JP2014024908A - 紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材 - Google Patents

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勝政 山本
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Abstract

【課題】優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった長波紫外線を遮蔽する紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作成される紫外線吸収部材を提供する。
【解決手段】式(1)に示す紫外線吸収用組成、部材に関する:
Figure 2014024908

で表されるニッケル錯体と、分子構造中にアミノ基を有する化合物と、分子構造中にイソシアネート基を有する化合物と、マトリックス材料とを含む紫外線吸収部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、下式(1)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材に関する。
近年、可視光線を十分に透過すると同時に、紫外線のみを選択的に遮蔽する機能を有する部材が様々な分野で使用されている。例えば、自動車のウインドウガラスや建築物の窓ガラス等においては、日焼けや内装材の劣化を引き起こす紫外線を遮蔽するために紫外線遮蔽ガラスが広く使用されている。
また、カーポート、ショーウインドウ、ショーケース、照明用透明シェード等に使用される透明樹脂板や、各種透明容器等の用途においても、紫外線遮蔽機能を付与したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の透明な熱可塑性樹脂の成形体が用いられている。
このように、ガラスや樹脂等に紫外線を遮蔽する機能を付与するために、紫外線吸収剤として無機系金属酸化物微粒子や有機系紫外線吸収剤を用いる方法が一般的に知られている(特許文献1〜4)。
これら紫外線吸収剤には、高度な耐光性を有することに加えて、近年の紫外線遮蔽技術の高機能化に伴い、可視光域との境界付近の長波紫外線(λ=380〜400nm付近)を十分に遮蔽でき、かつ400〜780nmの可視光線を十分に透過する(着色の小さい)性能が求められているが、従来より知られている無機系金属酸化物微粒子や有機系紫外線吸収剤は必ずしもこの要求を満たす性能を有しておらず、改良が望まれていた。
ここで長波紫外線とは、UV−Aと呼ばれる比較的波長の長い紫外線に分類され、地表に到達する太陽光の紫外線としては最も多く含まれるが、人体にとっては皮膚への浸透程度が深いため、長時間の曝露が色素沈着(シミ)やシワを引き起こすことが知られている。
特開2006−052116号公報 特開2010−111729号公報 特開2010−189215号公報 特開2008−274246号公報
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった長波紫外線を十分に遮蔽することができる紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供することを目的としている。
本発明は、以下に示すとおりの紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材に関する。
項1.式(1):
Figure 2014024908
(式中、XおよびYはそれぞれ互いに独立して酸素原子または硫黄原子であり、
は1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基であり、
は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子とRが結合した炭素原子を除いた最大3個の炭素原子に結合する水素原子のうち1ないし3個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、
は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基を示す。)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含む紫外線吸収部材用組成物。
項2.項1に記載の紫外線吸収部材用組成物の硬化物を含む紫外線吸収部材。
本発明は、紫外線吸収剤としての式(1)で表されるニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含むことを特徴とする紫外線吸収部材用組成物を提供する。
式(1)で表されるニッケル錯体と、該アミノ基を有する化合物と、イソシアネート基を有する化合物と、マトリックス材料とを組み合わせて使用することで、式(1)で表されるニッケル錯体固有の可視光域の微弱な吸収を波長シフトまたは低減することができ、その結果、高度な可視光透過性を有する低着色の紫外線吸収部材を得ることができる。
また、本発明は前記の紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材を提供する。
前記のとおり、該紫外線吸収部材用組成物を基材上にコーティングした後、ゾル−ゲル硬化することによって、紫外線吸収部材を作製することができる。このようにして得られる紫外線吸収部材は、従来遮蔽困難であった長波紫外線を効率よく吸収し、非常に良好な耐光性を示す。また、可視光透過率が高く、着色が非常に小さいといった特徴を有する。
本発明によると、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった長波紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(1):
Figure 2014024908
(式中、XおよびYはそれぞれ互いに独立して酸素原子または硫黄原子であり、
は1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基であり、
は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子とRが結合した炭素原子を除いた最大3個の炭素原子に結合する水素原子のうち1ないし3個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、
は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基を示す。)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材を提供するものである。
式(1)におけるR、RおよびRについて以下に例示する。
式中、Rに帰属される炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。原料の入手性および合成の簡便さの観点からトリフルオロメチル基が好ましい。
式中、Rに帰属されるハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。原料の入手性およびニッケル錯体の耐光性の観点から、フルオロ基、クロロ基が好ましく、クロロ基がより好ましい。
式中、Rに帰属される炭素数1〜8のアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、1−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、1−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、1−ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、1−ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、1−ヘプチルスルホニル基、1−オクチルスルホニル基、1−(2−エチルヘキシル)スルホニル基等のアルキルスルホニル基が挙げられる。原料の入手性の観点から、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、1−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、1−ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、1−オクチルスルホニル基、1−(2−エチルヘキシル)スルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、1−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、1−ヘキシルスルホニル基、1−オクチルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基がさらに好ましい。
式中、Rに帰属される炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基としては、例えば、N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−イソプロピルアミノスルホニル基、N−n−プロピルアミノスルホニル基、N−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−メチルエチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基、N,N−エチルイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソブチルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ヘキシルアミノスルホニル基、N,N−ジシクロヘキシルアミノスルホニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノスルホニル基等が挙げられる。原料の入手性および合成の簡便さの観点から、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソブチルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ヘキシルアミノスルホニル基、N,N−ジシクロヘキシルアミノスルホニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノスルホニル基が好ましく、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソブチルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ヘキシルアミノスルホニル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノスルホニル基がより好ましい。
式中、Rに帰属される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。原料の入手性の観点から、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基が好ましく、メチル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
式中、Rに帰属される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。原料の入手性の観点から、メトキシ基、エトキシ基であることが好ましい。
式中、Rに帰属される炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基の例示としては、それぞれ、前記Rについて例示したものが挙げられる。
式中、Rに帰属される炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基としては、それぞれ、前記Rについて例示したものが挙げられる。
式(1)で表されるニッケル錯体は、下記式(2):
Figure 2014024908
で表される配位子と、ハロゲン化ニッケル塩、硫酸ニッケル塩、酢酸ニッケル塩、硝酸ニッケル塩等のニッケル塩とを反応させることで合成することができる。
式(2)において、X、Y、R、R、Rは、それぞれ式(1)中のX、Y、R、R、Rに対応している。
式(2)で表される配位子は、例えば、特開昭56−87575において開示されている方法で合成することができる。
以下、式(2)で表される配位子の製造方法を一部説明する。
≪配位子の製造方法≫
i)式(2)において「R=R」かつ「Rが存在しない」場合
例えば、特開昭56−87575に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノ−置換ベンゾチアゾールまたは2−アミノ−置換ベンゾオキサゾールをフェノール等の酸触媒存在下において、150〜185℃に加熱し、反応させることによってビス[2−(置換ベンゾチアゾリル)]アミンまたはビス[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]アミンを合成することができる。
ii)式(2)においてR≠Rの場合
2−アミノ−置換ベンゾチアゾールまたは2−アミノ−置換ベンゾオキサゾールのいずれかと、2−アミノ(−置換’)ベンゾチアゾールまたは2−アミノ(−置換’)ベンゾオキサゾールのいずれかを、フェノール等の酸触媒存在下において、150〜185℃に加熱し、反応させることによって[2−(置換ベンゾチアゾリル)]{2−[(置換’)ベンゾチアゾリル]}アミン、[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]{2−[(置換’)ベンゾオキサゾリル]}アミン、[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]{2−[(置換’)ベンゾチアゾリル]}アミン、[2−(置換ベンゾチアゾリル)]{2−[(置換’)ベンゾオキサゾリル]}アミンを合成することができる。
iii)式(2)においてR、Rで表される置換基のうち少なくとも1個が、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基のいずれかである場合(以下の説明において(置換)アミノスルホニル基と表記する)
、Rのうち少なくとも1個の(置換)アミノスルホニル基を有する配位子を合成する場合、該当する(置換)アミノスルホニル基を含まない構造の配位子をi)やii)等の方法で得た後に、例えば、特表2007−535421に記載されている方法に従って、(置換)アミノスルホニル基を導入することができる。
例として、式(2)において「R=R=(置換)アミノスルホニル基」かつ「Rが存在しない」場合の配位子の合成方法について説明する。
i)において2−アミノ−置換ベンゾチアゾールまたは2−アミノ−置換ベンゾオキサゾールを、2−アミノベンゾチアゾールまたは2−アミノベンゾオキサゾールに代えた以外は同様にして得られるビス[2−(ベンゾチアゾリル)]アミンまたはビス[2−(ベンゾオキサゾリル)]アミンをクロロスルホン酸に添加し、混合物を一晩攪拌する。さらに塩化チオニルを添加し50℃で1時間攪拌した後室温まで冷却する。混合物を氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒に所望のアミン(アンモニアも含む)を共存させ、攪拌することで対応するビス(2−{[(置換)アミノスルホニル]ベンゾチアゾリル})アミンまたはビス(2−{[(置換)アミノスルホニル]ベンゾオキサゾリル})アミンを合成することができる。
≪式(1)で表されるニッケル錯体の製造方法≫
例えば、Polyhedron 2006,25,2363−2374やJ.Org.Chem.2002,67,5753−5772等に記載されている方法に従って、前記のi)〜iii)の製造方法に基づいて得られた配位子と、ハロゲン化ニッケル塩、硫酸ニッケル塩、酢酸ニッケル塩、硝酸ニッケル塩等のニッケル塩とを、メタノール、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で反応させることによって対応するニッケル錯体を合成することができる。
≪式(1)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含む紫外線吸収部材用組成物の製造方法≫
本発明における紫外線吸収部材用組成物について以下に説明する。
マトリックス材料、該アミノ基を有する化合物、該イソシアネート基を有する化合物との相溶性が良好であり、かつ該ニッケル錯体の溶解性が良好な溶媒を併用することで、該溶媒中にマトリックス材料、該アミノ基を有する化合物、該イソシアネート基を有する化合物および該ニッケル錯体が溶解した、均一な紫外線吸収部材用組成物を製造することができる。
なお、マトリックス材料として例えば後述の金属アルコキシド化合物および/または金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液を使用する場合、前記溶媒は必ずしも必要ではなく、金属アルコキシド化合物および/または金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液が溶媒を兼ねることも可能である。
分子構造中に1個以上のアミノ基を有する化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等のアルキルアミン類や、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等のシクロアルキルアミン類や、ベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン等のアラルキルアミン類や、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の環式アミン類や、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。本発明における着色低減効果、および最終的に得られる膜の機械強度の観点から、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、イソホロンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンであることが好ましく、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、ピペリジン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランであることがさらに好ましい。
該アミノ基を有する化合物の使用量としては、該ニッケル錯体10重量部に対して5〜500重量部、好ましくは10〜350重量部、より好ましくは15〜250重量部である。5重量部未満の場合、本発明の特徴である着色低減効果が十分に発揮されないおそれがあり、500重量部より多いと得られる紫外線吸収部材用組成物中の該ニッケル錯体の濃度が低下し、最終的に得られる紫外線吸収部材に十分な紫外線吸収能を付与できないおそれがある。
分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のアルキルイソシアネート類や、シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のシクロアルキルイソシアネート類や、ベンジルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のアラルキルイソシアネート類や、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。本発明における着色低減効果、最終的に得られる膜の機械強度および入手性の観点から、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
該イソシアネート基を有する化合物の使用量としては、該アミノ基を有する化合物の分子構造中のアミノ基1molに対して、該イソシアネート基を有する化合物の分子構造中のイソシアネート基が0.5〜1.5mol、好ましくは0.6〜1.4mol、より好ましくは0.8〜1.3molとなるように設定することができる。0.5mol未満および1.5molを超えて使用した場合、最終的に得られる紫外線吸収部材の耐光性が低下するおそれがある。
なお、ここでのアミノ基とは、一般的に認知されている活性プロトンを有する第一級アミン(−NH)および第二級アミン(−NH)を示す。例えば、ウレイド基を構成するNH基は、構造上、第二級アミンと見なすことができるが、ウレイド基を構成するこのNH基は第二級アミンとしての性質はほとんど有しておらず、一般的に第二級アミンとは認知されていない。このような場合は本発明におけるアミノ基には含まない。
マトリックス材料としては、ポリシロキサン、ポリチタノキサン、ポリジルコノキサン、ポリアルミノキサン、ポリスタノキサンなどのポリメタロキサン等が挙げられ、この場合、ポリメタロキサン前駆体として金属アルコキシド化合物および/または金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液を好適に用いることができる。
これらの式(1)で表されるニッケル錯体、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する化合物、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物、およびマトリックス材料は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において使用する「マトリックス材料」という表現は、前記金属アルコキシド化合物および/または金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液等のマトリックス前駆体も含む。
金属アルコキシドのゾル溶液は、通常、有機溶媒中で酸触媒存在下、金属アルコキシドに水を添加し、加水分解・重縮合させることにより、調製することができるが、市販のゾル溶液を使用してもよい。
(金属アルコキシド)
本発明に用いる金属アルコキシドには、特に限定されるものではないが、シリコンアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニアアルコキシド、スズアルコキシド等が含まれる。
シリコンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシランや、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の3官能アルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシランが挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキソシド)チタン等が挙げられる。
ジルコニアアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラ(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ジルコニウム等が挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウム等が挙げられる。
スズアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等が挙げられる。
これらの金属アルコキシドは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合の混合比率は所望に応じて適宜選択することができる。
ポリメタロキサンとしては、ポリシロキサンを好適に用いることができ、この場合、ポリシロキサン前駆体として、シリコンアルコキシドおよび/またはシリコンアルコキシドの加水分解・重縮合反応により得られるゾル溶液を好適に用いることができる。
得られる膜の状態や強度、経済性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよびこれらから得られるゾル溶液がより好ましい。
以下、金属アルコキシドのゾル溶液の調製方法を、シリコンアルコキシドのゾルを例に、具体的に説明する。
(酸触媒)
酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。加水分解・重縮合反応終了後に酸が残存すると、縮合安定性が悪化するため、低沸点で揮発性が高く、pKaの小さなギ酸を用いることが好ましい。
酸触媒の添加量としては、十分な触媒作用を発揮する限り、特に限定されるものではないが、通常シリコンアルコキシド1molに対して0.01mol以上、より好ましくは0.3mol以上を配合することが好ましい。0.01mol未満では十分な触媒作用が得られないおそれがあり、また過剰に添加した場合には、最終的に得られるシリコンアルコキシドのゾル溶液が、残存する酸により経時的に劣化するおそれがある。よって、シリコンアルコキシド1molに対して1mol以下の割合で配合することが好ましい。
(水)
上記シリコンアルコキシドの加水分解を引き起こし得る限り、特に限定されないが、シリコンアルコキシド1molに対し、2〜6molの割合で水を添加することが好ましい。2mol未満では十分に加水分解が進行しないおそれがあり、6molを超えると加水分解が速く進行しすぎてしまい、続く重縮合反応の進行を妨げることに加え、反応後に除去する水の量が多くなり効率的でない。
(反応溶媒)
シリコンアルコキシド、水、酸触媒に加えて反応溶媒を使用することにより、加水分解速度を適度に低め、確実に加水分解・重縮合を進行させることができる。さらに、最終的に得られるシリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)の粘度をハンドリングしやすいレベルにまで調整するための希釈剤としての役割も兼ねる。
反応溶媒としては、前記シリコンアルコキシドが溶解するものであれば特に限定されることなく、適宜選択し使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、
クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類や、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸−n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン等の炭化水素類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、2-メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
反応性や経済性の観点から、好ましくは、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類、エチレングリコールや1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸−n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、2-メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類等である。
該シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)に式(1)で表されるニッケル錯体を溶解・混合する場合には、あらかじめ該ニッケル錯体の溶解性が良好な溶媒を本工程における反応溶媒として使用することで、該ニッケル錯体を溶解混合する際の労力を軽減することができる。
ただし、該ニッケル錯体の貧溶媒を用いて本工程におけるシリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)を調製した場合であっても、該ニッケル錯体を溶解・混合する前に該シリコンアルコキシドのゾル溶液の溶媒を該ニッケル錯体の良溶媒に置換する、あるいは該シリコンアルコキシドのゾル溶液(シロキサンオリゴマー溶液)に該ニッケル錯体の良溶媒を添加することによって、溶解・混合することも可能である。
前記反応溶媒の使用量は、シリコンアルコキシド100重量部に対し、50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部の範囲とすることが望ましい。50重量部未満では、加水分解・重縮合反応を適度な反応速度で進行させることが困難になるおそれがあり、1000重量部を超えると、加水分解・重縮合反応の速度が低下するため効率的でないことに加えて、後述の減圧・留去工程に長時間を必要とするおそれがある。
まず、1種類または2種類以上のシリコンアルコキシドを、酸触媒、水および溶媒と混合する。この溶液を0〜150℃、好ましくは50〜100℃ の温度に維持することにより、加水分解・重縮合反応を進行させる。0℃未満では、加水分解・重縮合反応が進行しにくくなるおそれがある。また150℃を超えると加水分解・重縮合反応が急速に進行するため、未反応のアルコキシ基が残存したり、ゲル化や着色を招くおそれがある。加水分解・重縮合反応の時間は、温度条件にもよるが、通常1〜24時間、より好ましくは2〜8時間である。1時間未満では、十分に加水分解・重縮合反応が進行しないおそれがあり、24時間を超えてもそれ以上反応が進まないことから経済的でない。
加水分解・重縮合反応により副生するアルコールと水を系外に除去するために、反応終了後、あるいは反応中に、反応液を減圧留去することが好ましい。減圧留去しながら反応を進行させれば、重縮合反応の反応速度を向上させる効果も見込めるためより好ましい。この工程において、前記酸触媒としてギ酸等の低沸点で揮発性の高い触媒を用いれば、溶媒とともに酸触媒も系外に除去でき、反応終了後のゾル溶液の安定性を確保することができる。
このようにして加水分解・重縮合反応の進行により、ポリシロキサンとしてのシリコンアルコキシドのゾル溶液を得ることができる。他の金属アルコキシドについても同様にゾル溶液を調製することができる。
マトリックス材料の使用量は、該ニッケル錯体100重量部に対し、400〜100000重量部、好ましくは600〜20000重量部の範囲とすることが望ましい。400重量部未満では、膜強度が得られないおそれがあり、100000重量部を超えると紫外線吸収部材に十分な紫外線吸収性能を付与できないおそれがある。
本発明における紫外線吸収部材用組成物の製造方法としては、本発明における効果を損なわない限り特に制限されることはないが、例えば、マトリックス材料と該アミノ基を有する化合物と該イソシアネート基を有する化合物とを混合、溶解した後に該ニッケル錯体を添加、溶解する方法や、マトリックス材料と該ニッケル錯体と該アミノ基を有する化合物を混合、溶解した後に該イソシアネート基を有する化合物を添加、溶解する方法や、該ニッケル錯体と該アミノ基を有する化合物を溶媒中で混合、溶解した後に該イソシアネート基を有する化合物とマトリックス材料を添加、溶解する方法等が挙げられる。
前記マトリックス材料、該アミノ基を有する化合物、該イソシアネート基を有する化合物との相溶性が良好であり、かつ該ニッケル錯体の溶解性が良好な溶媒としては、該ニッケル錯体の種類に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2 − ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン等の炭化水素類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、2-メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等が挙げられる。
これらの中で、該ニッケル錯体の溶解性の観点からより好ましいものを挙げると、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類や、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類や、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2 − ヘプタノン、3 − オクタノン等のケトン類や、酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシプロピオン酸−n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸エチル、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等のエステル類や、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類や、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類や、2-メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類や、その他アセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホキシド、DMF等である。
これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせた混合溶媒を使用する場合の混合比率は適宜選択することができる。
前記溶媒の使用量は、所望する紫外線吸収部材用組成物中の該ニッケル錯体の濃度や、使用する溶媒の種類、使用するマトリックス材料、該アミノ基を有する化合物、該イソシアネート基を有する化合物の溶解度等を考慮した上で適宜調整することができ、特に限定されるものではないが、該ニッケル錯体の溶解性の観点から言えば、通常該ニッケル錯体100重量部に対して50〜100000重量部、好ましくは100〜5000重量部、より好ましくは200〜3000重量部である。50重量部より少ないと、該ニッケル錯体が完全に溶解しないおそれがあり、最終的に得られる紫外線吸収部材の可視光透過率の低下を招くおそれがある。また100000重量部よりも多いと、紫外線吸収部材用組成物中の該ニッケル錯体濃度が低下し、最終的に得られる紫外線吸収部材に十分な紫外線吸収能を付与できない可能性がある。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の光吸収剤を併用することも可能である。
併用することのできる光吸収剤としては特に限定されるものではないが、例えば、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ベンズイミダゾロン系、キノン系、アントアントロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゼンジチオール金属錯体系、ジチオレン金属錯体系、アゾ金属系、金属フタロシアニン系、金属ナフタロシアニン系、ポルフィリン金属錯体系等の金属錯体系色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、サリチル酸フェニルエステル系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミド系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤等が挙げられる。経済性や光吸収性能の観点から、好ましくは、フタロシアニン系、キノン系、ペリレン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤である。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化剤、硬化触媒、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フィラー、着色剤、光触媒材料、防錆剤、撥水剤、導電性材料、アンチブロッキング材、軟化剤、離型剤、蛍光増白剤等を適宜添加してもよい。
《紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材》
かくして得られた紫外線吸収部材用組成物を基材上に塗布した後、乾燥および/または焼成して硬化することによって、基材上に式(1)で表されるニッケル錯体を含有する膜を有する積層体としての紫外線吸収部材を作製することができる。
前記の紫外線吸収部材の作製方法を以下に詳述する。
前記紫外線吸収部材用組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えばディップコート法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、バーコート法、スプレー法、リバースコート法等の公知の方法が挙げられる。
基材は、所望によりフィルムでもボードでもよく、形状は限定されない。材質についても特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、ガラス等の無機系基材や、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の有機系基材が挙げられる。
なかでも、透明性の観点から、ガラス、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が好ましい。
また、層間剥離、コートムラを防ぐ目的で、コーティング前に基材表面を洗浄してもよい。洗浄方法としては特に限定されず、基材の種類に応じて適宜選択し、実施することができる。通常、超音波洗浄、UV洗浄、セリ粉洗浄、酸洗浄、アルカリ洗浄、界面活性剤洗浄、有機溶剤洗浄等を単独で、または組み合わせて実施することができる。洗浄終了後は、洗浄剤が残留しないように濯ぎおよび乾燥を行う。
最終的に得られる紫外線吸収部材のコーティング膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜調整することができるが、通常0.01〜100μm、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.01〜30μmである。0.01μm未満では、十分な紫外線吸収能が得られないおそれがあり、100μmを超えると、膜表面に凹凸が生じたり、クラックを生じる可能性がある。
乾燥温度、乾燥時間は、用いる溶媒(分散媒)等の種類によって適宜設定することができる。
乾燥後、コーティング膜の機械的強度等の物性を目的に見合うようにコントロールするため、養生工程や焼成工程を設けてもよい。
例えば、マトリックス材料としてポリシロキサン系化合物を用いた場合、前記乾燥工程の後に80〜500℃、好ましくは90〜400℃、より好ましくは100〜300℃での焼成工程を設けることによって膜自体の機械的強度を向上させることができる。
すなわち、前記乾燥工程において、ゾル(シロキサンオリゴマー)同士が重縮合反応を起こすことでシロキサンネットワークを拡大し、ゲル体の骨格構造を形成する。このゲル体を焼成することでさらにシロキサンネットワークが拡大する。このシロキサンネットワーク(ポリシロキサンの分子量)の大きさにより、得られるコーティング膜の機械的強度をコントロールすることができる。
80℃より低温では、機械的強度が十分向上しないおそれがあり、500℃より高温では、コーティング膜中に含まれる該ニッケル錯体が熱分解するおそれがある。
焼成時間は、所望のコーティング膜の物性に応じて適宜調整可能であるが、通常、5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。5分間より短いと機械的強度が十分向上しないおそれがあり、5時間より長いと、時間に見合う効果が得られず経済的でない。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾール65.5g(0.300mol)とフェノール19.8g(0.210mol)とo−ジクロロベンゼン240gを混合し、170℃まで昇温した後、40時間保温した。その後、反応液を80℃まで冷却し、エタノール300gを滴下し、さらに1時間保温した。その後、室温まで冷却し、析出物をろ別した。DMF/エタノールから再結晶による精製を行い、配位子として微黄色粉末のビス[2−(6−トリフルオロメチルベンゾチアゾリル)]アミン25.8gを得た。収率は2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾールに対して41%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、95.2%であった。
得られたビス[2−(6−トリフルオロメチルベンゾチアゾリル)]アミン21.0g(0.0500mol)にDMF150gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物6.22g(0.0250mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを100g添加した。その後、水50gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、赤茶色のニッケル錯体(C1)13.0gを得た。収率はビス[2−(6−トリフルオロメチルベンゾチアゾリル)]アミンに対して58%であった。
製造例2
製造例1において2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾール65.5g(0.300mol)に代えて、2−アミノベンゾチアゾール22.5g(0.150mol)と2−アミノベンゾオキサゾール20.1g(0.150mol)を用いた以外は同様にして、配位子として白色粉末の(2−ベンゾオキサゾリル)(2−ベンゾチアゾリル)アミン22.9gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールと2−アミノベンゾオキサゾールの総量に対して57%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、94.2%であった。
得られた(2−ベンゾオキサゾリル)(2−ベンゾチアゾリル)アミン9.36g(0.0350mol)をクロロスルホン酸70.1g(0.602mol)に添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。さらに塩化チオニル10.0g(0.084mol)を添加し50℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却した。この混合物を400gの氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒にN,N−ジイソブチルアミン13.1g(0.101mol)とともに攪拌した。室温まで昇温した後、約1mLの50重量%の水酸化ナトリウム溶液によって混合物をアルカリ性にした。固体をろ別し、水洗後、乾燥することで白色粉末の{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミン14.3gを得た。収率は(2−ベンゾオキサゾリル)(2−ベンゾチアゾリル)アミンに対して63%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、95.8%であった。
得られた{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミン12.9g(0.0200mol)にDMF60gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物2.49g(0.0100mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを30g添加した。その後、水40gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、やや褐色がかった青緑色粉末のニッケル錯体(C2)12.9gを得た。収率は{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミンに対して95%であった。
製造例3
製造例1において2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾール65.5g(0.300mol)に代えて、2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.300mol)を用いた以外は同様にして、配位子として白色の2,2’−イミノビスベンゾチアゾール31.5gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールに対して74%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、98.1%であった。
製造例2において(2−ベンゾオキサゾリル)(2−ベンゾチアゾリル)アミン9.36g(0.0350mol)に代えて、得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾール9.92g(0.0350mol)を用いた以外は同様にして、微黄色粉末の2,2’−イミノビス[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾール]17.9gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して77%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、98.2%であった。
得られた2,2’−イミノビス[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾール]13.3g(0.0200mol)にDMF60gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物2.49g(0.0100mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを30g添加した。その後、水40gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、ベージュ色粉末のニッケル錯体(C3)13.5gを得た。収率は2,2’−イミノビス[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾール]に対して97%であった。
製造例4
製造例3においてN,N−ジイソブチルアミン13.1g(0.101mol)に代えてモルホリン8.80g(0.101mol)を用いた以外は同様にして、配位子として白色粉末の2,2’−イミノビス(6−モルホリノスルホニルベンゾチアゾール)14.7gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して72%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、98.4%であった。
得られた2,2’−イミノビス(6−モルホリノスルホニルベンゾチアゾール)11.6g(0.0200mol)にDMF60gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物2.49g(0.0100mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを30g添加した。その後、水40gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、黄土色粉末のニッケル錯体(C4)11.5gを得た。収率は2,2’−イミノビス(6−モルホリノスルホニルベンゾチアゾール)に対して94%であった。
製造例5
製造例1において2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾール65.5g(0.300mol)に代えて、2−アミノベンゾオキサゾール20.1g(0.150mol)と2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール27.0g(0.150mol)を用いた以外は同様にして、配位子として白色粉末の(2−ベンゾオキサゾリル)[2−(6−メトキシベンゾチアゾリル)]アミン18.3gを得た。収率は2−アミノベンゾオキサゾールと2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールの総量に対して41%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、95.2%であった。
得られた(2−ベンゾオキサゾリル)[2−(6−メトキシベンゾチアゾリル)]アミン10.4g(0.0350mol)をクロロスルホン酸70.1g(0.602mol)に添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。さらに塩化チオニル10.0g(0.084mol)を添加し50℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却した。この混合物を400gの氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒にN,N−ジイソブチルアミン13.1g(0.101mol)とともに攪拌した。室温まで昇温した後、約1mLの50重量%の水酸化ナトリウム溶液によって混合物をアルカリ性にした。固体をろ別し、水洗後、乾燥することで白色粉末の{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[5−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)−6−メトキシベンゾチアゾリル]}アミン15.4gを得た。収率は(2−ベンゾオキサゾリル)[2−(6−メトキシベンゾチアゾリル)]アミンに対して65%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、96.8%であった。
得られた{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[5−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)−6−メトキシベンゾチアゾリル]}アミン13.6g(0.0200mol)にDMF60gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物2.49g(0.0100mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを30g添加した。その後、水40gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、やや褐色がかった黄緑色粉末のニッケル錯体(C5)13.2gを得た。収率は{2−[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾオキサゾリル]}{2−[5−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)−6−メトキシベンゾチアゾリル]}アミンに対して93%であった。
製造例6
製造例1において2−アミノ−6−トリフルオロメチルベンゾチアゾール65.5g(0.300mol)に代えて、2−アミノ−6−(メチルスルホニル)ベンゾチアゾール68.5g(0.300mol)を用いた以外は同様にして、配位子として微黄色粉末のビス{2−[6−(メチルスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミン33.0gを得た。収率は2−アミノ−6−(メチルスルホニル)ベンゾチアゾールに対して50%であった。純度は、高速液体クロマトグラフにより測定し、98.4%であった。
得られたビス{2−[6−(メチルスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミン22.0g(0.0500mol)にDMF150gを加え、80℃まで昇温し溶解させた。ここに酢酸ニッケル・4水和物6.22g(0.0250mol)を添加し、1時間保温した。反応液を室温まで冷却した後、メタノールを100g添加した。その後、水50gを滴下し、生じた析出物をろ別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、やや褐色がかった緑色粉末のニッケル錯体(C6)21.8gを得た。収率はビス{2−[6−(メチルスルホニル)ベンゾチアゾリル]}アミンに対して93%であった。
得られた各ニッケル錯体の構造式を表1に示す。
Figure 2014024908
Figure 2014024908
(マトリックス成分:シリコンアルコキシドのゾル溶液の調製)
製造例7:マトリックス成分(1)
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(MTES)66.9g(0.38mol)と、フェニルトリエトキシシラン(PTES)30.1g(0.13mol)と、2−エトキシエタノール100gとを混合し、室温で攪拌し、溶液を得た。この溶液に、触媒としてギ酸6.9g (0.15mol)および水27.0g(1.5mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。次に70 ℃まで昇温した後2時間保温し、加水分解・重縮合反応を進行させた。次にロータリーエバポレーターを用いて70℃、2Torrで2時間減圧留去し、MTES+PTESゾル溶液43.8gを得た。ここに2−エトキシエタノールを25.1g添加し、均一になるまで攪拌し、MTES+PTESゾル溶液68.9g(理論固形分濃度:60wt%)を得た。
製造例8:マトリックス成分(2)
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(MTES)22.3g(0.13mol)と、フェニルトリエトキシシラン(PTES)90.1g(0.37mol)と、イソプロパノール120gとを混合し、室温で攪拌し、溶液を得た。この溶液に、触媒としてギ酸6.9g (0.15mol)および水27.0g(1.5mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。次に70 ℃まで昇温した後2時間保温し、加水分解・重縮合反応を進行させた。次にロータリーエバポレーターを用いて70℃、2Torrで2時間減圧留去し、MTES+PTESゾル溶液58.1gを得た。ここにテトラヒドロフラン(THF)を36.6g添加し、均一になるまで攪拌し、MTES+PTESゾル溶液94.7g(理論固形分濃度:60wt%)を得た。
製造例9:マトリックス成分(3)
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた500mL容の四つ口フラスコに、フェニルトリエトキシシラン(PTES)90.1g(0.37mol)と、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)29.5g(0.13mol)と、2−エトキシエタノール120gとを混合し、室温で攪拌し、溶液を得た。この溶液に、触媒としてギ酸6.9g (0.15mol)および水27.0g(1.5mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。次に70 ℃まで昇温した後2時間保温し、加水分解・重縮合反応を進行させた。次にロータリーエバポレーターを用いて70℃、2Torrで2時間減圧留去し、PTES+GPTMSゾル溶液72.5gを得た。ここに2−エトキシエタノールを43.1g添加し、均一になるまで攪拌し、PTES+GPTMSゾル溶液115.6g(理論固形分濃度:60wt%)を得た。
(紫外線吸収部材用組成物の調製)
実施例1
製造例1で得られたニッケル錯体(C1)24.3mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにn−ブチルアミン0.16g(2.19mmol)および2−エトキシエタノール0.21gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−プロピルイソシアネート0.19g(2.23mmol)および製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液0.41gを加え均一になるまで攪拌し、薄緑色の紫外線吸収部材用組成物Aを得た。
実施例2
製造例2で得られたニッケル錯体(C2)52.6mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにジエチルアミン0.17g(2.32mmol)および2−エトキシエタノール0.25gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン0.58g(2.34mmol)および製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液0.65gを加え均一になるまで攪拌し、薄緑色の紫外線吸収部材用組成物Bを得た。
実施例3
製造例2で得られたニッケル錯体(C2)63.3mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにピペリジン0.20g(2.35mmol)および2−エトキシエタノール0.22gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−プロピルイソシアネート0.20g(2.35mmol)および製造例9で得られたPTES+GPTMSゾル溶液0.75gを加え均一になるまで攪拌し、薄緑色の紫外線吸収部材用組成物Cを得た。
実施例4
製造例3で得られたニッケル錯体(C3)23.5mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにn−ブチルアミン0.13g(1.78mmol)および2−エトキシエタノール0.25gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−ブチルイソシアネート0.18g(1.82mmol)および製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液0.40gを加え均一になるまで攪拌し、薄黄緑色の紫外線吸収部材用組成物Dを得た。
実施例5
製造例3で得られたニッケル錯体(C3)29.5mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにn−プロピルアミン0.12g(2.03mmol)および2−エトキシエタノール0.21gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン0.52g(2.10mmol)および製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液0.40gを加え均一になるまで攪拌し、薄黄緑色の紫外線吸収部材用組成物Eを得た。
実施例6
製造例3で得られたニッケル錯体(C3)24.5mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここに3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.38g(2.12mmol)および2−エトキシエタノール0.25gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−プロピルイソシアネート0.19g(2.23mmol)および製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液0.35gを加え均一になるまで攪拌し、薄黄緑色の紫外線吸収部材用組成物Fを得た。
実施例7
製造例4で得られたニッケル錯体(C4)30.5mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにn−ヘキシルアミン0.23g(2.27mmol)および2−エトキシエタノール0.51gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、イソホロンジイソシアネート0.25g(1.12mmol)および製造例9で得られたPTES+GPTMSゾル溶液0.40gを加え均一になるまで攪拌し、薄黄緑色の紫外線吸収部材用組成物Gを得た。
実施例8
製造例4で得られたニッケル錯体(C4)32.3mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにイソホロンジアミン0.19g(1.12mmol)およびテトラヒドロフラン0.51gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−ヘキシルイソシアネート0.29g(2.23mmol)および製造例8で得られたMTES+PTESゾル溶液0.51gを加え均一になるまで攪拌し、薄黄緑色の紫外線吸収部材用組成物Hを得た。
実施例9
製造例5で得られたニッケル錯体(C5)40.8mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにヘキサメチレンジアミン0.13g(1.12mmol)およびテトラヒドロフラン0.52gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、n−プロピルイソシアネート0.20g(2.35mmol)および製造例8で得られたMTES+PTESゾル溶液0.52gを加え均一になるまで攪拌し、薄緑色の紫外線吸収部材用組成物Iを得た。
実施例10
製造例6で得られたニッケル錯体(C6)70.5mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにシクロヘキシルアミン0.21g(2.12mmol)およびテトラヒドロフラン0.51gを添加した。ここに攪拌子を入れ、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに、ヘキサメチレンジイソシアネート0.18g(1.07mmol)および製造例8で得られたMTES+PTESゾル溶液0.75gを加え均一になるまで攪拌し、薄緑色の紫外線吸収部材用組成物Jを得た。
比較例1
製造例3で得られたニッケル錯体(C3)68.8mgを20mlサンプル瓶に秤量し、ここにメチルエチルケトン1.20gを添加した。攪拌子を入れ、60℃水浴下で加温し、マグネティックスターラーを用いて完全に溶解するまで攪拌した。ここに製造例7で得られたMTES+PTESゾル溶液1.50gを加え、均一になるまで攪拌し、濃赤色の紫外線吸収部材用組成物Kを得た。
比較例1は、本発明の特徴である、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物、および分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類のシ化合物を含まない系である。実施例1〜10で得られた紫外線吸収部材用組成物A〜Jは、比較例1で得られた紫外線吸収部材用組成物Kに比べて明らかに色が薄くなっていることが確認された。
(紫外線吸収部材の作製)
実施例11〜20および比較例2
実施例1〜10および比較例1で得られた紫外線吸収部材用組成物A〜Kを用いて紫外線吸収部材を作製した。
[作製方法]
紫外線吸収部材用組成物を、スピンコーター(株式会社アクティブ製、型番:ACT−300A)を用いてソーダライムガラス基材上にコーティングした。その後、室温下、空気中で10分間予備乾燥させた後に、これを160℃に設定したデジタルホットプレート(コーニング社製、型番:PC−400D)に載せて1時間焼成することにより、ガラス基材上にコーティングした組成物を硬化させて、ガラス基板と本発明の紫外線吸収部材用組成物の硬化物の膜を有する積層体として、紫外線吸収部材を作製した。
[紫外線吸収部材の評価]
(1)紫外線(UV−A)吸収能
紫外線吸収部材について分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−4100)を用いてλ=380nmおよびλ=400nmにおける紫外線透過率を測定し、以下の判定を行った。
なお、ベースライン測定は空気層を用いて行った。結果を表2に示す。
◎:透過率10%T未満
〇:透過率10%T以上、50%T未満
×:透過率50%T以上
(2)着色度
紫外線吸収部材について目視で着色度評価を行った。なお、評価基準は比較例2で得られた紫外線吸収部材Jの着色度を基準とした。結果を表2に示す。
◎:着色が極めて小さい
〇:着色が小さい
×:着色が比較的大きい
(3)耐光性
紫外線吸収部材について分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−4100)を用いてλ=380nmにおける吸光度を測定し、その後、この紫外線吸収部材にキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、型番:X25)を用いて放射強度60W/m(λ=300〜400nm域における積算)の光を600時間照射した。光照射後の紫外線吸収部材について、再度λ=380nmにおける吸光度を測定し、光照射による紫外線吸収能の変化を吸収残存率として算出し、評価した。結果を表2に示す。
吸収残存率は以下の式によって算出した。
吸収残存率(%)=(光照射後のλ=380nmにおける吸光度/光照射前のλ=380nmにおける吸光度)×100
Figure 2014024908
実施例11〜20で得られた紫外線吸収部材A〜Jは、比較例2で得られた紫外線吸収部材Kよりも明らかに着色が低減されていることが確認された。加えて、紫外線吸収部材A〜Jは、紫外線吸収部材Kと比べて同等レベルの耐光性を有している。
すなわち、本発明によれば、式(1)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と少なくとも1種類のマトリックス材料を組み合わせることで、該ニッケル錯体の長所である優れた耐光性や、優れた紫外線(UV−A)吸収能を維持したまま、短所であった着色のみを低減することができる。
さらに紫外線(UV−A)吸収能については、実施例11、14〜18、20で得られた紫外線吸収部材A、D〜H、Jの場合には、400nmにおける透過率を大幅に低下させることが可能である。実施例11〜20で得られた紫外線吸収部材A〜J間のこれら紫外線(UV−A)吸収能の差は、用いるニッケル錯体の種類に起因するものであり、用途に応じて用いるニッケル錯体の種類を選択することができる。例えば、400nmの透過率を十分に低下させたい場合にはニッケル錯体C1、C3、C4、C6等を用いて実施例11、14〜18、20に示されるような組成で作製された紫外線吸収部材を用いることが有効であり、主に380nmの透過率を低下させ、かつ、着色を十分に抑制したい場合には、ニッケル錯体C2、C5等を用いて実施例12、13、19に示されるような組成で作製された紫外線吸収部材を用いることが有効である。
近年、窓ガラス等のガラス代替材料として注目されているポリカーボネートは、耐薬品性が乏しいという大きな欠点をもっている。本発明における紫外線吸収部材用組成物を利用すれば、ポリカーボネート基材上に低着色かつ高紫外線吸収能を有するコーティング膜を形成することができ、さらにハードコート特性の付与にも効果的であることは想像に難くない。
本発明により、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった長波紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供することができる。

Claims (2)

  1. 式(1):
    Figure 2014024908
    (式中、XおよびYはそれぞれ互いに独立して酸素原子または硫黄原子であり、
    は1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基であり、
    は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子とRが結合した炭素原子を除いた最大3個の炭素原子に結合する水素原子のうち1ないし3個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、
    は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、ベンゼン環の水素原子を置換した置換基はそれぞれ互いに独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、炭素数1〜16のアルキルアミノスルホニル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基またはチオモルホリノスルホニル基を示す。)で表される少なくとも1種類のニッケル錯体と、分子構造中に1個以上のアミノ基を有する少なくとも1種類の化合物と、分子構造中に1個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種類の化合物と、少なくとも1種類のマトリックス材料とを含む紫外線吸収部材用組成物。
  2. 請求項1に記載の紫外線吸収部材用組成物の硬化物を含む紫外線吸収部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015225785A (ja) * 2014-05-28 2015-12-14 国立大学法人山形大学 有機エレクトロルミネッセンス素子の封止方法
JP2019050220A (ja) * 2018-12-28 2019-03-28 国立大学法人山形大学 有機エレクトロルミネッセンス素子の封止方法

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