JP5687210B2 - 紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材 - Google Patents

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Description

本発明は、式(1)で表される少なくとも1種類の金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材に関する。
近年、可視光線を十分に透過すると同時に、紫外線を選択的に遮蔽する機能を有する部材が様々な分野で使用されている。例えば、自動車のウインドウガラスや建築物の窓ガラス等においては、日焼けや内装材の劣化を引き起こす紫外線を遮蔽するために紫外線遮蔽ガラスが広く使用されている。
また、カーポート、ショーウインドウ、ショーケース、照明用透明シェード等に使用される透明樹脂板や、各種透明容器等の用途においても、紫外線遮蔽機能を付与したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の透明な熱可塑性樹脂の成形体が用いられている。
このように、ガラスや樹脂等の基材に紫外線を遮蔽する機能を付与するためには、紫外線吸収剤として無機系金属酸化物微粒子や有機系紫外線吸収剤を用いる方法が一般的に知られている。
しかしながら、無機系金属酸化物微粒子、有機系紫外線吸収剤を問わず、従来公知の紫外線吸収剤においては、遮蔽可能な紫外線は380nm以下のものに限られ、380〜400nmのUV−Aと呼ばれる紫外線を十分に遮蔽でき、且つ長期間に渡って光を照射しても劣化せず、且つ十分に可視光を透過するような紫外線吸収剤はほとんど知られていない。
ここでUV−Aとは、比較的波長の長い紫外線(320〜400nm)であり、地表に到達する太陽光の紫外線としては最も多く含まれるが、人体にとっては皮膚への浸透程度が深いため、長時間の曝露が色素沈着(シミ)やシワを引き起こすことが知られている。
特開2008−174607号公報 特開2000−63647号公報 特許2957924 特開2009−35703号公報
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であったUV−Aを十分に遮蔽することができる紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材を提供することを目的としている。
本発明は、以下に示すとおりの紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材に関する。
項1.式(1):
Figure 0005687210
(式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、
、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、
またはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、
Mは金属原子を示す。)
で表される少なくとも1種類の金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含む紫外線吸収部材用組成物。
項2.式(1)における金属原子Mが、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、または亜鉛原子である項1に記載の紫外線吸収部材用組成物。
項3.溶媒を含むか、あるいは溶媒を含むことなくマトリックス材料の前駆体が溶媒を兼ねる溶液形態である項1または2に記載の紫外線吸収部材用組成物。
項4.分散媒を含むか、あるいは分散媒を含むことなくマトリックス材料の前駆体が分散媒を兼ね、該金属錯体の微粒子が分散した分散液形態である項1または2に記載の紫外線吸収部材用組成物。
項5.前記項1〜4のいずれかに記載の紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材。
項6.基材上に該金属錯体を含有するマトリックス材料の膜を有する積層体としての紫外線吸収部材である項5に記載の紫外線吸収部材。
項7.該金属錯体がマトリックス材料の膜中に含有された薄膜形態の紫外線吸収部材である項5に記載の紫外線吸収部材。
本発明は、紫外線吸収剤としての式(1)で表される金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含有することを特徴とする紫外線吸収部材用組成物を提供する。
本発明における紫外線吸収部材用組成物は、式(1)で表される金属錯体が溶解状態にあるものであってもよいし、式(1)で表される金属錯体の微粒子が分散状態にあるものであってもよい。
溶解状態の式(1)で表される金属錯体を含有する紫外線吸収部材用組成物の場合、最終的に得られる紫外線吸収部材の可視光透過率を高度に保つ上で特に有利であり、一方、分散状態の式(1)で表される金属錯体微粒子を含有する紫外線吸収部材用組成物の場合には、耐光性が優れた紫外線吸収部材を得る上で特に有利となる。
また、本発明は前記の紫外線吸収部材用組成物を用いて、ガラス基材や樹脂基材上にコーティング膜を施して得られる積層体としての紫外線吸収部材、および剥離性基材上にコーティングした後、これを剥離することによって得られる薄膜形態の紫外線吸収部材を提供する。
式(1)で表される金属錯体は、従来遮蔽困難であったUV−Aを効率よく遮蔽し、また一般的な有機系紫外線吸収剤に比べてはるかに良好な耐光性を示し、また長期間にわたって光を照射し続けても、その紫外線吸収能が低下しにくい。また、金属酸化物微粒子に比べて紫外線遮蔽能が大幅に優れているため、少量の添加で十分な紫外線遮蔽能を付与することができ、さらに、可視光域における透明性が非常に優れていることも特筆すべき特徴である。
本発明によると、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であったUV−Aを十分に遮蔽することができる紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(1):
Figure 0005687210
(式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、Y、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、ZまたはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。R、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、Mは金属原子を示す。)
で表される少なくとも1種類の金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材を提供するものである。
また、式(1)におけるY、Y、YおよびY、ZおよびZ、R、R、R、R、R、RおよびMについて以下に例示する。
式中、Y、Y、YまたはYに帰属される、前記のNRのRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基や、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
尚、Y、Y、Y、Yのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
ここで、式(1)におけるY、Y、YおよびYは、合成方法の簡便さの観点から、硫黄原子であることが特に好ましい。
式中、ZまたはZに帰属される、前記のCRのRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基や、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基や、2−フリル基、2−チエニル基、5−クロロ−2−チエニル基、2−ピロリル基、2−オキサゾリル基、5−メチル−2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基等のヘテロアリール基や、4−ピリジルメチル基、4−キノリルメチル基、2−チエニルメチル基等のヘテロアラルキル基や、
4−アセトアミドベンジル基、3−アミノベンジル基、4−アミノベンジル基、3−メトキシベンジル基、2−メトキシフェネチル基、4−(n−ペンチルオキシ)ベンジル基、2−アリルオキシフェネチル基、5−アリル−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−フェネチル基、4−ブロモベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、6−ブロモ−2−ヒドロキシベンジル基、5−ブロモ−3−ニトロ−2−ヒドロキシフェネチル基、4−(n−ブチル)ベンジル基、3−ブロモ−5−メトキシ−4−ヒドロキシベンジル基、4−ベンジルオキシベンジル基、6−ブロモ−3−メトキシ−2−ヒドロキシベンジル基、(1−ブロモ−2−ナフチル)−n−プロピル基、2−ベンジルオキシベンジル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェネチル基、4−tert−ブチルベンジル基、5−ブロモ−2−フルオロベンジル基、3−ブロモ−4−メトキシベンジル基、5−ブロモ−2−メトキシベンジル基、3−ブロモ−5−クロロ−2−ヒドロキシベンジル基、4−ブロモ−2−フルオロベンジル基、2−ブロモ−4,5−ジメトキシフェネチル基、3,4−エチレンジオキシベンジル基、3−ブロモ−4−フルオロフェネチル基、6−ブロモ−3,4−メチレンジオキシベンジル基、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンジル基、2−ブロモ−5−フルオロフェネチル基、4−シアノベンジル基、4−トリフルオロベンジル基、4−(4−クロロフェノキシ)フェネチル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンジル基、3,4−ジアセトキシベンジル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジル基、4−[N−(4,4−ジオキソチオモルホリノ)]ベンジル基、4−(N−ピロリジノ)ベンジル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジル基、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェネチル基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジル基、(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−n−プロピル基、4−イソプロピルベンジル基、4−イソブチルベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
前記のZまたはZに帰属されるCRのRとして例示したものの中では、合成方法の簡便さや反応性の観点から、アラルキル基であることが特に好ましい。
尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
さらに、式(1)におけるZおよびZは、合成方法の簡便さの観点から、窒素原子であることが特に好ましい。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、2−メトキシエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、3−クロロ−n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、6−フェニル−n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記のハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基としては、例えば、N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−イソプロピルアミノスルホニル基、N−n−プロピルアミノスルホニル基、N−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−メチルエチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基、N,N−エチルイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソブチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基としては、例えば、モルホリノスルホニル基、2−メチルモルホリノスルホニル基、3−メチルモルホリノスルホニル基、2−エチルモルホリノスルホニル基、3−n−プロピルモルホリノスルホニル基、3−n−ブチルモルホリノスルホニル基、2,3−ジメチルモルホリノスルホニル基、2,6−ジメチルモルホリノスルホニル基、3−フェニルモルホリノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基としては、例えば、ピペリジノスルホニル基、2−メチルピペリジノスルホニル基、3−メチルピペリジノスルホニル基、4−メチルピペリジノスルホニル基、2−エチルピペリジノスルホニル基、4−n−プロピルピペリジノスルホニル基、3−n−ブチルピペリジノスルホニル基、2,4−ジメチルピペリジノスルホニル基、2,6−ジメチルピペリジノスルホニル基、4−フェニルピペリジノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基としては、例えば、ピロリジノスルホニル基、2−メチルピロリジノスルホニル基、3−メチルピロリジノスルホニル基、2−エチルピロリジノスルホニル基、3−n−プロピルピロリジノスルホニル基、3−n−ブチルピロリジノスルホニル基、2,4−ジメチルピロリジノスルホニル基、2,5−ジメチルピロリジノスルホニル基、3−フェニルピロリジノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基としては、例えば、チオモルホルノスルホニル基、2−メチルチオモルホリノスルホニル基、3−メチルチオモルホリノスルホニル基、2−エチルチオモルホリノスルホニル基、3−n−プロピルチオモルホリノスルホニル基、3−n−ブチルチオモルホリノスルホニル基、2,3−ジメチルチオモルホリノスルホニル基、2,6−ジメチルチオモルホリノスルホニル基、3−フェニルチオモルホリノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基としては、例えば、ピペラジノスルホニル基、2−メチルピペラジノスルホニル基、3−メチルピペラジノスルホニル基、2−エチルピペラジノスルホニル基、3−n−プロピルピペラジノスルホニル基、3−n−ブチルピペラジノスルホニル基、2,5−ジメチルピペラジノスルホニル基、2,6−ジメチルピペラジノスルホニル基、3−フェニルピペラジノスルホニル基、2−ピリミジルピペラジノスルホニル基等が挙げられる。
前記のR、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個、好ましくは1または2個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、経済性すなわち原料の入手の簡便さや収率の観点から、存在しないか、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、存在しないか、ハロゲノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、存在しないことがさらに好ましい。
また、炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基である場合には、溶媒に対する溶解性の面で特に有利であり、中でも置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基または置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基である場合に特に有利となる。
、Y、YおよびY、ZおよびZ、R、R、RおよびRはそれぞれ互いに独立したものであるが、合成方法の簡便さおよび取得する該金属錯体の品質(純度)管理の観点から、好ましくはY=Y且つY=Y且つZ=Z且つR=R=R=Rである。また、該金属錯体の各種溶媒に対する溶解性の観点から言えば、Y=Y≠Y=Y且つZ=Z且つR=R=R=R、またはY=Y=Y=Y且つZ=Z且つR=R≠R=Rであることが好ましい。
式中、Mで表される金属原子は、例えば、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、または亜鉛原子等が挙げられる。
式(1)で表される金属錯体は、下記式(2)で表される配位子と、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩等の金属塩とを反応させることで合成することができる。
式(2):
Figure 0005687210
式(2)において、Y、Y、Z、R、Rは、それぞれ式(1)中のY(および/またはY)、Y(および/またはY)、Z(および/またはZ)、R(および/またはR)、R(および/またはR)に対応している。
式(2)で表される配位子は、例えば、「特開昭56−87575」、「Synthesis 1987,368」、「Synthesis 1982,590」、「Synthesis 1982,1066−1067」、「J.Org.Chem.2002,67,5753−5772」、「J.Org.Chem.2002,67,5753−5772」、「J.Org.Chem.1961,26,3434−3445」、「Gazz.Chim.Ital.1996,126,329−337」、「Gazz.Chim.Ital.1994,124,301−308」、「特表2007−535421」において開示されている方法で合成することができる。
以下、式(2)で表される配位子の製造方法を一部説明する。
≪配位子の製造方法≫
i) 下記式(3):式(2)においてY=Y=S,Z=Nの場合
Figure 0005687210
例えば、特開昭56−87575に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノベンゾチアゾール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換ベンゾチアゾール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をフェノール等の酸触媒存在下において、150〜185℃に加熱し、反応させることによって2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を合成することができる。
ii) 下記式(4):式(2)においてY=S,Y=O,Z=Nの場合
Figure 0005687210
例えば、Synthesis 1987,368に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノフェノール(Rが存在しない場合)または2−アミノ−置換フェノール(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、塩基として水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で30分間攪拌し、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]−カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)のDMF溶液を滴下し、窒素雰囲気下で還流させることで2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾールまたは2−[2−(置換ベンゾチアゾリル)アミノ]置換ベンゾオキサゾールを合成することができる。
前記S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエートまたはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエートは、例えば、Synthesis 1982,590に記載されている方法に従って合成することができる。
すなわち、2−アミノベンゾチアゾール(Rが存在しない場合)または2−アミノ−置換ベンゾチアゾール(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をDMFに溶解させ、水浴または氷浴下でこの溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、次に二硫化炭素を滴下し、さらに水酸化ナトリウム水溶液を滴下した後、ヨウ化メチルを滴下することで、S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−(2−置換ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)を合成することができる。
iii) 下記式(5):式(2)においてY=S,Y=NH,Z=Nの場合
Figure 0005687210
例えば、Synthesis 1982,1066−1067に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、o−フェニレンジアミン(Rが存在しない場合)またはo−(置換フェニレン)ジアミン(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をDMFに溶解させ、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]−カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)のDMF溶液を滴下した後に、10〜16時間還流させることで2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾイミダゾールまたは2−[2−(置換ベンゾチアゾリルアミノ)]置換ベンゾイミダゾールを合成することができる。
iv) 下記式(6):式(2)においてY=S,Y=NH,Z=CHの場合
Figure 0005687210
例えば、J.Org.Chem.2002,67,5753−5772に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、o−フェニレンジアミン(Rが存在しない場合)またはo−(置換フェニレン)ジアミン(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)と、エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート(Rが存在しない場合)またはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)を窒素雰囲気下において160℃で6時間還流することによって(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)メタンまたは[2−(置換ベンゾチアゾリル)][2−(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンを合成することができる。
前記エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテートまたはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテートは、例えば、J.Org.Chem.2002,67,5753−5772に記載されている方法に従って合成することができる。
すなわち、エチルシアノアセテートと2−アミノ−置換チオフェノールを混合し、窒素雰囲気下において120℃で2時間反応させることで、エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテートまたはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテートを合成することができる。
v) 下記式(7):式(2)においてY=Y=O,Z=CHの場合
Figure 0005687210
例えば、US3250780に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノフェノール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換フェノール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸中に70℃に保温しながら加える。次に、この反応液を175℃まで昇温し、反応させることで、ビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]メタンを合成することができる。
vi) 下記式(8):式(2)においてY=Y=S,Z=CHの場合
Figure 0005687210
例えば、J.Org.Chem.1961,26,3434−3445に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノチオフェノール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換チオフェノール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸中に70℃に保温しながら加える。次に、この反応液を125−150℃で2時間反応させることで、ビス(2−ベンゾチアゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾチアゾリル)]メタンを合成することができる。
vii) 下記式(9):式(2)においてY=NR、Y=NR,Z=CHの場合
Figure 0005687210
例えば、Gazz.Chim.Ital.1996,126,329−337に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、(N−置換−)o−フェニレンジアミン(RおよびRが存在しない場合)または(N−置換−)[o−(置換フェニレン)]ジアミン(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸ジエチルを混合し、この混合液を窒素雰囲気下において155℃で11時間還流することで、ビス[2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル]メタンまたはビス[2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンを合成することができる。
viii) 下記式(10):式(2)においてZ=CRの場合
Figure 0005687210
例えば、Gazz.Chim.Ital.1994,124,301−308に記載されている方法に従って合成することができる。前記の通り、式(1)中のZまたはZに帰属されるCRのRとしてはアラルキル基であることが特に好ましい。ここでは、このアラルキル基が例えば4−ピリジルメチル基である場合を取り上げ、以下、合成方法を説明する。4−ピリジルメチル基以外の置換基である場合にも対応する基質(置換基に対応するアルデヒド体)を選択することで、同様の合成方法に従って合成することが可能である。
iv)で得られた(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)メタンまたは[2−(置換ベンゾチアゾリル)][2−(置換ベンゾイミダゾリル)]メタン、または
v)で得られたビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]メタン、または
vi)で得られたビス(2−ベンゾチアゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾチアゾリル)]メタン、または
vii)で得られたビス[2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル]メタンまたはビス[2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンと、
酢酸および酢酸ナトリウムを混合し、ここに4−ピリジンカルボキシアルデヒドを添加し反応させた後に、パラジウムカーボン等を用いて還元することで、
iv)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−{2−(置換ベンゾチアゾリル)}{2−(置換ベンゾイミダゾリル)}エチル]ピリジンを、
v)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(置換ベンゾオキサゾリル)}エチル]ピリジンを、
vi)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス(2−ベンゾチアゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(置換ベンゾチアゾリル)}エチル]ピリジンを、
vii)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス{2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル}エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)エチル]ピリジンを合成することができる。
ix) 式(2)においてRおよびRのそれぞれ少なくとも一つの置換基が、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基の場合
例えば、特表2007−535421に記載されている方法に従って、前記i)〜viii)の方法で得られた配位子(式(2)においてRおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし3個が置換されたものに限る)に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基を導入することができる。
ここでは、i)で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を例に取り上げ、以下、合成方法を説明する。
i)で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)をクロロスルホン酸に添加し、混合物を一晩攪拌する。さらに塩化チオニルを添加し50℃で1時間攪拌した後室温まで冷却する。混合物を氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒に一級または二級アミンと攪拌することで対応する2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を合成することができる。
≪式(1)で表される金属錯体の製造方法≫
例えば、Polyhedron 2006,25,2363−2374やJ.Org.Chem.2002,67,5753−5772等に記載されている方法に従って、前記のi) 〜ix)の製造方法に基づいて得られた配位子と、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩等の金属塩とを反応させることによって対応する金属錯体を合成することができる。すなわち、前記のi) 〜ix)の製造方法に基づいて得られた配位子と、式(1)中のMに対応する金属塩を、メタノール、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で反応させることにより合成することができる。
≪式(1)で表される少なくとも1種類の金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含む紫外線吸収部材用組成物の製造方法≫
本発明における紫外線吸収部材用組成物は、該紫外線吸収部材用組成物中において「式(1)で表される金属錯体が溶解状態にある」場合と、「式(1)で表される金属錯体の微粒子が分散状態にある」場合を示す。それぞれについて以下説明する。
(i)式(1)で表される金属錯体が分子レベルで溶解状態にある場合の紫外線吸収部材用組成物
具体的には、マトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとの相溶性が良好であり、且つ該金属錯体の溶解性が良好な溶媒を併用することで、該溶媒中にマトリックス材料および該金属錯体が溶解した、均一な紫外線吸収部材用組成物を製造することができる。
尚、マトリックス材料の代わりに、マトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーを使用する場合、前記溶媒は必ずしも必要ではなく、該重合性モノマーをマトリックス材料の前駆体、兼溶媒として使用することも可能である。
前記のマトリックス材料としては、有機系または無機系バインダーのいずれであっても使用することができる。ここで、無機系バインダーとはポリマー主鎖に炭素原子を含まないものを示す。
尚、本発明において使用する「マトリックス材料」という表現は、有機系または無機系バインダーと呼ばれるマトリックス成分(固形分)そのものだけでなく、該マトリックス成分を含む溶液(例えば、市販のバインダー溶液)も含む。前記溶媒を用いることなく、前記マトリックス成分を含む溶液に金属錯体が溶解している態様も本発明に含まれる。
有機系バインダーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂や、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体や、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等のポリスチレン系樹脂や、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体等のスチレン系共重合体や、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル系樹脂や、シリコーン系樹脂や、ポリスルホン系樹脂や、ポリアミド系樹脂や、ポリイミド系樹脂や、ポリウレタン系樹脂や、ポリカーボネート系樹脂や、エポキシ系樹脂や、フェノール系樹脂や、メラミン樹脂や、ユリア樹脂や、ポリビニル系樹脂等の熱可塑性もしくは熱硬化性合成樹脂や、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の合成ゴムもしくは天然ゴム等が挙げられる。
基材への密着性や透明性の観点から、好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリビニル系樹脂等の熱可塑性もしくは熱硬化性合成樹脂であり、より好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリビニル系樹脂である。
尚、(メタ)アクリルは、メタクリルおよびアクリルを示す。
無機系バインダーとしては、ポリシロキサン系バインダーを好適に用いることができる。この場合、ポリシロキサン系バインダー前駆体としてシリコンアルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)を好適に用いることができる。
シリコンアルコキシドのゾル溶液は、通常、有機溶媒中で酸触媒存在下、シリコンアルコキシドに水を添加し、加水分解・重縮合させることにより、調製することができるが、市販のゾル溶液を使用しても良い。以下、シリコンアルコキシドのゾル溶液の調製方法を具体的に説明する。
(シリコンアルコキシド)
シリコンアルコキシドとしては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシランや、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等の3官能アルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシランが挙げられる。
これらの中でも、得られる膜の状態や強度、経済性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランであることが好ましい。
これらのシリコンアルコキシドは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合の混合比率は所望に応じて適宜選択することができる。
また、最終的に得られるコーティング膜に所望の物性を付与するために、必要に応じて、チタンアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ニッケルアルコキシド、亜鉛アルコキシド等の金属アルコキシドを添加・併用してもよい。
例えば、反射率を高くしたい場合にはチタンアルコキシドや亜鉛アルコキシドを、また機械的強度、耐アルカリ性を高くしたい場合にはジルコニウムアルコキシドを、耐候性を向上させたい場合にはニッケルアルコキシドを添加・併用することが効果的である。
(酸触媒)
酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。加水分解・重縮合反応終了後に酸が残存すると、縮合安定性が悪化するため、低沸点で揮発性が高く、PKaの小さな蟻酸を用いることが好ましい。
酸触媒の添加量としては、十分な触媒作用を発揮する限り、特に限定されるものではないが、通常シリコンアルコキシド1モルに対して0.01モル以上、より好ましくは0.3モル以上を配合することが好ましい。0.01モル未満では十分な触媒作用が得られないおそれがあり、また過剰に添加した場合には、最終的に得られるシリコンアルコキシドのゾル溶液が、残存する酸により経時的に劣化するおそれがある。よって、シリコンアルコキシド1モルに対して1モル以下の割合で配合することが好ましい。
(水)
上記シリコンアルコキシドの加水分解を引き起こし得る限り、特に限定されないが、シリコンアルコキシド1モルに対し、2〜6モルの割合で水を添加することが好ましい。2モル未満では十分に加水分解が進行しないおそれがあり、6モルを超えると加水分解が速く進行しすぎてしまい、続く重縮合反応の進行を妨げることに加え、反応後に除去する水の量が多くなり効率的でない。
(反応溶媒)
シリコンアルコキシド、水、酸触媒に加えて反応溶媒を使用することにより、加水分解速度を適度に低め、確実に加水分解・重縮合を進行させることができる。さらに、最終的に得られるシリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)の粘度をハンドリングしやすいレベルにまで調整するための希釈剤としての役割も兼ねる。
反応溶媒としては、前記シリコンアルコキシドが溶解するものであれば特に限定されることなく、適宜選択し使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類や、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸−n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン等の炭化水素類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
反応性や経済性の観点から、好ましくは、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸−n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類等である。
後工程において、該シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)に式(1)で表される金属錯体を溶解・混合する場合には、あらかじめ該金属錯体の溶解性が良好な溶媒を本工程における反応溶媒として使用することで、該金属錯体を溶解混合する際の労力を軽減することができる。
ただし、該金属錯体の貧溶媒を用いて本工程におけるシリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)を調製した場合であっても、該金属錯体を溶解・混合する前に該シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)の溶媒を該金属錯体の良溶媒に置換する、あるいは該シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)に該金属錯体の良溶媒を添加することによって、溶解・混合することも可能である。
前記反応溶媒の使用量は、シリコンアルコキシド100重量部に対し、50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部の範囲とすることが望ましい。50重量部未満では、加水分解・重縮合反応を適度な反応速度で進行させることが困難になるおそれがあり、1000重量部を超えると、加水分解・重縮合反応の速度が低下するため効率的でないことに加えて、後述の減圧・留去工程に長時間を必要とするおそれがある。
まず、1種類または2種類以上のシリコンアルコキシドを、酸触媒、水及び溶媒と混合する。この溶液を0〜150℃、好ましくは50〜100℃ の温度に維持することにより、加水分解・重縮合反応を進行させる。0℃未満では、加水分解・重縮合反応が進行しにくくなるおそれがある。また150℃を超えると加水分解・重縮合反応が急速に進行するため、未反応のアルコキシ基が残存したり、ゲル化や着色を招くおそれがある。加水分解・重縮合反応の時間は、温度条件にもよるが、通常1〜24時間、より好ましくは2〜8時間である。1時間未満では、十分に加水分解・重縮合反応が進行しないおそれがあり、24時間を超えてもそれ以上反応が進まないことから経済的でない。
加水分解・重縮合反応により副生するアルコールと水を系外に除去するために、反応終了後、あるいは反応中に、反応液を減圧留去することが好ましい。減圧留去しながら反応を進行させれば、重縮合反応の反応速度を向上させる効果も見込めるためより好ましい。この工程において、前記酸触媒として蟻酸等の低沸点で揮発性の高い触媒を用いれば、溶媒とともに酸触媒も系外に除去でき、反応終了後のゾル溶液の安定性を確保することができる。
このようにして加水分解・重縮合反応の進行により、無機系バインダー:ポリシロキサン系バインダー前駆体としての、シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)を得ることができる。
これらのマトリックス材料は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。組み合わせて使用する場合、有機系バインダーから選ばれる異なる2種類以上を組み合わせてもよいし、無機系バインダーから選ばれる異なる2種類以上を組み合わせてもよいし、有機系バインダーと無機系バインダーのそれぞれから選ばれる異なる2種類以上を組み合わせてもよい。
前記の、マトリックス材料および/またはマトリックスの材料の前駆体としての重合性モノマーとの相溶性が良好であり、且つ該金属錯体の溶解性が良好な溶媒としては、用いるマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマー、および該金属錯体の種類に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2 − ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン等の炭化水素類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
これらの中で、該金属錯体の溶解性の観点からより好ましいものを挙げると、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2 − ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等である。
さらに好ましくは、アルコール類としてはテトラフルオロプロパノール等が、ハロゲン化炭化水素類としてはクロロホルム、ジクロロメタン等が、ケトン類としてはMEK、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が、エステル類としてはγ−ブチロラクトン、乳酸エチル等が、エーテル類としてはシクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が、芳香族類としてはトルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンが、ラクタム類としては2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等が、グリコールエーテル類としてはPGMEA等が、その他スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
また、前記の重合性モノマーは、マトリックス材料の前駆体としても使用できるし、前記溶媒としても使用することができる。重合性モノマーとしては、例えば、有機系重合性モノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、(メタ)アクリル酸や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシブチル(メタ)アクリレート、3−エトキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、メチル−α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルや、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシドおよびビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル等の脂環式エポキシ化合物や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブロモ化ビスフェノールA、ビフェノール、レゾルシン等をグリシジルエーテル化した化合物や、トリメチレンオキシド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−[{(3−エチルオキセタニル)メトキシ}メチル]オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼン、トリ[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル]エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサン等のオキセタン化合物等が挙げられる。
また、無機系重合性モノマーとして、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシランや、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等の3官能アルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシランや、チタンアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ニッケルアルコキシド、亜鉛アルコキシド等の金属アルコキシド等を使用することができる。
ここで、無機系重合性モノマーとは、重合反応により形成されるポリマー主鎖に炭素原子を含まないものを示す。
これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせた混合溶媒を使用する場合の混合比率は適宜選択することができる。
前記溶媒の使用量は、所望する紫外線吸収部材用組成物中の該金属錯体の濃度や、使用する溶媒の種類、使用するマトリックス材料の前駆体の溶解度等を考慮した上で適宜調整することができ、特に限定されるものではないが、該金属錯体の溶解性の観点から言えば、通常該金属錯体100重量部に対して50〜100000重量部、好ましくは100〜5000重量部、より好ましくは200〜3000重量部である。50重量部より少ないと、該金属錯体が完全に溶解しないおそれがあり、最終的に得られる紫外線吸収部材の可視光透過率の低下を招くおそれがある。また100000重量部よりも多いと、紫外線吸収部材用組成物中の該金属錯体濃度が低下し、最終的に得られる紫外線吸収部材に十分な紫外線吸収能を付与できない可能性がある。
該金属錯体と、マトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを溶媒中に溶解させる際には、事前にマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを溶媒中に溶解させておき、ここに該金属錯体を添加し溶解させてもよいし、事前に該金属錯体を溶媒に溶解させ、この溶液とマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーを混合し溶解させてもよいし、あるいは該金属錯体とマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーを同時に溶媒と混合し溶解させてもよい。
尚、重合性モノマーを、マトリックス材料の前駆体、兼溶媒として使用する場合であっても、同様の手順で混合・溶解させることが可能である。
ここで、用いるマトリックス材料が、マトリックス成分が溶解している溶液であり、且つ該溶液の溶媒が該金属錯体の良溶媒である場合には、該金属錯体とマトリックス材料(マトリックス成分が溶解している溶液)を混合するだけでもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の光吸収剤を併用することも可能である。
併用することのできる光吸収剤としては特に限定されるものではないが、例えば、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ベンズイミダゾロン系、キノン系、アントアントロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゼンジチオール金属錯体系、ジチオレン金属錯体系、アゾ金属系、金属フタロシアニン系、金属ナフタロシアニン系、ポルフィリン金属錯体系等の金属錯体系色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、サリチル酸フェニルエステル系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミド系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤等が挙げられる。経済性や光吸収性能の観点から、好ましくは、フタロシアニン系、キノン系、ペリレン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤である。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化剤、硬化触媒、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フィラー、着色剤、光触媒材料、防錆剤、撥水剤、導電性材料、アンチブロッキング材、軟化剤、離型剤、蛍光増白剤等を適宜添加してもよい。
また、重合性モノマーを用いる場合において、後述の紫外線吸収部材を作製する際に重合工程を設ける場合には、別途重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤としては特に限定されるものではなく、使用する重合性モノマーの種類に応じて適宜選択することができる。また、その使用量は、重合性モノマーおよび重合開始剤の活性に応じて適宜選択することができる。
熱硬化の場合に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサノン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物や、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキシド類や、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド等を挙げることができる。
光硬化の場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4’−メチルチオ−2,2−ジメチル−2−モルホリノアセトフェノン、ベンゾインイソブチルエーテル、2−クロロチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
熱硬化の場合に使用されるカチオン重合開始剤としては、例えば、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛等のルイス酸類や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩等を挙げることができる。
光硬化の場合に使用されるカチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩等を挙げることができる。
硬化剤としては、上記重合性モノマーとしてエポキシ系モノマーを使用する際に使用されるものとして、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物や、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジンなどの脂肪族アミンや、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4-ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンや、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類や、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛等のルイス酸類や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩や、ポリメルカプタン、ポリサルファイドなどを挙げることができる。
中でも、酸無水物類が重合後のエポキシ樹脂の機械特性を向上する点で好ましく、操作性において常温で液状のものが好ましい。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
常温で固体の酸無水物、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物を使用する場合には、常温で液状の酸無水物に溶解させ、常温で液状の混合物として使用することが操作上好ましい。
エポキシ系モノマーの上記硬化反応を促進するために、さらに硬化促進剤を使用することもできる。硬化促進剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。 例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−7とそのオクチル酸塩などの第三級アミン類やイミダゾール類及び/ 又はそれらの有機カルボン酸塩や、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウム臭素塩、ベンジルトリブチルホスホニウム臭素塩などのホスフィン類及び/ 又はそれらの第四級塩や、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫などの有機カルボン酸金属塩や、亜鉛とβ−ジケトンよりなるアセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレートなどの金属−有機キレート化合物や、芳香族スルホニウム塩などが挙げられる。
(ii)該金属錯体の微粒子が分散状態にある場合の紫外線吸収部材用組成物
具体的には、該金属錯体の溶解性が十分低く、且つマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとの相溶性が良好な分散媒を用いることで、マトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーが溶解した分散媒中に該金属錯体の微粒子が分散されている紫外線吸収部材用組成物を製造することができる。
尚、マトリックス材料の代わりに、マトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーのみを使用する場合、前記分散媒は必ずしも必要ではなく、該重合性モノマーをマトリックス材料の前駆体、兼分散媒として使用することも可能である。
また、用いるマトリックス材料が、マトリックス成分が溶解している溶液であり、且つ該溶液の溶媒が該金属錯体の溶解性が十分に低いものである場合には、必ずしも前記の分散媒を併用する必要はなく、マトリックス材料(マトリックス成分が溶解している溶液)に該金属錯体の微粒子を直接分散させることも可能である。
あらかじめ、適当な分散媒中に該金属錯体を分散させ、該金属錯体微粒子の分散液を調製し、この分散液中にマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーを溶解させてもよいし、あらかじめマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーを適当な分散媒中に溶解させ、ここに該金属錯体を分散させてもよい。
尚、重合性モノマーを、マトリックス材料の前駆体、兼分散媒として使用する場合であっても、同様の手順で混合・分散させることが可能である。
前記のマトリックス材料としては、有機系または無機系バインダーのいずれであっても使用することができ、前記の「(i)式(1)で表される金属錯体が分子レベルで溶解状態にある場合の紫外線吸収部材用組成物」の項で述べたものと同範囲内から適宜選択し、使用することができる。
前記の、該金属錯体の溶解性が十分低く、且つマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとの相溶性が良好な分散媒としては、用いるマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマー、および該金属錯体の種類に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、水や、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類や、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン等の炭化水素類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
用いる該金属錯体、ならびにマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーの種類に応じて好ましい分散媒は異なるが、経済性や分散性、分散液の安定性の観点から、水、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ε−カプロラクタム、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PGMEA、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることが好ましく、より好ましくは、水、メタノール、エタノール、IPA、PGMEA、エチレングリコール、トルエン、キシレン、シクロへキサン、n−ヘプタンである。
また、前記の重合性モノマーは、マトリックス材料の前駆体としても使用できるし、前記分散媒としても使用することができる。重合性モノマーとしては、例えば、有機系重合性モノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、(メタ)アクリル酸や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシブチル(メタ)アクリレート、3−エトキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、メチル−α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルや、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシドおよびビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル等の脂環式エポキシ化合物や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブロモ化ビスフェノールA、ビフェノール、レゾルシン等をグリシジルエーテル化した化合物や、トリメチレンオキシド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−[{(3−エチルオキセタニル)メトキシ}メチル]オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼン、トリ[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル]エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサン等のオキセタン化合物等が挙げられる。
無機系重合性モノマーとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシランや、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン等の3官能アルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシランや、チタンアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ニッケルアルコキシド、亜鉛アルコキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
ここで、無機系重合性モノマーとは、重合反応により形成されるポリマー主鎖に炭素原子を含まないものを示す。
これらの分散媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせた混合分散媒を使用する場合の混合比率は適宜選択することができる。
使用する分散媒が、該金属錯体の溶解性が十分低いものでなければ、該金属錯体の微粒化が阻害され、安定な分散液が得られない。この理由は、詳らかではないが、おそらく以下に述べる機構によるものと考えられる。
該金属錯体の微粒子の分散安定化は、粉砕・分散過程において生成した該金属錯体の微粒子表面に、後述の分散剤が吸着し、その吸着した分散剤同士の静電反発、立体反発により微粒子同士の再凝集が抑制され、安定な分散状態がもたらされる。しかしこの分散系に該金属錯体の良溶媒が存在すると、該金属錯体の微粒子に対する「分散剤の吸着作用」と「溶媒の溶解作用」の二つの作用が競争し、溶媒の溶解作用により分散剤の吸着が一部妨げられ、結果として微粒化が阻害され、分散安定性も低下してしまう。
前記分散媒の使用量は、所望する紫外線吸収部材用組成物中の該金属錯体の濃度や、使用するマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーの溶解度等を考慮した上で適宜調整することができ、特に限定されるものではないが、該金属錯体の分散性の観点から言えば、通常該金属錯体100重量部に対して40〜9900重量部、好ましくは100〜1900重量部である。40重量部より少ないと、該金属錯体微粒子の分散安定性が低下するおそれがある。また9900重量部よりも多いと、固形分濃度が低下するため十分な剪断力を与えることができず、該金属錯体を微粒化するためにかかる時間が長くなり効率が低下するおそれがある。
前記金属錯体微粒子の紫外線吸収部材用組成物中の平均粒子径は、10nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上150nm以下、より好ましくは10nm以上120nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下である。平均粒子径が200nmよりも大きいと、可視光透過率が著しく低下し、また最終的に得られるコーティング膜の機械的強度が低下するおそれがある。さらに粒子径が200nmよりも大きい場合、粒子の表面積の低下により、添加量に見合う紫外線吸収能が得られず、コスト面で不利である。また、平均粒子径が10nm以下の場合には、溶解状態に近くなり可視透過率は向上するが、耐光性が低下し、分散系で使用するメリットが損なわれるおそれがある。
(分散機)
前記金属錯体を微粒化するにあたって使用できる分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、ナノミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル等のメディア型分散機や、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等のメディアレス型分散機が挙げられる。
中でも、コスト、処理能力の面から、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、これらのうちの一つを単独で用いても良く、2種類以上の装置を組み合わせて使用しても良い。
(分散メディア)
分散メディアとしては、用いる分散機の分散室内部の材質に応じて、ステンレス鋼、スチール等の鋼球ビーズや、アルミナ、ステアタイト、ジルコニア、ジルコン、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックスビーズや、ソーダガラス、ハイビー等のガラスビーズや、WC等の超硬ビーズ等の中から適宜選択し使用することができ、そのビーズ径は0.03〜1.5mmφの範囲が好ましい。
該金属錯体を微粒化し、分散させるための本分散工程においては、該金属錯体と分散メディアの衝突により、該金属錯体に十分な剪断力を負荷し、粉砕・分散させることで微粒化する。ここで、該金属錯体と分散メディアの衝突エネルギーにより、分散液の液温が上昇するため、公知の冷却装置により、分散液を冷却しながら分散を実施するのが好ましい。冷却温度は特に限定されるものではないが、通常−50〜120℃、好ましくは−30〜80℃、さらに好ましくは−20〜60℃である。
(分散剤)
分散剤は、該金属錯体を分散媒中に安定に分散させるために、必要に応じて配合される。分散剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等のカチオン性分散剤や、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン性分散剤や、アルキルベタインやアミドベタイン等の両性分散剤や、ノニオン性分散剤や、フッ素系分散剤や、シリコン系分散剤や、高分子系分散剤等を使用することができる。中でも、次に例示するようなノニオン性分散剤や高分子系分散剤が特に好ましい。
ノニオン性分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類や、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類や、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類や、ソルビタン脂肪酸エステル類が好ましく用いられる。分散性や経済性の観点から、より好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類である。
高分子系分散剤としては、例えばポリウレタン、ポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が好ましく用いられる。
これらの分散剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤による分散は主に、微粒子表面に吸着した分散剤が微粒子に電気的な反発力を与えることによってもたらされる「静電反発」と、微粒子表面に吸着した分散剤同士の「立体反発」の2種類の作用により、分散安定化を図るものである。一般的に静電反発による分散効果は、水系での分散には有利であるが、誘電率の低い有機溶剤系においては不利とされている。また、立体反発による分散効果は、微粒子表面と分散剤との相互作用が不十分である場合には、分散剤が微粒子表面から容易に外れてしまい、安定化効果が損なわれ再凝集してしまう。
前記分散剤の使用量は、通常該金属錯体100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部である。5重量部未満の場合、分散効率が低下する傾向が見られ、100重量部を超えて添加した場合には添加量に見合う分散効果が得られず、経済的でない。
以上の方法で該金属錯体の微粒子が分散された紫外線吸収部材用組成物を得た後に、所望する濃度に希釈してもよい。
希釈溶媒は特に限定されず、適宜選択し使用することができるが、希釈時における該金属錯体微粒子の再凝集を抑制するために、前記の分散工程で用いた分散媒を使用することが好ましい。前記分散工程において、分散媒を2種類以上組み合わせて用いた場合には、同一の組成比率の混合溶媒を用いることが好ましい。
希釈方法としては、該金属錯体の微粒子分散液を攪拌しながら、希釈溶媒を添加する方法が好ましい。希釈溶媒中に前記の該金属錯体の微粒子が分散された紫外線吸収部材用組成物を添加すると、該金属錯体の微粒子が再凝集するおそれがある。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の光吸収剤を該金属錯体と混合し、併用することも可能である。
併用することのできる光吸収剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、有機系光吸収剤としては、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ベンズイミダゾロン系、キノン系、アントアントロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゼンジチオール金属錯体系、ジチオレン金属錯体系、アゾ金属系、金属フタロシアニン系、金属ナフタロシアニン系、ポルフィリン金属錯体系等の金属錯体系色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、サリチル酸フェニルエステル系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミド系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤等が挙げられる。経済性や光吸収性能の観点から、好ましくは、フタロシアニン系、キノン系、ペリレン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤である。
また、無機系光吸収剤としては、六ホウ化物、酸化タングステン、複合酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化ガリウム、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タリウム、酸化ニッケル、酸化ネオジム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化プラセオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミニウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等の金属酸化物や、ITO(インジウム−錫複合酸化物)、ATO(アンチモン−錫複合酸化物)等の複合金属酸化物や、窒化チタン、窒化クロム酸等の金属窒化物等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化剤、硬化触媒、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フィラー、着色剤、光触媒材料、防錆剤、撥水剤、導電性材料、アンチブロッキング材、軟化剤、離型剤、蛍光増白剤等を適宜添加してもよい。
また、重合性モノマーを用いる場合において、後述の紫外線吸収部材を作製する際に重合工程を設ける場合には、別途重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤としては特に限定されるものではなく、使用する重合性モノマーの種類に応じて適宜選択することができる。また、その使用量は、重合性モノマーおよび重合開始剤の活性に応じて適宜選択することができる。
熱硬化の場合に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサノン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物や、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキシド類や、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド等を挙げることができる。
光硬化の場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4’−メチルチオ−2,2−ジメチル−2−モルホリノアセトフェノン、ベンゾインイソブチルエーテル、2−クロロチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
熱硬化の場合に使用されるカチオン重合開始剤としては、例えば、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛等のルイス酸類や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩等を挙げることができる。
光硬化の場合に使用されるカチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩等を挙げることができる。
硬化剤としては、上記重合性モノマーとしてエポキシ系モノマーを使用する際に使用されるものとして、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物や、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ピペリジン、N,N−ジメチルピペラジンなどの脂肪族アミンや、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4-ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンや、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類や、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛等のルイス酸類や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩や、ポリメルカプタン、ポリサルファイドなどを挙げることができる。
中でも、酸無水物類が重合後のエポキシ樹脂の機械特性を向上する点で好ましく、操作性において常温で液状のものが好ましい。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
常温で固体の酸無水物、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物を使用する場合には、常温で液状の酸無水物に溶解させ、常温で液状の混合物として使用することが操作上好ましい。
エポキシ系モノマーの上記硬化反応を促進するために、さらに硬化促進剤を使用することもできる。硬化促進剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。 例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−7とそのオクチル酸塩などの第三級アミン類やイミダゾール類及び/ 又はそれらの有機カルボン酸塩や、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウム臭素塩、ベンジルトリブチルホスホニウム臭素塩などのホスフィン類及び/ 又はそれらの第四級塩や、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫などの有機カルボン酸金属塩や、亜鉛とβ−ジケトンよりなるアセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレートなどの金属−有機キレート化合物や、芳香族スルホニウム塩などが挙げられる。
また、該金属錯体の微粒子分散液を、加熱により溶融させる等して流動性をもたせたマトリックス材料中に加え、練り込む方法を採用してもよい。
《紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材》
かくして得られた紫外線吸収部材用組成物を用いて紫外線吸収部材を作製することができる。本発明における紫外線吸収部材は主に以下の2種類の形態を示す。
(I)基材上に該金属錯体を含有するマトリックス材料の膜(以下、マトリックス膜という)を有する積層体としての紫外線吸収部材
前記で得られた紫外線吸収部材用組成物を基材に塗布し、乾燥および/または硬化することにより、基材上に該金属錯体を含有するマトリックス膜を有する積層体としての紫外線吸収部材を作製することができる。
前記紫外線吸収部材用組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えばディップコート法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、バーコート法、スプレー法、リバースコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
基材は、所望によりフィルムでもボードでも良く、形状は限定されない。材質についても特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、ガラス、金属板、セラミックス等の無機系基材や、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の有機系基材が挙げられる。中でも、透明性の観点から、ガラス、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が好ましい。
また、層間剥離、コートムラを防ぐ目的で、塗布前に基材表面を洗浄してもよい。洗浄方法としては特に限定されず、基材の種類に応じて適宜選択し、実施することができる。通常、超音波洗浄、UV洗浄、セリ粉洗浄、酸洗浄、アルカリ洗浄、界面活性剤洗浄、有機溶剤洗浄等を単独で、または組み合わせて実施することができる。洗浄終了後は、洗浄剤が残留しないように濯ぎ及び乾燥を行う。
塗布により形成されるマトリックス材料のコーティング被膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜調整することができるが、通常0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜100μmである。0.1μm未満では、十分な紫外線吸収能が得られないおそれがあり、500μmを超えると、乾燥時に溶媒や分散媒等が膜内部から蒸発し、膜表面に凹凸が生じたり、クラックを生じる可能性がある。
乾燥温度、乾燥時間は、用いる溶媒や分散媒の種類によって適宜設定することができる。
乾燥後、マトリックス膜の機械的強度等の物性を目的に見合うようにコントロールするため、養生工程や焼成工程を設けてもよい。
例えば、マトリックス材料としてポリシロキサン系バインダーを用いた場合、前記乾燥工程の後に100〜800℃、好ましくは130〜400℃での焼成工程を設けることによって膜自体の機械的強度を向上させることができる。
すなわち、前記乾燥工程において、ゾル(シロキサンオリゴマー)同士が重縮合反応を起こすことでシロキサンネットワークを拡大し、ゲル体の骨格構造を形成する。このゲル体を焼成することでさらにシロキサンネットワークが拡大する。このシロキサンネットワーク(ポリシロキサンの分子量)の大きさにより、得られるマトリックス膜の機械的強度をコントロールすることができる。
100℃より低温では、機械的強度が十分向上しないおそれがあり、800℃より高温では、マトリックス膜中に含有される該金属錯体が熱分解してしまうおそれがある。
焼成時間は、所望のマトリックス膜の物性に応じて適宜調整可能であるが、通常、10分間〜5時間、好ましくは30分間〜3時間である。10分間より短いと機械的強度が十分向上しないおそれがあり、5時間より長いと、時間に見合う効果が得られず経済的でない。
また、重合処理を設ける場合、加熱処理やUV照射等の処理を設けることができる。加熱条件やUV照射条件は、使用する重合開始剤や重合性モノマーの種類に応じて適宜選択することができる。
なお、後述の剥離性基材を用い、この上にコーティングを施した後、所望の別基材に該コーティング層を転写して得られた積層体も(I)の形態に含まれる。別基材としては前記の基材が例示される。
具体的な方法としては、例えば、紫外線吸収部材用組成物を剥離性基材(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布し乾燥させた後、ラミネーター等を用いて別基材(例えばガラス基材)と貼り合わせ、その後剥離性基材を剥離することで、別基材上に該金属錯体を含有するマトリックス膜を有する積層体としての紫外線吸収部材を作製することができる。この場合にも、必要に応じて前記重合処理を設けてもよい。
例えば、所望の基材上に異なる成分からなるマトリックス膜を多層化させた積層体を作製する場合に、このような転写法を用いることができる。すなわち、前記のように基材上に直接紫外線吸収部材用組成物を塗布し、コーティング層を形成する方法で多層膜を形成しようとする場合、例えば、n+1層目(nは自然数を表す)を形成する際に使用する紫外線吸収部材用組成物は、n層目の構成成分が溶解したり膨潤したりしないものでなければならず、n+1層目を構成する紫外線吸収部材用組成物の構成成分が制限されてしまうが、かかる転写法を用いることにより、これらの制限を回避することができる。
(II)該金属錯体がマトリックス膜中に含有された薄膜形態の紫外線吸収部材
前記で得られた紫外線吸収部材用組成物を、剥離性基材上に塗布し、乾燥または硬化した後に、剥離性基材から該コーティング膜を剥離することによって得られる、該金属錯体がマトリックス膜中に含有された薄膜形態の紫外線吸収部材を作製することができる。
紫外線吸収部材用組成物を剥離性基材に塗布する方法としては、特に限定されず、例えばディップコート法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、グラビアコート法。フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、バーコート法、スプレー法、リバースコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
剥離性基材は、所望によりフィルムでもボードでも良く、形状は限定されない。剥離性基材は、基材を構成する素材が剥離性を有するものであれば基材単独でもよいし、基材を構成する素材が剥離性を有しない場合、または剥離性が乏しい場合には基材に剥離性層を積層したものであってもよい。前者の基材を構成する素材が剥離性を有するものである場合には、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂等を用いることができる。
後者の、基材に剥離性層を積層したものである場合、基材としては前記(I)で例示したような基材を用いることができる。これら基材の表面に基材とは接着性を有し、紫外線吸収部材用組成物から作製される該金属錯体を含有する薄膜層に対しては剥離性を有する剥離性層を積層したものを使用することができる。
剥離性層は、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、剥離性物質をバインダー樹脂中に溶解または分散させたもの等で構成される。
剥離性物質としては、特に制限されるものではなく、例えば、長鎖アルキル化合物、カルナバワックスやモンタンワックスや酸化ポリエチレンや非酸化ポリエチレン等の合成ワックス等が挙げられる。
これらから選択される少なくとも1種以上を溶媒(分散媒)中に溶解、分散、希釈し、得られた組成物を基材上に公知の方法で塗布または印刷した後、乾燥または硬化することによって基材上に剥離性層を形成することができる。剥離性層の膜厚は、0.5μm〜10μm程度であることが好ましい。
紫外線吸収部材用組成物を剥離性基材上に塗布することによって形成される該金属錯体がマトリックス膜中に含有された薄膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜調整することができるが、通常0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜100μmである。0.1μm未満では、十分な紫外線吸収能が得られないおそれがあり、500μmを超えると、乾燥時に溶媒や分散媒等が膜内部から蒸発し、膜表面に凹凸が生じたり、クラックを生じる可能性がある。
乾燥温度、乾燥時間は、用いる溶媒や分散媒等の種類によって適宜設定することができる。
乾燥後、該金属錯体を含有する薄膜の機械的強度等の物性を目的に見合うようにコントロールするため、養生工程や焼成工程を設けてもよい。
例えば、マトリックス材料としてポリシロキサン系バインダーを用いた場合、前記乾燥工程の後に100〜800℃、好ましくは130〜400℃での焼成工程を設けることによって膜自体の機械的強度を向上させることができる。
すなわち、前記乾燥工程において、ゾル(シロキサンオリゴマー)同士が重縮合反応を起こすことでシロキサンネットワークを拡大し、ゲル体の骨格構造を形成する。このゲル体を焼成することでさらにシロキサンネットワークが拡大する。このシロキサンネットワーク(ポリシロキサンの分子量)の大きさにより、得られるマトリックス膜の機械的強度をコントロールすることができる。
100℃より低温では、機械的強度が十分向上しないおそれがあり、800℃より高温では、マトリックス膜中に含有された該金属錯体が熱分解してしまうおそれがある。
焼成時間は、所望の薄膜の物性に応じて適宜調整可能であるが、通常、10分間〜5時間、好ましくは30分間〜3時間である。10分間より短いと機械的強度が十分向上しないおそれがあり、5時間より長いと、時間に見合う効果が得られず経済的でない。
また、重合処理を設ける場合、加熱処理やUV照射等の処理を設けることができる。加熱条件やUV照射条件は、使用する重合開始剤や重合性モノマーの種類に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
フェノール18.8g(0.2モル)を50℃まで加熱し溶融させ、ここに2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)を加えた後、さらに180℃まで加熱し、20時間保温した。その後、反応液を80℃まで冷却し、エタノール60gを滴下し、さらに1時間保温した。その後、室温まで冷却し、析出物を濾別し、エタノールで洗浄後、乾燥し、配位子として白色の2,2’−イミノビスベンゾチアゾール(L1:下記表1参照)32.1gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールに対して75.5%であった。
製造例2
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−5,6−ジメチルベンゾチアゾール53.5g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(5,6−ジメチルベンゾチアゾール)(L2:下記表1参照)42.1gを得た。収率は2−アミノ−5,6−ジメチルベンゾチアゾールに対して82.7%であった。
製造例3
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−6−クロロベンゾチアゾール55.4g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(6−クロロベンゾチアゾール)(L3:下記表1参照)37.2gを得た。収率は2−アミノ−6−クロロベンゾチアゾールに対して70.4%であった。
製造例4
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール54.1g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(6−メトキシベンゾチアゾール)(L4:下記表1参照)41.7gを得た。収率は2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールに対して81.0%であった。
製造例5
2−アミノベンゾチアゾール90.1g(0.60モル)をDMF566gに溶解させ、氷浴下で20モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液36mL(水酸化ナトリウム0.72モル相当)を滴下し、次いで二硫化炭素91.4g(1.2モル)を滴下し、さらに20モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液36mL(水酸化ナトリウム0.72モル相当)を滴下した後に、ヨウ化メチル178.8g(1.26モル)を滴下した。室温で2時間攪拌した後に、この反応液を水3000gの中に滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート107.2gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールに対して70.2%であった。
2−アミノフェノール21.8g(0.20モル)をDMF944gに溶解させ、ここに5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液40mL(水酸化ナトリウム0.20モル相当)を加え、室温で30分間攪拌し、次いでここに前記の得られたS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)をDMF1416gに溶解させた溶液を滴下した。次いで153℃まで昇温し、窒素雰囲気下で6時間還流させた後、室温まで冷却し、この反応液を水2000g中に滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾール(L5:下記表1参照)30.0gを得た。収率は2−アミノフェノールに対して56.1%であった。
製造例6
製造例5において2−アミノベンゾチアゾール90.1g(0.60モル)に代えて、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール98.5g(0.60モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、S,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエート114.2gを得た。収率は2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾールに対して70.9%であった。
製造例5においてS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)に代えて、ここで得られたS,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエート53.7g(0.20モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、2−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)アミノ]ベンゾオキサゾール(L6:下記表1参照)29.4gを得た。収率はS,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエートに対して52.3%であった。
製造例7
製造例5において2−アミノフェノール21.8g(0.20モル)に代えて、2−アミノ−4−クロロフェノール28.7g(0.20モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、5−クロロ−2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾール(L7:下記表1参照)32.4gを得た。収率は2−アミノ−4−クロロフェノールに対して53.7%であった。
製造例8
o−フェニレンジアミン21.6g(0.2モル)をDMF944gに溶解させ、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)をDMF1258gに溶解させた溶液を滴下した。次いで153℃まで昇温し、窒素雰囲気下で13時間還流させた後、0℃まで冷却した。ここに水2000gを滴下し、析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾイミダゾール(L8:下記表1参照)32.0gを得た。収率はo−フェニレンジアミンに対して60.1%であった。
製造例9
エチルシアノアセテート101.8g(0.90モル)と2−アミノチオフェノール112.7g(0.90モル)を混合し、窒素雰囲気下において120℃で2時間保温した。この反応液を室温まで冷却した後、黄色のオイルとしてエチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート185.7gを得た。収率は2−アミノチオフェノールに対して93.2%であった。
N−メチル−o−フェニレンジアミン73.3g(0.60モル)と、前で得られたエチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート132.8g(0.60モル)を混合し、窒素雰囲気下において160℃で6時間還流した。このとき副生するエタノールを留去しながら還流した。反応液を室温まで冷却し、ジエチルエーテル900gを加え、析出した黄色の固体を濾別した。濾別した黄色固体に20%塩酸1500gを加え溶解させた。ここに活性炭を加え、室温で30分間攪拌後、濾過し、得られた濾液がpH=8になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し中和したところ、沈殿物が得られた。これを濾別し、水600g、クロロホルム600gを加え、攪拌し、分液処理によりクロロホルム層を取り出した。クロロホルムを留去し、さらに乾燥することで、微黄色の(2−ベンゾチアゾリル)(2−(N−メチルベンゾイミダゾリル)メタン(L9:下記表1参照)36.9gを得た。収率はN−メチル−o−フェニレンジアミンに対して22.0%であった。
製造例10
2−アミノフェノール32.7g(0.30モル)とマロン酸15.6g(0.15モル)を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸390g中に70℃に保温しながら加える。次にこの反応液を150℃まで昇温し、3時間保温した後、室温まで冷却した後に水を滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、ビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタン(L10:下記表1参照)25.3gを得た。収率は2−アミノフェノールに対して67.4%であった。
製造例11
製造例10において2−アミノフェノール32.7g(0.30モル)に代えて、2−アミノチオフェノール37.6g(0.30モル)を用いた以外は製造例10と同様にして、ビス(2−ベンゾチアゾリル)メタン(L11:下記表1参照)38.2gを得た。収率は2−アミノチオフェノールに対して90.2%であった。
製造例12
N−メチル−o−フェニレンジアミン110.0g(0.90モル)とマロン酸ジエチル72.1g(0.45モル)を混合し、この混合液を窒素雰囲気下において155℃で11時間還流した。析出物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄後、20%塩酸900mLを加え溶解させた。ここに活性炭を加え、室温で30分間攪拌後、濾過し、得られた濾液がpH=8になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下したところ、沈殿を生じた。これを濾別し灰色固体を得た。この灰色固体をIPAから再結晶することにより精製し、乾燥することで、白色のビス[2−(N−メチルベンゾイミダゾリル)]メタン(L12:下記表1参照)38.1gを得た。収率はN−メチル−o−フェニレンジアミンに対して30.6%であった。
製造例13
製造例1で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾール(L1:下記表1参照)10g(0.035モル)をクロロスルホン酸70.1g(0.602モル)に添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。さらに塩化チオニル10g(0.084モル)を添加し50℃で1時間攪拌した後室温まで冷却した。この混合物を400gの氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒にジイソブチルアミン13.1g(0.101モル)と即座に攪拌した。室温まで暖めた後、約1mLの50重量%の水酸化ナトリウム溶液によって混合物をアルカリ性にした。固体を吸引ろ過し、水で洗浄後、乾燥することで薄黄色の2,2’−イミノビス[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾール](L13:下記表1参照)18.6gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して80.0%であった。
製造例14
製造例13においてジイソブチルアミン13.1g(0.101モル)に代えて、モルホリン8.8g(0.101モル)を用いた以外は製造例13と同様にして、2,2’−イミノビス(6−モルホリノスルホニルベンゾチアゾール)(L14:下記表1参照)15.4gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して75.5%であった。
得られた各配位子の構造式を表1に示す。
Figure 0005687210
Figure 0005687210
製造例15
製造例1で得られた配位子(L1)28.3g(0.1モル)を温メタノール2250g(60℃)に溶解させ、ここに酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)を温メタノール400gに溶解させた溶液を滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、橙色のコバルト錯体(C1−Co)28.5gを得た。収率は配位子(L1)に対して91.4%であった。
製造例16
製造例15において酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)に代えて、酢酸ニッケル・4水和物12.4g(0.05モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C1−Ni)23.5gを得た。収率は配位子(L1)に対して75.4%であった。
製造例17
製造例15において酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)に代えて、酢酸銅・1水和物10.0g(0.05モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、灰緑色の銅錯体(C1−Cu)24.8gを得た。収率は配位子(L1)に対して78.9%であった。
製造例18
製造例15において酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)に代えて、酢酸亜鉛・2水和物11.0g(0.05モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、白色の亜鉛錯体(C1−Zn)28.4gを得た。収率は配位子(L1)に対して90.1%であった。
製造例19
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L2)33.9g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、橙色のコバルト錯体(C2−Co)32.3gを得た。収率は配位子(L2)に対して87.8%であった。
製造例20
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L3)35.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C3−Ni)28.0gを得た。収率は配位子(L3)に対して73.6%であった。
製造例21
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L4)34.3g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、灰緑色の銅錯体(C4−Cu)26.2gを得た。収率は配位子(L4)に対して70.0%であった。
製造例22
製造例18において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L5)26.7g(0.1モル)を用いた以外は製造例18と同様にして、微黄色の亜鉛錯体(C5−Zn)20.8gを得た。収率は配位子(L5)に対して69.6%であった。
製造例23
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L6)28.1g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、橙色のコバルト錯体(C6−Co)16.3gを得た。収率は配位子(L6)に対して52.6%であった。
製造例24
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L7)30.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C7−Ni)22.5gを得た。収率は配位子(L7)に対して68.2%であった。
製造例25
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L8)26.6g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、緑色の銅錯体(C8−Cu)16.6gを得た。収率は配位子(L8)に対して55.9%であった。
製造例26
製造例18において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L9)27.9g(0.1モル)を用いた以外は製造例18と同様にして、黄色の亜鉛錯体(C9−Zn)21.1gを得た。収率は配位子(L9)に対して67.8%であった。
製造例27
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L10)25.0g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、赤色のコバルト錯体(C10−Co)20.3gを得た。収率は配位子(L10)に対して72.8%であった。
製造例28
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、紫色のコバルト錯体(C11−Co)22.1gを得た。収率は配位子(L11)に対して71.1%であった。
製造例29
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、黒緑色のニッケル錯体(C11−Ni)13.5gを得た。収率は配位子(L11)に対して43.4%であった。
製造例30
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、緑色の銅錯体(C11−Cu)18.6gを得た。収率は配位子(L11)に対して59.4%であった。
製造例31
製造例18において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例18と同様にして、黄色の亜鉛錯体(C11−Zn)19.1gを得た。収率は配位子(L11)に対して60.8%であった。
製造例32
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L12)27.6g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、灰色のニッケル錯体(C12−Ni)20.8gを得た。収率は配位子(L12)に対して68.3%であった。
製造例33
製造例13で得られた配位子(L13)4.00g(0.006モル)を温DMF24g(70℃)に溶解させ、ここに酢酸ニッケル・4水和物0.75g(0.003モル)を添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後メタノール20gを滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、黄緑色のニッケル錯体(C13−Ni)3.58gを得た。収率は配位子(L13)に対して85.9%であった。
製造例34
製造例14で得られた配位子(L14)3.49g(0.006モル)を温DMF24g(70℃)に溶解させ、ここに酢酸コバルト・4水和物0.75g(0.003モル)を添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後メタノール20gを滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、黄色のコバルト錯体(C14−Co)3.14gを得た。収率は配位子(L14)に対して85.8%であった。
得られた各金属錯体の構造式を表2に示す。
Figure 0005687210
(無機系バインダー:シリコンアルコキシドのゾル溶液の調製)
尚、以下に記載のシリコンアルコキシドのゾル溶液の加熱残分とは、ガラス基材上にゾル溶液の液滴をのせ200℃で30分間焼成した際にガラス基材上に残った固形分の重量を、前記のガラス基材上にのせたゾル溶液の液滴の重量で除した値である。それぞれの試料について3回ずつ測定し、得られた値の平均値を示した。
製造例35
メチルトリエトキシシラン49.9g(0.28モル)と、フェニルトリエトキシシラン24.0g(0.10モル)と、PGMEA80gとを混合し、室温で攪拌し、溶液を得た。この溶液に、触媒としてギ酸6.9g (0.15モル)および水25.0gを添加し、室温で30分間攪拌することにより、加水分解を行った。次に加水分解後の溶液を70 ℃まで昇温し、4時間保温し、加水分解・重縮合反応を進行させ、さらに減圧下で、副生したアルコールと水を留去しつつ、さらに1時間加水分解・重縮合反応を進行させることで、無機系バインダー:ポリシロキサン系バインダー前駆体としての、シリコンアルコキシドのゾル/PGMEA溶液(シロキサンオリゴマー/PGMEA溶液,加熱残分40.5%)を得た。
製造例36
製造例35において、PGMEA80gに代えてIPA80gを用いた以外は製造例35と同様にして、無機系バインダー:ポリシロキサン系バインダー前駆体としての、シリコンアルコキシドのゾル/IPA溶液(シロキサンオリゴマー/IPA溶液,加熱残分41.7%)を得た。
製造例37
製造例35において、PGMEA80gに代えてDMF80gを用いた以外は製造例35と同様にして、無機系バインダー:ポリシロキサン系バインダー前駆体としての、シリコンアルコキシドのゾル/DMF溶液(シロキサンオリゴマー/DMF溶液,加熱残分45.3%)を得た。
(金属錯体の微粒子分散液の調製)
尚、平均粒子径とは一般的な粒度分布計、例えば動的光散乱式の粒度分布計(例えばシスメックス社製「ゼータサイザーナノZS」)で測定されるZ−Average sizeの値を示す。
以下に示す平均粒子径は、シスメックス社製「ゼータサイザーナノZS」を用いて、光源:He−Neレーザー(633nm)、セル:ガラス角セル、測定温度:25℃、Measure position:0.85(mm)の条件下で測定した。また、それぞれの試料について3回ずつ測定し、得られた値の平均値を示した。
製造例38
製造例15で得られた金属錯体(C1―Co)11.1gと、分散媒としてPGMEA58.5g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル3.0gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Aを得た。平均粒子径は88nmであった。
製造例39
製造例16で得られた金属錯体(C1―Ni)11.1gと、分散媒としてPGMEA58.0g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル3.0gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Bを得た。平均粒子径は95nmであった。
製造例40
製造例17で得られた金属錯体(C1―Cu)11.1gと、分散媒としてエタノール30.0g、水30.0g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル3.0gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Cを得た。平均粒子径は85nmであった。
製造例41
製造例18で得られた金属錯体(C1―Zn)11.1gと、分散媒としてエタノール30.0g、水30.0g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル3.0gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Dを得た。平均粒子径は68nmであった。
製造例42
製造例15で得られた金属錯体(C1―Co)11.1gと、分散媒としてトルエン70.2g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル3.5gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Eを得た。平均粒子径は70nmであった。
製造例43
製造例16で得られた金属錯体(C1―Ni)11.1gと、分散媒としてトルエン70.2g、さらに分散剤としてポリエチレングリコールジラウレート3.5gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Fを得た。平均粒子径は77nmであった。
製造例44
製造例17で得られた金属錯体(C1―Cu)11.1gと、分散媒としてトルエン70.2g、さらに分散剤としてポリエチレングリコールジステアレート3.5gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Gを得た。平均粒子径は69nmであった。
製造例45
製造例18で得られた金属錯体(C1―Zn)11.1gと、分散媒としてトルエン70.2g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル3.5gを混合し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液Hを得た。平均粒子径は73nmであった。
(紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材)
実施例1
製造例35で得られたシロキサンオリゴマー/PGMEA溶液2.0gにPGMEAを0.7g加え、混合した。次いでこれを、製造例38で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液A)0.6gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Aを得た。平均粒子径は92nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Aを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Aを得た。コーティング膜の膜厚は12μmであった。
実施例2
製造例35で得られたシロキサンオリゴマー/PGMEA溶液2.0gにPGMEAを0.7g加え、混合した。次いでこれを、製造例39で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液B)0.6gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Bを得た。平均粒子径は98nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Bを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Bを得た。コーティング膜の膜厚は13μmであった。
実施例3
製造例36で得られたシロキサンオリゴマー/IPA溶液2.0gにIPAを0.8g加え、混合した。次いでこれを、製造例40で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液C)0.8gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Cを得た。平均粒子径は95nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Cを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Cを得た。コーティング膜の膜厚は13μmであった。
実施例4
製造例36で得られたシロキサンオリゴマー/IPA溶液2.0gにIPAを0.8g加え、混合した。次いでこれを、製造例41で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液D)0.5gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Dを得た。平均粒子径は72nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Dを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Dを得た。コーティング膜の膜厚は9μmであった。
実施例5
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをトルエン1.7gに溶解させ、これを製造例42で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液E)0.6gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Eを得た。平均粒子径は78nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Eを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Eを得た。コーティング膜の膜厚は13μmであった。
実施例6
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをトルエン1.7gに溶解させ、これを製造例43で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液F)0.6gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Fを得た。平均粒子径は80nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Fを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Fを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例7
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをトルエン1.7gに溶解させ、これを製造例44で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液G)0.8gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Gを得た。平均粒子径は75nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Gを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Gを得た。コーティング膜の膜厚は11μmであった。
実施例8
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをトルエン1.7gに溶解させ、これを製造例45で得られた金属錯体の微粒子分散液(分散液H)0.5gに攪拌しながら加え、混合することにより、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Hを得た。平均粒子径は81nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Hを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Hを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例9
製造例20で得られた金属錯体(C3―Ni)2.2gと、分散媒としてトルエン60.1g、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)21.9g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.68gを混合し、分散メディアとして0.3mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで2時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Iを得た。平均粒子径は94nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Iを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Iを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例10
製造例22で得られた金属錯体(C5―Zn)1.8gと、分散媒としてトルエン60.1g、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)21.9g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.68gを混合し、分散メディアとして0.3mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで2時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Jを得た。平均粒子径は88nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Jを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Jを得た。コーティング膜の膜厚は12μmであった。
実施例11
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)21.9gを、トルエン60.1gに溶解させた。ここに製造例23で得られた金属錯体(C6―Co)2.4gと、分散剤としてポリエチレングリコールジラウレート0.68gを添加し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Kを得た。平均粒子径は98nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Kを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Lを得た。コーティング膜の膜厚は13μmであった。
実施例12
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)21.9gを、トルエン60.1gに溶解させた。ここに製造例25で得られた金属錯体(C8―Cu)3.7gと、分散剤としてポリエチレングリコールジステアレート0.68gを添加し、分散メディアとして0.1mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を10℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Lを得た。平均粒子径は97nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Lを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、110℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Lを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例13
製造例27で得られた金属錯体(C10―Co)2.4gと、分散媒としてシクロペンタノン55.0g、分散媒兼重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25.0g、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガキュア819)4.0g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.68gを混合し、分散メディアとして0.3mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を20℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Mを得た。平均粒子径は73nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Mを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、140℃で1分間乾燥し、さらに露光装置(ナノテック株式会社製の商品名:マスクアライナーLA410s、株式会社三永電機製作所製の商品名:超高圧水銀ランプL2501L)を用いて露光(単色化なし、波長365nmにおける光強度40mW/cm、2.5秒間照射)し、硬化させ、紫外線吸収部材Mを得た。コーティング膜の膜厚は12μmであった。
実施例14
実施例13において金属錯体(C10―Co)2.4gに代えて金属錯体(C11−Ni)2.4gを用いた以外は実施例13と同様にして、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Nを得た。平均粒子径は83nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Nを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、140℃で1分間乾燥し、さらに露光装置(ナノテック株式会社製の商品名:マスクアライナーLA410s、株式会社三永電機製作所製の商品名:超高圧水銀ランプL2501L)を用いて露光(単色化なし、波長365nmにおける光強度40mW/cm、2.5秒間照射)し、硬化させ、紫外線吸収部材Nを得た。コーティング膜の膜厚は14μmであった。
実施例15
製造例30で得られた金属錯体(C11―Cu)2.2gと、分散媒兼重合性モノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート28.0gおよび3−エチル−3−[{(3−エチルオキセタニル)メトキシ}メチル]オキセタン55.0g、熱重合開始剤(三新化学株式会社製の商品名;SI−60L)2.5g、さらに分散剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.68gを混合し、分散メディアとして0.3mmφのジルコニアビーズを用い、分散機としてDYNO−MILL(シンマルエンタープライゼス製、型番:KDL)を用いてジャケット温を20℃に保温しながら周速15m/sで1時間分散処理を行い、分散液形態の紫外線吸収部材用組成物Oを得た。平均粒子径は95nmであった。
得られた紫外線吸収部材用組成物Oを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、160℃で30分間かけて硬化し、紫外線吸収部材Oを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例16
実施例15において、金属錯体(C11―Cu)2.2gに代えて金属錯体(C11−Zn)1.4gを用いた以外は実施例15と同様にして分散液形態の紫外線吸収部材用組成液Pを得た。平均粒子径は88nmであった。得られた紫外線吸収部材用組成物Pを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に、160℃で30分間かけて硬化し、紫外線吸収部材Pを得た。コーティング膜の膜厚は11μmであった。
実施例17
製造例37で得られたシロキサンオリゴマー/DMF溶液2.0gにDMF0.6gを加え、混合した。この溶液に、製造例19で得られた金属錯体(C2−Co)0.1gを加え、溶解させることにより、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Qを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Qを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Qを得た。コーティング膜の膜厚は9μmであった。
実施例18
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをDMF1.7gに溶解させ、この溶液に、製造例21で得られた金属錯体(C4−Cu)0.1gを加え、溶解させることにより、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Rを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Rを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に160℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Rを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例19
製造例24で得られた金属錯体(C7−Ni)0.1gにDMF0.6gを加え、溶解させた。この溶液を、攪拌下の製造例33で得られたシロキサンオリゴマー/DMF溶液2.0g中に添加・混合することにより、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Sを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Sを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Sを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例20
製造例26で得られた金属錯体(C9−Zn)0.1gにDMF1.7gを加え、溶解させた。これに、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gを添加し、溶解させることにより、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Tを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Tを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に160℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Tを得た。コーティング膜の膜厚は8μmであった。
実施例21
製造例28で得られた金属錯体(C11−Co)0.1g、DMF0.6g、製造例37で得られたシロキサンオリゴマー/DMF溶液2.0gを一括で仕込み、攪拌することで混合・溶解し、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Uを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Uを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Uを得た。コーティング膜の膜厚は12μmであった。
実施例22
製造例32で得られた金属錯体(C12−Ni)0.1g、DMF1.7g、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gを一括で仕込み、攪拌することで混合・溶解し、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Vを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Vを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に160℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Vを得た。コーティング膜の膜厚は9μmであった。
実施例23
製造例33で得られた金属錯体(C13−Ni)0.1g、MEK1.7g、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gを一括で仕込み、攪拌することで混合・溶解し、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Wを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Wを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に80℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Wを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
実施例24
製造例34で得られた金属錯体(C14−Co)0.1g、シクロペンタノン1.7g、有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gを一括で仕込み、攪拌することで混合・溶解し、溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Xを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Xを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に80℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Xを得た。コーティング膜の膜厚は10μmであった。
比較例1
製造例36で得られたシロキサンオリゴマー/IPA溶液2.0gにIPAを0.4g加え、混合した。次いでこれを、酸化亜鉛微粒子分散液(ハクスイテック株式会社製、製品名:パゼットGK−IPA分散体、粉体一次粒子径:20〜40nm)2.0gに攪拌しながら加え、混合することにより、紫外線吸収部材用組成液Yを得た。
得られた紫外線吸収部材用組成物Yを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で30分間焼成し、紫外線吸収部材Yを得た。コーティング膜の膜厚は8μmであった。
比較例2
有機系バインダーとしてアクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)0.8gをMEK1.7gに溶解させ、これを酸化亜鉛微粒子分散液(ハクスイテック株式会社製、製品名:パゼットGK−MEK分散体、粉体一次粒子径:20〜40nm)2.0gに攪拌しながら加え、混合することにより、紫外線吸収部材用組成物Zを得た。
この紫外線吸収部材用組成物Zを、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に80℃で3分間乾燥し、紫外線吸収部材Zを得た。コーティング膜の膜厚は11μmであった。
[紫外線吸収部材の評価]
実施例1〜24および比較例1〜2で得られた紫外線吸収部材A〜Zについて、以下の手順により実施した。
(1)透過率
実施例1〜24および比較例1〜2で得られた紫外線吸収部材A〜Zについて、分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−4100)を用いて特定波長(λ=380nm:紫外線UV−A、λ=460nm、545nm、610nm:可視光線)における透過率を測定し、紫外線吸収能(UV−A吸収能)および可視光透明性の評価を実施した。
尚、測定はガラス基材にマトリックス層を施した試験片(紫外線吸収剤は含まず、マトリックスの種類は測定対象試料と同じものをそれぞれ使用し、同条件で試験片を作製)を別途作製し、これをブランクとして用いてバックグラウンド補正を行った。すなわち、以下の表に示す透過率の値は、膜自体の透過性能は反映しておらず、専ら紫外線吸収剤に由来するものと見なすことができる。
(2)耐光性試験
(1)の手順により実施例1〜24および比較例1〜2で得られた紫外線吸収部材A〜Zについて透過率を測定した後、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、型番:X25)を用いて、これら紫外線吸収部材A〜Zに放射強度60W/m(300〜400nm域における積算)の光を1000時間照射した。このとき、紫外線吸収部材A〜Zのソーダライムガラス基材側からではなく、コーティング層側から光を照射した。すなわちこれは、ソーダライムガラスは短波長域の紫外線を吸収する性質があるので、紫外線吸収部材A〜Zのソーダライムガラス基材側からではなくコーティング層側から光を照射することにより、光源から放射された光を、コーティング層中の紫外線吸収剤に直接照射し、紫外線吸収剤にとってより過酷な条件とすることを意図したものである。光照射後の紫外線吸収部材A〜Zについて、それぞれ透過率を測定し、光照射による紫外線吸収能の変化を評価した。
以下の表3に結果を示す。
尚、表中のΔ%Tは光照射後の透過率から光照射前の透過率を差し引きした値を示す。
Figure 0005687210
Figure 0005687210
実施例1〜16は、紫外線吸収剤として式(1)で表される金属錯体を微粒子として分散系で使用した系である。すなわち、実施例1〜16で得られた紫外線吸収部材用組成物A〜Pはいずれも分散液形態であり、これら分散液形態の紫外線吸収部材用組成物A〜Pを用いて作製した紫外線吸収部材A〜Pは、UV−Aを十分に遮蔽し、且つ光照射による透過率の変化も小さく、優れた耐光性を示すことが確認された。
尚、実施例4、8、10、16(それぞれ紫外線吸収部材D、H、J、P)は、式(1)におけるMが亜鉛原子である金属錯体を用いた系であるが、式(1)におけるMがコバルト、ニッケル、銅原子である金属錯体を用いた系に比べると、耐光性は劣るものの、可視域における透明性は非常に優れていることが確認できた。
また、実施例17〜24は、紫外線吸収剤として式(1)で表される金属錯体を溶解系で使用した系である。すなわち、実施例17〜24で得られた紫外線吸収部材用組成物Q〜Xはいずれも溶液形態であり、これら溶液形態の紫外線吸収部材用組成物Q〜Xを用いて作製した紫外線吸収部材Q〜Xは、前記の分散系に比べると全体的に耐光性は若干劣るものの、UV−Aを十分に遮蔽し、可視域においては優れた透明性を示すことが確認された。
比較例1および比較例2は、紫外線吸収剤として従来公知の酸化亜鉛微粒子を使用した系である。耐光性は非常に良好であるものの、UV−Aを十分に遮蔽することはできないことが確認された。
本発明の紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いて作製された紫外線吸収部材は、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であったUV−Aを十分に遮蔽することができる。

Claims (6)

  1. 式(1):
    Figure 0005687210
    (式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、
    、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
    また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、
    またはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
    、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、
    Mは金属原子を示す。)
    で表される少なくとも1種類の金属錯体と、少なくとも1種類のマトリックス材料および/またはマトリックス材料の前駆体としての重合性モノマーとを含む紫外線吸収部材用組成物であって、
    式(1)における金属原子Mが、コバルト原子、ニッケル原子、銅原子、または亜鉛原子である、紫外線吸収部材用組成物
  2. 溶媒を含むか、あるいは溶媒を含むことなくマトリックス材料の前駆体が溶媒を兼ねる溶液形態である請求項1に記載の紫外線吸収部材用組成物。
  3. 分散媒を含むか、あるいは分散媒を含むことなくマトリックス材料の前駆体が分散媒を兼ね、該金属錯体の微粒子が分散した分散液形態である請求項1に記載の紫外線吸収部材用組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材。
  5. 基材上に該金属錯体を含有するマトリックス材料の膜を有する積層体としての紫外線吸収部材である請求項に記載の紫外線吸収部材。
  6. 該金属錯体がマトリックス材料の膜中に含有された薄膜形態の紫外線吸収部材である請求項に記載の紫外線吸収部材。
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