JP5690014B1 - 食肉入り揚げ蒲鉾及びその製造方法。 - Google Patents

食肉入り揚げ蒲鉾及びその製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】欧米型の食事が主流になりつつある現代人の食生活において、美味でソフトでジューシーな食感を有し、多くの人々の趣向に合う卓越した味の、洋風揚げ蒲鉾を提供すること。【解決手段】魚肉擂り身で製した蒲鉾生地中に、調味料で下味をつけて炒めた食肉挽き肉を混合、撹拌して得た芳醇な味わいを醸してくれる煉り生地を、小判型に成形して、油で揚げた事を特徴とする、嗜好性に優れた食肉入り揚げ蒲鉾及びその製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、蒲鉾の主原料である塩摺りした魚肉擂り身と、炒めた食肉挽き肉を均一に混合せしめ、任意形状に成型した後、所定時間油で揚げた事を特徴とする、食肉入り揚げ蒲鉾及びその製造方法に関するものである。
揚げ蒲鉾は、原料であるスケトウダラ、エソ、グチ、サメ等の魚肉を2〜3%の食塩とともに摺り潰して得た粘調なペースト状の肉糊に食塩、砂糖、澱粉等の副原料を加えて混練りした煉り生地を、四角型や小判型等の任意の形状に成形し、フライヤーを使用して二度揚げした後、表面の余分な油を脱油機で回収し、冷却、包装、等の工程を得て製造されている。
この魚肉煉り製品は加熱方法の違いにより、蒸した蒲鉾、焼いた竹輪、煮たつみれ等に分類されるが、加熱方法として油で揚げたものが揚げ蒲鉾である。
揚げ蒲鉾は魚肉煉り製品の中で最も生産量が多く、東京で薩摩揚げ。大阪で天ぷら、鹿児島でつけ揚げ。愛媛でじゃこ天。宮崎で飲肥天といわれているものである。
しかし最近の消費者の嗜好は硬い食感よりも柔かい食感が好まれ、消費量も斬減の傾向となっている。この消費者の嗜好の変化に対応し、より美味で、ジューシー感があり、更にソフトな食感を有する揚げ蒲鉾、及びその製造方法を提供するものである。
特開平8‐336373 特開平1−153060
福田裕、山澤正勝、岡崎恵美子監修「全国水産加工品総監」株式会社光琳、2005年、P251〜253
魚肉に食塩を加えて摺り潰して得た粘調なペースト状の肉糊は、魚肉を構成する蛋白質の主成分であり、練り製品の〈足〉をつくる〈筋原繊維蛋白質〉は水に不溶、中性塩溶液に溶解する。魚肉を摺り潰し組織をこわして食塩を加えると、肉中の水分に食塩がとけ筋原繊維蛋白質を溶解し〈アクトミオシン〉の濃厚な溶液ができる。アクトミオシンは細長い糸状粒子である上、相互にからみあっているので非常に高い粘性と可塑性を示す、このため蒲鉾や竹輪等、いろいろに成形できるのであるが、加熱してゲル化〈坐り〉した煉り製品は、中が硬く締まり、好ましい食感が得られず、洋風化も進んだ現代人の嗜好に摘合しない面があり、生産量も減少の傾向にあった。
上記の課題を解決するための本発明の方法は、蒲鉾の主原料である魚肉を塩摺りして得た粘調なペースト状の肉糊である魚肉擂り身と、調味料を加えて加熱して得た炒め食肉挽き肉を組み合せ、且つ違和感なく融合せしめた蒲鉾生地を四角型、小判型等の任意形状に成形した後、所定時間油で揚げたもので、揚げ蒲鉾独自の形状〈坐り〉は損なわず、ふっくらとした柔かい食感を有する食肉入り揚げ蒲鉾を提供するものである。
本発明は、魚肉由来の蛋白質による旨味成分であるアミノ酸と、食肉由来の蛋白質による旨味成分であるアミノ酸による、旨味成分の相乗効果が生じ、風味が増加して、より濃厚な美味となるのである。
本発明は、前記ペースト状の煉り生地に、炒めた食肉粗挽き肉を混練りせしめたことにより、筋原繊維蛋白質のつくる〈足〉を構成する網目状の強い結合が変性して固まり、網目構造の中に旨味のドリップ等の成分が充分滲み込んだ肉汁が溶出されない状態となり。肉汁が閉じ込められるため、ジューシーな食感が得られるのである。
本発明は、魚肉擂り身と炒めた食肉挽き肉を均一に混和せしめた事により、加熱してゲル化する際のゲル化度が異なり、その差異によって蛋白質同志の接着結合である〈坐り〉に硬軟二様の弾力性が混在した独特な歯応えが生じ、ふっくらとしたソフトな食感が得られるのである。
本発明は、魚肉擂り身と食肉挽き肉を混練りせしめた新規な食肉入り揚げ蒲鉾、及びその製造方法の提供を目的とするものである。以下実施例により実施態様を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実態例にその技術範囲が限定されるものではない。
以下本発明の実施例1をその製造工程と共に説明する。
(擂り身工程)まず始めに採肉工程を経て得られた魚肉に食塩を3%加えて、高速カッターや石臼式擂潰機で摺り潰して得た粘調なペースト状の肉糊である魚肉擂り身を調成した。
(炒め挽き肉工程)次に直径5mmの目皿を用いて挽いた牛肉に塩、砂糖、醤油等の調味料を加えて混合する、次に厚手の鍋に油、ニンニクのみじん切りを入れて中火にかける。香りが出たら挽き肉を加え、ポロポロになるまで炒める。炒めたら火を止め、そのまま冷まして炒め挽き肉を得た。
(混練り工程)前記魚肉擂り身50重量部に炒めた牛肉挽き肉40重量部と副原料である、すりおろした玉葱5重量部と、片栗粉5重量部を加えて水分を出さないよう、ふんわり混ぜ、均一に分散されるように混合撹拌し〈足〉が生じた煉り生地を厚さ7mm,長径7cmの小判型等に成形し、30分間放置熟成して〈坐り〉が生じた揚げ蒲鉾生地を得た。
(仕上げ工程)前記揚げ蒲鉾生地を、フライヤーを使用して初め120°Cで約2分、次いで170°Cで約2分の計4分間の2度揚げを行う(油揚げ工程)。油揚げ直後に蒲鉾表面の余分な油を脱油機で回収する(脱油工程)放冷機を使用した(冷却工程)ピロー包装機真空包装機使用の(包装工程)を得て食肉入り揚げ蒲鉾は完成し、出荷されるのである。
本発明における食肉とは、一般的に牛肉赤身を用いたものであるが豚肉、鶏肉、牛豚合挽き肉、牛鶏合挽き肉などの家畜肉一般を使用できる。
また前記挽き肉とは、5〜7mmの目皿を使用して得た一度挽きの粗挽き肉であるが、食肉の部位や硬軟の状態によって2〜8mmのミンチ目皿を使用してもよく、更に二度挽き等の方法によって所望粒度に調節し得るのである。
前記魚肉挽り身と食肉挽き肉との配合比率は、好ましくは魚肉擂り身40〜60の重量比率、炒め挽き肉30〜50の重量比率、すりおろし玉葱5〜10重量比率、片栗粉澱粉5〜10重量比率とすると馴染みやすく、柔かな食肉入り揚げ蒲鉾が得られるのである。
この炒め挽き肉はフライパンを使用したが、その他の熱源として電子レンジ(チン)、オープングリル、赤外線グリル、加熱水蒸気グリル、ガスバーナー等が知られているが、加熱水蒸気グリルでは大量の潜熱によって、内部に含まれる余分な油脂を落してカロリーも抑えられる。
又、ガスバーナー加熱では、表面に良好な焼色がついて、カリッとした食感と、独得の風味が醸し出され、人々の嗜好性のさらなる向上を図るものである。
擂り身工程、炒め挽き肉工程、混練り工程を得て成形して得た蒲鉾生地を、小麦粉、とき卵、パン粉の順につけて、中温の揚げ油で、濃いきつね色になってカリッとするまでゆっくり揚げて、油を切った事を特徴とするメンチカツ風揚げ蒲鉾の製造方法。
以上の構成よりなる本発明の炒めた食肉入り揚げ蒲鉾は、そのまま食べたり、鍋物や、おでん種、炒め物や煮物料理の具材等にされるほか、野菜とともにパンにはさんだものは、和風のサンドイッチやハンバーガーとしても好評であり、多用途に利用されるものである。
更に、この食肉入り揚げ蒲鉾は、魚肉煉り製品の手軽で食べ易いという利点と、食肉の濃厚な旨みと、ソフトな歯触りと、ジューシーな食感を有するなど、欧米化した現代人の嗜好性に適合するという、新規な味覚と食感を創出した、食肉入り揚げ蒲鉾を提供するものである。

Claims (2)

  1. 魚肉に食塩を加えて擂潰して得た魚肉擂り身と、家畜肉を粗目に挽いて加熱調理して得た炒め挽き肉との混合物を原料とすることを特徴とする食肉入り揚げ蒲鉾。
  2. 魚肉に食塩を加えて擂潰して得た粘調なペースト状の魚肉擂り身工程と、
    家畜肉を粗目に挽き、調味料を加えて加熱して得た挽き肉炒め工程と、
    魚肉擂り身と、炒め挽き肉の混合物である煉り生地を任意の形状にする成形工程と、
    前記成形工程を得た蒲鉾生地を加熱調理する油揚げ工程とを含むことを特徴とする食肉入り揚げ蒲鉾の製造方法。
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