JP6220156B2 - 透明不燃性シートとその製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、防煙垂壁として好適に用いることができる透明不燃性シートとその製造方法に関し、詳しくは、ガラス繊維織物を熱硬化性樹脂硬化物と一体化させてなり、透明性と不燃性にすぐれる透明不燃性シートとその製造方法に関する。更に、本発明は、上記透明不燃性シートからなる防煙垂壁に関する。
商業ビル等の建築物には、火災時に煙や有毒ガスの流動拡散を妨げるために、天井に防煙垂壁を設置することが義務付けられている。従来、防煙垂壁には、良好な視野を確保することができると共に美観を損なわないように、通常、プラスチック板や板ガラスが用いられている。
プラスチック板は軽量であり、また、衝撃によっても損傷し難いものもあるが、不燃性については、十分ではない。そこで、プラスチック板に多量の無機物を配合して、不燃性を高めれば、透明性に劣ることとなる。
一方、板ガラスからなる防煙垂壁は、確かに透明性と不燃性にすぐれているが、重いという欠点があり、また、天井からの落下防止のための措置が施されているが、それでも、例えば、大きい地震が発生したときには、落下して、不測の事故を招いたり、それ自体が破損したりする虞がある。
そこで、近年、ガラス繊維織物に樹脂硬化物を一体化させてなる透明不燃性シートが幾つか提案されているが(特許文献1参照)、樹脂硬化物の屈折率がガラス繊維と近接していなければならないので、用いることができる樹脂に制約がある。
また、ガラス繊維織物に熱硬化性樹脂の硬化物を一体化させて、複合シートとした後、この複合シートにガラス繊維網体と難燃性樹脂フィルムを接着剤にて接着して補強層を構成した透明不燃性シートも提案されているが(特許文献2参照)、上記熱硬化性樹脂とは別に樹脂フィルムや接着剤を必要とするうえに、製造工程数も多く、煩雑である。
特開2005−319746号公報 特開2011−213093号公報
本発明は、ガラス繊維織物に熱硬化性樹脂の硬化物を一体化させてなる従来の透明不燃性シートにおける上述した問題を解決するためになされたものであって、透明性と不燃性にすぐれているのみならず、用いることができる熱硬化性樹脂の選択における自由度が高く、従って、従来に比べて、機能性をより高めた透明不燃性シートとその製造方法を提供すること目的とする。
本発明による透明不燃性シートは、分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物とこのガラス繊維織物に含浸させ、硬化させた第1の熱硬化性樹脂の透明な第1の硬化物とからなる基材層と、この基材層の両方の表面にて上記第1の硬化物に一体的に硬化し、積層された第2の熱硬化性樹脂の透明な第2の硬化物の層からなる透明不燃性シートであって、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものであることを特徴とする。
また、本発明による透明不燃性シートの製造方法は、分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物に第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、乾燥させて、第1の熱硬化性樹脂を含むプリプレグとし、別に、第2の熱硬化性樹脂を離型フィルム上に塗布し、一部、重合させて、第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とし、上記プリプレグの両方の表面に上記離型フィルム上の上記半硬化物層をそれぞれ重ね、加圧加熱して、上記プリプレグの含む第1の熱硬化性樹脂を上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層と一体的に硬化させる透明不燃性シートの製造方法であって、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものであることを特徴とする。
本発明による透明不燃性シートは、予め、所定のシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物に上記ガラス繊維と屈折率が近接する第1の熱硬化性樹脂の透明な硬化物が一体に硬化しており、更に、上記第1の熱硬化性樹脂の透明な硬化物に上記第1の熱硬化性樹脂とは相違する第2の熱硬化性樹脂の透明な硬化物の層が一体に硬化し、積層されている。
このような透明不燃性シートにおいては、上記第2の熱硬化性樹脂が上記ガラス繊維の屈折率と近接していなくとも、透明性にすぐれているのみならず、上記第2の熱硬化性樹脂は、その屈折率が上記ガラス繊維の屈折率と近接している必要がないので、用いることができる樹脂の選択の自由度が高く、そのうえ、上記第2の熱硬化性樹脂に帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填剤、補強材等を配合することができるので、種々の機能性を高めた透明不燃性シートを得ることができる。
このような本発明による透明不燃性シートは、防煙垂壁として好適に用いることができる。
更に、本発明の透明不燃性シートの製造方法によれば、プリプレグの含む第1の熱硬化性樹脂と離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を重ね、加圧加熱するので、接着剤を用いることなしに、上記第1の熱硬化性樹脂と上記第2の熱硬化性樹脂を一体的に硬化させ、積層することができる。
本発明による透明不燃性シートの一例の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 上記電子顕微鏡写真を説明するための略図である。
本発明による透明不燃性シートは、分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物とこのガラス繊維織物に含浸させ、硬化させた第1の熱硬化性樹脂の透明な第1の硬化物とからなる基材層と、この基材層の両方の表面にて上記第1の硬化物に一体的に硬化し、積層された第2の熱硬化性樹脂の透明な第2の硬化物の層からなる透明不燃性シートであって、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものである。
また、このような透明不燃性シートは、本発明に従って、分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物に第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、乾燥させて、第1の熱硬化性樹脂を含むプリプレグとし、別に、第2の熱硬化性樹脂を離型フィルム上に塗布し、一部、重合させて、第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とし、上記プリプレグの両方の表面に上記離型フィルム上の上記半硬化物層をそれぞれ重ね、加圧加熱して、上記プリプレグの含む第1の熱硬化性樹脂を上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層と一体的に硬化させる透明不燃性シートの製造方法であって、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものを用いることによって得ることができる。
先ず、本発明による透明不燃性シートの製造方法について説明する。
本発明において、ガラス繊維織物を構成するガラス繊維は、汎用の無アルカリガラス繊維(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス繊維(Cガラス)、高強度で高弾性率のガラス繊維(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス)等のいずれであってもよく、特に限定されるものではないが、なかでは、汎用性の高い無アルカリガラス繊維が好ましく用いられる。
本発明によれば、このようなガラス繊維は、そのフィラメント直径が1〜20μmの範囲にあることが好ましく、特に、3〜12μmの範囲にあることが好ましい。更に、本発明によれば、このようなガラス繊維からなるガラス繊維織物は、その織組織は、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織等のいずれでもよいが、これらのなかでは、平織、斜子織、畦織が好ましい。
また、本発明によれば、ガラス繊維織物は、その坪量が40〜220g/m2の範囲にあることが好ましい。また、ガラス繊維織物は、その厚みが0.03〜0.20mmの範囲にあることが好ましい。
更に、本発明によれば、ガラス繊維織物が火炎に接しても、火炎がガラス繊維織物を通過し難いように、ガラス繊維織物中の隣接する経糸間の隙間が0.5mm以下であり、ガラス繊維織物中の隣接する緯糸間の隙間が0.5mm以下であることが好ましく、特に、いずれの隙間も0.2mm以下であることが好ましい。
本発明によれば、ガラス繊維織物は、これに第1の熱硬化性樹脂の硬化物を一体化して得られるいわば複合シートがすぐれた透明性を有するように、予め、シランカップリング剤にて表面処理されていることが必要であり、ここに、上記シランカップリング剤は、分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するものである。ガラス繊維織物が上記シランカップリング剤で表面処理されていない場合には、加熱加圧成形時に硬化樹脂とガラス繊維織物との濡れ性が悪く、その界面でボイドが発生し、透明性が損なわれる。また、得られた複合シートを折り曲げたとき、ガラス繊維織物と硬化樹脂の間で剥離や割れが生じ、部分的に白くなって、透明性が損なわれるので、取扱い上、問題が生じやすい。
分子中にアミノ基を有するシランカップリング剤として、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができるが、しかし、本発明において、分子中にアミノ基を有するシランカップリング剤は、これら例示に限定されるものではない。
また、分子中に第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤として、例えば、トリメトキシシリルプロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、トリメトキシシリルプロピルデシルメチルアンモニウムクロリド、トリエトキシシリルプロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、1−トリメトキシシリルプロピル−1−メチルモルホリニウムヨージド(iodide)等を挙げることができるが、しかし、本発明において、分子中に第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤は、上記例示に限定されるものではない。
本発明によれば、必要に応じて、上記分子中にアミノ基を有するシランカップリング剤と上記第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤を併用してもよい。
本発明による透明不燃性シートは、このように、予め、上記シランカップリング剤で表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物に第1の熱硬化性樹脂を含浸し、乾燥させて、プリプレグを得、別に、離型フィルム上に第2の熱硬化性樹脂を塗布し、加熱し、又は紫外線や電子線を照射して、第2の熱硬化性樹脂を一部、重合させ、半硬化させ、その後、上記プリプレグの両方の表面に上記離型フィルム上の上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化層をそれぞれ重ね、加熱加圧成形して、上記プリプレグの有する上記第1の熱硬化性樹脂と上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を一体に硬化させることによって、ガラス繊維織物と第1の熱硬化性樹脂硬化物と第2の熱硬化性樹脂硬化物とからなる複合シートとして得ることができる。
離型フィルム上に第2の熱硬化性樹脂の半硬化層を形成するに際して、必要に応じて、第2の熱硬化性樹脂を塗布し、一部、重合させ、半硬化させる工程を2回以上にわたって繰り返してもよい。
このように、本発明によれば、上述したように、プリプレグの有する第1の熱硬化性樹脂に第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を重ねて、加圧加熱するので、その際に、第1の熱硬化性樹脂と第2の熱硬化性樹脂はその界面において相互に混じり合うことなく、しかし、その界面において、共重合(共硬化)し、かくして、第1の熱硬化性樹脂がガラス繊維織物と一体に硬化していると共に、上記第2の熱硬化性樹脂が上記第1の熱硬化性樹脂に一体的に硬化し、積層されている本発明による透明不燃性シートを得ることができる。
従って、本発明による透明不燃性シートにおいては、上記第1の熱硬化性樹脂の硬化物は、ガラス繊維織物の内部の空隙を充填していると共に、ガラス繊維織物の表裏の両表面を被覆しつつ、上記ガラス繊維織物と一体化していると共に、上記第2の熱硬化性樹脂の硬化物層とも一体化している。
日本電子(株)製走査卓上電子顕微鏡JCM−6000)を用いて撮影した本発明による透明不燃性シートの一例の断面の電子顕微鏡写真を図1に示し、この電子顕微鏡写真を説明するための略図を図2に示す。
図2に示すように、本発明による透明不燃性シートにおいては、ガラス繊維織物1の有する第1の熱硬化性樹脂の硬化物2と第2の熱硬化性樹脂の硬化部層3がその界面4において殆ど乱れなしに一体的に硬化されて積層されている。図2に示す本発明による透明不燃性シートにおいては、ガラス繊維織物の厚みは約113μmであり、ガラス繊維織物の上部の第2の熱硬化性樹脂の硬化物層の厚みは約12μmであり、ガラス繊維織物の下部の第2の熱硬化性樹脂の硬化物層の厚みは約11μmである。
本発明によれば、上記第1の熱硬化性樹脂としては、得られる複合シートが透明性と強度、特に、靭性にすぐれるように、樹脂成分がジアリルフタレート及び/又は不飽和ポリエステル樹脂からなるもの、即ち、ジアリルフタレート0〜100重量%と不飽和ポリエステル樹脂100〜0重量%とからなるものが好ましく用いられる。
更に、本発明においては、成形の容易性の観点からは、プリプレグの有する第1の熱硬化性樹脂に第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を重ねて、加圧加熱する際に、第1の熱硬化性樹脂が流れすぎないように、ジアリルフタレート10〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂90〜10重量%とからなるものが好ましく用いられ、特に、ジアリルフタレート50〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂50〜10重量%とからなるものが好ましく用いられる。
プリプレグの有する第1の熱硬化性樹脂に第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を重ねて、加圧加熱する際に、第1の熱硬化性樹脂が流れすぎるときは、第1の熱硬化性樹脂の硬化物が薄くなりすぎて、場合によっては、一部、ガラス繊維織物が第1の熱硬化性樹脂の硬化物で被覆されずに、露出し、その結果、得られる複合シートの透明性が著しく阻害されるおそれがあるからである。
ガラス繊維の屈折率は、通常、1.54〜1.58の範囲にあり、ジアリルフタレートの屈折率は1.57であり、不飽和ポリエステル樹脂の屈折率は、通常、1.48〜1.57の範囲である。本発明において、ジアリルフタレート樹脂の屈折率、不飽和ポリエステル樹脂の屈折率及びジアリルフタレートと不飽和ポリエステル樹脂とからなる熱硬化性樹脂の屈折率とは、それぞれの熱硬化性樹脂の硬化物の屈折率をいう。
一般に、ガラス繊維織物に一体に硬化させてなる複合物の透明性は、ガラス繊維の屈折率と熱硬化性樹脂の屈折率によって決まる。従って、本発明において、透明性にすぐれる複合シートを得るためには、用いるガラス繊維織物と一体化させる第1の熱硬化性樹脂の屈折率と上記ガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であることが好ましい。
上述したように、不飽和ポリエステル樹脂は、通常、1.48〜1.57の範囲の屈折率を有するから、第1の熱硬化性樹脂がジアリルフタレートと不飽和ポリエステル樹脂とからなるときは、その屈折率と用いるガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるように、用いる不飽和ポリエステル樹脂の種類と割合が決定される。
即ち、第1の熱硬化性樹脂として、ジアリルフタレートと不飽和ポリエステル樹脂とからなるものを用いるときは、この第1の熱硬化性樹脂の屈折率がガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率である1.54〜1.58に近くなるように、不飽和ポリエステル樹脂は、好ましくは、屈折率が1.53〜1.57の範囲にあるものを用いて、その割合が決定される。
本発明において、ジアリルフタレートとしては、そのプレポリマーが好ましく用いられている。ジアリルフタレートプレポリマーは、ジアリルフタレート(モノマー)に有機過酸化物やアゾ系重合開始剤を加え、塊状重合させて、線状ポリマーの生成の段階で重合を中止し、貧溶媒中で沈殿させ、濾過、乾燥して得られる白色の粉末である。
一方、不飽和ポリエステル樹脂は、典型的には、無水マレイン酸のような不飽和酸と無水フタル酸のような飽和多塩基酸を併用して、これらを2価アルコールと縮合させて得られる不飽和ポリエステルをスチレンモノマーのような重合性単量体や適宜の有機溶媒に溶解させた液状樹脂をいう。
ジアリルフタレートプレポリマー及び/又は不飽和ポリエステル樹脂からなる第1の熱硬化性樹脂は、通常、重合開始剤を含み、更に、必要に応じて、重合禁止剤、内部離型剤等を含む。上記重合開始剤としては、通常、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド等が用いられるが、これら例示に限定されるものではない。
このような第1の熱硬化性樹脂混合物は、ガラス繊維織物のガラス繊維間に十分に浸透し得る粘度を有するように、適宜の有機溶媒を用いて希釈して、適当な固形分濃度とした液状樹脂組成物とし、これをガラス繊維織物に含浸させ、例えば、スクイズロール等を用いて、樹脂量が所定量になるように調整した後、所定の揮発分を有するように、例えば、熱風乾燥機を用いて乾燥して、第1の熱硬化性樹脂を含むプリプレグを得る。上記有機溶媒は、上記乾燥において、樹脂中にボイドが生成しないように、低沸点溶媒と高沸点溶媒の組み合わせ、例えば、アセトンと酢酸プロピルの組み合わせが好ましく用いられる。
かくして得られるガラス繊維織物プリプレグにおいては、上記第1の熱硬化性樹脂はガラス繊維織物の内部の空隙を充填していると共に、ガラス繊維織物の表裏の両表面を被覆している。
離型フィルム上に第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を形成するには、例えば、離型フィルム上に第2の熱硬化性樹脂を塗布した後、加熱し、又は紫外線や電子線のような電離性放射線を照射して、樹脂にタック性がなく、前述したプリプレグと重ねて、加圧加熱する際に、前記第1の熱硬化性樹脂とは相互に混じり合わないが、その界面では、共重合(共架橋)する程度まで、即ち、相互に接着する程度まで、乾燥させ、一部、重合させる必要がある。
本発明において、第2の熱硬化性樹脂としては、前述したように、屈折率に関係なく、種々のものを用いることができるが、例えば、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン系樹脂等を好ましい樹脂として挙げることができる。なかでも、不飽和ポリエステル樹脂や、これとジアリルフタレートからなるものが好ましく用いられる。
離型フィルムは、特に制限なく、種々のフィルムを用いることができるが、第2の熱硬化性樹脂を塗布した後の加熱乾燥時の熱や、電離性放射線の照射によって発生する熱を考慮すると、耐熱性の点から、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムが望ましい。
また、離型フィルム上に第2の熱硬化性樹脂を塗布する手段は、何ら制限されることなく、例えば、グラビアロール、ナイフコーター等、通常の塗布手段によればよい。
上記電離性放射線としては、波長200〜380nmの紫外線を含むものが好適であり、紫外線源としては、例えば、メタルハライド、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯等が好ましく用いられる。
本発明によれば、第1に、得られる複合シートが透明であるように、プリプレグが含む第1の熱硬化性樹脂の量(固形分)は、ガラス繊維織物100重量部に対して27重量部以上であることが好ましい。更に、第2に、得られる複合シートが不燃性を有するように、第1の熱硬化性樹脂と第2の熱硬化性樹脂との合計量(固形分)は、ガラス繊維織物1m2当たりに400g以下であることが好ましい。
前述したように、本発明によれば、離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂は半硬化しており、第1の熱硬化性樹脂を含むガラス繊維織物プリプレグと重ねても、相互に混じり合わないので、第2の熱硬化性樹脂は、硬化物が透明であれば、その屈折率に関係なく用いることができる。
従って、本発明においては、その透明性を阻害しない限りは、第2の熱硬化性樹脂に種々の添加剤を配合することができる。そのような添加剤として、例えば、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤、補強材等を挙げることができる。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル等を挙げることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等を、また、充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク等を、帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤を挙げることができる。
本発明によれば、前述した第1の熱硬化性樹脂を含むガラス繊維織物プリプレグに離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を重ね、熱圧成形することによって、目的とする透明不燃性シートを得ることができる。
より詳細には、例えば、プリプレグと第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を有する離型フィルムをアルミニウム板の間に挟んで積層体とし、更に、この積層体をクッションの間に挟んだ後、一対の熱盤の間で温度120〜150℃、圧力1.0〜7.0MPaで10分乃至1時間加熱加圧した後、離型フィルムを剥がせば、上記ガラス繊維織物に上記第1及び第2の熱硬化性樹脂の硬化物が一体化してなる透明不燃性シートを得ることができる。
かくして、本発明による透明不燃性シートは、透明性と不燃性にすぐれており、そのうえ、靱性や曲げ特性にもすぐれていて、衝撃を受けても割れ難く、例えば、防煙垂壁として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例と比較例において、得られたシ−トの透明性と全光線透過率と屈折率は以下のようにして評価乃至測定した。
(透明性)
得られたシ−トを通して、2m離れた紙上の60ポイントの「新」なる文字が明瞭に識別できたときを「良好」とし、明瞭に識別できないときを「不良」とした。
(不燃性)
ISO 5660−1に規定するコーンカロリーメーター法に準拠した発熱試験によって評価した。即ち、輻射電気ヒーターによって試料シートの表面に輻射熱50KW/m2を照射する発熱性試験において、(1)加熱開始後20分間の総発熱量が7MJ/m2以下(ISO 5660−1によれば、8MJ/m2以下である。)であると共に、(2)加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200KW/m2を超えず、更に、(3)上記発熱性試験の後も、ガラス繊維織物における経糸間の間隔と緯糸間の間隔がいずれも0.5mm以下であるという条件をすべて満たすときを「合格」とし、上記(1)〜(3)の条件の少なくとも1つを満たさないときを「不合格」とした。尚、不燃性の欄の括弧内の数値は、上記発熱性試験における加熱開始後20分間の総発熱量を参考値として示したものである。
(全光線透過率)
JIS K−7105によった。
(屈折率)
アッベ式屈折計((株)アタゴ光学器械製作所製)を用いて測定した。
実施例1
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末(ダイソー(株)製ダイソーダップ、屈折率1.57、以下、同じ)72.5重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)27.5重量部(固形分)に過酸化ベンゾイル3.5重量部(固形分)、離型剤(中京油脂(株)製リン酸アルキルエステル、セパール325、以下、同じ)0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第1の熱硬化性樹脂を調製した。この第1の熱硬化性樹脂の屈折率は1.56であった。
予め、第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理したガラス繊維(屈折率1.56、以下、同じ)からなる坪量110g/m2の平織りガラス繊維織物に上記第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、所定の揮発分を有するように、熱風式乾燥機を用いて乾燥して、ガラス繊維織物1m2当りに第1の熱硬化性樹脂量(固形分)110g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量100重量部)を含むプリプレグを得た。
ジアリルフタレートプレポリマー粉末72.5重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製商品名サンドーマDH−2200、屈折率1.54)27.5重量部(固形分)に紫外線重合開始剤(チバガイギー(株)製イルガキュア184)3.5重量部(固形分、以下、同じ)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第2の熱硬化性樹脂を調製した。この第2の熱硬化性樹脂の屈折率は1.56であった。
離型フィルム(厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、以下、同じ)上に上記第2の熱硬化性樹脂をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、樹脂量(固形分)13.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。この半硬化物層の硬化度を確認するために、アセトンに浸漬して、溶出量を測定したところ、10%程度であったことから、半硬化物層であることが確認された。
離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層が前記プリプレグに対面するように、前記プリプレグを離型フィルムの間に挟んで重ねて積層体とし、この積層体を一対のアルミニウム板の間に挟み、更に、クッションの間に挟んだ後、一対の熱盤の間で温度130℃、圧力5.0MPa、時間30分の条件で加熱加圧して、複合シートを本発明による透明不燃性シートとして得た。
実施例2
実施例1と同様にして、プリプレグを得た。液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2500、屈折率1.52)100重量部(固形分)に紫外線重合開始剤3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第2の熱硬化性樹脂を調製した。この第2の熱硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.52であった。
この第2の熱硬化性樹脂を用いて、実施例1と同様にして、離型フィルム上に上記第2の熱硬化性樹脂組成物の半硬化物層を調製した。
上記離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂組成物の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例3
実施例1と同様にして、プリプレグを得た。実施例2において、液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製商品名サンドーマDH−2500、屈折率1.52)に代えて、液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2400、屈折率1.48)を用いた以外は、実施例2と同様にして、液状の第2の熱硬化性樹脂を調製した。この第2の熱硬化性樹脂を用いて、実施例1と同様にして、離型フィルム上に上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を調製した。
上記離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例4
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末70.0重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)30.0重量部(固形分)に過酸化ベンゾイル3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第1の熱硬化性樹脂を調製した。この第1の熱硬化性樹脂の屈折率は1.56 であった。
実施例1と同じ平織りガラス繊維織物に上記第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、所定の揮発分を有するように、熱風式乾燥機を用いて乾燥して、ガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)33.0g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量30.0重量部)を有するプリプレグを得た。
ジアリルフタレートプレポリマー粉末70.0重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製商品名サンドーマDH−2200、屈折率1.54)30.0重量部(固形分)に紫外線重合開始剤3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第2の熱硬化性樹脂を調製した。この第2の熱硬化性樹脂の屈折率は1.56であった。
離型フィルム上に上記第2の熱硬化性樹脂をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、樹脂量(固形分)39.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
離型フィルム上の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層が前記プリプレグに対面するように、前記プリプレグを離型フィルムの間に挟んで重ねて積層体とし、この積層体を一対のアルミニウム板の間に挟み、更に、クッションの間に挟んだ後、一対の熱盤の間で温度130℃、圧力5.0MPa、時間30分の条件で加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例5
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末70.0重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)30.0重量部(固形分)に過酸化ベンゾイル3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第1の熱硬化性樹脂を調製した。この第1の熱硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.56であった。
実施例1と同じ平織りガラス繊維織物に上記第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、所定の揮発分を有するように、熱風式乾燥機を用いて乾燥して、樹脂量46.2g/m2(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量42.0重量部)を有するプリプレグを得た。
液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2500、屈折率1.52)のそれぞれ固形分の等重量混合物を調製した。この第2の熱硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.53であった。
上記液状不飽和ポリエステル樹脂100重量部(固形分)に紫外線重合開始剤3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第2の熱硬化性樹脂を調製した。
離型フィルム上に上記第2の熱硬化性樹脂をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、塗布量(固形分)26.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例6
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末90.0重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)10.0重量部(固形分)に過酸化ベンゾイル3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第1の熱硬化性樹脂組成物を調製した。この第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率は1.57であった。
実施例1と同じ平織りガラス繊維織物に上記第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、所定の揮発分を有するように、熱風式乾燥機を用いて乾燥して、ガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)46.2g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量42.0重量部)を有するプリプレグを得た。
離型フィルム上に実施例5と同じ液状の第2の熱硬化性樹脂組成物をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、実施例5と同じく、塗布量27.0g/m2にて第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例7
液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2200、屈折率1.54)と液状不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル(株)製サンドーマDH−2500、屈折率1.52)のそれぞれ固形分の等重量混合物を調製した。この第2の熱硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.53であった。
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末50.0重量部と上記液状不飽和ポリエステル樹脂50.0重量部(固形分)に過酸化ベンゾイル3.5重量部(固形分)、離型剤0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して、液状の第1の熱硬化性樹脂組成物を調製した。この第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率は1.55であった。
実施例1と同じ平織りガラス繊維織物に上記第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、所定の揮発分を有するように、熱風式乾燥機を用いて乾燥して、ガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)112g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量102重量部)を有するプリプレグを得た。
離型フィルム上に実施例5と同じ液状の第2の熱硬化性樹脂組成物をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、樹脂量(固形分)39.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例8
実施例6と同じ液状の第1の熱硬化性樹脂組成物を実施例1と同じ平織りガラス繊維織物に含浸させ、同様にして、ガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)40.0g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量36.0重量部)を有するプリプレグを得た。
離型フィルム上に実施例5と同じ液状の第2の熱硬化性樹脂組成物をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、樹脂量(固形分)26.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
実施例9
実施例4と同じ液状の第1の熱硬化性樹脂組成物を予め、第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理したガラス繊維からなる坪量47g/m2の平織りガラス繊維織物に含浸させ、実施例1と同様にして、ガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)190g(ガラス繊維織物100重量部に対する樹脂量404重量部)を有するプリプレグを得た。
離型フィルム上に実施例4と同じ液状の第2の熱硬化性樹脂組成物をグラビアコータにて塗布した後、紫外線照射を行って、樹脂量(固形分)39.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とした。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを複合シートとして得た。
比較例1
予め、第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理していないガラス繊維からなる坪量110g/m2の平織りガラス繊維織物を用いた以外は、実施例3と同様にして、複合シートを得た。この複合シートにはガラス繊維の周りにボイドがみられ、全体が白濁していることが認められた。
比較例2
実施例4において、プリプレグにおけるガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)27.6g(ガラス繊維織物110重量部に対して25.0重量部)とした以外は、実施例4と同様にしてプリプレグを得た。
また、実施例4と同じ第2の熱硬化性樹脂組成物を用いて、実施例4と同様に、離型フィルム上に樹脂量(固形分)39.0g/m2の第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を調製した。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、複合シートを得た。この複合シートにおいては、ガラス繊維織物に含浸させた樹脂量が少なすぎるために、複合シートの表面からガラス繊維織物のガラス繊維が視認された。
比較例3
実施例4において、プリプレグにおけるガラス繊維織物1m2当り、第1の熱硬化性樹脂量(固形分)を330g(ガラス繊維織物100重量部に対して300重量部)とした以外は、実施例4と同様にしてプリプレグを得た。
また、実施例4と同じ第2の熱硬化性樹脂組成物を用いて、実施例4と同様に、離型フィルム上に塗布量(固形分)39.0g/m2で第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層を調製した。
上記離型フィルム上の熱硬化性樹脂の半硬化物層と上記プリプレグを用いて、実施例1と同様にして、複合シートを得た。この複合シートにおける第1及び第2の熱硬化性樹脂樹の合計量は408g/m2であった。不燃性は、7.2MJ/m2であって、本発明で規定する不燃性の基準を満たさないものであった。
上記実施例1〜9及び比較例1〜3において得た複合シートの透過率、透明性及び不燃性を表1及び表2に示す。一部の複合シートについては、前述した発熱試験における(1)の加熱開始後20分間の総発熱量を示す。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜9の透明不燃性シートは、透過率が高く、透明性及び不燃性にすぐれている。
しかし、比較例1による複合シートは、用いたガラス繊維織物を構成するガラス繊維に予め、所定のシランカップリング剤による処理が施されていないために、全体が白濁していることが認められた。
比較例2による複合シートは、ガラス繊維織物に含浸させた樹脂量が少なすぎるために、複合シートの表面からガラス繊維織物のガラス繊維が視認されて、透明性に劣るものであった。
比較例3による複合シートは、第1及び第2の熱硬化性樹脂樹の合計量が多すぎた結果、本発明で規定する不燃性の基準を満たさないものであった。

Claims (5)

  1. 分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物とこのガラス繊維織物に含浸させ、硬化させた第1の熱硬化性樹脂の透明な第1の硬化物とからなる基材層と、この基材層の両方の表面にて上記第1の硬化物に一体的に硬化し、積層された第2の熱硬化性樹脂の透明な第2の硬化物の層からなる透明不燃性シートであって、上記第1の熱硬化性樹脂がジアリルフタレート10〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂90〜10重量%とからなるものであり、上記ガラス繊維織物における上記第1の熱硬化性樹脂が上記ガラス繊維織物100重量部に対して27重量部以上であると共に、上記第1の熱硬化性樹脂と上記第2の熱硬化性樹脂との固形分換算による合計量が上記ガラス繊維織物1m 2 当たりに400g以下であり、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成する上記ガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものであることを特徴とする透明不燃性シート。
  2. 前記第1の熱硬化性樹脂がジアリルフタレート50〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂50〜10重量%とからなるものである請求項1に記載の透明不燃性シート。
  3. 分子中にアミノ基又は第4級アンモニウム構造を有するシランカップリング剤にて表面処理したガラス繊維からなるガラス繊維織物に第1の熱硬化性樹脂を含浸させ、乾燥させて、第1の熱硬化性樹脂を含むプリプレグとし、別に、第2の熱硬化性樹脂を離型フィルム上に塗布し、一部、重合させて、第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層とし、上記プリプレグの両方の表面に上記離型フィルム上の上記半硬化物層をそれぞれ重ね、加圧加熱して、上記プリプレグの含む上記第1の熱硬化性樹脂を上記第2の熱硬化性樹脂の半硬化物層と一体的に硬化させる透明不燃性シートの製造方法であって、上記第1の熱硬化性樹脂がジアリルフタレート10〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂90〜10重量%とからなるものであり、上記ガラス繊維織物における上記第1の熱硬化性樹脂が上記ガラス繊維織物100重量部に対して27重量部以上であると共に、上記第1の熱硬化性樹脂と上記第2の熱硬化性樹脂との固形分換算による合計量が上記ガラス繊維織物1m 2 当たりに400g以下であり、上記第1の熱硬化性樹脂の屈折率が上記ガラス繊維織物を構成する上記ガラス繊維の屈折率との差が0.03以下であるものであることを特徴とする方法。
  4. 前記第1の熱硬化性樹脂がジアリルフタレート50〜90重量%と不飽和ポリエステル樹脂50〜10重量%とからなるものである請求項3に記載の方法。
  5. 請求項1又は2に記載の透明不燃性シートからなる防煙垂壁。
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