JP3682601B2 - 防炎性及び融着接合部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体 - Google Patents
防炎性及び融着接合部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防炎性と熱融着部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体に関するものであり、特にスポーツ施設、イベント会場、恒久膜構造建築物などに有用な防炎性、熱融着部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、高い防汚性を有し、安定した防炎性を具備し、熱溶着部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、テント地などの膜材料としてポリエステル、ナイロン、及びビニロンなどの合成繊維やガラス繊維などからなる織布に軟質塩化ビニルなどの樹脂を被覆積層した膜材料が多く用いられていた。このような従来の膜材料は軟質塩化ビニル樹脂などの被覆樹脂の配合を調整することによって、安定した防炎性を備え、熱融着部においては、同質材料が熱融着に依り一体化するものであるため、その融着部分の耐熱クリープ性は全く問題無いものであった。しかしこの膜材料からなる融着接合体が屋外において展張されると、樹脂中の可塑剤などの添加物が徐々に表面に移行し、これに雨滴の中及び空気中に漂う汚れ物質が付着し、比較的早期に美観を損ねるという欠点を有していた。
【0003】
これに対して上記膜材料の表面にアクリル樹脂などからなる表面処理を施して汚れ付着防止性を改善した膜材料が知られている。このような表面処理された膜材料は、軟質塩化ビニル樹脂層が露出している従来の膜材料に比べ、熱融着性、及び融着接合体の熱融着部の耐熱クリープ性において若干劣っていたが、イベントテントや恒久膜構造建築物の要求設計基準値を概ねクリアーするものであった。
【0004】
しかし、近年更に汚れの少ない膜材料が要求されており、この要求に応えて膜材料の最外層をフッ素樹脂により形成したものが登場した。この膜材料は高い汚れ付着防止性を有しているが、その反面、熱融着性が不十分であり、その融着接合体の熱融着部の耐熱クリープ性も不十分であり、しかも防炎性が不安定であるなどの欠点を有していた。
前記熱融着性の不足はフッ素樹脂層を除去することにより解決されるが、この除去されたフッ素樹脂の削りかす等の粉塵の飛散があり、これが作業環境や作業効率に対して、極めて高い悪影響を及ぼすものであった。
【0005】
又、塩化ビニル系樹脂膜材料の少なくとも1面上にフッ素樹脂層を形成し、このフッ素樹脂層上、又は他の層上に熱融着性のあるアクリル樹脂を塗布することにより融着性の改善が行われているが、得られる融着接合体の熱融着部の耐熱クリープ性は、イベントテントや恒久膜構造建築物の必要性能を満たすレベルのものではない。防炎性に関しては可塑剤を減量したものや無機難燃剤を大量配合したものが、比較的安定した防炎性を示すようになったが、可塑剤を減量したものや無機難燃剤を大量配合した膜材料は、柔軟性、及び屈曲耐久性等が不十分になり、また、液体難燃剤の防炎可塑剤を配合した場合でも防炎性の顕著な向上は認められず、膜材料の融着接合体の熱融着部の耐熱クリープ性が悪化するため、イベントテント、恒久膜構造建築物などに使用可能な性能レベルには達していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本件は、繊維基布と軟質塩化ビニル系樹脂からなる基材上に、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂が積層され、それによって汚れ付着防止性の高い膜材料を用いて得られ、その安定した高い防炎性を維持したまま、これに良好な熱融着部の耐熱クリープ性を付与した防炎性と熱融着部の耐熱クリープ性とに優れた防水複合膜材料融着接合体を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の防炎性及び熱融着部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体は、繊維布帛からなる基布、並びに、この基布の表裏両面上にそれぞれ形成された軟質塩化ビニル系樹脂下地層、この2層の下地層上に形成されたアクリル樹脂中間層、及びこの2層の中間層上に形成され、少なくとも70重量%のフッ素樹脂を含むフッ素樹脂表裏面層を有する複合膜材料の前記フッ素樹脂表面層の一部分と、それと同一の複合膜材料の前記フッ素樹脂表又は裏面層の一部分とが融着接合されている融着接合体であって、
前記軟質塩化ビニル系樹脂下地層において、軟質塩化ビニル系樹脂に、
(1)5〜50phr の三酸化アンチモンと、
(2)(a)40〜90phr の、分子量が420以上のジ−n−アルキルフタレート、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、ジイソデシルアジペート、及びトリオクチルホスヘートから選ばれた少なくとも1種からなる可塑剤、又は
(b)50〜150phr の、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種の共重合体に一酸化炭素を導入して得られる重合体、又は
(c)90phr 以下の前記可塑剤(a)と、150phr 以下の前記重合体(b)との混合物
が混合されており、
(i)前記接合体がJIS A1322の2級合格の防炎性を有し、かつ、
(ii)前記接合体の融着接合部が、温度65℃〜75℃の雰囲気中、融着接合部の巾4cm及び長さ3cm当り、294Nの荷重下に24時間放置されたとき、融着接合部に剥離及び破断を生じない耐熱クリープ性を有していることを特徴とするものである。
本発明の防水複合膜材料融着接合体において、前記基布が、前記繊維布帛に塗布、貼着又は含浸された接着性樹脂をさらに含んでいてもよい。
本発明の防水複合膜材料融着接合体において、前記フッ素樹脂表裏面層が、ポリフッ化ビニリデン及び、フッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンとの共重合体から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の防水複合膜材料融着接合体において、前記フッ素樹脂表裏面層が、フッ素樹脂と、アクリル樹脂との混合樹脂により形成されていることが好ましい。
本発明の防水複合膜材料融着接合体において、前記フッ素樹脂表裏面層の少なくとも一層上に、形成されたアクリル樹脂層をさらに含んでいてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の防水複合膜材料融着接合体を構成する防水複合膜材料は、例えば図1−(1)及び(2)に示す積層構造を有することができる。
本発明に用いられる防水複合膜材料の基布に含まれる繊維布帛には、天然繊維(例えば綿、麻など)、合成繊維(例えばポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール繊維など)、及び無機繊維(例えばガラス、カーボン繊維など)からなる1種類、あるいは2種類以上を含む紡績糸、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、テープ糸などを用い、これから形成された平織り、綾織、オックスフォード織、絡み織などの織布などが用いられる。
一般にイベントテント、恒久膜構造建築物などに使用される膜材料用の基布には、ポリエステルマルチフィラメント糸、ポリアミド糸、ポリビニルアルコール糸などを用いた合成繊維織布やガラス繊維、カーボン繊維などからなる無機繊維織布を用いることが好ましい。
基布用繊維布帛の目付け量は80〜450g/m2 の範囲内にあることが好ましく、テント等の構造物の必要強度などから任意に選択できる。
基布用繊維布帛には、必要に応じて撥水剤処理、又は接着剤処理が施されていてもよい。
また、基布に含まれる繊維布帛には、接着性樹脂が塗布されて下塗層が形成されていてもよく、或は、繊維布帛に接着性樹脂が含浸されていてもよい。
接着性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、その他効果のある適宜の樹脂を使用することができる。
接着性樹脂が、(ペースト)塩化ビニル樹脂を含む組成物を使用する際は、可塑剤として、分子量が420以上のジ−n−アルキルフタレート、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、ジイソデシルアジペート及びトリオクチルホスヘートから選ばれた少なくとも1種からなる可塑剤を使用することが更に好ましい。
【0009】
本発明でいう軟質塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル系重合体に可塑剤又は可塑化作用を有する重合体と無機防炎剤として三酸化アンチモンを配合したものであり好ましくはさらに安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、及び防黴剤を配合したものである。
【0010】
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体などでありこれらを単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
本発明において、塩化ビニル系樹脂に配合可能な可塑剤(a)としては、分子量が420以上のジ−n−アルキルフタレート、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、ジイソデシルアジペート、トリオクチルホスヘートから選ばれた少なくとも1種類を用いることができる。分子量が420以上のジ−n−アルキルフタレートとしてはジ−n−ノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−ドデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレートであり、アジピン酸系ポリエステル可塑剤としては、アジピン酸と2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、などのグリコール類をエステル化したものである。アジピン酸系ポリエステル系可塑剤の分子量は1600〜2200の範囲内にあることが好ましい。
これらの可塑剤(a)は単独、或いは2種類以上を混合して使用することが出来る。
イソデシルアジペートは、アクリル樹脂中間層に移行しにくく、熱融着部の耐熱クリープ性を低下させない。又、防炎性可塑剤として用いられるリン酸エステル系可塑剤は、アクリル樹脂との相溶性が良好であり、軟質塩化ビニル系樹脂下地層に配合した場合、徐々に、アクリル樹脂層に移行し、軟質塩化ビニル系樹脂下地層とフッ素樹脂表面層の接着性が低下し、耐熱クリープ性も大幅に低下するといった性質があるが、本発明において用いられる防炎性可塑剤としてのトリオクチルホスヘートは、アクリル樹脂中間層に移行しにくく、軟質塩化ビニル系樹脂下地層に配合しても、良好な耐熱クリープ性を維持できる。
塩化ビニル系樹脂下地層への可塑剤(a)の配合量は40から90phr である。可塑剤(a)の添加量が40phr 未満の場合は得られる軟質塩化ビニル系樹脂下地層が硬くなり、膜材料の風合いが硬く、取り扱い性が低下し、また耐寒性も不良になることがある。可塑剤(a)の添加量が90phr を超えると、得られる複合膜材料の耐熱クリープ性が低下する傾向があり、また防炎性も不安定になることがある。
【0011】
また、本発明に用いられる複合膜材料の軟質塩化ビニル系樹脂下地層に、前記可塑剤(a)の代りにいわゆる無可塑用として一般に使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体、及び/又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体に一酸化炭素を導入した重合体(b)を、含有させてもよい。この場合は塩化ビニル系樹脂に対して50〜150phr 使用できる。これらの重合体としては三井デュポンケミカル社製のエルバロイ742(商標)等を使用できる。
重合体(b)の添加量が50phr 未満の場合には、得られる膜材料の風合が硬く取り扱い性が不良になり、また耐寒性も不良になる。また重合体(b)の添加量が150phr をこえると、得られる膜材料の耐熱クリープ性が低下する傾向があり、また防炎性も不安定になる。
或は、前記可塑剤(a)又は重合体(b)の代りに90phr 以下の前記可塑剤(a)と、150phr 以下の前記重合体(b)との混合物を用いてもよい。
【0012】
本発明に用いられる複合膜材料の軟質塩化ビニル系樹脂下地層に添加する防炎剤には、無機防炎剤として三酸化アンチモンが用いられる。その添加量は塩化ビニル系樹脂に対して5〜50phr である。この添加量が5phr 未満であると、得られる複合膜材料の防炎性が不安定になる。またこの添加量が50phr を超えると得られる複合膜材料の塩化ビニル系樹脂下地層の樹脂強度が低下して、取扱い時に亀裂が生じたり、また耐寒性が不良になったりする。
【0013】
安定剤としてはカルシウム・亜鉛系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、鉛系、有機錫ラウレート、有機錫メルカプタイト、エポキシ系、などを単独あるいは混合して添加できる。添加量は塩化ビニル系樹脂に対して0.5から10phr であることが好ましい。
【0014】
紫外線吸収剤としては、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、アクリレート系、サリチル酸系紫外線吸収剤を使用することができる。これらの紫外線吸収剤は、単独あるいは混合したものを塩化ビニル系樹脂に対して好ましくは0.3phr 以上、より好ましくは0.5〜2phr の範囲で添加して使用する。
前記紫外線吸収剤の中から2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートを単独あるいは混合したものを使用するのが、特に好ましく、たとえば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールと2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートをそれぞれ0.5〜1重量部使用すると、樹脂の劣化、着色を防止するのに有効である。
【0015】
光安定剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン系化合物が好ましく使用され、これらにはラジカルを補足して樹脂の劣化を防止する作用がある。このような光安定剤は、塩化ビニル系樹脂に対し好ましくは0.1phr 以上、さらに好ましくは0.2〜0.5phr の範囲で含有される。
【0016】
充填剤としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの1種以上を塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0から30phr 含有させる。
【0017】
塩化ビニル系樹脂下地層は、ペーストゾル状塩化ビニル系樹脂を基布にディッピング、ナイフコーティング、キャスティングなどの方法で形成したり、或はあらかじめフィルム化した軟質塩化ビニル系樹脂を、基布上に熱ラミネートする方法、あるいはTダイスから押出しながらの押出しコーティング、およびこれらを組み合わせた方法で形成される。
【0018】
本発明に用いられる防水複合膜材料において、軟質塩化ビニル系樹脂下地層の外側の中間層を形成するためのアクリル樹脂は、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C4アルコールのエステルを主構成モノマーとする重合体、若しくは共重合体を主成分とする樹脂から選ばれることが好ましい。この様なアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーとしては、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートであり、特にメチルアクリレート、メチルメタクリレートが好ましい。又これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C12アルコールのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンなどのモノマーがある。
【0019】
これらのアクリル樹脂中間層用共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、或はグラフト共重合体であってもよい。例えば、メチルメタクリレート重合体にフッ化ビニリデンをグラフト重合させた共重合体などを使用することもできる。また、アミノ基、イミノ基、エチレンイミン残基、アルキレンジアミン残基を含むアクリレートを用いることもできる。
【0020】
アクリル樹脂中間層の厚さは0.1μm〜10μmがよく、これよりも薄いと軟質塩化ビニル樹脂下地層とフッ素樹脂表面層との接着性が不十分になることがあり、これよりも厚いものは得られる複合膜材の屈曲耐久性が不十分になることがある。このアクリル樹脂中間層の形成は、液状アクリル樹脂塗料を、塩化ビニル系樹脂下地層上に、グラビアコーティング、ナイフコーティング、ディッピング等の方法で所定量付着させ乾燥させる方法や、樹脂溶融物をトッピングする方法、及びフィルム状になったアクリル樹脂を熱ラミネートする方法などを用いることができるが特に制限されるものではない。このアクリル樹脂中間層には、必要に応じて、着色剤を添加してもよい。
【0021】
本発明に用いられる複合膜材料において、2層のアクリル樹脂中間層上に形成されるフッ素樹脂表裏面層用フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン、及びフッ化ビニリデン/テトラフロロエチレン共重合体の中から選ばれた少なくとも1種類、またはこれらの2種類以上の混合物であり、このフッ素樹脂には、アクリル樹脂がさらに混合されていてもよい。フッ素樹脂中のテトラフロロエチレンの含有比率が0〜30重量%であることが好ましく、この含有比率が30重量%を越えた場合は、アクリル樹脂中間層とフッ素樹脂表裏面層との熱融着性が低下し耐熱クリープ性が悪くなることがある。またアクリル樹脂の混合比率は30重量%以下であり、フッ素樹脂の混合比率は少なくとも70重量%である。その混合比率が30重量%を越えた場合には、フッ素樹脂表裏面層の難燃性が低下し、膜材料の防炎性が不安定となる。
【0022】
本発明に用いられる複合膜材料のフッ素樹脂表裏面層において、フッ素樹脂と混合可能なアクリル樹脂としては、アクリル酸及びメタクリル酸のC1〜C4アルコールエステルの1種以上を主構成モノマーとする重合体若しくは共重合体を主成分として含有する樹脂が好ましい。この様なアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーとしては、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートが用いられることが好ましく、特にメチルアクリレート、メチルメタクリレートが好ましい。又これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C12アルコールのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエンなどを用いることができる。
【0023】
これらのアクリル共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、或はグラフト共重合体であってもよい。例えば、メチルメタクリレート重合体にフッ化ビニリデンをグラフト重合させた共重合体などを使用することもできる。また、アミノ基、イミノ基、エチレンイミン残基、アルキレンジアミン残基を含むアクリレートを用いることもできる。
【0024】
前記フッ素樹脂表面層の形成は、樹脂溶液状にした塗料を、アクリル樹脂中間層上に、グラビアコーティング、ナイフコーティング、ディッピング等の方法で所定量付着させ乾燥させる方法、樹脂溶融物をトッピングする方法、及びフィルム状になったフッ素樹脂を熱ラミネートする方法などを使用することができるが、これらに特に制限されるものではない。
【0025】
フッ素樹脂表面層の厚さは0.5μm〜10μmであることが好ましく、これよりも薄いと、得られる複合膜材料のフッ素樹脂表面層が、その取扱中に摩耗等による損傷を受け易くなり、かつ損傷を受けた部分が汚れ易くなりまた、その部分の防炎性、防汚性が低下することがある。また、これよりも厚いものは得られる複合膜材料の折り曲げられた部分に皺跡が残りやすくなることがある。本発明の防水複合膜材においては、フッ素樹脂表面層を両面に形成することにより安定した防炎性が得られることにもう一つの特徴がある。このフッ素樹脂表面層には、必要に応じて着色剤を添加してもよい。
【0026】
本発明に用いられる複合膜材料において
軟質塩化ビニル系樹脂下地層上へのアクリル樹脂中間層の形成、及び、アクリル樹脂中間層上へのフッ素樹脂表裏面層の積層樹脂層の形成は、あらかじめ、フッ素樹脂表又は裏面層とアクリル樹脂中間層とを積層一体化したのち、軟質塩化ビニル系樹脂下地層へ熱圧着などの方法により積層一体化して形成することも可能であり、さらに加工性を重視して、あらかじめ、フッ素樹脂表又は裏面層、アクリル樹脂中間層、軟質塩化ビニル系樹脂下地層を3層押出しなどの方法により積層一体化したのち、基布、あるいは、軟質塩化ビニル系樹脂下地層に熱圧着などの方法により形成することも可能である。
【0027】
本発明に用いられる複合膜材料において両最外に形成されているフッ素樹脂表裏面層の上にアクリル樹脂層を形成することも可能である。本発明の複合膜材料の融着接合体の製造現場では、各種熱融着方法で複合膜材料相互の接合縫製を行っているが、フッ素系樹脂面どうしの熱融着性よりも、フッ素系樹脂/アクリル樹脂間の熱融着性の方がすぐれている。このため最外層のどちらか片面、又は両面にアクリル樹脂層を形成することが好ましい。その際、このアクリル樹脂としては、軟質塩化ビニル系樹脂下地層上の中間層を形成するために用いられたものを使用することができ、このアクリル樹脂最外層の厚さは0.1μm〜10μmであることが好ましい。このアクリル樹脂最外層を設けても、本発明の複合膜材料の防炎性と熱融着部の耐熱クリープ性が損なわれることはない。
【0028】
この様にして得られる本発明用複合膜材料は、その融着接合体の熱融着部の耐熱クリープ性が良好であり、いずれの表面にも均等に良好な防炎性能が付与されている。前記複合膜材料相互の融着接合は、熱風融着機、高周波ウェルダーなどの従来の熱融着接合機を用いて実施することができる。
【0029】
【実施例】
本発明の構成及び効果を、下記実施例によりさらに説明する。
【0030】
(接合方法及び試験方法の説明)
1.接合方法耐熱クリープ性試験方法
接合方法(1):バリアント型ライスター熱風融着機を用いて、タテ糸方向に溶着巾4cmの熱融着部を有するヨコ糸方向に巾3cm、長さ30cmの融着接合体の供試片を作製した。この供試片に、65℃、70℃、又は75℃の温度の雰囲気中で、294Nの荷重を掛け24時間放置した後の融着接合部の状態を下記基準により評価した。
○:剥離及び破断なし △:熱融着部に剥離が発生している ×:熱融着部剥離による破断
接合方法(2):山本ビニター(株)製、YF−7000型高周波ウェルダーを用いて、縫製部タテ糸方向に融着巾4cmの熱融着部を有するヨコ糸方向に巾3cm、長さ30cmの融着接合体の供試片を作製した。この供試片(融着部の巾:4cm、長さ3cm)に温度65℃、70℃、又は75℃の雰囲気中で294Nの荷重を掛け、24時間放置後の融着接合部の状態を下記基準により評価した。
○:剥離及び破断を生じない △:熱融着部に剥離が発生している ×:熱融着部剥離による破断
2.防炎性試験
JIS A 1322法、及びJIS L 1091法にて炭化長、炭化面積、残炎時間、残じん時間を測定し、その結果に基づいてJIS A 1322 2級の合否、及びJIS L 1091区分3の合否を判定した。
3.風合い(取扱い性)
汎用のポリ塩化ビニル系樹脂シートを基準にして、供試試料の手持ち感を評価した。
○:軟らかく取扱い性良好
×:硬く取扱い性不良
4.耐寒性
供試試料の耐寒性を、JIS L 6328の耐寒試験法に従って測定し評価した。
【0031】
実施例1
(1)シート基材の作製(下塗り層及び塩化ビニル樹脂下地層の形成)
基布として、下記組織のポリエステルフィラメント平織物を用いた。
この基布を、フッ素系撥水剤の2%水浴にディップした後、ピックアップ率が45%になるようにゴムマングルで絞り180℃で3分間乾燥した。これを下記配合1のペースト塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物の溶剤希釈剤中に浸漬して、基布に接着性樹脂液を含浸し、絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、基布に対し接着性樹脂を90g/m2 付着させて、接着性樹脂下塗り層を形成した。
<配合1>
ペースト塩化ビニル樹脂 100重量部
ジ−n−デシルフタレート 65重量部
エポキシ化大豆油 4重量部
Ba−Zn系安定剤 2重量部
三酸化アンチモン 20重量部
顔料(TiO2) 5重量部
イソシアネート系接着剤 5重量部
トルエン(溶剤) 20重量部
【0032】
次に、表1の配合2のストレート塩化ビニル樹脂を含む、樹脂組成物からなるフィルム(0.16mm厚)をカレンダーで作成し、これを前記下塗り層含浸基布の両面に貼着して、片面当り200g/m2 の塩化ビニル系樹脂下地層を形成し、合計重量710g/m2 のシート基体を作製した。
【0033】
(2)アクリル樹脂中間層の形成
上記シート基体の軟質塩化ビニル樹脂下地層の両面に、アクリル樹脂として下記配合3の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 のアクリル樹脂中間層を形成した。
<配合3>
【0034】
(3)フッ素樹脂表裏面層の形成
前記形成された表裏両面のアクリル樹脂中間層上に、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン樹脂)として下記配合4の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 のフッ素樹脂表裏面層(ポリフッ化ビニリデン樹脂層)を形成した。
<配合4>
KYNAR(登録商標)710(エルフ・アトケム・ジャパン(株)製)
20重量部
MEK−トルエン−DMF(40/30/30重量比)(溶剤) 80重量部
この防水複合膜材料は、図1−(1)の積層構造を有していた。得られた防水複合材料を前記融着接合及び試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合5に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合6に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0037】
実施例4
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合7に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0038】
実施例5
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合8に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0039】
実施例6
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合9に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0040】
実施例7
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合10に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0041】
実施例8
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合11に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0042】
実施例9
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表1の配合12に変更した。
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0043】
実施例10
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1のフッ素樹脂表裏面層の形成工程を下記のように変更した。
表裏両面のアクリル樹脂中間層上に、フッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン共重合体樹脂(テトラフロロエチレンの含有率25%)として下記配合13の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 のフッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン共重合体樹脂(テトラフロロエチレンの含有率25%)層を形成した。
<配合13>
フッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン共重合体樹脂
(テトラフロロエチレンの含有率25%) 20重量部
MEK−トルエン−DMF(40/30/30重量比)(溶剤) 80重量部
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0044】
実施例11
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1のフッ素樹脂表裏面層の形成工程を下記のように変更した。
表裏両面のアクリル樹脂中間層上に、フッ素樹脂とアクリル樹脂の混合樹脂(アクリル樹脂の混合率20%)として下記配合14の樹脂組成物の溶剤希釈液を、グラビヤコーターを用いて、塗布量が25g/m2 になるように塗布し、120℃で1分間乾燥後冷却し、5g/m2 のフッ素樹脂とアクリル樹脂の混合樹脂(アクリル樹脂の混合率20%)層を形成した。
<配合14>
KYNAR(登録商標)710(エルフ・アトケム・ジャパン(株)製)
16重量部
アクリプレン(登録商標)ペレット HBS001(三菱レイヨン(株)製)
4重量部
MEK−トルエン−DMF(40/30/30重量比)(溶剤) 80重量部
(アクリル樹脂の混合率20%)
得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0045】
実施例12
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1のフッ素樹脂表裏面層を形成した後、更に片面のフッ素樹脂表面層の上に配合3のアクリル樹脂中間層と同一の層を形成した。
この防水複合膜材料は、図−1(2)の積層構造を有していた。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1〜12で得られた膜材料融着接合体は、表1に示すように優れた耐熱クリープ性及び防炎性を示し、風合いも柔らかく取扱い性が良く、耐寒性も良好であった。
【0048】
比較例1
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表2の配合15のように変更し、可塑剤として分子量390のジ−2−エチルヘキシルフタレートを65phr 使用した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例1で得られた膜材料融着接合体に比べて、耐熱クリープ性が悪く、実用に適さなかった。
【0050】
比較例2
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表2の配合17のように変更し、可塑剤として用いられたジ−n−デシルフタレートの配合量を100phr に増量した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例1で得られた膜材料融着接合体に比べて、耐熱クリープ性(70℃、75℃)が不良であり、またその防炎性も不安定であって、実用に適さなかった。
【0052】
比較例3
実施例5と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例5の塩化ビニル樹脂の組成を表2の配合19のように変更し、可塑剤として用いられたエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体(エルバロイ(登録商標)712、三井デュポンポリケミカル(株))の配合量を160phr に増量した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例5で得られた膜材料融着接合体に比べて、耐熱クリープ性(75℃)がやゝ不良であり、また防炎性が不安定であって、実用に適さなかった。
【0053】
比較例4
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1の塩化ビニル樹脂の組成を表2の配合20のように変更し、防炎剤として用いられた三酸化アンチモンの配合量を3phr に減量した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例1で得られた膜材料融着接合体に比べて、防炎性が不安定であり、実用に適さなかった。
【0055】
比較例5
実施例1と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例1のフッ素樹脂表面層を表面のみに形成した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例1で得られた膜材料融着接合体に比べて、裏面の難燃性が低下し、また表裏の難燃性に差が出るためが膜材料の防炎性が不安定となり、実用に適さなかった。
【0056】
比較例6
実施例2と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例2のフッ素樹脂表面層を表面のみに形成した。得られた防水複合膜材料を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例2で得られた膜材料融着接合体に比べて、裏面の難燃性が低下しまた表裏の難燃性に差が出るためが膜材料の防炎性が不安定となり、実用に適さなかった。
【0057】
比較例7
実施例5と同様にして防水複合膜材料融着接合体を作製した。但し、実施例5のフッ素樹脂表面層を表面のみに形成した。得られた防水複合膜材料融着接合体を前記試験に供した。試験結果を表2に示す。
得られた膜材料融着接合体は、実施例5で得られた膜材料融着接合体に比べて、裏面の難燃性が低下しまた表裏の難燃性に差が出るためが膜材料の防炎性が不安定となり、実用に適さなかった。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】
本発明の防水複合膜材料融着接合体は、軟質塩化ビニル系樹脂下地層に配合する可塑剤の選択及び表面層を形成するフッ素樹脂層を両面に形成することにより、安定した防炎性と、熱融着部の良好な耐熱クリープ性とを両立することができた。本発明の複合膜材料融着接合体は、博覧会等のイベントテント、スポーツ施設等の恒久膜構造建築物、大型のテント倉庫等に、表面樹脂を除去する等の特別な操作を加えることなく、従来から広く行われているライスター熱風融着法や高周波ウェルダー法を用いて製造され幅広く使用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1の(1)及び(2)はそれぞれ、本発明に用いられる防水性複合膜材料の積層構造を示す説明図。
Claims (5)
- 繊維布帛からなる基布、並びに、この基布の表裏両面上にそれぞれ形成された軟質塩化ビニル系樹脂下地層、この2層の下地層上に形成されたアクリル樹脂中間層、及びこの2層の中間層上に形成され、少なくとも70重量%のフッ素樹脂を含むフッ素樹脂表裏面層を有する複合膜材料の前記フッ素樹脂表面層の一部分と、それと同一の複合膜材料の前記フッ素樹脂表又は裏面層の一部分とが融着接合されている接合体であって、
前記軟質塩化ビニル系樹脂下地層において、軟質塩化ビニル系樹脂に、
(1)5〜50phr の三酸化アンチモンと、
(2)(a)40〜90phr の、分子量が420以上のジ−n−アルキルフタレート、アジピン酸系ポリエステル可塑剤、ジイソデシルアジペート、及びトリオクチルホスヘートから選ばれた少なくとも1種からなる可塑剤、又は
(b)50〜150phr の、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種の共重合体に一酸化炭素を導入して得られる重合体、又は
(c)90phr 以下の前記可塑剤(a)と、150phr 以下の前記重合体(b)との混合物
が混合されており、
それによって
(i)前記接合体がJIS A1322の2級合格の防炎性を有し、かつ、
(ii)前記接合体の融着接合部が、温度65℃〜75℃の雰囲気中、融着接合部の巾4cm及び長さ3cm当り、294Nの荷重下に24時間放置されたとき、融着接合部に剥離及び破断を生じない耐熱クリープ性を有している、
ことを特徴とする、防炎性及び熱融着部の耐熱クリープ性に優れた防水複合膜材料融着接合体。 - 前記基布が、前記繊維布帛に塗布、貼着又は含浸された接着性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の防水複合膜材料融着接合体。
- 前記フッ素樹脂表裏面層が、ポリフッ化ビニリデン及び、フッ化ビニリデンとテトラフロロエチレンとの共重合体から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の防水複合膜材料融着接合体。
- 前記フッ素樹脂表裏面層が、フッ素樹脂と、アクリル樹脂との混合樹脂により形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水複合膜材料融着接合体。
- 前記フッ素樹脂表裏面層の少なくとも一層上に、形成されたアクリル樹脂層をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水複合膜材料融着接合体。
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