JP2014101394A - 紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった380〜400nm域の紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供する。
【解決手段】ベンゼン環と縮合した、窒素と、酸素、硫黄、もしくは更なる窒素を有する複素5員環縮合環を2個有する特定の化合物の金属錯体と、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、式(1)で表される少なくとも1種類の金属錯体と、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材に関する。
近年、可視光線を十分に透過すると同時に、紫外線のみを選択的に遮蔽する機能をもった部材が様々な分野で使用されている。例えば、自動車のウインドウガラスや建築物の窓ガラス等においては、日焼けや内装材の劣化を引き起こす紫外線を遮蔽するために紫外線遮蔽ガラスが広く使用されている。
また、カーポート、ショーウインドウ、ショーケース、照明用透明シェード等に使用される透明樹脂板や、各種透明容器等の用途においても、紫外線遮蔽機能を付与したアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の透明な熱可塑性樹脂の成形体が用いられている。
このように、ガラスや樹脂等に紫外線遮蔽機能を付与するために、紫外線吸収剤として無機系金属酸化物微粒子や有機系紫外線吸収剤を用いる方法が一般的に利用されている(特許文献1〜4)。
無機系酸化物微粒子は耐光性に優れている反面、その吸収波長は材料固有のバンドギャップによって支配されるため、吸収波長の最適化が困難である。さらに、その吸収スペクトルは多くの場合ブロードで、所望の波長域のみを選択的に遮蔽するには限界がある。さらに、溶媒等に溶解させることができないため通常微粒子分散状態で使用するが、可視光域の透明性を確保するためには粒子径をナノオーダーまで小さくする必要があり、多大な労力とコストを要する。
一方、有機系紫外線吸収剤は、分子構造の変更による吸収波長の変更がある程度可能であり、また溶媒に溶解させて使用することができるため、比較的容易に可視光域の透明性を確保できる。しかしながらほとんどの場合、耐光性が不十分であり、紫外線吸収能の持続力という面で信頼性に欠ける。また、吸光係数が小さいことからコーティングにより十分な吸収能を得ることは困難であり、適用可能な用途に制限がある。
また、無機系酸化物微粒子、有機系紫外線吸収剤のいずれについても、380〜400nmの波長域の紫外線を選択的に吸収し、且つ吸光係数の大きな材料はほとんど知られていない。
ここで、380〜400nmの紫外線は、UV−Aと呼ばれる比較的波長の長い紫外線に分類され、地表に到達する太陽光の紫外線としては最も多く含まれるが、人体にとっては皮膚への浸透程度が深いため、長時間の曝露が色素沈着(シミ)やシワを引き起こすことが知られている。様々な分野において高機能化に伴い、可視光域との境界付近の380〜400nmの紫外線を十分に遮蔽でき、且つ400〜780nmの可視光線を十分に透過する材料が望まれている。
特開2006−052116号公報 特開2010−111729号公報 特開2010−189215号公報 特開2008−274246号公報
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった380〜400nm域の紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供することを目的としている。
本発明は、以下に示すとおりの紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いた紫外線吸収部材に関する。
項1.式(1):
Figure 2014101394
(式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、
、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、
またはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、
Mは金属原子を示す。)
で表される少なくとも1種類の金属錯体と、
チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物。
項2.式(1)における金属原子Mが、コバルト原子、ニッケル原子、または銅原子である項1に記載の紫外線吸収部材用組成物。
項3.前記項1または2に記載の紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材。
項4.紫外線吸収部材用組成物が、有機系または無機系基材上にコーティングされる前記項3に記載の紫外線吸収部材。
本発明は、紫外線吸収剤としての式(1)で表される金属錯体と、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含有することを特徴とする紫外線吸収部材用組成物を提供する。
式(1)で表される金属錯体は、上記シランカップリング剤に対して非常に良好な溶解性および/または分散性を示す。
さらに、該シランカップリング剤中に式(1)で表される金属錯体を溶解または分散させることにより、式(1)で表される金属錯体固有の可視光域の微弱な吸収を波長シフトまたは低減することができ、その結果、最終的に得られる紫外線吸収部材の可視光透過率を向上させることができる。
また、本発明は前記の紫外線吸収部材用組成物を用いて、樹脂基材等への配合、および/またはガラス基材や樹脂基材上にコーティング膜を施すことによって作製される紫外線吸収部材を提供する。
式(1)で表される金属錯体は、従来遮蔽困難であった380〜400nm域の紫外線を効率よく吸収し、また一般的な有機系紫外線吸収剤に比べてはるかに良好な耐光性を示す。また、少量の添加で十分な紫外線吸収能を付与することができ、さらに可視光域における透明性が非常に優れている。
さらに式(1)で表される金属錯体は、該シランカップリング剤を前駆体として形成されるポリシロキサンネットワーク中において安定化され、優れた耐光性を発揮する。
本発明によると、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった380〜400nm域の紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(1):
Figure 2014101394
(式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、Y、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、ZまたはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。R、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、Mは金属原子を示す。)
で表される少なくとも1種類の金属錯体と、
チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物、およびこれを用いた紫外線吸収部材を提供するものである。
また、式(1)におけるY、Y、YおよびY、ZおよびZ、R、R、R、R、R、RおよびMについて以下に例示する。
式中、Y、Y、YまたはYに帰属される、前記のNRのRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基や、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
尚、Y、Y、Y、Yのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
ここで、式(1)におけるY、Y、YおよびYは、合成方法の簡便さの観点から、硫黄原子であることが特に好ましい。
式中、ZまたはZに帰属される、前記のCRのRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基や、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、ナフチル基等のアリール基や、2−フリル基、2−チエニル基、5−クロロ−2−チエニル基、2−ピロリル基、2−オキサゾリル基、5−メチル−2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基等のヘテロアリール基や、4−ピリジルメチル基、4−キノリルメチル基、2−チエニルメチル基等のヘテロアラルキル基や、
4−アセトアミドベンジル基、3−アミノベンジル基、4−アミノベンジル基、3−メトキシベンジル基、2−メトキシフェネチル基、4−(n−ペンチルオキシ)ベンジル基、2−アリルオキシフェネチル基、5−アリル−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−フェネチル基、4−ブロモベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、6−ブロモ−2−ヒドロキシベンジル基、5−ブロモ−3−ニトロ−2−ヒドロキシフェネチル基、4−(n−ブチル)ベンジル基、3−ブロモ−5−メトキシ−4−ヒドロキシベンジル基、4−ベンジルオキシベンジル基、6−ブロモ−3−メトキシ−2−ヒドロキシベンジル基、(1−ブロモ−2−ナフチル)−n−プロピル基、2−ベンジルオキシベンジル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェネチル基、4−tert−ブチルベンジル基、5−ブロモ−2−フルオロベンジル基、3−ブロモ−4−メトキシベンジル基、5−ブロモ−2−メトキシベンジル基、3−ブロモ−5−クロロ−2−ヒドロキシベンジル基、4−ブロモ−2−フルオロベンジル基、2−ブロモ−4,5−ジメトキシフェネチル基、3,4−エチレンジオキシベンジル基、3−ブロモ−4−フルオロフェネチル基、6−ブロモ−3,4−メチレンジオキシベンジル基、3−ブロモ−4−ヒドロキシベンジル基、2−ブロモ−5−フルオロフェネチル基、4−シアノベンジル基、4−トリフルオロベンジル基、4−(4−クロロフェノキシ)フェネチル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンジル基、3,4−ジアセトキシベンジル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジル基、4−[N−(4,4−ジオキソチオモルホリノ)]ベンジル基、4−(N−ピロリジノ)ベンジル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジル基、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェネチル基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジル基、(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−n−プロピル基、4−イソプロピルベンジル基、4−イソブチルベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。
前記のZまたはZに帰属されるCRのRとして例示したものの中では、合成方法の簡便さや反応性の観点から、アラルキル基であることが特に好ましい。
尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
さらに、式(1)におけるZおよびZは、合成方法の簡便さの観点から、窒素原子であることが特に好ましい。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、2−メトキシエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、3−クロロ−n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル、6−フェニル−n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記のハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、前記の置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基としては、例えば、N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−イソプロピルアミノスルホニル基、N−n−プロピルアミノスルホニル基、N−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−メチルエチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基、N,N−エチルイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジイソプロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−プロピルアミノスルホニル基、N,N−ジ−n−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジイソブチルアミノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基としては、例えば、モルホリノスルホニル基、2−メチルモルホリノスルホニル基、3−メチルモルホリノスルホニル基、2−エチルモルホリノスルホニル基、3−n−プロピルモルホリノスルホニル基、3−n−ブチルモルホリノスルホニル基、2,3−ジメチルモルホリノスルホニル基、2,6−ジメチルモルホリノスルホニル基、3−フェニルモルホリノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基としては、例えば、ピペリジノスルホニル基、2−メチルピペリジノスルホニル基、3−メチルピペリジノスルホニル基、4−メチルピペリジノスルホニル基、2−エチルピペリジノスルホニル基、4−n−プロピルピペリジノスルホニル基、3−n−ブチルピペリジノスルホニル基、2,4−ジメチルピペリジノスルホニル基、2,6−ジメチルピペリジノスルホニル基、4−フェニルピペリジノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基としては、例えば、ピロリジノスルホニル基、2−メチルピロリジノスルホニル基、3−メチルピロリジノスルホニル基、2−エチルピロリジノスルホニル基、3−n−プロピルピロリジノスルホニル基、3−n−ブチルピロリジノスルホニル基、2,4−ジメチルピロリジノスルホニル基、2,5−ジメチルピロリジノスルホニル基、3−フェニルピロリジノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基としては、例えば、チオモルホルノスルホニル基、2−メチルチオモルホリノスルホニル基、3−メチルチオモルホリノスルホニル基、2−エチルチオモルホリノスルホニル基、3−n−プロピルチオモルホリノスルホニル基、3−n−ブチルチオモルホリノスルホニル基、2,3−ジメチルチオモルホリノスルホニル基、2,6−ジメチルチオモルホリノスルホニル基、3−フェニルチオモルホリノスルホニル基等が挙げられる。
式中、R、R、RまたはRに帰属される、置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基としては、例えば、ピペラジノスルホニル基、2−メチルピペラジノスルホニル基、3−メチルピペラジノスルホニル基、2−エチルピペラジノスルホニル基、3−n−プロピルピペラジノスルホニル基、3−n−ブチルピペラジノスルホニル基、2,5−ジメチルピペラジノスルホニル基、2,6−ジメチルピペラジノスルホニル基、3−フェニルピペラジノスルホニル基、2−ピリミジルピペラジノスルホニル基等が挙げられる。
前記のR、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個、好ましくは1または2個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、経済性すなわち原料の入手の簡便さや収率の観点から、存在しないか、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であることが好ましく、存在しないか、ハロゲノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基であることがより好ましく、存在しないことがさらに好ましい。
これらに加えて、Y、Y、YおよびY、ZおよびZ、R、R、RおよびRはそれぞれ互いに独立したものであるが、合成方法の簡便さおよび取得する該金属錯体の品質(純度)管理の観点から、Y=Y且つY=Y且つZ=Z且つR=R=R=Rであることが特に好ましい。
式中、Mで表される金属原子は、例えば、コバルト原子、ニッケル原子、または銅原子等が挙げられる。該金属錯体とシランカップリング剤からなる紫外線吸収部材用組成物および最終的に得られる紫外線吸収部材の着色低減の観点から、ニッケル原子であることが特に好ましい。
式(1)で表される金属錯体は、下記式(2)で表される配位子と、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩等の金属塩とを反応させることで合成することができる。
式(2):
Figure 2014101394
式(2)において、Y、Y、Z、R、Rは、それぞれ式(1)中のY(および/またはY)、Y(および/またはY)、Z(および/またはZ)、R(および/またはR)、R(および/またはR)に対応している。
式(2)で表される配位子は、例えば、「特開昭56−87575」、「Synthesis 1987,368」、「Synthesis 1982,590」、「Synthesis 1982,1066−1067」、「J.Org.Chem.2002,67,5753−5772」、「J.Org.Chem.2002,67,5753−5772」、「J.Org.Chem.1961,26,3434−3445」、「Gazz.Chim.Ital.1996,126,329−337」、「Gazz.Chim.Ital.1994,124,301−308」、「特表2007−535421」において開示されている方法で合成することができる。
以下、式(2)で表される配位子の製造方法を一部説明する。
≪配位子の製造方法≫
i) 下記式(3):式(2)においてY=Y=S,Z=Nの場合
Figure 2014101394
例えば、特開昭56−87575に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノベンゾチアゾール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換ベンゾチアゾール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をフェノール等の酸触媒存在下において、150〜185℃に加熱し、反応させることによって2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を合成することができる。
ii) 下記式(4):式(2)においてY=S,Y=O,Z=Nの場合
Figure 2014101394
例えば、Synthesis 1987,368に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノフェノール(Rが存在しない場合)または2−アミノ−置換フェノール(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、塩基として水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で30分間攪拌し、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]−カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)のDMF溶液を滴下し、窒素雰囲気下で還流させることで2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾールまたは2−[2−(置換ベンゾチアゾリル)アミノ]置換ベンゾオキサゾールを合成することができる。
前記S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエートまたはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエートは、例えば、Synthesis 1982,590に記載されている方法に従って合成することができる。
すなわち、2−アミノベンゾチアゾール(Rが存在しない場合)または2−アミノ−置換ベンゾチアゾール(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をDMFに溶解させ、水浴または氷浴下でこの溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、次に二硫化炭素を滴下し、さらに水酸化ナトリウム水溶液を滴下した後、ヨウ化メチルを滴下することで、S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−(2−置換ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)を合成することができる。
iii) 下記式(5):式(2)においてY=S,Y=NH,Z=Nの場合
Figure 2014101394
例えば、Synthesis 1982,1066−1067に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、o−フェニレンジアミン(Rが存在しない場合)またはo−(置換フェニレン)ジアミン(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)をDMFに溶解させ、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート(Rが存在しない場合)またはS,S’−ジメチル−N−[2−(置換ベンゾチアゾリル)]−カルボンイミドジチオエート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)のDMF溶液を滴下した後に、10〜16時間還流させることで2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾイミダゾールまたは2−[2−(置換ベンゾチアゾリルアミノ)]置換ベンゾイミダゾールを合成することができる。
iv) 下記式(6):式(2)においてY=S,Y=NH,Z=CHの場合
Figure 2014101394
例えば、J.Org.Chem.2002,67,5753−5772に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、o−フェニレンジアミン(Rが存在しない場合)またはo−(置換フェニレン)ジアミン(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)と、エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート(Rが存在しない場合)またはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテート(Rが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)を窒素雰囲気下において160℃で6時間還流することによって(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)メタンまたは[2−(置換ベンゾチアゾリル)][2−(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンを合成することができる。
前記エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテートまたはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテートは、例えば、J.Org.Chem.2002,67,5753−5772に記載されている方法に従って合成することができる。
すなわち、エチルシアノアセテートと2−アミノ−置換チオフェノールを混合し、窒素雰囲気下において120℃で2時間反応させることで、エチル−2−ベンゾチアゾリルアセテートまたはエチル−2−(置換ベンゾチアゾリル)アセテートを合成することができる。
v) 下記式(7):式(2)においてY=Y=O,Z=CHの場合
Figure 2014101394
例えば、US3250780に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノフェノール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換フェノール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸中に70℃に保温しながら加える。次に、この反応液を175℃まで昇温し、反応させることで、ビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]メタンを合成することができる。
vi) 下記式(8):式(2)においてY=Y=S,Z=CHの場合
Figure 2014101394
例えば、J.Org.Chem.1961,26,3434−3445に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、2−アミノチオフェノール(RおよびRが存在しない場合)または2−アミノ−置換チオフェノール(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸中に70℃に保温しながら加える。次に、この反応液を125−150℃で2時間反応させることで、ビス(2−ベンゾチアゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾチアゾリル)]メタンを合成することができる。
vii) 下記式(9):式(2)においてY=NR、Y=NR,Z=CHの場合
Figure 2014101394
例えば、Gazz.Chim.Ital.1996,126,329−337に記載されている方法に従って合成することができる。すなわち、(N−置換−)o−フェニレンジアミン(RおよびRが存在しない場合)または(N−置換−)[o−(置換フェニレン)]ジアミン(RおよびRが置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲノ基の場合)とマロン酸ジエチルを混合し、この混合液を窒素雰囲気下において155℃で11時間還流することで、ビス[2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル]メタンまたはビス[2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンを合成することができる。
viii) 下記式(10):式(2)においてZ=CRの場合
Figure 2014101394
例えば、Gazz.Chim.Ital.1994,124,301−308に記載されている方法に従って合成することができる。前記の通り、式(1)中のZまたはZに帰属されるCRのRとしてはアラルキル基であることが特に好ましい。ここでは、このアラルキル基が例えば4−ピリジルメチル基である場合を取り上げ、以下、合成方法を説明する。4−ピリジルメチル基以外の置換基である場合にも対応する基質(置換基に対応するアルデヒド体)を選択することで、同様の合成方法に従って合成することが可能である。
iv)で得られた(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)メタンまたは[2−(置換ベンゾチアゾリル)][2−(置換ベンゾイミダゾリル)]メタン、または
v)で得られたビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾオキサゾリル)]メタン、または
vi)で得られたビス(2−ベンゾチアゾリル)メタンまたはビス[2−(置換ベンゾチアゾリル)]メタン、または
vii)で得られたビス[2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル]メタンまたはビス[2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)]メタンと、
酢酸および酢酸ナトリウムを混合し、ここに4−ピリジンカルボキシアルデヒドを添加し反応させた後に、パラジウムカーボン等を用いて還元することで、
iv)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−{2−(置換ベンゾチアゾリル)}{2−(置換ベンゾイミダゾリル)}エチル]ピリジンを、
v)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(置換ベンゾオキサゾリル)}エチル]ピリジンを、
vi)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス(2−ベンゾチアゾリル)エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(置換ベンゾチアゾリル)}エチル]ピリジンを、
vii)で得られた化合物からは、対応する4−[β,β−ビス{2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル}エチル]ピリジンまたは4−[β,β−ビス{2−(N−置換)(置換ベンゾイミダゾリル)エチル]ピリジンを合成することができる。
ix) 式(2)においてRおよびRのそれぞれ少なくとも一つの置換基が、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基の場合
例えば、特表2007−535421に記載されている方法に従って、前記i)〜viii)の方法で得られた配位子(式(2)においてRおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし3個が置換されたものに限る)に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基を導入することができる。
ここでは、i)で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を例に挙げ、以下、合成方法を説明する。
i)で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾールまたは2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)をクロロスルホン酸に添加し、混合物を一晩攪拌する。さらに塩化チオニルを添加し50℃で1時間攪拌した後室温まで冷却する。混合物を氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒に一級または二級アミンと攪拌することで対応する2,2’−イミノビス(置換ベンゾチアゾール)を合成することができる。
≪式(1)で表される金属錯体の製造方法≫
例えば、Polyhedron 2006,25,2363−2374やJ.Org.Chem.2002,67,5753−5772等に記載されている方法に従って、前記のi) 〜ix)の製造方法に基づいて得られた配位子と、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩等の金属塩とを反応させることによって対応する金属錯体を合成することができる。すなわち、前記のi) 〜ix)の製造方法に基づいて得られた配位子と、式(1)中のMに対応する金属塩を、メタノール、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中で反応させることにより合成することができる。
≪式(1)で表される少なくとも1種類の金属錯体と、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物の製造方法≫
本発明における紫外線吸収部材用組成物について以下説明する。
チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤としては、例えば、
トリメトキシシリルプロパンチオール、トリエトキシシリルプロパンチオール、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール等や、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等や、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等や、
3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
入手のし易さ、および最終的に得られる紫外線吸収部材の着色低減の観点から、トリメトキシシリルプロパンチオール、トリエトキシシリルプロパンチオール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランであることが好ましく、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランであることがより好ましい。
また、該シランカップリング剤の使用量としては、該金属錯体10重量部に対して1〜500重量部、好ましくは3〜350重量部、より好ましくは5〜250重量部である。1重量部未満の場合、本発明の特徴である該金属錯体の着色低減効果が十分に発揮されないおそれがあり、500重量部より多いと得られる紫外線吸収部材用組成物中の該金属錯体の濃度が低下し、最終的に得られる紫外線吸収部材に十分な紫外線吸収能を付与できないおそれがある。
また、本発明における紫外線吸収部材用組成物の濃度を調整するために、溶媒を別途使用してもよい。
さらに、最終的に得られる紫外線吸収部材のコーティング膜の機械強度や膜厚等を調整するために、別途シリコンアルコキシドや金属アルコキシドを添加してもよい。
例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ(エトキシ)シラン、エチルジエトキシ(メトキシ)シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビス(2−メトキシエトキシ)ジメチルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のシリコンアルコキシドや、
チタンアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、スズアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ニッケルアルコキシド、亜鉛アルコキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
これらシリコンアルコキシドや金属アルコキシドを添加する場合、そのまま添加してもよいし、事前にシリコンアルコキシドおよび/または金属アルコキシドを加水分解・重縮合させゾル体を調製し、これを添加してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化剤、硬化触媒、架橋剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、フィラー、着色剤、光触媒材料、防錆剤、撥水剤、導電性材料、アンチブロッキング材、軟化剤、離型剤、蛍光増白剤等を適宜添加してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の光吸収剤を添加し、併用することも可能である。
併用することのできる光吸収剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、有機系光吸収剤としては、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ベンズイミダゾロン系、キノン系、アントアントロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、アゾ系、シアニン系、アザシアニン系、スクアリリウム系、トリアリールメタン系等の有機色素や、ベンゼンジチオール金属錯体系、ジチオレン金属錯体系、アゾ金属系、金属フタロシアニン系、金属ナフタロシアニン系、ポルフィリン金属錯体系等の金属錯体系色素や、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系、サリチル酸フェニルエステル系、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾエート系、リン系、アミド系、アミン系、硫黄系等の有機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、無機系光吸収剤としては、六ホウ化物、酸化タングステン、複合酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化ガリウム、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タリウム、酸化ニッケル、酸化ネオジム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化プラセオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミニウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等の金属酸化物や、ITO(インジウム−錫複合酸化物)、ATO(アンチモン−錫複合酸化物)等の複合金属酸化物や、窒化チタン、窒化クロム酸等の金属窒化物等が挙げられる。
紫外線吸収部材用組成物を調製するにあたり、分散機を使用する場合には、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、ナノミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル等のメディア型分散機や、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等のメディアレス型分散機を使用することができる。
メディア型分散機を用いる場合、使用できる分散メディアとしては、用いる分散機の分散室内部の材質に応じて、ステンレス鋼、スチール等の鋼球ビーズや、アルミナ、ステアタイト、ジルコニア、ジルコン、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックスビーズや、ソーダガラス、ハイビー等のガラスビーズや、WC等の超硬ビーズ等が挙げられる。そのビーズ径は0.03〜1.5mmφの範囲が好ましい。
《紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材》
かくして得られた紫外線吸収部材用組成物を基材に配合することより、基材中に式(1)で表される金属錯体を含有する紫外線吸収部材、および紫外線吸収部材用組成物を基材上にコーティングした後、焼成することにより、基材上に式(1)で表される金属錯体を含有するコーティング膜を有する紫外線吸収部材を作製することができる。
前記のコーティング膜を有する紫外線吸収部材の作製方法を以下に詳述する。
前記紫外線吸収部材用組成物を基材にコーティングする方法としては、特に限定されないが、例えばディップコート法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、バーコート法、スプレー法、リバースコート法等の公知の方法が挙げられる。
基材は、所望によりフィルムでもボードでも良く、形状は限定されない。材質についても特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、ガラス等の無機系基材や、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の有機系基材が挙げられる。中でも、透明性の観点から、ガラス、ポリ(シクロ)オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が好ましい。
また、層間剥離、コートムラを防ぐ目的で、コーティング前に基材表面を洗浄してもよい。洗浄方法としては特に限定されず、基材の種類に応じて適宜選択し、実施することができる。通常、超音波洗浄、UV洗浄、セリ粉洗浄、酸洗浄、アルカリ洗浄、界面活性剤洗浄、有機溶剤洗浄等を単独で、または組み合わせて実施することができる。洗浄終了後は、洗浄剤が残留しないように濯ぎ及び乾燥を行う。
最終的に得られる紫外線吸収部材のコーティング膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜調整することができるが、通常0.01〜100μm、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.01〜30μmである。0.01μm未満では、十分な紫外線吸収能が得られないおそれがあり、100μmを超えると、乾燥、焼成時に溶媒等の低分子成分が膜内部から蒸発し、膜表面に凹凸が生じたり、クラックを生じる可能性がある。
焼成温度は80〜500℃、好ましくは90〜400℃、より好ましくは100〜300℃である。80℃未満では、シランカップリング剤や別途必要に応じて併用するシリコンアルコキシドや金属アルコキシド(ゾル体等)の重縮合が進行しにくく十分な膜強度が得られないおそれがあり、500℃を超えると式(1)で表される金属錯体の分解が始まり、紫外線吸収能が低下するおそれがある。
焼成時間は、通常、10分間〜5時間、好ましくは30分間〜3時間である。10分間より短いとシランカップリング剤や別途必要に応じて併用する無機系重合性モノマー、無機系高分子材料の重縮合が進行せず十分な膜強度が得られないおそれがあり、5時間より長いと時間に見合う効果が得られず経済的でない。
前記紫外線吸収部材用組成物中に溶媒等の非重合性の低分子揮発成分を含む場合、前記焼成工程の前に乾燥工程を設けてもよく、その乾燥温度、乾燥時間は、用いる溶媒の種類によって適宜設定することができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
フェノール18.8g(0.2モル)を50℃まで加熱し溶融させ、ここに2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)を加えた後、さらに180℃まで加熱し、20時間保温した。その後、反応液を80℃まで冷却し、エタノール60gを滴下し、さらに1時間保温した。その後、室温まで冷却し、析出物を濾別し、エタノールで洗浄後、乾燥し、配位子として白色の2,2’−イミノビスベンゾチアゾール(L1:下記表1参照)32.1gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールに対して75.5%であった。
製造例2
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−5,6−ジメチルベンゾチアゾール53.5g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(5,6−ジメチルベンゾチアゾール)(L2:下記表1参照)42.1gを得た。収率は2−アミノ−5,6−ジメチルベンゾチアゾールに対して82.7%であった。
製造例3
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−6−クロロベンゾチアゾール55.4g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(6−クロロベンゾチアゾール)(L3:下記表1参照)37.2gを得た。収率は2−アミノ−6−クロロベンゾチアゾールに対して70.4%であった。
製造例4
製造例1において2−アミノベンゾチアゾール45.1g(0.3モル)に代えて2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール54.1g(0.3モル)を用いた以外は製造例1と同様にして、配位子として、白色の2,2’−イミノビス(6−メトキシベンゾチアゾール)(L4:下記表1参照)41.7gを得た。収率は2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾールに対して81.0%であった。
製造例5
2−アミノベンゾチアゾール90.1g(0.60モル)をDMF566gに溶解させ、氷浴下で20モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液36mL(水酸化ナトリウム0.72モル相当)を滴下し、次いで二硫化炭素91.4g(1.2モル)を滴下し、さらに20モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液36mL(水酸化ナトリウム0.72モル相当)を滴下した後に、ヨウ化メチル178.8g(1.26モル)を滴下した。室温で2時間攪拌した後に、この反応液を水3000gの中に滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、S,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート107.2gを得た。収率は2−アミノベンゾチアゾールに対して70.2%であった。
2−アミノフェノール21.8g(0.20モル)をDMF944gに溶解させ、ここに5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液40mL(水酸化ナトリウム0.20モル相当)を加え、室温で30分間攪拌し、次いでここに前記の得られたS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)をDMF1416gに溶解させた溶液を滴下した。次いで153℃まで昇温し、窒素雰囲気下で6時間還流させた後、室温まで冷却し、この反応液を水2000g中に滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾール(L5:下記表1参照)30.0gを得た。収率は2−アミノフェノールに対して56.1%であった。
製造例6
製造例5において2−アミノベンゾチアゾール90.1g(0.60モル)に代えて、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール98.5g(0.60モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、S,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエート114.2gを得た。収率は2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾールに対して70.9%であった。
製造例5においてS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)に代えて、ここで得られたS,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエート53.7g(0.20モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、2−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)アミノ]ベンゾオキサゾール(L6:下記表1参照)29.4gを得た。収率はS,S’−ジメチル−N−[2−(6−メチルベンゾチアゾリル)]カルボンイミドジチオエートに対して52.3%であった。
製造例7
製造例5において2−アミノフェノール21.8g(0.20モル)に代えて、2−アミノ−4−クロロフェノール28.7g(0.20モル)を用いた以外は製造例5と同様にして、5−クロロ−2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾール(L7:下記表1参照)32.4gを得た。収率は2−アミノ−4−クロロフェノールに対して53.7%であった。
製造例8
o−フェニレンジアミン21.6g(0.2モル)をDMF944gに溶解させ、ここにS,S’−ジメチル−N−(2−ベンゾチアゾリル)−カルボンイミドジチオエート50.9g(0.20モル)をDMF1258gに溶解させた溶液を滴下した。次いで153℃まで昇温し、窒素雰囲気下で13時間還流させた後、0℃まで冷却した。ここに水2000gを滴下し、析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾイミダゾール(L8:下記表1参照)32.0gを得た。収率はo−フェニレンジアミンに対して60.1%であった。
製造例9
エチルシアノアセテート101.8g(0.90モル)と2−アミノチオフェノール112.7g(0.90モル)を混合し、窒素雰囲気下において120℃で2時間保温した。この反応液を室温まで冷却した後、黄色のオイルとしてエチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート185.7gを得た。収率は2−アミノチオフェノールに対して93.2%であった。
N−メチル−o−フェニレンジアミン73.3g(0.60モル)と、前で得られたエチル−2−ベンゾチアゾリルアセテート132.8g(0.60モル)を混合し、窒素雰囲気下において160℃で6時間還流した。このとき副生するエタノールを留去しながら還流した。反応液を室温まで冷却し、ジエチルエーテル900gを加え、析出した黄色の固体を濾別した。濾別した黄色固体に20%塩酸1500gを加え溶解させた。ここに活性炭を加え、室温で30分間攪拌後、濾過し、得られた濾液がpH=8になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し中和したところ、沈殿物が得られた。これを濾別し、水600g、クロロホルム600gを加え、攪拌し、分液処理によりクロロホルム層を取り出した。クロロホルムを留去し、さらに乾燥することで、微黄色の(2−ベンゾチアゾリル)(2−(N−メチルベンゾイミダゾリル)メタン(L9:下記表1参照)36.9gを得た。収率はN−メチル−o−フェニレンジアミンに対して22.0%であった。
製造例10
2−アミノフェノール32.7g(0.30モル)とマロン酸15.6g(0.15モル)を混合し、この混合液を攪拌下のポリリン酸390g中に70℃に保温しながら加える。次にこの反応液を150℃まで昇温し、3時間保温した後、室温まで冷却した後に水を滴下した。析出物を濾別し、水で洗浄後、乾燥し、ビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタン(L10:下記表1参照)25.3gを得た。収率は2−アミノフェノールに対して67.4%であった。
製造例11
製造例10において2−アミノフェノール32.7g(0.30モル)に代えて、2−アミノチオフェノール37.6g(0.30モル)を用いた以外は製造例10と同様にして、ビス(2−ベンゾチアゾリル)メタン(L11:下記表1参照)38.2gを得た。収率は2−アミノチオフェノールに対して90.2%であった。
製造例12
N−メチル−o−フェニレンジアミン110.0g(0.90モル)とマロン酸ジエチル72.1g(0.45モル)を混合し、この混合液を窒素雰囲気下において155℃で11時間還流した。析出物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄後、20%塩酸900mLを加え溶解させた。ここに活性炭を加え、室温で30分間攪拌後、濾過し、得られた濾液がpH=8になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下したところ、沈殿を生じた。これを濾別し灰色固体を得た。この灰色固体をIPAから再結晶することにより精製し、乾燥することで、白色のビス[2−(N−メチルベンゾイミダゾリル)]メタン(L12:下記表1参照)38.1gを得た。収率はN−メチル−o−フェニレンジアミンに対して30.6%であった。
製造例13
製造例1で得られた2,2’−イミノビスベンゾチアゾール(L1:下記表1参照)10g(0.035モル)をクロロスルホン酸70.1g(0.602モル)に添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。さらに塩化チオニル10g(0.084モル)を添加し50℃で1時間攪拌した後室温まで冷却した。この混合物を400gの氷の上に注ぎ、吸引ろ過し残った氷と一緒にジイソブチルアミン13.1g(0.101モル)と即座に攪拌した。室温まで暖めた後、約1mLの50重量%の水酸化ナトリウム溶液によって混合物をアルカリ性にした。固体を吸引ろ過し、水で洗浄後、乾燥することで薄黄色の2,2’−イミノビス[6−(N,N−ジイソブチルアミノスルホニル)ベンゾチアゾール](L13:下記表1参照)18.6gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して80.0%であった。
製造例14
製造例13においてジイソブチルアミン13.1g(0.101モル)に代えて、モルホリン8.8g(0.101モル)を用いた以外は製造例13と同様にして、2,2’−イミノビス(6−モルホリノスルホニルベンゾチアゾール)(L14:下記表1参照)15.4gを得た。収率は2,2’−イミノビスベンゾチアゾールに対して75.5%であった。
得られた各配位子の構造式を表1に示す。
Figure 2014101394
Figure 2014101394
製造例15
製造例1で得られた配位子(L1)28.3g(0.1モル)を温メタノール2250g(60℃)に溶解させ、ここに酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)を温メタノール400gに溶解させた溶液を滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、橙色のコバルト錯体(C1−Co)28.5gを得た。収率は配位子(L1)に対して91.4%であった。
製造例16
製造例15において酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)に代えて、酢酸ニッケル・4水和物12.4g(0.05モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C1−Ni)23.5gを得た。収率は配位子(L1)に対して75.4%であった。
製造例17
製造例15において酢酸コバルト・4水和物12.5g(0.05モル)に代えて、酢酸銅・1水和物10.0g(0.05モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、灰緑色の銅錯体(C1−Cu)24.8gを得た。収率は配位子(L1)に対して78.9%であった。
製造例18
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L2)33.9g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、橙色のコバルト錯体(C2−Co)32.3gを得た。収率は配位子(L2)に対して87.8%であった。
製造例19
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L3)35.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C3−Ni)28.0gを得た。収率は配位子(L3)に対して73.6%であった。
製造例20
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L4)34.3g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、灰緑色の銅錯体(C4−Cu)26.2gを得た。収率は配位子(L4)に対して70.0%であった。
製造例21
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L5)26.7g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤褐色のニッケル錯体(C5−Ni)25.2gを得た。収率は配位子(L5)に対して85.2%であった。
製造例22
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L6)28.1g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、橙色のコバルト錯体(C6−Co)16.3gを得た。収率は配位子(L6)に対して52.6%であった。
製造例23
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L7)30.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤紫色のニッケル錯体(C7−Ni)22.5gを得た。収率は配位子(L7)に対して68.2%であった。
製造例24
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L8)26.6g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、緑色の銅錯体(C8−Cu)16.6gを得た。収率は配位子(L8)に対して55.9%であった。
製造例25
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L9)27.9g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、赤褐色のニッケル錯体(C9−Ni)24.4gを得た。収率は配位子(L9)に対して79.3%であった。
製造例26
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L10)25.0g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、赤色のコバルト錯体(C10−Co)20.3gを得た。収率は配位子(L10)に対して72.8%であった。
製造例27
製造例15において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例15と同様にして、紫色のコバルト錯体(C11−Co)22.1gを得た。収率は配位子(L11)に対して71.1%であった。
製造例28
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、黒緑色のニッケル錯体(C11−Ni)13.5gを得た。収率は配位子(L11)に対して43.4%であった。
製造例29
製造例17において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L11)28.2g(0.1モル)を用いた以外は製造例17と同様にして、緑色の銅錯体(C11−Cu)18.6gを得た。収率は配位子(L11)に対して59.4%であった。
製造例30
製造例16において配位子(L1)28.3g(0.1モル)に代えて、配位子(L12)27.6g(0.1モル)を用いた以外は製造例16と同様にして、灰色のニッケル錯体(C12−Ni)20.8gを得た。収率は配位子(L12)に対して68.3%であった。
製造例31
製造例13で得られた配位子(L13)4.00g(0.006モル)を温DMF24g(70℃)に溶解させ、ここに酢酸ニッケル・4水和物0.75g(0.003モル)を添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後メタノール20gを滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、黄緑色のニッケル錯体(C13−Ni)3.58gを得た。収率は配位子(L13)に対して85.9%であった。
製造例32
製造例14で得られた配位子(L14)3.49g(0.006モル)を温DMF24g(70℃)に溶解させ、ここに酢酸コバルト・4水和物0.75g(0.003モル)を添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌し、室温まで冷却した後メタノール20gを滴下した。生じた析出物を濾別し、メタノールで洗浄後、乾燥し、黄色のコバルト錯体(C14−Co)3.14gを得た。収率は配位子(L14)に対して85.8%であった。
得られた各金属錯体の構造式を表2に示す。
Figure 2014101394
(紫外線吸収部材用組成物の調製)
製造例15〜32で得られた金属錯体を用いて、以下の表3に示す組成比率において紫外線吸収部材用組成物を得た。尚、表3中のアクリル系樹脂としては、アクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(ローム・アンド・ハース社製の商品名;パラロイド B−72)を用いた。また、表3中のPGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略称である。
[分散機の使用]
有・・・各成分および0.1mmφのジルコニアボールを粉砕容器(フリッチュ社製の商品名:premium line用粉砕容器(内装ジルコニア製))に加え、遊星型ボールミル(フリッチュ社製の商品名:premium line P−7)を用いて600rpmで5分間分散した後、10分間冷却し、さらに1100rpmで5分間分散処理した。
無・・・各成分およびスターラーピースをガラス製サンプル瓶に加え、マグネティックスターラーを用いて20分間攪拌した。
[着色度]
着色度の評価は目視で行った。比較例1〜3は、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有するシランカップリング剤を含まない系であり、これらの系の着色度を△と設定し、これを基準に比較評価した。
◎・・・着色が非常に小さい
〇・・・着色が小さい
△・・・着色が比較的大きい
Figure 2014101394
比較例1〜4は、チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有するシランカップリング剤を含まない系である。後述の紫外線吸収部材を作製するにあたり、実施例1〜20では、含有される該シランカップリング剤が焼成工程で加水分解および重縮合反応を起こし、マトリックスを形成することで該金属錯体のバインダーとして働く。比較例1〜4ではこのようなマトリックス前駆体を含まないため、別途アクリル系樹脂を添加した。
結果、実施例1〜20の該シランカップリング剤を含む系では、明らかに比較例1〜4よりも着色が低減されている。
(紫外線吸収部材の作製)
実施例1〜20、比較例1〜4で得られた紫外線吸収部材用組成物を用いて紫外線吸収部材を作製した。
[作製方法]
紫外線吸収部材用組成物を、スピンコーターを用いてソーダライムガラス基材上に塗布し、その後、室温下、窒素雰囲気において10分間予備乾燥させた後に200℃で1時間焼成し、紫外線吸収部材を得た。
尚、実施例39および比較例8ではソーダライムガラスに代えてポリカーボネート基材(住友ベークライト製、商品名:ポリカエースECK−100)を使用し、焼成条件を120℃/1時間とした。
[紫外線吸収部材の評価]
(1)着色度
着色度の評価は目視で行った。下記の通り比較例5〜7の着色度を△と設定し、これを基準に比較評価した。
◎・・・着色が非常に小さい
〇・・・着色が小さい
△・・・着色が比較的大きい
×・・・着色が非常に大きい(濁りがある)
(2)耐光性
紫外線吸収部材について分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−4100)を用いてλ=380nmにおける吸光度を測定した後、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、型番:X25)を用いて、これら紫外線吸収部材に放射強度60W/m(λ=300〜400nm域における積算)の光を1000時間照射した。光照射後の紫外線吸収部材について、再度λ=380nmにおける吸光度を測定し、光照射による紫外線吸収能の変化を吸収残存率として算出し、評価した。
吸収残存率は以下の式によって算出した。
吸収残存率(%)=(光照射後のλ=380nmにおける吸光度/光照射前のλ=380nmにおける吸光度)×100
結果を以下の表4に示す。
Figure 2014101394
実施例21〜40で得られた紫外線吸収部材は、比較例5〜8で得られた紫外線吸収部材よりも明らかに着色が低減されている。加えて、実施例21〜40のいずれについても、該シランカップリング剤を含まない比較例5〜8と比べて同等レベルの耐光性を有している。
すなわち本発明によれば、該金属錯体と該シランカップリング剤を組み合わせることで、該金属錯体の長所である優れた耐光性や、380〜400nm域の紫外線の十分な遮蔽等を長時間維持したまま、短所であった着色のみを低減することができる。
また、ポリカーボネート基材上にコーティングを施した実施例39と比較例8を比べると、比較例8ではDMFによってポリカーボネートが侵され白濁したが、実施例39ではポリカーボネートの侵食は観測されず、ガラス基材上にコーティングした際と変わりなく良好な膜が得られた。
近年、窓ガラス等のガラス代替材料として注目されているポリカーボネートであるが、耐薬品性が乏しいという大きな欠点をもっている。本発明における紫外線吸収部材用組成物を利用すれば、ポリカーボネートを侵食することなく、低着色且つ高紫外線吸収能を有するコーティング膜を形成することができる。さらに、該シランカップリング剤により形成されるポリシロキサン膜は耐薬品性だけでなく、高度な機械強度を有するため、ハードコート特性の付与にも効果的であることは想像に難くない。
本発明によれば、優れた耐光性を長期間に渡って持続し、可視光透過率を高度に保ったまま、従来遮蔽困難であった380〜400nm域の紫外線を十分に遮蔽することができ、かつ着色を低減した紫外線吸収部材用組成物およびこれを用いて作製される紫外線吸収部材を提供できる。

Claims (4)

  1. 式(1):
    Figure 2014101394
    (式中、Y、Y、YおよびYはそれぞれ互いに独立して、NH、NR、酸素原子または硫黄原子であり、
    、Y、YまたはYに帰属されるNRのRは、炭素数1〜8のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数6〜15のアリール基である。尚、Y、Y、YおよびYのうち少なくとも2つがNRで表される場合、これらNRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
    また、ZおよびZはそれぞれ互いに独立して、窒素原子、CHまたはCRであり、
    またはZに帰属されるCRのRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜12のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のヘテロアラルキル基または炭素数7〜15のアラルキル基を示す。尚、ZおよびZがともにCRで表される場合、これらCRのRはそれぞれ互いに独立した置換基を示す。
    、R、RおよびRの各々は、存在しないか、あるいは存在する場合は、1つのベンゼン環の6個の炭素原子のうち5員環と共有された2個の炭素原子を除いた4個の炭素原子に結合する4個の水素原子のうち1ないし4個を置換することができ、4個のベンゼン環の水素原子を置換した置換基の全てはそれぞれ互いに独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモルホリノスルホニル基、置換基を有していてもよいピペリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいピロリジノスルホニル基、置換基を有していてもよいチオモルホリノスルホニル基または置換基を有していてもよいピペラジノスルホニル基であり、
    Mは金属原子を示す。)
    で表される少なくとも1種類の金属錯体と、
    チオール基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を有する、少なくとも1種類のシランカップリング剤とを含む紫外線吸収部材用組成物。
  2. 式(1)における金属原子Mが、コバルト原子、ニッケル原子、または銅原子である請求項1に記載の紫外線吸収部材用組成物。
  3. 請求項1または2に記載の紫外線吸収部材用組成物を用いて作製される紫外線吸収部材。
  4. 紫外線吸収部材用組成物が、有機系または無機系基材上にコーティングされる請求項3に記載の紫外線吸収部材。
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