JP5709754B2 - 非天然アミノ酸による複製に依存する微生物およびワクチン - Google Patents

非天然アミノ酸による複製に依存する微生物およびワクチン Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明はワクチンに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸、天然でないアミノ酸、または天然にコードされていないアミノ酸を使用することによって、複製能力が制限されているか、または複製能力を有していないワクチン(生物全体を使用したワクチン(whole organism vaccines)を含む。)を製造する組成物および方法に関する。
〔背景技術〕
技術的な進歩が比較的遅く、ルイ パスツールがこの世を去ってから100年が経過してもなお、彼の「III」(単離、不活性化、注入)のプロトコールが、現在、適用され続けている。しかし、分子生物学の技術や組換えタンパク質の技術の到来とともに、人々は、サブユニットワクチン、および遺伝子組換えが行われた、生物全体を使用したようなワクチンの開発を開始している。近年、免疫学の進展によって、いくつかのクラスの免疫賦活薬(トール様レセプター(TLR)のリガンドが挙げられる。)が見出された。一般に、ワクチンおよびそのアジュバントは、世代が新しくなればなるほど、化学的および遺伝学的により明確に規定されている。
ウイルス、細菌、原生動物および真菌などの病原体に対する処置法、特にワクチンの開発が進行している。このような研究は、ヒトを含む動物における疾患の蔓延を防止するという観点で貴重であることが判明している。実際に、現代医学において、ワクチン接種を含む免疫療法によって、天然痘が撲滅されているし、ポリオ、破傷風、結核、水疱瘡および麻疹などの疾患が事実上撲滅されている。
理想的なワクチンは、一般に、有効期間が長く、予め選択された病原体と全ての表現型変異体とに対して長期間持続する免疫応答を誘導することができ、ワクチンが対象とする疾患を引き起こすことができず、治療的および予防的に有効であり、経済的で標準的な方法論を用いて容易に調製され、現場にて容易に投与され得るものである。
4種の主要なワクチンが市販されている。このようなワクチンとしては、生きていない生物全体を使用したワクチン、弱毒化された生ワクチン、ベクターワクチン、およびサブユニットワクチンが挙げられる。タンパク質などの生きていない材料を用いたワクチン接種は、抗体応答、CD4+のヘルパーT細胞の応答を一般に引き起こす一方、生きている材料(例えば、感染性ウイルス)を用いたワクチン接種はCD8+の細胞傷害性のTリンパ球の応答(CTL応答)を一般に引き起こす。CTL応答は、感染性のウイルスおよび細菌のような病原体を防ぐために極めて重要である。しかし、これは、CTL応答を実現する唯一の確実な方法が、生きている作用物質を用いることであり、この作用物質自体が病原性であるという、問題をもたらす。この問題は、弱毒化されたウイルス株および弱毒化された菌株を用いることによって、またはワクチン接種に用いることができる細胞全体を死滅させることによって、一般に回避されている。これらの方策は、十分機能していたが、弱毒化された株を使用することは、弱毒化された作用物質が宿主細胞内にて遺伝的に組み換えられて、毒性の株に変わることがあるという危険を常に孕んでいる。このため、生きていない材料(タンパク質など)を用いた特定の様式のワクチン接種によって、CD8+のCTL応答を引き起こすことができる処置および方法が必要とされている。
サブユニットワクチンは、これらの問題のいくつかに対処するための手段を備えている。このようなワクチンは、目的の病原体に由来する細胞成分を含んでいる。サブユニットの成分は、病原体の規定された細胞成分分画から製造され得るか、または精製されたタンパク質、核酸もしくは多糖類であり得る。これらの要素の全ては、目的の病原体に対する免疫応答を刺激することができる抗原決定基を有している。一般に、サブユニットワクチンの細胞成分は、破裂させた病原体の調製物を精製することによって得られるか、または周知の手法を用いて合成される。
しかし、サブユニットワクチンに関連する制限がある。第1に、このようなワクチンを製造するための要件は、抗原決定基が特徴付けられており、同定されていなければならないということである。この要件によって、サブユニットワクチンの使用が制限され、特に、変化が極めて起こりやすい抗原決定基を使用することが制限される。第2に、サブユニットワクチンは、一般的に、細胞傷害性のT細胞応答を刺激する上で有効でない。第3に、サブユニットワクチンによって与えられる免疫は、多くの場合、生存が短く、このため、追加免疫を継続的に注入することが必要になる。組換え発現されたサブユニットワクチンのうち、ワクチンが摂取された動物(ヒトを含む。)において強力で長続きする免疫が誘導されたことが示されたものは極めて少数である。注目すべき例外は、ヒトにおいて用いた、組換え表面抗原のB型肝炎ワクチンである。このようなワクチンと関連する問題の1つは、強力な液性免疫と強力な細胞性免疫とが誘導されるように、抗原を免疫系に正確に提示することであると考えられる。特に、ワクチンが接種された動物が、病原体によって引き起こされる天然の感染症に曝露されたときに、非常に素早く反応するための強力な「メモリー」応答を既存の組換え(サブユニット)ワクチンがもたらさないように考えられる。
例えば、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)のようなぺスチウイルスから調製された現在のサブユニットワクチンにおいて、欠陥が大規模に報告されている。これらの研究では、多量の組換えタンパク質をワクチンに用いたとしても、防御の割合が不十分であることが示されており、ワクチンが生きているBVDBの単離物による攻撃を防ぐこと(同種の防御または異種の防御)ができないことが示されている。
有効なワクチンが未だに開発されていない感染症が多く存在する。現在利用可能なワクチンの多くは、疾患に対する部分的な防御を提供するのみである。さらに、ワクチンの現場には、ギャップが存在する。生ワクチンは、他の種類のワクチンよりも、強く、範囲が広く、持続するという免疫を生じさせる。免疫が抑制された個体においても疾患を引き起こすことができないという、より安全な生ワクチンのビヒクルが必要とされている。また、細胞性免疫を誘導し、抗体を基礎とする免疫を誘導しないワクチンも必要とされている。そして、ほとんどの病原体が侵入する身体の粘膜表面にて、防御免疫応答を直接的に誘導することが必要とされている。よって、改良されたワクチンが必要とされている。本発明は、先行技術に存在する欠点の少なくともいくつかを改善する、改良された処置用のワクチンを提供しようとするものである。
〔発明の要旨〕
本発明は、化学的に調節された、複製に依存する生物全体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、複製するための能力が非天然アミノ酸の存在に依存するための修飾を有する、化学的に変更された生物全体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、生物の複製するための能力がこの生物を非天然アミノ酸の存在下にて培養することに依存するための修飾を1個以上有する、生物全体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、生物の複製するための能力がこの生物を1個以上の非天然アミノ酸の存在下にて培養することに依存するための修飾を1個以上有する、生物全体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、生物の複製するための能力がこの生物を1個以上の非天然アミノ酸の存在下にて培養することに依存するための修飾を2個以上有する、生物全体を提供する。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体は、緩和されたワクチン(1個以上の非天然アミノ酸を部位特異的に組み込むことによって調節されるワクチン)であり、免疫剤の複製または発現が非天然アミノ酸の有無によって調節される。
本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、単一の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、1個以上の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、2個の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、3個の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、4個の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、5個の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。本発明のいくつかの実施形態において、生物全体の複製または発現は、4個の遺伝的な修飾に起因して、非天然アミノ酸の有無によって調節される。
生物、抗原、タンパク質、または自己のタンパク質に対する免疫応答を選択的に誘導できること、または外来抗原の特異的なエピトープの免疫原性を増加できることは、多くの疾患の状態(限定されないが、癌、およびタンパク質のフォールディングの疾患が挙げられる。)や感染性疾患(例えば、細菌の感染性疾患またはウイルスの感染性疾患)のためのワクチンを製造する上で重要である。本発明では、非天然アミノ酸を生物に組み込むことを利用して、複製に依存する免疫原および/または複製を喪失した免疫原を製造する。このような免疫原は、生物全体のワクチン接種に使用される。あるいは、本発明は、非天然アミノ酸を生物に組み込むことを利用して、受動免疫に使用される抗体を製造する。また、本発明は、非天然アミノ酸をタンパク質、抗原、および/またはポリペプチドに組み込むことを利用して、ワクチン接種に用いられる免疫原を製造する。あるいは、本発明は、非天然アミノ酸をタンパク質、抗原、および/またはポリペプチドに組み込むことを利用して、受動免疫に使用される抗体を製造する。本発明において、非天然アミノ酸が付加される免疫原は、ワクチン接種される/免疫される被験体の中にある標的部分(例えば、疾患に関連する部分)に対応するか、被験体の中にあり得る標的部分(例えば、疾患に関連する部分)に対応する。非天然アミノ酸を有する免疫原が被験体に投与される実施形態では、非天然アミノ酸が、上記標的部分(例えば、疾患に関連する部分)に対して交差反応性である上記免疫原に対する免疫学的な応答を誘発する。
第1の局面において、本発明は、標的部分に対する免疫学的な応答(例えば、B細胞によって媒介される応答および/またはT細胞によって媒介される応答)を被験体にて生成するか、増強する方法を提供する。この標的部分は、例えば、ポリペプチド、炭水化物または両方の組合せである。標的部分は、被験体の中にあるものであるか、被験体の中にあり得るものである。この方法は、遺伝的に修飾された、非天然アミノ酸に依存する生物を提供する工程、およびこの生物を被験体に投与する工程を包含している。また、この方法は、天然でないアミノ酸を1個以上含んでいる、遺伝的に修飾された天然でない免疫原を提供する工程、およびこの天然でない免疫原を被験体に投与する工程を包含している。被験体は、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、家畜動物、ブタ、ウシ、ニワトリ、鳥かごにて飼育するトリ(cage bird)、大型の鳥小屋にて飼育するトリ(aviary bird)、室内にて飼育する愛玩動物、イヌ、ネコ、爬虫類、および/または両生類である。被験体は、非天然の免疫原に対する抗体を1個以上産生し、これらの抗体は、上記標的部分に対して交差反応性である。このようにして、この標的に対する免疫原性の応答を生成するか、または増強する。
遺伝的に修飾される生物全体は、任意の生物全体であり得るが、被験体がこの生物全体に対して免疫化されることが望ましいものである。このような生物全体としては、例えば、細菌、ウイルス、真菌、マイコプラズマ、原生動物、蠕虫またはプリオンが挙げられる。生物全体を使用したワクチンは、必要に応じて以下のものを1つ以上含んでいてもよい:細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、マイコプラズマ抗原、原生動物抗原、蠕虫抗原、プリオン抗原、HIV抗原、HIVgpl20、HIV gp41、HIV gag、HIV pol、HIV env、HTV tat、HIV nef、HIV rev、カリチウイルスのカプシド抗原、B型肝炎のコア抗原、B型肝炎の表面抗原、肝炎デルタ因子、単純疱疹ウイルスの糖タンパク質、水痘帯状疱疹ウイルスの糖タンパク質、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ、インフルエンザウイルスの核タンパク質、HPVのカプシドタンパク質、パラインフルエンザウイルスのヘマグルチニン/ノイラミニダーゼ、ポリオウイルスのカプシドポリペプチド、Hep A抗原、ワクシニアウイルスのポリペプチド、狂犬病ウイルスの糖タンパク質G、B. burgdorferi OspA、H. influenzae type bの外膜タンパク質、Mycobacterium lipoarabinomannan、mycobacterium mAPG、S. pyogenesのMタンパク質、S. pneumoniaeの莢膜多糖類、Y. pestis Fl、Y. pestis V抗原、P.falciparumのスポロゾイト周囲(circumsporozoite)(PfCSP)、P. falciparumのスポロゾイト表面タンパク質2(PfSSP2)、P. falciparumのリバーステート抗原1のカルボキシル末端(PfLSAl c−term)、P. falciparumの輸出タンパク質1(exported protein)(PfExp−1)、Pfs48/45、Pfs 28、Pfs 25、またはPfs 230。
遺伝的に修飾された、非天然アミノ酸による複製に依存する生物は、以下の1種以上の生物であり得る:細菌、ウイルス、真菌、マイコプラズマ、原生動物、蠕虫、プリオン、アクチノミセス属、バチルス属、バクテロイデス属、ボルデテラ属、バルトネラ属、ボレリア属、ブルセラ属、カンピロバクター属、キャプノサイトファーガ属、クラミジア属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、コクシエラ属、デルマトフィルス(Dermatophilus)、エンテロコッカス属、エーリキア属、エシェリキア属、フランシセラ属、フソバクテリウム属、ヘモバルトネラ属、ヘモフィルス属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、L型の細菌、レプトスピラ属、リステリア属、マイコバクテリウム属、マイコプラズマ属、ナイセリア属、ネオリケッチア属、ノカルジア属、パスツレラ属、ペプトコッカス属、ペプトストレプトコッカス属、肺炎球菌、プロテウス属、シュードモナス属、リケッチア属、ロシャリメア属、サルモネラ属、シゲラ属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トレポネーマ属、エルシニア属、アデノウイルス、アルファウイルス、カリシウイルス、コロナウイルス、CMV、ジステンパーウイルス、エボラウイルス、エンテロウイルス、EBV、フラビウイルス、C型肝炎ウイルス(Hep C)、ヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス(Hep B)、デルタ型肝炎ウイルス(hepititus delta agent)、E型肝炎ウイルスまたはF型肝炎ウイルス、GBV−C、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、免疫不全ウイルス、HIV、伝染性腹膜炎ウイルス、インフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、白血病ウイルス、マールブルグウイルス、オルソミクソウイルス、パピローマウイルス、HPV、パラインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、RSV、パルボウイルス、ペスチウイルス、ピコルナウイルス、ポリオウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、狂犬病ウイルス、レオウイルス、レトロウイルス、ロタウイルス、アブシディア属、アクレモニウム属、アルテルナリア属、アスペルギルス属、バシジオボラス属、ビポラリス(Bipolaris)、ブラストミセス属、カンジダ属、コクシジオイデス属、コニディオボラス属、クリプトコッカス属、クルバラリア(Curvalaria)、エピデルモフィトン属、エクソフィアラ属、ゲオトリクム属、ヒストプラズマ属、マヅレラ属、マラセジア属、ミクロスポルム属、モニリア属(Moniliella)、モルチエレラ属、ケカビ属、ペシロマイセス属、ペニシリウム属、フィアレモニウム(Phialemonium)、フィアロフォラ属、プロトテカ属、シュードアレシェリア属、シュードミクロドキウム(Pseudomicrodochium)、フィチウム属、リノスポリジウム属、リゾプス属、スコレコバシジウム(Scolecobasidium)、スポロトリクス属、ステンフィリウム(Stemphylium)、トリコフィトン属、トリコスポロン属、キシロフィファ(Xylohypha)、バベシア属、バランチジウム属、ベスノイチア(Besnoitia)、クリプトスポリジウム属、エイメリア属、エンセファリトゾーン属、エントアメーバ属、ジアルジア属、ハンモンジア(Hammondia)、ヘパトゾーン(Hepatozoon)、イソスポラ属、リーシュマニア属、微胞子虫門、ネオスポラ属、ノゼマ属、ペンタトリコモナス属、プラスモディウム属、熱帯熱マラリア原虫、ニューモシスチス属、サルコシスティス属、シストソーマ属、タイレリア属、トキソプラズマ属、トリパノソーマ属、アカントケイロネマ属、アエルロストロンギルス(Aelurostrongylus)、アンシロストーマ属、アンギオストロンギルス属、アスカリス属、ブルギア属、ブノストムム属、キャピラリア属、チャベルチア(Chabertia)、クーペリア属、クレモソーマ(Crenosoma)、ディクチオカウルス属、ジオクトフィーム(Dioctophyme)、ジペタロネーマ属、ジフィロボスリウム属、ジプリジウム(Diplydium)、ディロフィラリア属、ドラクンクルス属、エンテロビウス属、フィラロイデス属、ヘモンクス属、ラゴキルアスカリス(Lagochilascaris)、ロアポリペプチド(Loa polypeptide)、マンソネラ属、ムエレリウス(Muellerius)、ナノフィエタス(Nanophyetus)、ネカトール属、ネマトジルス(Nematodirus)、エソファゴストム属、オンコセルカ属、オピストルキス属、オステルタジア属、パラフィラリア(Parafilaria)、パラゴニムス属、パラスカリス(Parascaris)、フィサロプテラ属、プロトストロンギルス(Protostrongylus)、セタリア属、スピロセルカ(Spirocerca)、スピロメトラ属、ステファノフィラリア(Stephanofilaria)、ストロンギロイデス属、ストロンギルス属、テラジア属、トキサスカリス属、トキソカラ属、トリキネラ属、トリコストロンギルス属、トリチュリス属、ウンシナリア属、またはウケレリア属。
別の局面において、本発明は、被験体における疾患の状態を予防的にまたは治療的に処置する方法を提供する。例えば、この方法は、B細胞によって媒介される応答および/またはT細胞によって媒介される応答を被験体において生成することによって行う。種々の実施形態において、疾患の状態は、細菌の感染、ウイルスの感染、真菌の感染、マイコプラズマの感染、プリオンの感染、原生動物の感染、または蠕虫の感染の1つ以上であり得るが、これらに限定されない。この局面の方法のあるセットは、被験体(例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ニワトリ、鳥かごにて飼育するトリ、大型の鳥小屋にて飼育するトリ、爬虫類、または両生類)に、遺伝的に修飾された生物全体を投与する工程を包含している。これによって、遺伝的に修飾された生物全体は、被験体内での抗体の産生を刺激する。この局面の方法の別のセットにおいて、本発明は、被験体における疾患の状態を予防的にまたは治療的に処置する工程を包含している。この工程は、抗体応答を生成することに関与する1つ以上の疾患、状態または生物に対する抗体を製造し、そして、この抗体を単離することによって行う(その後、この抗体を被験体に投与する。)。
タンパク質を設計する究極のツールであるAmbrxの技術を用いた、非天然アミノ酸の部位特異的な組み込みによって、ワクチンを開発する絶好の機会が与えられる。この技術は、免疫賦活薬と抗原とを組み合わせることによって、化学的に十分規定されたナノ構造物を作製する。サブユニットワクチンを開発するために使用することができるこれらのナノ構造物は、抗原の情報と免疫を強化する機能性とを保有している。
さらに、Ambrxの技術を用いて、新規の弱毒化された、生物全体を使用したようなワクチンを作製することもできる。このワクチンにおいて、非天然アミノ酸は、天然でない官能基をタンパク質に導入するためのビヒクルとしての役割というよりもむしろ、病原性の生物体に必須な遺伝子(必須遺伝子)を発現させるためのスイッチとしての役割を果たす。生じた生物は、野生型の生物と同等であるが、自然界に存在しないAmbrxの非天然アミノ酸が存在する場合にのみ複製することができる。
<サブユニットワクチン>
サブユニットワクチンは、効力が低いので、免疫応答を刺激するためのアジュバントが必要とされる。従来、アジュバントは、抗原と一緒になった混合物として調合される。投与されると、抗原は、樹状細胞(DC)に取り込まれ、T細胞に提示される。アジュバントが樹状細胞を刺激すると、サイトカインが放出され、抗原の提示が増進され、そして樹状細胞が成熟する。有効である抗原特異的な免疫応答は、これら2つの独立したプロセス(抗原の提示および免疫の活性化)が同一のDCに集中した場合に、達成される。比較的多くの用量が必要とされる。しかし、このような多くの用量のアジュバントは、抗原に依存しない免疫の活性化(不要な副作用)を引き起こしてしまう。それ故、本質的に、このアプローチは、理想的なものではなく、ワクチンを効力が低く、毒性が高いものとしてしまう。
従来のアジュバント(ミョウバンなど)と異なり、多くの新しく発見されたアジュバントが十分明らかにされている。ユニークといえる部位特異的な非天然アミノ酸の組込みと部位特異的に抱合する能力とによって、Ambrxの技術は、効能が高く毒性が低い次世代のワクチンを作製するに必要なツールを我々にもたらしてくれる。Ambrxのサブユニットワクチンの重要な特徴は、抗原と免疫賦活薬とを組み合わせて、1つの化学的に規定されたナノ構造物にしたことである。2つを処理するDCによってこの構造物が取り込まれた場合、抗原の提示と免疫の活性化とが、同一のDCに集中する。
非天然アミノ酸の部位特異的な組込みは、免疫原性が高い部分(モノニトロフェニル、ジニトロフェニルなど)を有する非天然アミノ酸をタンパク質抗原に直接的に組み込むことを可能にする技術である。近年、小分子の免疫賦活薬(トール様受容体7(TLR7)リガンドであるイミダゾキノリン)が利用可能となっている。これらの小分子の免疫賦活薬を側鎖として有する非天然アミノ酸を設計し、タンパク質抗原に組み込むことが可能である。
Ambrxの部位特異的に抱合する技術は、より一層柔軟性が大きい。この技術は、上述した小分子を、タンパク質抗原の表面に抱合することを可能にするだけでなく、種々の他の免疫賦活薬(例えば、脂質、リポペプチド、多糖類、DNA、RNA、およびナノ粒子)の表面に抱合することを可能にする。
タンパク質の表面に一本鎖DNAを部位特異的に抱合することは、ワクチンを設計するための別の次元の自由を提供する。メチル化されていないCpGを有するDNAはTLR−9のリガンドであり、面白いことに、細胞表面に提示されるのではなく、細胞内に提示される。抗原と抱合されたDNAは、免疫賦活薬としての役割を果たすことができるだけでなく、配列に特異的なハイブリダイゼーションのプロセスを通して、多数の抗原を有する1〜3次元のナノ構造体を形成するための構成要素としての役割を果たすことができる。また、この一般的なスキームを用いて、抗原を他の要素(APCを標的とする試薬および他のTLRリガンドなど)と組み合わせることができる。APCを標的とするもの(抗体またはペプチド)は、ワクチンの有効性を増強し、交差提示を促進できることが示されている。2つの異なるTLRリガンドを組み合わせることによって、より一層大きな相乗効果が発揮される。
Ambrxの部位特異的な抱合は、ワクチンの正確な設計およびワクチンの最適化を可能にする。Ambrxの技術がないとき、非特異的な抱合のプロセスでは、タンパク質抗原上の修飾部位が制限されていたか、あるいは、タンパク質抗原上の修飾部位が制御されなかった。非特異的な抱合はTエピトープおよびBエピトープを変更してしまうことがある。また、非特異的な抱合は、抗体の認識にとって極めて重要な抗原の3次元構造を改変してしまうこともある。さらに、いくつかの修飾は、抗原プロセシングを妨害することもある。これらの要因の全ては、非特異的に抱合されたワクチンをより効果のないものとしてしまう。
<生物全体を使用したワクチン>
ワクチン学は、生物全体を使用したワクチンから始まった。このワクチンは、今日においても未だに、最も成功したワクチンであり、弱毒化された生ワクチンまたは死菌ワクチンとして分類される。生物全体を使用したワクチンにおいて最も重要なことは、ワクチンが、防御性の免疫応答を引き起こすために病原性の生物体そのものにできるだけ近いが、宿主での複製能力が極めて制限されているか、またはこの能力を有していないものであるべきだということである。
このように、複製が制限されるか、または行われないことが望ましい場合、小分子を用いて、微生物の生活環を制御して、より安全で優れたワクチンを作製することができるのだろうか?Ambrxの技術を用いれば、その答えは、イエスである。非天然アミノ酸を、細菌、ウイルスまたは寄生生物において、微生物の複製に必須の遺伝子に組み込んだ場合、これらの生物の生活環は非天然アミノ酸の存在に依存することになる。組み込まれた非天然アミノ酸が自然界に存在しないので、得られた生物は、ウイルスおよび細胞のほぼ正確な成分および構造物を有するが、宿主内にて複製する能力を有していない、生物(ウイルスおよび細菌)である。さらに、Ambrxの技術によって修飾されたウイルスまたは細菌は、ワクチン自体としての役割を果たすことができるだけでなく、遺伝子および抗原を送達するためのベクターとしての役割を果たすことができる。
Ambrxのサブユニットワクチンのプラットフォームは、感染性疾患のワクチンの分野および癌を処置するワクチンの分野の両方において、広範に適用される。現在の癌ワクチンは一般に効果がない。全身的にT細胞を活性化することおよびネガティブ調節のパスウェイを阻害することというアプローチが提案されており、これらのいくつかが臨床試験されている。T細胞の活性化と抗原の認識とを分離することは、重篤な副作用を引き起こし得る。癌ワクチンが有効でないことは、重篤な副作用を引き起こさずに、腫瘍に特異的である強力な免疫応答を誘導する技術が欠如していることに起因している。Ambrxは、癌に特異的である強力な免疫応答(T細胞応答およびB細胞応答を含む。)を引き起こすことができるナノ構造物を作製する技術を提供し、これによって、治療法と予防法との両方に有利な可能性を秘めた新しい世界を開く。
生物全体を使用したワクチンのプラットフォームは、感染性疾患の領域において数え切れないほどの適用が見出されている。培養することができ、そしてゲノムに変異を導入することができるウイルス、細菌または寄生生物が優れた対象である。本発明のワクチンは、ワクチン開発におけるリスク管理を改善し、ワクチンを化学的および遺伝学的により明確に規定し、そして、前例のない効能を提供する。
遺伝的なコードを拡張するために、本発明は、直交性のtRNA(orthogonal tRNA)を製造する組成物および方法を提供する。アミノアシル−tRNAシンテターゼは、天然にコードされていないアミノ酸を用いて、本発明のtRNAをアミノアシル化する。これらの翻訳成分を用いて、選択されたアミノ酸を(核酸の翻訳の間に)成長するポリペプチド鎖の特定の位置に、tRNAによって認識されるセレクターコドンに応じて組み込むことができる。
また、選択されたアミノ酸を特定の位置に有するタンパク質を細胞内にて製造する方法も、本発明の特徴である。例えば、方法は、適切な培地にて細胞を増殖させる工程と、選択されたアミノ酸を提供する工程とを包含している。この細胞は、セレクターコドンを少なくとも1個含んでおり、タンパク質をコードする核酸を含んでいる。さらに、この細胞は、この細胞内にて機能し、セレクターコドンを認識する直交性のtRNA(O−tRNA)と、このO−tRNAを選択されたアミノ酸によって選択的にアミノアシル化する直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)とを含んでいる。典型的に、O−tRNAは、コグネートなシンテターゼの存在下において、抑圧活性(suppression activity)を含んでいる。この方法によって製造されたタンパク質も、本発明の特徴である。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、TΨCのステムの変異部位を有するJ17 tRNAのクローバー型構造を示す図である。
図2は、ヒト成長ホルモンにおけるアンバー変異の抑圧をJ17またはJ17の変異体(F12、F13、F14)を用いて示す図である。各サンプルの全細胞溶解物をSDS PAGEによって分析した。
図3は、ヒト成長ホルモンにおけるアンバー変異の抑圧を、F13を用いた種々の株細胞にて示す図である。
図4は、Ambrxの抑圧システムを含んでいるpVK10−camRベクターの模式図である。
図5は、ラムダレッド成分(Lambda Red components)(bet、gam、エキソヌクレアーゼ)を含んでいるpKD46ベクターの模式図である。
図6は、実施例5にて用いる重複したプライマーおよび方法のスキームを示す図である。プライマーを矢印および識別のための数字によって示す。例えば、Y31およびN51のクローンのためのプライマー1は、それぞれ配列番号18および26である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー2は、それぞれ配列番号19および27である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー3は、それぞれ配列番号20および28である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー4は、それぞれ配列番号21および29である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー5は、それぞれ配列番号22および30である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー6は、それぞれ配列番号23および31である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー7は、それぞれ配列番号24および32である。Y31およびN51のクローンのためのプライマー8は、それぞれ配列番号25および33である。PCR産物は文字によって識別する。メチオニンアミノペプチダーゼを含んでいるアンバーの部位は、アンバー変異に対する重複PCRによって作製した(AおよびB)。これによって、生物全体としてのE. coliが条件致死となる。次いで、変異型メチオニンアミノペプチダーゼを完全な遺伝子(C)と融合し、下流での選択のために、選択可能なマーカー(D)および変異型メチオニンアミノペプチダーゼ(E)の部分断片と組み合わせた。
図7は、人工的なアミノ酸への依存性についてのスクリーニングの模式図である。示した3つのステップは(1)プレートを処理することによって、形質転換体(KanR、AmpRにポジティブな形質転換体など)を採取するステップ、(2)KanR、AmpR、および非天然アミノ酸の存在下にて、生存物を培養するステップ、(3)非天然アミノ酸を有するプレートおよび非天然アミノ酸を有さないプレートにて個々のコロニーを増殖させて、非天然アミノ酸の存在下において増殖しかつ非天然アミノ酸がないときに培養した場合に死滅するコロニー、を選択するステップである。
図8は、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子のY31にてアンバー変異を有するのかについてスクリーニングされたE. coliの細胞培養プレートを2つ示す図である。プレートは、それぞれLB寒天と、50μg/mLのアンピシリンおよび50μg/mLのカナマイシンとを含んでいる培地とでコーティングされている。左側のプレートは、2mMのパラアセチルフェニルアラニンをさらに含んでおり、右側のプレートはパラアセチルフェニルアラニンを含んでいない。A12、C5およびE3が、化学的に修飾された複製に依存するE. coliの例である。
図9は、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子のN51にてアンバー変異を有するのかについてスクリーニングされたE. coliの細胞培養プレートを2つ示す図である。プレートは、それぞれLB寒天と、50μg/mLのアンピシリンおよび50μg/mLのカナマイシンとを含んでいる培地とでコーティングされている。左側のプレートは、2mMのパラアセチルフェニルアラニンをさらに含んでおり、右側のプレートはパラアセチルフェニルアラニンを含んでいない。A12、C5およびE3が、化学的に修飾された複製に依存するE. coliの例である。
図10Aおよび図10Bは、許容できる培地および許容できない培地における増殖を示す図である。オーバーナイトの培養物を、各パネルの上部右隅に示す最適な希釈比にて、グルコースの培地(ダイアモンド)またはアラビノースの培地(円)に接種した。37℃の浸透するスペクトラマックスプレートリーダー内にて96ウェルプレートにおけるOD600をモニターし、顕微鏡検査のためにサンプルを周期的に除去し、アラビノースのプレートに接種した。右の軸に示された生存率の変化(三角形)は、OD600で除することによって正規化したCFUの濃度を用いることよって計算した。それぞれの時点に関し、この値は、T=0の値で除し、本明細書に提示されている値のログである。飽和した接種菌液から測定し、希釈のために訂正した、T=0における1ミリリットル当たり、ODのユニット当たりのCFUの数は、以下のとおりである:WT、4.6×10;frr変異体、3.2×10;gcpE変異体、3.4×10;lpxC変異体、2.2×10;map変異体、2.9×10;murA変異体、8.7×10;ppa変異体、1.5×10;rpsA変異体、1.2×10。培養の動態がたどたどしいことが最もよく示されるように、ODを対数目盛ではなく直線にて示すが、lpxCおよびmapに関して、趨勢線が重複することを防止するために、右側の軸の目盛は異なっている。mur Aの測定の最後の2つの時点に関し、コロニーは増殖しなかった。Herring and BlattnerのJOURNAL OF BACTERIOLOGY, 2004, p. 2673−2681を参考として本明細書に援用した。
図11は、復帰率の特徴の概略図である。遺伝的に修飾された非天然アミノ酸の複製に依存する細胞を、非天然アミノ酸を含む培地にて、1.0の最適密度になるまで増殖させる。次いで、これらの細胞を段階希釈にて非天然アミノ酸が添加された培地に蒔き、コロニーの形成を計算する。そして、残りの細胞を、非天然アミノ酸が存在しない状態で培養して、復帰細胞を検出する。
図12は、変異誘発の方針を示す模式図である。線状のDNAフラグメントをテンプレートである野生型のゲノムDNAから、重複させて伸長させるPCRによって製造した。プライマーの位置を片側だけの矢印によって示す。PCRによって融合した産物を細胞内にエレクトロポレーションし、2回の組換えのイベント(doublerecombination event)の結果、得られた組込みを選択する。アンバー終止コドンを常に保有しているクローンを同定した後に、I−SceI遺伝子を誘導して、Camrをコードする遺伝子を除去する。複製される短い領域内での組み換えによって、他に傷跡のないアンバー変異が生成される。
図13は、アンバー終止コドンを常に保有させる変異誘発にて用いられるプラスミドを示す図である。
図14は、E. coliにおける条件致死性の変異体を作製するステップの模式図である。このステップは、一番上から始まり、(1)条件的な変異のテンプレートを作製するステップ、(2)ラムダレッドの組換え体であるアンバー抑圧のコンピテント株に形質転換するステップ、および(3)ラムダレッドの組換えを誘導するステップを包含している。
図15は、E. coliにおける条件致死性の変異体を特徴付けるステップの模式図である。このステップは、一番上から始まり、(1)形質転換が成功した生物が依存する非天然アミノ酸の存在下および非存在下において、増殖させるステップ、(2)殺菌剤または静菌剤としての変異を特徴付けるステップ、ならびに(3)復帰細胞の頻度を特徴付けるステップを包含している。
図16は、MAPの選択された残基を示す図である。
図17は、MAPの選択された残基を示す図である。
〔定義〕
本発明について詳細に説明する前に、本発明が特定の生物学的システムに限定されず、言うまでもなく変更可能であることを理解されたい。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるときに、単数形“a”、“an”、および“the”は、前後関係から1つのものを明確に示している場合を除いて、複数を指すことを含む。したがって、例えば、“細胞”に対する言及は、2つ以上の細胞の組合せを含み、また、当業者に知られるこれらの等価物などを含んでいる。“細菌”に対する言及は、細菌の混合物などを含んでいる。
本明細書および本明細書の注意喚起において以下に規定されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の同業者に通常理解されるような、同じ意味を有する。
本明細書において述べられているすべての刊行物および特許公報は、例えば、今説明している本発明と関連して使用され得る刊行物に説明されている構築物および方法論を説明し、開示することを目的として、参考として本明細書に援用される。本明細書において議論される刊行物において、本願の出願日の前における開示内容が単に規定される。本明細書において、先の発明によって当該開示に先立つために、または任意の他の理由によって、発明者に権利が与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
タンパク質および/またはタンパク質配列は、それらが共通の祖先のタンパク質またはタンパク質配列から(天然にまたは人工的に)得られる場合に、「相同」である。同様に、核酸および/または核酸配列は、それらが共通の祖先の核酸または核酸配列から(天然にか、または人工的に)得られる場合、相同である。例えば、任意の天然に存在する核酸は、1個以上のセレクターコドンを含むように、任意の利用可能な変異誘発法によって改変され得る。発現させた場合、この変異させた核酸は、1個以上の選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を含有しているポリペプチドをコードする。言うまでもなく、変異プロセスは、1個以上の標準的なコドンをさらに改変し、それによって、得られるタンパク質変異体の1個以上の標準的なアミノ酸も同様に変更することが可能である。この1個以上の標準的なアミノ酸を、天然でないアミノ酸または天然アミノ酸に変更してもよい。相同性は、一般に、2個以上の核酸もしくはタンパク質(またはそれらの配列)間の配列類似性から推測する。相同性を成立させるときに有用な配列間の類似性の正確な割合は、核酸およびタンパク質によって変化することが論争中であるが、日常的には、わずかながら25%の配列類似性を用いて相同性を成立させることができる。高いレベルの配列類似性(例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれ以上)もまた、相同性を成立させるために用いられ得る。配列類似性の割合を決定するための方法(例えば、デフォルトパラメータを使用するBLASTPおよびBLASTN)は、本明細書に記載されており、また、一般に利用可能である。
本明細書に使用されるとき、用語「直交性の」とは、目的の系(例えば、細胞などの翻訳系)によって低減された効率で用いられる分子(例えば、直交性のtRNA(O−tRNA)および/または直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS))のことをいう。直交性とは、直交性のtRNAおよび/または直交性のRSが目的の翻訳系において、機能できないことまたは低減された効率(例えば、20%以下の効率、10%以下の効率、5%以下の効率、または1%以下の効率)にて機能することをいう。例えば、内因性のRSを用いた内因性のtRNAのアミノアシル化と比較した場合、目的の翻訳系における直交性のtRNAは、低減された効率またはゼロに等しい効率で、目的の翻訳系における任意の内因性のRSによってアミノアシル化される。別の例では、内因性のRSを用いた内因性のtRNAのアミノアシル化と比較した場合、直交性のRSは、目的の翻訳系における任意の内因性のtRNAを、低減された効率またはゼロに等しい効率でアミノアシル化する。第2の直交性の分子は、第1の直交性の分子と機能する細胞内に導入され得る。例えば、直交性のtRNA/RSの対は、対応するtRNA/RSの内因性の対に対して、細胞内で共に機能する導入された相補的な成分をある効率(例えば、約50%の効率、約60%の効率、約70%の効率、約75%の効率、約80%の効率、約85%の効率、約90%の効率、約95%の効率、もしくは約99%またはそれ以上の効率)で含む。「直交性の改良」とは、出発原料または天然に存在するtRNAもしくはRSと比較して直交性を向上させることをいう。
用語「コグネートな」とは、共に機能する成分(例えば、tRNAとアミノアシル−tRNAシンテターゼ)のことをいう。また、これらの成分は相補的であるとみなすことができる。
用語「選択的にアミノアシル化する」とは、天然に存在するtRNAまたはO−tRNAを生成するために使用される出発原料の、O−RSによるアミノアシル化と比較したときの、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を用いたO−RSによるO−tRNAのアミノアシル化の効率をいう。この効率としては、例えば、約70%の効率、約75%の効率、約80%の効率、約85%の効率、約90%の効率、約95%の効率、もしくは約99%またはそれ以上の効率が挙げられる。その後、天然でないアミノ酸は、高い忠実度で(例えば、所定のセレクターコドンについて約70%以上の効率で、所定のセレクターコドンについて約75%以上の効率で、所定のセレクターコドンについて約80%以上の効率で、所定のセレクターコドンについて約85%以上の効率で、所定のセレクターコドンについて約90%以上の効率で、所定のセレクターコドンについて約95%以上の効率で、または所定のセレクターコドンについて約99%以上の効率で)成長中のポリペプチド鎖に組み込まれる。
「予防的処置」とは、疾患、病状もしくは医学的な障害の兆候または症状を示さない患者、または疾患、病状もしくは医学的な障害のほんの初期の兆候または症状を示す患者に対して施される処置である。このような処置は、疾患、病状もしくは医学的な障害が進行するリスクを減少、予防または低下させる目的のために施されるような処置である。予防的処置は、疾患または障害に対して予防的な処置として作用する。「予防的な活性」とは、疾患、病状または障害の兆候または症状を示さない患者(または、それらのほんの初期の兆候または症状を示す患者)に対して投与するとき、疾患、病状もしくは医学的障害が進行する患者のリスクを減少、予防または低下させる、物質(非天然の抗原および/または抗体など)またはそれらの組成物の活性である。「予防的に有効な」物質または化合物(例えば、本発明に係る非天然の抗原および/または抗体)とは、疾患、病状もしくは医学的障害の進行を減少、予防または低下させる際に有効な物質または化合物のことをいう。
治療、ワクチンおよび/または予防的処置は、これらの患者に必要に応じて施され得る。また、治療、ワクチンおよび/または予防的処置は様々な動物に施され得る。様々な動物としては、限定されないが、家畜(ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、トリおよび/または他の一般的な農場の動物)および一般的な家庭用ペット(例えば、ネコ、イヌ、オウム、インコなど)が挙げられる。
用語「セレクターコドン」とは、翻訳過程においてO−tRNAによって認識されるが、内因性のtRNAによって認識されないコドンのことをいう。O−tRNAのアンチコドンループは、mRNA上のセレクターコドンを認識し、そのアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸などの選択されたアミノ酸)をポリペプチド内のこの位置に組み込む。セレクターコドンとしては、限定されないが、例えば、終止コドン(限定されないが、アンバーコドン、オーカーコドンおよびオパールコドンが挙げられる)などのナンセンスコドン;4つ以上の塩基コドン;レアコドン:および/または、天然もしくは非天然の塩基対由来のコドンなどを挙げることができる。特定の系に関して、セレクターコドンもまた、天然の3塩基コドンの1つを含み得る。ここで、この内因性の系は当該天然の3塩基コドンを用いない(またはめったに用いない)。例えば、この特定の系は、天然の3塩基コドンを認識するtRNAが欠如している系、および/または天然の3塩基コドンがレアコドンである系を含む。
サプレッサーtRNAは、特定の翻訳系において、メッセンジャーRNA(mRNA)のリーディングを改変するtRNAであり、例えば、セレクターコドンに応じてポリペプチド鎖にアミノ酸を組み込むための機構を提供することによって改変する。例えば、サプレッサーtRNAはコドン(終止コドン、4塩基コドンまたはレアコドンが挙げられるが、これらに限定されない)を介して読める。
用語「抑圧活性」とは、セレクターコドンを介して読むためのtRNA(例えば、サプレッサーtRNA)の能力のことをいう。活性なコントロール(例えば、コグネートなシンテターゼが欠如しているもの)と比較した際に観察される活性の割合として表すことができる。
用語「翻訳系」とは、成長中のポリペプチド鎖(タンパク質)に天然に存在するアミノ酸を組み込むために必要な成分のことをいう。翻訳系の成分としては、例えば、リボソーム、tRNAのシンテターゼ、およびmRNAなどを挙げることができる。本発明の成分は、インビトロまたはインビボの翻訳系に付加することができる。翻訳系の例としては、限定されないが、非真核細胞(例えば、細菌(E. coliなど))、真核細胞(例えば、酵母細胞、哺乳類細胞、植物細胞、藻細胞、真菌細胞、昆虫細胞)、および/または無細胞翻訳系(例えば、細胞可溶化物)などが挙げられる。
翻訳系は、細胞の系または無細胞の系であり得、また、原核細胞の系または真核細胞の系であり得る。細胞の翻訳系としては、限定されないが、透過性細胞など全細胞調整物、または所望の核酸配列がmRNAに転写されて、当該mRNAが翻訳され得る細胞培養物が挙げられる。無細胞翻訳系は市販されており、多くの様々な種類および系が公知である。無細胞系の例としては、限定されないが、真核細胞の可溶化物(大腸菌(Escherichia coli)の可溶化物など)、および真核細胞の可溶化物(麦芽抽出物、昆虫細胞の可溶化物、ウサギ網状赤血球の可溶化物、ウサギ卵母細胞の可溶化物およびヒト細胞の可溶化物など)が挙げられる。真核細胞の抽出物または可溶化物は、得られるタンパク質がグリコシル化、リン酸化、または別の方法で修飾される場合、このような多くの修飾が真核細胞の系においてのみ可能であるため、好ましい。これらの抽出物および可溶化物のいくつかは市販されている(Promega; Madison, Wis.; Stratagene; La Jolla, Calif.; Amersham; Arlington Heights, Ill.; GIBCO/BRL; Grand Island, N.Y.)。また、膜の抽出物(ミクロソームの膜を含有するイヌ膵臓の抽出物など)が利用可能であり、分泌タンパク質を翻訳するために有用である。
また、再生翻訳系を用いてもよい。また、精製翻訳因子の混合物だけでなく、溶解液の組合せ、または開始因子−1(IF−1)、IF−2、IF−3(αまたはβ)、伸張因子 T(EF−Tu)、もしくは終結因子といった精製翻訳因子を補充した溶解液が、mRNAをタンパク質に翻訳するために上手く使用されている。また、無細胞系は、転写/翻訳系と組み合わせられ得る。ここで、参考として本明細書に特に援用されるCurrent Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel et al. editors, Wiley Interscience, 1993)に記載されているように、DNAが系に導入されると、mRNAに転写されて、mRNAが翻訳される。真核生物の転写系において転写されるRNAは、特定の翻訳系において有利であり得る、異核RNA(hnRNA)の形態であり得るか、または5’末端キャップ(7−メチルグアノシン)および3’末端ポリAを尾部につないだ成長したRNAの形態であり得る。例えば、キャップつきのmRNAは、網状赤血球の可溶化物の系内にて高い効率で翻訳される。
用語「選択されたアミノ酸」は、所望される任意の天然に存在するアミノ酸か、または非天然のアミノ酸をいう。本明細書において用いられる場合、用語「非天然のアミノ酸」または「天然にコードされていないアミノ酸」は、任意のアミノ酸、修飾されたアミノ酸、および/または共通の天然に存在する20個のアミノ酸またはセレノシステインもしくはピロリジンの1つではないアミノ酸類似物を指す。用語「天然にコードされていないアミノ酸」および「天然でないアミノ酸(unnatural amino acid)」と同義的に用いられ得る別の用語としては、「非天然アミノ酸(non−natural amino acid)」、「天然に存在しないアミノ酸」、ならびに種々のハイフンでつなげられた形態およびハイフンでつなげられていない形態である。また、用語「天然にコードされていないアミノ酸」は、限定されないが、天然にコードされたアミノ酸(限定されないが、20個の一般的なアミノ酸またはピロリジンおよびセレノシステインが挙げられる。)の修飾(例えば、翻訳後修飾)によって生じるが、その翻訳複合物によって成長中のポリペプチド鎖に天然に組み込まれないアミノ酸を含んでいる。このような天然に存在しないアミノ酸の例としては、限定されないが、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニン、およびO−ホスホチロシンが挙げられる。
<非天然アミノ酸>
本明細書において用いられる場合、非天然アミノ酸または天然でないアミノ酸とは、任意のアミノ酸、修飾されたアミノ酸、またはセレノシステインおよび/またはピロリジン、ならびに以下の標準的な一般にコードされるα−アミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、以外のアミノ酸類似物を指す。本発明の種々の実施形態において、非天然の抗原に組み込まれる1個以上の天然でないアミノ酸は、任意の天然でないアミノ酸であり得る。したがって、本明細書における特定の天然でないアミノ酸の例示は、本発明を限定するものとして必然的に考慮されるべきでないことを理解されたい。多くの種類の天然でないアミノ酸がインビボにおいてそれらをコードすることによって(例えば、直交性のエレメントを含む翻訳系を用いて)タンパク質に組み込まれる。例えば、「Liuら, (2007) “Genetic incorporation of unnatural amino acids into proteins in mammalian cells” Nat Methods 4:239−244」;「Wangら, (2006) “Expanding the genetic code” Annu Rev Biophys Biomol Struct 35:225−249」;「Xie & Schultz (2006) “A chemical toolkit for proteins−an expanded genetic code” Nat Rev MoI Cell Biol 7:775−782」;「Wang and Schultz “Expanding the Genetic Code,” Angewandte Chemie Int. Ed, 44(l):34−66 (2005)」、および「Chinら, (2003) “An expanded eukaryotic genetic code” Science 301:964−967 for a review」を参照のこと。
本発明のいくつかの実施形態では、天然に存在する一般的な20個のアミノ酸または稀に天然に存在するアミノ酸(例えば、セレノシステインもしくはピロリジン)の1つではないという、非天然アミノ酸を用いることが望ましい。例えば、天然でないアミノ酸であるp−ニトロフェニルアラニン、p−スルホチロシン、およびp−カルボキシルフェニルアラニンは、本明細書の種々の実施形態において利用される。いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸としては、限定されないが:p−ニトロフェニルアラニン;o−ニトロフェニルアラニン;m−ニトロフェニルアラニン;p−ボロニルフェニルアラニン;o−ボロニルフェニルアラニン;m−ボロニルフェニルアラニン;p−アミノフェニルアラニン;o−アミノフェニルアラニン;m−アミノフェニルアラニン;p−アシルフェニルアラニン;o−アシルフェニルアラニン;m−アシルフェニルアラニン;p−OMe フェニルアラニン;o−OMeフェニルアラニン;m−OMeフェニルアラニン;p−スルフォフェニルアラニン;o−スルフォフェニルアラニン;m−スルフォフェニルアラニン;5−ニトロHis;3−ニトロTyr;2−ニトロTyr;ニトロで置換されたLeu;ニトロで置換されたHis;ニトロで置換されたDe;ニトロで置換されたTrp;2−ニトロTrp;4−ニトロTrp;5−ニトロTrp;6−ニトロTrp;7−ニトロTrp;3−アミノチロシン、2−アミノチロシン、O−スルフォチロシン、2−スルフォオキシフェニルアラニン、3−スルフォオキシフェニルアラニンまたはp−カルボキシフェニルアラニン、o−カルボキシフェニルアラニン、およびm−カルボキシフェニルアラニンを挙げることができる。一方、本発明は、特定の非天然アミノ酸に限定されないことを理解されたい。
また、本発明の種々の実施形態では、天然でないアミノ酸がインビトロにて免疫原の中に組み込まれ得る。これは、例えば、サプレッサーtRNAが所望の天然でないアミノ酸によって化学的にアシル化され、免疫原の生合成を補助することが可能なインビトロの抽出物に加えられる、生合成の方法を用いて行われる。このようなインビトロにおける合成方法の説明に関しては、例えば、「V. W. Cornish, D. Mendel and P. G. Schultz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl.. 1995, 34:621 (1995)」;「 CJ. Noren, S.J. Anthony−Cahill, M.C. Griffith, P.G. Schultz, “A general method for site− specific incorporation of unnatural amino acids into proteins,” Science 244 182−188 (1989)」;および「J.D. Bain, CG. Glabe, T.A. Dix, A.R. Chamberlin, E.S. Diala, “Biosynthetic site−specific incorporation of a non−natural amino acid into a polypeptide,” J. Am. Chem. Soc. Il l 8013−8014 (1989)」を参照のこと。また、天然でないアミノ酸は、利用可能な合成ペプチド化学反応(すなわち、天然アミノ酸が当該方法によって非天然のアミノ酸に変換され得る。)によって、または翻訳後処理によって、天然にもしくは合成的に生成されるタンパク質に付加され得る。しかし一方で、この翻訳後修飾および化学的修飾は、典型的に、分子の合成中での1個以上の天然でないアミノ酸の組込み(例えば、直交性の翻訳、固相合成などのような直接的な組込み)と同時になされるか、またはこの組込みに加えてなされることを理解されたい。したがって、アミノ酸の翻訳後の追加修飾または化学的修飾は、通常、仮に分子の合成中に加えられる天然でないアミノ酸をすでに有している分子であったとしても、なされる。以下に、天然でないアミノ酸の抗原への非直交性の組込みについてのさらなる情報を提供する。
本明細書において用いられる場合、用語「由来の」とは、特定の分子または生物から単離されるか、または特定の分子または生物からの情報によって作製される成分を指す。
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」は、外因性のポリヌクレオチドを包含する細胞のことをいい、外因性のポリヌクレオチドを細胞に挿入するために用いられる方法は問わない。このような方法としては、例えば、直接的な取込、形質導入、f−交配、または組換え宿主細胞を作製する、当該技術分野にて公知の他の方法が挙げられる。外因性のポリヌクレオチドは、組込みまれないベクター(例えばプラスミド)として維持されてもよいし、宿主のゲノムに組み込まれてもよい。
本明細書において用いられる場合、用語「培養基(“medium”または“media”)」としては、任意の宿主細胞を支持し得るか、または含み得る任意の培地、溶液、固体、半固体、または剛性の支持体が挙げられる。任意の宿主細胞としては、例えば、細菌の宿主細胞、酵母の宿主細胞、昆虫の宿主細胞、植物の宿主細胞、真核生物の宿主細胞、哺乳動物の宿主細胞、CHO細胞、原核生物の宿主細胞、E. coliまたはシュードモナス(Pseudomonas)の宿主細胞、および細胞含有物が挙げられる。したがって、この用語には、宿主細胞が増殖した培養基、例えば、培養液もしくは全有機体または細胞が増殖する培養基を包含し、当該培養基は複製不完全な有機体または細胞の増殖を支持するために含有される非天然のアミノ酸を有し得る。このような培養基は、増殖の前もしくは後の培養基を包含する。また、この用語は、例えば、抗原が細胞内に生成され、宿主細胞が抗原もしくは組換え抗原を放出するために溶解されるかまたは分裂される場合、宿主細胞の溶解物を含有するバッファまたは試薬を包含し得る。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書において用いられる場合、「還元剤」は、スルヒドリル基を還元状態にて維持し、分子内または分子間のジスルフィド結合を減少させる任意の化合物または物質として規定される。適切な還元剤としては、限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2−アミノエタンチオール)、および還元型グルタチオンが挙げられる。多種多様な還元剤が本発明の方法および組成物での使用に適していることは、当業者にとって容易に明白である。
タンパク質のリフォールディングに関して本明細書において用いられる場合、「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去することができる、任意の化合物または物質として規定される。適切な酸化剤としては、限定されないが、酸化型グルタチオン、システイン、シスタミン、酸化型ジチオスレイトール、酸化型エリスリトール、および酸素が挙げられる。多種多様な酸化剤が本発明の方法での使用に適していることは、当業者にとって直ちに明らかである。
本明細書において用いられる場合、「リフォールディング」は、ジスルフィド結合に関して、ジスルフィド結合を含有するポリペプチドを不適切に折りたたまれた状態または折りたたまれていない状態から、ネイティブな立体構造もしくは適切に折りたたまれた立体構造へ変形させる任意のプロセス、反応または方法を記述するものである。
本明細書において用いられる場合、「コフォールディング」は、互いに相互作用する少なくとも2個のポリペプチドを用いて、折りたたまれていないかまたは不適切に折りたたまれたポリペプチドを、ネイティブな適切に折りたたまれたポリペプチドへ変形させる、リフォールディングのプロセス、反応または方法のことを特にいう。
「アミノ末端を修飾する基」は、ポリペプチドのアミノ末端に結合され得る任意の分子を指す。同様に、「カルボキシル末端を修飾する基」は、ポリペプチドのカルボキシル末端に対して結合され得る任意の分子を指す。末端を修飾する基としては、種々の水溶性ポリマー、ペプチドまたはタンパク質(例えば、血清アルブミン、またはペプチドの血中半減期を増加させる他の分子)が挙げられるが、これらに限定されない。
「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「切断基」、「反応性部分」、「化学反応性基」、および「化学反応性部分」という用語は、当該技術において用いられており、本明細書において、ある分子における明確に識別可能な部分または単位を指す。当該用語は、化学の分野において幾分同義語であり、本明細書において、いくつかの機能もしくは活性を担い、他の分子と反応性を示す分子の部分を指すために用いられる。
本明細書において用いられる場合、「連結」または「リンカー」という用語は、通常、化学反応の結果として形成されるグループまたは結合を指し、典型的には共有結合を指す。加水分解に安定な結合とは、限定されないが、長期間にわたって(おそらく永久に)、生理学的環境において結合が水において実質的に安定であり、有用なpH値において水と反応しないことを意味する。加水分解に不安定な結合または分解可能な結合とは、結合が水または水性溶液(例えば、血液が挙げられる)において分解可能であることを意味する。酵素的に不安定な結合または分解可能な結合とは、結合が1個以上の酵素によって分解され得る結合であることを意味する。本技術分野において理解されているように、PEGおよび関連するポリマーは、ポリマー骨格、またはポリマー骨格とポリマー分子の1個以上の末端官能基との間のリンカー基における分解可能な結合を含み得る。例えば、PEGカルボキシル酸または活性化されたPEGカルボキシル酸と、生物学的に活性な剤におけるアルコール基との反応によって形成されるエステル結合は、一般に、生物学的環境において加水分解されて、この剤を放出する。他の加水分解可能な結合は、限定されないが、炭酸結合;アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン結合;アルコールとリン酸基との反応によって形成されるリン酸エステル結合;ヒドラジドおよびアルデヒドの反応産物であるヒドラゾン結合;アルデヒドとアルコールとの反応産物であるアセタール結合;ギ酸とアルコールとの反応産物であるオルトエステル結合;アミン基によって形成されるペプチド結合(限定されないが、PEGといったポリマーの末端における結合)およびペプチドのカルボキシル基によって形成されるペプチド結合;ならびに、限定されないがポリマーの末端における、ホスホラミダイト基およびオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基によって形成されるオリゴヌクレオチド結合が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、用語「生物学的に活性な分子」、「生物学的に活性な部分」、または「生物学的に活性な剤」は、生物に関する生物学的な系、経路、分子、または相互作用の任意の物理学的性質もしくは生物化学的性質に影響を与えることができる任意の物質を意味する。この生物としては、限定されないが、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、菌類、植物、動物、およびヒトが挙げられる。特に、本明細書で用いられる場合、生物学的に活性な分子としては、限定されないが、ヒトまたは他の動物における疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防を意図した任意の物質、あるいは、そうでなければ、ヒトまたは動物の身体的もしくは精神的な健康状態の増強を意図した任意の物質が挙げられる。生物学的に活性な分子の例としては、限定されないが、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子の薬物、ワクチン、免疫原、ハードドラッグ、ソフトドラッグ、炭水化物、無機原子または無機分子、色素、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、トキソイド、毒素、原核細胞、真核細胞、ウイルス、ポリ糖、核酸およびその一部、リポソーム、微粒子、ならびにミセルが挙げられる。上記核酸およびその一部は、ウイルス、細菌、昆虫、動物または任意の他の細胞もしくは細胞型から得られたか、またはこれらに由来するものである。本発明と一緒に使用するに適した生物学的に活性な剤の種類としては、限定されないが、薬物、プロドラッグ、放射性核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心臓血管作用薬、抗不安剤、ホルモン、増殖因子、ステロイド剤、および細菌由来の毒素などが挙げられる。
用語「アリール」は、特に明記しない限り、共有結合によって共に融合したか、または連結した単環または多環(限定されないが、1〜3の環が挙げられる)であり得る、多価不飽和の芳香族炭化水素の置換基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、1〜4個のヘテロ原子を含有しているアリール基(または環)をいう。このヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されており、窒素原子は、必要に応じて4級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合され得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上述のアリールおよびヘテロアリールの環系のそれぞれのための置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
すなわち、他の用語と組み合わせて用いられるときの用語「アリール」としては、上記で規定したようなアリール環およびヘテロアリール環が挙げられる(限定されないが、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルが挙げられる。)。したがって、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合している基を包含することを意味し、限定されないが、ベンジル、フェネチルおよびピリジルメチルなどが挙げられる。アリールアルキルには、炭素原子が酸素原子などによって置換されたアルキル基(限定されないが、メチレン基が挙げられる)が包含される(限定されないが、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、および3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなどが挙げられる。)。
上述の用語(限定されないが、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」が挙げられる)のそれぞれは、示された基の置換された形態および置換されていない形態の両方を包含することを意図されている。それぞれの種類の基のための典型的な置換基を以下に示す。
アルキル基およびヘテロアルキル基(多くの場合、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称される基が挙げられる)のための置換基は、限定されないが、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、NRC(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、NRSO2R’、−CN、および−NO2から選択される種々の基の1つ以上であり得る。置換基の数は、0〜(2m’+1)の範囲であり、m’はこのような基における炭素原子の総数である。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のヘテロアルキル基、置換または非置換のアリール基(限定されないが、1〜3のハロゲンで置換されたアリール基が挙げられる)、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基、あるいはアリールアルキル基を表す。本発明の化合物がR基を1個よりも多く包含している場合、例えば、R基が1個よりも多く存在しているとき、R基のそれぞれは、R’基、R’’基、R’’’基およびR’’’’基のように独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは窒素原子と結びついて、5員環、6員環、または7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含することを意図される。置換基についての上述の議論から、当業者は、用語「アルキル」は、水素基以外の基に結合した炭素原子を包含する基(ハロアルキル(限定されないが、−CF3および−CH2CF3が挙げられる)、およびアシル(限定されないが、−C(O)CH3、−C(O)CF3、および−C(O)CH2OCH3などが挙げられる))を包含することを意図されることを理解する。
アルキル基について記載した置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基のための置換基は多様であり、限定されないが、ハロゲン、OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、OC(O)R’、−C(O)R’、CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、NRC(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、NRSO2R’、−CNおよび−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1−C4)アルキルから選択される。上記置換基の数は、0〜芳香環系のオープンバレンス(open valences)の総数である。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択される。本発明の化合物がR基を1個よりも多く包含している場合、例えば、R基が1個よりも多く存在しているとき、R基のそれぞれは、R’基、R’’基、R’’’基およびR’’’’基のように独立して選択される。
用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらの一本鎖または2本鎖の形態のポリマーをいう。具体的に限定されない限り、この用語は、参照の核酸と同様の結合特性を有し、かつ天然に存在するヌクレオチドと同じような方法で代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含有している核酸を包含する。また、特に具体的に限定されない限り、この用語は、オリゴヌクレオチドの類似体(PNA(ペプチド核酸)が挙げられる。)、アンチセンス技術に使用されるDNAの類似体(ホスホロチオエートおよびホスホロアミダートなど)もいう。また、特に断りのない限り、特定の核酸配列は、それらの保存的に修飾されたバリアント(限定されないが、縮重コドンの置換体が挙げられる。)、相補的配列、および明確に示された配列も、暗黙的に包含する。具体的には、1個以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が、混合された塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換された配列を作製することによって、縮重コドンの置換体が得られ得る(「Batzerら, Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991)」;「Ohtsukaら, J. Biol. Chem. 260:2605−2608 (1985)」;「Rossoliniら, Mol. Cell. Probes 8:91−98 (1994)」)。
置換基が、左から右へと書かれるという従来の化学式に基づいて記載されている場合、該置換基は、右から左へと書かれた構造に由来するであろう化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば、構造CH2Oは−OCH2と同等である。
用語「置換基」としては、限定されないが、「干渉しない置換基」が挙げられる。「干渉しない置換基」は安定な化合物をもたらす基である。適切な干渉しない置換基または干渉しない基としては、限定されないが、ハロゲン、C1−C10のアルキル、C2−C10のアルケニル、C2−C10のアルキニル、C1−C10のアルコキシ、C1−C12のアラルキル、C1−C12のアルカリル、C3−C12のシクロアルキル、C3−C12のシクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル(xylenyl)、ビフェニル、C2−C12のアルコキシアルキル、C2−C12のアルコキシアリール、C7−C12のアリールオキシアルキル、C7−C12のオキシアリール、C1−C6のアルキルスルフィニル、C1−C10のアルキルスルホニル、−(CH2)m−O−(C1−C10のアルキル)(mは1〜8である。)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、複素環基、置換複素環基、ニトロアルキル、−NO2、−CN、−NRC(O)−(C1−C10のアルキル)、−C(O)−(C1−C10のアルキル)、C2−C10のアルキルチオアルキル、−C(O)O−(C1−C10のアルキル)、−OH、−SO2、=S、−COOH、−NR2、カルボニル、−C(O)−(C1−C10のアルキル)−CF3、−C(O)−CF3、−C(O)NR2、−(C1−C10のアリール)−S−(C6−C10のアリール)、−C(O)−(C1−C10のアリール)、−(CH2)m−O−(−(CH2)m−O−(C1−C10のアルキル)(各mは1〜8である。)、−C(O)NR2、−C(S)NR2、−SO2NR2、−NRC(O)NR2、−NRC(S)NR2、およびそれらの塩などが挙げられる。ここで使用された各Rは、H、アルキルまたは置換アルキル、アリールまたは置換アリール、アラルキル、あるいはアルカリルである。
用語「ハロゲン」には、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素が包含される。
単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「アルキル」は、特に明記しない限り、炭素原子の数が指定され(すなわち、C1−C10は1−10個の炭素を意味する。)、完全飽和、一不飽和または多不飽和であり得、二価の基および多価の基を包含し得る、直鎖の、枝分かれ鎖の、または環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味する。飽和炭化水素基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、およびシクロプロピルメチル、ならびに例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの同族体および異性体のような基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1個以上の2重結合または3重結合を有しているものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高級同族体および異性体が挙げられる。また、用語「アルキル」は、特に断りの無い限り、以下にてより詳細に規定されるアルキルの誘導体(「ヘテロアルキル」など)を包含することを意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と称される。
単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、アルカンから誘導された二価の基を意味し、典型的なものとしては、限定されないが、−CH2CH2−および−CH2CH2CH2CH2−の構造が挙げられる。さらに、用語「アルキレン」は、「ヘテロアルキレン」として以下にて記載される基を包含する。典型的に、アルキル基(またはアルキレン基)は1〜24個の炭素原子を有しており、10個以下の炭素原子を有するこれらの基が本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態である。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般的に、8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ(またはチオアルコキシ)」は、従来の意味で使用されており、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に結合するアルキル基をいう。
単独でのまたは別の用語と組み合わせたときの用語「ヘテロアルキル」は、特に明記しない限り、決められた数の炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子からなる安定な直鎖の、枝分かれ鎖の、または環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味する。ヘテロ原子は、O、N、SiおよびSからなる群より選択される。窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよく、ヘテロ原子である窒素原子は、必要に応じて4級化されていてもよい。ヘテロ原子であるO、N、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置、または、アルキル基が分子の残部に結合する位置に配置されていてもよい。例えば、限定されないが、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2,−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。2以下のヘテロ原子は例えば−CH2−NH−OCH3および−CH2−O−Si(CH3)3のように、連続していてもよい。同様に、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキルから誘導された二価の基を意味し、典型的なものとしては、限定されないが、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−が挙げられる。ヘテロアルキレン基に関し、同一の、または異なるヘテロ原子が、鎖の末端のどちらか一方または両方を占有していてもよい(限定されないが、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどが挙げられる)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレンの連結基に関し、連結基の向きは、連結基の式が記載された方向によって示されていない。例えば、式−C(O)2R’は、−C(O)2R’および−R’C(O)2の両方を表す。
単独でのまたは別の用語と組み合わせたときの用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、特に明記しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状の型を表す。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルには、飽和した環の結合、部分的に不飽和した環の結合、および完全に不飽和した環の結合が含まれる。さらに、ヘテロシクロアルキルに関し、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残部に結合している位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、および2−ピペラジニルなどが挙げられる。さらに、上記用語は、二環または三環の環構造を包含する。同様に、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「ヘテロシクロアルキレン」は、ヘテロシクロアルキルから誘導された二価の基を意味し、単独でのまたは別の置換基の一部としての用語「シクロアルキレン」は、シクロアルキルから誘導された二価の基を意味する。
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸、および天然に存在しないアミノ酸、ならびに、天然に存在するアミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物をいう。天然にコードされたアミノ酸は、20個の一般的なアミノ酸、ピロリジン、およびセレノシステインである。20個の一般的なアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と基本的な化学構造(すなわち、α炭素が、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造)が同じである化合物をいい、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。このような類似体は、修飾されたR基を有しているか(ノルロイシンなど)、または修飾されたペプチドの主鎖を有しているが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸についての言及は、例えば、タンパク質生成のための天然に生じるL−アミノ酸;D−アミノ酸、化学的に修飾されたアミノ酸(アミノ酸のバリアントおよび誘導体など);タンパク質生成に関与しない天然に生じるアミノ酸(αアラニン、オルニチンなど);およびアミノ酸の特徴であると当該技術分野において知られている性質を有する化学的に合成された化合物を包含する。天然に存在しないアミノ酸の例としては、限定されないが、αメチルアミノ酸(例えばαメチルアラニン)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2−アミノ−ヒスチジン、αヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、αフルオロメチル−ヒスチジン、およびαメチル−ヒスチジン)、余分なメチレンを側鎖に有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、ならびに側鎖におけるカルボン酸の官能基がスルホン酸基と置換されたアミノ酸(例えばシステイン酸)が挙げられる。
本明細書においてアミノ酸は、IUPAC−IUB生物化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推薦する一般的に知られた3文字表記または1文字表記のどちらかによって示すことがある。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受け容れられている1文字コードによって示すことがある。
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸のことか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列のことをいう。遺伝コードの縮重のため、多くの機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコードしている。例えば、GCA、GCC、GCGおよびGCUのコドンは、全てアラニンのアミノ酸をコードしている。このため、コドンによってアラニンが特定される全ての位置では、コードされるポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンの何れかへコドンを変化させることができる。このような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に修飾された変異の1種である。また、ポリペプチドをコードする本明細書に記載の全ての核酸配列は、この核酸のサイレント変異として可能性のある全てのものを表している。当業者の一人は、機能的に同一の分子が得られるように、核酸における各コドンが修飾され得ることを理解するだろう(なお、メチオニンに対する通常唯一のコドンであるAUG、およびトリプトファンに対する通常唯一のコドンTGGは除く。)。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列に潜在的に含まれる。
アミノ酸配列に関していえば、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の配列に対して、コードされた配列中の1個または数%のアミノ酸を変更、付加または欠失する個々の置換、欠失、または付加を行い、このような変更によって、アミノ酸が欠失されるか、アミノ酸が付加されるか、またはアミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されるときに、「保存的に修飾されたバリアント」が得られることを当業者は理解するであろう。機能的に類似するアミノ酸を示す保存的な置換の表は当業者に公知である。このような保存的に修飾されたバリアントは、本発明の、多型のバリアント、種間のホモログ(interspecies homologs)および対立遺伝子に加えられるものであり、それらを排除するものではない。
機能的に類似するアミノ酸を示す保存的な置換の表は当業者に公知である。以下の8群のそれぞれは、互いに保存的な置換となるアミノ酸を含んでいる:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、トレオニン(T);および、
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、「Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition (December 1993)」を参照のこと)。
2個以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈において、用語「同一性」または「同一性」のパーセンテージは、2個以上の配列またはサブ配列が同じであることをいう。配列を比較ウインドウまたは指定された領域に対して最大限に対応するように対比および整列させ、以下の配列比較アルゴリズム(または当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1個を使用して測定するか、または手動で整列させて目視によって検査して測定した場合に、これらの配列が同じであるアミノ酸の残基またはヌクレオチドを所定のパーセンテージで有するとき(すなわち、指定の領域にわたって約60%の同一性、約65%の同一性、約70%の同一性、約75%の同一性、約80%の同一性、約85%の同一性、約90%の同一性、または約95%の同一性を有するとき)、これらの配列は「実質的に同一」である。また、この定義は試験配列の相補体にも関係する。同一性は、アミノ酸またはヌクレオチドの長さが少なくとも約50である領域にわたって、あるいはアミノ酸またはヌクレオチドの長さが少なくとも75〜100である領域にわたって、あるいは、指定されない場合は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列全体にわたって存在し得る。本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(ヒト以外の種からのホモログを包含する)は、本発明のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを有する標識されたプローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下においてライブラリをスクリーニングする工程と、このポリヌクレオチド配列を含有する全長のcDNAクローンおよびゲノムクローンを単離する工程と、を包含するプロセスによって取得され得る。このようなハイブリダイゼーションは、当業者に周知である。
配列比較を行う際には、典型的に一方の配列を参照配列として、これを試験配列と比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列と参照配列とをコンピューターに入力し、サブ配列の座標を指定し、必要に応じて配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。プログラムのデフォルトのパラメータを使用してもよいし、代わりのパラメータを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムはプログラムのパラメータに基づいて参照配列に対する試験配列の、配列同一性のパーセントを計算する。
本明細書において用いられる場合、「比較ウインドウ」は、2個の配列を最適に整列させた後に、参照配列における同数の連続した位置と比較され得る、ある配列における所定の数の連続した位置の何れか1個の区分への言及を包含する。このようなある配列における連続した位置の所定の数は、20〜600、一般的に約50〜約200、より一般的に約100〜約150から成る群より選択される。比較のために配列を整列させる方法は、当業者に公知である。比較のために最適に整列された配列は、限定されないが、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cのローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性探索法、これらのアルゴリズムのコンピューターソフトウェア(computerized implementations)、(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動によって整列させて、目視によって検査すること(例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement) 参照)によって、比較のために最適に整列することができる。
配列同一性および配列類似性の百分率を決定するために適切であるアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムは、それぞれ、「Altschulら, (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389−3402」および「Altschulら, (1990) J. Mol. Biol. 215:403−410」に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information(ワールドワイドウェブのncbi.nlm.nih.govにて利用可能である))から公的に利用可能である。BLASTアルゴリズムのパラメータであるW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、語長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして用いる。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、語長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリクス(「Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915」を参照のこと)のアライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、ならびに両鎖の比較をデフォルトとして用いる。BLASTアルゴリズムは、典型的に、「低い複雑性」のためのフィルターを使用することなく実施される。
また、BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば「Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873−5787」を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって示される類似性の尺度の一つは、最小合計確率(P(N))である。最小合計確率(P(N))は、2つのヌクレオチド配列間か、または2つのアミノ酸配列間の一致が偶然生じる確立を示す。例えば、試験核酸を参照核酸と比較した場合の最小合計確率が約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満である場合、核酸は参照配列と類似しているとみなす。
語句「に対する選択的な(または特異的な)ハイブリダイズ」は、特定のヌクレオチド配列が複合混合物(限定されないが、全細胞、DNAライブラリ、またはRNAライブラリが挙げられる)に存在するときに、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下において、特定のヌクレオチド配列に対してのみ分子が結合すること、2本鎖を形成すること、またはハイブリダイズすることをいう。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件」は、当該技術分野において知られているような低イオン強度および高温度の条件下における、DNA、RNA、PNA、または他の核酸模倣物、あるいはそれらの組合せの配列のハイブリダイゼーションをいう。典型的に、ストリンジェントな条件下において、プローブは、核酸の複合混合物(限定されないが、全細胞、DNAライブラリ、またはRNAライブラリが挙げられる)中のプローブが標的とするサブ配列とハイブリダイズするが、この複合混合物中の他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は配列に依存し、また、環境が異なれば、ストリンジェントな条件も異なる。配列が長くなるほど、特異的にハイブリダイズするための温度は高くなる。核酸のハイブリダイゼーションの豊富な指針は、「Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays” (1993)」 に見られる。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける、特異的な配列の熱融解温度(Tm)よりも約5〜10℃低いように選択される。このTmは、(規定のイオン強度、pHおよび核酸の濃度において)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である(標的配列が過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において、塩濃度がナトリウムイオンの濃度で約1.0M未満、典型的には、ナトリウムイオン(または他の塩)の濃度で約0.01M〜1.0Mであり、温度が、短いプローブ(限定されないが、10〜50ヌクレオチドのプローブが挙げられる)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(限定されないが、50ヌクレオチドよりも長いプローブが挙げられる)については少なくとも約60℃である、という条件であってもよい。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって実現されてもよい。選択的なまたは特異的なハイブリダイゼーションに関し、ポジティブなシグナルは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2倍であってもよいし、必要に応じて、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍であってもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件の典型例としては、50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSにおいて42℃でインキュベーションするか、または5×SSC、1%SDSにおいて65℃にてインキュベーションし、0.2×SSCおよび0.1%SDSにおいて65℃にて洗浄することが挙げられ得る。この洗浄は、5分間、15分間、30分間、60分間、120分間、またはそれ以上実施され得る。
本明細書において用いられる場合、用語「真核生物」は、系統学的なドメイン(phylogenetic domain)の真核生物(Eucarya)に属する生物をいう。真核生物としては、例えば、動物(限定されないが、哺乳動物、昆虫、爬虫類、鳥類などが挙げられる)、繊毛虫類、植物(限定されないが、単子葉植物、双子葉植物、藻類などが挙げられる)、菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、および原生生物などである。
本明細書において用いられる場合、用語「非真核生物」は、真核生物ではない生物をいう。例えば、真核生物ではない生物は、系統学的なドメインの真正細菌(限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、サーマスサーモフィラス(Thermus thermophilus)、バシラスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)などが挙げられる。)、または系統学的なドメインの古細菌(限定されないが、メタノコックスジャナスキー(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニ(Haloferax volcanii)およびハロバクテリウム属の種であるNRC−1など)、アーケオグロブスフルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカスホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピラムペルニクス(Aeuropyrum pernix)などが挙げられる)に属し得る。
本明細書において用いられる場合、用語「被験体」は、処置、観察または実験の対象である動物をいい、いくつかの実施形態において哺乳動物であり、他の実施形態においてヒトである。動物は、ペット(例えば、イヌおよびネコなど)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタおよびウマなど)、または実験動物(例えば、ラット、マウスおよびモルモットなど)であってもよい。
本明細書において用いられる場合、用語「有効な量」は、投与される修飾された非天然アミノ酸のポリペプチドの量であって、処置される疾患、状態または障害の1つ以上の症状をある程度軽減する量をいう。本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸のポリペプチドを含有している組成物は、予防的処置、増強するための処置、および/または治療的処置のために投与され得る。
用語「増強する」または「増強」は、所望の効果を効力または持続時間について、増加または延長することを意味する。したがって、治療剤の効果の増強に関し、この用語「増強」は、系における他の治療剤の効果を、効力または持続時間のどちらかについて増加または延長する能力をいう。本明細書において用いられる場合、「増強に有効な量」は、所望の系における別の治療剤の効果を増強するに十分な量をいう。患者に使用される場合に、この使用のための有効な量は、疾患、障害または状態の重症度および治療単位(course)、薬歴、患者の健康状態および薬物に対する反応性、ならびに治療を担当する医師の判断に依存する。
本明細書において用いられる場合、用語「ポジティブ選択」または「スクリーニングマーカー」は、例えば、発現されるか、または活性化されるなどして存在する場合、結果として、ポジティブ選択マーカーを有さない細胞からポジティブ選択マーカーを有する細胞を特定するマーカーのことをいう。
本明細書において用いられる場合、用語「ネガティブ選択」または「スクリーニングマーカー」は、例えば、発現されるか、または活性化されるなどして存在する場合、(例えば、所望の性質を有している細胞と比較した際に)所望の性質を有していない細胞を特定することが可能なマーカーのことをいう。
本明細書において用いられる場合、用語「レポーター」は、標的とする目的の系の成分を選択するために用いることができる成分をいう。例えば、レポーターは、抗菌耐性または抗菌感受性を与えるタンパク質を包含し得る。このタンパク質としては、例えば、酵素(限定されないが、βラクタマーゼおよびクロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(CAT)などが挙げられる。)、蛍光スクリーニングマーカー(限定されないが、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP)、YFP、EGFP、RFPが挙げられる。)、発光マーカー(限定されないが、ホタルルシフェラーゼタンパク質が挙げられる。)、親和性に基づくスクリーニングマーカー、またはポジティブ選択もしくはネガティブ選択が可能なマーカー遺伝子が挙げられる。ポジティブ選択もしくはネガティブの選択が可能なマーカー遺伝子としては、例えば、lacZ、b−gal/lacZ(b−ガラクトシダーゼ)、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)、his3、ura3、leu2またはlys2などが挙げられる。
本明細書において用いられる場合、用語「真核生物」は、系統学的なドメイン(phylogenetic domain)の真核生物(Eucarya)に属する生物をいう。真核生物は、例えば、動物(限定されないが、哺乳動物、昆虫、爬虫類、鳥類などが挙げられる)、繊毛虫類、植物(限定されないが、単子葉植物、双子葉植物および藻類が挙げられる)、菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、および原生生物などがある。
本明細書において用いられる場合、用語「非真核生物」は、真核生物ではない生物をいう。例えば、真核生物ではない生物は、系統学的なドメインの真正細菌(限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、サーマスサーモフィラス(Thermus thermophilus)、バシラスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)などが挙げられる。)、または系統学的なドメインの古細菌(例えば、メタノコックスジャナスキー(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニ(Haloferax volcanii)およびハロバクテリウム属の種であるNRC−1など)、アーケオグロブスフルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカスホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピラムペルニクス(Aeuropyrum pernix)などが挙げられる)に属し得る。
また、以下のウイルス外被タンパク質の非限定的な例を包含する。すなわち、フィロウイルス(エボラウイルスなど)、オルソミクソウイルス(インフルエンザウイルスなど)、VSV−G、アルファウイルス(セムリキ森林ウイルスおよびシンドビスウイルスなど)、アリーナウイルス(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスなど)、フラビウイルス(ダニ媒介性脳炎ウイルスおよびデングウイルスなど)、ラブドウイルス(水疱性口内炎ウイルスおよび狂犬病ウイルスなど)、モロニー白血病ウイルス、HSV、VZV、流行性耳下腺炎ウイルス、ライノウイルス、麻疹、風疹、アルボウイルス、エンテロウイルス(ポリオ、コクサッキー、エコーウイルスなど)、ポリオウイルス、コクサッキーB、A&エコーウイルス、ライノウイルス、肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、アストロウイルス、トガウイルス、アルファウイルス、ペスチウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザ、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、ブニヤウイルス科、レオウイルス科、レオウイルス、ロタウイルス、HTLV、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、EBV、CMV、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルス由来の外被タンパク質が挙げられる。
<保存的なバリアント>
用語「保存的なバリアント」は、保存的なバリアントが基にした成分(例えば、O−tRNAまたはO−RS)のように機能的に作用するが、その配列が変化している翻訳成分をいう。翻訳成分としては、例えば、保存的なバリアントであるO−tRNA、または保存的なバリアントであるO−RSが挙げられる。例えば、O−RSは、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)とともに、相補的なO−tRNAか、または保存的なバリアントであるO−tRNAをアミノアシル化し得るが、O−tRNAと保存的なバリアントであるO−tRNAとは同じ配列を有していない。同様に、tRNAは、相補的なO−RSか、または保存的なバリアントであるO−RSによって、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)ともにアミノアシル化され得るが、O−RSと保存的なバリアントであるO−RSとは同じ配列を有していない。保存的なバリアントが対応するO−tRNAまたはO−RSと相補的である限り、保存的なバリアントは、配列内に、例えば1個の変異、2個の変異、3個の変異、4個の変異または5個以上の変異を有し得る。
<選択剤またはスクリーニング剤>
本明細書において用いられる場合、用語「選択剤またはスクリーニング剤」は、存在する場合、ある集団から特定の成分を選択/スクリーニングすることができる物質をいう。例えば、選択剤またはスクリーニング剤としては、限定されないが、栄養剤、抗生物質、光の波長、抗体または発現されたポリヌクレオチドなどが挙げられる。選択剤は、例えば、濃度、輝度などに関して変更し得る。
用語「効率的に認識されない」は、1つの生物から得られたRSがO−tRNAをアミノアシル化する際の効率(例えば、約10%未満、約5%未満または約1%未満)をいう。
〔詳細な説明〕
今日まで、ワクチンは死滅させた生物か、または弱毒化した生物から作製されたものに限られている。熱処理、UV処理、ホルムアルデヒド処理によって微生物を死滅させると、ネイティブなエピトープを減少させる結果になる。また、弱毒化させたウイルスは、通常、遺伝子の欠失および切断によって製造しており、これは、極めて低いがゼロではない複製を引き起こすことになる(患者、特に、若年の患者、年配の患者、免疫系に欠陥のある患者に対してリスクがある。)。
一実施形態において、本発明は、生物全体を修飾したワクチンを提供する。別の実施形態において、本発明は、1個以上の非天然アミノ酸による複製に依存する、遺伝的に修飾した、生物全体を使用したワクチンを提供する。本発明は、ネイティブな微生物を内包するワクチンを提供する。このワクチンは、アジュバントの有無を問わず使用され得る。さらに、本発明は、高免疫原性であり、体液およびT細胞を媒介した応答を引き起こすネイティブなエピトープを提供し得る。これによって、より効果的なワクチンを提供する。本発明は、1個以上の天然ではない、非天然のまたは天然にコードされていないアミノ酸を、ウイルスまたは細菌の1個以上の位置に組み込んでいるワクチンを提供する。本発明のいくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、複製に必要な微生物の一部に包含される。これによって、弱毒化したウイルスに関連するリスクが排除されるとともに、ウイルス/細菌を死滅させる必要がなくなる。天然にコードされていないアミノ酸が組み込まれているワクチンは、構造上、ネイティブな微生物に非常に近いが、複製能力がないか、または自然環境において限定された複製能力しかない微生物を提供する。微生物の複製の完全なコントロールは、終止コドンの抑圧によって必須遺伝子の発現(機能)をコントロールするための、アミノ酸の部位特異的な組込み(以下に詳述する)によって実現される。ウイルスに関して、宿主産生細胞の系統は、増殖のために必要とされる天然でないアミノ酸を部位特異的に組み込む。細菌に関して、ゲノムは、部位特異的に組み込まれる1個以上の非天然のアミノ酸を含有するように設計される。
必須遺伝子の機能を制御することは、遺伝的レベルおよび構造的な機能レベルにて実現され得る。例えば、表2、遺伝的レベルでは、全長の必須遺伝子が天然に組み込まれないアミノ酸の存在下において発現される。構造的機能レベルでは、必須遺伝子は天然でないアミノ酸の存在下において特定の位置でのみ機能するように設計される。この位置における任意の天然アミノ酸の組込みによって、そのネイティブな機能が失われることになる。伝統的に、複製の減衰と産生とのバランスをとるために必須であった、所望のワクチンの免疫原性および過度にまたは過剰に制御される複製の自由度を、当業者は、天然でないアミノ酸を自由に選択することによって、改変することができる。天然でないアミノ酸の部位特異的な組込みは、天然でないアミノ酸が存在しない条件において複製能力のないワクチンを開発するツールを提供する。
本技術を用いるためにワクチンが開発され得る細菌およびウイルスは、公知のウイルスを包含する。非限定的な例として、この公知のウイルスとしては、ヒトライノウイルス(HRV)、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、エプスタインバーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)などの上気道に作用するウイルス;ロタウイルス、ノーウォーク物質、A型肝炎(HAV)、ポリオウイルスおよび他のピコルナウイルスなどの胃腸(GI)管に作用するウイルス;限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)1、HSV−2、VZV、CMV、EBV、HHV−6、HHV−7およびHHV−8などの性感染ウイルス;CMV、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。細菌の非限定的な例としては、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌を包含する。グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌としては、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、マイコバクテリウム(例えば、マイコバクテリウムアビウム(Mycobacterium avium)およびヨーネ菌(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis))、エンテロコッカス、コリネバクテリウム、ボレリア、バチルス、クラミジアおよびマイコプラズマなどが挙げられる。
1つ以上の選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を含有するタンパク質を作製するのに適した翻訳系は、米国特許出願公開第10/126,931号明細書(発明の名称「METHODS AND COMPOSITION FOR THE PRODUCTION OF ORTHOGONAL tRNA−AMINOACYL tRNA SYNTHETASE PAIRS」)および米国特許出願公開第10/126,927号明細書(発明の名称「IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS」)に記載されている。また、米国出願番号第10/825,867号明細書(発明の名称「EXPANDING THE EUKARYOTIC GENETIC CODE」)を参照のこと。これらの文献は、それぞれ、本明細書に参考として援用される。この翻訳系は、一般に、直交性のtRNA(O−tRNA)、直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)、および選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を含有する細胞を包含する。O−RSは、選択されたアミノ酸によってO−tRNAをアミノアシル化する。本発明の直交性の対は、O−tRNA(例えば、サプレッサーtRNAまたはフレームシフトtRNAなど)およびO−RSからなる。O−tRNAは、第1のセレクターコドンを認識するとともに、セレクターコドンに応答してコグネートなシンテターゼの存在下において活性が抑圧されている。細胞はこの成分を利用し、選択されたアミノ酸を伸張しているポリペプチド鎖に組み込む。また、例えば、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有している核酸が存在し得る。このポリヌクレオチドは、O−tTNAによって認識されるセレクターコドンを含有している。また、翻訳系は、インビトロにおける系であり得る。本発明のtRNA分子は、任意の翻訳系において有用である。任意の翻訳系としては、翻訳においてリボソームを利用する系が挙げられる。
また、翻訳系は、無細胞の(インビトロの)翻訳系であってもよい。テンプレート(インビトロにおける翻訳)としてmRNAか、またはテンプレート(インビトロにおいて転写と翻訳を兼ね備える)としてDNAのいずれかを含み得るこれらの系において、インビトロにおける合成はリボソームに誘導される。相当な努力が、無細胞タンパク質発現系の発展に対して注がれている。例えば、参考として本明細書に援用される、「Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 74 :309−316 (2001)」;「 Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology Letters, 22, 1537−1542, (2000)」;「Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology Progress, 16, 385−390, (2000)」;「 Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 66, 180−188, (1999)」;および「Patnaik, R. and J.R. Swartz, Biotechniques 24, 862−868, (1998)」;米国特許第6,337,191号明細書;米国特許出願公開第2002/0081660号明細書;国際公開第00/55353号パンフレット;国際公開第90/05785号パンフレットを参照のこと。適用され得る他の方法としては、mRNA−ペプチド融合技術が挙げられる。例えば、「R. Roberts and J. Szostak, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 94:12297−12302 (1997) 」;「A. Frankelら, Chemistry & Biology 10:1043−1050 (2003)」を参照のこと。この方法において、ピューロマイシンに連結されたmRNAのテンプレートは、リボソーム上において翻訳される。1個以上のtRNA分子が修飾されると、天然でないアミノ酸が、同様にペプチドに組み込まれ得る。最後のmRNAコドンが読まれた後に、ピューロマイシンは、ペプチドのC末端を捕捉する。結果のmRNA−ペプチド抱合物は、インビトロのアッセイにおいて興味深い性質を有することを見出されている場合に、その同一性は、mRNA配列から容易に明らかにされ得る。この方法において、所望の性質を有するポリペプチドを同定するために、天然にコードされていないアミノ酸を1個以上含んでいるポリペプチドのライブラリをスクリーニングし得る。より最近に、精製成分を用いたインビトロでのリボソームによる翻訳は、天然にコードされていないアミノ酸に置換されたペプチドの合成を可能にすることを、報告されている。例えば、「A. Forsterら, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 100:6353 (2003)」を参照のこと。
ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている細菌を提供する。本発明の別の実施形態において、細菌は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有するように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているウイルスを提供する。本発明の別の実施形態において、ウイルスは、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているヨーネ菌細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、ヨーネ菌細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている髄膜炎の細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、髄膜炎の細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている狂犬病の細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、狂犬病の細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている藻細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、藻細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているウイルスの細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、ウイルスの細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている細菌細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、細菌細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれている真菌細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、真菌細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。
ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているポリオの細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、ポリオの細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているE. coli細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、E. coli細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。ある実施形態において、本発明は、非天然アミノ酸が必須遺伝子の産物に組み込まれているマイコバクテリウム細胞を提供する。本発明の別の実施形態において、マイコバクテリウム細胞は、複製に必要な遺伝子の産物中に非天然アミノ酸を含有させるように遺伝的に修飾されている。
ある実施形態において、本発明の遺伝的に修飾された非天然アミノ酸に依存する細胞を、ワクチンを作製するために用いてもよい。ある実施形態において、本発明の遺伝的に修飾された非天然アミノ酸に依存する細胞を、ワクチンとして投与され得る抗体を作製するために用いてもよい。ある実施形態において、本発明の遺伝的に修飾された天然でないアミノ酸に依存する細胞は、接種で用いられ得る。
ある実施形態において、本発明のtRNAを含有しているE. coli細胞は、この翻訳系を含んでいる。例えば、本発明のE. coli細胞は、直交性のtRNA(O−tRNA)を含んでいる。O−tRNAは、コグネートなシンテターゼの存在下において、セレクターコドン;直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS);選択されたアミノ酸;および目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する核酸に応じて、抑圧活性を発揮する。目的のポリヌクレオチドは、O−tRNAによって認識されるセレクターコドンを含んでいる。
また、本発明は、細胞内で複数のO−tRNA/O−RSの対を特徴づけており、1個以上の選択されたアミノ酸の組込みを可能にする。ある実施形態において、この細胞は、さらなる別のO−tRNA/O−RSの対および第2の選択されたアミノ酸をさらに含み得る。O−tRNAは第2のセレクターコドンを認識し、O−RSは第2の選択されたアミノ酸によってO−tRNAを選択的にアミノアシル化する。例えば、細胞は、メタノコッカスジャナスキー(Methanococcus jannaschii)のチロシル−tRNAシンテターゼ由来のアンバーサプレッサーtRNA−アミノアシルtRNAシンテターゼの対などをさらに含み得る。
O−tRNAおよび/またはO−RSは、天然に存在し得るか、または天然に存在する種々の生物からのtRNAおよび/またはRSの変異によって得られる。O−tRNAおよび/またはO−RSは、tRNAのライブラリおよび/またはRSのライブラリを生成する。例えば、直交性のtRNA/アミノアシル−tRNAシンテターゼの対を作製する方法の1つには、例えば、宿主細胞以外の1つの供給源、または複数の供給源からの異種のtRNA/シンテターゼの対を宿主細胞に取り込むことを包含する。異種のシンテターゼ候補の性質は、例えば、任意の宿主細胞をチャージしない性質を含み、異種のtRNA候補の性質は、例えば、任意の宿主細胞シンテターゼによってアミノアシル化されない性質を含む。また、異種のtRNAは全宿主細胞のシンテターゼに対して直交性である。
直交性の対を作製するための第2の方法は、選別および/または選択したO−tRNAまたはO−RSからの変異ライブラリを生成することを包含する。また、これらの方法は組み合わせることができる。
種々の実施形態において、O−tRNAおよびO−RSは少なくとも1種の生物から得られる。別の実施形態において、O−tRNAは、天然に存在するtRNAから得られるか、または第1の生物からの変異した天然に存在するtRNAであり、O−RSは天然に存在するRSから得られるか、または第2の生物からの変異した天然に存在するRSである。一実施形態において、第1の生物と第2の生物とは異なる。例えば、直交性の対は、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)から得られるtRNAシンテターゼ、および古細菌のtRNA(例えば、ハロバクテリウムであるNRC−1からの)から得られるtRNAを含み得る。別の方法では、第1の生物と第2の生物とが同一である。さらなる情報に関しては、本明細書において<供給源および宿主生物>と名付けられた章を参照のこと。
本発明のある実施形態において、本発明のO−tRNAは、配列番号1、配列番号配列番号2もしくは3に記載のポリヌクレオチド配列またはその相補的なポリヌクレオチド配列を含むか、または配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列またはその相補的なポリヌクレオチド配列にコードされる。また、本明細書において<核酸配列、ポリヌクレオチド配列、およびバリアント>と名付けられた章を参照のこと。
<直交性のtRNA(O−tRNA)>
直交性のtRNA(O−RNA)は、タンパク質への選択されたアミノ酸の組込みを媒介する。このタンパク質はセレクターコドンを含有するポリヌクレオチドによってコードされており、セレクターコドンは(例えば、インビボまたはインビトロにおいて)O−tRNAに認識される。本発明のO−tRNAは、任意の方法または技術によって、所望のアミノ酸でアミノアシル化され得る。任意の方法または技術としては、化学的なアミノアシル化または酵素的なアミノアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のアミノアシル化されたO−tRNAは、翻訳系に直接的に加えられてもよい。本発明のO−tRNAは、インビトロまたはインビボにおいて、RSが選択されたアミノ酸を用いてアミノアシル化し得る。また、RSはO−RSであり得る。本発明のO−tRNAは、直接的に、またはO−tRNAもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドを与えることによって、翻訳系(例えば、インビトロの翻訳成分、すなわち細胞)に提供され得る。例えば、O−tRNAまたはその一部は、配列番号1、配列番号2、配列番号3に記載のポリヌクレオチド配列、もしくはそれらの相補的なポリヌクレオチド配列、またはそれらの保存的な変異によってコードされる。
本発明のO−tRNAは、コグネートなシンテターゼの存在下において、セレクターコドンに応じた抑圧活性を発揮する。抑圧活性は、当技術分野において知られる多くのアッセイのいずれかによって測定され得る。例えば、βガラクドシダーゼレポーターアッセイを用いてもよい。プロモーターの制御下において、lacZ遺伝子を発現するプラスミドの誘導体は、例えば、lacZのペプチドVVLQRRDWENのleu−25がセレクターコドン(TAG、TGA、AGGAなどのコドン)、またはチロシン、セリン、ロイシンなどに関する(コントロールとしての)センスコドンにより置換される場合に用いられる。誘導体化されたlacZプラスミドは、本発明のO−tRNAを含有するプラスミドに従って、適切な生物(例えば、直交性の成分が用いられ得る生物)から細胞に取り込まれる。また、コグネートなシンテターゼが導入され得る(発現される場合、コグネートなシンテターゼをコードするポリペプチドとして、またはポリヌクレオチドとして)。細胞を培地中で所望の濃度まで(例えば、約0.5であるOD600まで)成長させてから、βガラクトシダーゼアッセイを、例えば、BetaFluor(登録商標)b−ガラクトシダーゼアッセイキット(ノバゲン)を用いて行う。抑圧のパーセンテージは、比較のためのコントロール(例えば、誘導体化されたlacZコンストラクトから観察される値)と比較したときの、サンプルについての活性のパーセンテージとして計算する。なお、このコンストラクトは、セレクターコドンではなく、対応するセンスコドンを所望の位置にて有している。
tRNA分子において、チミン(T)はウラシル(U)と置換される。また、塩基に対するさらなる修飾が存在し得る。また、本発明は、O−tRNAの保存的なバリエーションを含む。例えば、O−tRNAの保存的なバリエーションとしては、O−tRNAのように機能してtRNAのL型構造を維持するが、同じ配列を有していない分子(および野生型のtRNA分子以外のもの)が挙げられる。また、本明細書において<核酸配列、ポリペプチド配列、およびバリアント>と名付けられた章を参照のこと。
O−tRNAを含有している組成物は、直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)をさらに含み得る。O−RSは、選択されたアミノ酸(天然でないアミノ酸)によってO−tRNAを選択的にアミノアシル化する。ある実施形態において、O−tRNAを含有している組成物は、翻訳系(例えば、インビトロまたはインビボの翻訳系)をさらに含み得る。また、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有している核酸は、細胞または他の翻訳系に存在し得る。このポリヌクレオチドは、O−tRNAに認識される1個以上のセレクターコドンを含んでいるか、またはこれらの1個以上の組合せを含んでいる。また、本明細書において<直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)>と名付けられた章を参照のこと。
直交性のtRNA(O−tRNA)、例えば、O−tRNAを生成する方法もまた、本発明の特徴である。この方法によって生成されるtRNA(例えば、O−tRNA)もまた、本発明の特徴である。
直交性のtRNAを製造する方法は、セレクターコドン(例えば、アンバーコドン、オパールコドン、4塩基コドンなど)を認識することができるように、tRNAのプールそれぞれのアンチコドンループを変異させる工程と、それによって複数電位のO−tRNAを製造する工程と、二次構造内の標準的ではない塩基対を特定するために、複数電位のO−tRNAのメンバーの二次構造を分析する工程と、標準的ではない塩基対を必要に応じて変異させる工程(例えば、標準的ではない塩基対が標準的な塩基対に変異される)とを包含する。この標準的ではない塩基対は、二次構造のステム領域に配置され得る。O−tRNAは、所望のRSに対する親和性を維持したまま、所望の生物の直交性に関して出発原料(例えば、複数のtRNA配列)に比べて改良させるなど、1つ以上の性質または活性を改善させる能力があってもよい。
別の方法では、O−tRNAは、翻訳に影響を与えるか、または翻訳機構の成分である1個以上の分子との相互作用あるいは翻訳に影響を与えるか、または翻訳機構の成分である1個以上の分子との結合親和性を変化させるために、公知のtRNAを変異させて作製してもよい。この成分としては、限定されないが、伸張因子が挙げられる。細菌の伸張因子であるEF−Tuは、タンパク質合成の伸張過程において重要な役割を果たす。tRNAシンテターゼによるtRNAのアミノアシル化に続いて、EF−Tuは、アミノアシル化されたtRNAと結合し、アミノアシル化されたtRNAをリボソームのA部位に運ぶ。荷電アミノ酸とtRMAとのエステル結合は、EF−Tuとアミノアシル化されたtRNAとの結合によって、自然発生的な加水分解から保護される。E. coliの開始tRNAfMetのTΨCステムにおけるU50:G64のゆらぎ塩基対は、おそらくEF−Tu.GTPとアミノアシル化されたtRNAとの相互作用が弱くなっているために伸張時のtRNA活性を阻害する、二次的な陰性決定基であることが発見された。そのため、Stortchevoiらはこの塩基対を研究した(「JBC 2003 278(20):17672−17679」)。また、LaRiviereらは、「Science 2001 Oct 5;294(5540):165−8」において、EF−Tuとのすべての結合親和性に対する、アミノ酸およびtRNA集団の熱力学的な貢献について記載している。彼らは、tRNA集団およびアミノ酸の貢献が互いに独立したものであること、ならびに、tRNAが正しくアミノアシル化されたとき、tRNA集団およびアミノ酸は互いに補い合うことを示唆している。EF−Tu.GTPと天然でないアミノ酸によってアミノアシル化されたtRNAとの相互作用の変化は、リボソームのA部位に対するtRNAの荷電効率に影響を及ぼし得る。また、可能性のある変異部位は、tRNAと翻訳機構の他の成分(TF−Tuなど)との複合体の結晶構造を分析することによって見出され得る。例えば、Nissenらは、EF−TuのGTPが酵母のフェニルアラニル−トランスファーRNA(Phe−tRNA)のTΨCステムのリン酸骨格に直接的に結合することを示している(Science 1995 270(5241):1464−1472)。
この方法は、特定の生物に関して直交性になりそうな、O−tRNA、O−RSおよび/またはそれらの対になる見込みのある候補を決定するために、tRNAおよび/またはアミノアシル−tRNAの配列相同を分析する工程を必要に応じて包含する。当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されるコンピュータプログラムをこの分析のために用いることができる。一例では、原核生物に用いるために直交性となり得る翻訳成分を選択するために、原核生物に特異な相同を示さないシンテターゼおよび/またはtRNAが選択される。
また、tRNAのプールがコンセンサスな方法で作製され得る。例えば、tRNAのプールは、複数のtRNA配列を整列させること;コンセンサス配列を決定すること;および、コンセンサス配列の少なくとも一部、ほとんど、または全部を使ってtRNAのライブラリを作製すること、によって製造される。例えば、コンセンサス配列は、コンピュータプログラム(例えば、GCGプログラムであるpileu)によってコンパイルされ得る。任意により、このプログラムによって決定された縮重部分は、それらの部分で最も多い塩基に変えられる。ライブラリは、コンセンサス配列を用いる当該分野において公知の技術によって合成される。例えば、コンセンサス配列90%と別の3塩基の混合物10%とからなるドープされた混合物として合成され得る、tRNA遺伝子の各部位でのオリゴヌクレオチドの重複発現は、コンセンサス配列に基づくライブラリを作るために用いられ得る。また、例えば、コンセンサス配列75%と別の3塩基の混合物25%とからなる混合物、コンセンサス配列80%と別の3塩基の混合物20%とからなる混合物、コンセンサス配列95%と別の3塩基の混合物5%とからなる混合物など、別の混合物を用いることができる。
変異tRNAのライブラリは、当該分野において公知である種々の変異誘発技術によって生成され得る。例えば、tRNAの変異体は、部位特異的変異、ランダム点変異、相同組換え、DNAシャッフリング、もしくは別の再帰的な変異誘発法、キメラ合成、またはこれらの任意の組合せによって生成され得る。
さらなる変異が、tRNAの所望のループまたは領域(例えば、アンチコドンループ、アクセプターステム、Dアーム、Dループ、可変ループ、TΨCアーム、TΨCループ、tRNA分子の別の領域、またはこれらの組合せ)内の特定の部位において誘発され得る。特定の部位は、例えば、非保存的な部位、保存的な部位、ランダム化された部位、またはこれらの組合せである。変異は、ステム領域内の対応する塩基対を含み得る。
典型的に、O−tRNAは、第1種の細胞集団をネガティブ選択することによって得られる。この細胞は、複数の潜在的なO−tRNAのメンバーからなる。ネガティブ選択は、細胞に対して内因性であるアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RS)によってアミノアシル化された、複数の潜在的なO−tRNAのメンバーからなる細胞を排除する。これにより、第1種の細胞に対して直交性のtRNAのプールを提供する。
ネガティブ選択の特定の実施形態において、セレクターコドンはネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドに組み込まれる。ネガティブ選択マーカーとしては、例えば、抗菌耐性を与える酵素(例えば、βラクタマーゼ)、検出される産物を与える酵素(βガラクトシダーゼ)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、(例えば、バルナーゼなどの非必須領域における毒性産物)などがある。スクリーニング/選択は、選択剤(例えば、アンピシリンなどの抗菌剤)の存在下において細胞集団を成長させることによってなされる。一実施形態において、選択剤の濃度は多様である。
例えば、サプレッサーtRNAの活性を測定するために、インビボにおけるセレクターコドンの抑圧に基づいて、選択系が用いられる。選択系は、例えば、ネガティブ選択マーカー(例えば、βラクタマーゼ(bla)に関する遺伝子)をコードするポリヌクレオチドに組み込まれるナンセンスまたはフレームシフトの変異体である。例えば、特定の位置にTAG、AGGAおよびTGAなどを有するポリヌクレオチドのバリアント(例えばblaバリアント)が作製される。細胞(例えば、細菌)は、これらのポリヌクレオチドによって形質転換される。内因性のE. coli合成によって効率的に荷電することができない直交性のtRNAの場合、抗菌耐性(例えば、アンピシリン耐性)は、プラスミドではない形質転換された細菌の抗菌耐性と同等であるか、またはそれ以下であるべきである。tRNAが直交性でない場合、またはtRNAを荷電させる能力のある異種のシンテターゼがこの系に同時に発現する場合、高レベルの抗菌(例えば、アンピシリン)耐性が観察される。細胞(例えば、細菌)は、プラスミドではない形質転換された細胞にほぼ等しい抗菌濃度のLB寒天プレート上で生育することができないものが選択される。
例えば、リボヌクレアーゼ バルナーゼなどの毒性産物の場合、複数の潜在的なtRNAのメンバーが内在性宿主(例えば、大腸菌シンテターゼ)によってアミノアシル化されるとき(すなわち、例えば大腸菌シンテターゼなどの内在性宿主に対して直交性ではないとき)、セレクターコドンは抑圧され、製造された毒性のポリヌクレオチド産物が細胞死に導く。直交性のtRNAまたは非機能得的なtRNAをもっている細胞は生き残る。
一実施形態において、所望の生物に対して直交性であるtRNAのプールは、その後、ポジティブ選択マーカーに収容されたセレクターコドンにおいてポジティブ選択を受ける。ポジティブ選択マーカーは、例えば、βラクタマーゼ遺伝子などの薬物耐性遺伝子によってコードされたマーカーである。ポジティブ選択は、tRNAのプールのメンバーをコードしているか、または含有しているポリヌクレオチド、ポジティブ選択マーカーをコードしているポリヌクレオチド、およびコグネートなRSをコードしているポリヌクレオチドを含有している細胞において行われる。これらのポリヌクレオチドは細胞内で発現し、この細胞は選択剤(例えば、アンピシリン)の存在下で成長する。続いて、tRNAは、同時に発現したコグネートなシンテターゼによってアミノアシル化されて、このセレクターコドンに対応するアミノ酸に挿入される能力について選択される。典型的に、これらの細胞は、非機能的なtRNA、または目的のシンテターゼによって効率的に認識され得るtRNAをもつ細胞と比較して抑圧効率の増強を示す。非機能的なtRNA、または目的のシンテターゼによって効率的に認識されないtRNAをもつ細胞は、抗菌物質に感受性がある。したがって、(i)内在性の宿主(例えば、大腸菌)シンテターゼのための基質ではなく、(ii)目的のシンテターゼによってアミノアシル化され得、(iii)翻訳時に機能するtRNAが、2つの選択を生き残る。
上述した方法において、選択(例えば、ポジティブ選択、ネガティブ選択、またはポジティブおよびネガティブの両方の選択)のストリンジェンシーは、任意により変更され得る。例えば、バルナーゼは極めて毒性のタンパク質であるため、ネガティブ選択のストリンジェンシーは、様々な数のセレクターコドンをバルナーゼ遺伝子に導入することによって、および/または誘導プロモーターを用いることによって、制御することができる。別の例では、選択剤またはスクリーニング剤の濃度を変更する(例えば、アンピシリン)。1つの局面において、このストリンジェンシーは、所望の活性が初期の間低いことがあるため、変更される。したがって、低ストリンジェントの選択基準が初期に適用され、より高ストリンジェントの選択基準が選択の後期に適用される。ある実施形態では、ネガティブ選択、ポジティブ選択、またはネガティブおよびポジティブの両方の選択は、複数回繰り返され得る。複数の異なるネガティブ選択マーカー、ポジティブ選択マーカー、またはネガティブおよびポジティブの両方の選択マーカーが用いられ得る。ある実施形態において、ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーは同一であり得る。
本発明では、直交性の翻訳成分(例えば、O−tRNA,O−RS、およびO−tRNA/O−RSの対)を製造するために、別の種類の選択/スクリーニングを用いてもよい。例えば、ネガティブ選択マーカー、ポジティブ選択マーカー、またはポジティブおよびネガティブの両方の選択マーカーとしては、蛍光を発するか、または適切な試薬の存在下において発光反応を触媒するマーカーが挙げられる。別の実施形態において、このマーカーの産物は、蛍光標示式細胞分取器(FACS)または発光によって検出される。任意により、このマーカーはアフィニティーベースのスクリーニングマーカーを含む。「Francisco, J. Aら, (1993) Production and fluorescence−activated cell sorting of Escherichia coli expressing a functional antibody fragment on the external surface. Proc Natl Acad Sci U S A. 90:10444−8」を参照のこと。
直交性のtRNA組換え体を製造するさらなる方法は、米国特許出願公開第10/126,931号明細書(発明の名称「Methods and Compositions for the Production of Orthogonal tRNA−Aminoacyl tRNA Synthetase Pairs」)および米国特許出願公開第10/126,127号明細書(発明の名称「In vivo Incorporation of Unnatural Amino Acids」)、ならびに米国出願番号第10/825,867号明細書(発明の名称「EXPANDING THE EUKARYOTIC GENETIC CODE」)に見られる。また、「Forsterら 、(2003) Programming peptidomimetic synthetases by translating genetic codes designed de novo. PNAS 100(11):6353−6357」;および「Fengら、(2003), Expanding tRNA recognition of a tRNA synthetase by a single amino acid change, PNAS 100(10): 5676−5681」を参照のこと。
本発明のtRNAは、任意の方法または技術(限定されないが、化学的または酵素的なアミノアシル化が挙げられる)によって、所望のアミノ酸と共にアミノアシル化され得る。
アミノアシル化は、アミノアシルtRNAシンテターゼによってか、または他の酵素的な分子によって実現され得る。「リボザイム」という用語は、「触媒RNA」と交換可能である。Cechおよび共同研究者(「Cech, 1987, Science, 236:1532−1539; McCorkleら, 1987, Concepts Biochem. 64:221−226」)は、触媒としての役割を果たす天然に存在するRNA(リボザイム)の存在を証明した。しかし、これらの天然RNA触媒は、切断およびスプライシングに関してリボ核酸基質に対してのみ役割を果たすことを示されているが、リボザイムの人工的発展の最近の成果は、種々の化学反応に対する触媒の能力範囲を拡張している。研究によって、それら自身の(2’)3’末端におけるアミノアシル−RNAを触媒することができるRNA分子(「Illangakekareら, 1995 Science 267:643−647」)、および1つのRNA分子から他のRNA分子までアミノ酸を運ぶことができるRNA分子(「Lohseら, 1996, Nature 381:442−444」)が同定されている。
参考として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書は、リボザイムの構築方法、ならびに天然にコードされるアミノ酸および天然にコードされていないアミノ酸を伴うtRNAのアミノアシル化における、それらの使用に関して記載している。tRNAをアミノアシル化できる酵素分子(限定されないが、リボザイムが挙げられる)の基材に固定化された形態は、アミノアシル化産物の効率的なアフィニティー精製を可能にし得る。好適な基材の例としては、アガロースビーズ、セファロースビーズ、および磁性ビーズが挙げられる。アミノアシル化用の基材固定化形態の製造および利用について、参考として本明細書に援用される、「Chemistry and Biology 2003, 10:1077−1084」および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている。
化学的アミノアシル化法としては、これらに限定されないが、アミノアシル化においてシンセターゼの利用を避けるために、Hechtおよび共同研究者(「Hecht, S. M. Acc. Chem. Res. 1992, 25, 545」;「Heckler, T. G.; Roesser, J. R.; Xu, C.; Chang, P.; Hecht, S. M. Biochemistry 1988, 27, 7254」;「Hecht, S. M.; Alford, B. L.; Kuroda, Y.; Kitano, S. J. Biol. Chem. 1978, 253, 4517」)によって、Schultz, Chamberlin, Doughertyおよびその他 (「Cornish, V. W.; Mendel, D.;Schultz, P. G. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 621」;「Robertson, S. A.; Ellman, J. A.; Schultz, P. G. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722」;「Noren, C. J.; Anthony−Cahill, S. J.; Griffith, M. C.; Schultz, P. G. Science 1989, 244, 182」;「Bain, J. D.; Glabe, C. G.; Dix, T. A.; Chamberlin, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 8013」;「Bain, J. D.ら Nature 1992, 356, 537」;「Gallivan, J. P.; Lester, H. A.; Dougherty, D. A. Chem. Biol. 1997, 4, 740」;「Turcatti,ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 19991」; 「Nowak, M. W.ら Science, 1995, 268, 439」;「Saks, M. E.ら J. Biol. Chem. 1996, 271, 23169」;「Hohsaka, T.ら J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 34」)によって紹介された方法が挙げられる。当該方法または他の化学的アミノアシル化方法が、tRNA分子をアミノアシル化するために使用され得る。
化学的に修飾されたアミノアシル−tRNAを採用する生合成方法は、インビトロにおいて合成されるタンパク質に種々の生物物理学的なプローブを組み込むために使用されている。以下の刊行物および引用される参考文献:「Brunner, J. New Photolabeling and crosslinking methods, Annu. Rev Biochem, 62:483−514 (1993)」;および、「Krieg, U.C., Walter, P., Hohnson, A.E. Photocrosslinking of the signal sequence of nascent preprolactin of the 54−kilodalton polypeptide of the signal recognition particle, Proc. Natl. Acad. Sci, 83(22):8604−8608 (1986)」を参照のこと。
これまでに、所望のアンバーナンセンス変異を含有する遺伝子を用いて計画されたタンパク質合成反応に対して、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを加えることによって、非天然アミノ酸がインビトロにおいて部位特異的に組み込まれ得ることは、示されている。これらの方法を用いて、特定のアミノ酸に対して栄養要求性株を用いて、一般的な20個のアミノ酸の多くを構造的に近い相同物(例えば、フェニルアラニンに対するフルオロフェニルアラニン)に置換することができる。例えば、「Noren, C.J., Anthony−Cahill, Griffith, M.C., Schultz, P.G. A general method for site−specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science, 244: 182−188 (1989)」; 「M.W. Nowak,ら, Science 268:439−42 (1995)」; 「Bain, J.D., Glabe, C.G., Dix, T.A., Chamberlin, A.R., Diala, E.S. Biosynthetic site−specific Incorporation of a non−natural amino acid into a polypeptide, J. Am Chem Soc, 111:8013−8014 (1989)」; 「N. Budisaら, FASEB J. 13:41−51 (1999); Ellman, J.A., Mendel, D., Anthony−Cahill, S., Noren, C.J., Schultz, P.G. Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site−specifically into proteins, Methods in Enz., vol. 202, 301−336 (1992)」; 及び、 「Mendel, D., Cornish, V.W. & Schultz, P.G. Site−Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code, Annu Rev Biophys. Biomol Struct. 24, 435−62 (1995)」を参照のこと。
例えば、UAG終止コドンを認識するサプレッサーtRNAが、調製され、非天然アミノ酸と共に化学的にアミノアシル化された。従来の部位特異的変異生成が、タンパク質遺伝子における目的の部位に、終止コドンTAGを導入するために使用された。例えば、「Sayers, J.R., Schmidt, W. Eckstein, F. 5’−3’ Exonucleases in phosphorothioate−based olignoucleotide−directed mutagensis, Nucleic Acids Res, 16(3):791−802 (1988)」を参照のこと。アミノアシル化サプレッサーtRNAおよび変異体遺伝子が、インビトロの転写/翻訳系において組み合わせられる場合に、特定の位置においてアミノ酸を含有するタンパク質を生じさせる、非天然アミノ酸がUAGコドンに応じて組み込まれた。[H]−Pheを用いた実験およびα−ヒドロキシ酸を用いた実験は、所望のアミノ酸のみがUAGコドンによって特定される位置に組み込まれ、このアミノ酸が、タンパク質における任意の他の部位に組み込まれないことを証明した。例えば、「Noren,ら, supra; Kobayashiら, (2003) Nature Structural Biology 10(6):425−432」;および、「Ellman, J.A., Mendel, D., Schultz, P.G. Site−specific incorporation of novel backbone structures into proteins, Science, 255(5041):197−200 (1992)」を参照のこと。
触媒RNAを生成する方法は、無作為化されたリボザイム配列の別々のプールを生成すること、プールにおける定方向の進化を実施すること、所望のアミノアシル化活性に関してプールをスクリーニングすること、および所望のアミノアシル化活性を示すこれらのリボザイムの配列を選択することを含み得る。
リボザイムは、アシル化活性を容易にするモチーフおよび/または領域(例えば、GGUモチーフおよびUが豊富な領域)を備えることができる。例えば、Uが豊富な領域がアミノ酸基質の認識を容易にできること、およびGGUモチーフがtRNAの3’末端と塩基対を形成できることは、報告されている。組み合わせて、GGUモチーフおよびUが豊富な領域は、アミノ酸およびtRNAの両方の同時認識を容易にし、同時にこれによって、tRNAの3’末端のアミノアシル化を容易にする。
リボザイムは、tRNAAsn CCCGと抱合され、部分的に無作為化されたr24miniを用いたインビトロにおける選択に続いて、活性なクローンに見出されるコンセンサス配列の体系的な改変によって生成され得る。この方法によって得られる例示的なリボザイムは、「Fx3 リボザイム」と呼ばれ、その内容が参考として本明細書に援用される、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されており、コグネートな天然でないアミノ酸と共に荷電される、種々のアミノアシルtRNAの合成にとっての多方面な触媒としての機能を果たす。
基板上への固定化は、アミノアシル化されたtRNAの効率的なアフィニティー精製を可能にするために使用され得る。好適な基板の例としては、アガロース、セファロース、および磁性ビーズが挙げられる。リボザイムは、RNAのリボソーム上における3’シス−ジオールが対応するジアルデヒドを産生するために過ヨウ素酸塩を用いて酸化されて、樹脂上のRNAの固定化を容易にし得るように、RNAの化学構造を利用することによって樹脂上に固定され得る。多様な種類の樹脂(安価なヒドラジド樹脂が挙げられる)が、使用され得、ここで、還元的なアミノ化が、樹脂とリボザイムとの間における相互作用を不可逆的な結合にさせる。アミノアシルtRNAは、このカラム上(on−column)のアミノアシル化技術によって非常に容易にされ得る。「Kourouklisら Methods 2005; 36:239−4」には、カラムに基づいたアミノアシル化系について記載されている。
アミノアシル化されたtRNAの単離は、種々の方法によって達成され得る。1つの好適な方法は、緩衝液(例えば、10mMのEDTAを有する酢酸ナトリウム溶液、50mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、12.5mMのKCl、pH7.0、10mMのEDTAを含有する緩衝液、または単にEDTA緩衝化水(pH7.0))を用いてカラムからアミノアシル化されたtRNAを溶出することである。
本発明のアミノアシル化されたtRNAは、tRNAが翻訳反応によって作製されるポリペプチドにおける最適な位置においてアミノアシル化されるアミノ酸を組み込むために、翻訳反応に加えられ得る。本発明のアミノアシル化されたtRNAが使用され得る翻訳系の例としては、限定されないが、細胞溶解物が挙げられる。細胞溶解物は、投入するmRNAから得られるポリペプチドのインビトロでの翻訳に必要な反応成分を提供する。当該反応成分の例としては、限定されないが、リボソームタンパク質、rRNA、アミノ酸、tRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子および延長因子、ならびに翻訳に関連する付加的な因子が挙げられる。付加的に、翻訳系は、バッチ翻訳または区画化された翻訳であり得る。バッチ翻訳系は1つの区画において反応成分を組み合わせて、一方、区画化された翻訳系は、翻訳効率を阻害し得る反応産物から翻訳反応成分を分ける。この翻訳系は、市販されている。
さらに、複合された転写/翻訳系を用いてもよい。複合された転写/翻訳系は、反応成分によって次々に翻訳される、対応するmRNAへの入力DNAの両方向の転写を可能にする。市販の複合された転写/翻訳の例は、ラピッドトランスレーションシステム(Rapid Translation System)(RTS、Rche(ロシュ))である。この系としては、リボソームおよび翻訳因子などの翻訳成分を供給するE. coilの溶菌液を含有する混合物が挙げられる。また、RNAポリメラーゼは、翻訳において使用するmRNAテンプレートへの、入力DNAの転写に含まれる。RTSは、反応コンパートメント(供給/消費コンパートメントおよび転写/翻訳コンパートメントが挙げられる)の間に挿入される膜による反応成分の区画化を用いることができる。
tRNAのアミノアシル化は、他の物質によって実施され得る。他の物質としては、限定されないが、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、触媒抗体、および多機能タンパク質などが挙げられる。
<直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)>
O−RSは、インビトロまたはインビボにおいて、選択されたアミノ酸とともに本発明のO−tRNAを選択的にアミノアシル化する。本発明のO−RSは、O−RSを含有するポリペプチドによってか、および/またはO−RSもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドによって、翻訳系(例えば、インビトロの翻訳成分、すなわち細胞)に提供され得る。O−RSまたはその一部は、ポリヌクレオチド配列もしくはその相補的なポリヌクレオチド配列、またはそれらの保存的な変異によってコードされる。本発明のO−tRNAは、限定されないが、本明細書に開示されている複数の多様なO−RS分子によってアミノアシル化され得る。
O−tRNA(例えば、1つのO−tRNA)とともに使用するために、直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)(例えば、1つのO−RS)を同定する方法もまた、本発明の特徴である。例えば、ある方法では、第1種の細胞集団をポジティブ選択することを包含する。この細胞は、それぞれ:(1)複数のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(RSs)のメンバー(ここで、複数のRSsは、RSs変異体、第1種以外の種に由来するRSs、または第1種以外の種に由来するRSs変異体およびRSsの両方からなる。);(2)第2種からの直交性のtRNA(O−tRNA);および(3)ポジティブ選択マーカーをコードし、少なくとも1つのセレクターコドンを含むポリヌクレオチド、を包含する。細胞は、複数のRSsのメンバーが欠如しているか、または複数のRSsのメンバーの量が低減されている細胞と比較して、抑圧効率の増強を示すものについて選択されるか、または選別される。抑圧効率が増強している細胞は、O−tRNAをアミノアシル化する活性なRSを包含する。第1種から得た第1組のtRNAの活性なRSによるアミノアシル化(インビトロまたはインビボ)のレベルを、第2種から得た第2組のtRNAの活性なRSによるアミノアシル化(インビトロまたはインビボ)のレベルと比較する。アミノアシル化のレベルは、検出可能な物質によって測定され得る(例えば、標識されたアミノ酸か、または天然でないアミノ酸)。第1組のtRNAと比較して第2組のtRNAをより効率的にアミノアシル化する活性なRSが選択され、それにより、O−tRNAとともに使用するための直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼを提供する。この方法によって同定されるO−RS(例えば、1つのO−RS)もまた、本発明の特徴である。
多数のアッセイのいずれかが、アミノアシル化を測定するために用いられ得る。これらのアッセイは、インビトロまたはインビボにおいて実施され得る。例えば、インビトロでのアミノアシル化アッセイについては、「Hoben, P., and Soll, D. (1985) Methods Enzymol. 113:55−59」および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている。また、アミノアシル化は、直交性の翻訳成分とともにレポーターを用いること、および、タンパク質をコードする少なくとも1つのセレクターコドンを含有するポリヌクレオチドを発現させる細胞においてこのレポーターを検出すること、によって測定され得る。また、米国特許出願公開第10/126,927号明細書(発明の名称「IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS」)、および米国特許出願番号第10/825,867号明細書(発明の名称「EXPANDING THE EUKARYOTIC GENETIC CODE」)を参照のこと。
同定されたO−RSは、一般的な20個のアミノ酸のいずれでもない、所望の天然でないアミノ酸のみがO−tRNAに荷電されるように、シンテターゼの基質特異性を変化させるためにさらに操作され得る。天然でないアミノ酸のために基質特異性を有する直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼを生成するための方法は、シンテターゼを変異させること、および選択過程を適用することを包含する。この方法では、例えば、シンテターゼの活性な部位においてか、シンテターゼの編集機構においてか、またはシンテターゼの別のドメインを結合させることによって別の位置においてかなどでシンテターゼを変異させる。方法は、ポジティブ選択に続くネガティブ選択の組合せを基にして用いられる。ポジティブ選択では、ポジティブマーカーの非必須位置において誘導されるセレクターコドンの抑圧によって、細胞がポジティブ選択圧状態で生き延びることができる。したがって、天然アミノ酸および天然でないアミノ酸の双方の存在下において、生き残ったものは、天然アミノ酸か、または天然でないアミノ酸のいずれかとともに直交性のサプレッサーtRNAを荷電する、活性なシンテターゼをコードする。ネガティブ選択では、ネガティブマーカーの必須ではない位置において誘導されるセレクターコドンの抑圧によって、天然アミノ酸の特異性を有するシンテターゼを除去する。ネガティブ選択およびポジティブ選択を生き残ったものは、天然でないアミノ酸のみとともに直交性のサプレッサーtRNAをアミノアシル化する(チャージする)シンテターゼをコードする。その後、これらのシンテターゼを、さらに変異誘発(例えば、DNAシャッフリングまたは別の再帰的な変異誘発法)させてもよい。
技術的に公知の様々な技術を用いて、O−RSs変異体のライブラリを生成することができる。例えば、RSs変異体は、部位特異的変異、ランダム点変異、相同組換え、DNAシャッフリングもしくは他の再帰的な変異法、キメラ合成、またはこれらの任意の組合せによって作製され得る。例えば、RSs変異体のライブラリは、例えば、より小規模で多様性の少ない、2つ以上の別の「サブライブラリ」から作製され得る。RSsのキメラライブラリもまた、本発明に包含される。自然の多様性を包含するライブラリなど、多様な生物(例えば、真正細菌または古細菌などの微生物)から得られるtRNAシンテターゼのライブラリは、任意により構築されて、直交性の対に関して選別されることに注目すべきである(例えば、米国特許第6,238,884号明細書、Shortら;米国特許第5,756,316号明細書、Schallenbergerら;米国特許第5,783,431号明細書、Petersenら;米国特許第5,824,485号明細書、Thompsonら;米国特許第5,958,672号明細書、Shortら、を参照のこと)。
シンテターゼがポジティブおよびネガティブの選択/スクリーニング技術を受ければ、続いてこれらのシンテターゼはさらに変異誘発をさせてもよい。例えば、O−RSをコードする核酸は単離され得;変異化されたO−RSs(例えば、ランダム変異誘発、部位特異的変異誘発、組換えまたはこれらの任意の組合せによって)をコードするポリヌクレオチドの組は核酸から生成され得;および、これらそれぞれの工程またはこれらの工程の組合せは、天然でないアミノ酸とともにO−tRNAを選択的にアミノアシル化する、変異化されたO−RSが得られるまで繰り返され得る。本発明の1つの局面において、これらの工程は複数回(例えば、少なくとも2回)行われる。
また、本発明の方法において、O−tRNA、O−RS、またはそれらの対を作製するために、さらなるレベルの選択/スクリーニングのストリンジェンシーが用いられ得る。選択またはスクリーニングのストリンジェンシーは、O−RSを作製する方法のうち1つの工程、または両工程において変化し得る。これは、例えば、使用される選択/スクリーニング剤の量の変更などが挙げられる。また、さらなる期間、ポジティブおよび/またはネガティブ選択が実施され得る。また、選択またはスクリーニングは、例えば、アミノ酸透過性の変更、翻訳効率の変更、翻訳忠実度の変更などが含まれる、1つ以上のポジティブもしくはネガティブの選択またはスクリーングを包含し得る。典型的に、1つ以上の変更は、直交性のtRNA−tRNAシンテターゼの対がタンパク質の生成に用いられる生物の1つ以上の遺伝子における変異に基づく。
例えば、O−RS、O−tRNAおよびO−tRNA/O−RSの対に関して、別の種類の選択が本発明において用いられ得る。ポジティブ選択マーカーは、任意の種々の分子であり得る。種々の分子としては、限定されないが、成長のための栄養補助剤を供給する産物が挙げられ、選択はこの栄養補助剤が不足している培地において実施される。ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドの例としては、限定されないが、例えば、アミノ酸栄養要求性の細胞を補完することに基づくレポーター遺伝子、his3遺伝子、ura3遺伝子、leu2遺伝子、lys2遺伝子、lacZ遺伝子、adh遺伝子などが挙げられる。ここで、例えば、his3遺伝子は、3−アミノトリアゾールを供給することによって検出される、イミダゾールグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼをコードする。例えば、「G. M. Kishore, & D. M. Shah, (1988), Amino acid biosynthesis inhibitors as herbicides, Annual Review of Biochemistry 57:627−663.」を参照のこと。一実施形態において、lacZ産物は、オルト−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)の加水分解によって検出される。例えば、「I. G. Serebriiskii, & E. A. Golemis, (2000), Uses of lacZ to study gene function: evaluation of beta−galactosidase assays employed in the yeast two−hybrid system, Analytical Biochemistry 285:1−15.」を参照のこと。さらなるポジティブ選択マーカーとしては、例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパクシル(GFP)、YFP、EGFP、RFP、抗菌耐性遺伝子の産物(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))、転写修飾因子タンパク質(例えば、GAL4)などが挙げられる。任意により、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、セレクターコドンを含有する。
ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、応答因子に作働可能に結合され得る。また、応答因子からの転写を修飾する転写修飾因子タンパク質をコードし、少なくとも1個のセレクターコドンを含有する追加のポリヌクレオチドが存在し得る。天然でないアミノ酸とともにアミノアシル化されたO−tRNAによる、転写修飾因子への天然でないアミノ酸の組込みによって、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチド(例えば、レポーター遺伝子)が転写される。任意により、セレクターコドンは、転写修飾因子タンパク質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの位置に配置されるか、またはかなり近い位置に配置される。
また、ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、転写修飾因子タンパク質によって介在される転写からの応答因子と作働可能に結合される。例えば、「A. J. DeMaggioら, (2000), The yeast split−hybrid system, Method Enzymol. 328:128−137」;「H. M. Shihら, (1996), A positive genetic selection for disrupting protein−protein interactions」; 「identification of CREB mutations that prevent association with the coactivator CBP, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:13896−13901」、「M. Vidalら, (1996), Genetic characterization of a mammalian protein−protein interaction domain by using a yeast reverse two−hybrid system, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10321−10326」;および「M. Vidalら, (1996), Reverse two−hybrid and one−hybrid systems to detect dissociation of protein−protein and DNA−protein interactions (Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10315−10320)」を参照のこと。天然アミノ酸とともにアミノアシル化されたO−tRNAによる、転写修飾因子タンパク質への天然アミノ酸の組込みによって、ネガティブ選択マーカーが転写される。任意により、ネガティブ選択マーカーは、セレクターコドンを含有する。本発明のポジティブ選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーは、少なくとも2個のセレクターコドンを含有し得る。本発明のポジティブ選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーのいずれか、または両方は、少なく2個の異なるセレクターコドンまたは少なくとも2個の同じセレクターコドンを含有し得る。
転写修飾因子タンパク質は、核酸配列(例えば、応答因子)に結合し(直接的にか、または間接的に)、応答因子に作働可能に結合される配列の転写を修飾する分子である。転写修飾因子タンパク質は、転写活性化因子タンパク質(例えば、GAL4、核内ホルモンレセプター、AP1、CREB、LEF/tcfファミリーメンバー、SMADs、VP16、SP1など)、転写抑制因子タンパク質(例えば、核内ホルモンレセプター、Groucho/tleファミリー、エングレイルドファミリーなど)、または環境に依存して双方の活性を有し得るタンパク質(例えば、LEF/tcf、ホモボックス(homobox)たんぱく質など)であり得る。応答因子は、典型的に、転写修飾因子タンパク質か、または転写修飾因子タンパク質とともに作用する付加的な物質によって認識される核酸配列である。
転写修飾因子タンパク質の別の例としては、転写活性化タンパク質であるGAL4である。例えば、「A. Laughonら, (1984), Identification of two proteins encoded by the Saccharomyces cerevisiae GAL4 gene, Molecular & Cellular Biology 4:268−275」; 「A. Laughon, & R. F. Gesteland, (1984), Primary structure of the Saccharomyces cerevisiae GAL4 gene, Molecular & Cellular Biology 4:260−267」;「 L. Keeganら, (1986), Separation of DNA binding from the transcription−activating function of a eukaryotic regulatory protein, Science 231:699−704」;および、「 M. Ptashne, (1988), How eukaryotic transcriptional activators work, Nature 335:683−689」を参照のこと。この881個のアミノ酸タンパク質のN末端の147個のアミノ酸は、特に、DNA配列と結合してDNA結合ドメイン(DBD)を形成する。例えば、「M. Careyら, (1989), An amino−terminal fragment of GAL4 binds DNA as a dimer, J. Mol. Biol. 209:423−432」;および、「E. Ginigerら, (1985), Specific DNA binding of GAL4, a positive regulatory protein of yeast, Cell 40:767−774」を参照のこと。DBDは、介在タンパク質配列によって、DNAの結合するときに転写を活性化させ得る、C末端の113個のアミノ酸活性化ドメイン(AD)と結合する。例えば、「J. Ma, & M. Ptashne, (1987), Deletion analysis of GAL4 defines two transcriptional activating segments, Cell 48:847−853」:および、「 J. Ma, & M. Ptashne, (1987), The carboxy−terminal 30 amino acids of GAL4 are recognized by GAL80, Cell 50:137−142」を参照のこと。アンバーコドンを、例えば、GAL4のN末端のDBDおよびGAL4のC末端のADの両方を含有する1個のポリペプチドの、N末端のDBDに配置することで、O−tRNA/O−RSの対によるアンバーの抑圧はGAL4によって転写の活性化につなげられ得る。GAL4活性化レポーター遺伝子は、この遺伝子によってポジティブ選択およびネガティブ選択を両方実施するために用いられ得る。
ネガティブ選択のために使用される培地は、ネガティブ選択マーカーによって検出可能な物質に変換される、選択剤またはスクリーニング剤を含有し得る。本発明の1局面において、検出可能な物質は毒性物質である。ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、例えば、ura3遺伝子であり得る。例えば、URA3レポーターは、GAL4のDNA結合部位を含有するプロモーターの制御下において配置され得る。ネガティブ選択マーカーが、例えば、セレクターコドンとともにGAL4をコードするポリヌクレオチドの翻訳によって作製される場合、GAL4は、URA3の転写を活性化する。ネガティブ選択は、5−フルオロオロチン酸(5−FOA)を含有する培地において達成される。5−フルオロオロチン酸は、ura3遺伝子の遺伝子の産物によって、検出可能な物質(例えば、細胞を死滅させる毒性物質)に変換される。例えば、「J. D. Boekeら, (1984), A positive selection for mutants lacking orotidine−5’−phosphate decarboxylase activity in yeast: 5−fluoroorotic acid resistance, Molecular & General Genetics 197:345−346)」;「 M. Vidalら, (1996), Genetic characterization of a mammalian protein−protein interaction domain by using a yeast reverse two−hybrid system., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10321−10326」;および、「 M. Vidal, et al., (1996), Reverse two−hybrid and one−hybrid systems to detect dissociation of protein−protein and DNA−protein interactions., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10315−10320」を参照のこと。
また、ポジティブ選択マーカーと一緒の場合、ネガティブ選択マーカーは任意の多様な分子であり得る。ポジティブ選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーは、好適な反応物質の存在下で蛍光を発するか、または発光反応を触媒するポリペプチドであり得る。例えば、ネガティブ選択マーカーとしては、限定されないが、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、YFP、EGFP、RFP、抗菌耐性遺伝子の産物(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))、lacZ遺伝子の産物、転写修飾因子タンパク質などが挙げられる。ポジティブ選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーは、蛍光標識細胞分取(FACS)によってか、または発光によって検出され得る。ポジティブ選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーは、アフィニティーベースのスクリーニングマーカーを包含し得る。同じポリヌクレオチドが、ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーの両方をコードすることができる。例えば、ポジティブ選択の工程、ネガティブ選択の工程、またはポジティブおよびネガティブの両方の選択の工程、ならびに、がレポーターを使用することよって含まれ得る。このレポーターは、蛍光標識細胞分取(FACS)によって検出される。例えば、ポジティブ選択は、まず、ポジティブ選択マーカー(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子)によってなされる。このCAT遺伝子は、CAT遺伝子内にセレクターコドン(例えば、アンバー終止コドン)を含有する。続くネガティブ選択スクリーンは、ネガティブマーカー(例えば、T7のRNAポリメラーゼ遺伝子)内の位置で、例えば2個以上のセレクターコドンを抑圧する能力が喪失していることに基づく。ポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーは、同じベクター(例えば、プラスミド)で見られる。ネガティブ選択マーカーの発現は、レポーター(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))の発現を促進する。選択および選別のストリンジェンシーは多様であり、例えば、レポーターを蛍光発光させるために必要な光の強度が変更され得る。性選択は、FACSで選別される、ポジティブ選択マーカーとしてのレポーターによってなされる。続くネガティブ選択スクリーンは、ネガティブマーカー(例えば、バルナーゼ遺伝子)内の位置で、例えば2個以上のセレクターコドンを抑圧する能力が喪失していることに基づく。
任意により、レポーターは、細胞表面において(例えば、ファージ提示などにおいて)に提示される。細胞表面提示(例えば、OmpAに基づく細胞の表面提示システム)は、大腸菌細胞の表面において、特定のエピトープ(例えば、外膜タンパク質であるOmpAと融合される、ポリオウイルスのC3ペプチド)を発現しがちである。このエピトープは、翻訳期間に、タンパク質提示中のセレクターコドンが抑圧されているときのみ、細胞表面に提示される。その後、提示されたペプチドは、ライブラリ内のアミノアシル−tRNAシンテターゼ変異体の1つによって認識されるアミノ酸を含有し、対応するシンテターゼ遺伝子を含有する細胞は、特定の天然でないアミノ酸を含有するペプチドに逆らって成長された抗体によって単離され得る。OmpAに基づく細胞の表面提示システムは、ファージディスプレイに代わるものとして、Georgiouらによって改良され、最適化された。「Francisco, J. A., Campbell, R., Iverson, B. L. & Georgoiu, G. Production and fluorescence−activated cell sorting of Escherichia coli expressing a functional antibody fragment on the external surface. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 90:10444−8 (1993)」を参照のこと。
本発明の別の実施形態は、インビトロにおいて1個以上の選択工程を実施することを包含する。選択された成分(例えば、シンテターゼおよび/またはtRNA)は、その後、インビボでの天然でないアミノ酸の組込みに利用するために、細胞に取り込まれ得る。
O−RSを作製すること、およびシンテターゼの基質特異性を変更することに関するさらなる詳細については、本明細書に参考として援用される、米国特許出願公開第10/126,931号明細書(発明の名称「Methods and Compositions for the Production of Orthogonal tRNA−Aminoacyl tRNA Synthetase Pairs;」)、および米国特許出願番号第10/825,867号明細書(発明の名称「EXPANDING THE EUKARYOTIC GENETIC CODE」)を参照のこと。O−RSの製造に関するさらなる詳細は、それぞれ、本明細書に参照として援用される、「Hamano−Takakuら, (2000) A mutant Escherichia coli Tyrosyl−tRNA Synthetase Utilizes the Unnatural Amino Acid Azatyrosine More Efficiently than Tyrosine, Journal of Biological Chemistry, 275(51):40324−40328」;「 Kiga et al. (2002), An engineered Escherichia coli tyrosyl−tRNA synthetase for site−specific incorporation of an unnatural amino acid into proteins in eukaryotic translation and its application in a wheat germ cell−free system, PNAS 99(15): 9715−9723」;および「Francklynら, (2002), Aminoacyl−tRNA synthetases: Versatile players in the changing theater of translation; RNA, 8:1363−1372」に見られる。
<供給源および宿主生物>
本発明の翻訳成分は、通常、非真核生物に由来する。例として、直交性のO−tRNAは、例えば、古細菌(メタノコッカスジャナスキー(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニ(Haloferax volcanii)およびハロバクテリウム種であるNRC−1)、アーケオグロブスフルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカスホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、またはアエロピラムペルニクス(Aeuropyrum pernix)など)、真正細菌(大腸菌、サーマスサーモフィラス(Thermus thermophilus)、またはバチルスステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermphilus)など)といった非真核生物に由来し得る。一方、直交性のO−RSは、例えば、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニ(Haloferax volcanii)およびハロバクテリウム種であるNRC−1)、アーケオグロブスフルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカスホリコシイ)(Pyrococcus horikoshii)、またはアエロピラムペルニクス(Aeuropyrum pernix)など、または真正細菌(大腸菌、サーマスサーモフィラス(Thermus thermophilus)、もしくはバチルスステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermphilus)など)といった非真核生物に由来し得る。一実施形態において、真核生物の供給源もまた用いられる。真核生物としては、限定されないが、植物、藻類、原性生物、菌類、酵母、または動物(例えば、哺乳類、昆虫、節足動物など)などが挙げられる。
O−tRNA/O−RSの対の個々の成分は、同じ生物か、または異なる生物に由来し得る。一実施形態において、O−tRNA/O−RSの対は、同じ生物から得られる。別の方法では、O−tRNA/O−RSの対のO−tRNAおよびO−RSは、異なる生物から得られる。例として、O−tRNAは、例えば、ハロバクテリウム種のNRC−1に由来し得、O−RSは、例えば、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)に由来し得る。
O−tRNA、O−RS、またはO−tRNA/O−RSの対は、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)とともにポリペプチドを作製するために、インビボまたはインビトロにおいて選択かもしくは選別され得るか、および/または細胞内で用いられ得る。この細胞は、非真核細胞(例えば、大腸菌細胞)または真核細胞である。非真核細胞は、古細菌の系統学的なドメインなど様々な供給源から得られるか、または真正細菌の系統学的なドメインに属し得る。古細菌の系統学的なドメインとしては、限定されないが、メタノコッカスジャナスキー(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウムサーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(ハロフェラックスボルカニ(Haloferax volcanii)およびハロバクテリウム種であるNRC−1)、アーケオグロブスフルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカスホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、またはアエロピラムペルニクス(Aeuropyrum pernix)などが挙げられる。真正細菌の系統学的なドメインとしては、限定されないが、大腸菌、サーマスサーモフィラス(Thermus thermophilus)、バチルスステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermphilus)、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)またはシュードモナス(プチダなど)などが挙げられる。真核細胞は、様々な供給源から得られる。供給源としては、限定されないが、植物(例えば、単子葉植物または双子葉植物などの複雑な植物)、藻類、原性生物、菌類、酵母(限定されないが、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる)、または動物(限定されないが、哺乳類、昆虫、節足動物などが挙げられる)などが挙げられる。本発明の翻訳成分を有する細胞の組成物もまた、本発明の特徴である。また、例えば、別の種において利用するために、ある種においてO−tRNAおよび/O−RSをスクリーニングすることに関しては、米国特許出願番号10/825,867号明細書(発明の名称「Expanding the Eukaryotic Genetic Code」)を参照のこと。
宿主細胞内で、選択されたアミノ酸を有する目的のポリペプチドを発現するために、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現ベクターにサブクローンしてもよい。発現ベクターは、転写を方向づけるプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、および、タンパク質をコードする核酸のためである場合には、翻訳を開始する位置に結合するリボソーム、を含有する。好適な細菌プロモーターは当該技術において公知であり、例えば、SambrookらおよびAusubelらに記載されている。
目的のポリペプチドを発現するための細菌性の発現系が、限定されないが、E. coli、バチルス属、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)、およびサルモネラにおいて利用可能である(「Palva et al., Gene 22:229−235 (1983)」;「Mosbach ら, Nature 302:543−545 (1983)」)。この発現系のためのキットが市販されている。哺乳細胞、酵母および昆虫細胞のための真核生物発現系は、当該技術において公知であり、また、市販されている。
本発明のtRNAおよび/もしくはRS、ならびに/または目的のポリペプチドは、任意の数の好適な発現系において利用されるか、および/または発現され得る。好適な発現系としては、例えば、酵母、昆虫細胞、哺乳細胞および細菌が挙げられる。例示的な発現系の詳細は以下に示す。
<酵母>
本明細書において用いられる場合、用語「酵母」は、目的のポリペプチドを発現する能力がある、任意の種々の酵母を含む。この酵母としては、限定されないが、ascosporogenous酵母(Endomycetales)、basidiosporogenous酵母、および不完全菌類(Blastomycetes)の群に属する酵母が挙げられる。ascosporogenous酵母は、SpermophthoraceaeおよびSaccharomycetaceaeという2つのファミリーに分けられる。後者は4つのサブファミリーから成っており、Schizosaccharomycoideae (例えば、Schizosaccharomyces属)、Nadsonioideae、Lipomycoideae、およびSaccharomycoideae(例えば、Pichia属、Kluyveromyces属、およびSaccharomyces属)である。basidiosporogenous酵母としては、Leucosporidium属、Rhodosporidium属、Sporidiobolus属、Filobasidium属、およびFilobasidiella属を含む。Fungi imperfecti(Blastomycetes)の群に属する酵母としては、Sporobolomycetaceae(例えば、Sporobolomyces属およびBullera属)、ならびにCryptococcaceae(例えば、Candida属)という2つのファミリーに分けられる。
本発明を用いた使用に関して特に所定の種としては、Pichia属、Kluyveromyces属、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Hansenula属、Torulopsis属、およびCandida属内の種としては、P. pastoris、P. guillerimondii、S. cerevisiae、S. carlsbergensis、S. diastaticus、S. douglasii、S. kluyveri、S, norbensis、S. oviformis、K. lactis、K. fragilis、C. albicans、C. maltosa、およびH. polymorphaが挙げられるが、特にこれらには限定されない。酵母は、一般的に様々な供給源から入手可能であり、限定されないが、Yeast Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics University of California (Berkeley, CA)、およびThe American Type Culture Collection(「ATCC」)(Manassas,VA) などから入手できる。
用語「酵母宿主」または「酵母宿主細胞」は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容体として使用し得るか、または使用されている酵母を含む。この用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け容れている、元々の酵母宿主細胞の子孫を含んでいる。1つの親細胞の子孫は、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの相補体において、偶発的な変異、または計画的な変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致しなくてもよいことを理解されたい。関連する性質(目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在など)によって特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義に基づいて意図される子孫に含まれる。
発現ベクターおよび形質転換ベクター(染色体外レプリコンまたは組込みベクターなど)は、多くの酵母宿主中に形質転換するために開発されている。例えば、発現ベクターは、S. cerevisiae (「Sikorskiら, GENETICS (1989) 122:19」;「 Itoら, J. BACTERIOL. (1983) 153:163; Hinnenら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1978) 75:1929」);C. albicans (「Kurtzら, MOL. CELL. BIOL. (1986) 6:142」);C. maltosa (「Kunzeら, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141」);H. polymorpha (「Gleesonら, J. GEN. MICROBIOL. (1986) 132:3459」;「Roggenkampら, MOL. GENETICS AND GENOMICS (1986) 202:302」);K. fragilis (「Dasら, J. BACTERIOL. (1984) 158:1165」);K. lactis (「De Louvencourtら, J. BACTERIOL. (1983) 154:737」;「Van den Bergら, BIOTECHNOLOGY (NY) (1990) 8:135」);P. guillerimondii(「Kunzeら, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141」); P. pastoris (米国特許出願第5,324,639号明細書;米国特許出願第4,929,555号明細書;および米国特許出願第4,837,148号明細書; 「Creggら, MOL. CELL. BIOL. (1985) 5:3376」);Schizosaccharomyces pombe(「Beachら, NATURE (1982) 300:706」);およびY. lipolytica; A. nidulans (「Ballanceら, BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN. (1983) 112:284−89」;「Tilburnら, GENE (1983) 26:205−221」;および「Yeltonら, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1984) 81:1470−74」);A. niger(「Kelly and Hynes, EMBO J. (1985) 4:475−479」); T. reesia (欧州特許出願公開第0244234号明細書);およびfilamentous fungi(例えば、Neurospora, Penicillium, Tolypocladium (国際公開第91/00357号パンフレット)などに対して開発された。なお、各文献は引用によって本明細書に援用される。
酵母ベクターの制御配列は当業者に公知であり、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(欧州特許出願公開第0284044号明細書)、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸−デヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)(欧州特許出願公開第0329203号明細書)などの遺伝子から得られるプロモーター領域が挙げられるが、これらに限定されない。また、酸性ホスファターゼをコードしている酵母のPHO5遺伝子は、有用なプロモーター配列を提供し得る(「Miyanoharaら,PROC.NATL.ACAD.SCI.USA(1983)80:1」)。酵母宿主と共に用いるために適切な他のプロモーター配列には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(「Hitzemanら, J. BIOL. CHEM. (1980)255(4):12073−12080」)、および他の解糖系の酵素(例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、およびグルコースリン酸イソメラーゼ(「Hollandら,BIOCHEMISTRY(1978)17:4900」、「Hessら,J.ADV.ENZYME REG.(1969)7:149」))が含まれ得る。増殖条件によって転写が制御されるという付加的な利点を有する、酵母の誘導性プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ;窒素代謝に関連する分解酵素;ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素にとってのプロモーター領域を含んでもよい。酵母発現における使用に適切なベクターおよびプロモーターは、欧州特許出願公開第0073657号明細書にさらに記載されている。
また、酵母エンハンサーを、酵母プロモーターと共に用いてもよい。さらに、合成プロモーターもまた、酵母プロモーターとして機能してもよい。例えば、酵母プロモーターの上流活性化配列(UAS)を別の酵母プロモーターの転写活性化領域につなぎ、合成混成プロモーターを作製してもよい。この混成プロモーターの例としては、GAPの転写活性領域に連結されたADH調節配列が挙げられる。米国特許出願第4,880,734号明細書および米国特許出願第4,876,197号明細書を参照すればよく、これらの文献は引用として本明細書に援用される。混成プロモーターの他の例としては、ADH2、GAL4、GAL10、またはPHO5遺伝子の調節配列からなるプロモーターが挙げられる。これらのプロモーターは、例えば、GAPまたはPyKのような解糖系の酵素遺伝子の転写活性領域と組み合わせられる。欧州特許出願公開第0164556号明細書を参照のこと。さらに、酵母プロモーターは、酵母のRNAポリメラーゼとの結合能、および転写開始能を有する、非酵母系の天然に存在するプロモーターを含んでいてもよい。
酵母発現ベクターの一部を構成し得る他の制御要素はとしては、例えばGAPDHまたはエノラーゼ遺伝子に由来するターミネーター(「Hollandら, J.BIOL.CHEM.(1981)256:1385」を参照のこと)が挙げられる。さらに、2μプラスミドの起点に由来する複製起点は、酵母に適している。酵母中で使用するために適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドに存在するtrpl遺伝子である。「Tschumperら, GENE(1980)10:157」、「Kingsmanら, GENE(1979)7:141」を参照のこと。trpl遺伝子は、トリプトファンにおいて増殖能を欠如している酵母の変異株に対する選択マーカーを提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドによって補完される。
外因性DNAを酵母宿主に導入する方法は、当業者に公知であり、典型的に、スフェロプラストまたはアルカリイオンによって処理された無傷の酵母宿主細胞のいずれかの形質転換が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酵母の形質転換は、「Hsiaoら, PROC.NATL.ACAD.SCI.USA(1979)76:3829」および「Van Solingenら, J.BACT. (1977)130:946」に記載の方法にしたがって、実施され得る。しかし、例えば、核注入、エレクトロポレーション、または原形質融合によってDNAを細胞に導入する他の方法も、「SAMBROOKら, MOLECULAR CLONING: A LAB. MANUAL (2001)」に通常に記載されているように、使用され得る。その後、酵母宿主細胞を当業者に公知の標準的な技術を用いて培養してもよい。
酵母宿主細胞中において異種タンパク質を発現させる他の方法は、当業者に公知の技術である。一般に、米国特許出願公開第2002/0055169号明細書、米国特許出願第6,361,969号明細書;米国特許出願第6,312,923号明細書;米国特許出願第6,183,985号明細書;米国特許出願第6,083,723号明細書;米国特許出願第6,017,731号明細書;米国特許出願第5,674,706号明細書;米国特許出願第5,629,203号明細書;米国特許出願第5,602,034号明細書;および米国特許出願第5,089,398号明細書;米国再発行特許発明第RE37,343号明細書および米国再発行特許発明第RE35,749号明細書;国際公開第99/07862号パンフレット;国際公開第98/37208号パンフレット;および国際公開第98/26080号パンフレット;欧州特許出願公開第0946736号明細書;欧州特許出願公開第0732403号明細書号明細書;欧州特許出願公開第0480480号明細書;国際公開第90/10277号パンフレット;欧州特許出願公開第0340986号明細書;欧州特許出願公開第0329203号明細書;欧州特許出願公開第0324274号明細書;および欧州特許出願公開第0164556号明細書を参照のこと。また、「Gellissenら, ANTONIE VAN LEEUWENHOEK (1992) 62(1−2):79−93」;「Romanosら, YEAST (1992) 8(6):423−488; Goeddel, METHODS IN ENZYMOLOGY (1990) 185:3−7」を参照のこと。これらの文献は引用によって本明細書に援用される。
当業者にとって公知の標準の供給バッチ発酵方法(standard feed batch fermentation method)を用いて、増幅段階の間に酵母宿主株を発酵槽において成長させてもよい。この発酵方法は、特定の酵母宿主の炭素利用経路または発現制御の様式の差異を説明するために適用されてもよい。例えば、サッカロミセス酵母宿主の発酵は、1つのグルコース飼料、複合的な窒素源(カゼイン加水分解物など)および複数のビタミン補助物を必要としてもよい。これに対し、メチル栄養性(methylotrophic)酵母であるP.パストリスは、グリセロール、メタノール、および微量ミネラル試料を必要としてもよいが、最適な成長および発現については単純なアンモニウム(窒素)塩だけを必要とする。例えば、米国特許出願第5,324,639号明細書、「Elliottら,J.PROTEIN CHEM.(1990)9:95」、および「Fieschkoら, BIOTECH.BIOENG.(1987)29:1113」を参照のこと。なお、これら文献は引用によって本明細書に援用される。
しかし、この発酵方法は、使用される酵母宿主株とは無関係な特定の共通の特徴を有していてもよい。例えば、成長限界栄養素(通常は炭素)を、増幅段階の間に発酵槽に添加して、最大限の成長を可能にしてもよい。さらに、発酵方法は、一般的に、十分な量の炭素、窒素、基本塩、リン、および他の微量栄養素(ビタミン、微量無機物、および塩など)を含むように調製された発酵培地を用いてもよい。ピキア(Pichia)と共に用いるのに適した発酵培地は米国特許出願第5,324,639号明細書および米国特許出願第5,231,178号明細書に記載されており、これら文献は、引用によって本明細書に援用される。
<バキュロウイルス感染昆虫細胞>
「昆虫宿主」または「昆虫宿主細胞」という用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容物として使用し得るか、または使用されている昆虫をいう。この用語は、トランスフェクトされた元々の昆虫宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫が、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体において、偶発的な変異、または計画的な変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことは理解される。関連する性質により特徴付けられる親細胞と十分に類似する親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。この関連する性質は、例えば、目的のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の存在である。
目的のポリペプチド発現にとって好適な昆虫細胞の選択は当業者に公知である。いくつかの昆虫種は、当該分野において十分に説明されており、ネッタイシマカ(Aedes asgypti)、カイコ(Bombyx mori)、キイロショウジョウバエ(Drosophia melanogaster)、スポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda)およびイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)などが市販されている。発現用の昆虫宿主の選択において、適切な宿主としては、特に、良好な分泌能、低いタンパク質分解活性、および総合的な強健さを有することが示されている宿主であってもよい。昆虫は、Insect Genetic Stock Center、Department of biophysics and Medical Physics,University of California(Berkeley、CA)およびthe American Type Cuture Collection(「ATCC」)(Manassas、VA)を含む、様々な供給源から入手することができるが、これらに限定されない。
一般的に、バキュロウイルスに感染した昆虫の発現系の構成要素は、バキュロウイルスのゲノムフラグメント、および発現される異種遺伝子の挿入に便利な制限酵素認識部位の両方を含んでいるトランスファーベクター(通常は細菌性プラスミド);このトランスファーベクターにおけるバキュロウイルスに特異的なフラグメントに対して、相同な配列を有する(これにより、バキュロウイルスゲノムに対する異種遺伝子の相同組換えが可能になる)野生型バキュロウイルス;ならびに適切な昆虫宿主細胞および成長培養基を含んでいる。ベクターのコンストラクション、細胞のトランスフェクション、プラークの選択、または培養における細胞の成長などに用いられる材料、方法および技術は、当該分野において公知であり、これらの技術が記載されている手引書が利用可能である。
異種遺伝子をトランスファーベクターに挿入した後に、該ベクターおよび野生型ウイルスゲノムを、当該ベクターと当該ウイルスゲノムとが組換えを起こす昆虫宿主細胞に、トランスフェクションする。パッケージングされた組換えウイルスが発現され、組換え体プラークが同定および精製される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法は、例えば、Invitrogen Corp(Carlsbad、CA)が提供している、キットの様式において市販されている。これらの技術は、当業者にとって公知であり、本明細書に引用として援用される「SUMMERS AND SMITH,TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN No.1555(1987)」に十分に記載されている。また、「RICHARDSON,39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY:BACULOVIRUS EXPRESSION PROTOCOLS(1995)」、「AUSUBELら, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY 16.9−16.11(1994)」、「KING AND POSSEE,THE BACULOVIRUS SYSTEM:A LABORATORY GUIDE(1992)」および「O’REILLYら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL(1992)」を参照のこと。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系を用いた、様々な異種タンパク質の製造は、当業者にとって公知である。例えば、米国特許出願第6,368,825号明細書;米国特許出願第6,342,216号明細書;米国特許出願第6,338,846号明細書;米国特許出願第6,261,805号明細書;米国特許出願第6,245,528号明細書,米国特許出願第6,225,060号明細書;米国特許出願第6,183,987号明細書;米国特許出願第6,168,932号明細書;米国特許出願第6,126,944号明細書;米国特許出願第6,096,304号明細書;米国特許出願第6,013,433号明細書;米国特許出願第5,965,393号明細書;米国特許出願第5,939,285号明細書;米国特許出願第5,891,676号明細書;米国特許出願第5,871,986号明細書;米国特許出願第5,861,279号明細書;米国特許出願第5,858,368号明細書;米国特許出願第5,843,733号明細書;米国特許出願第5,762,939号明細書;米国特許出願第5,753,220号明細書;米国特許出願第5,605,827号明細書;米国特許出願第5,583,023号明細書;米国特許出願第5,571,709号明細書;米国特許出願第5,516,657号明細書;米国特許出願第5,290,686号明細書;国際公開第02/06305号パンフレット;国際公開第01/90390号パンフレット;国際公開第01/27301号パンフレット;国際公開第01/05956号パンフレット;国際公開第00/55345号パンフレット;国際公開第00/20032号パンフレット;国際公開第99/51721号パンフレット;国際公開第99/45130号パンフレット;国際公開第99/31257号パンフレット;国際公開第99/10515号パンフレット;国際公開第99/09193号パンフレット;国際公開第97/26332号パンフレット;国際公開第96/29400号パンフレット;国際公開第96/25496号パンフレット;国際公開第96/06161号パンフレット;国際公開第95/20672号パンフレット;国際公開第93/03173号パンフレット;国際公開第92/16619号パンフレット;国際公開第92/02628号パンフレット;国際公開第92/01801号パンフレット;国際公開第90/14428号パンフレット;国際公開第90/10078号パンフレット;国際公開第90/02566号パンフレット;国際公開第90/02186号パンフレット;国際公開第90/01556号パンフレット;国際公開第89/01038号パンフレット;国際公開第89/01037号パンフレット;国際公開第88/07082号パンフレットを参照すればよく、これらの各文献は、引用によって本明細書に援用される。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系に有用なベクターは公知であり、例えば、バキュロウイルスのAutographacalifornica核多角体ウイルス(AcNPV)に由来する、ヘルパー非依存性のウイルス発現ベクターである昆虫の発現およびトランスファーベクターを含む。この系に由来するウイルス発現ベクターは、一般的に、異種遺伝子の発現を誘導するために、ウイルスの強力なポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子プロモーターを使用する。一般的には、「O’Reillyら, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS: A LABORATORY MANUAL (1992)」を参照のこと。
外来の遺伝子をバキュロウイルスのゲノムに挿入する前に、上記構成要素(プロモーター、リーダー(必要に応じて)、関連のあるコード配列、および転写終結配列を含んでいる)は、中間トランス配列コンストラクト(intermediate transplacement construct)(トランスファーベクター)に集められる。中間トランス配列コンストラクトは、レプリコンにおいてしばしば維持される。このレプリコンは、例えば、細菌などの宿主において安定な維持が可能な染色体外エレメント(例えば、プラスミド)といったものである。レプリコンは複製系を有し、このため、クローニングおよび増幅に適切な宿主における当該レプリコンの維持を可能にする。より具体的には、プラスミドは、ポリヘドリンポリアデニル化シグナル(「Miller,ANN.REV.MICROBIOL.(1988)42:177)」およびE.coliにおける選択および増殖に関する、原核生物のアンピシリン耐性(amp)遺伝子と複製起点とを含み得る。
AcNPVへ外来遺伝子を導入するために一般的に使用されるトランスファーベクターの1つは、pAc373である。当業者に公知である他の多くのベクターもまた設計されており、例えば、これらとしてはpVL985が挙げられる。このベクターでは、ポリヘドリン開始コドンがATGからATTに変えられ、ATTの下流の32塩基対にBamHIクローニング部位が導入されている。「Luckow and Summers, VIROLOGY 170:31(1989)」を参照のこと。他の市販されているベクターとしては、例えば、PBlueBac4.5/V5−His、pBlueBacHis2、pMelBac、pBlueBac4.5(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)が挙げられる。
異種遺伝子を挿入した後に、トランスファーベクターおよび野生型バキュロウイルスのゲノムを、昆虫細胞宿主に同時トランスフェクションする。異種DNAをバキュロウイルスの所望の部位に導入するための方法は、当業者に公知である。「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」、「Luckow and Summers, VIROLOGY (1989) 170:31」を参照のこと。例えば、2重交差型相同組換えによって、ポリへドリン遺伝子などの遺伝子に、挿入してもよい。また、所望のバキュロウイルス遺伝子中に設けられた、制限酵素認識部位に挿入してもよい。例えば、「Millerら, BIOESSAYS (1989) 11(4):91」を参照のこと。
トランスフェクションを、エレクトロポレーションによって実現してもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。また、その代わりに、リポソームを用いて、昆虫細胞に組換え発現ベクターとバキュロウイルスとをトランスフェクションしてもよい。例えば、「Liebmanら., BIOTECHNIQUES (1999) 26(1):36」、「Gravesら, BIOCHEMISTRY (1998) 37:6050」、「Nomuraら, J. BIOL. CHEM. (1998) 273(22): 13570」、「Schmidtら, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1998) 12:323」、「Siffertら, NATURE GENETICS (1998) 18:45」、「TILKINSら, CELL BIOLOGY: A LABORATORY HANDBOOK 145−154 (1998) 」、「Caiら, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1997) 10:263」、「Dolphinら, NATURE GENETICS (1997) 17:491」、「Kostら, GENE (1997) 190:139」、「Jakobssonら, J. BlOL. CHEM. (1996) 271:22203」、「Rowlesら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(37): 22376」、「Revereyら, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(39) :23607− 10」、「Stanleyら, J. BlOL. CHEM. (1995) 270:4121」、「Siskら, J. VlROL. (1994) 68(2):766」、および「Pengら, BIOTECHNIQUES (1993) 14(2):274」を参照のこと。市販されているリポソームとしては、例えば、セルフェクチン(Cellfectin(登録商標))、およびリポフェクチン(Lipofectin(登録商標))(Invitrogen, Corp.、Carlsbad、CA)が挙げられる。また、リン酸カルシウムトランスフェクションを用いてもよい。「TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)」、「Kitts, NAR (1990) 18(19):5667」、および「Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501」を参照のこと。
バキュロウイルス発現ベクターは、通常、バキュロウイルスプロモーターを含んでいる。バキュロウイルスプロモーターは、バキュロウイルスのRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始する任意のDNA配列である。プロモーターは、通常、コード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、バキュロウイルスのプロモーターは、エンハンサーと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、存在する場合は、通常、構造遺伝子から遠位に存在している。また、発現は、調節されてもよいし、恒常的であってもよい。
感染サイクルの後期に多量に転写される構造遺伝子は、特に有用なプロモーター配列を提供する。有用なプロモーター配列の例としては、ウイルスポリヘドリンタンパク質をコードする遺伝子由来の配列(「FRIESENら, The Regulation of Baculovirus Gene Expression in THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES (1986)」、欧州特許出願公開第0127839号明細書、および欧州特許出願公開第0155476号明細書)、およびp10タンパク質をコードする遺伝子由来の配列(「Vlakら, J. GEN. VlROL. (1988) 69:765」)が挙げられる。
新しく形成されたバキュロウイルス発現ベクターは、感染性の組換えバキュロウイルスにパッケージングされる。その後、成長したプラークが当業者に公知の方法によって精製されてもよい。「Millerら, BIOESSAYS (1989) 11(4):91」、「SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)」を参照のこと。
組換えバキュロウイルス発現ベクターは、いくつかの昆虫細胞へ感染させるために開発されている。例えば、とりわけAedes aegypti(ATCC番号CCL−125)、Bombyx mori(ATCC番号CRL−8910)、Drosophila melanogaster(ATCC番号1963)、Spodoptera frugiperda、およびTriclioplusia niのための組換えバキュロウイルスが開発されている。「Wright, NATURE (1986) 321:718」、「Carbonellら, J. VlROL. (1985) 56:153」、「Smithら, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156」を参照のこと。一般的には、「Fraserら, IN VITRO CELL. DEV. BIOL (1989) 25:225」を参照のこと。より具体的には、バキュロウイルス発現ベクターの系に用いられる細胞株としては、通常、Sf9(スポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda))(ATCC番号CRL−1711)、Sf21(スポドプテラフルギペルダ)(Invitrogen Corp.,カタログ番号11497−013 (Carlsbad, CA))、Tri−368(Trichopulsia ni)、およびHigh−Five(登録商標)BTI−TN−5B1−4(イラクサギンウワバ(Trichopulsia ni))が挙げられるが、これらに限定されない。
バキュロウイルス/発現における異種ポリペプチドの直接発現と融合発現とのための細胞および培地は、市販されている。そして、細胞培養技術は当業者にとって通常に知られている。
<細菌、シュードモナス種、および他の原核生物>
細菌を用いた発現技術は当業者にとって公知である。細菌宿主における使用を目的とした様々なベクターが利用可能である。上記ベクターは、1コピーベクター、またはコピー数が少ない多コピーベクター(低多コピーベクター)、もしくはコピー数が多い多コピーベクター(高多コピーベクター)であってもよい。ベクターは、クローニングおよび/または発現に役立ち得る。ベクターに関する豊富な文献、多くの市販のベクター、ならびにベクターとその制限酵素地図とその特徴とについて記載している手引書も同等に考慮して、本明細書ではこれ以上論じる必要は無い。よく知られているように、上記ベクターは、通常は選択を可能にするマーカーを含んでいる。上記マーカーは、細胞毒性剤への耐性、原栄養性、または免疫を提供し得る。異なる特徴を提供する複数のマーカーが、高頻度に存在する。
細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始できる任意のDNA配列である。プロモーターは、大抵はコード配列の5’末端近傍に配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、細菌プロモーターは、オペレーターと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、RNA合成が始まる隣接したRNAポリメラーゼ結合部位と重複してもよい。オペレーターは、負に調節される(誘導性の)転写を可能にする。すなわち、遺伝子リプレッサータンパク質が、オペレーターに結合することによって、特定の遺伝子の転写を阻害してもよい。構造発現は、負の調節因子(オペレーターなど)の非存在下において生じ得る。さらに、正の調節が、遺伝子アクチベータータンパク質の結合配列によってもたらされてもよい。該結合配列は、存在する場合は、通常、RNAポリメラーゼ結合配列よりも(5’)近位に存在する。遺伝子アクチベータータンパク質としては、例えば、代謝活性化タンパク質(CAP)が挙げられる。このCAPは、Escherichia coli(E. coli)のlacオペロンの転写開始を助ける(「Raibaudら, ANNU. REV. GENET. (1984) 18:173」)。したがって、制御された発現は、正または負のいずれかであってもよく、これによって転写を増強または減少させてもよい。
代謝経路の酵素をコードしている配列は、特に有用なプロモーターを提供する。この配列としては、例えば、ガラクトース、ラクトース(lac)(「Changら, NATURE (1977) 198:1056」)、およびマルトースなどの糖代謝酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる。別の例としては、トリプトファン(trp)などの生合成酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる(「Goeddelら, Nuc. ACIDS RES. (1980) 8:4057」、「Yelvertonら, NUCL. ACIDS RES. (1981) 9:731」、米国特許第4,738,921号明細書、欧州公開第036776号明細書、欧州公開第121775号明細書)。なお、これら文献は、引用によって本明細書に援用される。また、β−ガラクトシダーゼ(bla)のプロモーター系(「Weissmann (1981) 「The cloning of interferon and other mistakes.」 In Interferon 3 (Ed. I. Gresser) 」)、バクテリオファージラムダのPL(「Shimatakeら, NATURE (1981) 292:128」)、およびT5(米国特許第4,689,406号明細書)のプロモーター系も、有用なプロモーター配列を提供する(なお、これら文献は、引用によって本明細書に援用される)。例えば目的のポリペプチドを高レベルに誘導するためのT7プロモーターなどの強力なプロモーターを使用する。このようなベクターの例は、当業者に公知であり、pET29のシリーズ(Novagen)、および国際公開第99/05297号明細書に記載のpPOPベクターなどが挙げられる(なお、上記文献は、引用によって本明細書に援用される)。このような発現系は、宿主細胞の生存能力または成長パラメータに支障をきたすことなく、宿主においてポリペプチドを高レベルに産生する。pET19(Novagen) は、当該分野において公知の他のベクターである。
さらに、天然に生じることのない合成プロモーターは、細菌プロモーターとして機能する。例えば、1つの細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターの転写活性化配列は、他の細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターのオペロン配列とつないで、合成混成プロモーターを形成してもよい(引用によって本明細書に援用される米国特許出願第4,551,433号明細書)。例えば、tacプロモーターは、trpプロモーターとlacオペロン配列とから成る、混成trp−lacプロモーターである。なお、混成trp−lacプロモーターはlacリプレッサーによって調節される(「Amannら, GENE(1983)25:167」、「de Boerら, PROC.NATL.ACAD.SCI.(1983)80:21」)。さらに、細菌プロモーターは天然に生じる非細菌由来のプロモーターが含まれ得る。非細菌由来のプロモーターは細菌RNAポリメラーゼとの結合能を有しており、転写を開始することができる。天然に生じる非細菌由来のプロモーターは、原核生物においていくつかの遺伝子の高レベルな発現を産出するために、共通RNAポリメラーゼと結合させることができる。バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼ/プロモーター系は、結合プロモーター系の一例である(「Studierら, J.MOL.BIOL(1986)189:113」、「TaborらProc Natl.Acad.Sci.(1985)82:1074」)。さらに、混成プロモーターは、バクテリオファージプロモーターと、E. coliのオペレーター領域とを含んでいてもよい(欧州公開第267851号明細書)。
また、機能性プロモーター配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が、外来遺伝子を原核細胞において発現させるために有効である。E. coliにおいて、リボソーム結合部位は、シャイン‐ダルガルノ(SD)配列と呼ばれ、開始コドン(ATG)と、該開始コドンから3〜11ヌクレオチド上流に位置した、長さ3〜9ヌクレオチドの配列とを含んでいる(「Shineら, NATURE (1975) 254:34」)。SD配列は、SD配列とE. coliの16S rRNAの3’との間で塩基対を形成することによって、mRNAとリボソームとの結合を促進すると考えられている(「Steitzら 「Genetic signals and nucleotide sequences in messenger RNA」, In Biological Regulation and Development: Gene Expression (Ed. R. F. Goldberger, 1979) 」)。真核性遺伝子および原核性遺伝子を、弱いリボソーム結合部位によって発現すること(「Sambrookら 「Expression of cloned genes in Escherichia coli」, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989」)。
用語「細菌宿主」または「細菌宿主細胞」は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAにとっての受容物として使用されてもよい、または使用されている細菌のことをいう。この用語は、トランスフェクションされている元々の細菌宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫は、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの相補体において、偶発的な変異、または計画的な変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことを理解されたい。関連する性質(例えば、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在)によって特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。
ポリペプチドの発現にとって好適な宿主細菌の選択は、当業者にとって公知である。所望のポリペプチドの発現に関する細菌宿主の選択において、適切な宿主としては、とりわけ、良好な封入体形成能、低いタンパク質分解活性、および全体的に強健さがあることを示す宿主が挙げられる。細菌宿主は、一般的に、様々な供給源から入手可能であり、例えば、「Bacterial Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California (Berkeley, CA)」、および「the American Type Culture Collection (「ATCC」) (Manassas, VA)」から入手することができるが、これらに限定されない。K株に由来する細菌(W3110など)、またはB株に由来する細菌(BL21など)が、一般的に産業的/製薬的な発酵に用いられる。これらの株は、成長パラメータが、非常によく知られており、強健であるから特に有用である。さらに、これらの株は非病原性であるから、安全性と環境の観点から商業的に重要である。E. coli宿主の好適な例としては、BL21、DH10B、またはその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の別の実施形態では、E. coli宿主は、プロテアーゼが欠失した株(OMP−、およびLON−など)である。宿主細菌株はシュードモナス種(シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)およびシュードモナスプチダ(Pseudomonas putida))であり得る。MB101株と表されるシュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)次亜種Iは、組換え産生に有用であることが知られており、処置用のタンパク質の製造工程に利用可能である。シュードモナス発現系の例としては、Dow Chemical社から入手可能な宿主株としての系(Midland、MI、ワールドワイドウェブのdow.comにおいて入手可能である)が挙げられる。本明細書に参考として援用される、米国特許第4,755,465号明細書および米国特許4,859,600号明細書には、hGH産生のための宿主細胞としてのシュードモナス株の使用について記載されている。
組換え宿主細胞株が確立されれば(すなわち、発現コンストラクトが、宿主細胞に導入され、適切な発現コンストラクトを有する宿主細胞が単離されれば)、当該組換え宿主細胞株は、目的のポリペプチドの産生に適切な条件下において培養される。当業者にとって明らかなように、宿主細胞株の培養方法は、利用される天然の発現コンストラクトと宿主細胞の性質とに依存する。組換え宿主株は、当業者に公知の方法を用いて通常に培養される。組換え宿主細胞は、通常、炭素、窒素および無機塩の吸収可能な供給源を含む液体培養基にて培養される。さらに、該液体培養基は、必要に応じて、ビタミン、アミノ酸、成長因子、および技術的に公知の他のタンパク質性の培養補助物を含んでいてもよい。また、宿主細胞の培養のための液体培養基は、望ましくない微生物の成長を阻害するための抗生物質、もしくは抗真菌剤、および/または発現ベクターを含む宿主細胞を選択するための抗生物質などの化合物を、任意に含んでいてもよい。
目的の核酸を細胞内に導入するいくつかの周知の方法が利用可能であり、これらの方法の何れかを本発明に使用することができる。このような方法としては、DNAを含有する細菌のプロトプラストと受容細胞との融合、エレクトロポレーション、プロジェクタイルボンバードメント(projectile bombardment)、およびウイルスベクターによる感染(以下にてさらに検討する)などが挙げられる。細菌の細胞を、用いて、本発明のDNAコンストラクトを含有するプラスミドの数を増幅させることができる。細菌を対数増殖期まで増殖させ、細菌内のプラスミドを当該技術分野において公知の種々の方法によって単離することができる(例えばSambrookを参照のこと)。さらに、細菌からプラスミドを精製するためのキットが市販されている(例えば、Pharmacia Biotechから入手できるEasyPrep(登録商標)およびFlexiPrep(登録商標)、Stratageneから入手できるStrataClean(登録商標)、ならびにQiagenから入手できるQIAprep(登録商標)を参照)。次いで、単離され精製されたプラスミドは、他のプラスミドを製造するためにさらに操作され、細胞にトランスフェクションするために使用されるか、または生物に感染させるための関連するベクターに組み込まれる。典型的なベクターは、特定の目的の核酸の発現調節に有用な、転写ターミネーター、翻訳ターミネーター、転写開始配列、翻訳開始配列、およびプロモーターを含有している。ベクターは、必要に応じて、包括的な発現カセットを含んでいる。このカセットは、少なくとも1個の、独立したターミネーター配列、真核生物もしくは原核生物またはそれらの両方においてカセットの複製を可能にする配列(限定されないが、シャトルベクターが挙げられる)、および原核生物の系および真核生物の系の両方のための選択マーカーを含んでいる。ベクターは、原核生物、真核生物、またはそれらの両方における複製および組込みに適している。「Gillam & Smith, Gene 8:81 (1979)」、「Robertsら, Nature, 328:731 (1987)」、「Schneider, Eら, Protein Expr. Purif. 6(1):10−14 (1995)」、「Ausubel, Sambrook, Berger」を参照のこと(これらは全て上述した)。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージのカタログは、例えばATCCによって提供されており、例えば、ATCCから発行された「Bacteria and Bacteriophage (1992) Ghernaら (eds)」というATCCのカタログが挙げられる。また、塩基配列決定法、クローニング、および分子生物学の他の局面についてのさらなる基本的な手法、ならびに基礎を成す理論的考察は、「Watsonら (1992) Recombinant DNA Second Edition Scientific American Books, NY」に見られる。さらに、基本的に任意の核酸(および、標準化されているか、または標準化されていない、実質的に任意の核酸)は、様々な商業的供給業者のいずれかより特別注文して得られるか、または標準的に注文して得られる。商業的供給業者としては、例えば、the Midland Certified Reagent Company (Midland, TX)(ワールドワイドウェブのmcrc.comにて利用できる)、The Great American Gene Company (Ramona, CA)(ワールドワイドウェブのgenco.comにて利用できる)、ExpressGen Inc. (Chicago, IL)(ワールドワイドウェブのexpressgen.comにて利用できる)、Operon Technologies Inc. (Alameda, CA)などが挙げられる。
組換え宿主細胞は、バッチ式または連続式で培養され得る。目的のポリペプチドが細胞内に蓄積する場合、細胞は収集されるか、またはバッチ式もしくは連続式において培養液上清が収集される。原核生物の宿主細胞での製造にとって、バッチ式培養および細胞収集が好ましい。
<セレクターコドン>
本発明のセレクターコドンは、タンパク質の生合成機構の遺伝学的なコドンの枠組みを拡張する。例えば、セレクターコドンとしては、限定されないが、固有の3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えば、終止コドン(限定されないが、アンバーコドン(UAG)、オーカーコドン、またはオパールコドン(UGA)が挙げられる)、非天然コドン、4塩基(以上)のコドン、またはレアコドンなどが挙げられる。多くのセレクターコドンが所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得る(例えば、1個以上、2個以上、3個以上など)。
本発明のセレクターコドンは、タンパク質の生合成機構の遺伝学的なコドンの枠組みを拡張する。例えば、セレクターコドンとしては、限定されないが、固有の3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えば、終止コドン(限定されないが、アンバーコドン(UAG)、オーカーコドン、またはオパールコドン(UGA)が挙げられる)、非天然コドン、4塩基以上のコドン、またはレアコドンなどが挙げられる。所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数が広範であることは当業者にとって容易に理解できる。広範なセレクターコドンの数は、限定されないが、抗原をコードする1個のポリヌクレオチドにおいて、または全生物において、1個以上、2個以上、3個以上、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上である。本発明で用いる遺伝的に修飾された全生物の非限定的な例としては、MAPおよびE. coliが挙げられる。
一実施形態において、本方法は、インビボにおいて選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を組み込むための終止コドンであるセレクターコドンの使用を含んでいる。例えば、終止コドン(限定されないが、UAGが挙げられる)を認識するO−tRNAが製造され、このO−tRNAはO−RSによって選択されたアミノ酸でアミノアシル化される。このO−tRNAは、天然に生じる宿主のアミノアシル−tRNAシンテターゼによって認識されない。従来の部位特異的変異誘発法は、終止コドンを、目的のポリペプチドにおける目的の部位に導入するために使用することができる。例えば、「Sayers, J.R.,ら (1988), 5’−3’ Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis. Nucleic Acids Res, 16:791−802」を参照のこと。O−RS、O−tRNA、ならびに目的のポリペプチドをコードする核酸が、(例えばインビボにおいて)組み合わせられると、選択されたアミノ酸は終止コドンに応じて組み込まれ、指定された位置に選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を含有するポリペプチド加えられる。本発明の一実施形態において、セレクターコドンとしての終止コドンは、アンバーコドンであるUAG、および/またはオパールコドンであるUGAである。例えば、アンバーコドンを認識するO−tRNAの一例としての配列番号6、およびオパールコドンを認識するO−tRNAの一例としての配列番号7を参照のこと。UAGおよびUGAがともにセレクターコドンとして用いられる遺伝コードは、オーカーナンセンスコドンであるUAAを保存すると同時に、22個のアミノ酸をコードし得る。このUAAは、最も豊富な終結シグナルである。
インビボにおける選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)の組込みは、宿主細胞を顕著に乱すことなくなされ得る。例えば、非真核生物(大腸菌など)では、UAGコドンに関する抑圧効率が、O−tRNA(例えば、アンバーサプレッサーtRNA)と放出因子1(RF1)との競合作用に依存するため、抑圧効率は、例えばO−tRNA(サプレッサーtRNAなど)の発現レベルを増加させることか、またはRF1が欠損している株を用いることのいずれかによって、調節し得る。なお、放出因子1は、UAGコドンと結合し、成長しているペプチドのリボソームからの放出を開始する。真核細胞では、UAGコドンに関する抑圧効率がO−tRNA(例えば、アンバーサプレッサーtRNA)と真核性の放出因子(例えば、eRF)との競合作用に依存するため、抑圧効率は、例えば、O−tRNA(サプレッサーtRNAなど)の発現レベルを増加させることによって調整し得る。なお、真核性の放出因子は、終止コドンと結合し、成長しているペプチドのリボソームからの放出を開始する。
また、天然でないアミノ酸は、レアコドンによってコードされ得る。例えば、インビトロでのタンパク質の合成反応においてアルギニンの濃度が低減した場合、レアなアルギニンコドンであるAGGは、アラニンでアシル化された合成tRNAによるAlaの挿入にとって有効であることを証明されている。例えば、「Maら, Biochemistry, 32:7939 (1993)」を参照のこと。この場合、合成tRNAは、大腸菌に少数の種として存在する天然に生じるtRNA Argと競合する。いくつかの生物はすべてのトリプレッドコドンを使用しない。ミクロコッカスルテウス(Micrococcus luteus)において割り当てられていないコドンAGAは、インビトロにおいて、アミノ酸を転写/翻訳の抽出物に挿入するために利用されている。例えば、「Kowal and Oliver, Nucl. Acid. Res., 25:4685 (1997)」を参照のこと。本発明の成分は、インビボにおいて、これらのレアコドンを使用するために作製され得る。
また、セレクターコドンは、延長されたコドン(例えば、4塩基コドン、5塩基コドン、6塩基コドン、またはそれ以上の塩基コドンなど、4塩基以上のコドン)を含んでいる。4塩基コドンの例としては、限定されないが、AGGA、CUAG、UAGA、およびCCCUなどが挙げられる。5塩基のコドン例としては、限定されないが、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、およびUAGGCなどが挙げられる。本発明の特徴には、フレームシフト抑圧に基づく、延長されたコドンの使用を包含する。4塩基以上のコドンは、例えば、同じタンパク質に1つまたは複数の選択されたアミノ酸(限定されないが、天然でないアミノ酸)を挿入することができる。例えば、アンチコドンループ(例えば、CU(X) XXXAA配列(ここで、n=1))を有する変異化されたO−tRNA(特別なフレームシフトサプレッサーtRNAが挙げられる)の存在下において、4塩基以上のコドンが単一のアミノ酸として読まれる。例えば、国際出願番号第PCT/US04/22061号が提供する、4塩基コドンを認識するO−tRNAに関する配列番号6、12を参照のこと。他の実施形態では、アンチコドンループは、例えば、少なくとも4つの塩基コドン、少なくとも5つの塩基コドン、または少なくとも6つの塩基コドン、またはそれ以上を解読することができる。256通りの4塩基のコドンが可能なので、4塩基以上のコドンを用いて、複数の天然でないアミノ酸を同一の細胞にコードすることができる。「Andersonら, (2002) Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size, Chemistry and Biology, 9:237−244」;「 Magliery, (2001) Expanding the Genetic Code: Selection of Efficient Suppressors of Four−base Codons and Identification of “Shifty” Four−base Codons with a Library Approach in Escherichia coli, J. Mol. Biol. 307: 755−769」を参照のこと。
例えば、4塩基コドンは、インビトロにおける生合成方法を用いて、天然でないアミノ酸をタンパク質に組込むために使用されている。例えば、「Maら, (1993) Biochemistry, 32:7939」、および「Hohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:34」を参照のこと。CGGGおよびAGGUは、化学的にアシル化された2つのフレームシフトサプレッサーtRNAによって、インビトロで、ストレプトアビジンに2−ナフチルアラニンとリジンのNBD誘導体とを同時に組み込むために使用された。例えば、「Hohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:12194」を参照のこと。Moorらは、インビトロの研究で、UAGNコドンを抑圧するというNCUAのアンチコドンを有するtRNALeu誘導体の能力を調べた(NはU、A、GまたはCであり得る。)。そして、UCUAのアンチコドンを有するtRNALeuによって、4塩基のUAGAが、0または−1フレームにおける解読がほとんどなく、13〜26%の効率で解読され得ることを発見した。「Mooreら, (2000) J. Mol. Biol., 298:195」を参照のこと。一実施形態において、レアコドンまたはナンセンスコドンに基づく延長されたコドンは、本発明に使用することができ、他の望ましくない部位におけるミスセンスのリードスルーと、フレームシフト抑圧とを減少することができる。
また、所定の系に関し、内因性の系が天然の塩基コドンを使用しない(または稀にしか使用しない)場合、セレクターコドンは天然の3塩基コドンの1個を含み得る。この例としては、天然の3塩基コドンを認識するtRNAが欠如している系、および/または3塩基のコドンがレアコドンである系が挙げられる。
セレクターコドンは、非天然の塩基対を必要に応じて包含する。これらの非天然の塩基対は、存在する遺伝子アルファベットをさらに拡張する。塩基対を1個追加することによって、トリプレットコドンの数が64から125まで増加する。第3の塩基対の性質としては、安定かつ選択的な塩基対の形成、ポリメラーゼによる高い忠実度でのDNAへの効率的な酵素的組込み、および初期の非天然の塩基対の合成後における効率的な連続するプライマー伸張が挙げられる。本方法および本組成物に適合し得る天然でない塩基対は、例えば、「Hiraoら, (2002) An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein, Nature Biotechnology, 20:177−182」に記載されている。また、「Wu, Yら, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:14626−14630」を参照のこと。他の関連する刊行物を以下に示す。
インビボにおける使用に関して、非天然のヌクレオシドは膜透過性であり、リン酸化されて対応する3リン酸塩を形成する。また、増加した遺伝情報は安定であり、かつ細胞性の酵素によって破壊されない。Benner他は、これまでの試みで、基準のワトソンクリックの対における水素結合の様式とは異なる水素結合の様式を巧く活用した。もっとも注目すべき例はイソ−C:イソ−Gの対である。例えば、「Switzerら, (1989) J. Am. Chem. Soc., 111:8322」および「Piccirilliら, (1990) Nature, 343:33; Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602」を参照のこと。これらの塩基は、通常、ある程度に天然塩基と誤対合し、酵素的に複製され得ない。Koolおよび共同研究者らは、塩基間の疎水性パッキング相互作用が水素結合と入れ替わって、塩基対の形成を生じることができることを証明した。「Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602」、および「Guckian and Kool, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 2825」を参照のこと。上述したすべての要件を満たす非天然の塩基対を開発するために、Schultz、 Romesbergおよび共同研究者らは、一連の非天然の疎水性塩基を体系的に合成し、研究している。PICS:PICSという自己の対は、天然塩基対よりも安定であることが見出されており、大腸菌のDNAポリメラーゼIのクレノーフラグメント(KF)によって、DNAに効率的に組み込まれ得る。例えば、「McMinnら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:11585−6」、および「Ogawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:3274」を参照のこと。3MN:3MNという自己の対は、生物学的な機能に関して十分に効率的であり、選択性を伴って、KFによって合成され得る。例えば、「Ogawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:8803」を参照のこと。しかし、両塩基は、さらなる複製に対して連鎖ターミネーターとして機能する。近年、PICSの自己の対を複製するために使用され得るDNAポリメラーゼの変異体が進化している。また、7AIの自己の対は複製され得る。例えば、「Taeら, (2001) J. Am. Chem. Soc., 123:7439」を参照のこと。また、Cu(II)との結合によって安定な対を形成する新規な金属塩基対であるDipic:Pyも開発されている。「Meggersら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:10714」を参照のこと。延長されたコドンおよび非天然のコドンが天然のコドンに対して元来、直交性であることから、本発明の方法は、この性質を活かして、延長されたコドンおよび非天然のコドンのために直交性のtRNAを作製することができる。
また、翻訳を迂回する系が、所望のポリペプチドに選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を組み込むために使用され得る。翻訳を迂回する系において、大きな配列が遺伝子に組み込まれるが、この配列はタンパク質に翻訳されない。この配列は、リボソームにこの配列を跳び越させ、かつ挿入部位の下流で翻訳を再開させる合図として機能する構造を含有している。
<選択されたアミノ酸および天然でないアミノ酸>
本明細書において用いられるとき、選択されたアミノ酸は、所望の天然に存在するアミノ酸または天然でないアミノ酸のいずれかをいう。天然に存在するアミノ酸は、20個の遺伝的にコードされるα−アミノ酸のうちいずれか1つを含む。このα−アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンである。一実施形態において、選択されたアミノ酸は、高い忠実度で(例えば、所定のセレクターコドンに対して約70%以上の効率で、所定のセレクターコドンに対して約80%以上の効率で、所定のセレクターコドンに対して約85%以上の効率で、所定のセレクターコドンに対して約90%以上の効率で、所定のセレクターコドンに対して約95%以上の効率で、または所定のセレクターコドンに対して約99%もしくはそれ以上の効率で)、成長中のポリペプチド鎖に組み込まれる。
本明細書において用いられるとき、天然でないアミノ酸とは、任意のアミノ酸、修飾されたアミノ酸、あるいは、セレノシステインおよび/またはピロリジン、ならびに以下に示す20個の遺伝的にコードされるα−アミノ酸以外のアミノ酸類似体のことをいう。α−アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンである。α−アミノ酸の一般的な構造は、式Iによって示される:
Figure 0005709754
天然でないアミノ酸は、典型的に、式Iを有する構造のいずれかである。ここで、R基は20個の天然アミノ酸に使用される置換基以外の任意の置換基である。20個の天然アミノ酸の構造に関しては、例えば、「Biochemistry by L. Stryer, 3rd ed. 1988, Freeman and Company, New York」を参照のこと。本発明の天然でないアミノ酸は、上述の20個のα−アミノ酸以外の、天然に存在する化合物であり得ることに注目されたい。
本発明の天然でないアミノ酸が、側鎖の構造においてのみ天然アミノ酸と典型的に異なるため、天然でないアミノ酸は、それらが天然に存在するタンパク質において形成される同じ様式において、他のアミノ酸(天然または非天然のアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない)とアミド結合を形成する。しかし、天然でないアミノ酸は、これらを天然のアミノ酸と区別する側鎖基を有する。例えば、式Iにおいて、Rは、アルキル−、アリール−、アシル−、ケト−、アジド−、ヒドロキシル−、ヒドラジン、シアノ−、ハロ−、ヒドラジド、アルケニル、アルキル、エーテル、チオール、セレノ−、スルフォニル−、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、ヘテロ環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、およびアミンなどを含み得る。別の天然に存在しないアミノ酸としては、限定されないが、光で活性化される架橋を含んでいるアミノ酸、スピン標識されたアミノ酸、蛍光アミノ酸、金属に結合するアミノ酸、金属を含有するアミノ酸、放射性アミノ酸、新規の官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有的または非共有的に相互作用するアミノ酸、光でケージ化するおよび/または光で異性化可能なアミノ酸、ビオチンまたはビオチン誘導体を含むアミノ酸、糖で置換されたセリンなどのグリコシル化されたアミノ酸、他の炭水化物によって修飾されたアミノ酸、ケトを含有するアミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含んでいるアミノ酸、重原子で置換されたアミノ酸、化学的に切断可能なおよび/または光切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比べて延長された側鎖(ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(約5個または約10個を越える炭素が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)を有するアミノ酸、炭素に結合された糖を含有するアミノ酸、酸化還元的に活性なアミノ酸、アミノチオ酸を含有するアミノ酸、ならびに1個以上の毒性部分を含んでいるアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に参考として援用される米国特許出願公開第2003/0082575号明細書および米国特許出願公開第2003/0108885号明細書を参照のこと。天然でないアミノ酸は、例えば、タンパク質を固形担体に結合させるために利用する、光で活性化される架橋を含み得る。天然でないアミノ酸は、アミノ酸側鎖と結合する糖部分を含み得る。
また、新規な側鎖を含有する天然でないアミノ酸に加えて、非天然アミノ酸は、例えば、式IIおよび式IIIの構造で示されるような、修飾された骨格構造を必要に応じて含んでいる:
Figure 0005709754
Figure 0005709754
ここで、Zは、典型的にOH、NH、SH、NH−R’、またはS−R’であり;同じかまたは異なり得るXおよびYは、典型的にSまたはOであり、任意に同じであるか、または異なるRおよびR’は、水素だけでなく式Iを有する天然でないアミノ酸に関して上述したR基にとっての成分の同じ一覧から典型的に選択される。例えば、天然でないアミノ酸は、式IIおよびIIIによって示されるようなアミノ基またはカルボキシル基において置換基を含み得る。この種の天然でないアミノ酸としては、一般的な20個の天然アミノ酸または天然でないアミノ酸に対応する側鎖を有する(例として挙げられるが、これらに限定されない)、α−ヒドロキシ酸、α−チオ酸、α−アミノチオカルボキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、α−炭素における置換基としては、D−グルタメート、D−アラニン、D−メチル−O−チロシン、およびアミノブチル酸などのL、D、またはα−α−2置換アミノ酸が任意に挙げられるが、これらに限定されない。他の構造的な代替物としては、プロリン類似体ならびに3員環、4員環、6員環、7員環、8員環および9員環のプロリン類似体などの環状アミノ酸、置換β−アラニンおよびγ−アミノブチル酸などのβおよびγ−アミノ酸が挙げられる。
多くの天然でないアミノ酸は、チロシン、グルタミンおよびフェニルアラニンなどの天然アミノ酸に基づいている。チロシン類似体としては、パラ置換チロシン、オルト置換チロシンおよびメタ置換チロシンが挙げられる。置換チロシンは、ケト基(アセチル基が挙げられるが、これに限定されない)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン基、ヒドロキシアミン基、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C〜C20の直鎖状または分枝状の炭化水素、飽和もしくは不飽和の炭化水素、O−メチル基、ポリエーテル基またはニトロ基などを含有する。さらにまた、多置換アリール環が意図される。グルタミン類似体としては、α−ヒドロキシ誘導体、γ−置換誘導体、環状誘導体、およびアミド置換グルタミン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。フェニルアラニン類似体の例としては、パラ置換フェニルアラニン、オルト置換フェニルアラニン、およびメタ置換フェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、置換基は、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリル基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、またはケト基(アセチル基が挙げられるが、これに限定されない)などを含有する。非アミノ酸の具体例としては、p−アセチル−L−フェニルアラニン、p−プロパルギル−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、およびp−プロパルギルオキシ−フェニルアラニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々な天然でないアミノ酸の変形の構造の例は、例えば、本明細書に参考として援用される、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)に記載されている。また、付加的なメチオニン類似体に関しては、参考として本明細書に援用される、「Kiickら., (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99:19−24」を参照のこと。
アミノ末端においてポリペプチドに組み込まれる天然でないアミノ酸は、20個の天然アミノ酸に用いられる官能基以外の任意の置換基であるR基、およびα−アミノ酸に通常に存在するNH基とは異なる第2の反応性基から構成され得る(式Iを参照のこと)。類似の天然でないアミノ酸が、カルボキシル末端において、α−アミノ酸に通常に存在するCOOH基と異なる第2の反応性基を用いて、組み込まれ得る(式1を参照のこと)。
本発明の天然でないアミノ酸は、20個の天然アミノ酸において有効ではない付加的な特性を与えるために、選択され得るか、または設計され得る。例えば、非天然アミノ酸は、タンパク質(例えば、それらが組み込まれる)の生物学的性質を改変するために、任意に設計され得るか、または選択され得る。例えば、以下の性質:毒性、体内分布、溶解性、安定性(例えば、熱、加水分解、酸化、および酵素的分解に対する耐性など)、精製および処理の容易さ、構造特性、 分光特性、化学的および/または光化学的な性質、触媒活性、酸化還元電位、半減期、ならびに他の分子と反応する(例えば、共有結合的にか、または非共有結合的に)能力などは、天然でないアミノ酸をタンパク質に含有させることによって任意に改変され得る。
天然でないアミノ酸の種々の構造は、例えば、本明細書に参考として援用される、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)の図16、図17、図18、図19、図26および図29に示される。これらの例は、いずれかの例で、本発明のtRNAと結合され得るアミノ酸を限定することを意図したものではない。
天然でないアミノ酸の利点の1つとしては、天然でないアミノ酸が、追加の分子を付加するために用いられ得るという、さらなる化学的な部分を提供することにある。これらの修飾は、真核細胞または非真核細胞のインビボにおいてか、またはインビトロにおいてなされる。したがって、特定の実施形態において、翻訳後修飾は天然でないアミノ酸を介する。ポリペプチドにおいて、天然でないアミノ酸は、特定の反応性基に適し、当業者に公知である化学的手法を利用して、第1の反応性基を含有している少なくとも1個の天然でないアミノ酸に対して、第2の反応性基を含有しているこのポリペプチドへの分子を結合させるために用いられ得る。別の分子としては、限定されないが、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、アフィニティー標識、フォトアフィニティー標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチド類似体、抗体または抗体フラグメント、金属キレート剤、補助因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属を含有する部分、放射性部分、新規官能基、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基、光でケージ化する(photocaged)部分、化学線によって励起可能な部分、光で異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンの類似体、重原子を組み込んでいる部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、延長された側鎖、炭素に結合される糖、酸化還元活性のある剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体で標識された部分、生物物理学的なプローブ、燐光性の基、化学発光性の基、電子密度の高い基、磁性の基、インターカレートする基、発色団、エネルギーを伝達する剤、生物学的に活性な剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、またはこれらの任意の組合せ、あるいは他の任意の所望の化合物または物質が挙げられる。
例えば、翻訳後修飾は、求核−求電子反応を介し得る。タンパク質の選択的な修飾に現在、使用されるほとんどの反応は、求核反応のパートナーと求電子反応のパートナーとの間における共有結合(α−ハロケトンのヒスチジン側鎖またはシステイン側鎖との反応が挙げられるが、これらに限定されない)の形成に関する。これらの場合における選択性は、タンパク質における求核性残基の数および接触性によって決定される。本発明のタンパク質において、より選択的な他の反応は、例えば、インビボおよびインビトロにおける、ヒドラジドまたはアミノオキシ化合物との、非天然ケトアミノ酸の反応に使用され得る。例えば、「Cornishら, (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:8150−8151」;「Mahalら, (1997) Science. 276:1125−1128」;「Wangら, (2001) Science 292:498−500」;「Chinら, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:9026−9027」;「Chinら, (2002) Proc. Natl. Acad. ScL 99: 11020−11024」;「Wangら, (2003) Proc. Natl. Acad. ScL 100:56−61」;「Zhangら, (2003) Biochemistry. 42:6735−6746」;および「Chinら, (2003) Science. 301:964−7」を参照のこと。これらの文献のすべては、参考として本明細書に援用される。これは、多くの試薬(蛍光団、架橋剤、糖誘導体および細胞毒性分子が挙げられる)を用い実質的に任意のタンパク質の選択的な標識を可能にする。また、参考として本明細書に援用される、米国特許第6,927,042(発明の名称「Glycoprotein synthesis」)を参照のこと。また、アジドアミノ酸を介した(例として挙げられるが、これに限定されない)翻訳後修飾は、シュタウディンガー結合(限定されないが、トリアリールホスフィン試薬を用いる)を介してなされ得る。例えば、「Kiickら, (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99: 19−24」を参照のこと。
<天然でないアミノ酸の化学的な合成>
多くの天然でないアミノ酸は市販されており、例えば、Sigma−Aldrich (St. Louis, MO, USA)、Novabiochem (a division of EMD Biosciences, Darmstadt, Germany)、またはPeptech (Burlington, MA, USA)から入手できる。市販されていない天然でないアミノ酸は、本明細書に示されるように任意に合成されるか、または当業者に公知の標準的な方法を用いて合成される。有機合成技術に関しては、例えば、「Organic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.)」;「Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York)」;および、「Advanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts A and B, 1990, Plenum Press, New York)」を参照のこと。天然でないアミノ酸の合成について記載しているさらなる文献としては、例えば、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of Unnatural Amino Acids」); 「Matsoukasら, (1995) J. Med. Chem., 38, 4660−4669」;「King, F.E. & Kidd, D.A.A. (1949) A New Synthesis of Glutamine and of g−Dipeptides of Glutamic Acid from Phthylated Intermediates. J. Chem. Soc., 3315−3319」;「Friedman, O.M. & Chatterrji, R. (1959) Synthesis of Derivatives of Glutamine as Model Substrates for Anti−Tumor Agents. J. Am. Chem. Soc. 81, 3750−3752」;「 Craig, J.C. et al. (1988) Absolute Configuration of the Enantiomers of 7−Chloro−4 [[4−(diethylamino)−1−methylbutyl]amino]quinoline (Chloroquine). J. Org. Chem. 53, 1167−1170」;「Azoulay, M., Vilmont, M. & Frappier, F. (1991) Glutamine analogues as Potential Antimalarials, Eur. J. Med. Chem. 26, 201−5」;「Koskinen, A.M.P. & Rapoport, H. (1989) Synthesis of 4−Substituted Prolines as Conformationally Constrained Amino Acid Analogues. J. Org. Chem. 54, 1859−1866」;「Christie, B.D. & Rapoport, H. (1985) Synthesis of Optically Pure Pipecolates from L−Asparagine. Application to the Total Synthesis of (+)−Apovincamine through Amino Acid Decarbonylation and Iminium Ion Cyclization. J. Org. Chem. 50:1239−1246」;「 Bartonら, (1987) Synthesis of Novel alpha−Amino−Acids and Derivatives Using Radical Chemistry: Synthesis of L− and D−alpha−Amino−Adipic Acids, L−alpha−aminopimelic Acid and Appropriate Unsaturated Derivatives. Tetrahedron 43:4297−4308」;および、「Subasingheら, (1992) Quisqualic acid analogues: synthesis of beta−heterocyclic 2−aminopropanoic acid derivatives and their activity at a novel quisqualate−sensitized site. J. Med. Chem. 35:4602−7」が挙げられる。また、参照として援用される、米国特許出願公開第2004/0198637号明細書(発明の名称「Protein Arrays,」)を参照のこと。
<天然でないアミノ酸の細胞への取込み>
細胞による天然でないアミノ酸の取込みは、例えば、タンパク質への組込みを目的として、天然でないアミノ酸を設計および選択するときに典型的に考慮される1つの課題である。例えば、α−アミノ酸の高い電荷密度は、これらの化合物が細胞透過性ではないかもしれないことを示唆する。天然アミノ酸は、タンパク質に基づく輸送系の集まりを介して真核細胞に取り込まれる。高速スクリーニングが行われ、どの天然でないアミノ酸が細胞に取り込まれたか(もしあれば)を評価する。例えば、参考としてその全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2004/198637号明細書(発明の名称「Protein Arrays」)、および「Liu, D.R. & Schultz, P.G. (1999) Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code. PNAS United States 96:4780−4785」における、毒性アッセイを参照のこと。取り込みは様々なアッセイを用いて容易に分析されるが、細胞の取り込み経路に受け容れられる天然でないアミノ酸の設計に代わるものは、インビボにおいてアミノ酸を作り出す生合成経路を提供することである。
<天然でないアミノ酸の生合成>
多くの生合成経路が、アミノ酸および他の化合物を産生するために細胞にすでに存在している。特定の天然でないアミノ酸のための生合成方法は、天然(限定されないが、細胞内が挙げられる)には存在し得ないが、本発明は、このような方法を提供する。例えば、天然でないアミノ酸のための生合成経路は、新しい酵素の添加または既存の宿主細胞経路の修飾によって、宿主細胞において必要に応じて生成される。追加の新しい酵素としては、必要に応じて、天然に存在する酵素か、または人工的に発展させた酵素が挙げられる。例えば、p‐アミノフェニルアラニンの生合成(国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)に一例として示されているような)は、他の生物から得た公知の酵素の組合せの添加を用いている。これらの酵素に関する遺伝子は、当該遺伝子を含んでいるプラスミドを用いた細胞の形質転換によって細胞に導入される。この遺伝子は、細胞において発現すると、所望の化合物を合成する酵素経路を提供する。必要に応じて添加される酵素の種類の例は、後述する実施例に示す。追加の酵素の配列は、例えば、ジーンバンクで見出される。また、人工的に発展させた酵素は、同様の方法で細胞の中に必要に応じて加えられる。このように、細胞性機構および細胞資源が、天然でないアミノ酸を産生するために操作される。
種々の方法が、生合成経路に使用するためか、または既存の経路の発展させるための新規な酵素の産生に利用可能である。例えば、Maxygen, Inc.(ワールドワイドウェブのwww.maxigen.comで参照できる)によって開発された再帰的な組換えが、新規の酵素および経路の開発に必要に応じて使用される。例えば、「Stemmer (1994), Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370(4):389−391」、および「Stemmer, (1994), DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91:10747−10751」を参照のこと。同様に、Genencor(ワールドワイドウェブのgenencor.comで参照できる)によって開発されたDesignPath(登録商標)は、代謝経路設計(例えば、細胞内でO−メチル−L−チロシンを作り出す経路の設計)に必要に応じて使用される。この技術では、新しい遺伝子(機能的なゲノミクス、分子進化、および分子設計によって同定される遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)の組合せを用いて、宿主生物に存在する経路を再構成する。また、Diversa Corporation(ワールドワイドウェブのdiversa.comにて利用可能である)は、限定されないが、新しい経路を作り出すための遺伝子および遺伝子経路のライブラリを高速スクリーニングする技術を提供する。
典型的に、設計された本発明の生合成経路を用いて産生される天然でないアミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度で産生される。該濃度としては、例えば天然の細胞における量が挙げられるが、他のアミノ酸の濃度に影響を与えたり、細胞資源を使い果たしたりする程ではない。インビボにおいてこのように調製される通常の濃度は、約10mM〜約0.05mMである。特定の経路にとって所望される酵素の生成に使用される遺伝子を含むプラスミドを用いて細胞が形質転換され、天然でないアミノ酸が生成されると、インビボでの選択が必要に応じて使用され、リボソームタンパク質の合成および細胞の増殖ために天然でないアミノ酸の産生をさらに最適化する。
<核酸配列、ポリペプチド配列、およびバリアント>
上述および後述するように、本発明は、核酸ポリヌクレオチド配列およびポリペプチドアミノ酸配列(例えば、tRNAおよびRS)、ならびに、これらの配列を含有する組成物および方法を提供する。当該配列の例として、例えば、tRNAおよびRSが本明細書に開示されている。しかし、本発明は、本明細書(例えば、実施例)に開示される配列に限定されないことを当業者は理解するであろう。また、本発明が、本明細書に記載される機能(例えば、O−tRNAまたはO−RSをコードする機能)を有する、多くの関連する配列および関連しない配列を提供することもまた、当業者は理解するであろう。
本発明は、ポリペプチド(O−RS)およびポリヌクレオチド(例えば、O−tRNA)、O−RSまたはその一部をコードするポリヌクレオチド、アミノアシル−tRNAシンテターゼのクローンを単離するために用いられるオリゴヌクレオチドなどを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、本発明に関連のある、1個以上のセレクターコドンを有するタンパク質またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。また、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3のいずれか1個に記載のヌクレオチド配列を含有しているポリヌクレオチド;当該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、またはそれらの保存的な変異を含む。同様に、上記の高いストリンジェントな条件下で、核酸の実質的に全長にわたって示されるポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸は、本発明のポリヌクレオチドである。
ある実施形態において、ベクター(例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、無傷のポリヌクレオチド、複合したポリヌクレオチドなど)は、本発明のポリヌクレオチドを包含する。一実施形態において、ベクターは発現ベクターである。別の実施形態において、発現ベクターは、本発明のポリヌクレオチドの1個以上と作働可能に結合されるプロモーターを包含する。別の実施形態において、細胞は、本発明のポリヌクレオチドを含有するベクターを包含する。
また、当業者の一人は、開示された配列の多くのバリアントが本発明に包含されることを理解するであろう。例えば、機能的に同じ配列を産生する、開示された配列の保存的なバリアントが本発明に包含される。核酸ポリヌクレオチド配列のバリアントは、本発明に包含されるとみなされる。なお、このバリアントは、少なくとも1個の開示された配列とハイブリダイズする。例えば、標準的な配列比較法によって決定されたような、本明細書に開示された配列の特定のサブ配列もまた、本発明に包含される。
<保存的なバリエーション>
遺伝コードが縮重しているために、「サイレント置換」(すなわち、核酸配列における置換によって、コードされたポリペプチドが変更されないこと)は、アミノ酸をコードするどの配列にも暗に含まれた特徴である。同様に、アミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が、類似性の高い性質を有する異なるアミノ酸と置換されるという「保存的なアミノ酸の置換」も、開示されたコンストラクトと類似性が高いものとして容易に同定される。それぞれの開示された配列のこのような保存的なバリエーションは本発明の特徴である。
特定の核酸配列の「保存的なバリエーション」は、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列をいう。コードされた配列中の1個または数%のアミノ酸を変更、付加または欠失する個々の置換、欠失、または付加を行い、このような変更によって、アミノ酸が欠失されるか、アミノ酸が付加されるか、またはアミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されるときに、「保存的に修飾されたバリエーション」または「保存的に修飾されたバリアント」が得られることを当業者は理解するだろう。このように、本発明の記載されたポリペプチド配列の「保存的なバリエーション」は、ポリペプチド配列のアミノ酸が同一の保存的な置換基の保存的に選択されたアミノ酸によって数%置換されているか、典型的に5%未満置換されているか、より典型的には4%未満、2%未満または1%未満置換されている。核酸分子のコードされた活性を変更しない配列の追加(機能的でない配列の追加など)は、基本的な核酸の保存的なバリエーションである。
機能的に類似するアミノ酸を示す保存的な置換の表は当業者に公知である。以下の8個のグループはそれぞれ互いに保存的な置換であるアミノ酸を含んでいる:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、トレオニン(T);および、
(8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition (December 1993)参照)。
<核酸のハイブリダイゼーション>
比較ハイブリダイゼーションを用いて本発明の核酸(配列番号1〜3など)を同定することができる。なお、本発明の核酸には、本発明の核酸の保存的なバリエーションが含まれる。この比較ハイブリダイゼーションの方法は、本発明の核酸を区別する方法であることが好ましい。さらに、配列番号1〜3で表される核酸と、高ストリンジェントな条件、超高ストリンジェントな条件および/または超超高ストリンジェントな条件にてハイブリダイズする目的の核酸も、本発明の特徴である。このような核酸としては、例えば、所定の核酸配列と比べて、1または数個の核酸のサイレント置換または保存的な置換を含んでいるものが挙げられる。
試験核酸がプローブ核酸と特異的にハイブリダイズするとは、試験核酸が、完全にマッチする相補的な標的と比べて少なくとも1/2の割合でプローブ核酸とハイブリダイズすることをいう。これは、即ち、以下の条件においてプローブが標的とハイブリダイズしたときの少なくとも1/2のシグナル対ノイズ比で、試験核酸がプローブ核酸とハイブリダイズすることをいう:完全にマッチするプローブ核酸がマッチしない標的核酸の何れかとハイブリダイズするときに観測されるシグナル対ノイズ比の少なくとも約5倍〜10倍で、該完全にマッチするプローブ核酸が完全にマッチする相補的な標的と結合するという条件。
核酸は典型的に溶液中で会合するときに「ハイブリダイズ」する。核酸は水素結合、溶媒排除、および塩基スタッキングなどの種々の十分に特徴づけられた物理化学的な力によってハイブリダイズする。“ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件”という語句は、当該技術において知られるように、低いイオン強度および高い温度の条件をいう。典型的に、ストリンジェントな条件において、プローブは、核酸の複合混合物(全体の細胞またはライブラリのDNAまたはRNAが挙げられるが、これらに限定されない。)においてその標的配列に対してハイブリダイズするが、複合混合物における他の配列とはハイブリダイズしない。核酸ハイブリダイゼーションの詳しい手引きは、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays,” (Elsevier, New York), およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995)に示されている。また、Hames and Higgins (1995) Gene Probes 1 IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England, (Hames and Higgins 1) and Hames and Higgins (1995) Gene Probes 2 IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England (Hames and Higgins 2)には、オリゴヌクレオチドを含むDNAおよびRNAの合成、標識化、検出および定量化が詳細に記載されている。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度 pHにおける、特定の配列に関する熱溶融点(T)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。Tは、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態において標的配列とハイブリダイズする(標的配列が過剰に存在する場合、Tにおいて、プローブの50%が平衡状態にて占有される)、温度である(規定のイオン強度、pH、および核酸の濃度の条件下)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0〜8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン濃度、典型的に約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、短いプローブ(10〜50個のヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。)に関して温度が少なくとも約30℃であり、長いプローブ(50個を超えるヌクレオチドが挙げられるが、これに限定されない。)に関して少なくとも約60℃である、という条件であり得る。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドといった不安定化剤の添加によって達成されることもある。選択的または特異的なハイブリダイゼーションに関して、ポジティブなシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍のハイブリダイゼーションであり得、必要に応じてバックグラウンドの10倍のハイブリダイゼーションであり得る。典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件は、以下のとおりであり得る:50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%のSDSにて42℃でインキュベートするか、5×SSCおよび1%SDSにて65℃でインキュベートし、0.2×SSCおよび0.1%のSDSにて65℃で洗浄する。このような洗浄は、5、15、30、60、120分、またはそれ以上にわたって実施することができる。
サザンブロットまたはノーザンブロットにおいて100個を上回る相補的な残基を有する相補的な核酸のハイブリダイゼーションをフィルター上で行うためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1例は、ヘパリン1mgが加えられた50%のホルマリンを用いて、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施することである。ストリンジェントな洗浄条件の1例は、0.2×SSCを用いて65℃で15分間洗浄することである(SSC緩衝液の説明についてはSambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001)参照)。多くの場合には、高ストリンジェントな洗浄の前に低ストリンジェントな洗浄を実施してプローブのバックグラウンドのシグナルを除去する。低ストリンジェントな洗浄の1例は、2×SSCを用いて40℃で15分間洗浄することである。一般に、シグナル対ノイズ比が、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、無関係なプローブ対して観測される比の5倍(以上)である場合に、特異的なハイブリダイゼーションが検出されたことを示す。
サザンハイブリダイゼーションおよびノーザンハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連して、「ストリンジェントなハイブリダイゼーションの洗浄の条件」は配列に依存性し、各種環境パラメータによって異なる。配列が長くなれば、より高い温度にて特異的にハイブリダイズする。核酸ハイブリダイゼーションの詳しい手引きは、上記Tijssen (1993)および上記Hames and Higgins, 1 and 2に記載されている。ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、任意の試験核酸について経験的に容易に決定することができる。例えば、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を決定するには、一連の選択された基準に合致するまで、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を(例えばハイブリダイゼーションまたは洗浄の際の温度を上昇させたり、塩濃度を低下させたり、界面活性剤の濃度を増加させたり、および/またはホルマリンなどの有機溶媒濃度を増加させたりすることによって)徐々に厳しくする。例えば、プローブがマッチしない標的とハイブリダイズするときに観測されるシグナル対ノイズ比の少なくとも約5倍で、プローブが完全にマッチする相補的な標的と結合するまで、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を徐々に厳しくする。
「非常にストリンジェントな」条件は、特定のプローブの熱融点(T)に等しくなるように選択される。Tは(規定されたイオン強度およびpH下で)試験配列の50%が完全にマッチするプローブとハイブリダイズする温度である。本発明の目的には、一般に、規定されたイオン強度およびpHにおいて特定の配列のTよりも約5℃低くなるように、「高ストリンジェントな」ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を選択する。
「超高ストリンジェントな」ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、プローブが完全にマッチする相補的な標的核酸と結合するときに観測されるシグナル対ノイズ比が、このプローブがマッチしない標的核酸のいずれかとハイブリダイズするときに観測されるシグナル対ノイズ比の少なくとも10倍になるまで、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件のストリンジェンシーが厳しくされている、という条件である。完全にマッチする相補的な標的核酸のシグナル対ノイズ比の少なくとも1/2で、上記条件下において標的核酸がプローブとハイブリダイズする場合に、標的核酸は超高ストリンジェントな条件下においてプローブと結合するという。
同様に、関連するハイブリダイゼーションアッセイのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄の条件を徐々に厳しくすることによって、さらに高いレベルのストリンジェンシーを決定することができる。例えば、プローブが完全にマッチする相補的な標的核酸と結合するときのシグナル対ノイズ比が、マッチしない標的核酸の何れかとハイブリダイゼーションするときに観測されるシグナル対ノイズ比の少なくとも10倍、20倍、50倍、100倍または500倍以上になるまで、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件のストリンジェンシーを厳しくする条件が挙げられる。完全にマッチする相補的な標的核酸のシグナル対ノイズ比の少なくとも1/2で、上記条件下において標的核酸がプローブとハイブリダイズする場合に、標的核酸は超々高ストリンジェントな条件下においてプローブと結合するという。
ストリンジェントな条件下において互いにハイブリダイズしない核酸でも、これらの核酸によってコードされるポリペプチドが実質的に同一である場合には、実質的に同一である。これは、例えば遺伝暗号によって許容される最大コドン縮重を使用して、核酸のコピーを作製する場合に該当する。
<ユニークなサブ配列>
1局面において、本発明は、本明細書に開示のO−tRNAの配列およびO−RSの配列から選択される核酸において、ユニークなサブ配列を含んでいる核酸を提供する。このユニークなサブ配列は、公知のO−tRNAおよびO−RSの核酸配列のいずれかに対応する核酸と比較してユニークである。例えばデフォルトパラメータに設定されたBLASTを使用して、アラインメントを実施することができる。任意のユニークなサブ配列は、例えば本発明の核酸を同定するためのプローブとして有用である。
同様に、本発明は本明細書に開示のO−RSの配列から選択されるポリペプチドにおいて、ユニークなサブ配列を含んでいるポリペプチドを包含する。この場合には、このユニークなサブ配列は公知のポリペプチド配列のいずれかに対応するポリペプチドと比べてユニークである。
また、本発明は、O−RSの配列から選択されるポリペプチド中のユニークなサブ配列をコードするユニークなコーディングオリゴヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下においてハイブリダイズする標的核酸も提供する。このユニークなサブ配列は、コントロールのポリペプチド(例えば、本発明のシンテターゼが変異などによって誘導された元の親配列)のいずれかに対応するポリペプチドと比べてユニークである。ユニークな配列は上述したようにして決定する。
<配列の比較、同定および相同性>
2個以上の核酸またはポリペプチドの配列に関して、用語「同一性」または「同一性」のパーセンテージは、2個以上の配列またはサブ配列を、比較のためのウインドウまたは指定された領域にわたって最大限に対応するように対比および整列させ、以下に記載する配列を比較するアルゴリズム(または当業者に利用可能な他のアルゴリズム)の1種を使用して測定するか、または手動で整列させて目視によって検査することによって測定した場合に、上記2個以上の配列またはサブ配列が同一であるか、あるいは同一であるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定のパーセンテージをいう。
2個の核酸またはポリペプチド(例えばO−tRNAもしくはO−RSをコードするDNA、またはO−RSのアミノ酸配列)に関して、語句「実質的に同一」は、2個以上の配列またはサブ配列を、比較のためのウインドウ、すなわち指定された領域、にわたって最大限に対応するように対比および整列させ、配列を比較するアルゴリズム(または当業者に利用可能な他のアルゴリズム)を使用して測定するか、または手動で整列させて目視によって検査することによって測定した場合に、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性が少なくとも約60%、約80%、約90〜95%、約98%、約99%またはそれ以上であることをいう。このような「実質的に同一」な配列は、通常、実際の祖先に関係なく「相同」であるとみなされる。少なくとも約50残基の長さの配列の領域、少なくとも約100残基の長さの領域、または少なくとも約150残基の長さの領域にわたって「実質的に同一」であってもよいし、比較する2個の配列の全長にわたって配列が「実質的に同一」であってもよい。
配列の比較および相同性の決定を行うためには、通常、一方の配列を参照配列として、これと試験配列を比較する。配列を比較するアルゴリズムを使用する場合、試験配列と参照配列とをコンピューターに入力し、サブ配列の座標を指定し、必要に応じて、配列アルゴリズムのプログラムのパラメータを指定する。その後、配列を比較するアルゴリズムは、指定されたプログラムのパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性のパーセントを計算する。
比較のために配列を整列させる方法は、当業者に公知である。比較のために配列を最適に整列させることは、例えばSmith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482c (1981)の局所的な相同性のアルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性をサーチするための方法、これらのアルゴリズムのコンピューターソフトウェア(computerized implementation)(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または手動で整列させて目視で検査すること(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)参照)によって実施することができる。
配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するために適したアルゴリズムの1例は、Altschul et al. (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389−3402, およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403−410 (1990)に記載されている、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLASTの分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(www.ncbi.nlm.nih.gov.)から公的に利用可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同一の長さの単語と整列させた場合に、ある正の閾値スコアTとマッチするかまたはこのスコアTを満足するクエリー配列中の長さWの短い単語を識別することによって、高スコア配列対(HSP)を識別する。Tを隣接単語スコア閾値という(上記Altschul et al.)。これらの初期の隣接単語のヒットをシードとしてサーチを開始し、これらの単語を含むより長いHSPをサーチする。次に、アラインメントの累積スコアを増加できる限り、単語のヒットを各配列に沿って両方向に延長する。ヌクレオチド配列の場合には、パラメータM(1対のマッチした残基に対するリウォードスコア、常に>0)、およびパラメータN(ミスマッチした残基に対するペナルティースコア、常に<0)を使用して累積スコアを計算する。アミノ酸配列の場合には、スコアリングマトリクスを使用して累積スコアを計算する。アラインメントの累積スコアがその最大到達値から量Xだけ低下するか、1個以上の負スコア残基のアラインメントが累積したによって累積スコアがゼロ以下になるか、またはどちらかの配列の末端に達したら、各方向の単語ヒットの延長を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータのW、TおよびXはアラインメントの感度および速度を決定する。(ヌクレオチド配列用の)BLASTNプログラムは、語長(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、語長(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff & Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)のアライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較をデフォルトとして使用する。BLASTのアルゴリズムは、「低い複雑性」のためのフィルターをオフにして通常実施する。
配列同一性のパーセントの計算に加え、BLASTアルゴリズムは2個の配列間の類似性の統計分析も実施する(例えばKarlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873−5787 (1993)参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の尺度の1つは、2個のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列間にマッチが偶然に起こる確率を示す、最小合計確率(P(N))である。例えば、試験核酸を参照核酸と比較した場合の最小合計確率が約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満である場合に、核酸は参照核酸に類似しているとみなす。
<変異誘発法および他の分子生物学技術>
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびに本発明に使用されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、分子生物学的技術を用いて設計することができる。従来の方法にしたがい、部位特異的変異誘発を行うことによって核酸配列を好都合に修飾してもよい。また、核酸配列を化学的な合成(限定されないが、オリゴヌクレオチドの合成機を用いることが挙げられる。)によって調製してもよく、組換えポリペプチドが製造される宿主細胞に有利であるコドンを選択することによって調製することが好ましい。オリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計される。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードする小さいオリゴヌクレオチドをいくつか合成し、PCR、ライゲーション、またはライゲーションによる連鎖反応によって組み立てもよい。例えば、Barany, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 88: 189−193 (1991)、米国特許第6,521,427号明細書参照(これらは、参考として本明細書に援用される。)。
本発明は、組換えの遺伝学の分野における通常の技術を利用する。本発明に使用する一般的な方法を開示する基本テキストとしては、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994))が挙げられる。
分子生物学の技術を記載する一般的なテキストとしては、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger); Sambrook et al., Molecular Cloning − A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vol. 1−3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989 (“Sambrook”)、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds.,(Current ProtocolsはGreene Publishing Associates, Inc.とJohn Wiley & Sons, Inc.との合併事業である(1999年を通して補充された)。)(“Ausubel”))が挙げられる。これらのテキストには、変異誘発法、ベクターおよびプロモーターの使用、ならびに選択されたアミノ酸(例えば天然でないアミノ酸)を含んでいるタンパク質を製造するためのセレクターコドンを含んでいる遺伝子またはポリヌクレオチド、直交性のtRNA、直交性のシンテターゼおよびそれらの対の生成に関する多くの他の関連するトピックが記載されている。
様々なタイプの変異誘発法が、種々の目的のために本発明において用いられる。このような目的としては、限定されないが、新規なシンテターゼまたはtRNAを製造すること、tRNA分子を変異させること、tRNAのライブラリを製造すること、RS分子を変異させること、シンテターゼのライブラリを製造すること、セレクターコドンを製造すること、選択されたアミノ酸をコードするセレクターコドンを目的のタンパク質またはポリペプチド内に挿入することが挙げられる。上述した変異誘発法としては、限定されないが、部位特異的変異誘発法、ランダム点変異誘発法、相同組換え、DNAシャフリングまたは他の反復的な変異誘発法、キメラコンストラクション、ウラシルを含有するテンプレートを使用する変異誘発法、オリゴヌクレオチドに特異的な変異誘発法、ホスホロチオエートで修飾されるDNAの変異誘発法、またはギャップデュプレクスDNA(gapped duplex DNA)を使用する変異誘発法など、あるいはそれらの任意の組合せが挙げられる。さらなる適切な方法としては、点ミスマッチ修復、修復欠損宿主株を使用する変異誘発法、制限−選択および制限−精製、欠失変異誘発法、完全遺伝子合成による変異誘発法、および二本鎖切断修復などが挙げられる。本発明には、例えばキメラコンストラクションを伴う変異誘発法も含まれる。1実施形態において、天然に存在する分子、または改変もしくは変異した天然に存在する分子の公知情報(限定されないが、配列、配列比較、物理学的特性、二次構造、三次構造、四次構造、または結晶構造などが挙げられる。)に基づいて、変異誘発法を行うことができる。
本明細書に記載のテキストおよび例には、これらの手順が記載されている。さらなる情報は、以下の刊行物およびそこで引用されている引用文献に記載されている:Ling et al., Approaches to DNA mutagenesis: an overview, Anal Biochem. 254(2): 157−178 (1997); Dale et al., Oligonucleotide−directed random mutagenesis using the phosphorothioate method, Methods Mol. Biol. 57:369−374 (1996); Smith, In vitro mutagenesis, Ann. Rev. Genet. 19:423−462 (1985); Botstein & Shortle, Strategies and applications of in vitro mutagenesis, Science 229:1193−1201 (1985); Carter, Site−directed mutagenesis, Biochem. J. 237:1−7 (1986); Kunkel, The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis, in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, D.M.J. eds., Springer Verlag, Berlin) (1987); Kunkel, Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488−492 (1985); Kunkel et al., Rapid and efficient site−specific mutagenesis without phenotypic selection, Methods in Enzymol. 154, 367−382 (1987); Bass et al., Mutant Trp repressors with new DNA−binding specificities, Science 242:240−245 (1988); Zoller & Smith, Oligonucleotide−directed mutagenesis using M13−derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment, Nucleic Acids Res. 10:6487−6500 (1982); Zoller & Smith, Oligonucleotide−directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors, Methods in Enzymol. 100:468−500 (1983); Zoller & Smith, Oligonucleotide−directed mutagenesis: a simple method using two oligonucleotide primers and a single−stranded DNA template, Methods in Enzymol. 154:329−350 (1987); Taylor et al., The use of phosphorothioate−modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8749−8764 (1985); Taylor et al., The rapid generation of oligonucleotide−directed mutations at high frequency using phosphorothioate−modified DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8765−8785 (1985); Nakamaye & Eckstein, Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide−directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 14: 9679−9698 (1986); Sayers et al., 5’−3’ Exonucleases in phosphorothioate−based oligonucleotide−directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 16:791−802 (1988); Sayers et al., Strand specific cleavage of phosphorothioate−containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide, (1988) Nucl. Acids Res. 16: 803−814; Kramer et al., The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed mutation construction, Nucl. Acids Res. 12: 9441−9456 (1984); Kramer & Fritz Oligonucleotide−directed construction of mutations via gapped duplex DNA, Methods in Enzymol. 154:350−367 (1987); Kramer et al., Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide−directed construction of mutations, Nucl. Acids Res. 16: 7207 (1988); Fritz et al., Oligonucleotide−directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro, Nucl. Acids Res. 16: 6987−6999 (1988); Kramer et al., Different base/base mismatches are corrected with different efficiencies by the methyl−directed DNA mismatch−repair system of E. coli, Cell 38:879−887 (1984); Carter et al., Improved oligonucleotide site−directed mutagenesis using M13 vectors, Nucl. Acids Res. 13: 4431−4443 (1985); Carter, Improved oligonucleotide−directed mutagenesis using M13 vectors, Methods in Enzymol. 154: 382−403 (1987); Eghtedarzadeh & Henikoff, Use of oligonucleotides to generate large deletions, Nucl. Acids Res. 14: 5115 (1986); Wells et al., Importance of hydrogen−bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin, Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 317: 415−423 (1986); Nambiar et al., Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein, Science 223: 1299−1301 (1984); Sakmar and Khorana, Total synthesis and expression of a gene for the alpha−subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide−binding protein (transducin), Nucl. Acids Res. 14: 6361−6372 (1988); Wells et al., Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites, Gene 34:315−323 (1985); Grundstroum et al., Oligonucleotide−directed mutagenesis by microscale ’shot−gun’ gene synthesis, Nucl. Acids Res. 13: 3305−3316 (1985); Mandecki, Oligonucleotide−directed double−strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site−specific mutagenesis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177−7181 (1986); Arnold, Protein engineering for unusual environments, Current Opinion in Biotechnology 4:450−455 (1993); Sieber, et al., Nature Biotechnology, 19:456−460 (2001); W. P. C. Stemmer, Nature 370, 389−91 (1994); and, I. A. Lorimer, I. Pastan, Nucleic Acids Res. 23, 3067−8 (1995)。上記方法の多くに関するさらなる詳細は、Methods in Enzymology Volume 154に記載されている。また、その文献には種々の変異誘発法に関するトラブルシューティング問題に対する有用な対処法も記載されている。
例えば、本発明の変異誘発法(例えば、シンテターゼのライブラリを変異させること、tRNAを改変すること)に用いるためのオリゴヌクレオチドは、通常、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letts. 22(20):1859−1862, (1981)に記載されたホスホラミダイトトリエステルの固相法にしたがい、例えば、Needham−VanDevanter et al., Nucleic Acids Res., 12:6159−6168 (1984)に記載されたような、自動合成機を用いて、化学的に合成される。
さらに、本質的に任意の核酸は、市販されている様々な供給源のいずれかに、オーダーメードしたものであってもよいし、この供給源に注文した標準的なものであってもよい。このような供給源としては、例えば、The Midland Certified Reagent Company (mcrc@oligos.com)、The Great American Gene Company (www.genco.com), ExpressGen Inc. (www.expressgen.com)、およびOperon Technologies Inc. (Alameda, Calif.)などが挙げられる。
また、本発明は、直交性のtRNA/RSの対によって、天然でないアミノ酸をインビボにて組み込むための、真核宿主細胞、非真核宿主細胞、および生物にも関する。本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含んでいるコンストラクトによって、宿主細胞は遺伝子組換えが行われる(限定されないが、形質転換される、形質導入される、またはトランスフェクションされる)。コンストラクトとしては、限定されないが、本発明のベクターが挙げられる。このベクターは、例えばクローニングベクターであってもよいし、発現ベクターであってもよい。例えば、直交性のtRNAのためのコード領域、直交性のtRNAシンテターゼのためのコード領域、および誘導体化されるタンパク質のためのコード領域は、所望の宿主細胞において機能する遺伝子発現の制御要素に作働可能に連結されている。上記ベクターは、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、ネイキッドなポリヌクレオチド、または複合ポリヌクレオチドの形態であってもよい。ベクターは、標準的な方法によって細胞および/または微生物に導入される。標準的な方法としては、エレクトロポレーション(Fromm et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 5824 (1985))、ウイルスベクターによる感染、および/あるいは核酸を小ビーズもしくは小粒子のマトリックスに埋め込むかまたは表面に付着させて小粒子形態で高速射入する方法(Klein et al., Nature 327, 70−73 (1987))などが挙げられる。
標的核酸を細胞内に導入するいくつかの周知の方法が利用可能であり、これらの方法のいずれかを本発明に用いることができる。これらの方法としては、DNAを含んでいる細菌のプロトプラストと受容細胞との融合、エレクトロポレーション、プロジェクタイルボンバードメント(projectile bombardment)、およびウイルスベクターによる感染(以下でさらに検討する)などが挙げられる。本発明のDNAコンストラクトを含んでいるプラスミドの数を増幅するために、細菌細胞を使用することができる。細菌を対数期まで増殖させ、細菌内のプラスミドを技術的に公知の種々の方法によって単離することができる(例えばSambrook参照)。また、細菌からプラスミドを精製するためのキットが市販されている(例えばEasyPrep(登録商標)、FlexiPrep(登録商標)(両方ともPharmacia Biotechから販売されている。);StrataClean(登録商標)(Stratageneから販売されている。);およびQIAprep(登録商標)(Qiagenから販売されている。))。次いで、単離し、精製したプラスミドをさらに操作して、細胞にトランスフェクションするために使用するか、または生物に感染させるための関連ベクターに組み込むための他のプラスミドを製造する。典型的なベクターは、転写ターミネーター、翻訳ターミネーター、転写開始配列、翻訳開始配列および特定の標的核酸の発現調節に有用なプロモーターを含んでいる。ベクターは場合によって包括的な発現カセットを含んでいる。包括的な発現カセットは、(i)少なくとも1個の独立したターミネーター配列、(ii)真核生物または原核生物、あるいは両方(限定されないが、シャトルベクターが挙げられる。)において当該カセットの複製を可能にする配列、および(iii)原核生物系と真核生物系の両方の選択マーカーを含んでいる。ベクターは原核生物もしくは真核生物、または両方での複製および/または組込みに適している。Gillam & Smith, Gene 8:81 (1979); Roberts, et al., Nature, 328:731 (1987); Schneider, E., et al., Protein Expr. Purif. 6(1)10−14 (1995); Ausubel, Sambrook, Berger (いずれも前出)参照。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージのカタログは、例えばATCCから入手することができ、例えばATCCから刊行されたThe ATCC Catalogue of Bacteria and Bacteriophage (1992) Gherna et al. (eds)が挙げられる。また、シーケンシング、クローニングおよび分子生物学の他の側面、基礎的な理論考察は、Watson et al. (1992) Recombinant DNA Second Edition Scientific American Books, NYに記載されている。さらに、例えば、the Midland Certified Reagent Company (Midland、X(ワールドワイドウェブのT mcrc.com))、The Great American Gene Company (Ramona、CA(ワールドワイドウェブのgenco.com))、ExpressGen Inc. (Chicago, IL(ワールドワイドウェブのexpressgen.com))、およびOperon Technologies Inc. (Alameda, CA)などの種々の販売会社のいずれかから、本質的に任意の核酸(および標準または標準外を問わず実質的に任意の標識された核酸)を、オーダーメードまたは標準注文することができる。
スクリーニング工程、プロモーターを活性化する工程、または形質転換体を選択する工程などの活動に適切であるように修飾された従来の栄養培地にて、設計された宿主細胞を培養することができる。これらの細胞を、場合によって、トランスジェニック生物中にて培養することができる。例えば、(例えばその後に核酸を単離するための)細胞の単離および培養のための他の有用な文献としては、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley− Liss, New York and the references cited therein; Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY; Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer−Verlag (Berlin Heidelberg New York)、およびAtlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FLが挙げられる。
天然でないアミノ酸をタンパク質にインビボにて直接的に組み込めることは、広範な利点を提供する。このような利点としては、限定されないが、変異タンパク質の収率が高くなること、技術的に容易であること、細胞内での(あるいはひょっとしたら生きている生物内での)変異タンパク質を研究できる可能性があること、または治療的処置および診断のための使用においてこれらの変異タンパク質を使用することが挙げられる。種々の大きさ、酸性度、求核性、疎水性、および他の性質を有する非天然アミノ酸をタンパク質に含ませられることは、タンパク質の構造を合理的かつ体系的に操作できることを大幅に拡張して、タンパク質の機能を探索することおよび新規な性質を有する新規なタンパク質または生物を作製することの両方を行うことを実現する。
<目的のタンパク質およびポリペプチド>
天然でないアミノ酸の組込みは、種々の目的のために行うことができる。このような目的としては、限定されないが、タンパク質の構造およびまたは機能を所定の目的に合わせて変更すること、大きさ、酸性度、求核性、水素結合、疎水性およびプロテアーゼの標的部位への到達のしやすさを変更すること、(限定されないが、例えば、タンパク質アレイのために)所定の部分を標的にすること、生物学的に活性な分子を付加すること、ポリマーを付着させること、放射性核種を付着させること、血清半減期を調節すること、組織(例えば腫瘍)への浸透性を調節すること、能動輸送を調節すること、組織、細胞または臓器での特異性または分布を調節すること、免疫原性を調節すること、ならびにプロテアーゼへの耐性を調節することなどが挙げられる。天然アミノ酸を含んでいるタンパク質は、触媒の性質または生物物理学的な性質が増強され得るか、または完全に新しい触媒の性質または生物物理学的な性質を有している。例えば、以下の性質が天然でないアミノ酸をタンパク質に含ませることによって任意に修飾される:毒性、体内分布、構造的な性質、分光学的な特性、化学的および/または光化学的な性質、触媒能力、半減期(限定されないが、血清半減期が挙げられる。)、および他の分子と反応する能力(限定されないが、他の分子と共有的に反応する能力または他の分子と非共有的に反応する能力が挙げられる。)。天然でないアミノ酸を少なくとも1個含んでいるタンパク質、を含んでいる組成物は、限定されないが、例えば、新規の処置法、診断法、触媒酵素、工業用酵素、結合タンパク質(限定されないが、抗体が挙げられる。)にとって有用であり、限定されないが、例えば、タンパク質の構造および機能の研究に有用である。例えば、Dougherty, (2000) Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function, Current Opinion in Chemical Biology, 4:645−652参照。
タンパク質は、天然でないアミノ酸を少なくとも1個(限定されないが、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個、あるいはそれ以上が挙げられる。)含んでいてもよい。天然でないアミノ酸は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、限定されないが、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の異なる天然でないアミノ酸を含んでいる、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の異なる部位が、上記タンパク質に存在してもよい。タンパク質に存在する特定のアミノ酸の少なくとも1個(ただし、全てではない。)が天然でないアミノ酸で置換されていてもよい。天然でないアミノ酸を2個以上有する所定のタンパク質に関し、天然でないアミノ酸は同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、限定されないが、タンパク質は、異なる種類の天然でないアミノ酸を2個以上含んでいてもよいし、同一の天然でないアミノ酸を2個含んでいてもよい。天然でないアミノ酸を2個以上有する所定のタンパク質に関し、天然でないアミノ酸は同一であってもよいし、異なっていてもよいし、同一種の天然でないアミノ酸複数と少なくとも1個の異なる天然でないアミノ酸との組合せであってもよい。
天然でないアミノ酸を少なくとも1個有する目的のタンパク質またはポリペプチドを真核細胞にて製造することによって、タンパク質またはポリペプチドは典型的に真核生物の翻訳後修飾を含むことになる。特定の実施形態において、タンパク質は、少なくとも1個の天然でないアミノ酸と、真核細胞によってインビボにてなされた少なくとも1個の翻訳後修飾とを含んでいる。この翻訳後修飾は、原核細胞によってなされないものである。例えば、翻訳後修飾としては、限定されないが、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミテートの付加、リン酸化、糖脂質連結の修飾、およびグリコシル化が挙げられる。さらに別の局面において、翻訳後修飾としては、前駆体(限定されないが、カルシトニン前駆体、カルシトニン遺伝子に関連するペプチドの前駆体、プレプロパラチロイドホルモン、プレプロインスリン、プロインスリン、プレプロオピオメラノコルチン、およびプロオピオメラノコルチンなどが挙げられる。)のタンパク質分解性のプロセシング、マルチサブユニットタンパク質への集合または巨大分子への集合、細胞内での別の部位への移行(限定されないが、小胞体、ゴルジ体、核、ライソソーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、葉緑体、液胞などの細胞小器官へ移行すること、あるいは分泌経路を介して移行することが挙げられる。)が挙げられる。特定の実施形態において、タンパク質は、分泌配列または局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、またはGST融合体などを含んでいる。
また、選択されたアミノ酸を特定の位置にて有するタンパク質を細胞内にて製造する方法も本発明の特徴である。例えば、方法は、適切な培地にて細胞を増殖させる工程、および選択されたアミノ酸を提供する工程を包含している。この細胞は、少なくとも1個のセレクターコドンを含んでおり、タンパク質をコードする核酸を含んでいる。この細胞は、細胞内にて機能し、セレクターコドンを認識する直交性のtRNA(O−tRNA);および選択されたアミノ酸によってO−tRNAを選択的にアミノアシル化する直交性のアミノアシル−tRNAシンテターゼ(O−RS)をさらに含んでいる。通常、O−tRNAは、コグネートなシンテターゼの存在下において、セレクターコドンに応じた抑圧活性を含んでいる。この方法によって製造されたタンパク質も、本発明の特徴である。
本発明の組成物、本発明の方法によって作製された組成物は、細胞内に存在する。次いで、O−tRNA/O−RSの対または本発明の個々の成分は、宿主のシステムの翻訳機構にて用いられることができる。その結果、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)がタンパク質内に組み込まれる。特許出願USSN10/825,967(発明の名称「Expanding the Eukaryotic Genetic Code」)、および特許出願USSN10/126,927(発明の名称「IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS」)には、このプロセスが記載されている(これらの文献は、参考として本明細書に援用される。)。例えば、O−tRNA/O−RSの対が宿主(例えば、Escherichia coli)に導入された場合、この対は、選択されたアミノ酸(例えば、ロイシンアミノ酸の誘導体のような合成アミノ酸などの天然でないアミノ酸)がセレクターコドンに応じてタンパク質にインビボにて組み込まれることを引き起こす。上記選択されたアミノ酸は増殖培地に外因的に添加することができる。場合によって、本発明の組成物は、インビトロの翻訳系またはインビボの系に存在し得る。
選択されたアミノ酸(天然でないアミノ酸)を含んでいる任意のタンパク質(またはその部分)(および、例えば、1個以上のセレクターコドンを含んでいる任意の対応するコード核酸)を、本明細書に記載の組成物および方法を用いて製造することができる。任意のポリペプチドが、1個以上の選択されたアミノ酸の組込みに適している。例えば、関連する翻訳系において1個以上の適切なセレクターコドンを含むように任意の利用可能な変異法を変更することによって1個以上の天然でないアミノ酸を含むように修飾され得るタンパク質を、数十万もの公知タンパク質の中から同定することが試みられていない。公知タンパク質の配列の一般的な保存場所としては、GenBank EMBL、DDBJおよびNCBIが挙げられる。他の保存場所は、インターネットをサーチすることによって容易に特定することができる。
通常、タンパク質は、任意の利用可能なタンパク質と例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%あるいはそれ以上同一であり、これらは1個以上の選択されたアミノ酸を含んでいる。任意の利用可能なタンパク質としては、例えば、処置用タンパク質、診断用タンパク質、工業用酵素、またはそれらの一部などが挙げられる。1個以上の選択されたアミノ酸(例えば天然でないアミノ酸)を含むように修飾することができる処置用タンパク質、診断用タンパク質および他のタンパク質は、限定されないが、USSN 10/825,867(発明の名称「Expanding the Eukaryotic Genetic Code」)およびUSSN10/126,927(発明の名称「IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS」)に記載されている。
特定の実施形態において、本発明の方法および/または組成物における目的のタンパク質またはポリペプチド(あるいはそれらの部分)は、核酸によってコードされている。通常、核酸は、少なくとも1個のセレクターコドン、少なくとも2個のセレクターコドン、少なくとも3個のセレクターコドン、少なくとも4個のセレクターコドン、少なくとも5個のセレクターコドン、少なくとも6個のセレクターコドン、少なくとも7個のセレクターコドン、少なくとも8個のセレクターコドン、少なくとも9個のセレクターコドン、10個またはそれ以上のセレクターコドンを含んでいる。
目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子を、当業者に周知の方法、および「変異誘発法および他の分子生物学技術」の項目に記載した方法を用いて、例えば、選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を組み込むための1個以上のセレクターコドンを含むように、変異させることができる。例えば、1個以上の選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を挿入することができるように、目的のタンパク質のための核酸を、1個以上のセレクターコドンを含むように変異させる。本発明は、任意のこのようなバリアント(例えば、少なくとも1個の選択されたアミノ酸を含んでいる、例えば、任意のタンパク質の変異体、任意のタンパク質の変形物)を含んでいる。同様に、本発明は、対応する核酸、すなわち、1個以上の選択されたアミノ酸をコードする1個以上のセレクターコドンを有する任意の核酸も含んでいる。
選択されたアミノ酸を含んでいるタンパク質を作製するためには、直交性のtRNA/RSの対によって、この選択されたアミノ酸をインビボにて組み込むように適合された宿主細胞および宿主生物を用いることができる。宿主細胞は、直交性のtRNA、直交性のtRNAシンテターゼ、および誘導体化されるタンパク質をコードするベクターを発現する1個以上のベクターによって、遺伝子組換えが行われる(例えば、形質転換されるか、形質導入されるか、またはトランスフェクションされる。)。これらの成分のそれぞれが同一のベクターに存在してもよいし、成分のそれぞれが別々のベクターに存在してもよいし、2個の成分が一方のベクターに存在し、3番目の成分が他方のベクターに存在してもよい。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、ネイキッドなポリヌクレオチド、または複合ポリヌクレオチド(conjugated polynucleotide)の形態であってもよい。
<代替系における発現>
いくつかの方策が、非組み換え宿主細胞、変異した宿主細胞、または無細胞系においてタンパク質に非アミノ酸を導入するために採用されている。例えば、Lys、CysおよびTyrなどの反応性側鎖を有するアミノ酸を誘導体化することによって、リジンがN−アセチル−リジンに変換される。また、化学的な合成は、天然でないアミノ酸を組み込むための簡易な方法を提供する。ペプチドフラグメントの酵素ライゲーションおよびネイティブな化学ライゲーションにおける近年の発展によれば、より大きなタンパク質を作ることが可能である。例えば、P. E. Dawson and S. B. H. Kent, Annu. Rev. Biochem, 69:923 (2000)参照。ペプチドの化学ライゲーションおよびネイティブな化学ライゲーションは、米国特許出願第6,184,344号明細書、米国特許出願公開第2004/0138412号明細書、米国特許出願公開第2003/0208046号明細書、国際公開第02/098902号パンフレットおよび国際公開第03/042235号パンフレットに記載されており、これらは本明細書において参考として援用される。所望の天然でないアミノ酸によって化学的にアセチル化されるサプレッサーtRNAがタンパク質生合成を補助することが可能な抽出物にin vitroにおいて付加される、一般的なインビトロにおける生合成方法を用いて、実質的に任意のサイズの種々のタンパク質に100個を超える非天然アミノ酸が部位特異的に組み込まれている。例えば、V. W. Cornish, D. Mendel and P. G. Schultz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1995, 34:621 (1995); C.J. Noren, S.J. Anthony−Cahill, M.C. Griffith, P.G. Schultz, A general method for site−specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science 244:182−188 (1989); and, J.D. Bain, C.G. Glabe, T.A. Dix, A.R. Chamberlin, E.S. Diala, Biosynthetic site−specific incorporation of a non−natural amino acid into a polypeptide, J. Am. Chem. Soc. 111:8013−8014 (1989)参照。多種多様な官能基が、タンパク質の安定性、タンパク質のフォールディング、酵素機序、およびシグナル伝達の研究用のタンパク質に導入されている。
選択圧による組込みと呼ばれるインビボの方法は、野生型シンテターゼの乱雑性を利用するために開発された。例えば、N. Budisa, C. Minks, S. Alefelder, W. Wenger, F. M. Dong, L. Moroder and R. Huber, FASEB J., 13:41 (1999)参照。栄養要求株とは、特定の天然アミノ酸を細胞に供給する関連した代謝経路が遮断されているものである。このような栄養要求株を制限された濃度の天然アミノ酸を含む最小培地にて増殖させる一方、標的遺伝子の転写を抑制する。増殖の定常期の始まりでは、天然アミノ酸を枯渇させ、天然でないアミノ酸類似体と置換する。組換えタンパク質の発現の誘導によって、この非天然の類似体を含んでいるタンパク質が蓄積することになる。例えば、この方策を用いて、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン、およびp−フルオロフェニルアラニンがタンパク質に組み込まれており、UVスペクトルにおいて特徴的な2つの肩を示し、容易に同定することができる。例えば、C. Minks, R. Huber, L. Moroder and N. Budisa, Anal. Biochem., 284:29 (2000)参照。トリフルオロメチオニンを、バクテリオファージT4のリゾチームにおけるメチオニンと置換して、このリゾチームとキトオリゴ糖リガンドとの相互作用を19F NMRによって研究することが行われている。例えば、H. Duewel, E. Daub, V. Robinson and J. F. Honek, Biochemistry, 36:3404 (1997)参照。トリフルオロロイシンをロイシンの代わりに組み込むことによって、ロイシンジッパーのタンパク質の熱的および化学的な安定性が増加している。例えば、Y. Tang, G. Ghirlanda, W. A. Petka, T. Nakajima, W. F. DeGrado and D. A. Tirrell, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 40:1494 (2001)参照。さらに、X線結晶解析における相を容易に解決するために、セレノメチオニンおよびテルロメチオニンが種々の組換えタンパク質に組み込まれている。例えば、W. A. Hendrickson, J. R. Horton and D. M. Lemaster, EMBO J., 9:1665 (1990); J. O. Boles, K. Lewinski, M. Kunkle, J. D. Odom, B. Dunlap, L. Lebioda and M. Hatada, Nat. Struct. Biol., 1:283 (1994); N. Budisa, B. Steipe, P. Demange, C. Eckerskorn, J. Kellermann and R. Huber, Eur. J. Biochem., 230:788 (1995); and, N. Budisa, W. Karnbrock, S. Steinbacher, A. Humm, L. Prade, T. Neuefeind, L. Moroder and R. Huber, J. Mol. Biol., 270:616 (1997)参照。また、アルカンまたはアルキンの官能基を有するメチオニン類似体を効率的に組み込むことによって、化学的な手段によってタンパク質をさらに修飾することが可能になっている。例えば、J. C. van Hest and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 428:68 (1998); J. C.. van Hest, K. L. Kiick and D. A. Tirrell, J. Am. Chem. Soc., 122:1282 (2000); and, K. L. Kiick and D. A. Tirrell, Tetrahedron, 56:9487 (2000); 米国特許第6,586,207号明細書;米国特許出願公開第2002/0042097号明細書参照(これらは、参考として本明細書に援用される。)。
本方法が成功するか否かは、タンパク質を忠実に翻訳することを保証するための高い選択性を一般に必要とするアミノアシルtRNAシンテターゼが、天然でないアミノ酸類似体を認識するか否かによる。本方法の範囲を拡張する方法の1つはアミノアシル−tRNAシンテターゼの基質特異性を緩和することであるが、このような緩和を達成した事例は限られている。例えば、Escherichia coliのフェニルアラニル−tRNAシンテターゼ(PheRS)においてAla294をGlyによって置換することによって、基質と結合するポケットのサイズが増加し、p−Cl−フェニルアラニン(p−Cl−Phe)によってtRNAPheがアシル化されることになる。M. Ibba, P. Kast and H. Hennecke, Biochemistry, 33:7107 (1994)参照。この変異PheRSを有しているEscherichia coli株は、フェニルアラニンの代わりに、p−Cl−フェニルアラニンまたはp−Br−フェニルアラニンを組み込むことができる。例えば、M. Ibba and H. Hennecke, FEBS Lett., 364:272 (1995); and, N. Sharma, R. Furter, P. Kast and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 467:37 (2000)参照。同様に、Escherichia coliのチロシル−tRNAシンテターゼのアミノ酸と結合する部位の近くでの点変異Phe130Serによって、アザチロシンをチロシンよりも効率よく組み込むことできることが示された。F. Hamano−Takaku, T. Iwama, S. Saito−Yano, K. Takaku, Y. Monden, M. Kitabatake, D. Soll and S. Nishimura, J. Biol. Chem., 275:40324 (2000)参照。
天然でないアミノ酸をインビボにてタンパク質に組み込む別の方策は、校正するメカニズムを有しているシンテターゼを修飾することである。これらのシンテターゼは、コグネートな天然アミノ酸と構造的に類似するアミノ酸を区別することができず、このため、この類似するアミノ酸を活性化する。このエラーは、別の部位にて訂正され、誤ってチャージされたアミノ酸がtRNAから脱アシル化され、タンパク質の翻訳の忠実度が維持される。シンテターゼのこの校正の活性を無効にした場合、誤って活性化された構造的な類似体が編集機能を逃れて、組み込まれることがある。このアプローチは、近年、バリル−tRNAシンテターゼ(ValRS)を用いて実証されている。V. Doring, H. D. Mootz, L. A. Nangle, T. L. Hendrickson, V. de Crecy−Lagard, P. Schimmel and P. Marliere, Science, 292:501 (2001)参照。ValRSは、Cys、Thr、またはアミノブチレート(Abu)によってtRNAValを誤ってアミノアシル化することができる。その後、これらのコグネートでないアミノ酸は、編集ドメインによって加水分解される。Escherichia coliの染色体に対してランダム変異誘発を行った後に、ValRSの編集部位に変異を有するEscherichia coliの変異株が選択された。この編集に欠陥があるValRSは、Cysを用いてtRNAValを間違ってチャージする。AbuはCysと立体構造的に類似している(Cysの−SH基がAbuでは−CH3に置換されている)ので、このEscherichia coliの変異株Abuの存在下にて増殖させた場合、変異ValRSはAbuもタンパク質に組み込む。質量分光分析によって、ネイティブなタンパク質におけるバリンの各位置において、約24%のバリンがAbuと置換されていることが示された。
また、固相の合成法および固相の半合成法も、新規アミノ酸を含んでいる多くのタンパク質の合成を可能にしている。例えば、以下の刊行物およびそこで引用されている文献を参照のこと:Crick, F.H.C., Barrett, L. Brenner, S. Watts−Tobin, R. General nature of the genetic code for proteins. Nature, 192:1227−1232 (1961); Hofmann, K., Bohn, H. Studies on polypeptides. XXXVI. The effect of pyrazole−imidazole replacements on the S−protein activating potency of an S−peptide fragment, J. Am Chem, 88(24):5914−5919 (1966); Kaiser, E.T. Synthetic approaches to biologically active peptides and proteins including enyzmes, Acc Chem Res, 22:47−54 (1989); Nakatsuka, T., Sasaki, T., Kaiser, E.T. Peptide segment coupling catalyzed by the semisynthetic enzyme thiosubtilisin, J Am Chem Soc, 109:3808−3810 (1987); Schnolzer, M., Kent, S B H. Constructing proteins by dovetailing unprotected synthetic peptides: backbone−engineered HIV protease, Science, 256(5054):221−225 (1992); Chaiken, I.M. Semisynthetic peptides and proteins, CRC Crit Rev Biochem, 11(3):255−301 (1981); Offord, R.E. Protein engineering by chemical means? Protein Eng., 1(3):151−157 (1987); and, Jackson, D.Y., Burnier, J., Quan, C., Stanley, M., Tom, J., Wells, J.A. A Designed Peptide Ligase for Total Synthesis of Ribonuclease A with Unnatural Catalytic Residues, Science, 266(5183):243 (1994)。
化学的な修飾を用いて、種々の非天然の側鎖(補助因子、スピンラベル、オリゴヌクレオチドが挙げられる。)がタンパク質にインビトロにて導入されている。例えば、Corey, D.R., Schultz, P.G. Generation of a hybrid sequence−specific single−stranded deoxyribonuclease, Science, 238(4832):1401−1403 (1987); Kaiser, E.T., Lawrence D.S., Rokita, S.E. The chemical modification of enzymatic specificity, Annu Rev Biochem, 54:565−595 (1985); Kaiser, E.T., Lawrence, D.S. Chemical mutation of enyzme active sites, Science, 226(4674):505−511 (1984); Neet, K.E., Nanci A, Koshland, D.E. Properties of thiol−subtilisin, J Biol. Chem, 243(24):6392−6401 (1968); Polgar, L. et M.L. Bender. A new enzyme containing a synthetically formed active site. Thiol−subtilisin. J. Am Chem Soc, 88:3153−3154 (1966); and, Pollack, S.J., Nakayama, G. Schultz, P.G. Introduction of nucleophiles and spectroscopic probes into antibody combining sites, Science, 242(4881):1038−1040 (1988)参照。
<免疫反応によるポリペプチドの定義>
本発明のポリペプチドは、種々の新規ポリペプチド配列を提供する。このような新規ポリペプチド配列としては、本明細書に記載した翻訳系において合成されたタンパク質の場合、例えば、選択されたアミノ酸(例えば天然でないアミノ酸)を含んでいるポリペプチド配列が挙げられ、例えば、新規シンテターゼの場合、標準的なアミノ酸の新規配列が挙げられる。また、ポリペプチドは、免疫学的なアッセイにおいて認識され得る新規な構造的特徴も提供する。本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗血清の生成、およびこのような抗血清が結合するポリペプチドは、本発明の特徴である。本明細書にて用いるような用語「抗体」としては、限定されないが、1個または複数の免疫グロブリン遺伝子、あるいはそれらのフラグメントによって実質的にコードされ、アナライト(抗原)に特異的に結合し、このアナライトを認識するポリペプチドが挙げられる。例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および一本鎖抗体などが挙げられる。免疫グロブリンのフラグメントとしては、Fabフラグメント、発現ライブラリ(ファージディスプレイ法)によって製造されるフラグメントが挙げられる。このような免疫グロブリンのフラグメントも、本明細書にて使用するような用語「抗体」に包含される。例えば、Paul, Fundamental Immunology, 4th Ed., 1999, Raven Press, New York, for antibody structure and terminologyを参照のこと。非天然アミノ酸および免疫学的な技術の使用の例は、国際公開第2009/099672号パンフレット(The Scripps Research Institute、発明の名称「Breaking Immunological Tolerance With a Genetically Encoded Unnatural Amino Acid」)に示されている。この文献は全体が参考として本明細書に援用される。
例えば、本発明は、本発明のtRNAおよび/またはRSを利用して作製したタンパク質であって、所定のアミノ酸配列を含んでいる免疫原に対して生成した抗体または抗血清に、特異的に結合するかまたは特異的な免疫反応性を示すタンパク質を含んでいる。他のホモログとの交差反応性を除去するために、抗体または抗血清を、利用可能なタンパク質(野生型ポリペプチド、例えば「コントロール」のポリペプチド)を用いてサブラクトする。野生型タンパク質が核酸と対応している場合、この核酸がコードするポリペプチドを生成し、抗体/抗血清のサブトラクションのために用いる。
典型的な1形態において、免疫アッセイでは、1個以上のポリペプチドまたはそれらの実質的なサブ配列(すなわち、提供される全長の配列の少なくとも約30%)に対して生じたポリクローナル抗血清が用いられる。タンパク質に由来するポリペプチドの免疫原になり得るものの組を、以下にて「免疫原性ポリペプチド」と集合的に称する。免疫アッセイにおいてポリクローナル抗血清を使用する前に、生じた抗血清は、コントロールのシンテターゼのホモログに対する交差反応性が低くなるように必要に応じて選択し、そして、このような任意の交差反応性を、コントロールのホモログの1個以上を用いた免疫吸着などによって除去する。
免疫アッセイにおいて使用するための抗血清を製造するためには、本明細書に記載したようにして、1個以上の免疫原性ポリペプチドを製造し、精製する。例えば、組換えタンパク質を組換え細胞内にて製造してもよい。(マウスが遺伝的に事実上同一であることからより再現性のある結果が得られるので、本アッセイに用いられる)近交系マウスを、標準的なアジュバント(フロイントアジュバントなど)と組み合わせた免疫原性タンパク質によって、マウスを免疫する標準的なプロトコールに従って免疫する。(抗体の生成、ならびに特異的な免疫反応性を決定するために用いることができる免疫アッセイの形態および条件の標準的な説明については、例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New York参照)。
抗体のさらなる文献および検討は本明細書にも記載されており、免疫反応性によってポリペプチドを規定することに適用することができる。代替的な方法では、本明細書に開示した配列に由来する1個以上の合成または組換えのポリペプチドを担体タンパク質に抱合し、免疫原として用いる。
ポリクローナル抗体を回収し、免疫アッセイにて免疫原性ポリペプチドに対する力価を測定する。この免疫アッセイとしては、例えば、1個以上の免疫原性タンパク質が固体支持体に固定化された固相免疫アッセイが挙げられる。10以上の力価を有するポリクローナル抗血清を選択し、プールし、そして、コントロールのシンテターゼポリペプチドを用いてサブトラクトする。これによって、力価が測定され、プールされ、サブトラクトされたポリクローナル抗血清を製造する。
力価が測定され、プールされ、サブトラクトされたポリクローナル抗血清を、比較を行う免疫アッセイにて、コントロールのホモログに対する交差反応性についてテストする。この比較を行うアッセイにおいて、力価が測定され、プールされ、サブトラクトされたポリクローナル抗血清について決定する、区別のための結合条件は、力価が測定されたポリクローナル抗血清が免疫原性タンパク質に結合したときのシグナル対ノイズ比が、当該ポリクローナル抗血清がコントロールのシンテターゼのホモログに結合したときのシグナル対ノイズと比べて少なくとも約5〜10倍高くなる条件である。すなわち、結合反応のストリンジェンシーは、アルブミンや脱脂粉乳などの非特異的なコンペティターを追加することによって調整したり、塩濃度および/または温度などを調整することによって調整したりする。これらの結合条件は、試験ポリペプチド(免疫原性ポリペプチドおよび/またはコントロールのポリペプチドと比較されるポリペプチド)が、プールされ、サブトラクトされたポリクローナル抗血清によって特異的に結合されるのかを決定するための、その後のアッセイに用いられる。
別の例では、競合的な結合の様式の免疫アッセイを試験ポリペプチドの検出のために用いる。上述したように、例えば、交差反応する抗体を、コントロールのポリペプチドによる免疫吸着によって、プールされた抗血清の混合物から除去する。次いで、免疫原性ポリペプチドを固体支持体に固定化し、プールされ、サブトラクトされた抗血清に曝露する。試験タンパク質をアッセイに添加して、プールされ、サブトラクトされた抗血清への結合を競合させる。プールされ、サブトラクトされた抗血清への結合を競合する試験タンパク質の能力を固定化されたタンパク質と比較し、そして、この能力を、結合を競合するために、アッセイに添加された免疫原性ポリペプチドの能力と比較する(免疫原性ポリペプチドは、固定化された免疫原性ポリペプチドと、プールされた抗血清に結合するために効果的に競合する。)。標準的な計算法を用いて、試験タンパク質についての交差反応性のパーセントを計算する。
同様なアッセイにおいて、プールされ、サブトラクトされた抗血清への結合を競合するコントロールのタンパク質の能力を、必要に応じて、この抗血清への結合を競合する免疫原性ポリペプチドの能力と比較して決定する。この場合もまた、標準的な計算法を用いて、コントロールのポリペプチドについての交差反応性のパーセントを計算する。試験ポリペプチドの交差反応性のパーセントがコントロールのポリペプチドのものと比べて少なくとも5〜10倍高い場合、または試験ポリペプチドの結合が免疫ポリペプチドの結合の範囲内にほぼある場合、試験ポリペプチドは、プールされ、サブトラクトされた抗血清に特異的に結合する、という。
一般に、プールされ、免疫吸着された抗血清は、任意の試験ポリペプチドと免疫原性ポリペプチドおよび/またはコントロールのポリペプチドとを比較するための、本明細書に記載したような競合的な結合を行う免疫アッセイにて用いることができる。この比較を行うために、免疫原性ポリペプチド、試験ポリペプチドおよびコントロールのポリペプチドは、それぞれ様々な濃度にてアッセイされる。そして、固定化された、コントロールのタンパク質、試験タンパク質または免疫原性タンパク質などに対するサブトラクトされた抗血清の結合を50%阻害するに必要な各ポリペプチドの量を、標準的な手法を用いて決定する。競合アッセイにおいて、結合のために要求される試験ポリペプチドの量が、要求される免疫原性ポリペプチドの量の2倍未満であり、かつコントロールポリペプチドのものと比べて少なくとも約5〜10倍高い場合、試験ポリペプチドは免疫原性タンパク質に対して生成される抗体と特異的に結合する、という。
特異性のさらなる決定として、プールされた抗血清を、必要に応じて(コントロールのポリペプチドというよりも)免疫原性ポリペプチドを用いて完全に免疫吸着させる。これは、得られるプールされ、免疫原性ポリペプチドでサブトラクトされた抗血清が免疫吸着法に用いられる免疫原性ポリペプチドに結合することが、ほとんどまたは全く検出されなくなるまで、行う。次いで、この完全に免疫吸着された抗血清を試験ポリペプチドとの反応性について試験する。反応性がほとんどまたは全く観察されなかった場合(すなわち、完全に免疫吸着された抗血清が免疫原性ポリペプチドに結合したときに観察されるシグナル対ノイズ比が2倍を超えない場合)、試験ポリペプチドは、免疫原性タンパク質によって誘発された抗血清によって特異的に結合される。
タンパク質、抗体および抗血清などのさらなる詳細は、USSN 10/825,867 entitled “Expanding the Eukaryotic Genetic Code;”、国際公開第2002/085923号パンフレット(発明の名称「IN VIVO INCORPORATION OF UNNATURAL AMINO ACIDS」)、米国特許第6,927,042号明細書(発明の名称「Glycoprotein synthesis」);および米国特許出願公開第2004/0198637号明細書に記載されている(これらは、参考として本明細書に援用される。)。
<キット>
キットも本発明の特徴である。例えば、少なくとも1個の選択されたアミノ酸(例えば天然でないアミノ酸)を含んでいるタンパク質を細胞内おいて製造するためのキットが提供される。このキットは、O−tRNAをコードするポリヌクレオチド配列、および/またはO−tRNA、および/またはO−RSをコードするポリヌクレオチド配列、および/またはO−RSを含んでいる容器を備えている。1実施形態では、キットは選択されたアミノ酸を少なくとも1個さらに包含している。別の実施形態では、キットは、本発明のアミノアシル化されたtRNAを備えている。別の実施形態では、キットはタンパク質を製造するための使用説明書をさらに備えている。
さらなる例としては、少なくとも1個の選択されたアミノ酸(例えば、天然でないアミノ酸)を含んでいるタンパク質を無細胞翻訳系にて製造するためのキットが挙げられる。このキットは、O−tRNAをコードするポリヌクレオチド配列、および/またはO−tRNA、および/またはO−RSをコードするポリヌクレオチド配列、および/またはO−RSを含んでいる容器を備えている。1実施形態では、キットは選択されたアミノ酸をさらに包含している。別の実施形態では、キットは、本発明のアミノアシル化されたtRNAを備えている。別の実施形態では、キットはタンパク質を製造するための使用説明書をさらに備えている。
〔実施例〕
以下に実施例を示して請求した本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。当業者は、請求した本発明の範囲から逸脱せずに、変更し得る種々の重要でないパラメータを認識する。
<実施例1:パラ−アセチルフェニルアラニンに対するアミノアシル−tRNAシンテターゼの選択>
2つのDNAライブラリを、天然にコードされていないアミノ酸であるパラ−アセチルフェニルアラニンに対するアミノアシル−tRNAシンテターゼについてスクリーニングした。これらのライブラリは、pBKプラスミドにおけるMethanococcous janneschiiからのチロシルtRNAシンテターゼ遺伝子内の6個の変異からなるものであった。
5回の選択を行った。この5回の選択では、ポジティブ選択とネガティブ選択とを交互に行った。このうち、ポジティブ選択を3回行い、ネガティブ選択を2回行った。ライブラリを1:1の比で合わせた。得られたライブラリを用いて、ポジティブ選択用の株細胞(ポジティブ選択用のプラスミド、pREPを有するGeneHog)にエレクトロポレーションを行った。そして、適切な抗生物質と天然にコードされていないアミノ酸であるパラ−アセチルフェニルアラニン(pAF)を有する最小培地のプレート(GMML)に播種した。このプレートを37℃にて約40時間インキュベートした。この時点にて、細胞を掻き取って収集した。Qiagen Mini−Prepの手順にしたがってDNAを抽出し、そして、アガロースゲルから精製して、ライブラリのプラスミドDNAを単離した。
次いで、このDNAを用いて、ネガティブ選択用の株細胞(ネガティブ選択用のプラスミドpBAD誘導体を有するGeneHog)にエレクトロポレーションを行った。これらの形質転換体を、適切な抗生物質を有するが天然にコードされていないアミノ酸(pAF)を有しないLBプレートに播種した。約17時間後に、細胞を掻き取って収集し、プラスミドDNAをQiagen Mini−Prepおよびアガロースゲルによる精製を用いて精製した。
上述したエレクトロポレーション、播種、収集およびDNAの精製と同一の方法を利用して、その後の選択を行った。最後の(5回目の)選択では、最小培地のプレートに播種したポジティブ選択の形質転換細胞に対して段階希釈を行った。次いで、個々のコロニーを採取し、96ウェルのブロックにてオーバーナイトで増殖させた。そして、このブロックを用いてレプリカ平板法を行った。レプリカ平板法は、種々の濃度のクロラムフェニコール(ポジティブ選択用の抗生物質)を有し、天然でないアミノ酸pAFを有する最小培地のプレート、および種々の濃度のクロラムフェニコールを有するが、天然でないアミノ酸pAFを有さない最小培地のプレートにて行った。37℃にて40時間増殖させた後に、プレートを目視にて比較して、最も高い濃度のクロラムフェニコールにて増殖したが、天然にコードされていないアミノ酸pAFが存在しない場合に増殖しないかまたはあまり増殖しないコロニーを決定した。これらの基準を満たすコロニーを、オーバーナイトで増殖させた。DNAをMini−Prepおよびアガロースゲルによる精製によって培養物から単離し、シーケンシングを行った。
pAFについてのこの選択から、ユニークなアミノ酸配列を有する13個のクローンを見出した。これらのクローンをさらに特徴付けて、pAFtRNAシンテターゼの忠実度および処理能力を決定した。
これらのシンテターゼを特徴付けるために、スモールスケールでのアンバー抑圧を実施して、天然にコードされていないアミノ酸pAFがポリペプチドに組み込まれたことを示した。結果をSDS−PAGEによって視覚化した。単一のコロニーを採取して、LB培地にてオーバーナイトで増殖させた。次いで、このLB培地を用いて、50mLのLBに播種した。ODが0.3〜0.4になるまで細胞を増殖させた。この時点において、1.5mLのアリコートを誘導前の点として採取し、培養物を2つのフラスコに分けた。1mMのpAFを一方の分割物に添加し、分割物を両方とも30分間増殖させた。30分間の増殖の後に、両方の培養物(+/−pAF)を、0.2%のL−アラビノースを用いて誘導し、4.5時間増殖させた。そして、OD600を記録した。次いで、SDS−PAGEによる分析のために、+pAFのフラスコおよび−pAFのフラスコから1.5mLのアリコートを採取した。
1.5mLのアリコート(誘導前、+pAF、−pAF)を10,000×gにて10分間遠心分離し、細胞をペレットにした。次いで、細胞を収集したときのOD600と釣り合う量の細菌タンパク質の抽出試薬(Bacterial Protein Extraction Reagent (BPER, Pierce))に、細胞を懸濁した。溶解した細胞にDNase Iを添加し、4℃にて20分間インキュベートした。次いで、サンプルを還元剤およびローディングダイと併せて、MESバッファの4〜12%のBis−TRISゲル上を30分間移動させた。このゲルをDI H2Oにて10分間洗浄し、クマシーブルーダイを用いて染色した。+pAFと−pAFとにおいて、pAFが組み込まれることになるpAF−tRNA RSの忠実度についてバンドを比較した。+pAFにおけるバンドを以前に選択したpAF−tRNA RSと比較した。
RSの処理能力をチェックするために、C−H6 S4am ミオグロビン(S4am−Myo)を含んでいるプラスミドを用いて、同一の方法を行った。次いで、S4am MyoをIMACによって精製し、タンパク質のシーケンシングを行い、pAFの組込みの量を決定した。
この項目から同定されたpAF−tRNA RSのうち、1つのシンテターゼ(E9)が、pAFを効率よく組み込むこと(S4am Myo内にpAFを95%を超える効率で組み込むこと)が見出された。この組込みはアミノ酸のシーケンシングを行うことによって決定した一方、処理能力は、SDS−PAGEゲル上のタンパク質のバンドを比較することによって示した。E9についてのヌクレオチド配列を配列番号4に示す。E9のアミノ酸配列を配列番号5に示す。
E9と同様の活性を有するさらなる変異体を同定した。この変異体は、配列番号17に示す配列を有していた。
<実施例2:tRNAの変異誘発>
3個の変異体をtRNA J17から精製した。野生型J17のDNA配列を配列番号8、米国特許出願公開第2003/0108885号明細書における配列番号1、および米国特許出願公開第2003/0082575号明細書における配列番号1として示す(それぞれ、米国特許出願第10/126,931号および米国特許出願第10/126,927号)。これらの文献の両方は本明細書に参考として援用される。J17 tRNAは、図1に示すように、TΨCのステムにてU51:G63のゆらぎ対を有している。
これらのJ17の変異体(F12、F13およびF14)は、TΨCのステムの51位および63位にてワトソン−クリックの塩基対が生じるように生成した。変異の誘発を、重複PCR(overlapping PCR)によって行った。最後のコンストラクトをpET19プラスミドのEcoRI部位およびNdeI部位にクローニングした。なお、このpET19プラスミドは、アミノアシルtRNAシンテターゼE9(配列番号4)をコードするポリヌクレオチド配列、アンバーコドンが置換されたヒト成長ホルモン(hGH)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を含んでいる。hGHの発現は、T7プロモーターの制御下にあった。
2個のフラグメントを重複PCRのために作製した。第1のフラグメントをプライマーによる伸長によって取得した。3個の変異体のそれぞれを作製するために用いたフォワードプライマーはGTAACGCTGAATTCCCGGCGGTAGTTCAGCAGGGCAGAACGGCGGACTCTAAATCCGCATGGCGC(FTam11;配列番号9)であった。
F12変異体(51C:63G)を作製するために、以下のリバースプライマーを用いた:
GATCTGCAGTGGTCCGGCGGGCCGGATTTGAACCGGCGCCATGCGGATTTAGAGTCCGCCGTTCTGC(FTam12;配列番号10)。
F13変異体(51U:63A)を作製するために、以下のリバースプライマーを用いた:
GATCTGCAGTGGTCCGGCGGGCTGGATTTGAACCAGCGCCATGCGGATTTAGAGTCCGCCGTTCTGC(FTam13;配列番号11)。
F14変異体(51A:63U)を作製するために、以下のリバースプライマーを用いた:
GATCTGCAGTGGTCCGGCGGGCAGGATTTGAACCTGCGCCATGCGGATTTAGAGTCCGCCGTTCTGC(FTam14;配列番号12)。
第2のフラグメントを作製するために、以下のプライマーセットによる増幅のためのテンプレートとしてプラスミドpET19 J17 E9 hGHを用いた:CGCCGGACCACTGCAGATCCTTAGCGAAAGCTAAGGATTTTTTTTAAGC(フォワードプライマー;FTam15;配列番号13)およびCAAATTCGTCCATATGGGATTCC(FTam16;配列番号14)。プラスミドpET19 J17 E9 hGHは、J17tRNAについてのポリヌクレオチド配列(配列番号8)、tRNAシンテターゼE9をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号4)、アンバーコドンの置換を有するヒト成長ホルモンをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を含んでいる。フォワードプライマーを用いて、tRNAの3’末端からプラスミドのNdeI部位までの配列を伸長した。生じた産物をゲルから精製した。
重複PCRの最後のステップは、フォワードプライマーGTAACGCTGAATTCCCGGCG(FTam17、配列番号15)、リバースプライマーFTam16(配列番号14)、第1のフラグメントおよび第2のフラグメントを含んでいた。集合した産物をEcoRIおよびNdeIによって消化し、そして、EcoRIおよびNdeIによって消化したプラスミドpET19 J17 E9 hGHに連結した。各コンストラクトの配列をシーケンシングによって確認した。J17の変異体のtRNAのそれぞれのDNA配列を、配列番号1(F12)、配列番号2(F13)、および配列番号3(F14)として示す。これらのtRNAは、対応するリバースプライマーにちなんで名付けた。
(タンパク質の発現)
tRNA(J17、F12,F13またはF14)をコードするプラスミドを、それぞれE. coliの株1および株2の細菌宿主細胞に化学的手段によって形質転換し、50μg/mLのカルベニシリンを有するLB寒天プレートに播種した。プレートを37℃にてオーバーナイトでインキュベートした。各tRNAについて、単一のコロニーを採取して、50μg/mLのカルベニシリンを有する1mLの2×YTにて37℃でのオーバーナイトの培養を開始した。この1mLの培養物を用いて、50μg/mLのカルベニシリンを有する10mLの2×YT培養物2つに37℃にて接種した。一方の10mL培養物に、4mMのパラアセチルフェニルアラニンを補充した。OD600=0.7において、hGHの発現を0.4mMのIPTGによって誘導した。細胞を37℃にて4時間250rpmで培養した後に、細胞を5000×gで5分間遠心分離することによって収集した。5μg/mLのDNAse Iを補充したB−PER試薬(Pierce, Rockford, IL)を用いて細胞を溶解した。
図2に、E. coliの株1の全細胞溶解液をSDS PAGEによって分析した結果を示す。ヒト成長ホルモンにおけるセレクターコドンの抑圧は、J17またはJ17の変異体(F12、F13、F14)のtRNAと、アミノアシルtRNAシンテターゼE9とを用いて行われた。J17の変異体を有する細胞は、J17を有する細胞よりも増殖が若干遅かった。4mMのパラアセチルフェニルアラニンが存在しない場合、tRNAの変異体についてのSDS−PAGEによって、全長のhGHの産物は観察されなかった。4mMのパラアセチルフェニルアラニンが存在する場合、全長の産物は、tRNAの変異体のそれぞれによって産生された。これは、これらのtRNAの変異体とRS E9とのペアが、E. coliの機構に対して直交性であることを実証している。SDS−PAGEに基づけば、E. coliの株1において、J17の変異体の抑圧されたhGHの収量は、J17のものよりも凡そ1.5〜2倍高かった。
J17の変異体の1つであるF13を、図3に示すようなアンバー抑圧について、E. coliの株2の細菌株細胞においてさらにテストした。E. coliの株2において、発現およびアンバー抑圧は、E. coliの株1におけるものと比べて低減した。パラアセチルフェニルアラニンが存在しない場合、全長のhGHの産物はSDS−PAGEによって観察されなかった。4mMのパラアセチルフェニルアラニンが存在する場合、全長のhGHが両方のtRNAに関して観察された。SDS−PAGEに基づけば、F13の抑圧されたhGHの収量は、J17のものよりも約3倍高かった。
凡そ1.5Lの最終容量を用いて、J17およびF13を比較するファーメンテーションラン(fermentation run)を行った。J17のtRNAをコードするプラスミド、F13のtRNAをコードするプラスミドをそれぞれ、E. coliの株1に形質転換した。それぞれについて最終的な細胞密度は、凡そ190gのウェットな細胞/Lであった。hGHのタイターは、J17クローンについて347mg/Lであり、F13クローンについて542mg/Lであった。
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<実施例3:ヨーネ菌に対するAmbrxの生ワクチン>
ヨーネ菌(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis(MAP))は、絶対的な病原菌であり、ウシおよび他の反芻動物においてヨーネ病を引き起こしてしまう。近年の研究では、米国の乳牛群の21%が感染しており、その結果、合計で1年当たり20億ドルを超えるという多大な経済的損失を酪農業界に対してもたらすことになると見積もられている。ヨーネ病は、リファブチンおよびマクロライド(クラリスロマイシンなど)のような抗生物質の組合せを用いてのみ処置され得る。処置のレジメは数年続くことがある。ヨーネ菌に対するワクチンが市販されているが、残念ながらこの疾患を予防する上で完全に有効でない。このため、有効なMAPのワクチンが極めて重要である。
(ヒトのクローン病とMAPとの関連性)
北アメリカにおいて、400,000〜600,000の人々がクローン病に罹患している。罹患率は、北ヨーロッパについて、100,000人当たり27〜48人であると見積もられている。MAPは、ヒトにおけるクローン病を引き起こす因子として長い間疑われているが、この関連性には議論の余地がある。Giacondaは、MAPがクローン病の原因物質であると仮定して、リファブチン、クラリスロマイシンおよびクロファジミン(clofazimine)の組合せ(マイコンダ(Myoconda))をクローン病のための薬物療法に用いる候補として商品化することを試みている。臨床応答は、第II相の臨床試験において、約95%であった。第III相の臨床試験は、従来の処置法と比べて、16週での寛解を達成する点で統計的に有意な改善を実証した。しかし、マイコンダ(Myoconda(登録商標))は、処置法がこの臨床試験において完了した後に寛解を維持する点で統計的に有意な結果を実現しなかった。
現在、提供されている利用可能なワクチンは、弱毒化ワクチン(株316F)、細胞全体を基礎とする死菌ワクチン(株18)であり、サブユニットワクチンが試験中である。しかし、現在のワクチンは、糞便排出および臨床疾患への進行を遅らせるのみであり、感染を防ぐことはない(Expert Rev. Vaccines 7(6) 2008)。この分野は、合理的に弱毒化されたワクチンを理想的に求めている。
MAPの完全なゲノム配列が公開(PNAS 2005 12344−12349)されており、MAPにおける外来遺伝子の発現が実現されているので、遺伝子に特異的な欠失および部位特異的な変異を、MAPのためのツールとして利用可能である(Applied and Environmental Microbiology 2008 1687−1695)。Ambrxのワクチンは、非天然アミノ酸に依存するように遺伝的に修飾された生物全体としてのMAPであり、動物におけるMAPの感染を防止するためのワクチンとして投与されるものである。必須遺伝子を選択し、次いで、部位特異的なアンバー変異を1つ以上含むように形質転換する。MAPは、非天然アミノ酸が培地に存在するときの細胞培養物および非天然アミノ酸が培地に存在しないときの細胞培養物によって特徴付ける。復帰率(reversion rate)を特徴づけ、生物全体。
<実施例4:抑圧とラムダレッドとを有するコンピテント細胞の作製>
E. coli株を調製した。E. coli株は、アンバー抑圧とラムダレッドによる組換えとの両方の能力を備えている。図5に示したpKD46nを含んでいるW3110 E. coliを調製した。次いで、図4に示したプラスミドpVK10/camRを用いて、エレクトロポレーションによって形質転換した。ポジティブな形質転換体を、50μg/mLのアンピシリンと34μg/mLのクロラムフェニコールとを含んでいるLB寒天プレート上にて30℃で48時間増殖させて選択した。
50μg/mLのアンピシリン、34μg/mLのクロラムフェニコールおよび0.2%のアラビノースを含んでいるLB培地に入れられた両方のプラスミドを含んでいる培養物500mLを最終的なOD600が0.5になるまで増殖させることによって、両方のプラスミドを含んでいる電気的コンピテント細胞(electrocompetent cell)を調製した。次いで、この細胞を、10%グリセロールにて3回洗浄し、10%グリセロール500μL中に再び懸濁した。60μLのアリコートをさらなる使用のために−80℃にて保存した。
<実施例5:条件致死性のメチオニンアミノペプチダーゼの作製>
条件致死性のメチオニンアミノペプチダーゼを有するE. coli株を作製した。メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子内の2つの部位(Y31またはN51)の1つに、アンバー変異を導入した。これらの変異をE. coliの染色体に組み込むために、組換えDNAの線状の一部を図6に示すような重複PCRによって作製した。第1に、プライマー1およびプライマー2(配列番号18または26)を用いて、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の5’末端をクローン化した(PCR産物A)。このPCR産物Aは、選択されたアミノ酸(Y31またはN51)にて終結しており、この選択されたアミノ酸がネイティブなコドンからアンバーコドンに変換される。プライマー3(配列番号20または28)およびプライマー4(配列番号21または29)を用いて、アンバー変異から始まるメチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子の3’末端をクローン化した(PCR産物B)。2つの反応産物は、アンバー変異に隣接する配列にて重複しており、これらの産物をプライマー1(配列番号18または26)およびプライマー4(配列番号21または29)を用いて増幅して、産物C(31位または51位にてアンバーコドンの置換を有する完全なメチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子)を得た。
完全な変異誘発のためのテンプレートを作製するために、I−sceIホーミングエンドヌクレアーゼの認識部位と隣接したカナマイシン耐性マーカーを、予め作製したE. coli株からのDNAにて、プライマー5(配列番号22または30)とプライマー6(配列番号23または31)とを用いて増幅した(PCR産物D)。上記カナマイシン耐性マーカーを除去することと相同組換えとを可能にするために、プライマー7(配列番号24または32)とプライマー8(配列番号25または33)とを用いて、メチオニンアミノペプチダーゼの上流のゲノム配列とメチオニンアミノペプチダーゼの5’末端とを増幅した(PCR産物E)。プライマー7(配列番号24または32)とプライマー4(配列番号21または29)とを用いて、フラグメントE、DおよびCを増幅することによって形質転換のための最終的なDNAテンプレートを作製した。
<実施例7:条件致死性のメチオニンアミノペプチダーゼのクローンの形質転換および選択>
重複PCRによって作製した形質転換用のテンプレートを用いて、pKD46およびpVK10−camRがポジティブである、電気的コンピテント細胞を形質転換した。50μg/mLのアンピシリン、50μg/mLのカナマイシンおよび2mMのpAFを含んでいるLB寒天プレートにてコロニーを30℃にて48〜72時間増殖させることによって、ポジティブな形質転換体を選択した。pAFに依存する増殖をテストするために、図7、図8および図9にも示すように、各部位についての96個のコロニーを、50μg/mLのアンピシリン、50μg/mLのカナマイシンおよび1mMのpAFを含んでいる1mLのLBにて増殖させた。次いで、レプリカ平板法を用いて、これらのクローンを、50μg/mLのアンピシリン、50μg/mLのカナマイシンおよび2mMのpAFを含んでいるLB寒天、ならびに50μg/mLのアンピシリンおよび50μg/mLのカナマイシンを含んでいるが、pAFを含んでいないLB寒天に蒔いた。これらのレプリカのプレートを72時間30℃にて増殖させ、次いで増殖をスコア化した。2mMのpAFが存在する場合にのみ増殖を示したクローンをさらなる分析のために選択した。
<実施例8:クローンの選択および成熟>
pAFの依存性がポジティブであったクローンをさらなる研究のために選択した。これらのクローンは、Y31 A12、Y31 C5、Y31 E3、N51 D2およびN51 H9であった。これらのクローンをそれぞれ再度スクリーニングし、pAFを含んでいる培地のみにて全てを増殖させた。適切な部位(Y31またはN51)にてアンバーコドン(タグ)が存在することを確認するために、全てのクローンのシーケンシングを行った。5個のクローン全てが、上述の適切な位置にアンバーコドンを有していた。次いで、クローンY31 A12およびN51 D2を単離し、37℃にて熱処理を繰り返し行うことによってpKD46プラスミドを除去した。
pKD46およびアンピシリン耐性を喪失させた後に、I−SceI酵素を含んでいるプラスミドを用いて細胞を形質転換した。この酵素による処理の後に、いくつかのクローンを選択し、カナマイシン耐性をテストした。カナマイシンに耐性のないクローンに対してシーケンシングを再び行い、10%のグリセロールストックにて凍結した。これらのクローンが最終的なクローン(pAF依存性のメチオニンアミノペプチダーゼクローン)である。
本発明のいくつかの実施形態において、図11にて模式的に示された所望の復帰率は、1回のスイッチによる10−9未満の復帰の頻度である。Y31およびN51のクローンについてテストした復帰率を表2に示す。
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<実施例9>
(経口の)ポリオワクチンのために用いたタイプおよび継代と同一の種株(Seed strain)を、1個よりも多くの必須遺伝子にアンバー変異を含ませるように形質転換し、培養する。
(細胞の培養)
(i)ウイルスが増殖するための種々の細胞基質としては、ヒトの二倍体細胞株、サル腎培養細胞(Monkey kidney cells)、ベロ細胞株、または任意の他の適切な細胞培養物が挙げられる.
(ii)細胞のラージスケールでの産生:1.製造者の作業用細胞バンク(MWCB)の調製。初代の細胞培養物(正常な組織に由来し、−70℃にて凍結させて保存される細胞)の場合のMWCB、または他の任意の許容される継続的な株細胞からのMWCBを、細胞、および細胞培養物を規定された数の範囲内で連続的にサブカルチャーした後にプールした細胞、から調製する。2.細胞の容量を段階的に増加させるために適切な以下のシステムのいずれかを用いることができる。ローラーボトル:ローラーボトルでの増殖は、ガラス表面に細胞が配置される点および達成可能な細胞の最大密度の点において静置培養での増殖と異なる。ローラーボトルでの培養物は、静置での培養物よりもほぼ2倍高い密度に耐えることができるので、より早く劣化することがない。単層培養にて増殖する哺乳動物の細胞は、ローラーボトル技術に最もよく適合する。細胞の工場(cell factories):細胞の工場は、一般的な注入口と排出口とを共有する培養トレーが積み重ねられたものである。このような細胞の工場は、ローラーボトルの内側と同様の大きさの増殖面を、細胞に提供するが、インキュベーターの内側のスペースをより取らない。細胞の工場は、接着細胞の培養物にとって理想的であり、汚染および危険性が低く、コンパクトである。ルー瓶 マイクロキャリアシステム。3.コントロールの細胞培養物のためのサンプルを、2週間別々にインキュベートし、これらのサンプルを細胞変性の変化の証拠があるのかを調査する。
(細胞培養物におけるポリオウイルスの増殖)
(i)シードロットシステム(Seed lot system):(a)継代レベルは経口ポリオワクチンに従うものである。(b)そのグチの継代レベルは、経口ポリオワクチンを製造するために用いることができる一価のバルク懸濁液に由来するものである。1.ワクチンは、ウイルスのシードロットシステムに基づいて製造される。ウイルスのシードロットは、一緒に処理された多量のウイルスであり、シードロットから調製された多量の均一な組成物である。2.シードウイルスのサブカルチャーは、本来の実験室および現場でのテストが行われた、ワクチンを製造するために用いたシードロットから数えて10回を超えて行うべきではない。
(シングルハーベストおよび一価のプール)
ウイルスを細胞培養物にて増殖させる。そして、細胞の単一のバッチから由来し、一緒に処理された細胞培養物からウイルスを収集する。これは、シングルハーベストとして知られている。1種類のウイルスの懸濁液のシングルハーベストを、同時に処理し、粗製の形態の一価のプールを得る。
(一価のプールのろ過または清澄)
一価のプールの粗製ウイルス懸濁液をそれぞれ、フィルターを通して段階的に精製する。このような段階的な精製は、フィルターの多孔度を減少させることによって行う。ろ過のステップの目的は、不活性化のプロセスに影響を与え得る特定の物質および他の物質を除去することである。なぜなら、このような凝集物が放置されている間に増加する傾向があるからである。
(一価のプールの濃縮)
濾過した一価のプールを限外濾過によって濃縮する。
(一価のプールの精製)
DEAEセフェロース/固定化されたDNA−aseのカラム/免疫吸着カラムを用いたクロマトグラフィーを使用して、一価のプールの精製を行う。精製のプロセスでは、少なくとも108の因子によって、細胞内DNAのレベルが最初のウイルス収集物のものから常に低減する。D−抗原の濃度をELISAによって、およびラットにて比較可能な免疫原性を示すかによって決定する。これによって、効力を調整する。ポリオウイルスの一価のプールを混合して、三価のバルクの最終産物を形成する。
(ワクチンの調合および製造)
精製したバルクを、好ましくは0.22μmまたは0.45μmのフィルターを用いて濾過する。一価の形質転換されたウイルスは、非天然アミノ酸の存在下にて維持し、必要に応じて、安定化剤および/または保存剤と混合して、一価、二価、三価または多価のワクチンを作製する。
(ワクチンの効力のテスト)
上述のようにして製造したワクチンの効力は、インビトロの方法および/またはインビボの方法にて、確立されている参照ワクチンと比較した場合に、同様であることが見出される。
許容されている標準的な方法に基づく種々の他のテストを、上述のようにした製造したワクチンに対して行った。他のテストとしては、pHの決定、無菌性のテスト、形質転換が効果的であるかのテスト(例えば、非天然アミノ酸が存在しない場合に、分裂することおよび死滅ことを確かめる)、毒性が異常であるかの研究、容量の測定、インビトロでの効能の決定、エンドトキシンのテスト、アイデンティティーのテスト、タンパク質の窒素含有量の評価、ならびに有効性、安全性および効能を補償するための、安定化剤の含有量およびホルムアルデヒドの含有量の決定が挙げられる。
上述のようにして製造したSIPVのインビトロの効能を、サンドイッチELISAを用いて決定した。ポリオウイルスに対する異なる種にて生じた2つの一次抗体をこのポリオウイルスのために利用した。そして、HRPを抱合した二次抗体を二番目の一次抗体において用いる。結果を、参照のスダンダードを用いて比較することによって分析した。
直接的なELISAを用いて、ワクチンのアイデンティティーのテストを行った。96ELISAプレートのウェルに抗原をコートし、種に特異的な抗ポリオ血清を使用してワクチンにおける3種のポリオウイルスの全てを決定する。
明確にすることおよび理解することを目的として、前述の発明をある程度詳細に記載した、しかし。この開示を読んだ当業者は、本発明の真の範囲から逸脱することなく、種々の形式上のまたは詳細な変更を行うことができることを明確に理解する。例えば、上述の技術および装置の全てを様々に組み合わせて用いることができる。本願にて引用した刊行物、特許公報、特許出願公報、および/または他の文書の全ては、当該刊行物、特許公報、特許出願公報、および/または他の文書のそれぞれが全てのことを目的として参考として援用されると示されている場合と同程度に、全てのことを目的としてそれらの全体が参考として援用される。
図1は、TΨCのステムの変異部位を有するJ17 tRNAのクローバー型構造を示す図である。 図2は、ヒト成長ホルモンにおけるアンバー変異の抑圧をJ17またはJ17の変異体(F12、F13、F14)を用いて示す図である。 図3は、ヒト成長ホルモンにおけるアンバー変異の抑圧を、F13を用いた種々の株細胞にて示す図である。 図4は、Ambrxの抑圧システムを含んでいるpVK10−camRベクターの模式図である。 図5は、ラムダレッド成分(Lambda Red components)(bet、gam、エキソヌクレアーゼ)を含んでいるpKD46ベクターの模式図である。 実施例5にて用いる重複したプライマーおよび方法のスキームを示す図である。 図7は、人工的なアミノ酸への依存性についてのスクリーニングの模式図である。 図8は、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子のY31にてアンバー変異を有するのかについてスクリーニングされたE. coliの細胞培養プレートを2つ示す図である。 図9は、メチオニンアミノペプチダーゼ遺伝子のN51にてアンバー変異を有するのかについてスクリーニングされたE. coliの細胞培養プレートを2つ示す図である。 図10Aは、許容できる培地および許容できない培地における増殖を示す図である。 図10Bは、許容できる培地および許容できない培地における増殖を示す図である。 図11は、復帰率の特徴の概略図である。 図12は、変異誘発の方針を示す模式図である。 図13は、アンバー終止コドンを常に保有させる変異誘発にて用いられるプラスミドを示す図である。 図14は、E. coliにおける条件致死性の変異体を作製するステップの模式図である。 図15は、E. coliにおける条件致死性の変異体を特徴付けるステップの模式図である。 図16は、MAPの選択された残基を示す図である。 図17は、MAPの選択された残基を示す図である。

Claims (19)

  1. 非天然アミノ酸を含む細菌細胞であって該細菌細胞はヨーネ菌(MAP)の細胞であり、該非天然アミノ酸は、複製のために必須遺伝子の産物のアミノ酸配列に部位特異的に組み込まれており、該MAPの細胞は、必須遺伝子は該非天然アミノ酸の存在下においてのみ複製し得、該非天然アミノ酸が存在しない条件において複製能力が制限されているか、または複製能力を有していない、細菌細胞
  2. 非天然アミノ酸を含む細菌細胞であって該細菌細胞はE. coli細胞であり、該非天然アミノ酸は、複製のために必須遺伝子の産物のアミノ酸配列に部位特異的に組み込まれており、該E. coli細胞は、必須遺伝子は該非天然アミノ酸の存在下においてのみ複製し得、該非天然アミノ酸が存在しない条件において複製能力が制限されているか、または複製能力を有していない、細菌細胞
  3. 1個よりも多くの非天然アミノ酸が、前記必須遺伝子の産物に部位特異的に組み込まれている、請求項1または2に記載の細菌細胞。
  4. 1個よりも多くの非天然アミノ酸が、複製のために1個よりも多くの必須遺伝子の産物に組み込まれている、請求項1または2に記載の細菌細胞。
  5. 非天然アミノ酸の各々が、パラ−アセチルフェニルアラニン、p−ニトロフェニルアラニン、p−スルホチロシン、p−カルボキシフェニルアラニン、o−ニトロフェニルアラニン、m−ニトロフェニルアラニン、p−ボロニルフェニルアラニン、o−ボロニルフェニルアラニン、m−ボロニルフェニルアラニン、p−アミノフェニルアラニン、o−アミノフェニルアラニン、m−アミノフェニルアラニン、p−アシルフェニルアラニン、o−アシルフェニルアラニン、m−アシルフェニルアラニン、p−OMe フェニルアラニン、o−OMeフェニルアラニン、m−OMeフェニルアラニン、p−スルフォフェニルアラニン、o−スルフォフェニルアラニン、m−スルフォフェニルアラニン、5−ニトロヒスチジン、3−ニトロチロシン、2−ニトロチロシン、ニトロで置換されたロイシン、ニトロで置換されたヒスチジン、ニトロで置換されたDe、ニトロで置換されたトリプトファン、2−ニトロトリプトファン、4−ニトロトリプトファン、5−ニトロトリプトファン、6−ニトロトリプトファン、7−ニトロトリプトファン、3−アミノチロシン、2−アミノチロシン、O−スルフォチロシン、2−スルフォオキシフェニルアラニン、3−スルフォオキシフェニルアラニン、o−カルボキシフェニルアラニン、m−カルボキシフェニルアラニン、p−アセチル−L−フェニルアラニン、p−プロパルギル−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、およびp−プロパルギルオキシ−フェニルアラニンからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細菌細胞。
  6. 少なくとも1個の非天然アミノ酸がパラ−アセチルフェニルアラニンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の細菌細胞。
  7. 前記必須遺伝子の産物が、ileS、lspA、ispH、ftsL、ftsI、murE、murD、ftsW、murG、murC、ftsQ、ftsA、ftsZ、secA、map、rpsB、pyrH、frr、uppS、cdsA、fabZ、lpxA、lpxB、dnaE、accA、proS、nusB、dxs、ispA、dnaX、adk、cysS、mrdB、mrdA、holA、leuS、glnS、serS、msbA、kdsB、asnS、fabA、rne、fabD、fabG、tmk、holB、lolC、lolD、lolE、trmU、prsA、topA、fabI、pheS、rplT、infC、nadE、aspS、argS、rplY、nrdA、nrdB、fabB、gltX、ligA、zipA、yfgE、hisS、acpS、rplS、trmD、rpsP、ffh、grpE、plsC、parC、parE、ribB、rpoD、rpsO、yhbZ、rpsI、rplM、def、rpsM、secY、rplO、rpsE、rplR、rplF、rpsN、rplX、rplN、rpsQ、rpsS、rplB、rplW、rplD、rplC、rpsJ、fusA、rpsL、trpS、ftsY、glyS、kdtA、coaD、dut、gmk、dnaA、glmU、engB、murI、rplJ、rplL、rpoB、rpoC、dnaB、groS、groL、efp、rpsF、ppa、valS、dnaCおよびdnaTからなる群より選択される、請求項2に記載の細菌細胞。
  8. 前記E. coli細胞は、必須遺伝子の産物メチオニンアミノペプチダーゼ(map)のアミノ酸配列に組み込まれている非天然アミノ酸を含む、請求項2に記載の細菌細胞。
  9. 前記E. coli細胞は、必須遺伝子の産物メチオニンアミノペプチダーゼ(map)のアミノ酸配列に組み込まれているパラ−アセチルフェニルアラニンを含む、請求項8に記載の細菌細胞。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の細菌細胞を含む、ワクチン処方物。
  11. ヒトにおいて、免疫応答を誘導するかあるいは細菌感染を治療または予防するための、請求項10に記載のワクチン処方物。
  12. 非ヒト哺乳動物において、免疫応答を誘導するかあるいは細菌感染を治療または予防する方法であって、
    治療的有効量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の細菌細胞または請求項10もしくは11に記載のワクチン処方物を、非ヒト哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
  13. 非ヒト哺乳動物においてヨーネ菌によって引き起こされる感染を治療または予防し、治療的有効量の前記細菌細胞を該非ヒト哺乳動物へ投与する工程を包含し、ここで該細菌細胞がMAP細胞である、請求項12に記載の方法。
  14. ヨーネ菌によって引き起こされるヨーネ病を予防する、請求項13に記載の方法。
  15. 非ヒト哺乳動物においてE. coliによって引き起こされる感染を治療または予防し、治療的有効量の前記細菌細胞を該非ヒト哺乳動物へ投与する工程を包含し、ここで該細菌細胞がE. coli細胞である、請求項12に記載の方法。
  16. ヒトにおいて免疫応答を誘導するかあるいは細菌感染を治療または予防するためのワクチン処方物の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の細菌細胞または請求項1〜9のいずれか1項に記載の細菌細胞を含む組成物の、使用。
  17. 前記細菌細胞がMAP細胞である、請求項16に記載の使用。
  18. 前記細菌感染がヨーネ菌によって引き起こされるヨーネ病である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記細菌細胞がE. coli細胞である、請求項16に記載の使用。
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