JP2009107273A - 低放射性建築用膜材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素樹脂を被覆した耐熱性繊維織布基材31と、この耐熱性繊維織布基材31の片面に形成された金属層37とを具備することを特徴とする低放射性建築用膜材。
【選択図】 図6
Description
本発明において、低放射性建築用膜材は、図1に示す片面ロールコーター装置、又は図2に示す両面塗布装置を用いて製造される。
(片面ロールコーター装置)
図1において、符番1は耐熱性織布基材2が巻かれた送り出しロールを示す。耐熱性織布基材2は、ロール3aを経てコーティング液4が収容された含浸槽5に送られる。含浸槽5の上部には、一部がコーティング液4に浸漬したロール6、及びこのロール6とともに耐熱性織布基材2を挟むロール3bが配置されている。前記含浸槽5の上方には、コーティング液4により塗布された耐熱性織布基材2を乾燥し、焼成する乾燥・焼成炉7が配置されている。乾燥,焼成された耐熱性織布基材2は、ロール3c,3d,3eを経て巻取りロール8に巻き取られる。なお、コーティング液4を収容した含浸槽5、ロール6及びロール3bよりロールコーター塗装部が構成されている。図1の片面ロールコーター装置では、耐熱性織布基材2の片面にのみフッ素樹脂が塗布される。
図2において、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。図中の符番3fは、コーティング液4中に配置されたロールを示す。図2の両面塗布装置では、耐熱性織布基材2の両面にフッ素樹脂が塗布される。また、図2では、コーティング液4を収容した含浸槽5及びロール3より塗装部が構成されている。
本発明において、耐熱性繊維織布上に金属層を形成させる装置としては、例えば図3に示すスパッタリング装置、あるいは図4に示す真空蒸着装置が挙げられる。いずれの装置も、反物状に巻かれた基材上に連続的に金属層を形成することができる。
(スパッタリング装置)
図3を参照して説明する。図3中の符番11は真空チャンバーを示す。この真空チャンバー11内には、基材12を送り出す送り出しロール13,基材12を巻き取る巻取りロール14,ターゲット金属15,電極機能を有したロール16及びその途中に介在するロール17a〜17hを備えている。ここで、前記ターゲット金属15とロール16間には直流電圧が印加される。こうした構成のスパッタリング装置を用いて基材12に金属層を形成するには、不活性ガス(アルゴン等)を真空チャンバー11内に導入しながらターゲット金属15とロール16間に直流電圧を印加し、不活性ガスのイオン化した高速プラズマによってターゲット金属15をはじき出し、基材12上に金属層を成膜することにより行う。
図4を参照して説明する。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。図4中の符番18は金属融解槽を示す。図4の装置を用いて基材に金属層を形成するには、基材12が金属融解槽18を通過する際に、基材12表面上に蒸発した金属が衝突、付着することにより行う。
(セントラル硝子(株)社製の商品名:セフラルソフト)が挙げられるが、恒久建築用膜材料としてはPTFEが主要材料として使用される。
JIS−R−1801(セラミックの放射)に準拠した以下の方法にて実施した。
まず、50℃に設定した熱板に試料を載せ加温する。次に、試料温度が50℃に安定次第、測定器にセットした後、試料から放出される赤外線を測定する。その後、測定した赤外線を機内で積分計算を行い、放射率として数値化する。測定器としては、日本電子データム製の遠赤外線分光放射計(型式JIR−E500)を用いた。
まず、分光光度計に試料をセットし、380〜780nmの可視光波長の透過を測定する。次に、測定した透過波長をパソコン内にて計算し透光率として算出する。ここで、測定器としては、島津製作所製の分光光度計(型式UV−2450)を用いた。
密着強度の測定は、図5(A),(B)に示すように行う。但し、図5(A)は平面図、図5(B)は図5(A)の側面図を示す。図中の符番21はフッ素樹脂被覆耐熱性織布を示し、符番22は金属層を示す。まず、図5に示すように布ガムテープ23(寺岡製作所社製の粘着テープ:商品番号#153)をスパッタリングによって形成された金属層22の主面に貼り付ける。次に、貼り付けた布ガムテープ23を剥し、金属層22の剥離が起こるかどうかの確認を行う。なお、図中の符番24は、布ガムテープ23の剥離進行方向を示す。金属層22の剥離が見られる場合はその時点で試験を終了する。つづいて、こうしたテープ剥離試験を行い、金属層22の剥れが起きない場合はJIS−K−6405−5にて金属層22の強度を測定し、数値化する。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機(型式RTC−1250A)を用いた。
本発明の実施例1に係る低放射性建築用膜材について図6を参照して説明する。図中の符番31は厚さ0.5mmの耐熱性繊維織布基材を示す。この耐熱性繊維織布基材31は、耐熱性繊維織布基材縦糸31aと耐熱性繊維織布基材横糸31bからなる。ここで、前記基材31の仕様は次の通りである。即ち、使用糸は縦糸:EBC 150 4/2 3.8S,横糸:EBC 150 4/2 3.8Sであり、織り方は平織り、糸密度は縦:24.5±1.0,横:19.5±1.0である。前記耐熱性繊維織布基材31の両面には、シリコーンオイル層32a,32b、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)層33a,33b、四フッ化エチレン樹脂にガラスビーズを充填した充填層34a,34b、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)層35a,35b、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)樹脂層36a,36bが順次形成されている。FEP樹脂層36a上には、アルミニウムからなる厚さ100nmの金属層37が形成されている。
前記耐熱性繊維織布縦糸・横糸31a,31b、シリコーンオイル層32a,32b、四フッ化エチレン樹脂層33a,33b、充填層34a,34b、四フッ化エチレン樹脂層35a,35b、及びFEP樹脂層36a,36bの使用原材料及び成分割合は下記表1に示すとおりである。前記金属層37の厚みは100nmであり、図3のスパッタリング装置により形成した。また、実施例1に係る低放射性建築用膜材の放射率、透光率、及び密着強度は下記表2の通りである。
比較例1に係る建築用膜材は、図6において、アルミニウムからなる金属層37がない場合の膜材とする。他の構成部材の材質は、実施例1で述べたとおりである。
本発明の実施例2に係る低放射性建築用膜材について図7を参照して説明する。図7を参照する。但し、図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施例2に係る低放射性建築用膜材も上記表1と同じ成分割合で製作した。但し、最外層のフッ素樹脂層は四フッ化エチレン樹脂層35a,35bであり、金属層38はチタンからなる。金属層38の厚みは100nmであり、図3のスパッタリング装置により形成した。実施例2に係る低放射性建築用膜材の放射率、透光率、及び密着強度は上記表2の通りである。
比較例2に係る建築用膜材は、図7の断面構造を有する。比較例2に係る建築用膜材は、上記表1と同じ成分割合で製作し、最外層のフッ素樹脂層は四フッ化エチレン樹脂層35a,35bである。但し、金属層38はアルミニウムからなる。金属層38の厚みは100nmであり、図3のスパッタリング装置により形成した。比較例2に係る建築用膜材の放射率、透光率、及び密着強度は上記表2の通りである。
比較例3に係る建築用膜材は、図6の断面構造を有する。比較例3に係る建築用膜材は、上記表1と同じ成分割合で製作し、最外層のフッ素樹脂層はFEP樹脂層36a,36bである。但し、金属層38はチタンからなる。金属層38の厚みは100nmであり、図3のスパッタリング装置により形成した。比較例3に係る建築用膜材の放射率、透光率、及び密着強度は上記表2の通りである。
本発明の実施例3に係る低放射性建築用膜材について図8を参照して説明する。図8を参照する。図中の符番41は、厚さ0.25mmの耐熱性繊維織布基材(日東紡社製のガラスクロス:型式WEA26−105B)を示す。耐熱性繊維織布基材41は、耐熱性繊維織布基材縦糸41aと耐熱性繊維織布基材横糸41bとから構成されている。ここで、前記基材41の仕様は次の通りである。即ち、使用糸は縦糸:ECG75−1/0,横糸:ECH50−1/0であり、織り方は平織り、糸密度は縦:18,横:15である。
金属層をチタンとする以外は、実施例3と同条件で低放射性建築用膜材を形成した。即ち、実施例4の低放射性建築用膜材は、耐熱性繊維織布基材41と、この基材41の片面に形成されたチタンからなる金属層42と、前記基材41の反対面に形成されたPTFE層43とから構成されている。
金属層をアンチモン錫酸化物(ATO)とする以外は、実施例3と同条件で低放射性建築用膜材を形成した。即ち、実施例5の低放射性建築用膜材は、耐熱性繊維織布基材41と、この基材41の片面に形成されたATOからなる金属層42と、前記基材41の反対面に形成されたPTFE層43とから構成されている。
金属層をインジウム錫酸化物(ITO)とする以外は、実施例3と同条件で低放射性建築用膜材を形成した。即ち、実施例6の低放射性建築用膜材は、耐熱性繊維織布基材41と、この基材41の片面に形成されたITOからなる金属層42と、前記基材41の反対面に形成されたPTFE層43とから構成されている。
比較例4に係る建築用膜材について、図9を参照して説明する。但し、図8と同部材は同符号を付して説明を省略する。図中の符番42は、耐熱性繊維織布基材41の片面側に形成されたアルミニウムからなる厚さ100nmの金属層を示し、図3のスパッタリングを用いて形成した。前記金属層41上にはPTFE層43aが形成され、基材41の裏面側にはPTFE層43bが形成されている。PTFE層43a,43bは、図2の浸漬両面塗装装置を用いて形成し、片側当たりの樹脂量はいずれも略5g/m2である。
このように、比較例4に係る建築用膜材は、図9に示すように、耐熱性繊維織布基材41と、この片面側に形成されたアルミニウムからなる厚さ100nmの金属層42と、この金属層42上に形成されたPTFE層43aと、前記基材41の裏面側に形成されたPTFE層43bとから構成されている。
比較例5に係る建築用膜材について、図10を参照して説明する。但し、図9と同部材は同符号を付して説明を省略する。比較例5の建築用膜材は、基材41の両面側にPTFE層43a,43bを夫々形成し、片方のPTFE層43a上にアルミニウムからなる厚さ100nmの金属層42を形成した構成となっている。係る構成の建築用膜材は、基材41の両面側に図4の浸漬両面塗装装置を用いることにより、PTFE層42a,42bを同時に形成した後、一方のPTFE層43a上に図3のスパッタリング装置を用いてアルミニウムからなる厚さ100nmの金属層42を形成する。なお、PTFE層42a,42bの夫々の樹脂量はいずれも略5g/m2である。
Claims (5)
- フッ素樹脂を被覆した耐熱性繊維織布基材と、この耐熱性繊維織布基材の片面に形成された金属層とを具備することを特徴とする低放射性建築用膜材。
- 前記フッ素樹脂が四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂であり、前記金属がアルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の低放射性建築用膜材。
- 前記フッ素樹脂が四フッ化エチレン樹脂であり、前記金属がチタンであることを特徴とする請求項1記載の低放射性建築用膜材。
- 耐熱性繊維織布基材と、この耐熱性繊維織布基材の片面に形成された金属層と、前記耐熱性繊維織布基材の反対面に形成されたフッ素樹脂層とを具備し、前記金属層は、アルミニウム、チタン、アンチモン錫酸化物、インジウム錫酸化物のいずれかであることを特徴とする低放射性建築用膜材。
- 前記金属層は、スパッタリング,真空蒸着,イオンプレーティングのいずれかの物理的蒸着法により形成されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の低放射性建築用膜材。
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