を33.9質量%、帯電防止剤を0.07質量%、スリップ剤を0.13質量%、顔料を0.12質量%、それぞれ添加し、ヘンシェルミキサー機を使用して混合し、カレンダー成形機にてポリ塩化ビニル樹脂フィルムBを作製した。
ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと可塑剤2又は可塑剤2及び3とを表1に示す割合で配合する共に、Ba−Zn系安定剤を1質量%添加し、混合して接着層用の樹脂組成物を作製し、これを用いて接着層を形成した。
比較例2は、ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと可塑剤2及び3を含まず、ビニルエステル樹脂(硬化性樹脂)を用いた樹脂組成物を接着層用の樹脂組成物として用いた。
上記フィルムA及びフィルムBに、表1に示す接着層を構成する樹脂組成物を塗布し、ガラス繊維織物の両面に接着層とフィルムA又はフィルムBを配した積層体を作製した。その後、160℃に設定した金属ロールとゴムロールでニップしてフィルムA又はフィルムBと接着層とガラス繊維織物を加熱圧着させて透明不燃シートを作製した。
得られた透明不燃シートについて下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
作製した透明不燃性シートの表面に、輻射電気ヒータで50kw/m2の輻射熱を照射し、加熱開始後20分間の総発熱量と、加熱開始後20分間に発熱量が200kw/m2を超えた時間を測定した。そして総発熱量が8MJ/m2以下であり、200kw/m2を越えた時間が継続して10秒を超えない場合に、不燃性の評価を「〇」とし、超えた場合に「×」とした。
作製した透明不燃シートの全光線透過率(波長400〜700nmの平均値)を、日立製作所(株)製の分光光度計UV−3500を用いて測定した。全光線透過率の値が90%以上の場合に透明性の評価を「◎」とし、80%以上、90%未満の場合に「〇」、60%以上、80%未満の場合に「△」、60%未満の場合に「×」とした。
作製した透明不燃シートを10cm四方の大きさに2枚カットし、この2枚を重ね合せた状態で、3mm厚さ、10cm四方のステンレス板に挟んで試験片とした。この試験片に100cm2あたり20kgの荷重をかけて、50℃恒温室中で24時間放置した後に、重ね合せた不燃シートを剥離し、ブロッキングの状態を評価した。抵抗なくシートを剥離できる場合に「◎」、抵抗があるが何とか剥離できる場合に「○」、抵抗が強く剥離できない場合に「×」とした。
JIS L 1096A法(45°カンチレバー法)により、作製した透明不燃シートの柔軟性を評価した。45°の斜面をもつ、なめらかな水平台の上に試験片を置き、試験片の一端を斜面との境界に合わせ、金属板で試験片をおさえて静かにすべらせ、試験片の先端中央が斜面に接したときの目盛りを読み取った。目盛りが40mm以下の場合に「◎」、40mmより大きく60mm以下の場合に「○」、60mmより大きく80mm以下の場合に「△」、80mmより大きい場合に「×」とした。
2 ガラスクロス
3 接着層
4 熱可塑性樹脂層
Claims (9)
- ガラスクロスの両面に接着層を介して熱可塑性樹脂層を積層してなる不燃性シートであって、
前記ガラスクロス中のガラス繊維の番手が3〜20tex、経糸と緯糸の密度合計が80本/25mm〜190本/25mmであり、
前記接着層が、ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストレジンと、少なくとも1種の可塑剤とを含む樹脂組成物からなり、当該可塑剤は分子量380以下の可塑剤であり、当該可塑剤はフタル酸エステル系可塑剤を主成分とし、前記接着層を構成する樹脂組成物の総量に対する前記可塑剤の含有率が30〜80質量%であり、
前記熱可塑性樹脂層が塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含む樹脂組成物で構成され、前記熱可塑性樹脂層の総質量に対する可塑剤の含有率が50質量%以下であり、かつ、
全光線透過率が75%以上であることを特徴とする不燃性シート。 - 前記分子量380以下の可塑剤と、前記ガラスクロス及び前記熱可塑性樹脂層を構成する樹脂組成物との屈折率の差が0.06以下である、請求項1に記載の不燃性シート。
- 前記熱可塑性樹脂層の接着層側の表面粗さRaが0.5〜15.0μmである、請求項1又は2に記載の不燃性シート。
- 前記熱可塑性樹脂層の厚みが0.05〜0.20mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の不燃性シート。
- 前記接着層の塗工量が10.0〜60.0g/m2である、請求項1〜4のいずれかに記載の不燃性シート。
- シート全体の厚みが0.45mm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の不燃性シート。
- 防煙垂壁、遮煙スクリーン、防煙間仕切壁、及び防煙カーテンのいずれかに用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の不燃性シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の不燃性シートを用いた防煙垂壁。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の不燃性シートを用いた防煙スクリーン・カーテン。
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